...

研究ユニット - 東京工業大学 科学技術創成研究院 (IIR)

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

研究ユニット - 東京工業大学 科学技術創成研究院 (IIR)
科学技術創成研究院
Institute of Innovative Research
未来産業技術研究所
フロンティア材料研究所
化学生命科研究所
先導原子力研究所
先進エネルギー国際研究センター
社会情報流通基盤研究センター
細胞制御工学研究ユニット
グローバル水素エネルギー研究ユニット
ビッグデータ数理科学研究ユニット
スマート創薬研究ユニット
ハイブリッドマテリアル研究ユニット
バイオインタフェース研究ユニット
超集積材料研究ユニット
革新固体触媒研究ユニット
原子燃料サイクル研究ユニット
クリーン環境研究ユニット
国 立大学法人
目 次
■ ごあいさつ
■ 沿革
……………………………………………………………………………………………………………………………………………
1
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
2
■ ミッションと組織構成
■ 研究所
………………………………………………………………………………………………………………………
3
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………
4
● 未来産業技術研究所
● フロンティア材料研究所
● 化学生命科学研究所
● 先導原子力研究所
■ 研究センター
……………………………………………………………………………………………………………………………………
12
● 先進エネルギー国際研究センター
● 社会情報流通基盤研究センター
■ 研究ユニット ……………………………………………………………………………………………………………………………………… 14
● 細胞制御工学研究ユニット
● グローバル水素エネルギー研究ユニット
● ビッグデータ数理科学研究ユニット
● スマート創薬研究ユニット
● ハイブリッドマテリアル研究ユニット
● バイオインタフェース研究ユニット
● 超集積材料研究ユニット
● 革新固体触媒研究ユニット
● 原子燃料サイクル研究ユニット
● クリーン環境研究ユニット
■ 共同利用研究施設としての活動
……………………………………………………………………………………………
19
■ 教育への貢献 …………………………………………………………………………………………………………………………………… 20
■ 研究者数
……………………………………………………………………………………………………………………………………………
■ 交通アクセス
……………………………………………………………………………………………………………………………………
20
21
ごあいさつ
平成28年4月1日、科学技術創成研究院の創設を以て
院長に就任致しました益一哉です。就任にあたり、本学
の研究力をもち社会の発展に貢献を果したいと新たな
気持ちで望んでおります。どうぞ宜しくお願い致します。
科学技術創成研究院は、本学の研究改革の目標である
革新的科学技術を先導し、真のイノベーション創出を具
現化する組織です。
21世紀の科学技術の進展は、私たちを取り巻く経済、
究に期待していると思えてなりません。
社会を大きく変革しました。今日、世界中どこでも情報、
このような大きな変革に対し、本学の科学技術創成研
人、組織、経済要因等が瞬時に結びつき新たな価値を
究院は、優れた内外の知を連携させる研究の相乗効果
生み出す情報通信技術が進化し、ライフスタイルを変
を念頭に、基盤技術から応用技術に至る科学技術創成
え、新たな市場経済を展開していることは、多くの方が
を果たす組織として、社会の課題解決と将来の産業発
実感していることでしょう。情報通信技術をより身近に
展に大きく貢献していきたいと考えております。
実装することを可能にしたのは、
材料、
化学、
エネルギー、
社会基盤を形作る資源、化学物質、エネルギー、機
機械等の基盤科学技術であり、生命科学や人工知能の
械等の技術から、人の生活、経済活動に多大な価値を
ような人の生活やそのあり方へも影響を与える要素技
提供する生命科学、情報科学に至るまで、価値連鎖を
術も重要な科学技術です。より高度に世界規模で変革
ダイナミックに組み合わせて新たな価値を創成する活
が進もうとする現代、あらゆる科学技術が、その進展を
動に邁進する所存です。
担う重要な役割を担っていることを理解するほどに、社
より一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
会がさまざまな最先端の科学技術を創成する本学の研
東京工業大学
科学技術創成研究院 院長
教授 益 一哉
1
沿革
科学技術創成研究院は、昭和9年に創設された附置研究所をその起源とし、80余年の歴史を経て、
平成28年に研究所、研究センター、研究ユニットの統合により設立されました。
平成28年
統合研究院を廃止し、資源化学研究所、精密工学研究所、応用セラミックス研究所、原子炉工学研究所、フロンティア研究機構、ソリューション研究機
構、像情報工学研究所、量子ナノエレクトロニクス研究センターを統合して科学技術創成研究院を設置(元素戦略研究センターは科学技術創成研究院
外の組織として存続)
平成24年
元素戦略研究センターを設置、統合研究院の構成組織となる
平成22年
2
精密工学研究所附属マイクロシステム研究センターを廃止し、同附属フォトニクス集積システム研究センターを設置
原子炉工学研究所に附属原子力国際共同研究センターを設置
フロンティア研究センターを発展的に改組したフロンティア機構、
