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79 - 15年戦争と日本の医学医療研究会

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79 - 15年戦争と日本の医学医療研究会
労 働 と 健 康
第79号1987.2.1発行
87年年頭におくることば(順不同)
内海 義夫‥・…
1
労働基準法改正について
2
宝光井顕雅‥‥‥
9V
この頃おもうこと
3
(大阪市大)柴田 悦子……
国鉄「人材センター」′に思う……………
(上京病院)西谷 宣雄・・‥‥
職業性皮膚障害のとりくみ………………
九州の民間労働者の自主組織の活動より
5
6
振動障害専門委「報告書」を考える……(上京病院)三宅 成恒……
4
(久留米大医)桜井 忠義‥・…
(愛媛大医)金澤 彰‥‥‥
ノルウェーの災害精神医学………………
実行委員会20周年に思う一労働運動の中に正常な位置を−…‥・
8
9
(弁護士)松尾 直嗣……
人間らしい生活をめざそう…………………
7
(淀協社医研)田尻俊一郎‥‥‥
9
(関西医大)徳永 力雄‥‥・・
自戒と希望
日々新しく陽そそぐように
INTERVIEW
報 告
はそかわみぎわ…‥・
弁護士 宗藤泰両先生…………… 吉田久仁子……10
コンベア職場から………………
(松下労働者)田中 千津……11
アジア電子技術女子労働者会議に参加して‥・…‥‥‥‥・・・‥‥
(松下働く者の健康を守る会)松本 明子……14
NEWS
保母の急死認定判決、ME化で仕事きつい、人間らしく
働くための要求 はか
B00E.
大阪の生命と健康を守る聞いの10年史、泣き笑い
そして10年、 ほか
大阪労働者の生命と健康を守る実行委貞会
87年年頭にお.くることば
1987年の年頭にあたって、編集委員会は「労働と健康」誌に御協力をいただいている諸先生に、生
命と健康を守るため闘っている労働者にメッセージをお願いしました。御多忙中、こころよくお寄せ下
………
さいすした方々に心からお礼を申し上げます。
編集委員会
労働基準法改正について
内 海 義 夫
日本の労働運動が1987年に直面する最も大き
第三に、それとは反対に、経営者側の希望する
な問題の一つは、労働基準法改正問題であろう。
「労働時間の弾力イ山 には、きわめて大胆な変形
労働大臣の諮問機関である中央労働基準審議会は、
労働時間制を認めている。これによって、実際の
昨年12月に労働基準法の改正案を建議した。近
労働時間は同じであっても、時間外労働の時間数
く、この建議は議会に提案されることになるだろ
は減少し、したがって労働者の賃金収入は減少す
う。
るという、経営者にとっては誠に好都合なやゎ方
この建議については、すでに各方面からそれぞ
が可能になる。
れの批判が加えられているが、全般的な性格とし
欧洲諸国ではさまざまの形のフレックス・タイ
てはきわめて保守的で、経営者寄少の内容となっ
ム制がかな少普及しているが、これらはすべて週
ていることは否定できない。
40時間以下のもとで行われている。それに対し
まず第一は、工業大国のなかで日本だけがきわ
て今度の基準法改正では、週46時間制のもとで
だっている長時間労働(年間2,150時間、アメリ
1カ月単位の変型を認めるというのだから、まこ
カ1,900時間、フランス1,650時間)を短縮し、
とに大胆という外はない。
欧米水準へ接近させようという意欲が全然感じら
第四に、年次有給休暇の最低付与日数を6日か
ら10日に引上げるという点も、欧洲諸国では3
れない(週46時間制の提案)。
∼4週間が普通であるのに比べると、きわめて不
第二に、機械化▲自動化による労働内容の変化
や労働負担の増大への対策として、時間外労働の
十分である。しかし年次有給休暇については、日
規制を男子をふくむ全労働者に拡大する必要があ
本の労働者は一般にその消化率がきわめて低いと
るのに、全く考慮してい凌い。これでは、週46時
いう欠陥があるので、この当然の権利行使の水準
間制を実施しても残業時間がふえるだけで実際労
を引上げる自己努力が必要である。
働時間は変らない、という結果になるだろう。
最終的に改正法の内容が労働者の要求にどこま
−1−
で接近するかは、基準法改正闘争の全期間を通ず る労資の力関係に依存するであろう。
国鉄「人材活用センター」に思う
大阪市大 柴 田 悦 子
国鉄分割・民営法案が国民の反対の声を無視し
・民営法案に反対の意見を持っているというだけ
て成立した。この法案成立の過程で国鉄労働者に
で「国鉄収容所」と呼ばれる「人材活用センター」
対する攻撃と、とわわけ国労組合員に対する人権
に送わ、非人間的なあつかいを行っていることで
を無視した差別と弾圧が公然と行われたことは、
ある。これら労働者の大半が国労組合員であるこ
明治以後100年にわたる国鉄の歴史の最後にあた
とは、「人活センター」が「国労つぶし」の役割
って、あづ∴りにも情けなく、強い怒.りを感じざる
を果していると言われて当然である。
国連世界人権年を終えたばか少の先進国日本で、
をえない。
数年前、マスコミはそろって「国鉄労働者はス
意見や立場のちがいを理由に人権を無視した国労
トばかわやる」「国鉄赤字の原因は働かない労働
組合員に対する公然たる差別は許すことが出来を
者を多数かかえているからだ」「時間内に風呂へ
い。有能な鉄道技術者が革むしわをさせられ、鉄
入る」「サービスがわるい」等々書きたて、国民
路を守るのに命をかけてきた補線労働者がレール
の国鉄に対する日頃の不満を労働者にむけるよう
や部品を壊す仕事を強要されるなど、人間として
世論づくゎに力を貸した。しかし30兆円を起す
許すことのできない野蛮でいやしむべき行為を国
巨額な累積債務の主たる原因が「なまけもの」の
鉄当局は行ったのである。民主主義の国、日本で
国鉄労働者にあるのではなく、政・財・官一体と
陰湿な差別行為が白昼堂々と行われ、「おとな世
なって、はじめから採算のとれない路線(例えば
界のいじめ」を許す体質があること自体問題であ
上越新幹線)建設でくくぅま味”を吸ったあと、そ
る。私どもはこの人権無視を国労組合員だけの問
の経営責任を国鉄に負わせていた事実のあること
題と思えない。自分たち働くもの全員が受けた恥
がはっき少してくるのである。日本の国鉄労働者
しめと感じて、患わにふるえるのである。
ほど、鉄道を愛し、高い技術を持ち、仕事に誇わ
を持っている労働者は少左い。
一層おどろくのは、この労働者たちを国鉄分割
−2−
こ の 頃 お も う こ と
宝光井 顕 雅
仕事帰カのターミナル駅で、「赤紙」を買った。
壊、人権侵害などについて、今よ
12月8日の夕刻で、配っているのは女性たちだ
べき事態が予想されると思うのは私だけだろうか。
った。「赤紙」(旧帝国軍隊の召集令状)を見て、
あの同日選の直前、たまたま因の島で造船不況
復員後10年ぐらいの間は時々みた悪夢のことを
を目のあたりにしたが、後目の新聞報道によると、
想い出した。自分が、また軍服を着せられて戦地
島では民社党の現職が落ちて自民党の新人が当選
へ出発するという怖い夢のことである。イヤな世
していた。造船産業の延命は多数党に頼るしかな
の中になってきたと、せたも想う。
いという有権者の選択であったという。また、閉
このような想いを、この頃、味うことが多くな
