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1.市場の動向 金井 大悟
金井 大悟* 1 .市場の動向 ているが、定期便が乗り入れている空港は全米で わずか 558 ヶ所しかなく、さらに全定期便利用者 第 57 回 NBAA(全米ビジネス航空協会)コン の 70 %がわずか 30 空港に集中している。これ ベンションは、2004 年 10 月 12 日から前年に引 に対して、ビジネス機はこれらの混雑する空港を き続きフロリダ州オーランドで開催された。3 日 避け、目的地に近い滑走路しかないような小さな 間の入場者数は 31,000 人を越してほぼ 98 年のピ 空港を多用することによって、5,300 ヶ所もの飛 年までの総生産機数は 8,300 機、総額 14 兆円に ズはほぼノンストップで米大陸横断が可能な性能 ーク時に匹敵する規模となり、1,084 社の出展企 行場にアクセスしている。このことからも分かる 達すると見られ、昨年の予測よりもさらに 1 割 を持ち、中国やアジア域内の長距離ルートにも対 業、87 機の地上展示、75 のセッションと非常な ように、ビジネス航空は米国の日常的な経済活動 ほど上方修正されている。日本の航空製造産業規 応できる機種で、最も多くの需要がある激戦区で に不可欠なツールとなっている。さらに 9.11 以 模が約 1 兆円であることを考えるとその大きさ ある。それだけに機種も多く、リアジェット 60 コンベンションを控えた 8 月には 1 年足らず 後空港セキュリティが厳重になってハブ空港での が分かる。 やホーカー 800、ファルコン 50、ガルフストリ で辞任したシェリー・ロングミュアー女史に代わ 乗換えに時間がかかるため、エアラインによる移 ハネウェル社が図 1 の予測を作成する裏付け ーム G100、サイテーション X といった従来モデ り、NBAA プレジデント兼会長職がエド・ボーレ 動は効率、快適性ともに質が低下し、この状況が としているのは、現在ビジネス機を使用中の企業 ルに、チャレンジャー 300、サイテーション・ソ ン氏に引き継がれた。彼は機体、エンジン、アビ 一層ビジネス航空を発展させている。 1,000 社に対する今後 5 年間の機材更新・追加予 ブリン、ガルフストリーム G150 ・ G200、ホー 盛況振りであった 。 (1) 図1 ハネウェル社のビジネスジェット機需要予測 オニクス等を含む米国のゼネラルアビエーション 機体のマーケットを見ると、2001 年の 769 機 定の調査であるが、25 %近い企業が新造機によ カー・ホライゾンなどの新型機が加わり 10 年後 製造業界を代表する GAMA(全米ゼネラル航空 をピークに過去 2 年間前年割れを続けてきたビジ る更新・追加を計画しており、さらに中古機市場 には現在の 2.8 倍の年 280 機という市場になろ 製造者協会)会長を長らく勤め、その実績から今 ネスジェット機出荷機数も、図 1 のハネウェル も過去最高の需要が期待されている。地域的には う。 や会員数 7,600 社、会員が運航するビジネス機 社の予測が示すとおり上昇に転じた。そして、長 南米、欧州、アジア中東に対し北米の需要が伸び 9,500 機を擁する大きな組織となった NBAA の代 期的にも 2004 年は 550 機、2005 年は 650 機と ている。90 年代前半にスタートした FOP 市場は、 キャビン高さが 1.5 m以下で、立って歩けるサイ 表として、連邦政府レベルの活動を含め強いリー 伸びて、2008 年からは毎年 800 機前後のデリバ 2004 年現在 4,800 オーナーが 850 機を共同所有 ズのミディアム・クラス以上より小さく、ほぼ ダーシップが期待されている。 リーが継続して期待されるとしている。つまり しているが、毎年 10 %以上の順調な拡大が予想 1,000 万 US ドル以下の比較的購入費用がかから 2003 年末現在、全世界のタービンビジネス機 90 年代後半のブームにより、それまで年 300 機 され、2 年間後の 2007 年には 7,000 オーナーが ない機種として、FOP 用や近年急速に発達して (ジェットとターボプロップ機の合計)は、コー 以下であった需要が大幅に上昇し、さらに、今後 1,210 機を共同所有すると見られている。 きた FOP よりさらに簡便なブロックチャーター ポレートやフラクショナル及びチャーター用途を 毎年 550 機∼ 800 機という高水準で推移する安 図 1 のラージ以上の大型 3 クラスには、ガル 用途としてもニーズが大きく、最終的には年 200 合わせて、14,555 社が 23,121 機を使用しており、 定したビジネスジェット市場が 10 年間続くと期 フストリーム 300 ∼ 550、グローバル・エキスプ 機以上のミディアム・クラスに次ぐマーケットに その 72 %が北米に集中している。