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URUSHI SOIL METAL

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URUSHI SOIL METAL
SOIL
陶芸
URUSHI
漆芸
METAL
金工
TOHOKU UNIVERSIT Y OF ART & DESIGN
DEPART MENT OF FINE ARTS: CRAF TS
東北芸術工科大学芸術学部美術科工芸コース
SOIL
長い年月をかけて幾重にも積もり、地球の歴史を見せる地層面。陶芸で用いる土や上薬、地中深く眠る金属、地表で育つ樹木とその樹液など、工芸の素材は大地から生まれている。
陶芸
土、火、創、伝、想、活の交響楽…。桜の花を見るこ
とで春を実 感できるように、本 物の素 材を知ることで地
球を感じる。いにしえの縄文の地といわれる山形で、地
球の郷愁を感じて成熟してゆく。人とひと、自然、社会
の調和の中で生まれてくる「やきもの」は、人や自然に
対する感謝を意味し、人を大きく育んでいきます。そん
な尺度で陶芸を体感してみませんか。土と戯れ、じっく
りと素材との対話に夢中になりながら創作する時間。炎
の音に耳を傾け、ドキドキしながら味わう窯のスリル。
自由な空気の中、様々な出会いと経 験からものづくりを
実践し、自身の感性をしなやかに鍛えていきます。
S y mphon y
山形の大地で豊かな創造性を育み
工芸素材と遊ぶ本物の時間。
工芸から学ぶことは、測り知れなくおもしろいことばかり。それは人生を楽しくし、
夢や浪 漫、想いやメッセージを込めて素材からかたちを生み出すコミュニケー
ションです。
人、自然、社会の調和の中で生まれてくる素敵な創造の産物。太古の昔から日
本人になじみ深い「漆芸」、ジュエリーや武器として人と関わってきた「金工」、
非常勤講師の小川待子さんの作品のアップ。土を素材とする陶芸だが、表現方法によってはまるで海に佇む洞窟のような表情を生み出すこともできる。
土と火から信仰の神秘を生み出してきた「陶芸」など、工芸は人類の歴史と共
に常に身近にあり、文化を育み、生活を支えてきました。本来、温もりある心の
通った「ものづくり」が、人としての豊かさを支えてきたのです。
工芸コースでは、素材を思う存分 探究できる充実した施設やアトリエスペース
を拠点に、学生たちが自由に創作活動をしています。山形では恒例イベントの
「夏のライティングオブジェクト展」など、ユニークで多種多様な創作に挑戦し
ていきます。
創りたい衝 動やそれぞれの美への追求 心は、純 粋で永 遠なるもの。山形の冴
えわたる空気の中で、素材と向き合い、ドキドキしながら創作のスリルを味わう。
本質の声に耳を傾け、技と知恵、感覚を磨きあげながら、実践を通じて自身を
大きく成長させていきましょう。
2
3
工房風景に溶け込む、土と火による創作の破片。新たな想いを伝える表現となるべく、素材として活かされていく。
水谷真人「急須」
綿貫彩「Lam(b)p」 陶土、木材
桒原央佳「灯」 陶土、磁土、木材
4
星野友里「いつか いつも きょうも」
根本裕子「イムヌス〈王の隊列はすすみ〉
」
5
SOIL
ロクロに向かい合い、土と対話し、自己を表現する創作の時。感性と技術を高めていく時間が静かに流れる。
SOIL
芸術学部美術科工芸コース陶芸専攻
陶芸
土、火、創、伝、想、活の交響楽…。桜の花を見ることで春を実感できるように、本物の素材を知ることで地球を感じる。いにしえの縄文の地といわれる山形で、地球の郷愁を感じて成熟してゆく。人とひと、自然、
ABOUT SOIL
社会の調和の中で生まれてくる「やきも」のは、人や自然に対する感謝を意味し、人を大きく育んでいきます。そんな尺度で陶芸を体感してみませんか。土と戯れ、じっくりと素材との対話に夢中になりながら創作
する時間。炎の音に耳を傾け、ドキドキしながら味わう窯のスリル。自由な空気の中、様々な出会いと経験からものづくりを実践し、自身の感性をしなやかに鍛えていきます。
想 E x per iment
活 En joy
土+火 M y ster ious
創=伝 succeed
陶芸素材をいかに美味しく料理するか。感性や個性
ものづくりにとって、大 切なことの一つは心が通い
やきものにとって師は土であり、火です。その大地の
様々な意味を持って生み出さる創造力は、どこまで
を大事にしながら素材と造形の可能性を試行錯誤し
合うこと。
「もの」はコミュニケーションの手段として、
不思議な魔力は、無限の可能性があり神秘的ですら
も広がっていきます。突然舞いこんでくる閃きや感動、
ひらめ
ながら模索する過程は、完成度を高め、新たな発想
私たちに潤いを与えてくれます。その役割は測り知
あります。時に我がままで可愛らしく、繊細でいなが
喜び、もどかしさ。その刺激を受けた瞬間、創作の
や独創的な作品へと導いてくれます。自分の「想い」