山の危機に面した明延鉱山労組は、同日選の結果
った。卒業生の同窓会に行くと、そこでOLとな
をきっかけとして「もはや、ヤマを救うには自民
って働いている者の多くがOA機器によって視力
党を動かすしかなぃ」と委員長が町長らと共に自
を低下させていると聞かされる。人生の新しい出
民党本部へ陳情に出かけたのであった。
発点において彼女らは早くも労働能力を減退させ
因島や明延の動きを評して((溺れる者はワラ
られているのである。新聞をみると国鉄の人活セ
をも把む”と言う人があったが、溺れるものの票
ンターでは熟練の労働者が革むしゎなどさせられ
がますます与党を肥らせ、政府を力づけていくよ
ている。人手が余っているからと言うが、では新
うである。溺れる仲間には働く者が手を差し伸べ
幹線・東京駅のあの出口の混雑はどうして起きる
なければなら凌いか。溺れないように、誰もが泳
のだろう。
ぎを覚えなくてはならないのではないか。困難な
昨夏の衆参同日選挙で自民党が圧勝した。あれ
時代を乗力切る泳法は、情勢を科学的に洞察する
から国鉄の分割・民営化・大型間接税導入・老健
知力と、働くものの連帯を大きく恢復することではな
法改正案などなどが雪崩れのように進行してきて
いか。これだけが、イヤな世の中を明るく楽しい世に
いる。この調子でいくと、労災、職業病、健康破
変える方法ではないかと考えている年頭である。
職業性皮膚障害のとりくみについて
上京病院 西 谷 宣 雄
1960年代後半から、あらゆる職種・あらゆる それにも拘らず、労働省の示す統計資料は低値に
階層の人々の間で職業性皮膚障害が多発している。 とどまゎ、常識的には健康破壊が進んでいると考
−3−
えられている/70年代末期になって一層減少す
対策を進めるに当っては、他の職業病の場合と
る傾向を示している。
同様に、被災者にもっともっとも近い、労働組合
最近この疾患群に対し、深い関心を示す様にな
が重要な役割を果していた事を改めて強調してお
った皮膚学会でも「100例の統計観察結果」が発
かなければ売らない。この点に関しては、本誌に
表されたが、その裡で演者は、「診断が困難な為
も幾度か報告した通ゎであるが、′70年代の労働
に実態を示す統計資料が得られない」と述べ、注
運動が医学そのものを前進させていた事を、忘れ
目を集めた。ここで謂われている「診断の困難」
てはならないと考えている。
●●●●
パート・タイマー、派遣労働者、小零細企業や
とは、技術上の障害を意味してぃるものではなく、
企業の壁が厚く、職業病の診断に必要な被災現場
農業労働者などの間でも皮膚障害は多発している
の実地検証や、原因物質の証明をする事も出来な
が、/74年黒田革新府政のもとで開設された大
い事が多いと云う「社会的矛盾」を指していると
阪府職業病センターで相談した結果、労災認定を
考えられるものであゎ、階級観などとは凡そ無線
うけ、予防対策を確立させた例も少くはない。支
●●
な医師にとっても、無視できない問題なのである。
援組織も持たない被災者を守る行政機構として評
上述の様に労働省の統計資料で示される職業性
価される可きであるが、地方行革の対象として民
皮膚障害例数が比較的少いのは、診断の困難夜事
間委託事業化されるような事態を防ぎ乍ら、積局
によるものと考えられるが、それ丈でなく、職業
的な活動をすすめる可きであろう。
病の原因を被災者の「体質」一「不注意」とみなし
て、被災者を泣き寝入
●●
大阪職対連も結成以来20周年を迎えたが、労
■●●
働運動が変質し、労働衛生行政が反動化するなか
●●■●●
や、労働安全衛生法の適用されない職種が残され、
でも、働く人々の生命と健康を守る運動を充実強
小零細企業、農業労働者等、労災の適用をうける
化させることにより、大衆のための医学を発達さ
事も出来ない被災者が多い事等から、医学的常識
せる事が出きると考えている。
■●
で、認められる職業性皮膚障害例迄除外して計算
しているからであると云う垂が出来る。
九州の民間労働者の自主組織の活動より
久留米大字医 棲 井 忠 義
毎年、九州の民間労働者の要請による、いわゆ
件の下で働く人達の健康を守る活動が行われるよ
る自主健診が行われていせす。初期には労働組合
うにな力ました。先月把行われた自主健診では、
の組織力を借りて行われていましたが、最近では
永年の作業で右肘関節が変形して仕事ができをく
患者自身把よる組織が作られ、同じような労働条
なった途端、親方からもうこなくてレハハと言われ
−4−
●●
た人が参加していました。この人には年金もなく
時期を逸し、容易に重症化させてしまうのです。
病気に左った彼等は受診まで故郷の親や兄の家の
「親方のために一生懸命働けば、悪いようにはさ
れないだろうと思っていたのに、この始末で情け
片隅で、肩身の狭い思いをしながら生活していま
ない」との言葉が印象的でした。小企業に働く人
した。職業性疾患は発生の危険のある職業に従事
達は組織もなく、交流の場もなく、仕事のできな
していれば反証のない限り業務上として取わ扱う
い身体になれば、泣く泣く仕事を辞めています。
ことが労働者保護の見地から望ましいとされてい
そうした状況があちこちにみられます。現在これ
ますが、その立証は労働者個人となっているのです。
日本は豊かになったといわれる割には色々な訴
だけ色々な情報があふれているのに、労働者保護
のための情報は何と少ないのでしょうか。彼等に
訟が多くなったのは、やはり企業との間に何か欠
は持っていく窓口さえあゎません。
けたところがあるとしか思えません。資本社会の
最近はこうした自主健診に患者組織の堰け起こ
論理もあるでしょうが、少なくとも使われる者の
しで、出稼ぎの人達が参加するようにな.りました。
健康に配慮することが文明社会ではないでしょう
九州の出稼ぎは農家の季節労働と異なり、専業の
か。職業病は一家を支える世帯主の病気です。患
出稼ぎです。病気で仕事ができなくなれば生活の
者だけでなく、家族の苦しみでもあるのです。最
方途を全く失くしてしましへます。出来高給の臨時
近職業病であっても、公害であっても、また災害
雇いなので、稼げる時に稼がねばならず、劣悪な
であっても、その底流に、住む人の生活が軽んじ
労働条件、居住条件の中でも無理をして長時間働
られる風潮が見られます。組織を強め、他の組織
きます。未組織であゎ、臨時雇いであるために健
と互いに交流しあって労働者の擁護のための歩み
康診断を含む対策の網の目から漏れ、早期発見の
を続けることがよカー層求められています。
振動障害専門委「報告書」を考える
上京病院 三 宅 成 恒
振動病を末梢循環、未栴神経、運動機能の3障
分析していない。
害に限定し、軽症も重症も初期の集中治療だけで
② 「実態調査」というが、はじめから3障害の
週1回∼月2回の通院と就労を指示し、2∼4年
みに限って行われておわ、他の症状に関する調査
が症状固定の時期とする労働省の新治療通達が出
はされてぃない。はじめから3障害だけという結
された。その根拠とされている専門委員会の「調
論から調査を出発して行ったものではないか。
査報告書」には次のような問題がある。
④ 国際的に三障害に限定することになっている
① 646名の継続療養者について検討することに
というが、そのような結論にはなっていない。
なっているが、よくよく見ると187名の患者しか
④ 「調査」で扱われた187年中、国有林(過1
−5−
回∼月2回就労)が90例で、民有林は74例しか
