Comments
Description
Transcript
10月号 - 日本YMCA同盟
No.720 2012 OCTOBER The Young Men's Christian Association News URL:http://www.ymcajapan.org/ No.720/2012 October 10 The Young Men's Christian Association News 10 私達にできる平和づくり 広島女学院大学学長 長尾 ひろみ ●AIDS文化フォーラムin横浜―横浜YMCA 全国的にそうであったように、広島も今年の夏は 広島平和文化セン 猛暑でした。その暑さの中、8月6日を中心に広島 ター理事長のスティー ではさまざまな平和プログラムが行われました。 ブン・リーパー氏も、 原爆の後遺症で白血病になり12歳で亡くなった “War Culture” と “Peace Culture”の話をして 佐々木貞子さんのお兄さん、佐々木雅弘氏が代表 くださいました。「目には目を、歯には歯を」とい をされている SADAKO LEGACY の招待で、原子 う自己主張の社会は“War Culture”であり、「許 爆弾投下の命令を下したアメリカ大統領トルーマ し、忍耐、許容、希望と愛」というキーワードでこ ンの孫であるクリフトン・トーマス・ダニエル氏と、 の世の中が満たされるのが“Peace Culture”です。 エノラゲイ戦闘機のレーダー士の孫であるアリ・メ われわれが慣れ親しんだ平和な生活は、果たしてど イヤー・ビーザー氏が広島にやってきました。そし ちらの文化でしょうか。 て、8月5日、その二人が若者との対話を目的に広 最近、子ども向けのテレビ番組やゲームは、「戦 島女学院大学でのピースセミナーにも参加してく い」「強い者が弱い者をやっつける」「たたかれる れました。 から殴り返す」というテーマが多いのではないで 広島が一瞬にして灰になり、多くの人が亡くなり、 しょうか。次の平和な世界を担う次世代に対する平 また放射能の後遺症で苦しむという結果を招いた 和教育がきちんとなされているかが気掛かりです。 原爆。それを自分の目で直視したいというのが彼ら 世界の人達が、平和を求める対話をし続けるため の来日の目的でした。原爆の問題は、過去60余年、 には、共通言語としての「英語力」を身に付けるこ 議論され続けてきました。原爆投下を非難すれば、 とも必要でしょう。しかしそれ以上に、共に語る 必ず真珠湾攻撃も非難されます。でも、いずれにし 「内容」をそれぞれが学ぶことです。英語だけでは ても、アメリカ人も日本人も、この戦争のためにど なく、世界の経済、環境、そして多様な文化や宗教 れだけの命を双方が失ったか計り知れません。 を知ることで、国境を越えた人達と理解し合うこと 今回のアメリカ人二人と日本の学生達との対話 が可能になります。 では、この悲劇を招いたのは「戦争」であり、人を 世界の平和の構築ために、“Peace Culture”を 恨むのではなく、過去を非難し合うのではなく、次 この世に作るために、自分が今いる所でできること の世代が未来を見て、「戦争」をなくし「平和」を から始めませんか。 構築するための対話を繰り返すことであると話し合 (世界YMCA同盟常議員/日本YMCA同盟常議員) 8月3日∼5日、横浜YMCAが事務局を務める「第19回AIDS文化フォーラムin横浜」をかながわ県民 センターで実施しました。 テーマ「AIDS??文化???−仲間新発見−」のもと、全国から45の分科会、19の展示ブースと、 HIV/AIDS啓発活動を行うNGO、NPO、行政、個人が集まりました。運営サポートスタッフには、中学 生から社会人まで40人の協力を得られました。 オープニングでは、「無関心社会の中で京都に広がったフォーラム」と題し、エイズへの関心が薄 れる中で、なぜ「AIDS文化フォーラムin京都」が実現したのか、またそのことによる横浜と京都の相 乗効果について、京都より実行委員を招いてディスカッションしました。来場者は周囲にHIV/AIDSへ の理解を伝えることの大切さを共有しました。 近年、若者のHIV/AIDSへの関心が薄れて、感染が広がっていることが懸念されています。プログラ ムでは若者から若者へピア・エデュケーションの講座や、リストカット、薬物依存、デートDV等、支 援を必要とする若者の心理に迫る内容が好評でした。 横浜YMCAの関係では、「横浜AIDS市民活動センター」が発表・展示に参加。他に、横浜YMCAの ブランチであるYMCA ACT※ のボランティアが、「世界がもし100人の村だったら‐HIV/AIDSバージョ ン」を実施しました。