(旧)ソリューション研究機構を発展的に改組した(新)ソリューション研究機構を研究
施設として設置
大学院理工学研究科附属像情報工学研究施設を廃止し、研究施設として像情報工学研究所を設置
(旧)統合研究院を廃止し、附置研究所及び研究施設を構成組織とする(新)統合研究院を設置
平成20年
精密工学研究所に附属セキュアデバイス研究センターを設置
平成19年
フロンティア創造共同研究センター、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、インキュベーションセンター、総合研究館の4施設を統合し、フロンティア研究
センターに設置
平成18年
応用セラミックス研究所附属構造デザイン研究センターを廃止し、同附属セキュアマテリアル研究センターを設置
平成17年
統合研究院を設置、傘下にソリューション研究機構等を設置
平成16年
量子効果エレクトロニクス研究センターを廃止し、量子ナノエレクトロニクス研究センターを設置
平成12年
像情報工学研究施設を工学部附属施設から大学院理工学研究科附属施設へ移行
精密工学研究所に附属マイクロシステム研究センター設置
平成10年
フロンティア創造共同研究センター設置
平成8年
工業材料研究所を改組し、応用セラミックス研究所附置
工業材料研究所附属セラミックス研究センターを改組し、応用セラミック研究所附属構造デザイン研究センター設置
平成6年
量子効果エレクトロニクス研究センター及び生物実験センター設置
昭和63年
工業材料研究所附属新素材セラミックス実験施設を廃止し、同附属セラミックス研究センター設置
昭和59年
工業材料研究所附属新素材セラミック実験施設設置
工業材料研究所附属水熱合成材料実験施設廃止
昭和51年
工業材料研究所に附属水熱合成材料実験施設設置
昭和49年
資源化学研究所に附属資源循環研究施設設置
工学部附属印写工学研究施設を同附属像情報工学研究施設と改称
昭和39年
原子炉研究施設を廃止し、原子炉工学研究所附置
印刷技術研究施設を印写工学研究施設と改称
昭和33年
建築材料研究所及び窯業研究所を統合し、工業材料研究所附置
昭和31年
理工学部に原子炉研究施設設置
昭和29年
建築材料研究所、資源化学研究所、精密機械研究所、窯業研究所、電気科学研究所及び燃料科学研究所を建築材料研究所、資源化学研究所、精密
工学研究所及び窯業研究所に整備し、学部に印刷技術研究施設設置
昭和24年
旧制東京工業大学、同附属予備部及び同附属高等工業教員養成所は新制に包括し、建築材料研究所、資源化学研究所、精密機械研究所、窯業研究
所、電気科学研究所及び燃料科学研究所附置
昭和21年
電子工学研究所を電気科学研究所と改称
昭和19年
燃料科学研究所附置
電子工学研究所附置
昭和18年
窯業研究所附置
昭和14年
精密機械研究所附置
資源化学研究所附
昭和9年
建築材料研究所附置
ミッションと組織構成
ミッション:
科学技術創成研究院は、教員が研究に専念できる環境を整備し、その能力を最大限に引き出すこと、および、学内外、国内外の
機関との活発な連携と人事交流で組織を超えた柔軟な研究グループの構築を可能にし、成果の社会実装を推進できる仕組みを提
供することで、知の結集を図り、革新的な科学技術を開拓し、新たな研究領域の創出と人類社会の課題解決、将来の産業基盤の
育成を強く意識した世界トップレベルの研究成果創出を使命とします。
組織構成:
科学技術創成研究院は4つの附置研究所、及び時限付きの研究センター(現在2センター)
、研究ユニット(現在10ユニット)か
ら構成されます。これらの研究組織が研究院の下で一体となることで、国内外の異分野研究交流のハブとして機能することを目
指しています。
科学技術創成研究院(IIR)
● 未来産業技術研究所(FIRST)
研究所
● フロンティア材料研究所(MSL)
● 化学生命科学研究所(CLS)
● 先導原子力研究所(LANE)
研究センター
● 先進エネルギー国際研究センター
● 社会情報流通基盤研究センター
● 細胞制御工学研究ユニット
● グローバル水素エネルギー研究ユニット
● ビッグデータ数理科学研究ユニット
● スマート創薬研究ユニット
研究ユニット
● ハイブリッドマテリアル研究ユニット
● バイオインタフェース研究ユニット
● 超集積材料研究ユニット
● 革新固体触媒研究ユニット
● 原子燃料サイクル研究ユニット
● クリーン環境研究ユニット
3
研究所
未 来 産 業技術研究所
機械工学、電気電子工学、金属工学、情報工学、環境工学、防災工学、社会科学、化学工学、物理工学等の異分野融合により、その時代に
適応する新たな産業技術を創成し、豊かな未来社会の実現に貢献する。理工学研究分野を中心に工業社会学、経済学、法学等、人文社会学
分野をも含めた異分野融合研究を展開すると共に、
「豊かな未来社会の実現に貢献する新たな産業技術を創成する科学技術研究」を研究対象
領域とする。
生体医歯工学共同研究拠点
東京工業大学未来産業技術研究所、東京医科歯科大学生体材料工学研究所、
広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所、静岡大学電子工学研究所に
より構成された「生体医歯工学」を研究対象とする異分野連携ネットワーク
形研究拠点であり、各研究所の強みをそれぞれの大学全体の機能強化に活用
すると共に、国内外の研究者コミュニティと共同研究を展開し、医療・健康・
バイオ領域の学際的連携研究の研究成果を広く社会実装する。
生体医歯工学共同研究拠点
知能化工学研究コア
知能化工学コアでは、脳科学、感覚知覚情報処理、ヒューマンインタフェー
スおよび拡張現実感、人工知能の4つのトピックを中心に研究を行っている。
感覚知覚情報処理分野の研究としては、視覚聴覚に比べて未開拓の分野であ
る嗅覚に注目し、嗅覚センサや香りを提示する嗅覚ディスプレイの研究を進