前述したよう 待されている レスおよび 5000、ファルコン 2000 ・ 900 ・ 7X、 なろう。サイテーション・ブラボー、アンコール、 ライト・ミディアムおよびライト・クラスは、 よう 。 (2) に、NBAA 会員が使用している機材はその中で過 この動向は米国と欧州の堅調な経済情勢に支え チャレンジャー 604 などが含まれるが、フォー エクセル、リアジェット 40 ・ 45、ホーカー 400 半数を占める位置にあり、会員企業の年間売り上 られたフラクショナル・オーナーシップ(共同所 チュン 500 に入るようなグローバル企業には大 と、このクラスは未だに米国ウイチタに生まれ育 げ合計は実に 5 兆ドルと米 GDP(国内総生産) 有方式、以下 FOP)の増加、機体メーカー各社が 西洋・太平洋横断も可能なビジネスツールとし ったビジネスジェット御三家の競合市場である。 の半分近くに達する。 次々発表する新型機、初年度に 50 %の償却を認 て、機内で顧客と会議や食事がゆっくりとできる 最も小型のベリー・ライト・クラスは、ピスト * 米国ではどこのハブ空港へ行っても常に混雑し めた米国の償却時限立法などにより後押しされて スペースが得られる機体として根強い需要があ ン機やターボプロップ機からビジネスジェット機 Kanai Daigo きた。メーカー各社はオプションを含めて平均 2 り、今後 10 年で年 200 機程度の市場となろう。 へグレード・アップするのに相応しい、セスナ NPO 法人 日本ビジネス航空協会理事 年分以上のバックオーダーを抱えており、2014 30 航空技術 No.600〔05-03〕 中型のミディアム・ラージとミディアム・サイ 2004 NBAA コンベンション・ダイジェスト CJ1 ・ CJ2 ・ムスタング、レイセオン・プレミア 31 サイテーション・ソブリン ファルコン 900(Dassault Aviation) 1、サイノスエリンジェン SJ30-2 等、以前はエン 体的な計画発表となった。 トリークラスと言われていた機種で、最終的には まず、ネバダ州リノに本拠を置くエイリオン社 年 145 機程度の需要になると見られる。これら からマッハ 1.6、12 席の機体の計画が発表された。 は最大離陸重量が 5,670kg 以下の N 類の機体も 既存のビジネス機メーカーが懐疑的な見方をして あり、オーナーパイロットとして 1 名での操縦 いるのに対して、同社は最大離陸重量 41 トン、 が可能なものもあるが、近年ウルトラ・ライト・ 航続距離 4,000NM(約 7,410km)以上、84 億円 クラスが生まれてきたため呼び方が変更された。 の機体を 2011 年に納入開始するとしており、非 ウルトラ・ライト・クラスは、まだ実際にデリ 常に野心的な計画である。既に F-104 に似た、低 バリーされた機種が無いのと、将来どの程度ビジ アスペクト比の主翼に使う超音速層流翼を NASA ネスジェットとして市場に受け入れられるのかが (米航空宇宙局)の F-18 で飛行テストし、コンピ 飛行が限定されてしまうと魅力は半減することに 不明なため、現在図 1 の統計には含まれていな ュターによる構造解析など開発の第 1 段階は終 なる。計画では大幅な空力的改善によって騒音を わっているとしており、来年夏まで高速及び低速 非常に低く抑え、マッハ 1.1 程度ではソニックブ 風洞試験を含む第 2 段階を実施して、最終的に ームを無くして、米大陸上空での超音速飛行禁止 「QSST(クワイエット SSBJ)」と名付けて、ソニ 製造開始するか否かを決定する(4)。 条項の解除を期待するとしている。そうなれば大 ックブームをコンコルドの 1 / 100 以下にまで 陸横断は現状より 1 時間半程度時間短縮が可能と 下げることを目標にしている。過去 3 年間の研究 いが、近年次々と新機種開発が発表された 。 (3) ベリーライトよりさらに小型のウルトラ・ライ ト・クラスは、エクリプス 500、アダム 700、ダ QSST(Quiet Super Sonic Transport)のイメージ(出所: SAI 社) に出て来たものでないことが分かる。 エイリオン社と同様、SSBJ 実現のポイントは 騒音とソニックブームの低減にあるとしており、 イヤモンド D ジェット、アボセット・プロジェ このベンチャーの実現性を伺わせるのが 4 人 ット等があるが、セスナ・ムスタングのみは 260 の主要メンバーである。