れません。数々の陶芸作品は、人類の営みにおけ
ら大胆で力強い性格ですが、素直でもある土を知る
衝動は止まらなくなるでしょう。想いを土に託して創
を原点に真理を探し、それぞれの「美のかたち」を自
る環 境や時代の証となって文化を支えてきました。
ことは、人として優しくなり、個々の成長を促してくれ
ることは簡単ではありません。そして作品は手を離れ
由に研究・実験できる時間と空間が、工芸コースには
今も生活空間において、陶磁器 素材の造形表 現
るでしょう。火は縄文以来 12000 年も長く人々と共に
息づき、魂と技は未来へと続いていきます。過去を
準備されています。高い理想を追求する情熱は、未
は安らぎや感動、パワーを与えてくれます。生きる
し、そのエネルギーは奇跡のような感動を与え、宇
知り、伝えることは私たちの使命であり、創作活動に
知の高い芸術性を生み出します。
「こだわり」と努力
楽しみ方を学び、やきものを通じて人の心を支える
宙の謎を実感させてくれます。土と火の関係が生む
おいても意味があること。創造力は先人の美しい軌
を通じて、技術や知識、感覚を磨き上げていきましょう。
クリエーターを目指しましょう。
「本物」との貴重な出会いは、
尊く美しいものなのです。
跡をたどり、夢描くことで真の進化を遂げていきます。
CAMPUS LIFE
一塊になっていた土は、ロクロを回すことで均一なフォルムに成形され、手になじむ器へと姿を変える。
作品コミュニケーション
Feel one’s w a y
工房 Pot ter y room
夢のひととき
St ud y
土に触れた瞬間、戸惑いや懐かしさ、
器に花を生けること、料 理を盛り付け
工房には、自分の思い描くイメージを
演 習の中には、現 在 活 躍されている
陶芸素材を扱うということは、数多くの
期待が生まれると同時に、土との長い
ること。それは日常の中に何気なく存在
実 現させるための設 備が 充 実。ガス
多くの陶芸 作 家の特 別講 義が 用意さ
実 験 が 必 要です。演 習を通して、そ
対話が始まります。陶芸基礎技術、造
することですが、陶芸素 材から生み出
の経 験を積み上げることは、それぞれ
された作品は、実際に人が使い出すこ
窯 や 灯 油 窯、電 気 窯 など、合 計 13
れています。経 験 豊かな話は、刺 激
形、デザインや楽焼・野焼などの体験
個の窯が自由に使用できます。大学院
的で沢山の発 見があり、硬くなった頭
の大きな生きる力になります。さらに、
授業まで素材を知る幅広いカリキュラ
の瞬間からがはじまりです。作品と空間
生から学 部 生まで共 有の作 業スペー
を柔らかくしてくれるでしょう。
「出 会
陶芸原料 研究や陶磁史などの専門知
ムが組み込まれています。土の持つ表
に人が加わることで、会話が生まれる。
スの中で、学年を超えたコミュニケー
い」の中でそれぞれの生き方を学ぶこ
識も学修することで、自由に想い描け、
情を知り、多くの経 験を通して自分の
この時、作ることの意味を深く感じるこ
ションを取りながら、作品に向き合っ
とは、自分の可能性を広げる第一歩で
魅 力ある陶芸作品を生み出せることで
可能性を探し出していきます。
とができるでしょう。
ていきます。
もあります。
しょう。
WORK SPACE
達成感は、言葉にできないくらいのものがあります
「初めて粘土を触った瞬間に、手に伝わるしっとり
土から伝わる温度と質感。
①
6
とした質感とか温度を感じて“自分に合っている”
ね」
。大 谷さんの作品の多くは、石膏で作った型
と思いました」という大谷さんが、素材としての土
に、粘土と水を混ぜ 合わせ泥のような状 態にした
に出会ったのは大学 1 年次です。
「授業で陶芸を
泥 漿でレース模様を描くようにして成型し、釉薬で
やった時に、土が気になって仕方がなかったんで
小穴を埋めるようにして作られています。光を透し
す。休日も学校に出向いて土の様子を見たりして。
て文様が浮きあがる蛍 手と呼ばれる技法をベース
でい しょう
ほたる で
他の素材に触れた時にはそこまで気持ちが向かな
にしていて、その仕上がりはガラスのような透明感
かったので、陶芸なら自分の表現を一生懸命に打
と繊細さを湛えています。
「自分の作品で好きな所
ち込めると思いました」と語る大谷さん。高校時代
は、空気を含んだ柔らかな感じがある所。もっと透
にはテキスタイルに惹かれていましたが、本当に自
明感を出して、光を表現したいですね。これからは
分に合った素材を見つけるために、全ての専攻を
技法をさらに研究して、今の作品を進歩させてい
経験できる工芸コースに入学を決めました。
「土の
きたいです。繊 細な作品に見えますが強度はある
魅力は、誰でも形が造りやすく何でも表現できる所
ので、大きな物を作ることも可能になるんじゃない
大谷祐里枝
にあります。ただ、土は形を作ってから焼き上がり
かと思っています」
。長い間、暗い地中に育まれ眠っ
