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元田稔の教会建築における設計手法とその特徴

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元田稔の教会建築における設計手法とその特徴
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元田稔の教会建築における設計手法とその特徴
川島, 洋一
基督教学 = Studium Christianitatis, 39: 26-30
2004-06-25
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/46676
Right
Type
article
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39_26-30.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
研究発表要旨
元田稔の教会建築における
設計手法とその特徴
に教会建築に関与した 一棟を表一にまとめた。対象と
した教会の臼本における教派では、元田所属の聖公会が
七教会、他は日本基督教団︵以下教団略︶三教会、日本
福音ルーテル教会︵以下ルーテル教会略︶一教会で、そ
の全てがプロテスタント教会︵新教︶でありカトリック
教会︵旧教﹀の事例はない。[建築年代] 事務所開設後
計手法について考察することが昌的である。本稿では現
〇年代に関与した教会建築の設計活動に注厨し、その設
キリスト教信者で建築家でもあった元田稔が同二〇∼四
本操車は大正から昭和六二年まで建築活動を展開した
はじめに
七年に大規模増改築された聖公会三光教会ファサードの
七棟の設計を実施し、現存する作品での最後の棟は同四
の教会を設計し落成している。岡三四年∼岡三八年には
築で現在の教会建築が完成した。華年には平行して三棟
工事での会堂が最初の作品で、同三二年の二期工事増改
は改修等の作品がみられ、同二九年聖公会仙台教会一期
から三三〇年代に関与した教会建築がほとんどで、以降
存が確認され、また廃案になった巳本聖公会︵以廃案下
設計である。[建築規模構造] RC造による教会建築は、
川 島 洋 一
聖公会略︶薪潟聖パウロ教会を含めて一一一棟を対象とし
戦災で残ったRC造外壁躯体を用いた聖公会八王子教会
一26一
り
二重全体での設計手法とその特徴について考察した。
作品を含め五棟に導入し、他は木造外壁モルタルでの教
あっても陸屋根の事例は見られず小屋は木造、鉄骨を用
会建築であった。屋根形態は全てが切妻屋根でRC造で
[キリスト教所属教派] 太平洋戦争後、元田は仙台で
いている。また延床面積では、大規模としての一〇〇坪
ウ田稔設計の教会建築
の公職から離れ昭和二七年設計事務所を開設し、具体的
一.
公会七教会に設置され教団等では見られない。建物全体
た。また祭壇と信徒席を区切るコンミニオンレールは聖
ある正面に祭壇講壇を配置した長方形単廊式の採用であっ
教会は全てが新教であり、礼拝室平面形は新教の典型で
面形] 教派により礼拝形態が異なるが、元田が設計した
八○坪の建物を設計している。[礼拝形態と建物外壁平
を置き十字架を付設した形態。また正面全体を上昇させ
置無しは木造棟だけで他は独立塔あるいは屋根上に高富
建設年代毎に図一でまとめたが、その特徴としては塔設
作品でもその傾向が強い。対象とした=棟の正面形を
す為に外観正面形態を重視されてきた歴史があり、元田
化的な影響を与えてきた。従って教会の存在を明確に示
キリスト教はB本では異教社会であり、宗教性より文
二.二.外部空間での手法と特徴
でのラテンクロス平面形は前認の残存躯体使用の八王子
る演出では規模によって左右されるが、水平ではなく尖
以上が四棟でRC造を採用し、他は中小規模の三〇∼
教会を含め四棟であり、他は全て長方形平面であった。
田の作品でも礼拝室形態に種々なデザインが随所にみら
教会建築では礼拝室空間の演出が最も重要であり、元
二.一.内部空間での手法と特徴
二.教会建築の設計手法とその特徴
きる。
残されている点からも、元田の塔に固執する手法が推察で
も地面から一〇数メートルにも及ぶ独立塔のデザイン案が
昇手法が顕著に現れ、三光教会二期工事でのエスキスに
廃案である聖公会新潟教会計画案︵図二︶でも、塔上
塔的切妻屋根によって成されている点も特徴と言える。
れるが、その特徴としては礼拝室天井を可能な限り上昇
の上昇性を表現し、木造小規模作晶でも方杖等の斜材を
はなく切妻屋根とし、屋根裏全体天井とし左右から棟へ
戦後の復興期、日本社会では戦勝國のキリスト教ブi
三.一.戦後復興期における教会建築
三。︻九五〇年代の教会建築と元田稔の設計姿勢
させる手法である。すなわちRC造にも水平な陸屋根で
小屋組に用いて上昇姓を演出していた。
一27一
案を合わせ五〇数棟の教会建築設計に携わったわけであ
た作品は無い。こうした時代的背景の中で実施案、計画
教会建築設計の需要も急激に少なく元田が関与し完成し
去り積極的な伝遵活動から逆に教会運営が囲難になり、
に教会建築設計に関与した。しかしそれ以降、ブームは
元田はこの需要に対応するように一九五〇∼六〇年代
木造建築では対癒できず競って規模拡大が急がれた。
ムによって多くの人々が教会に通い、戦前からの小規模
戦後復興期での日本における教会建築の近代化として