また、バンコクYMCAと協働する児童保護プロジェクトに関連して、人身売買 の解決方法を考えるワークショップも行いました。 今年度からは、組織委員会に、以前からサポー トスタッフとしてご協力いただいているワイズメ ンズクラブ国際協会東日本区湘南・沖縄部が加わ り、お支えていただいています。1994年、エイズ 国際会議が横浜で開かれたことをきっかけに始 まった、市民による市民のためのフォーラムは、 たくさんの人に支えられ、来年で20周年を迎えま す。今年もフォーラムを支えてくださった皆さま、 そして近隣YMCAからご来場いただいた皆さまに 心より感謝申し上げます。 (横浜YMCA 三宅 晶子) ※「YMCA ACT」・・横浜YMCAの中で、語学事業や国際交流プログ ラムに特化したブランチ。Active Communication Terminalの略称。 実行委員によるワークショップの様子。レッドリボンを題材に、ネイ ルアートやうちわのデコレーションを行った。当日は、延べ3,000人 以上の来場者があった INFORMATION われました。 YMCAワールド・チャレンジ開催! めざせ500万人! ﹃ バ ブ ル の 塔 ﹄ 「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有 聖書は私達人間世界の現状を包み隠さず 名になろう。」(創世記11章4節より) 描き出します。「バベルの塔」の物語は太古 子どもの頃からキャンプや子ども会で育っ の出来事には終わりません。神を畏れず、人 た私は、指導する立場になってからも仲間達 間が天(=神の領域)に到達しようとする。 とレクリエーションを工夫してきました。そ これは大昔どころか、現代のわれわれの愚か の一つが『バブルの塔』です。チーム対抗で さを明瞭に映し出しています。食料と資源の 制限時間内になるべく高い塔を建てます。材 ために地上も地下も支配し、生命を操り、破 料は何でもいいのですが、「今身に着けてい 綻を前提に競争を繰り広げる私達の物語に、 おそ る物限定」版がお薦めです。司会者はなるべ 続きはあるのでしょうか。 く各チームを急き立てるといいでしょう。 目に見えるものは長続きしません。いつか 結果を想像できますか。たいていのチーム 必ず崩れ去ります。それでも気の小さい私達 が、高みを目指すあまり崩れてしまいます。 は、「より大きく、より高く、より強く」社会 そこに残されるのは散乱する服、靴の匂い、 を発展させないと不安なのかもしれません。 そして服装の乱れた私達! 聖書のバベルの塔の物語では、人間が天 現代社会はまさにこのバブルの塔を建て の高みを目指してあくせくする一方で、神様 続けてきました。国対抗、企業対抗、学閥対 の方が「降って来て」私達の現状をご覧に 2012年10月13日、日本および世界各地のYMCAにて一斉に「YMCAワールド・チャレンジ」を開 催します(開催日程が異なる場合あり)。これは、世界125の国と地域にあるYMCAが心を一つにして、 YMCAが「ユース・エンパワーメントを目指す団体」であることをアピールする世界YMCA同盟発信 のイベントです。ユースが主導となって、YMCAが発明したバスケットボールのシュートやそれに類 するアクションを世界500万人で行うことを目標にしています。 日本各地には、YMCAに関わって大きく成長したユースがたくさんいます。皆さまのご声援とご参 加を心よりお待ちしています。 <国内実施イベント一例> フリースローコンテスト、幼稚園の運動会や縁日での玉 入れ、通常プログラムでのミニ・バスケットシュート、 買い物かごへのシュート 等 <海外実施イベント一例> 食べ物とゲームの屋台(シンガポール)、先住民教育研 究機関にてユースリーダー会議(オーストラリア)、平 和をテーマに絵画展(パキスタン)、地震後の様子を撮 影した写真展(ハイチ)等 抗。「材料は何でもいい」とばかりに、自分 なります。神様ご自身が私達と共に地上を で制御できない物質にまで手を付けてしまい 歩み、同じ目線で物を見る。イエス様もその ました。私達東北の教会と付属幼児施設は ように地上を歩み、私達に語りかけました。 *日本YMCA同盟は2012年4月1日付けで、公益財団 その渦中で、目前の惨状に右往左往しながら 「バブルの塔」ゲームの目的は、競争の空 法人に移行しました。 1年半を乗り越えてきました。しかし町ごと閉 しさをみんなで笑い飛ばすところにあります。 