て治療回数の「目安」をこえているから労災を打
凌い。われわれの研究会が行った調査の20分の
切ることはしない、と回答した。しかし、その後
1である。
の各地の動きを見ると、「治療通達の徹底」と称
⑤ 「一般的労働に就労しながら治療を行う方が
して、これまでの振動病対策が一変したように言
効果的」と言うが、「就労あ机の大半は国有林
い、医師への圧迫、労働者へのおどかしが行われ
で症度の軽いものが74%を占めている。
てお力、また健康診断のみなおしが始まっている。
振動工具使用時間(延)も短い。このような対
このよう夜国の「職業病かくし」と被災者のしめ
象者だけで、振動病一般を扱うことには無理があ
だしには、ひろく反対の声をあつめなければなら
る。
ない。1月中旬には研究会を京都で開き、さらに
過日、私たちが労働省に通達反対の申し入れを
この間題の検討を深めることになっている。
したとき、補償課長はこの通達が出たからといっ
ノルウェーの災害精神医学
愛媛大学助教授神経精神医字 金 澤
1985年9月から10カ月、ノルクェ一に滞在し、
彰
して発生する心理的ショックを予防するための方
策を検討している。
精神医療制度を調査研究した。精神医療改革の過
程を実際に見聞し、地域分割責任精神医療システ
工場災害のほか、自然災害や人質事件の被害者
ムを支える各種施設を訪問し、精神障害者の治療
の心理的ショックの調査を行い、治療を適切忙行
と社会復帰にそそぐ国と地方自治体の情熱に感心
おうとしている。
わが国のように自然災害や労働災害の多い国で、
した。
オスロ大字の精神病院でもあるガクスタ病院に、
その被害者の心理的ショックを調査し、治療しよ
カタストロフ精神医字と称する研究部門がある。
うという試みはほとんどない。必要な医療分野で
災害精神医字と訳すのが適当であろう。たとえば、
あるが、身体的障害の応急的処置でおわってしま
ある化学工場で爆発事故があ.り、数人が死に、多
って、心理的ショックの治療や、まして予防まで
数の労働者が重軽傷を負った。負傷者以外も、ほ
には手がまわらない。精神科医としては見過すこ
とんど心理的なショックを受けた。事故直後から、
とのできない領域だと思う。
現忙、筆者が治療しているうつ病の患者忙、目
負傷の有無にかかわらず、工場の全労働者を対象
に心理的ショックの調査が行われ、治療と職場復
の前で仲間が事故死した造船労働者がいる。その
帰の援助が行われ、以後数年間定期的に精神医学
事故をきっかけにして、うつ病の症状が発来した
的な検診が行われている。同時に、工場災害に際
が、長期間の治療によって症状が軽快しても職場
−6−
復帰でき凌い。職場の安全対策が事故前とかわら
れる職場をつくることは、医者にとっても患者に
ないから、不安感がぬぐえない。この事例では、
とっても大切なことだ。
災害精神医学と称するような精神医療の分野が、
患者の治療に職場の安全管理が不可欠だが、造船
ぜひとも必要だと痛感する昨今である。
不況のなかでその実現は困難である。安心して帰
実行委鼻会の20周年に思う
一労働運動の中に正当な地位を一
大阪・淀協社会医学研究所(西淀病院) 田 尻 俊一郎
上の実行委員会の奮闘に大きな期待が持たれるに
もう20年、「よくもまあ‥・」の思いを深くし
ています。実行委員会のこの歩みは、大阪の労働
至っています。我々社医研のこれまでの活動への
者の健康問題を論ずる時、これを措いて語ること
反省の気持ちを込めをがら、もう一息の奮闘をと
は出来凌い重みを持つに至わせした。この間様々
願わずにはおられません。
さきの統一労組懇と民医連の学習交流集会の開
な問題を抱え、いろんな困難にぶっつかノりながら
も、今日までひたすらに働く人々の生命と健康を
催の事実でも明らかなように、民主的労働組合の
守る運動の前進を願い、私心なく闘い続け支え続
間でもこの間題に対する関心は高まってきていま
けて来られた方達の奮闘に心からの敬意を表した
すし、年次運動方針の中に生命と健康を守る課題
いと思いますし、ただただ脱帽あるのみです。
を大切な柱として闘っている労組も増えて釆てい
いま中曽根自民党政府の「総決算路線」の嵐が
ます。このような状況に確信をもって、実行委員
吹きすさび、職場での「合理イ山は益々厳しさの
会の力量を急速に高めてゆかれる事を期待したh
度合いを強め、生命と健康という基本的人権さえ
のです。
も奮い去られ、健康障害は広範化、深刻化の一途
いつも心情的には実行委員会内の一員の積もわ
をたどっています。労災・職業病隠し、認定の制
でいながら、現実には門外漢でしか在わえていな
限や遅延は目に余るものが有.りますし、労災者の
い私ですから、若干の的外れはお許し頂くとして、
理不尽な切ウ捨てさえ強行されて来ています。
これからの活動の発展のために、全大阪的闘いを
毎日の診療・健診などの活動の中で、このよう
展望して更に門戸を広げる事と、足腰を強くして
夜実態を厭というほど見聞しては、「今こそ実行
日常的系統的活動が出来る体制を確立する事の必
委員会の出番ハ との期待を強くしています。我
要性を提起したいと思いせす。
々医療の努力だけではどうにもならない事態が余
実行委員会が運動体として一定の力を持つ為に
りにも多いからです。
は、やはわ労働者の組織的参加がどうしても必要
です。労組の労災・職業病への取り組みの弱さか
このような状況の厳しさのもとで、これまで以
−7−
ら、これまでの活動は実行委員会の活動家のみに
です。その事を大きく評価する故に、その長い伝
よって支えられる傾向が否めませんでした。これ
統と経験を活かして、労働運動の中で正当な地位
らの方々の粘少強い地道な奮闘なしには実行委員
を占める為の工夫や努力が期待されていると思い
会の今日が在少えなかったのも否定しがたい事実
ます。
人間らしい生活をめざそう
弁護士 松 尾 直 嗣
最近は、「国民総不健康時代」といえそうです。
私たちはこのような内容の改悪を、断じて許す
例えば、6∼7割の人が仕事による疲労を訴え、
ことはできません。
翌朝に疲労を持ちこす人が5割もいます。最近の
昨年12月には、労働組合、学者、弁護士など
NHK調査でも、国民の3人に1人は寝不足で、
が中心になって、「労働基準法の今回改悪に反対
その理由のトップに仕事の忙しさをあげています。
する大阪会議」(代表世話人、本多埠亮)を結成
余暇の過し方も、「1.ゴロ寝、2.テレ(TV)、
しました。
3.アル・パチ(アルコール、パチンコ)」といわ
労基法の改悪に反対し、人間ら
して、「1日8時間、週40時間」を勝ちとるべ
れています。
まさに、長時間過密労働で身も心もクタクタと
く、フル回転での活動を展開しています。
今度こそ、「賃下げなしの時短」を実現する年
いうところです。
にしたいと思っています。
ところが、政府はこのような長時間労働を野放
しよいとしているのです。
がんば少ましょう。
昨年12月に生れた中央労働基準会の労働時間
法制に関する「建議」がそれで、ここでは、週46
法定労働時間というすでに30時間台に突入した
他の先進諸国の水準からみてまことに恥ずべきも
のや、それとひきかえに導入しようとしている大
幅な労働時間の「省力イ山、それに日本の長時間
労働の最大の原因である時間外労働に対する規制
(例えば、その上限規制)をし夜レ1夜どが、その
主な内容となっています。
政府は、このような建議をもとに労基法改悪法