めている。ヒューマンインタフェースとバーチャルリアリティ分野の研究と
しては、心地よく自然で楽しい情報生活の実現にむけた情報体験を形作る研
究を進めている。人工知能分野の研究としては、我々人間と自然に対話が行
えたり、我々人間のことを理解できたりする知的エージェント(ロボット、
ヴァーチャルヒューマン)を実現する研究を進めている。
電子機能システム研究コア
半導体デバイスの材料や構造に関する検討から、高度な機能を発現する電子
デバイス構成、異種機能を集積する技術、それらを光計測や超音波応用に活
電池不要の無線
送受信用CMOS
集積回路チップ
(0.76mm×1.72mm)
0.76mm × 1.72mm
用するシステムの研究を行っている。また、これらを農業や医用・健康など
に役立てるために他分野との共同研究を進めている。
無線センサ端末
モジュール
フォトニクス集積システム研究コア
情報通信技術の発展のためにはフォトニックネットワークの進展が不可欠で
ある。また、センシング、イメージングなどへの光技術の展開も加速的に進
2.1 × 1.0 × 0.2㎝ = 0.42㎤
められている。フォトニクス集積システム研究コアは、革新的光デバイス技
術やサブシステムの創出に向けて、面発光レーザフォトニクス、MEMS技術
を駆使した新機能デバイスの開拓を進めるとともに、光によるデータの連携/
交換を行うデータネットワーク、複数のコンピュータやLSIチップ間を結ぶ並
列光インターコネクト、さらには光電子並列情報処理システムなどへの展開
を目指して研究を推進している。
先進メカノデバイス研究コア
社会変化に適応可能な革新的なメカノシステムおよびそれを構成するメカノ
革新的マザーマシン
歯車装置の潤滑油挙動と動力損失
デバイスを実現することを目的として、特に機械工学、メカトロニクスを中
核に異分野融合による基礎研究と応用研究を行う。大は生産システム、制御
システムから、小はマイクロセンサ、マイクロアクチュエータに至る広範な
ハードウエア・ソフトウエアを研究対象とする。最終的には、それら先進メ
カノデバイスの研究成果を産業技術として社会実装することを目標とする。
4
超高加速高速メカニズム
ERマイクロフィンガ
融合メカノシステム研究コア
少子・高齢化、安心・安全な社会を支える新しいバイオ・メディカルシステ
ムやマイクロ・ナノメカトロニクスの実現を目指している。この実現のために、
バイオテクノロジー、ロボティクス、アクチュエータ、機械要素、精密計測、
上写真 東工大発ベンチャー63号
メドテックハート
(株)
との
補助人工心臓の共同開発
右写真 東工大発ベンチャー71号
リバーフィールド
(株)
との手術
支援ロボットの共同開発
NEMS・MEMSなどの異なる専門を有する研究者が集結し、融合研究を
実施している。更に、これら技術の社会実装も目指し、大学発ベンチャーを
含む企業と、産学連携研究を積極的に進めている。
先端材料研究コア
先端材料研究コアでは、新たな産業技術の基盤となる材料科学技術の創成と
革新を目指し、その成果を理工系多分野へ活用して社会へ貢献するための先
微小材料機械試験機によるAuCuAl新生体用形状記憶合金の圧縮変形挙動。
端材料基盤・応用研究を行う。特に金属工学、機械工学、電気・電子工学分
試験機と材料は共に当研究所で開発したものである。
野等に適用可能な、ナノからバルクに渡るマルチスケール構造材料設計法お
よび材料評価法、機能システム化/複合化技術等を開発し、多元的に発展さ
せることで新機能を創成し、未来社会における産業科学技術に貢献する。
情報イノベーション研究コア
情報イノベーション研究コアでは、健康、福祉、医療、経済、エネルギー、安全、
環境などの我々の生活や社会に直結する諸問題を情報・通信技術の活用や深
化を通じて、その解決の手段を提供するとともに、社会における新たな情報
産業分野の創生や情報政策立案等に貢献することを目指す。本研究コアでは、
情報処理用の低電力高速デバイスや新機能デバイスの開発、情報の入力から
記憶、処理、解析、出力といったハードおよびソフトの基盤技術の深化、それ
らの情報・通信技術を核とし我々の社会に直結する諸問題の解決に取り組む。
情報イノベーション研究コアの枠組みと学術・技術領域
量子ナノエレクトロニクス研究コア
当研究コアは、ナノテクノロジーとそれによる新しい物理をもとにした新デ
バイスの研究、ならびにナノスケール加工技術の最先端の開拓と応用を行っ
ている。量子工学による光・電子デバイスの研究成果を、新しい産業に結び
つけることを目指している。
防災研究コア
都市防災研究コアでは、建築物・構造物の耐震、耐風及び耐火に関して、材
料の基本的性質から部材の力学的性質および構造物全体の性能までの総てに
亘り、実験と解析の両面から複合的に研究を行っています。(1)主要構造材
料の力学的特性および物理的性質の解明。
(2)主要構造材料で構成される構
造部材の力学的挙動の解明。(3)これらの部材要素を組み合わせて作られる
建築構造物の耐震・耐火・耐風に関する基礎的研究
実大鉄骨建物試験体
異種機能集積研究コア
MEMSなどのセンサデバイス技術、センサや無線通信などのアナログインター
フェースCMOS集積回路/モジュール技術、ボディエリアから農業などの広域
に及ぶセンサネットワークなどのシステム化技術、収集データの意味を理解し
社会へ還元するデータの分析解析技術など、健康・医療、農業、エネルギー、
防犯・防災、環境保全などに関わる新技術をデバイスからモジュール、システ
ムレベルまで異種機能集積の観点から研究開発を推進し、未来社会に資する。
ワンチップ加速度センサ
5
フロンティア材料研究所
本研究所では、多様な元素から構成される無機材料を中心とし、金属材料・有機材料などの広範な物質・材料系との融合を通じて、