芸術学部美術科工芸コース陶芸専攻4年/山形県立酒田東高等学校出身
まで全て自分の思い通りにはいかなくて、つき合い
ていた粘土を優しく掘り起こし、光に変えていく陶
方が難しいです。それだけに作品が完成した時の
芸を自分の表現として、高みを目指しています。
②
③
④
①
②
③
④
ON THE DESK ①成型する際に使用する鉋やへらは様々な大きさや形のものがあるが、作品に応じて適したものを選ぶ。②大谷さんの作品には欠かせ
PROCESS OF SOIL ①大谷さんが好んで使うのは、ホワイトブルーという酸化焼成でも白く焼き上がる粘土。②石膏で作った型に、泥 漿を描き入れて
ない、液状の泥漿を型に描き入れる際に用いるスポイト。③粘土を成型する時に使用するロクロ。④ 3 年次に参加した企画展「ライティングオブジェクト」
いく。釉薬をかけた後、乾ききる前に少しずつ石膏から剥がしていく。③ 1280℃の電気釜で焼成する。火が直接あたると作品が歪んでしまうこともあるの
に出品した作品。
『ギャザリング』と名付けられた鉢状のオブジェは、幾重にも重ねた陶器の隙間から光が漏れる、幻想的な雰囲気を醸し出している。
で注意が必要。④どこかノスタルジックな、優しく女性的な印象を与える大谷さんの作品。白く輝くレースのような模様が美しい。
7
URUSHI
漆芸
漆の木からわずかしか取れない「樹液」。この漆は、日
本では食器や家具などに施され、一度乾燥すれば熱や
腐食、衝撃にも強い物質へと変化し、5000 年以上も保
つと言われています。現代でも、ジュエリーやオブジェ、
インテリアに利用されたり、異種素材と組み合わせなが
ら表 現の領域を広げる漆。そんな漆の魅 力を引き出せ
るよう、伝統的な基 礎 技 法を学びながら、現 代の漆芸
表現に挑戦していきます。また視野を広げるために、研
修 旅 行や漆 器 産地の見学、また実際に漆 液の採 取な
ども行います。いつの時代でも愛され、日本を代表する
工芸とも言える漆芸の魅力を追求していきましょう。
漆の木から採れる樹液は、ほんのわずか。この貴重な天然塗料が漆芸作品を創る素材となる。
品質や用途に応じて精製された漆。他の塗料では表現できない、独特の潤沢な質感はここから生まれる。
8
芸工大の裏山、八森地区に自生している漆から樹液を採取。
「漆掻き」の作業は初夏から 10 月にかけての早朝に行なう。
9
高宮瑠花「tsubu」
今野要「Honey come」 漆、木材、アクリル板、真鍮
10
小野寺奈南「this side, the other side −ふたつの ひとつの 世界」
菊池麦彦「LURE BAG」
11
漆芸に注がれてきた先人たちの静かな情熱と伝統の技法を受け継ぎながら、新たな文化を育んでいく。
URUSHI
芸術学部美術科工芸コース漆芸専攻
ABOUT URUSHI
樹:縄文の時代から
塗:酸やアルカリに耐える
漆は今から 7000 ∼ 8000 年前の縄文時代から使
漆は技法や技術、制作工程等の違いにより、様々
き うるし
研:ミクロの世界
付:素材の融合
黒や赤の漆を塗って様々な作品を創りますがその
漆は歴史的に多くの素材との関わりを持っています。
われています。陶器や木 材の表面に漆を塗り、耐
な種 類があります。漆の樹から採 取される生 漆と
久性を増し、水漏れ等を防ぐ役割と接着の効果を
名が付いたものが基本ですが、精製と呼ばれる様々
です。塗りや 研ぎなど多くの工 程がありますが、
地が無くてはなりません。木材、紙、革、陶磁器、
持っていました。また、その上から様々な文様を描
な工程を経て、多彩な漆を制作します。漆は硬化
金属、プラスチックなど、どんな素材にも漆は塗る
き、自然との対話や人間の精神の表現など生活を
すると、強い酸やアルカリにも侵されない堅牢な性
約 40 回、漆を塗って、ようやく1 ミリ。多くの作
品を手がけるうちに、漆の塗厚を薄く、厚く塗ると
事ができ、それによって多種多様な作品が生み出
潤す働きもありました。現在、私達が使う漆は、そ
質があります。木 材や布に漆が塗られた出土品が
いう、ミクロン単 位の違いを感 覚で塗り分けられ
されます。また、表 面の加飾には蒔絵と呼ばれる
の縄文の人たちが 使ったものと同じ、漆の木から
多く見られますが、何千年経っても漆を塗られた部
るようになります。普 段ではあまり意識しない、目
技 法があり、金、銀 粉 等の金 属材料のほか螺 鈿
分は丈夫に残っています。天然で安全な塗料とし
に見えない世界を感性と感覚で把握する! これも
(貝)
、象牙、卵殻、和紙など多くの素材と融合し
て漆は古くから使われているのです。
漆の世界です。
採取される歴史ある天然の素材です。
一回の漆の塗 厚はなんと 30 ミクロン(0.03mm)
TOOLS & MATERIALS
うるし は
け
まき
漆 刷毛
漆が塗料という性質上、それを表 現するための素
ら
でん
ながら作品を彩ってゆきます。
CAMPUS LIFE
え
ふで
蒔絵 筆
うるし か