案をつくカ、今春にも上程しようとしています。
−8一
以上
自 戒 と
希 望
関西医大 徳 永 力 雄
0本質(問題点)は見えにくくなってき
0怒りの精神を大事にしよう
健康を守る運動や労働衛生活動は、自分が渦中
た
に立たされないとなかなか自分自身のものとして
病気も世相も政治も、典型的・急性重症型は少
感じにくい。対岸の火事のようである。このごろ
くなウ、複合的・多面的・慢性的となっている。
は世の中が基準化されすぎて、することも多すぎ
事象自体も、また方法や手段も、本質をカムフラ
て、つい無感動に業務的に、儀礼的に対処するの
ージ
が身についてしまった。ために、怒るべきときに
にくいしくみになっている。本質を見抜く眼力が
怒らず、云うべきときに云わず、助けるときに助
ほしい。昔のことと、未来(せめて10年先)の
けないことが広がっている。何が大事か、何が価
ことを考えて、今の現象を読まなければ。
値があるのか、たえず感覚をみがいていたい。そ
0個性、多様性を認め、人権を大事にし
の一つの方法は、実物に接すること。
よう
ュする技術がますます発達して、波風が立ち
日本人は、皆といっしょ、共通… が好きすぎ
0論畢里や専門を持とう
る。その裏返しの個性とか多様性とかは、やりに
怒りだけでは単なる感情に終る。時に人を動か
すことができるが、空転することも多い。やはり
くく、手間がかかゎ、勇気がいる。しかし、21世
平素から自分のテーマなりやり方を持っように心
紀を待つまでもなく、画一的思考や方法論で解決
掛けたい。地道に勉強するしかないのです。情報
できる事柄は減る一方だ。個性や多様性と正面か
や知識の増加はすさまじく、「一般」とか「常識」
ら付き合える頭脳と人間性がなければやっていけ
の水準はどんどん上っている。新人類とやらも、
ない。人間以外の物どととも、多面的、総合的、
バランスは悪いが深いところはめっぼう深い。
長期的に付き合いましょう。
日々新しく陽そそぐように
ほそかわ みぎわ
第一次、第二次石油ショック時に管理者の自殺
を示し、同じ民営化のNTT(9.9)に比べても
が激増したことが証明されているが、86年民営分
異常な高率を示している。にもかかわらず、国鉄
割の合理化に揺れる国鉄で人権侵害の進行と共に
当局は自殺率は国公の比率に比べて著明な差異が
自殺者数は50人近くに達した。これは10年前に
ないから国鉄合理化と関係がないと主張し、自殺
比して(10万人比率)で4.2から14.2への上昇
の業務起因性を否定している。
−9−
86年、行政や司法の反動化が進むなかで、企
それは、85年のスキーバスや「二階バス」の転
業の安全衛生無視を支持する動きが一層顕著にな
落と同じ性質のも?であ.り、利潤と効率を優先さ
ってきた。日航機墜落(85年)の原因を調査する
せたからである。このことは、国鉄だけでなく、
委員会の作業は全く密室の中にとじこもってしま
「不況」、「整理」合理化の嵐が吹きつのる多く
った。中古のコンベアを歪めて使用したために発
の産業職場では、ますます強まることが予想され
生した三池有明鉱の火災についての刑事責任さえ
るのである。
も原因不明、推測困難という理由て不起訴に終っ
87年は、このように労働者の生命・健康と、
た。労基法研究会は、長労働時間、夜勤交替制勤
産業の効率・「合理イ山 との矛盾が一層激しく在
務、過大責任、単身赴任の連続による労働者の生
る年になろう。この中で労働組合の真価と力量が
命と健康破壊にたいして直視しようとしなかった。
問われ、労働者の意識と学習と活動が求められる
86年年末国鉄山陰線余部鉄橋で一発生した回送
であろう。どのような一つ一つ、一人一人の問題
「お座敷列車」の転落災害は、事故の一時間前か
でも見逃がすこと浸く、ていねいにしかも根深く
ら現地で突風が吹き荒れていたことが鉄道管理局
検討し、分析し、提起して行くことが、ひろく関
で分っていたのに安全を第一にして列車を止め浸
係者すべての課題であることを年頭に確かめてお
かったことに原因がある。
きたい。
も九州の佐賀営業所にとばされ、不当配転斗争を
INTERVIEW
やったわけです。これは不当労働行為として全面
勝利しましたが、差別是正闘争は今も継続してい
弁護士 宗藤泰而先生
せす。」
吉 田 久仁子
一全損保は職業病の分野でも、頸腕の火ぶたを
切った。私たちもずい分お世話にをりました。労
一先生はサラリーマン(東京海上勤務)から40
働条件もまぶしい存在でした。−
代になって、司法試験に挑戦し、弁護士になられ
「職業病を闘えるかどうかは、真に労働組合の
た異色の経歴をお持ちです。
役割りを果せるかどうかのものさしだと今も思っ
サラリーマン時代は全損保の活動家として活躍
され、当事者として裁判斗争のど経験もあると、
ていせす。『人たるに値する生存」】をかけた一番
うかがっています。−
大事な課題であゎ、団結するのに一番困難な課題
でもあるからです。
「昭和41年、全損保は分裂功撃を受けて、東京
「60年代前半の『合理化』は真の労働組合を
海上支部も全損保を脱退し、新しい組合が出来せ
つぶす攻撃が特徴でした。
した。きびしい攻撃の中で、企業に都合のいい組
60年代後半の『合理化』は労働組合が企業と
合の方が大きくなった。全損保に残って組合・の ̄再
建のため闘う活動家は、身分上、賃金上の差別を
一体となって、労働者を苦しめていせす。長時間
受け、影響力の小さい地方にとばされました。私
超過密労働を職場に定着させ、労働者は、馬車馬
−10−
「ラジコン。クラブに入って、加古川でとばし
のように働かざるを得なくなった。」
ています。手作わ充んですが、一機作るのに半年
一佐賀時代の封話しをきかせて下さい。−
かかわます。大きhのは巽が1.8メートル。時間
「佐賀の店では、全損保の組合員は私一人。職
場は恒常的夜長時間残業。女性の前でもランニン
と体力と気力が売いとダメ充ので、今年は正月に
グシャツ姿の、なわふわかまわぬ猛烈さ。私は残
初飛行させたっきり。」
業拒否を決意したんです。決意はしたものの、仲
一労災裁判を進めるにあたってアドバイスを一
「小さく、狭くとらえなぃでもらいたい。『人
々帰れ去雰囲気じゃ亮
に力をこぁて、大声で『おさき
たるに値する生存』をかけた斗ぃであゎ、長時間
端者、何と思われようとかまわないと思ってぃた
超過密労働がもたらす生きた証人として、恋わを
のに、数カ月して女性二人が『私たちも、やらな
もって斗ってほしぃと思ぃます。労働組合はこの
ければ』と賛同し一緒に帰る斗ぃがはじまったん
斗いを一人の問題じゃ′なく、人間らしい職場に変
です。うれしかった。『ノー』ということ、一言
えていく課題として積極的に取わくんでほしぃと
ではあゎますがむつかしぃ。でも職場斗争では一
思ぃます。」
番大事なことそす。」
○ 後 記 ○
−ど家族は?−
「妻と男の子三人。佐賀では文字通ゎ、家族と
一泊学校で始めてお会ぃした先生。「こんなす
共に歩いた時代。食事、ポーリング、旅行など。
ばらしぃ学校があるとは知らなかった」と感激の
今は仕事人間。」
面持ちで、早速「労働と健康」の固定読者に夜っ
てぃただきました。
一趣味をお聞かせ下さい。一
報 告
コ ン ベ ア 職 場 か ら
松下労働者 田 中 千 津
で、コンベヤには秒きざみのテープを貼られ、1
柴さんと共に14年前に松下電器に入社しまし
て定時社員と云う1年契約の不安定な雇用条件の
ケ所の歯抜けも許されず背後にストップクオッチ