まず、会長は 1 兆円規 なり、大西洋横断はマッハ 1.5 で 4 時間 15 分、 によりそのカギとなる逆 V 字テールの特許を取 万 US ドルといわれる機体価格から、ベリーライ 模の投資会社を経営するボブ・バス氏が務める。 運航費も現状の大型ビジネス機よりかなり低いレ 得済で、現在 60 %スケールモデルに進むための トジェットとして図 1 の統計に入れられている。 副会長はセスナ社、リアジェット社、ギャラクシ ベルを目指し、仮に亜音速で飛んでも現状程度の リスク・シェアリング・パートナーを求めてい 将来的には全体で 8,000 機という膨大な潜在需要 ーエアロスペース社で、いずれもトップ・マネジ 運航費に抑える計画である。 る。問題は 3,000 億円以上と予測される開発費で があると考えられているが、オーナーパイロット メントとして多くのビジネスジェット機を開発し もう一方の SSBJ 計画は SAI 社から発表され ある。同社の市場調査によればコンコルドの運航 だけでなく、コーポレートやエアタクシー用途な てきたブライアン・バレンツ氏。社長に相当する た。マッハ 1.8、12 席の機体で、4,000NM(約 が中止されたため、より短時間のフライトに対す どにもどんどん使われるようになれば、ビジネス チーフ・オペレーティング・オフィサーは、ボー 7,410km)以上の航続距離を持ち、2012 年の証明 るビジネスマンのニーズは依然として強く、もし ジェットの新しいカテゴリーとして認められるで イング社で長年高速旅客機などの先端技術開発に 取得を狙うとしている。SAI 社を率いるのは、 低騒音で適切な運航費の機体を実現できれば、現 あろう。 携わってきたマイク・ヘンダーソン氏。そして技 1978 年当時のグラマン社からビジネス機部門を 在の倍近い機体価格でも 300 ∼ 400 機の需要が 術担当ディレクターをドクター、リチャード・ト 買収してガルフストリーム社を創設したアレン・ 見込めるとしている。さらに FOP 業者もこのよ 2 .超音速ビジネスジェット レーシー氏が務める。トレーシー博士は 70 年代 ポールソン氏の息子マイク・ポールソン氏であ うな機材を要望しており、既にこれら 2 社の計画 に旧リアジェット社で現在のチャレンジャー 604 る。彼によれば、アレン氏は 90 年代からロッキ の詳細を検討中である。現在、コンコルドに代わ 今回の NBAA で最も華やかなトピックスとい の原型を開発した高速流体力学専門の研究者で、 ード・マーチン社にソニックブームの無い SSBJ る定期航空用の超音速機開発計画は無いが、本来 えば、会場で 2 つの計画が発表された SSBJ(超 今回その研究成果の適用によって大幅な抵抗減少 の研究を依頼しており、さらにその後、ポール氏 時間を金で買っているともいえるビジネス機が、 音速ビジネスジェット)であろう。これまでにも を図り性能実現のカギとなる超音速層流翼の特許 の盟友でビジネス航空界にあって常に速い機体を その存在価値を最も発揮する機体として、近い将 ガルフストリーム社やロシアのスホーイ社などか を持っている。 好んできたクレイ・レーシー氏にコンサルタント 来 SSBJ が実現するかもしれない。 ら度々構想が発表されては来たものの、いずれも 現在、FAA(米連邦航空局)は米大陸上空の超 を依頼して来たということで、残念ながらアレン ペーパープランの範囲であったが、今回はより具 音速商業飛行を禁止しており、海上だけに超音速 氏は 2000 年に亡くなったが、こちらの計画も急 32 航空技術 No.600〔05-03〕 2004 NBAA コンベンション・ダイジェスト 33 サイテーション・ムスタング(出所: Cessna Aircraft) D-ジェット(出所: Diamond Aircraft) 3 .ウルトラ・ライト・ジェット エクリプス 500(出所: Eclipse Aviation) HF118 エンジン(出所: Honda) してもオーナーパイロットが主要な顧客層となる 摩擦攪拌溶接(写真: Eclipse Aviation) 摩擦攪拌溶接(写真: Eclipse Aviation) 受けたエクリプス 500 は、2006 年 3 月の証明取 日当り 4 機のデリバリーが可能な製造施設を準 得見込みなど、ラバーン社長自ら NBAA2004 会 備中である。具体的には、最初の 12 ヶ月間は 場で開発状況について詳細な説明を行い、多くの 260 機、次の 12 ヶ月間は 880 機の生産レートと 質問に答えていた。