http://www.facebook.com/JapanYMCAWorldChallenge をご覧ください 鎖された教会や幼稚園は放置されたまま、そ 笑えない破綻を生み出した今、本当の人間 後援:国連教育科学文化機関(ユネスコ) の他の地域でもふるさとは汚染され、仕事は サイズの生き方とは何なのか、低く貧しく生 国際バスケットボール連盟(FIBA) 減り、今後の見通しに不安は尽きません。 きた主イエスはそっと問い掛けています。 2012年10月1日発行(毎月1日発行) 昭和22年10月27日 第三種郵便物認可 本体価格45円(外税)(送料60円) 発行/公益財団法人 日本YMCA同盟 〒160-0003 東京都新宿区本塩町7 TEL:03-5367-6640 FAX:03-5367-6641 発行人/島田 茂 編集人/山根 一毅 印刷/あかつき印刷株式会社 日本キリスト教団 名取教会伝道師 荒井 偉作 1 来場者アンケートより 詳しくは、 : Japan YMCA World Challenge ●これでいい 生まれてきていて 生きていていい 何も生きていい。自分も苦しんでいる…信用を得る 私がここにいる。人とのつながり、生きていること、 考えさせられました。 ( 神奈川県 50代 教育関係) ●痛みや苦しみはその人にしか分からないし、特にHIV という病気は見掛けには出ないし、言わなければ分 からないので、その人にしか分からないつらさ、苦 しさをこうして生で聞くことができることは、本当 にありがたいことだし、少しでもその病気やその人 の気持ちを理解しよう、知ろうという気持ちになれ ました。HIVは決して人ごとではないし、将来自分も かかる可能性はないとはいえないと思う。だからこ そ、このような貴重な話を聞くことができて本当に 良かったです。 (神奈川県 10代 学生) ●自分の生き方も考えさせられました。ありがとうござ いました。(東京都 20代 学生) ●HIVに対しての自分の認識が少ないため、今日このプ ログラムを聞かせていただき、これから少しずつ勉 強していけたらいいと思いました。 (神奈川県 40代 教育関係) ●興味をひかれる分科会が並行して行なわれるので、 いろいろ参加したくなり、気になりました。若い人達 の参加が頼もしく感じました。 (神奈川県 50代 教育関係) ●HIV陽性患者の方の生の声を聞くことができたことが 新鮮であった。(神奈川県 50代 保健医療関係) ●自分にはない考え方を聞けて、自分の思考の視野が 広がった。(神奈川県 10代 学生) 2012年度 世界YMCA/YWCA 合同祈祷週 YMCA/YWCA合同祈祷週とは、全世界に広が るYMCA、YWCAに連なる人たちが、毎年一つの テーマをもとに、聖書からメッセージを聴き、祈 りを共にするときとして定めています。 テーマ:「暴力に勝利はない―人権と尊厳の尊重を 目指して」 日 程: 2012年11月11日(日)∼17日(土) 第 1 日 : 正義による平和 詩篇12編6節 第 2 日 : HIVと、性と生殖に関する健康と権利 創世記1章27節 第 3 日 : 有害な伝統習慣 詩篇9章10節 ガラテヤの信徒への手紙6章2節 コロサイの信徒への手紙3章12‐14節 ルカによる福音書11章11‐13節 第 4 日 : 気候変動と女性の権利 創世記1章26節、31節 第 5 日 : 家族間における暴力 創世記4章8‐9節 第 6 日 : 弱い立場におかれた人々への暴力の防止 マタイによる福音書25章40節 第 7 日 : 礼拝 ホセア書11章8節後半ー11節 4 No.720/2012 October 10 The Young Men's Christian Association News YMCA国際協力募金 キックオフ 「子どもが未来を創る−かけがえのない いのちと平和」をテーマに 今年も全国でYMCA国際協力募金活動が行われます。一人ひとりの思 いが大きな力となって世界を変える一歩となります。 YMCA国際協力募金は、すべての人びとが、国・民族・宗教 の違いを超え、平和に生き生きと暮らすことができる社会を創り 出すため、YMCAが行う国際協力・地域奉仕活動に用いられ ます。 ・自然災害や紛争、貧困によって命の危険にさらされている子ど も達のために ・国内外の青年のリーダーシップ育成のために ・災害被災地の中長期支援のために ・平和を創り出す活動のために 2011年度に全国のYMCAに寄せられた国際協力募金は総額 43,194,627円となりました。ご協力ありがとうございました。 6カ国70人の学生が平和への願いと想いを合わせて 第34回ユースピースセミナーー広島YMCA 世界の仲間を覚え、一歩踏み出そう! 8月4日∼6日、日本各地、モン 国 際 協 力の礎となるYMCAの活動 ゴル、台湾、韓国、フィリピン、ド イツから総勢約70人の参加者が広 秋に入ると全国のYMCA国際協力募金キャンペーンが開催されます。