革新的物性・機能を有する材料を創製します。多様な物質・材料など異分野の学理を融合することで革新材料に関する新しい学
理を探求し、広範で新しい概念の材料を扱える材料科学を確立するとともに、それら材料の社会実装までをカバーすることで種々
の社会問題の解決に寄与します。
無機材料
金属材料
有機材料
無機材料・金属材料・有機材料などの異分野融合による革新材料の創出
未踏材料
開拓領域
材料機能
設計領域
フロンティア
材料研究所
構造機能
設計領域
フロンティア材料研究所
(すずかけ台キャンパスR3棟、J1棟)
6
フロンティア材料研究所の4研究領域
融合機能
応用領域
研究所
フロンティア材料研究所では、
「未踏材料開拓領域」
、
「材料機能設計領域」
、
「融合機能応用領域」
、
「構造機能設計領域」の4研
究領域による相互連携により研究を展開しています。以下に各領域の詳細を示します。
未踏材料開拓領域
未踏材料開拓領域では、未踏領域の機能や現象を示す新材料群の開拓と、その学理解明による新しい固体科学の確立を目標とし、
教科書を書き換えるような研究を行っています。
●既存物質の改良ではない、全く新しい概念に基づく電子伝導体、イオン伝導体、強誘電体、磁性体、蛍光体、触媒等の新物
質の創出およびその物性・機能発現の解明
●ナノ構造磁性体の新規物理現象解明および原子スケール接合により創出される新規機能の探求
●ありふれた元素を使いナノ構造を工夫することで、希少な元素を使わずに有用な機能実現を狙う「ユビキタス元素戦略」
●物質固有の結晶構造を利用した新しい光・電子・磁気および化学機能をもつ材料探索
材料機能設計領域
材料機能設計領域では、研究者のセンスを頼りにした従来の非効率なアプローチではなく、高度な理論計算・計測・合成技術
を駆使することで材料の微視的構造と物性の相関およびそれらのダイナミクスを明らかにし、新たな機能をもつ材料を自在に
予測し設計・開発することを目標に研究を行っています。
●理論・計算科学・情報―マテリアルズインフォマティックス−を基盤とした材料科学に基づく材料設計
●超高速時間分解計測、高精度熱測定技術、放射光測定技術などを駆使した先端構造解析・電子構造解析などを基盤に機能発
現機構を解明し、新機能材料の設計・開発を支援
融合機能応用領域
融合機能応用領域では、多様な物質・材料の概念や機能を融合することで、従来材料を凌駕する機能をもつ全く新しい材料開
発を目標とし、研究を行っています。
●酸化物エレクトロニクス・ナノエレクトロニクス・液晶デバイスを中心とした新材料・プロセスに基づくデバイス開発
●無機・金属・有機高分子および複合材を基盤とした優れた過酷環境耐性構造材(形状記憶、超弾性、耐熱性、耐食性、耐磨耗性)
の開発
●太陽電池材料・二次電池材料・省電力半導体・過電圧極小電極を中心とした革新エネルギー材料開発
●スピンや磁性の物性研究に基づく新規なスピントロニクス・デバイス開発および電子・光・医療等のシステム技術への応用
展開
●先端機械運動系のための極限材料機能の追求と極限設計システムの確立
●高機能触媒材料を中心とした革新的資源生産
構造機能設計領域
構造機能設計領域では、建築物・構造物の耐震、耐風及び耐火に関して、材料の基本的性質から部材の力学的性質および構造
物全体の性能までの総てに亘り、実験と解析の両面から複合的に研究を行っています。
●主要構造材料の力学的特性および物理的性質の解明
●主要構造材料で構成される構造部材の力学的挙動の解明
●これらの部材要素を組み合わせて作られる建築構造物の耐震・耐火・耐風に関する基礎的研究
7
化 学 生 命科学研究所
化学生命科学研究所では、分子科学を基盤とする化学の諸領域ならびに生命科学分野を包括する四つの領域(分子創成化学・分
子組織化学・分子機能化学・分子生命化学)で構成される研究体制を基盤として、国内外の知を結集することによる新学理の創
出と、新物質観の形成を目指して研究を行います。これにより、次世
代科学技術の創出を実現し、人類の高度な文明の進化と、より豊かで
持続可能な社会の具現化に貢献することを目的としています。
すずかけ台キャンパスR1棟
分子創成化学領域
分子は物質の重要な構成要素であり、多彩な構造と大きさ(分
子量)に基づいて、ほぼ無限の機能発現の可能性をもちます。
本領域では、独自の原理と手法を用いて、新規性が高い分子
創成を達成し、分子の機能発現への展開に要する基盤を構築
します。有機分子、無機分子、金属錯体分子、高分子、超分
子等のすべての分子を対象として、元素、結合、二次構造の
組み合わせによって、新しい分子ワールドを築きます。
新概念による分子の構築
分子組織化学領域
物質の物性や機能を決めるのは、それを形づくる原子や分子
の空間的配置にあるといっても過言ではありません。本領域
では、有機分子・高分子を対象に、これらを合目的的に組織
化させる方法論の開拓を通じ、優れた機能や新機能を発現す
る物質創製へ向けた取り組みを行っています。分子からなる
物質は、柔らかさとしなやかさを兼ね備え、ソフトマテリア
ルと呼ばれています。設計によっては、生物のように動く物
質を作ることも可能です。本領域では、分子の振る舞いを静
的および動的、両方の側面から捉え、分子組織化プロセスや
形態をナノスケールから巨視的にいたる様々な階層で精密に
制御することにより新しいソフトマテリアルを開発し、情報・
通信、エネルギー、医療、環境など、多岐に渡る分野への貢
献を目指します。
8
分子組織化の精密制御による機能物質創製
研究所
分子機能化学領域
物質の最小単位は分子で、分子の構造や反応といった機能に
より私たちが目にする材料のマクロな性質が制御されていま
す。本領域では、分子の機能を最先端の分析手段や高度な理
論計算で調べ、分子と分子集合体の性質を明らかにします。
分子機能の理解に基づき分子レベルから理解した画期的な材
料、デバイス、燃料電池、触媒などを開発し、豊かで持続可