金・銀粉や貝
漆 掻き
木工ろくろ
九世 泉 清吉(重要 無 形 文 化 財 保 持
蒔絵 筆には猫とネズミの毛が良く使わ
金粉などを蒔いて絵を描く蒔絵、様々
「漆 掻き」とは漆の木から漆液を採 取
漆芸は基礎技術としての下地や塗りを
者 )が 作る漆 刷毛は、女 性の黒髪を
れます。日頃は猫に追いかけられている
な貝を使って模様をつくる螺鈿、どちら
する事をいいます。2009 年は芸 工 大
学ぶほか、様々な素材表現としての素
材 料としています。それも日本 女 性の
弱いネズミですが、蒔絵 筆となると猫
も漆を塗った上に行なう技法です。蒔
の裏山の、八森地区に自生している漆
地作りを行います。木工や布で素地を
物が一番だということです。鉛 筆の様
よりネズミの方が 10 倍 以上の価 格に
絵では併用される螺鈿以外にも、金属
制 作する乾 漆、金 属に塗る金 胎、陶
なり、立 場が 逆 転してしまいます。非
板や鳥の卵殻など様々な素材を使い、
の木を漆掻きしました。朝 5:30 に集合
時は又切出して使うことが出来ます。自
常に繊 細な筆なので精 緻な蒔絵の作
その素材の色や輝きで表現します。絵
分の髪の毛でも作ってもらえ、一層道
業には欠かせません。穂先の長さを調
の具で描くのとは違った魅力があります。
具への愛着も湧くでしょう。
節できるのも特長です。
な構造をしているので、使えなくなった
し、6 月から 10 月まで 4 日おきに漆 掻
磁 器に塗る陶胎など技 術、技 法は多
きを行い、漆 掻き職人 達の仕 事の大
種多様です。それらの技術を駆使して、
変さと貴重な漆の採取を体験しました。
自分の作品として表現する奥の深い専
攻が漆芸なのです。
WORK SPACE
古くから日本人に愛されてきた漆は世界中にファン
ントしているそうです。
「母や祖母がとても喜んでく
を増やし、伝統の技法に新しい感性を吹き込みな
れます。実際に使うことができて、使えば使うほど艶
がら進化しています。工芸コースで漆に出会った五
が出るので贈り物にも適していると思います」
。漆芸
月女さんも、その担い手の一人。
「漆というと伝統工
には 30 から 40 の工程が必要で、塗りと研ぎを何
度も繰り返し、完成には 1 ヶ月以上を要するといい
芸品のイメージが強いですが、ピアスなどのアクセ
サリーや鉛筆など、身近なものに取り入れることもで
漆の質感と上品な艶が、たまらなく好きです。
芸術学部美術科工芸コース漆芸専攻 3 年/栃木県立小山西高等学校出身
②
③
④
が出来上がります。五月女さんは「私は私の作品を
すよ。携帯電話やパソコンの塗装に使うこともでき
好きでいたいので、妥協せずに作っていくことをモッ
ます。
」と、漆の特長を語る五月女さん。漆芸を選
トーにしているんです」と、長い工程に飽きる事なく
んだのは、専門的に学べる大学が日本には 5 つ程
作品に対する真摯な姿勢を見せました。本 堅 地とい
ほん かた
じ
から ぬり
しかないという珍しさからでしたが、今は漆の質感
う下地作り、唐塗、ななこ塗、錦塗など様々な表現
の良さに取り憑かれ独自の創作活動に励んでいます。
ができる変り塗や、金粉や銀粉を蒔いて文様を描く
蒔絵など、漆芸で学んだこと全てが好きだという五
品な艶。たまらなく好きですね」という五月女さんは、
月女さん。脈々と受け継がれてきた技法を礎に新し
出来上がった作品を地元栃木にいる家族へプレゼ
い漆芸の世界へと踏み出しています。
①
ON THE DESK ①滑らかに漆を塗るための刷毛。一つひとつが職人の手作りによるもので、毛の部分には人毛が使われている。切り出して長く使用す
12
作業を行なうことで、滑らかな光沢と趣きある漆器
チック、何にでも塗れる、とても優れた素材なんで
「漆の魅力は、なんといってもツルッとした質感と上
五月女晴佳
①
ます。何回も漆をこし、筆を洗い、塗って磨くという
きます。水や酸に強く丈夫で、金属、陶器、プラス
②
③
④
PROCESS OF URUSHI ①本堅地では下地となる木に布を貼り、粘土を焼いた瓦などを粉末にした地の粉、切り粉を平につけて下地を平滑にしていく。
ることができる。②金粉などを蒔く蒔絵用粉筒、蒔絵筆、粉を寄せる払い毛棒、金粉、銀粉。③布等を貼る時や、糊と漆を混ぜる時に使用するへら。④
②何度も研ぎながら、下塗り、中塗り、上塗りと工程を重ねていく。塗る際には、専用の部屋を使用し埃が入らないように細心の注意を払う。③漆を美し
企画展「ライティングオブジェクト」に出品した、ほおずきをモチーフにした作品。葉脈を象った鉄に漆を塗り、実の部分に明かりが灯るライトになっている。
く仕上げるためにしっかりと研ぐ。この作業は塗りと併せて十数回も繰り返す。④光沢がでるまで磨いて仕上げた変塗りの漆器。五月女さん 2 年次の作品。
13
METAL
金工
手を動かすことは脳を動かすこと。すべての創造力の源
泉はヒトが手を動かしてモノをつくることから始まりまし