まず、試作機 3 機の製造は 当初計画よりも加速され、これによって今後オー 65 社のサプライヤーの協力で順調に進んでおり、 ダーした場合の引渡しが 7 ヶ月程度早くなると 強度および疲労試験用に別に 2 機が作られて している。 20,000 サイクル 20 年の設計目標を実証する。さ その中核となる技術がリベットを使わない革新 らにベータテスト機が 2 機加わり実際の運航条 的なフリクション・スター・ウェルディング(摩 件で年 1,000 サイクルのシミュレート試験が実施 擦攪拌溶接)で、既に主翼は富士重工業で、胴体 いか される。膨大な受注数に対して如何に低コストで はエクリプス社で製造ラインの準備が進められて 最短の製造サイクルタイムを達成できるかが勝負 いる。より軽量な構造が期待できる複合材を使わ であり、既にニューメキシコ州アルバカーキに 1 ずに従来のアルミ構造としたのも、複合材構造に ため大口の受注を得るのが難しく、各計画の開発 か 旅客機改造型を除き、最も大型且つ高価なビジ 状況は資金難や技術的理由から必ずしも全てが順 ネスジェットの 2 倍近い 8,000 万 US ドルの 調に進んでいるわけではない。型式証明取得スケ SSBJ の次は、逆にこれまで最小であったベリ ジュールはアダム 700 が 2006 年、プロジェット ー・ライト・クラスの半値以下をターゲットとす と D ジェットが 2007 年と、サイテーション・ム る 100 万 US ドルクラスのウルトラ・ライト・ジ スタングとエクリプス 500 を除いて、それぞれ 1 ェットの話題である。機体の大きさも価格も対照 年から 2 年遅れる見込みである。 的であるが、従来の概念を打ち破る革新的な機体 2003 年の NBAA ではこのウルトラ・ライト・ を最新の技術を使って実現しようという計画であ ジェット市場に、米国ホンダの HondaJet と富士 り、ビジネス航空の世界に全く新しいカテゴリー 重工業のエクリプス 500 主翼製造計画が発表さ をもたらす点では共通性がある。 れた。ホンダ福井社長は NBAA2004 会場で、ゼ ウルトラ・ライト・ジェットの構想は 2001 年 ネラル・エレクトリック(GE)社と合弁の GE に NASA(米航空宇宙局)が発表した 21 世紀の ホンダ・エアロ・エンジンズの設立と、HondaJet 高度情報社会に要求される移動速度、利便性、安 に搭載した HF118 の改良型を、ウルトラライト 全性を兼備した新航空交通計画 Small Aircraft 及びベリーライトジェット市場用に開発すると発 Transportation System (SATS)が源流となってい 表した。HondaJet 改良型による機体市場への投入 。SATS 計画はただ単にこれまでより小型の は将来の検討課題とし、まず、エンジンで国内自 ジェット機を作るという単純なものではなく、機 動車会社初の製造事業としてのビジネス航空界参 体システム、エンジンそしてアビオニクスと全て 入となった(6)。 る (5) にわたって技術的な飛躍が求められるのと、どう 34 Eclipse500 (撮影:著者) 一方、最も多くの 2,126 機という膨大な注文を 航空技術 No.600〔05-03〕 2004 NBAA コンベンション・ダイジェスト 35 タワー型自動部品供給システム(写真: Eclipse Aviation) エクリプス組立工程(写真: Eclipse Aviation) 不可欠なオートクレーブによる長時間の加熱成型 ロットルや、チェックリスト機能とヘルスモニタ が不要なためである。 リング機能を内蔵する FMS を標準装備にしたり、 部品点数をこれまでの半分以下にするという努力 主要装備をデュアル(2 重仕様)としたり、贅沢 や、75 機分の部品を供給できるタワー型の自動部 とも思える最新装備でパイロットのワークロード 品供給システムにより、組立ラインの作業者が必要 を減らしている。従来は総重量が 5,670kg 以下の な時に必要な部品を最短時間で自分のセルで入手で N 類にはパイロット 1 名での操縦が認められる きるなど、とにかく製造コスト低減と製造時間短縮 ため、装備も最小限に絞って機体価格を抑えると を徹底して追及している 。 いうのが一般的な考え方であった。しかし、エク (7) Eclipse500 のコクピット (撮影:著者) 機体スペックは数字で見る限りそれほど欲張っ リプス 500 では逆に高速での長距離飛行に不慣れ た目標ではないが、万一、達成出来なかった時に なオーナーパイロット、や十分な地上施設の無い 対する出張サービスのような顧客サポートも検討 予約金の返却に応じる保証性能として以下の 4 点 小さな空港へのアプローチにも、現在求められる されている。 