能な社会の実現に貢献します。
化学反応のリアルタイム追跡による分子機能の解明
分子生命化学領域
生命の営みは、人間がおよそ考えつかないような精巧な構造
の分子による多様な化学反応と、それらの巧みな制御によっ
て成り立っています。本領域では、生物の体の中で起きるエ
ネルギーの産生・貯蔵、分子認識、分子運動などのさまざま
な反応の分子機構とその制御機構を化学の言葉で理解するこ
とを目指しています。そして、得られた知見を統合して、ク
リーンな新エネルギーの創出、新たな疾患診断ツールなど、
人類に貢献する新しい技術の開発へと発展させます。
多様な生命現象の化学的理解と応用
9
先 導 原 子力研究所
原子力に関わる学理を追求するとともにその応用研究を先導し、世界の持続的発展への貢献を目指します。エネルギー問題と二
酸化炭素排出による 地球環境問題の解決、原子力の平和的な利用に向けた基盤研究を進めると共に、ミッション主導研究として
革新的原子力システム研究、アクチノイ ド・マネージメント研究、グローバル原子力セキュリティ研究、高度放射線医療研究を
推進します。さらに国の重要課題である、福島原発事故から の回復に向けた原子炉廃止措置、環境汚染回復などの研究に取り組
みます。
大岡山キャンパス北1号館
活動の目的:
ミッションを「平和で安全・安心な生活の保障と社会の構築
平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島
のための原子力研究」として活動を進めている。母体であっ
第一原子力発電所事故への対応として除染をはじめ、福島復
た旧原子炉工学研究所は、
「原子炉工学に関する学理及びその
興に向けた取り組みに務めている。
応用の研究」を設置目的として昭和31年4月に研究施設として
本研究所は、エネルギー問題と地球規模の環境問題の解決を
産声を上げ、昭和39年4月に附置研究所に昇格し、50余年の歴
目指す原子力の基盤研究をプロジェクトの柱として実施し、
史を持つ研究所であった。規模が小さいにもかかわらず、設
放射線応用を含めた原子力分野のフロンティアを開拓できる
立時から原子力と放射線応用の分野において多くの優れた研
拠点研究機関として、米国、欧州、旧ソ連諸国をはじめ、イ
究成果を上げて来た。研究所として第2期中期目標期間(平成
ンドネシア、ベトナム、タイ等の東南アジア諸国とも連携し、
22 ∼ 27年度)においてはミッション主導型研究として「革新
原子力・放射線応用のグローバルな連携拠点を目指している。
的原子力システム研究」
、
「アクチノイド・マネージメント研
大学研究所として、学生の教育も重要なミッションである。
究」
、
「グローバル原子力セキュリティ研究」
、
「高度放射線医
複合系原子核コースは本研の教員により運営され、次代を担
療研究」およびそれら4つの基礎基盤研究を推進してきた(図
う優れた学生を輩出すべく高度な教育を行っている。
1)
。先導原子力研究所はこれらを継承するものである。さらに、
10
研究所
図1 研究所の研究活動の構成
研究の取組:
2011年3月の福島原発事故に対しての種々の研究による取り組
みを進めている。
研究(1) 原子燃料サイクル研究、原子炉汚染水処理
軽水炉燃料サイクルの安全性確保と使用済み燃料の安全な処
理処分を目的に、バックエンド関連の課題が研究されている。
分離科学及び機能性分子設計などの基礎研究を活かして、
「ガ
ラスへの再処理廃棄物の封じ込め技術」
、
「再処理工程で発生す
る高レベル放射性廃液(HLW)の分離変換技術」
、
「HLWに含
まれる有価物回収技術」等の開発研究を行っている。また、福
島第一原子力発電所事故では放出された放射性物質によって
原発周囲の環境が汚染され、原子力の安全性への国民の信頼
を大きく損なう結果となった。原子力の信頼回復のために原子
力サイト内の汚染水処理技術、植物体、土壌、汚泥からの放射
図2 セシウム
(Cs)
汚染土壌の高減容システム
性核種の回収技術などを国の支援の下で研究している(図2)。
研究(2) 機能材料の創製と応用
放射性元素を選択的にキャッチ&リリースさせることができ
る様々な機能性ナノ材料(感応性ポリマー、ミセル等)を創
成する研究を進めており、汚染水の処理、レアメタル・レアアー
スの回収、ドラッグデリバリー(DDS)用放射性薬剤調製な
どへ展開している(図3)
。併せて、ナノ界面領域で起こる分
図3 ウラン廃液の超臨界水熱処理研究
子レベルの現象の解明・制御に取り組んでいる。
11
研究センター
先 進 エネルギー国際研究センター
エネルギーに関する既存の社会インフラを活かしつつ、環境性が高く安定的なエネルギー利用環境を実現する先進エネルギーシ
ステムの確立を目指しています。従来の大学研究の枠を越え企業・行政・自治体等が参画するオープンイノベーションを構成し、
社会・産業が直面する課題の解決策を見出すための研究プロジェクトを創出・推進します。確実に社会・産業を変えるソリューショ
ンを提示することが目標です。
オープンイノベーション実現のため、AESセンターには6つの共同研究部門(別表参照)および約50の民間企業と14の自治体
をメンバーとする研究推進委員会が置かれています。これらが中心となり、学内・学外の教員との連携、国や自治体の支援も受
けながら研究プロジェクトを進めます。
また、これらのプロジェクトの土台作りと円滑な進行を支援するために、学外に開かれたシンポジウムの定期開催、AESメンバー
に対するセミナーや研修会開催などのプラットフォーム活動を幅広く行っています。
共同研究部門
部門名
共同研究題目
ENEOS
低炭素エネルギーシステム
低炭素社会を構築するための総合エネルギーシステムの研究開発
NTTファシリティーズ
スマート・エネルギーネットワーク
12
コミュニティにおける次世代エネルギーネットワーク