た。やがて人間は金 属という素 材を手に入れ、生活文
化のあらゆるジャンルにわたって幅広い創造を行ってき
ました。金工ではそうした長い伝統に基づく彫金、鍛金、
鋳 金という技 法 分 野の課 題を 3 年次のカリキュラムに
すべて組み入れています。その中で学んだ様々な知識
や技 術を個々の自由な発 想に基づく造 形に展開し、現
代の人々の生活に豊かな感 性と喜びをもたらす新たな
創造を目指しています。
加熱され赤く光り柔らかくなった鉄塊は、ハンマーを打ち下ろす度に形を変える。工房には金工のダイナミックな魅力が溢れている。
作品一つひとつにヤスリをかけ、形状を整え滑らかに仕上げていく彫金は、繊細な技術が要求される。
14
15
金属は固い素材だが、加熱することで成形や接合を行なう。バーナーの炎と人の技術が、金属をアート作品へと変える。
齋藤孝造「潜水」
牧野広大「日を生ける」
16
鈴木祥太「凛」
17
鳥飼恵理子「叫び」 鉄、銅、七宝
繊細な金工技法である彫金。それぞれの作業スペースには、微細な技術を施すための道具が並んでいる。
METAL
芸術学部美術科工芸コース金工専攻
ABOUT METAL
創 うみだす
輪 つながり
想像 力と創造 力は芸 術の根 本をなす人間の能力
人間は社会的な存在であり、周囲から独立した存
です。頭に浮かんだイメージを自らの力で具体 化
在ではありません。社会の中での自分の居 場 所、
し表 現することは、未 知なる自分を発 見すること。
自分自身の役割を見いだすことは、学生として学
そして、それは生命の根幹に潜む自然の波長とシ
ぶ上での大きな課題であり目標になります。自分の
ンクロし、人々と共感するためのことにもつながりま
行いが 社会の中の多くの人に共感と歓びをもたら
す。多種の分野に渡るカリキュラムを通じて、皆さ
素材 マテリアル
暮 うるおい
鉱物から金属を精錬する技術を人間が得たことは、
工 芸の魅 力は用の美にあるといわれます。古来、
画期的なことでした。自然界には無い金 属の持つ
人は身の周りの物に深い思い入れでデザインや装
さん ぜん
燦 然とした輝きは、人々を魅了し、特別な物として
飾を施してきました。美しく心地よく身の周りを彩り
祭具や装身具など、様々に形作られてきました。固
たいという欲求は、人間の本性に根ざすものでしょ
い金属を造形することは、難しいことに思われがち
う。ものに溢れる現代の暮らしの中で、本当に丁寧
す。自分の感性で生み出した作品を社会に発表し
ですが、適切な道具や機械と、多少の技術があれ
に愛着を持って使われる物がどのくらいあるでしょ
んの内面に潜む、大いなる可能性を実現するため
ていく「ものづくり」の最大の喜びは、
ここにあります。
ば自在に扱える素材。事実、コースの多くの学生は、
うか。大量生産にはないオリジナルなメッセージを
の能力が身に付いていくでしょう。探し当てるべき
金工では工芸という仕事を通じて社会に貢献出来
鉱脈は、自らの内にあるのです。
る実力を養成することを目指しています。
入学後にはじめて金属造形に触れるのです。強さ
CURRICULUM
彫金、ジュエリー
現代、彫金とはタガネという道具を使っ
ぞう がん
て金属に彫りや透かし、象 嵌(※)といっ
持つ手 作りの工芸品は、人の暮らしの潤いとなり
としなやかなイメージは、
表現の魅力に満ちています。
精神的豊かさをもたらすものになります。
CAMPUS LIFE
鍛金
たん きん
ちゅうきん
鋳 金、七宝
学外 研修
鍛金とは、一枚の平らな金属を金槌で
溶解した金属を鋳型に流して成形する
毎 年 研 修 旅 行を計 画しています。地
叩くことで 3 次元の立体にする技 法で
技法を鋳金と云います。板加工では難
域の地場産業や作家、職人の工房を
ティーを開きます。自身で叩き上げた鍋
イベント
2 年 次には銅なべを制 作し、鍋 パー
た加飾を行なうことから、ジュエリー制
すが、さらに溶 接の技 術も加わり、造
しい複 雑な形の再 現が可能な技 法で
見学することで、普 段は見られないプ
で実際に料理をし、使い勝手などを体
作までも含む繊細な金工技法の総称と
形としての可能 性に満ちた技 法。銅、
す。色彩の少ない金属素材にガラスの
ロの世界を垣間見たり、美術館やギャ
感することでより理解を深めます。学期
なっています。美は細部に宿るとはよく
アルミ、鉄、ステンレス等の素材を使
釉薬を焼き付け、鮮やかな色彩を加え
ラリーを巡ります。時に課 題のための
末などの打ち上げやスポーツ大会など
いわれるフレーズですが、金属の繊細
用して、個性に応じた自由な創作を通
るのが七宝 技 法。金 属の幅広い技 法
スケッチ旅 行を行なうなど、学内に留
も、学年を超えてつながりを持てる催
で豊かな表情を引き出す技術と感性を、
じて造形の根本を学びます。
の基礎を学び、個々に応用力を身に付
まらず視野を広げるための体験の機会
しとして、楽しく学ぶコースの雰囲気を
ける指導を心掛けています。
も豊富です。