もとで、会社にもの云えぬ弱h労働者の立場でた
の音を気にしをがら日産3千∼7千個、1台当わ
だただ、もくもくと一生県命に働ぃて来ました。
の1人の工程が7.8秒∼9.3秒とぃうスピードで
時あたかも世の中はオイルショックの施風の禍に
残業や休日出勤も強制的で、休憩時間にも準備作
巻き込まれ、松下のコンベヤの流れ作業にも合理
業や手元にたまった仕事の繰,り返しの連続でした。
化の波が荒波のどとく
パートタイマーとして入社して勤務評価によカ10
さんと職場な異ってhましたが、同じ環境のもと
ケ月後に定時社員制度の1年契約となわ、組合員
−11−
となるのです。時間を同じくして会社から命を受
人間の限界ぎカぎカいやそれ以上の生産達成に全
け、「心の友」数千∧の中職場相談員としてカウ
力投球で、これでもか、これでもかと毎日が限界
ンセラーの身に余る役をさずかゎました。上司や
への挑戦です。頭で考えてい七は流れについてい
先輩や同僚の視線を意識して一挙手一一投足に仕事
けず、体で覚えるのです。合理化による利潤の追
や生活態度にもミスは許されず精神的なプレッシ
求による過密労働の積み重ねの破碇として頭∼首
ャーを常に感じ心を張力うめたまま私の作業は、
∼背中、肩腕に痛みが広がり、「岳時間が限度で
電子レンジ、高級ステレオ、洗濯機、エアコン等
す」と訴えました。しかし、何の安全面の配慮も
に内臓される大き夜モー
交代も浸く続けているうちに、血液の循環障害に
短−3kgもあゎ、エアードライバーでビスの締付
よる冷えとしびれ冷のう現象によカ、雨の降る目
作業をしていました。モータの受け治具がない為
などは指先きがロケソクの様に白くなったゎ、紫
に提案も数回してお願いしましたが即利益につな
色にな勿体の一部とは思われず、最初はショック
がら凌い事は取力上げてもらえず、結局左手を苗
で健康管理室にかけ込んだ事があゎました。辛棒
に浮かしたまま掌の上にモータをのせてビス3本
に辛棒を重ねましたが、首も肩も手も動かなくな
の頭を3本の指先きで支えて、右手でエアードラ
り、しびれで感覚がなく夜カ「会社を退めさせて
イバー20kgのトルクでビスを締付けるのです。
下さい」と申し出ました。昭和52年1月会社と
エアードライバーの工具そのものも私達に与えら
話し合いの結果松下の上肢作業従事者の健康管理
れる物は中古品の為に摩耗していて、からiいし
に関する協定取▲り扱い者と浸りました。早くいえ
ます。中腰になって体重をかけて女の力では大変
ば職業病かくしなのです。この協定者は松下傘下
な作業です。汗を流しても拭く間もない程必死で
の先生の診断の指示が必要なのです。当時50人
締付けるのですが、モータを持ち支える左手の方
余力発病しましたが、松下病院で治った人は只1
は倍の力を要するのです。一時の油断で力が入ら
人も居力ません。
ないと竜一タが心臓めがけて胸に飛んできたゎ、
私は治少たい一念で大阪大学病院、兵庫医大、
危険がいつも伴っていて一刻の息抜きも出来ませ
国立病院、大阪府の職業病センターと診察を受け
ん。逆に締付を20kg以上に強く締付けると、ビ
に行きました。検査の結果必ず「国会であの様に
スバカが出て、一からばらしてビス入れから手直
問題になっているのにこんなに具合の悪い人を働
しを要し、あっという間に4−5台のモータが手
らかすとは納得いか凌いね」と即休業診断が出ま
もとにたまるのです。20kgのトルクで締付けられ
すが、会社は松下以外の病院の診断は受付けてく
ている確認用の重いトルクゲージで3本のビスを
れません。コンベヤ作業からは配慮されて、部品
手をねじってチエツタして良品になってロット印
の受入検査作業の仕事を続けていました。これは
の入った名 を貼力次の工程に流すの繰力返しで
ブランドの命にかけても品質のトラブルは許され
す。100■%の生産達成が出来たら10%アップと、
ず、図面の一字一区見逃されず、神経の緊張の連
与えられた仕事は懸命に努力して、松下の七精神
続で一つの不良品も製造ラインに流すことは絶対
の1づの順応同化の精神と自分に云い聞かしては
に歯止めする必要な仕事です。一生懸命に誠心誠
−12−
意頑張力ました。痛ぃ首や肩や背中に痛み止めの
てくれません。田尻先生に再三相談しました。そ
注射を受け乍ら仕事を続けていました。今年の2
の間診断書も三枚目になっていました。「何故診
月会社から円高不況の中で「再契約は出来ない」
断書を積み重ねても休んで治療し凌い限わ体は治
と退職を迫られました。過去14年間会社の流れ
らないですよ、企業に対しては誠にいい方だが、
に添って何一つイヤですのイとヤの二文字が云え
自分の体と家族に対してはダメな人だね。診断書
●●
凌いばか.りに体を痛め病気に負けたくないと、明
というものは会社から許可をもらって休む性格の
るくふるまい精神力で頑張って張わつめていた心
物でなく、体の具合が悪く働らける状態で浸い為
の一本の糸がプツリと切れました。体を痛めてい
に休業を必要とするから医師が判断しているのだ
る事に対して言葉は一言も有りませんでした。私
から、これ以上我慢をすることはおかしいのと違
の万から「体の具合の悪hのも含めてのお話しで
うかな」と優しく説得下さいました。診察室を出
すか?」と質問しぜした。答は「不況とは関係な
て来た私に事務局長が会社思いの解らず屋とは知
い」と次の言葉は有わません。「1日考えらして
わつつ「田中さん、先生は何にもおこらず優しい
下さい」精一杯の私の返事です。持てる物は全部
ね」と耳打ちして下さいました。私の心が決りま
しぼカ出して体を悪くしたら使い捨て夜のです。
した三度目の診断書を機会に会社に気がね浸く安
会社の冷たい仕打ちに目の前が真暗に表わ、全身
心して主治医の治療を受けて、心身共に健康夜体
の体の血が一辺にさ−と凍カついた様なショック
を取り戻して職場複帰している他の(事)の皆様
を受けました。治りたい治したい一念で柴さんを
の仲間入.りしたく、会社の同意はもらえませんで
通じて北河内統一労組懇で職業病の相談に乗て頂
したが、私から休職に踏み切力専問の診療を受け
ける事を知.り2人で訪ねました。何も知らない私
る事にしました。そして北河内統一労組懇の皆様
達に役員の万全員が親身になって親切に教えて下
方の御指導をあおぎ労災申請をする決心をしせし
さり、身に余りすくいの神様が表れたと、心が久
た。何時も励まし合っていた柴さんと2人で安心
し振りに楽に表わました。時を同じくして西淀病
して治療を受けたく2月22日守口労基署に労災
院を紹介していただき、診察を受けに行きました。
申請しました雪の降る北風の吹きすさぷ最中、思
長い長い遠い道のりでしたが、やっと専門の先生
いもかけ凌い四ッ谷光子先生始め、北河内統一労
にめぐカ逢え診察検査の結果「発病以来経過が長
組懇、各市職労、各職対連松下で働らく仲間、数
引いていますが、病気に対して正しい理解をして
知れぬ団体の代表の大勢の方々の御支援を頂き、
正しい治療をすれが治ります。長くかかると思い
冷え切った体と心も皆様の暖い真心が、体にった
ますが、気長く治しましょう。頑張って下さいね」
わってまいわ、感激の余力涙で訴えました。同じ
と心身共におち込んでいる私に希望の持てる先生
職場の同僚の方も勇気を出して涙で生々しく証言
の自信ある言葉を頂き励まされました。すくいの
してくれました。労災申請後寒風のさ中、社門前
神様が表れて心が明るく浸りました。検査の結果