(スマートエネルギーネットワーク)に関する研究
東京ガス
スマートエネルギーネットワーク
スマートエネルギーネットワークに関する研究
東芝
スマート都市インフラシステム
スマートな都市インフラを構築するための複合ソリューションの研究開発
三菱商事
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーの高度化利用に関する研究
日立製作所
エネルギー統合制御システム
再生可能エネルギーを含む複数エネルギーの統合制御に関する研究
社 会 情 報流通基盤研究センター
全ての国民が効率的で利便性の高い行政サービスや質の高い医療サービスを受けるためには、行政機関や医療機関等が保有し管
理している情報を、本人が自らの必要に応じて取得・確認・利活用できるようにすることが不可欠となります。このため、自己
の情報を取得・確認・利活用できる安全確実な仕組み(社会情報流通基盤)を整備し、この基盤を用いて行政のワンストップサー
ビスや生涯に渡る個人健康管理を実現すること等を目指した研究を実施しています。
社会情報流通基盤研究センターの研究課題
また、公共性の高い社会情報流通基盤の導入に当たっては、研究活動と並行して制度的な検討や産官学の幅広い連携構築も進め
ていくことが不可欠となります。このため、当センターは、学術研究に加え、その実現に不可欠な制度の整備を促すべく、国に
対する政策提言や関係省庁における政策立案への参画を行っています。下図は、我々が研究を行ってきた公的個人認証サービス
(JPKI)のユースケース例を示しており、これらは現在様々な制度や政策に反映されています。また、産業界との連携を図るため、
関係企業と共同研究を推進するとともに、将来的な国際展開も見据え、国際標準化機構(ISO)における国際標準化活動も実施
しています。
マイナンバーカードに実装された JPKI *のユースケース
* JPKI : Japanese Public Key Infrastructure
13
研究ユニット
細 胞 制 御工学研究ユニット
細胞レベルの
生命現象の解明
●
細胞を利用した
創薬・医療への貢献
●
【概要とミッション】
【研究領域】
生命は遺伝情報によって規定されたタンパク質の動態により
細胞生物学を中心とした分子生物学、生化学、生物物理学な
支えられています。生命の基本単位である細胞像は、近年大
ど生命科学の諸領域からなる研究体制を構築するとともに、
きく変貌をとげ、あらゆる面で動的な存在であることが明ら
学内外における材料科学、情報科学など異分野を融合しなが
かになりつつあります。
ら次世代の細胞研究を創成します。
細胞制御工学研究ユニットは、世界の細胞生物学を牽引する
一人である大隅良典栄誉教授をリーダーとして、学内外の関
連研究者を結集し、これまでに類を見ない「細胞」研究コン
ソーシアムを実現しようとする研究ユニットです。本研究ユ
ニットでは、遺伝子の発現・再編成から蛋白質の合成・修飾・
分解に至るまでの分子機構とそれらが織りなす細胞機能のダ
イナミクスに関して、
「観る」
、
「知る」
、
「創る・治す・操作す
る」ための基盤的技術を確立しながら、
理解を進めていきます。
細胞レベルの生命現象の解明で国際的にも先端的な研究を行
うとともに、細胞を利用した創薬・医療などに大きく貢献でき
るように基礎的研究の成果を社会還元することも目指します。
14
【具体的な取り組み】
(1)細胞を
「観る」
:次世代イメージングを駆使した細胞内
構造、細胞内分子動態の可視化、解析。
(2)細胞を
「知る」
:主要な細胞内生命現象の分子機構解析。
(3)細胞を
「創る・治す・操作する」
:細胞編集技術の完成。
高次生命現象の再構成。
グロー バル水素エネルギ ー 研 究 ユ ニット
海外の未利用エネルギーによるグローバルな水素サプライ
化等を多面的に分析した上で複数の将来シナリオを設定する
チェーンを中心に、国内の再生可能エネルギー起源の水素と
とともに、エネルギーシステムにおける水素エネルギーの位
の連携を含めて、水素社会のあり方を総合的な視点から検討
置づけを多様な評価軸で評価して水素・エネルギービジョン
し、抽出されたさまざまな課題の解決により、多様化を基軸
を構築し、新たな価値の創出、システム設計、システム成立
とした新しい国際的なエネルギーのベストミックスに貢献す
のボトルネック課題の解決、社会実装に関する研究を、産官
ることを目的としています。水素は将来のエネルギーの選択
学が一体となって推進します。
肢の一つであるとの基本に立ち返って、社会や産業構造の変
グローバル水素エネルギー研究ユニットが目指す中立・客観的で多様な評価
(Technology Assessment)
ビッグデータ数理科学研究 ユ ニット
今世紀に入り、スマートフォンやインターネットが生活の隅々
り、ビッグデータ数理科学の国際的な研究拠点を形成します。
にまで浸透し、第4次産業革命とよばれる社会の大きな転換期
世界最先端の物理学・情報科学の知見を柱とし、経済学や社
を迎えています。産業界や官公庁などに蓄積されたビッグデー
会学など分野と融合型の研究を推進し、データ解析・多層時
タを融合的に利活用することによって、
「豊さ・安心・安全」
空間モデリング・大規模シミュレーションによって、国や企
が持続する社会を実現することが望まれています。本研究ユ
業が抱える諸問題を科学的に解決するための政策提言を行い
ニットでは、高度なセキュリティ技術を装備したビッグデー
ます。
タセンター「
(仮称)東工大未来観測所」を併設することによ
ユニット併設のビッグデータ解析センター「未来観測所」
Security
データ
Computing
データ
企業
企業
データ
Big Data
データ
Econophysics
世界最先端のビッグデータ融合の科学で社会の付加価値を創出する!