盛り上げています。
彫金の技法を通して学びます。
WORK SPACE
一枚の金属板を叩き、溶接し、金属を素材とした立体の造形表現を行なう鍛金室。金槌の音が創造の産声となって響く。
18
金で作っています。ドアノブを開くと、無垢のまま
の素材に彫った、雲と海と城、太陽を表 現した赤
加工しづらい素材のように思えます。しかし、1 年
い石が見えるようになっています。ドアが開くように
次に出会った様々な素材の中で、迷いなく金工を
ヒンジを作るのにはとても苦労しましたが、こういう
選んだ小林さんは全く違った感覚を持っています。
仕掛けのあるものを作るのが本当に好きなんです」
「自分にとっては、触っていて一番扱いやすいのが
と、小林さんは細密な作業を振り返りながらも金属
金 属です。自分が“作りたい!”と思った時に、そ
で作る楽しさを感じています。
「普段、安全ピンや
れを表現できる素材としての強さと幅があるのが金
扉のヒンジなど、一つひとつの仕組みがどうなって
属の魅力ですね。熱を加えれば形は変化しますし、
いるかまでは考えませんよね。それを“これ、どうし
大きな物も小さな物も作ることができます。素材そ
たらできるかな?”と考えて、ひとつの金 属から形
れぞれの独特な色味や光沢も好きですが、薬品に
にしていくのは面白いです」という小林さん。この
ブローチも、板材から針金のように細いパイプ、ピ
ひとつの金属から、全てを作りだすことができます。
浸して色をつけることもできて、それもまた楽しいで
すね」
。高校時代に、和装小物である根 付の世界
ン止め部分まで全て金属の塊から生まれています。
小林聡介
に触れて工芸を志したという小林さん。今までの作
小林さんは、今まで培った技 術を活かして細かな
品の中には、そんな細やかな世界を感じさせる小さ
ギミックを凝らした玩具やジュエリーの制作をして
なブローチもありました。
「この作品は、銀と銅の合
いきたい、とさらなる創作意欲を燃やしています。
芸術学部美術科工芸コース金工専攻 3 年/山形県立山形南高等学校出身
①
銅、
銀、真鍮、錫。私たちが触れる多くの金属は固く、
人間の手の力だけでは形を変えることができない、
②
③
④
①
②
③
④
ON THE DESK ①ヤスリやタガネなど、彫金の細密な作業に必要な道具の数々。②使いやすい糸のこぎりやハンドドリル。③小林さんが 1 年次に作り
PROCESS OF METAL ①素材となる銀。バーナーで熱し、加工しやすいように銅と合わせてのべ板状の塊にする。②細かいパーツも全て銀から作り出
金工の専攻を決めたという、銅と真鍮でできたトランク。中は時計になっている。リベットの古い味わいが小林さんのお気に入り。④ 2 年次に出された鍛
す。ヒンジ部分に使用したパイプを作るために、バーナーで熱して柔らかくなった銀をひき、少しずつ目的の太さに近づけていく。③扉にヤスリをかけ、表
金の課題で制作した作品。スズメバチをモチーフにしており、頭、腹、羽、足が可動する。頑丈な鉄の質感がスズメバチのフォルムにマッチ。
面を滑らかにしていく。④扉を取り付けてブローチの完成。パイプを接合する時に、地金ごと熱で溶けてしまうこともあるので注意が必要。
※象嵌:地の素材を彫って、その部分に他の材料をはめこんで模様を表すこと。
19
MESSAGES
教授陣と卒業生からのメッセージ
小林伸好
小林泰彦
金子透
水上修
小林秀幹
佐々木理一
小川待子
安藤泉
泉清吉
漆造形家/教授
彫刻家/教授
金工家/准教授
漆芸家/准教授
鍛金家/講師
陶芸家/講師
陶芸家/客員教授
鍛金彫刻家/非常勤講師
漆刷毛/非常勤講師
漆 芸は複 雑な作 業の 連 続
大学で工芸を学んだ後、や
大学では彫金の技法をもと
作品では蒔絵や併用される
鍛金という金槌で金属の板
その時に作りたいものに、素
20 代の 3 年半を西アフリカ
私は、銅板を叩いたり溶接
漆芸に欠かせない道具の一
で作品が完成されます。漆
や 畑 違いの 金 属 彫 刻の 仕
に暮らしの器やジュエリー、
螺鈿、平文などの加飾の仕
をたたいて形をつくる技 法
直に行動する。作風には頓
で生活した経験が創作の源
したりして卓 上のオブジェ
つ、漆 刷毛を製作していま
芸の多くの技術や技法を習
事を続けてきましたが、創
オブジェ等の制作指導して
事を中心に制作しています。
を用い、自由な発 想を原点
着しない。食 器から一点モ
と思います。土、水、大地
から、大きなものは 6m の
す。機 械では出来ない、日
得するのはもちろんですが
作の根底には一貫して学生
います。工芸は身近な生活
漆芸は学ばなければならな
に、勢い溢れる野外彫刻の
ノの大型作品、建築物、環
と人間の関係、死者が生者
キリンや、背中まで 4m 以
本人に脈々と続いてきた手
「漆」という素材をより良く
時 代に身に 付けた 基 礎 技
を豊かに楽しくする芸 術で
いことが 非常に多く大変で
作品から生活を潤わす繊細
境まで、作りたいものを楽し