ヤク一三ナルで数回に亘り働らく仲間や会社に対
「休業加療を要す」と診断書が出されました。例
して、私達の訴えを北河内統一労組懇の方々が主
のどとく会社は「見なかった事にする」と受入れ
体とな少、皆様にビラ配布の御協力を頂き、会社
−13−
の態度も軟化し、お陰様で契約を更新してもらい
ときれいな言葉は云ってもらっていますが、協力
ました。同僚の方達も喜んで下さわ、その日は沢
は何一つあわません。この申請は私達2人だけの
山の仲間が家に集まって励ましてくれて喜びをわ
問題ではあゎません。会社の思い通ゎ泣き寝りし
かち合いました。きびしい行政のもと会社の上司
てやめた万の他、まだ16人の協定患者が職場で
や同僚の聞き取.りと、労基署の態度はとても慎重
苦しみと斗っています。この人達の為にも業務上
で、主治医の病状紹介も2月に申請してやっと11
認定を取ら浸ければなわません。労災申請に踏み
月
切る迄には決断を要しました。決心する事も大事
長次長労災課長係官とみん夜転勤となり、認定業
な事ですが、色々夜圧力や妨害があゎます。決心
務も振少出しに戻少長引いている為に、北河内統
した事を続ける事はよ少以上に大事で有ると痛切
一労組懇の方々が中心に成て下さいまして、業務
に感じて居わます。1月1日が痛めた体と精神力
上認定要請署名のお願いを始めました。目標は1
との斗いです。御協力頂いた署名が集っています
万人です。三度の労基署交渉で合計7千5百18名
が、1万人目標で始めた署名の成功達成の為、後
分提出する事が出来まして感動と感激で一杯です。
一押しです。引き続きお一人一人様の温い御支援
監督署長も「労働者の貴重売声として受取らして
が何よりの力と成ります。皆様の心の支えを大事
もらいます」と丁重に受け止めて下さっています。
にして業務上を勝ち取る為に頑張ります。私は労
その反面当初から予期していた事ですが、会社か
災申請に命をかけます。
らは資料が無いとか、真実性をかくすともとれる
回答をえています。組合からは「避けて通れない」
アジア電子技術女子労働者会議に参加して
松下働く者の健康を守る会 松 本 明 子
間と交流することができました。
いま、私が働いている松下電器では、「円高」
三交代、8時間労働に加え、8時間ま
を理由に、「百ドル以下の音響製品は海外で生産
で残業可
する」「カラーテレビも、海外で……」と、どん
会議に参加して、東南アジアの婦人たちの劣悪
どん海外に進出しています(1983年現在、海外製
造工場、24カ国、38社、海外従業員3万6千人)0
夜労働条件と過酷夜長時間労働の実態を、直接聞
そしてことしに浸って定時社員(パートタイマー)
いて、本当に大き夜ショックを受けました(少し
への首切りやいやがらせが増え、テレビ事業部で
は、知っていたつもウでしたが……)。
フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、
も「余剰人員は4百人以上」と発表されています○
そして香港などでは、女子も三交代の勤務に阻み
そん左夜かで招かれたこの会議で、多くの国の仲
−14一
こまれ、8時間の労働時間に加えて、残業は8時
う状況で、動物の名前で呼ばれているということ
間までみとめられているのです。
でした。そして皮膚病、有毒ガスの吸引、結核な
「私は毎日、12時間働いています。残業は苦し
どが彼女たちの身体をむしばんでいます。
いけれど、割り増しがあるので‥・。仕事は、髪
レーガン政権のもとで、アメリカの婦人の失業
の毛ほどの線をノ、ンダ付けしています。QCサー
率は10%(地域によって20%のところもある)
クルのインストラクター(リーダー
にものぼっています。VDT(テレビ画像つきコ
?)もしてい
ます。私の給料は、1日67ペソ(日本円で、5百
ンピューター端末機)が導入されて、思想までが
30円)、36ペソ(日給280円)の子もいます」
チェックされているとレ几へます。
労働者の無権利いっそうひどい自由貿
というフィリピンの女の人もいました(魚の・缶詰
易地域
が6ペソ)。
東南アジアのどの国にも、日本ヤアメリカなど
睡眠不足によるストレスで集団ヒステ
の多国籍企業(松下ヤフェアチャイルド社、テキ
リー事件
マレーシアでは、コンベヤー労働者が、睡眠不
サス社など)が工場を建てる地域一自由貿易地域
足によるストレスなどで、「集団ヒステリー事件」
−があわます。ここでは、労働者はいっそうひど
を起こしたということでした。1人が、「ギャー
い無権利状況におかれています。
フィリピンの電子産業は、重要産業ということ
ッ」と叫ぶと、コンベヤーの仲間が次々と「ギャ
ーと叫んで、工場の責任者があわてて工場から連
でスト権は禁止されていますが、この地域は労働
れ出すのだそうです。また4万3千人にのほる13
組合が一つもあわません。労働者には、自由と民
歳以下の子どもがゴム園夜どで働いています。
主主義のかけらもなく、資本家の自由は最高に保
インドネシアの多国籍企業でも、1983年ロボッ
証され、公害の防止対策費もいらなぃ、税金もか
トが導入され、3百ドルほどの解雇手当で、労働
からないという状態を、その国の政府が準備して、
者の10%が退職させられています。
多国籍企業を誘致しているのです。この結果1ド
ルが80倍に生きる(アメリカの場合)といわれ
また、香港では、最低賃金の規制もなく、縫製
労働者の賃金は低くおさえられ、家賃に給料の三
る状況がつく少出されています。
分の−を使ってしまわなければならないほどです。
国際会議は、明るい、楽しいものでした。
一目目は、夜の10時半まで、熱JL、に各国の報告
ここでも電子産業の労働者は、顕微鏡をのぞい
ての作業。しかも、深夜働いて朝から寝るという
がつづきました。ねむたそうな顔をしていると、
不規則勤務のため、頭痛や胃腸病が多発している
フィリピンの婦人が、前にいって、「みんな′ち
といいせす。
やんと話を聞ぃてるのかい′」といっていたのも、
カリブ海諸国にも、やはり1970年どろから多
なつかしい思い出です。
国籍企業は進出し、黒人の婦人が屈辱的な取り扱い
11項目の要求実現をめざし
いをうけながら働いています。時間外労働が強制さ
フィリピンでは、フィリピン女子労働者労働組
され、会社の都合でいつでもクビを切られるとい
合が11の要求の実現のためにたたかっています。
−15−
それは、①女子に仕事を(三分の二の女性は失業
は外資系のため組合をつくることもみとめられて
または収入を伴う仕事についていない)②女性
いません。婦人たちは、想像を絶する困難ななか
が性や年齢、社会的地位によって差別されないこ
で組合づくゎにとカくんでいます。
と、㊥同一労働、同一賃金の原則がすべてのフィ
インドネシアヤクイ、香港でも、失業者増大と、
リピン労働者一男も女もーにとって守られること、
労働者の貧困、それにたいする労働者のたたかい
④出来高払い制の廃止(ほとんどの女性は出来高
の歴史などが出されました。いま、オートメーシ
払いのため長時間働いている)⑨すべての女子
ョン化による労働の質が変化し、それが、各国の
労働者に4カ月の出産休暇を、㊥妊婦の有害作業
労働者にどのような影響を与えているか、もっと
の禁止、⑦時間外労働、休日労働の制限、㊥雇用
もっと深く交流すべきだとのまとめが出されまし
主は、工場の付近に、幼い子どものための託児所
た。
などを設置する(順不同)などです。
武器に使われていないか?