15
スマート創薬研究ユニット
スマート創薬研究ユニット(ACDD)は、情報科学技術と生化学実験を融合する「スマート創薬」の実証研究と、オープンプラッ
トフォームの形成を目指す研究ユニットです。東京工業大学の強みであるTSUBAMEによる大規模GPU計算を活かした分子シミュ
レーション、バイオインフォマティクス、機械学習といった情報科学分野のノウハウはもちろんのこと、組織プラットフォーム
形成技術などの社会科学分野のノウハウも統合し、産業界と連携するオープンなアカデミア創薬基盤技術の実現を目指します。
ハイブリッドマテリアル研究ユニット
マテリアルハイブリッドユニットでは我々が独自に開発した樹状高
分子を利用した精密金属原子集積法を確立します。未開拓の物質群
であるサブナノサイズで原子数の制御されたサブナノ金属粒子およ
び、異なる複数の元素を原子単位で精密に配合したサブナノヘテロ
金属粒子を創製し、次世代機能材料の礎となる新分野を切り拓く事
を目指します。
16
17
研究ユニット
バイオインタフェース研究 ユ ニット
豊かで快適な超高齢社会を実現する科学技術創成のため、国
内外の異分野の研究者がグループで最先端医療・健康系研究
開発を実施できる柔軟な組織体制を研究ユニットとして構築
し、東工大が世界に誇れる理工系ならではの医療・健康系研
究拠点を形成します。
超 集 積 材料研究ユニット
本プロジェクトでは、
異種材料をナノ・マイクロスケールで「上
了して、多くの要素技術が開発されてきました。その結果、
手に混ぜる」ことにより、構成材料の単なる足し合わせでは
単分子の電気伝導特性の理解は深まったものの、本来の「分
得られない要素間相互作用が強く顕在化した新機能を発現す
子で回路を創る」工学的な展開につながる分子配線技術の開
る「超集積材料」の創製をめざしています。平成27年度終了
発が望まれます。本ユニット研究では、分子素子の本来のモ
のJST-ERATO超集積材料プロジェクトの成果展開と拠点シフト
チベーションである「分子で回路を創る」視点に立ち、半導
を経て、本ユニットでは「分子グリッド配線」を特別重点期
体ICのような分子̶電極接合ユニットの集積化に展開可能な
間として研究推進しています。1974年Ratnerの分子ダイオー
「分子グリッド配線」を提案しています。これは、従来の「一
ドの提案以来、分子素子、分子回路をめざした学際的研究が
対のナノギャップ電極を用いた夥しい回数の電気伝導測定と
進展しています。例えば、有機・超分子化学では刺激応答機能、
統計処理」を「夥しい数の超高密度ナノギャップ電極基板を
高分子化学ではπ共役系高分子、表面科学ではSTM、AFMに
用いた電気伝導特性の一括評価」に置き換える新しい方法論
よる分子像とトンネル分光、理論科学では分子̶電極システ
を提供するものです。
ムの電子状態論など、過去十数年、多様な分野の研究者を魅
17
革 新 固 体触媒研究ユニット
これまで様々な触媒が開発され、我々の生活に必要不可欠な
化学資源が生産されてきました。時間と共にその性能は改良
されてきたが、単なる改良では解決できない問題が数多く残
されています。これらの問題に真っ向から取り組むために未踏
領域を冒険することが、原プロジェクトのミッションです。
例えばバイオマス変換。再生する植物−バイオマス−からエ
ネルギーと化学資源を生産すること、そしてエネルギー消費を
極限まで減らして化学資源を生産することは環境破壊なしに
現代社会が存続するための必須条件です。しかし、これまで
の科学技術でこの条件を満たすことはできません。このような
背景の中、私たちは新しいコンセプト、科学、技術を昇華させ、
これらの問題を解決する革新触媒の開発に成功しています。
原 子 燃 料サイクル研究ユ ニット
原子燃料サイクル研究ユニットでは、高い安全性と放射性廃
化工程におけるFP核種の溶解挙動解析とFP高充填化技術の開
棄物の低排出を特徴とする環境に優しい原子燃料サイクル技
発、③ガラス固化体の深地層処分を含めたバックエンド工程
術及び放射性廃棄物処分技術を確立し、地球温暖化の抑制、
の最適化研究、④福島第一原発の廃止措置の早期達成のため
わが国の将来のエネルギーセキュリティ確保及び福島第一原
の汚染水処理(Cs、Sr、トリチウム)技術の開発、⑤原発事
発の廃止措置の早期達成に貢献する。当面の具体的な研究課
故で汚染された土壌、瓦礫、伐採木の除染と放射性物質の高
題は、①核廃棄物から長半減期核種(129I、MA)
、発熱核種
減容化処理・処分技術の開発である。原子力利用のアキレス
(137Cs、90Sr)
、有価金属(白金族元素)
、ガラス固化妨害元
腱となる核廃棄物問題解決のためのソリューション研究に全
素(Mo)を分離回収する核種分離技術の開発、②ガラス固
18
力で取り組む。
研究ユニット
クリーン環境研究ユニット
クリーン環境プロジェクトでは、レーザー分光など分子の性
質を調べる最先端の研究手段の特徴を応用した高感度リアル
タイムな新しい分析手段を開発しています。これまでゴミ焼
却炉や自動車排気ガスの超高感度リアルタイム分析装置や環
境微粒子の履歴解析装置などを開発し、実際に大陸からの越
境汚染微粒子の識別に成功し、PM2.5という新たな言葉も発
信しました。これら環境をキーワードとした先進的計測・評
価技術の開発とともに、材料評価などに有用な測定手段とし
ての展開も行っています。
集束イオンビームとレーザーイオン化を融合した微粒子履歴解析装置。