と連続した世界に在る事に
上 あるインド 象を造 って、
仕事に大きな魅力を感じて
知り、使いこなせるように
術があります。大学では
「指
す。自分の手から生まれる
すが、素材・技法・知識な
な作品まで幅広く制作した
んで作る。
「出来るかも!」と
よる安らぎ。自分とは何かを
街角や公園に設置してきま
エンジニアから漆刷毛師に
する事が何よりも大切です。
輪から機関車まで」と言わ
かたちや、得られる経験は、
どの基 本が 身に着くとその
いと考えています。完成前
考えることが生み出す力にな
真摯に探求して生きる事の
した。丈夫な金属を使い自
なりました。350 年 続いて
れるくらい応 用範囲の広い
想像以上にこれからの社会
先には幅 広い 表 現 の 可 能
の時間が 一番 楽しくてわく
り、
「努力」にも繋がる。毎
なかで、作品は生まれ表現
分の手で「夢」を形に出来
きた伝統工芸の世界をお見
金属造形の基本を学びます。
が求める物となるでしょう。
性が広がります。
わくします。
日を「楽しい」と感じられる。
されていくのだと思います。
る時、充実感があります。
せしたいと思います。
西川雅典
桂盛仁
川合純司
川原龍美
築地久弥
椎名勇
東海林晴美
田口義明
手島敦
彫金家
(人間国宝)
/非常勤講師
鍛造家/非常勤講師
陶芸家/非常勤講師
漆芸家/非常勤講師
陶芸家/非常勤講師
陶芸家/非常勤講師
漆芸家/非常勤講師
陶芸家/非常勤講師
漆芸家/非常勤講師
父祖から伝承された彫金は
生活のあらゆる分野で不可
私は磁土を使い、白く、優
日本人が 漆を使い始めたの
陶 芸 講 座では主に 食 器 の
白地に藍色の文様の描かれ
私は日本 伝 統 工 芸 展に 漆
素材から始まり美を追求す
布を漆で固めて自由な立体
室町時代に刀装具として最
欠な「鉄」を、用途の中に
しく、柔らかく、そして日々
は縄文時代。その頃から土
課 題を担当しています。陶
たやきもの「 染 付 」
。釉に
芸 作 品を出 品しています。
る工 芸を選 択した時 点で、
造 形が 制作できる「 乾 漆 」
も発 展し、鎖国により日本
デザイン性を合わせ持つモ
の彩りをと想い制作してい
器や木の器や道具に塗られ、
磁素材の特性を理解し器と
滲む藍に魅せられ、自然の
漆は黒と朱などの塗膜の美
ある種の不自由さを強いら
の 手 法で 器 や 造 形 作 品を
独自の技術、素材が生み出
ノにする一つの技法が、私
ます。本学では基本的なろ
生活の中に溶け込んでいま
料理、器と空間、器と人と
メッセージを器に込め製作
しさと共に、金・銀・貝な
れることになる。同時に作
制 作してい ます。 授 業 で
されてきた。伝統彫金で作
が長い間追求し続けている
くろの指導をしています。こ
した。私の仕事は器にいろ
の関係がどんなときに心地
しています。巾の広い工芸
ど様々な素材を接着する特
品制作の大部分に自分が関
は和紙などでマチエールを
られた作品は海外で特に評
「 鍛 鉄=たんてつ」いわば
れから学んでゆく人には自
いろな種類の漆を美しく塗
よいのか学生と一緒に考え
の素材を楽しみ、感動する
徴があります。この素晴ら
わることの権利を得ることを
つくり、その上に金 属 粉を
価が高く世界に誇れる長い
「 炎と槌 音のなせる技 」で
分 の 未 来 予 想 図を描きな
るのが仕事です。漆の基本
ていきます。時には旬の料
心と情熱を持って新たな工
しい漆の魅力を将来有望な
意味する。陶磁器で云えば、
蒔いたり、彩色を行ったり、
歴史を持っている大切な文
す。昔からの技法と新しい
がら持っている力を磨いて
となる塗りを大学でお教え
理を盛り付けた器を囲んで
芸の世界を探す若い人たち
若い皆様に伝えたいと思っ
素地土や釉薬により、無限
自分だけの漆の表現を探っ
化と技術である。
技法を融合して作ります。
いって欲しいです。
しています。
盛り上がったりします。
にエ―ル送ります。
ております。
の彩とかたちを自由に出来る。
てもらいます。
竹内克己
橋本昌彦
長谷川奈津
冨士原文隆
古瀬静子
増田尚紀
山瀬年史
横倉晋也
吉田宏信
陶芸家/非常勤講師
陶芸家/非常勤講師
漆芸家/非常勤講師
七宝作家/非常勤講師
鋳金家・デザイナー/非常勤講師
ジュエリー作家/非常勤講師
鋳金家/非常勤講師
木工芸家/非常勤講師
漆芸家/特別講師
粘土を指で押すと押された
ロクロ成 形による器 づくり
同心円で制作する木工品の
大学での実技の勉強は、初
大 学では 鋳 物 技 術 の 基 礎
五感を研ぎ澄まして物言わ
私の専門は、
「鋳金」です。
指物、刳物、挽き物と、ひ
時には自分の“野生の脳み
形に変化して戻らない。可
を主とする。粉引を中心に、
殆んどが木工轆轤で制作さ
歩的な有線(主に銀線)七
を学び、素材を活かした作
ぬ金属や宝石から色やかた
制 作は、デッサンから始ま
と通り何でもやる木工芸作
そ”にダイビングして、シー
塑 性というその特 質により
灰 釉 鉄 釉などの 天 然 灰を