YMCAは、一人ひとりのいのちが尊重される平和な世界の実現のためには、国境を越えた人と 人との交流や学び合いが大切だと考えます。世界の仲間を覚え、私達一人ひとりが行動するとき、世界は少しずつ変わっていきます。今回の特集では、そのような行動 の担い手であり原動力となる青年達を対象としたYMCAの取り組みを紹介いたします。 島に集い、「わたしの平和、あなた の平和、これからの平和」をテー マに第34回ピースセミナーを実施 知り・考え・行動する地球市民となる しました。 初日は、被爆体験者の平井昭三 YMCA地球市民育成プロジェクト 夏期研修ー日本YMCA同盟 さんからお話を伺いました。原爆 投下後の広島市内の様子、大切な 「YMCA地球市民育成プロジェクト」の夏期研修が、今夏も8月29日∼9月4日、国 語り出すようになります。今日、大きな課題の前に無力感や閉塞感を持つユース達に、 家族との死別を乗り越え、これか 際青少年センター東山荘にて実施されました。研修生は日本・韓国・台湾・香港・マカ 出会いと行動のきっかけを提供し、手助けをすることが、「人を育てる」YMCAの国際 らの未来に託す平和への強い願い オの各国より、総勢77人。2004年の世界YMCA大会にて、ユースを変革の担い手 協力の第一歩であることを実感する場面です。 が感じられるお話でした。その後のグループ別ワークショップでは、平和記念公園内にある記念碑 (Change Maker)、“YMCA地球市民(YMCA Global Citizen)”として育成するこ 研修のフィールドワークでは靖国神社や元ハンセン病療養所、日本キリスト教団神奈 の写真を前に意見交換を行いました。参加者は、記念碑の写真と説明文とを組み合わせ、一つひ とが決議され、日本ではアジア・世界に先駆け取り組み、今回で4年目、3回目の研修と 川教区寿地区センター 等にも訪問し、アジアの歴史と戦争責任に向き合い、差別や貧困 とつの記念碑にどのような意味や願いが込められているのかを確認しながら、時と共に記念碑に なります。 の現場にも目を向けました。同じ過ちを繰り返さないように、地球規模での視野を持ち 原爆の惨禍を今に伝える原爆ドームの前で アフガニスタン難民子ども支援 ラホールYMCA小学校 込められた思いが、「追悼の意」から「平和への願い」へと少しずつ変化している様子を見いだし 一週間の研修は原則英語を用いて参加型ワークショップとグループ討議を中心に進め ながら、しっかりと足元に根を張り、地球市民としていかに生きることができるか問い 子どもらしく遊ぶ・学ぶ・生きる ました。 られ、語学力や経験不足ゆえに、しばしば口ごもる研修生もいます。彼らに対して、 合いました。 二日目は記念碑巡りを行い、平和記念資料館の見学を行った後、戦争のない未来を願って活動 ファシリテーターやリソースパーソンからは、一人ひとりの存在と意見はかけがえがな 最終日には一人ずつ、今後1年間で実行するアクションプランを立案し、発表しまし するNPO「I PRAY」の子ども達による平和創作劇を鑑賞しました。子ども達の力強いステージ く、世界の問題解決の大きな力となることが繰り返し伝えられます。一週間という短い た。若者らしい正義感、斬新なアイデアも多く見受けられ、これらの成果が社会変革の キスタンには今も170万人の難民がいるといわれています。2003年、日 からは、戦争の恐ろしさ、卑劣さを次世代に伝承していかなければならないという力強い使命を 期間でも日に日に大きく成長し、自信を身に付け、地球市民としてのビジョンや責任を うねりを導いていくことを期待します。 (日本YMCA同盟 編集部) アフガニスタンでは長い内戦に加え、2001年9月の同時多発テロ後 のアメリカの攻撃により、多くの人びとが国外へ逃れました。隣国パ 本とパキスタン・ラホールのYMCAは難民の子どものために小学校 感じました。その夜2回目のワークショップを行い、実際に記念碑を見て感じたことを共有し合っ を開設。現在では1∼4年生まで約80人の子どもが学んでいます。読み た後で、グループごとに自分達の記念碑を紙に書いて創造しました。 書き計算の習得は将来の職業選択の可能性を広げ、不当な取引や争い グループで創造した記念碑は、セミナー最終日に発表しました。あるグループは、ハスの花の から逃れ、自分の命を守ることにもつながります。学校では毎日の給 上に描いた地球を、ピース(平和)という文字で包み込むように描き、平和で包まれる世界への願 食提供と、週1回の健康チェックも行っています。 いを表現していました。