Only Oneの機能:ナノスケールの加工と分析を合体・有機物も分析
Number Oneの機能:分析時面分解能40ナノメートル・感度30倍
微粒子だけではなく材料分析にも威力を発揮し、市販化
共同利用研究施設としての活動
未来産業技術研究所、フロンティア材料研究所、化学生命科学研究所は、
「共同利用・共同研究拠点」として文部科学省より認定
を受け、大学の枠を越えた研究設備や資料・データ等の共同利用と共同研究を通じ、我が国の学術研究の発展に貢献しています。
また、先導原子力研究所は独自に「共同研究・共同利用」のシステムを運用し、放射線・核燃料使用施設等を活用した他大学、他
研究機関との共同研究を推進しています。
共同利用・共同研究件数
研究所
H23 年度
1
H24 年度
H25 年度
H26 年度
H27 年度
ー
ー
ー
14
12
フロンティア材料研究所 2
99
100
103
104
108
化学生命科学研究所 3
63
93
104
112
131
ー
ー
ー
20
18
未来産業技術研究所
先導原子力研究所
4
主な共同研究先(H23-27年度)
未来産業技術研究所 1
フロンティア材料研究所
化学生命科学研究所
先導原子力研究所
4
3
:広島大学、首都大学東京、広島市立大学、慶応義塾大学、立命館大学、他
2
:東北大学、東京理科大学、京都大学、産業技術総合研究所、建築研究所、他
:大阪大学、九州大学、産業技術総合研究所、愛知県がんセンター研究所、他
:東京大学、産業技術総合研究所、日本原子力研究開発機構、物質・材料研究機構、他
1)∼ 4)
それぞれ、旧精密工学研究所、旧応用セラミックス研究所、旧資源化学研究所、旧原子炉工学研究所のデータ
19
教育への貢献
研究院所属の教員は本学の学院に参加し、学部・大学院教育に積極的に貢献しています。
各研究所、 研究センター、 研究ユニットの常勤教員の参加している本学の大学院コース等1
研究所等
未来産業技術研究所
1
本学大学院コース
エンジニアリングデザイン、都市 ・ 環境学、ライフエンジニアリング、機械、電気電子、情報通信、
システム制御、生命理工学、エネルギー、建築学、物理学、知能情報、材料
フロンティア材料研究所
材料、エネルギー、エンジニアリングデザイン、建築、都市 ・ 環境学、物理学、機械
化学生命科学研究所
応用化学、生命理工学、ライフエンジニアリング、材料、エネルギー
先導原子力研究所
原子核工学、材料、地球環境共創、エネルギー
先進エネルギー国際研究センター
ー
社会情報流通基盤研究センター
情報通信、ライフエンジニアリング
細胞制御工学研究ユニット
生命理工学
グローバル水素エネルギー研究ユニット
ー
ビッグデータ数理科学研究ユニット
知能情報、システム制御、数理・計算科学
スマート創薬研究ユニット
知能情報、情報工学、イノベーション科学、技術経営専門職学位課程
ハイブリッドマテリアル研究ユニット
応用化学
バイオインタフェース研究ユニット
情報通信、ライフエンジニアリング
超集積材料研究ユニット
応用化学
革新固体触媒研究ユニット
材料、エネルギー
原子燃料サイクル研究ユニット
原子核工学、地球環境共創
クリーン環境研究ユニット
生命理工学、ライフエンジニアリング
平成28年4月1日の予定
研究者数
科学技術創成研究院は約180名の常勤研究者を擁しています。
この他、研究に従事する博士課程学生、博士研究員等が多数在籍しています。
各研究所等の常勤研究者(教員)数1 研究所等
1
20
教授 *
准教授 *
講師
助教 *
未来産業技術研究所
20
23
−
21
フロンティア材料研究所
11
8
−
12
化学生命科学研究所
9
12
1
21
先導原子力研究所
9
9
−
7
研究センター(合計)
1
−
−
−
研究ユニット(合計)
10
3
−
3
合計
60
55
1
64
平成28年4月1日の予定;複数の研究所等に所属している教員については、
最もエフォートの大きい研究所等に算入。
交通アクセス
科学技術創成研究院の各研究所、研究センター、研究ユニットは、本学大岡山キャンパスまたはすずかけ台キャンパスにあります。
建物等へのアクセスの詳細については、各研究所等のウェブページをご参照下さい。
すずかけ台キャンパス
(神奈川県横浜市)
未来産業技術研究所、フロンティア材料研究所、化学生命科学研究所、
社会情報流通基盤研究センター、細胞制御工学研究ユニット、ビッグデー
タ数理科学研究ユニット、スマート創薬研究ユニット、ハイブリッドマテ
リアル研究ユニット、バイオインタフェース研究ユニット、超集積材料
研究ユニット、革新固体触媒研究ユニット、クリーン環境研究ユニット
大岡山キャンパス
(東京都目黒区)
先導原子力研究所、先進エネルギー国際研究センター、グローバル水素
エネルギー研究ユニット、原子燃料サイクル研究ユニット
●大岡山キャンパス
東急大井町線・目黒線(大岡山駅下車 徒歩1分)
●すずかけ台キャンパス 東急田園都市線(すずかけ台駅下車 徒歩5分)
●田町キャンパス
JR山手線・京浜東北線(田町駅下車 徒歩2分)
21
国立大学法人 東京工業大学
科学技術創成研究院
http://www.iir.titech.ac.jp
〒226-8503 横浜市緑区長津田町4259-S2-2
Email: [email protected] TEL:045-924-5140
© 2016 国立大学法人 東京工業大学 科学技術創成研究院 All rights reserved.
平成28年5月13日 印刷
平成28年5月13日 発行
Fly UP