れている。機 械はとても簡
宝です。 独 特 の 色 彩 豊か
品を制作します。日本に伝
ち、動きや表 情などを語ら
り、原形を創り、鋳型を造り、
家 です。 工 芸 演 習 2 の 木
ラカンスでも養 殖してみよ
あらゆる造形が 可能だ。自
もとに原料の特色や土味を
単な構造であるが、生み出
な釉薬を用いて彩色します。
わる鋳物の伝統技法を学び、
い、炎や道具を自在に操る
合金、鋳造し、仕上げを重
工 指 物 実 習 A を担 当しま
う。気の抜けた日常に、不
分の手で自分だけの形を創
生かすことを心がけている。
される形状はバット、ドンブ
皆さんの若々しい無限の発
新しい感 性で 21 世 紀の工
技術を身につけて、美や思
ね、作品となります。基 本
す。鋸と鉋を使って、木の
可思議な気配を発見するの
る。土に 触 れ、土に 慣れ、
自分を表 現することの難し
リ、ワイングラス等 複 雑な
想力と古来より脈々と引き
芸を創造し、誇れる文化を
いをジュエリーの中に表 現
を大 切にし、一つひとつの
箱を二 個作ります。自分の
は楽しい。
土を知り、さらに指先の 修
さと楽しさを、焼き物を通し
ものまで対応できる。漆や
継がれてきた日本の技術を
構築しましょう!
することを学びます。是 非
工程を丁寧に積み重ねる事
手の意外な面を発見したり、
練でより成熟した創造を楽
て共感できたらと思う。
木工に興味がある方は是非
融合し世界に発 信してみま
大学で創造する喜びを体験
が、作品の奥深さにつなが
木という素材が少し身近に
体験してほしい。
せんか!
してほしいと思います。
ると信じています。
なったりします。
しむことができる。
ⓒ 2006 二馬力・GNDHDDT
佐藤大寿+サトウアカネ
石橋浩樹
西川洋一
矢萩誉大
陶芸家(樹ノ音工房)
細工職人(株式会社ミキモト装身具)
美術部背景スタッフ(株式会社スタジオジブリ)
大学院芸術文化専攻工芸領域 2 年
1995 年度美術科工芸コース卒業
1998 年度美術科工芸コース卒業
2003 年度美術科工芸コース卒業
2008 年度美術科工芸コース卒業
芸工大一期生として卒業した後、古くから陶芸が盛んな会津本郷で陶
日本を代表するジュエリーブランド「ミキモト」で、手細工の高級宝飾
芸工房をスタートした 2 人。工房はご夫婦である 2 人の名前から一字ず
品『逸品』の制作を手がける石橋さん。伝統あるメーカーだけにプレッ
「毎日がとても楽しいです。絵を描くことが職業になってる。それだけで、
う矢萩さん。大学院では、さらに実験的な意識で陶芸に取り組んでいま
シャーはあるものの、得られる充実感はその分とても大きいと言います。
すばらしいと感じています」と語ります。工芸コース出身なので「ジャン
す。
「ひび割れや歪みなど素材が自然に作っていく形を、技法を使って
つとって「樹ノ音工房」と名付け、町の人がほっと一息つけるようにと
スタジオジブリで、アニメーション作品の背景を担当している西川さんは、
大学で陶芸を学び、素材である土が見せる様々な表情に魅せられたとい
「yuinoba」というギャラリーカフェも経営しています。
「大学時代は毎日
「感性と技術が要求される奥深い仕事です。最高の素材を扱うことがで
ルが全然違うね、とよく言われるんですが、僕はきれいなものや美しい
サポートしていくのが僕のやり方。卒業制作では日常的な器型から離れ
遅い時間まで、制作に打ち込んでいました。先輩がいなかったからとにか
きる、良い環境で働けることを感謝しています」
。そして、大学でたくさ
ものは全部つながっていると思うんです。だから、大学の時に学んだこ
「学生
て、素材感と自分を表現していきたいです」と、意欲を語ります。
く試行錯誤で大変でしたけど、とても自由な雰囲気で同期の友人や先生
んの友人と出会えたことも、現在の糧になっています。
「大学で出会っ
とだけに限らず、小さい頃からやってきた美術や音楽も全部役に立って
という立場だからこそ、いろいろ教えてくれる人の助けが得られます。大
と、遊んで学んで楽しかったですね」という佐藤さん。2 人は伝統工芸師
た人はみんな個性があって刺激的。価値観や考え方の違う、いろんな
いると思います」と話し、自分がやりたいこと、好きなことを思い切り楽
学生になったら、それを最大限に利用していった方がいいと思いますね。
にも認定されていて、伝統を受け継ぐために陶芸教室も開催しています。
人と出会えたからこそ、今の自分の感覚があると思っています」
。
しんでほしい、とエールを送っています。
僕も学生のうちに多くのことを吸収していきたいです」
。
お問い合わせ:東北芸術工科大学入試課 山形市上桜田 3-4-5 Tel: 0120-27-8160 Fax: 0120-57-2154 E-mail:[email protected]
表紙:薮崎香織「戯 」
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