最後に皆で共有し合った感想からは、多くの参加者がこうして集まり平和 長引く国外での暮らしの中で、子ども達がのびのびと遊び、学び、 について考えることの大切さを感じ取っている様子でした。「過去の過ちを変えることはできな 生きることができるよう、YMCAは取り組みます。 い。けれど、未来は変えられる。 第3期生アクションプラン ●夏期研修では、さまざまな国の人 と交流し友情を築くことができた。 しかし現実には、「差別」が日々い たる所で起こっている。日本国内 の就職差別について調べ、差別の 本質を考えたい。 平和な未来を創り上げていくのは、 他でもない自分達」という参加者 の力強い声も聞くことができまし た。参加者の平和への願いと思い が重なることで、より一層強めら れた今回のセミナーが、それぞれ の地で一人ひとりが学び、考え続 ●地球温暖化、気候変動の問題は大 量消費の生活スタイルを原因とし て起こっている側面がある。その ため、エコバッグやマイ水筒を持 ち歩き、物を大切にすることや、プ ラスチックや石油製品になるべく 依存しない方法を実践していく。 ●日中韓の歴史問題を調べたい。現在、 日中韓の関係は領土や歴史の見解が 異なることで緊張感が高まっている。 歴史を学び、今とどのようにつな がっているのか、自分/自分達の世 代はどのような未来を歩んでいきた いのか、話し合う場を持ちたい。 ●ワークショップを通じて、世界の上 位5%の人によって、世界中の約 87%の富や食べ物、資源が集められ、 消費されていることに衝撃を覚えた。 ※本プロジェクトのためにYMCAユースファンド 「偏り」の中で生活していることを少 およびワイズメンズクラブ国際協会東西日本 しでも変えるための方法を探したい。 区よりご支援をいただいています。 ける一つのきっかけになることを 願っています。 グループで心を込めて描いた記念碑と共に (広島YMCA 松原 春香) 月曜日から金曜日まで、英語、ウルドゥ語、算数、イスラム教等を学ぶ。 よりよい環境で学べるように∼今後の取り組み 皆さまの募金によって支えられます。ご協力をお願いいします。 ●より高い知識を身に付けられるよう、4学年制から5学年制へ移行。 ●子ども達の健康と成長の助けとなるよう、給食の献立を充実。 ●衛生教育への取り組みと住環境の改善。 ●女性が利用しやすいよう週1回の健康チェックに女性看護師を派遣。 ●若い難民の中から教師を採用し、育成。 YMCA国際協力募金リーフレット 従来のリーフレットに加え、子ども達にも募 金による支援についてより身近に感じ、考え るきっかけとしてもらいたいとの思いから子 ども向けリーフレットを作成しました。三つ折 りカラーでイラストや地図、写真と共に活動 を紹介しています。語句の説明、ワーク等も あり、楽しく知る内容になっています。ぜひご 覧ください。 YMCA国際協力募金に関するお問い合わせは お近くのYMCAまたは日本YMCA同盟まで [email protected] ☎03-5367-6640 http://www.ymcajapan.org/fundraising/index.html 3 震災で被災された英語教師テーラーさんの遺志から生まれた国際交流事業 テーラー基金青少年国際交流プログラムー東京YMCA・仙台YMCA YMCAも賛同します! 7月30日∼8月7日、宮城県石巻市に住む中学生7人と共に、米国のバージニア州にある てくれたり、日本の文化に 平和な世界を願い、一人ひとりにアクションを呼びかける 「Project NOW!」 リッチモンドを訪問しました。リッチモンドは、震災の津波によって命を落とされた彼らの 興味を持って話しかけてく 広島平和文化センター理事長であるスティーブン・リーパー氏が発 案し、2011年に発足した団体、「Project NOW!」。「核兵器廃絶」とい う大きな課題に、一人でも多くの人が身近な問題として向き合えるよ う、アートブックを作成する等して活動している。右の作品は、アート ブック『NOW!』より。原爆によって私達が一瞬にして奪われるものの 尊さと、「今(NOW)、何かを行動に移そう」という作者の訴えが伝 わってくる。 日本と世界をつなぐ役割を担うことを願って2008年に来日され、石巻市で英語教師とし た、テーラーさんのご両親 て活躍されていました。テーラーさんの遺志を継ぎ、ご家族が設立された「テーラー記念 やホストファミリーの方々 基金」からの支援を受け、YMCAの企画で実施された今回のプログラム。テーラーさんの は、震災を経験した子ども 影響もあって、英語を使って海外の人達と交流したい、という強い思いを持って参加した 達のこころや健康状態を常 恩師、テーラー・アンダーソンさんの生まれ故郷です。 