婦人たちは、子どもを、仲間同士預け合いをし
フィリピンの電子産業で働く婦人労働者が、「私
て、島から島をオルグしています。昨年1年間に、
たちは、外国から材料を支給され、部品をつくっ
75人の労働者が争議時に軍隊の戦車に突っこま
ています。その部品が何に使われるのか、まった
れて殺され、六十数人の組合幹部が、行方不明と
く知らされません。もし、武器や戦争のために使
なっているのです。それでも楽天的で、堂々とし
われたら、それは、私たちに向けられるのです。
た若い仲間のたたかいの報告に、各国から「貧し
日本ヤアメリカの仲間の皆さん、分かったら教え
くて、苦しいのに、どうしてそんなに頑張れるの
てください′」と訴えました。
か」と質問が出ました。それには「マルコスが、
フィリピンの仲間だけでなく、きっと、東南ア
あまカにも、ひどかったから…」と答えていまし
ジアの仲間の共通の思いではないかと胸を打たれ
た。
ました。
想像を絶する困難のなかで
NEWS
マレーシアは、1960年に、日本の戦前の治安
維持法に似た法律が制定され、さらに75年には、
苦手のオルガン演奏中に急死
ESCAR(重要治安事件修正則)という、弾圧
保母の公務災害を認定 神戸地裁判決
法がつくられ、すべての活動がきびしくチェック
オルガン演奏中に脳動脈カゆう破裂で急死した
され、すぐに逮捕され、拷問をうけるのです。
保母の公務災害認定をめぐカ、遺族が地方公務員
75年から5年間に10万人の労働者が、80年か
災害補償基金神戸市支部を相手取り「死亡と公務
らの5年間に2万人の労働者が解雇されました。
は無関係」と認定した行政処分の取如肖しを求め
大農場に働く人の54%、漁業で働く人の72%、
た訴訟の判決が11月26日、神戸地裁民事二部で
労働者の45%、農業人口の73%は、貧困に苦し
あわ、野田敢稔(しげとし)裁判長は「見学者を
んでいます。
前に、苦手だったオルガン演奏をした際、緊張し
て急に血圧が上がった」と、原告の訴えを全面的
スト権は国によって禁止され、とくに電子産業
ー16−
に認めた。この裁判は自治労が支援、8年がかり
結びつき、破裂の誘因となった」と原告側主張を
で争われてきたもので、睡眠中でも起きる脳動脈
全面的に認めた。
カゆう破裂を労働状況に即して関連づけた数少な
NEWS
い労災裁判例として注目される。
原告は、同市立多聞台保育所(同市垂水区)に
「人間らしく働くための国民会議
勤めてぃた大薮都志江さん(32歳で死亡)。
(準備会)」の緊急要求 <要 旨>
訴えによると、都志江さんは50年11月6日午
中央労働基準審議会で労働大臣に建議しようと
前11時どろ、保育室で苦手のオルガンを演奏し
している労働時間法制の変更は、労働時間の短縮
た際、同保育所長と全国私立保育連盟役員の2人
どころか、諸外国に例をみない最時間・過密労働
が見学していたため極度に緊張、急激な血圧上昇
をさらにひどくし、残業代を払わずに、いっそう
を招き脳動脈りゅうが破裂、約1時間後、収容先
の非人間的夜長時間・過密労働を合法化するもの。
4千3百万労働者によわ低い賃金で非人間的労
の病院でくも膜下出血で死亡した。
働を押しつけるとともに、その家庭生活、社会生
大薮さんはアルバイト保母を経て49年、正規の
保母になウ、保母資格を取ったのが30歳と遅か
活をも破壊するものであり、人間らしく働き、人
ったため、所内で最年長の保母として2歳児保育
間らしく生きる権利を幾千万国民から奪うものです。
の中心的存在だった。同保育所は午前7時半∼午
労働者と家族は人間らしく生きることを求めて
後6由半の長時間保育で、早出の日には午前6時
います。この要求は、憲法、国際労働基準に照ら
に自宅を出てお力、休暇、休憩も満足に取れず、
しても当然の要求であゎ、この要求を実現し、くく労
元来の高血圧と慢性的夜疲労が重なっていたとい
働条件後進国日本”の状況を大きく改善すること
う。
は、内需を拡大し、貿易摩擦を改善するためにも
これに対し被告側は「保母数は厚生省の基準を
必要不可欠です。
上回り、労働条件が悪いはずはをい。大薮さんの
人間らしく働き生きることを実現するためにこ
脳動脈りゅうは先天的なもので、高血圧と破裂と
そ労働基準法の改定が求められているのであり、
の因果関係は認められない」と反論していた。
中基審が建議しようとしている改悪は認めるわけ
この日の判決で野田裁判長は「大薮さんが担当
にはいきません。
していた2歳児はか夜ウ辛がかかゎ、常に精神の
1.労働時間について1日8時間とし、賃下げな
緊張を要求され、休憩時間も確保しにくい連続労
しに週40時間、週休2日制とする。
働にさらされて肉体的、精神的に疲労していたこ
2.労働と生活のリズムをくずす「1日2時間延
とがうかがえる」としたうえで、死亡当日の状況
長制」や「変形労働時間の拡大」を認め浸いこと。
に触れ「見学者の存在、2歳児保育のリーダーと
3.働いても働いてい浸いとみなす「み夜し労働
しての責任感、オノレガンの未熟さ夜どを考え合わ
時間制」導入を認めないこと。
せると精神的負担は相当大きかったはず」と認定。
4.年次有給休暇を最低ILO基準の3労働週
(週休2日制のもとで15日)とする。有休取得
さらに「精神的夜負担と緊張が急激な血圧上昇に
一17−
暇意識調査で明らかになった。
を理由に昇給・昇格・ボーナスの査定■諸手当の
給付などについて、いっさいの不利益取力扱いを
調査は組合員2千人を対象に10月に行った。
禁止、処罰すること。
回収率は57%。それによると、ゆとカ、余暇時
5.公益・公共上やむを得ない理由のある場合を
間については「ない」が50.1%、「ある」が49.9
のぞき、深夜および深夜交代制労働を原則としゼ
%でほぼ半々、30歳代が最も「ない」と感じ、30
禁止すること。認める場合は労働時間を短縮する
歳未満がこれに続いた。
など労働者の生活と健康を十分に守るために必要
ゆとわを感じる理由は、①趣味・スポーツ、学
な規制をすること。
習が出来る、②家族とくつろげる−で全体の7
6.残業は男女とも1日2時間、週6時間、年120
割近くに達し、「家でゴロゴロできる」「疲れが
時間の上限を設けるとともに、割増率を50%、深
とれる」など余暇利用消極派は21.7%、一方、感
夜・休日労働は100%に引き上げること。
じない理由は、①土曜、休日出勤が多い、②家に
7.均等法とあわせて労基法を改定しておこなわ
は寝に帰るだけ、④今程度の休みでは何も出来な
れた婦人労働者の時間外・休日・深夜労働などに
い−の3項目で7割を超す。
たいする規制緩和については改定前に回復させる
30歳未満では「休みが少ない」が目立って多い。
こと。
自分は「働き過ぎ」と思っている人は46.4%で
「働き過ぎとは思わない」の38.3%を上回った。
8.労基法改定による労働時間短縮の実施が困難
な中小零細企業夜どについては必要な公的助成な
特に40、50歳代に「働き過ぎ」とみる人が多く、
どを行うこと。また、不払い残業、無給の休日出
50歳代では55.7%に達した。
ここ数年「仕事がきつい」と感じる人は65%
勤、さらには労基法の改正によって新設されるす
べての規定の違反について監督行政を強化するた
で、「特に感じない」(糾.5%)の倍近い。中で
めに関係職員の大幅な増員など必要な措置を講ず
も30歳代の68.7%、40歳代の69.1%がきつい
ること。
と答えている。「きつい」の理由は「仕事の質・
畳も多く、ME化など情報化の進行による業務の
NEWS
復姓化が原因のようだ。
ME化で「仕事きつい」
NEWS
「休みたい」30、40歳代サラリーマン
労働省、電磁波健康影響調査へ
同盟調査
VDT、ワープロ。ロボット職場、木材乾魚、
30、40歳代のサラリーマンの7割近くが、M
E(マイクロ・エレクトロニクス)化の進展や業
ビニル工場、高周波溶解炉、温熱治療(がん)病