を掲げており、旅客機以外の契約条件としては良 最高レベルのフライト利便性と安全性を提供する さて、2,000 機を越すオーダーの多くはオーナ 心的である。保証性能に失速速度が入っているの という思想が現れている。オプション装備品も内 ーパイロットからのものと言われており、ターボ も機体の性格を表していると言えよう(8)。 装だけでなく、衝突防止装置や地表接近警報装置 プロップ機やピストン機からの乗り換え需要が多 等多くのアビオニクスの他、連邦航空法 Part135 いと予測されるため、そのようなジェット機の操 ・最大巡航速度 375Kt(694.5km /h) のより厳しいチャーター事業の運航基準に合致す 縦に不慣れなパイロットに対する訓練も十分に考 ・失速速度 67Kt(124km /h) る装備も予定されている。 えられている。まず、最小限自家用、計器飛行、 ・航続距離(4 人搭乗時)1,280NM(2,370km) 整備性・信頼性の向上にも配慮されており、最 多発のレーティングが求められるが、実機を使っ 初からボーイング 777 レベルのディスパッチ・リ た操縦チェックを必ず受けることを義務付け、も 驚くのは下記に示す標準装備品である。 ライアビリティー(出発信頼性)や年間 2,000 時 し必要と認められれば、機体購入価格に含まれる ■計器飛行装備とサイド・スティック操縦桿 間の運航にも耐える機体とするため、最新の 1 週間の通常コースの他に追加飛行訓練を受ける るようになっており、開発目標・製造方法・装備・ ■ 3 個の電子式統合表示ディスプレイ(EFIS) MSG-3(Maintenance Steering Group)基準の整備 ことになる。この訓練にはエアロボドコイ L-39 販売・訓練どこをとっても 21 世紀のビジネス機と ■オートパイロット及びオートスロットル 方式を採用する。各機体システムも、ブレーキ以 を使った異常姿勢からの回復操作も含まれてい して相応しいフレッシュな内容である。 外の油圧系統をなくす、エンジンを機体に取り付 る。通常のコースはユナイテッド航空のフライト けたままでホットセクション検査(HSI)を可能 トレーニングセンターでシミュレーターによって ・搭載重量 2,250Lbs(1,020kg) ■フライト・マネージメント・システム(FMS) ■カラー気象レーダー ■デュアル VHF NAV および COMM ■デュアル ILS にする、リギングは自動調整方式とする、自己診 実施されるが、必要ならば操縦教官が同乗する飛 ■デュアル・モード S トランスポンダー 断データのダウンロードを可能とする、ブラッシ 行訓練も可能となっており、どのようなパイロッ ■デュアル全地球測位システム(GPS) レス・モーターや電子式サーキット・ブレーカー トにも本人の技量と経験にマッチした最良の訓練 ■デュアル姿勢方位基準システム(AHRS) を採用する等数々の新技術が採用されている。カ を用意するとしている(9)。 ■デュアル・ピトー・スタティック・システム スタマーサポートは全米 7 ヶ所のサービスセンタ 最後に、機体の購入方法であるが、エクリプス社 ーを中心に行われるが、サポート専門の担当者に のラバーン社長がマイクロソフト社など IT 産業で これらの装備は、このクラスの機体としては例 よる技術サポート窓口や故障時の緊急部品対応 活躍してきたことを裏付けるように、1,175 千 US を見ない程充実した内容であり、特にオート・ス (AOG)が準備される他、パソコンのトラブルに ドルの機体がインターネットにより簡単に注文でき ■ 1,000ft 垂直間隔(RVSM)対応証明 36 航空技術 No.600〔05-03〕 2004 NBAA コンベンション・ダイジェスト 最大離陸重量 2,558kg のエクリプス 500(写真: Eclipse Aviation) 参考資料 (1)http://www.nbaa.org./ (2)Honeywell 2004 Business Aviation Outlook (3)「航空技術」誌 2004 年 3 月号 P33 (4)NBAA コンベンションニュース 2004-10-12 P133 (5)http://Sats.nasa.gov./ (6)NBAA コンベンションニュース 2004-10-13 P1 (7)Professional Pilot 誌 2004 年 10 月号 P140 (8)http://Eclipseaviation.com (9)Flight International 誌 2004 年 11 月 23 日 号 P28 (10) 「NPO法人 日本ビジネス航空協会」 http://www.jbaa.org 37