れる現地の子ども達と楽し 幼少の頃からYMCAのメンバーでもあったテーラーさんは、日本の文化に興味を持ち、 い時間を共有しました。ま 子ども達は、現地で出会った中高生・ホストファミリーの方々・テーラーさんのご両親と積 に気遣い、「楽しんでる?」 極的にコミュニケーションを 「疲れてない?」「よかった 図ることができました。 ね」と繰り返し声を掛け、励 まし続けてくださいました。 リッチモンドYMCAのデイキャンプ場で出会った子ども達と この手はなにを掴みたかったの? (『NOW!』P41より) 今回参加した子ども達に ◆市民が平和文化を創り出す!リーパー氏講演会を実施 横浜YMCAでは、6月11日、スティーブン・リーパー氏講演会「Project NOW! 反核運動と日本の 役割」を実施しました。リーパー氏は、ヒロシマ・ナガサキの被爆経験がある日本こそ世界を牽引 できる平和のリーダーになりうる立場にあること、そして、核兵器廃絶についても市民が声をあげ ていくことの大切さを語ってくださいました。奇しくも11日は東日本大震災を憶える日でした。核産 業が核兵器も原子力発電所も作る現状を踏まえ、「日本が脱原発に向かうか、あるいは再稼働の 方針をとるか、世界中が注目している」という語りかけに、参加者は地球市民として行動を起こす ことを考えるきっかけを与えられましした。 (横浜YMCA 三宅 晶子) リッチモンドでは、子ども達一人ひとりの名前が書かれたボードを 持って、ホストファミリーの方々がお出迎え とって、何よりも収穫となっ 参加した子ども達の中には、「たくさんの人に支えてもらったから、自分も恩返しできる たのは、自分達のことを思い、 ようになりたい」、という感想を残した子もいます。英語で十分に会話ができた訳ではあり やさしく受け入れてくれるた ませんでしたが、自分達をやさしく受け入れ、思ってくれる相手の存在を身近に感じ、 くさんの人達との出会いで 「もっと知りたい」「分かり合いたい」という気持ちを持ち帰ってきました。震災という大 した。リッチモンドYMCAの きな困難を経験しつつ、一方で人のあたたかさに触れ、遠い国の人達とつながる喜びを心 協 力 を 得 て 参 加し た デ イ に刻んだ子ども達は、より良い世界を築くための原動力を担っていくことでしょう。これか キャンプでは、カヌーやアー らも、人との出会い、つながりを糧にして未来に向かう子ども達を支援するYMCAであり チェリー等のアクティビティ 続けたいと願っています。 の楽しみ方を丁寧に伝授し (日本YMCA同盟 日野 枝里子) 2 No.720 2012 OCTOBER The Young Men's Christian Association News URL:http://www.ymcajapan.org/ No.720/2012 October 10 The Young Men's Christian Association News 10 私達にできる平和づくり 広島女学院大学学長 長尾 ひろみ ●AIDS文化フォーラムin横浜―横浜YMCA 全国的にそうであったように、広島も今年の夏は 広島平和文化セン 猛暑でした。その暑さの中、8月6日を中心に広島 ター理事長のスティー ではさまざまな平和プログラムが行われました。 ブン・リーパー氏も、 原爆の後遺症で白血病になり12歳で亡くなった “War Culture” と “Peace Culture”の話をして 佐々木貞子さんのお兄さん、佐々木雅弘氏が代表 くださいました。「目には目を、歯には歯を」とい をされている SADAKO LEGACY の招待で、原子 う自己主張の社会は“War Culture”であり、「許 爆弾投下の命令を下したアメリカ大統領トルーマ し、忍耐、許容、希望と愛」というキーワードでこ ンの孫であるクリフトン・トーマス・ダニエル氏と、 の世の中が満たされるのが“Peace Culture”です。 エノラゲイ戦闘機のレーダー士の孫であるアリ・メ われわれが慣れ親しんだ平和な生活は、果たしてど イヤー・ビーザー氏が広島にやってきました。そし ちらの文化でしょうか。 て、8月5日、その二人が若者との対話を目的に広 最近、子ども向けのテレビ番組やゲームは、「戦 島女学院大学でのピースセミナーにも参加してく い」「強い者が弱い者をやっつける」「たたかれる れました。 から殴り返す」というテーマが多いのではないで 広島が一瞬にして灰になり、多くの人が亡くなり、 しょうか。次の平和な世界を担う次世代に対する平 また放射能の後遺症で苦しむという結果を招いた 和教育がきちんとなされているかが気掛かりです。 原爆。