務の復姓化などで、この数年の間に「仕事がきつ
院などで問題となっている電磁波の健康影響につ
くなった」と感じ、ほほ半数の人が「働ぎ過ぎ」
いて、労働省もやっと専門委を作り報告書をまと
「ゆとカヤ余暇時間がない」と感じていることが、
めることになった。すでにソ連、欧米では基準値
が決められている。
同盟の傘下組合員を対象にした労働時間・休日休
−18−
死亡事故など薪公害源
半導体チ ッ プエ場で
大阪府
妊娠女性の就業禁止
ATT「流産率高い」
〝ICガス〝立ち入り調査
米カリフォルニア州の有力紙サソノゼ・マーキ
IC(集積回路)工場などで使われる半導体特
ュリーが報じたところによると、米国電話電信会
殊材料ガスが毒性を持つ化学物質を含み、取り扱
いミスから各地の工場で死亡事故や火災が発生、
社(ATT)は昨年12月から、妊娠している従
新たな公害としても注目されて■いるが、大阪府は
業員が半導体チップ工場で就業することを禁止、
同ガスを販売する事業所を対象に貯蔵量や管理状
これまでに米国内の工場計5.カ所の妊婦15人を
況について立ち入り調査することを決めた。調査
配置転換した。全米で初の措置。
これはマサチューセッツ州立大学の研究者が80
はガスの消費現場だけでなく、流通全ルートがわ
かるガス販売台帳をチェックするなど、きめ細か
年から85年までの5年間、マサチューセッツ州
い内容で、流通経路まで踏み込んだ調査は全国で
の半導体チップ工場で働く女性計770人を対象に
初めて。半導体産業の防災対策に取り組む他の自
調査したところ、チップ製造工程に従事する女性
治体にも大きな影響を与えそうだ。
の方が他部門の女性と比べて流産の率が二倍も高
半導体製造工場では、シリコソ製造工程などで
いとの調査結果が出たためという。
ジボラン 、アルシソなど人体に有害なガスや可燃、
調査結果は製造に携わる男女従業員の間で、頭
爆発性があるガスを使用、その種類は百種類以上
痛、吐き気、目まいといった一般的不快感を感じ
にのぼる。
る率が他部門よりも高いとしている。半導体チッ
プの製造では毒性のガスや液体が使用されている。
しかし、LPGガス、酸素など一般の高圧ガスは
高圧ガス取締法の規制対象となるが、特殊材料ガ
B00K
スは使用圧力の低さなどから法規制の対象外が多
大阪の生命と健康、を守る闘し、の10
く、労働安全衛生法、大気汚染法などにも該当せ
年史(1977∼1986)
ず、高圧ガスを扱う29事業所の立ち入り調査を
大阪労働者の生命と健康を守る実行委員会
決めた。
実行委結成20年を記念して作られたもので、
立ち入り調査期間は約1カ月。調査項目は①ガ
労働と健康Nn50号の1967∼1976年史を継承す
スボンベの貯蔵・管理状況②ガス除外装置。③防
る記録である。
火、警報装置の有無−など。これに加え販売台
帳から製造から消費までのルートを調べる。
B00K
泣き笑い、そして10年
松下働く者の健康を守る会
この会が発足して10年、子供をかかえ秒きざみ
−19−
のコンベアで働き、きずついた婦人労働者が、健
欲しい。
康をと少戻し、患者を出さない職場づく少に立ち
B00K
上って行き、今日ひろく国内国外にも知らされる
ようになった。その貴重で感動的な記録。松下の
どう守る、いのちと健康
一労働運動Nm253一
門でくばられたビラの数々を直接見ることができ
要実費 86ページ
る。
新日本出版社 600えん
2年に1度の労災職業病特集である。
B00K
「激変する労働環境と労災・職業病」(岡村)、
「現代の労災・職業病と労働医学」(田尻)、Ⅳ
労働基準法とその改訂の問題点一労
DT労働をめぐる国際動向」(西山)、「職場の
働時間・交代制を中心に一
日本労働者安全センター 1000えん
ヘルスチェック活発に」(北口)、などの論文と、
労働基準審議会は桑ぜ労働時間を短縮する必要
労働現場からの告発が掲載されている。運動の目
標をもつと定めねば浸ら凌い。
があるかを明らかにせず作業をすすめ、時短に反
対する資本の圧力の下に労基法研究会最終答申を
B00K
さらに後退させる改悪案をぜとめた。労基法の改
正はどのような立場からとゎくむべきかを論じる
あなたの健康問題
労働法・労働衛生などの研究者の論文をぜとめた
中村 美治 編著
もの。112ページ。労基法を勉強するテキストに。
学習の友社1000円
一業務疲労、ストレス、職業病からの解放−
B00Ⅹ
という副題がついているが、この間届を職場の学習
テーマとして学び、健康問題を正面に押し出す労働
国鉄安全神話の崩壊
一賃金と社会保障Nm949一
運動を強くする力をつけるために作られた。東京
労働旬報社 1200円
社医研センターの人たちで善かれている。しかし、
国鉄の民営分割に伴い、無数の安全無視で「安
色々な資料も使われており、学習テキストとして
全綱領」が空洞化し、車輌・車輪・レールの異常
使うと便利である。第1章健康について考える、
摩耗が進み、線路の落ちこみが多いが、保守・点
第2章仕事でおきる疲労とストレス、第3章なぜ
検人員が大巾に削減されている。−またホームがカ
ふえる職業病−その特徴と問題点、第4章健康
ーブし、車との間隔が大きい駅でも無人化してい
で働くために、の4章に分かれている。
る。労組.への弾圧・分裂工作に伴い安全衛生委員
B00K
会も開かれない。84年の車輌故障は80年の2.5
全林野「振動病認定者実態調査」、
倍だが、人員は3.4万人から2.9万人に減ってい
る。こうして安全無視の民営化が進んでいるが、
全山労「チェンソ一便用業務調査報告」
国民はもう一つその実態を知らない。ぜひよんで
前者は認定者3603人中3402人の調査で、し
ー20−
びれ72%、夜しびれる65%、からだのいたみも
BOO K
多く自ろうも40%まである。症状が「よくなった」
働くものの権利15章
は約10%で、60%は「変らない」、1/4以上
が「悪くなった」と言っている。80%以上が治
佐藤、自崎、前田 著
療を受けているが、受けていない半数は経過観察
学習の友社 1200円
権利はいまどうなっているか。しかし、権利は
中。治療法では薬物83%でもっとも多く、理学
療法69%。
たたかいによってしかかちえられない。いのちと
後者は民間労働者976人についての調査で、年
健康、労働時間、配転、出向、ME化についても
間チェソソ一便用は、150∼209日が35%、210
同じである。これらの問題の具体的なとりくみの
日以上27%。一日平均使用時間は3∼5時間41
課題を示す本である。231ページ。いのちと健
%、5時間以上30%で、2時間規制が守れないも
康の章には、職場点検の項目があり、とりざみの
のは89%。守る必要がある(80%)が出来高給
方向を示している。
だから守れない(52%)が多かった。振動病健診
B00K
の受診者は「毎年受ける」63%だが、「受けたこ
とがない」が12%。労組でもこうだから、未組
職 域 保 健 看 護
志岐 初子 訳
織ではもっとおくれていると考えられる。(労働
プレン久スレニー編 日本労務協会1500円
省調査と比較している)。
英国の産業保健専門家のレポートで、職場にお
前者は滋賀医大、後者は久留米大の協力分析に
ける保健婦が労働衛生スタッフとして何ができる
よる。
か、どうしたらよいか、労組や患者、活動家との
関係は?、どのようにして中立性が守れるか、な
どについてふれている。わが国の実情と合わせて
興味深い。訳者は大阪府職業病セソター勤務。
181ページ。
労働と健康No.79(隔月刊)
(会員に限り配布)
1987年2月1日発行
発行人 大阪労働者の生命と健康を守る実行委鼻会
〒554
住 所 大阪市此花区西九条4−8−17
TEL(06)461−6416
㊦振込番号 大阪 8巾69015
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