しての存在となった。
戦勝圏の文化を直接的に導入したステイタスシンボルと
高さを強調した教会建築は、教会所在の明確化と同時に
築はまだ見られず低層木造建築が主であった時代であり、
こだわったと言える。また元田が関与した時代は高層建
伝統的古典的手法の再現化を試み、建物全体の上昇性に
日本人クリスチャンとしての証として、まず西欧文化の
西洋建築の古典にもどると醤う元田の手法は、臼本人信
この上昇性については、残されていた元田のメモ書き
部空間の上昇性を強調するデザインであると言える。
してきたが、これらの作品で共通する設計手法は内・外
教会建築一二棟について概要と設計手法について考察
三.二.元田稔追憶にみる教会建築の設計手法
教会建築での設計活動を、輿らのキリスト教伝道活動と
らば、より具体的にキリスト教精神を表現できるとして
公会初代司教父作之進の生き方に影響されたと考えるな
また元田稔はキリスト教精神の布教者として生きた聖
きる。
り、単なる主徴の西洋教会建築の模倣ではないと評価で
る。
﹁ロマネスクの近代化﹂﹁ゴシックの近代化﹂から推察す
したいと言う生き方を選んだのではないだろうか。
徒として自らの伝道姿勢から生み出されたデザインであ
ると、西欧での古典的な様式を襲撃の近代建築として教
会建築の基本としたと考えられる。すなわち戦前までの
ミッション、宣教師指導型での教会建築設計ではなく、
一28一
おわりに
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数年間に渡って元田稔の教会建築での設計手法を明ら
︵1︶本稿は北海道基督教学会基督教学︵第三〇・三一、
三二
(図1)元田設計11棟の教会建築ファサード
∼三五︶で発表した研究の継続である。
一29一
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かにしてきたが、本稿では元田が関与した教会建築での
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共通した設計手法について考察した。今後は保存されて
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いた元田の旧東京帝大建築学科でのノートから、教会建
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築について学んだ内容と実施された設計手法との関係に
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増築総穿数 53.33坪
荻窪教会
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工事費約300万
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昭和33年計画案
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(図2)廃案聖公会新潟聖パウロ教会の立面形
(表1)死田設計教会建築ll棟の概要
日 本 聖 公 会
日 本 藷 督 教 ・ 榴費ルーテル.
墾アンデし アグネス 璽マル鷹 璽ペテロ ヨ光教会 復活教会 荻窪敵会高井芦教会 .城教会 構台教会1
教 会 名 称 仙台塞蕾
E
i現教会所 在
仙台市
横浜市
1初 期’教 派
聖公会
盤公会
.伝 道 關 始
M26
M27
M38
M13
M18
M38
2FW
融 会 棚 立
初期会裳 策年
1
光田継+
規模構造
1.F煉瓦
建築年
s29
S32
2FRC
数会建築 増改築年
規槙構造
蟷球函贋埋,
怖7坪
厨椴型
切妻.
S32
東野大森
,聖公会
M44
TO4
丁{3
1FW
府中市
二宮市 引
京蔀白血 八時三子市 東京都薮麗 東東都高井卿 いわき市
聖公会
璽公会
盤公会
鎚公会
日 蕊
日 蕊
日 趣 禰蛮ルサル
M44
M41
M41
SO2
1FRC
S38
SO5
SO8
SO8
M3㍗1
1FW
M24
M32
M26
1FW
S32
S36
M棉
M32
M37
1FW
昭和初期
Tm.
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SO4
TO1
TO1
1FW
2FW
S34
一一一
S32
S37
S41
H7地震崩壌
1ドRC
2FVV
1FW
鷹FW
38坪
嘩FW・2FRC
切婁
122坪
切嚢
外壁仕上
モルタル .モルタル
外壁平瞬形
ラテンクロ
ラテンクロス
73坪
49坪
S36
S47
S串5
切饗
切妻
切蟹
モルタル
モルタル
モルタル
畏方形
畏方形
長方形
有り
有り
有り
一一一
1FRb
一 一
2FW
一一一
2FRC
M38
T14
仙台市』
S32
S32
S32
1Fw
1FVV
$38
後塔撤去
S37
1FW
一一一
切嚢
切嚢
切簸
切婁
可FW
38坤、
切嚢・i
モルタル
モルタル
モルタル
モルタル
モルタル
モルタル.
ラテンクα
ラ予ンクロス
畏方形
長方形
方形
r層
有り
無し
無し
葉28坪
61坤
81坪
242坪幼
53坪
ヌ方形
コンミニオ
有り
有り
“一
一30一
宥り
無し
無し;
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