それを自分の目で直視したいというのが彼ら 世界の人達が、平和を求める対話をし続けるため の来日の目的でした。原爆の問題は、過去60余年、 には、共通言語としての「英語力」を身に付けるこ 議論され続けてきました。原爆投下を非難すれば、 とも必要でしょう。しかしそれ以上に、共に語る 必ず真珠湾攻撃も非難されます。でも、いずれにし 「内容」をそれぞれが学ぶことです。英語だけでは ても、アメリカ人も日本人も、この戦争のためにど なく、世界の経済、環境、そして多様な文化や宗教 れだけの命を双方が失ったか計り知れません。 を知ることで、国境を越えた人達と理解し合うこと 今回のアメリカ人二人と日本の学生達との対話 が可能になります。 では、この悲劇を招いたのは「戦争」であり、人を 世界の平和の構築ために、“Peace Culture”を 恨むのではなく、過去を非難し合うのではなく、次 この世に作るために、自分が今いる所でできること の世代が未来を見て、「戦争」をなくし「平和」を から始めませんか。 構築するための対話を繰り返すことであると話し合 (世界YMCA同盟常議員/日本YMCA同盟常議員) 8月3日∼5日、横浜YMCAが事務局を務める「第19回AIDS文化フォーラムin横浜」をかながわ県民 センターで実施しました。 テーマ「AIDS??文化???−仲間新発見−」のもと、全国から45の分科会、19の展示ブースと、 HIV/AIDS啓発活動を行うNGO、NPO、行政、個人が集まりました。運営サポートスタッフには、中学 生から社会人まで40人の協力を得られました。 オープニングでは、「無関心社会の中で京都に広がったフォーラム」と題し、エイズへの関心が薄 れる中で、なぜ「AIDS文化フォーラムin京都」が実現したのか、またそのことによる横浜と京都の相 乗効果について、京都より実行委員を招いてディスカッションしました。来場者は周囲にHIV/AIDSへ の理解を伝えることの大切さを共有しました。 近年、若者のHIV/AIDSへの関心が薄れて、感染が広がっていることが懸念されています。プログラ ムでは若者から若者へピア・エデュケーションの講座や、リストカット、薬物依存、デートDV等、支 援を必要とする若者の心理に迫る内容が好評でした。 横浜YMCAの関係では、「横浜AIDS市民活動センター」が発表・展示に参加。他に、横浜YMCAの ブランチであるYMCA ACT※ のボランティアが、「世界がもし100人の村だったら‐HIV/AIDSバージョ ン」を実施しました。また、バンコクYMCAと協働する児童保護プロジェクトに関連して、人身売買 の解決方法を考えるワークショップも行いました。 今年度からは、組織委員会に、以前からサポー トスタッフとしてご協力いただいているワイズメ ンズクラブ国際協会東日本区湘南・沖縄部が加わ り、お支えていただいています。1994年、エイズ 国際会議が横浜で開かれたことをきっかけに始 まった、市民による市民のためのフォーラムは、 たくさんの人に支えられ、来年で20周年を迎えま す。今年もフォーラムを支えてくださった皆さま、 そして近隣YMCAからご来場いただいた皆さまに 心より感謝申し上げます。 (横浜YMCA 三宅 晶子) ※「YMCA ACT」・・横浜YMCAの中で、語学事業や国際交流プログ ラムに特化したブランチ。Active Communication Terminalの略称。 実行委員によるワークショップの様子。レッドリボンを題材に、ネイ ルアートやうちわのデコレーションを行った。当日は、延べ3,000人 以上の来場者があった INFORMATION われました。 YMCAワールド・チャレンジ開催! めざせ500万人! ﹃ バ ブ ル の 塔 ﹄ 「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有 聖書は私達人間世界の現状を包み隠さず 名になろう。」(創世記11章4節より) 描き出します。「バベルの塔」の物語は太古 子どもの頃からキャンプや子ども会で育っ の出来事には終わりません。神を畏れず、人 た私は、指導する立場になってからも仲間達 間が天(=神の領域)に到達しようとする。 とレクリエーションを工夫してきました。そ これは大昔どころか、現代のわれわれの愚か の一つが『バブルの塔』です。チーム対抗で さを明瞭に映し出しています。食料と資源の 制限時間内になるべく高い塔を建てます。材 ために地上も地下も支配し、生命を操り、破 料は何でもいいのですが、「今身に着けてい 綻を前提に競争を繰り広げる私達の物語に、 おそ る物限定」版がお薦めです。司会者はなるべ 続きはあるのでしょうか。 く各チームを急き立てるといいでしょう。 目に見えるものは長続きしません。いつか 結果を想像できますか。たいていのチーム 必ず崩れ去ります。それでも気の小さい私達 が、高みを目指すあまり崩れてしまいます。 は、「より大きく、より高く、より強く」社会 そこに残されるのは散乱する服、靴の匂い、 を発展させないと不安なのかもしれません。 そして服装の乱れた私達! 聖書のバベルの塔の物語では、人間が天 現代社会はまさにこのバブルの塔を建て の高みを目指してあくせくする一方で、神様 続けてきました。国対抗、企業対抗、学閥対 の方が「降って来て」私達の現状をご覧に 2012年10月13日、日本および世界各地のYMCAにて一斉に「YMCAワールド・チャレンジ」を開 催します(開催日程が異なる場合あり)。これは、世界125の国と地域にあるYMCAが心を一つにして、 YMCAが「ユース・エンパワーメントを目指す団体」であることをアピールする世界YMCA同盟発信 のイベントです。ユースが主導となって、YMCAが発明したバスケットボールのシュートやそれに類 するアクションを世界500万人で行うことを目標にしています。 日本各地には、YMCAに関わって大きく成長したユースがたくさんいます。皆さまのご声援とご参 加を心よりお待ちしています。 <国内実施イベント一例> フリースローコンテスト、幼稚園の運動会や縁日での玉 入れ、通常プログラムでのミニ・バスケットシュート、 買い物かごへのシュート 等 <海外実施イベント一例> 食べ物とゲームの屋台(シンガポール)、先住民教育研 究機関にてユースリーダー会議(オーストラリア)、平 和をテーマに絵画展(パキスタン)、地震後の様子を撮 影した写真展(ハイチ)等 抗。「材料は何でもいい」とばかりに、自分 なります。神様ご自身が私達と共に地上を で制御できない物質にまで手を付けてしまい 歩み、同じ目線で物を見る。イエス様もその ました。私達東北の教会と付属幼児施設は ように地上を歩み、私達に語りかけました。 *日本YMCA同盟は2012年4月1日付けで、公益財団 その渦中で、目前の惨状に右往左往しながら 「バブルの塔」ゲームの目的は、競争の空 法人に移行しました。 1年半を乗り越えてきました。しかし町ごと閉 しさをみんなで笑い飛ばすところにあります。 http://www.facebook.com/JapanYMCAWorldChallenge をご覧ください 鎖された教会や幼稚園は放置されたまま、そ 笑えない破綻を生み出した今、本当の人間 後援:国連教育科学文化機関(ユネスコ) の他の地域でもふるさとは汚染され、仕事は サイズの生き方とは何なのか、低く貧しく生 国際バスケットボール連盟(FIBA) 減り、今後の見通しに不安は尽きません。 きた主イエスはそっと問い掛けています。 2012年10月1日発行(毎月1日発行) 昭和22年10月27日 第三種郵便物認可 本体価格45円(外税)(送料60円) 発行/公益財団法人 日本YMCA同盟 〒160-0003 東京都新宿区本塩町7 TEL:03-5367-6640 FAX:03-5367-6641 発行人/島田 茂 編集人/山根 一毅 印刷/あかつき印刷株式会社 日本キリスト教団 名取教会伝道師 荒井 偉作 1 来場者アンケートより 詳しくは、 : Japan YMCA World Challenge ●これでいい 生まれてきていて 生きていていい 何も生きていい。自分も苦しんでいる…信用を得る 私がここにいる。人とのつながり、生きていること、 考えさせられました。 ( 神奈川県 50代 教育関係) ●痛みや苦しみはその人にしか分からないし、特にHIV という病気は見掛けには出ないし、言わなければ分 からないので、その人にしか分からないつらさ、苦 しさをこうして生で聞くことができることは、本当 にありがたいことだし、少しでもその病気やその人 の気持ちを理解しよう、知ろうという気持ちになれ ました。HIVは決して人ごとではないし、将来自分も かかる可能性はないとはいえないと思う。だからこ そ、このような貴重な話を聞くことができて本当に 良かったです。 (神奈川県 10代 学生) ●自分の生き方も考えさせられました。ありがとうござ いました。(東京都 20代 学生) ●HIVに対しての自分の認識が少ないため、今日このプ ログラムを聞かせていただき、これから少しずつ勉 強していけたらいいと思いました。 (神奈川県 40代 教育関係) ●興味をひかれる分科会が並行して行なわれるので、 いろいろ参加したくなり、気になりました。若い人達 の参加が頼もしく感じました。 (神奈川県 50代 教育関係) ●HIV陽性患者の方の生の声を聞くことができたことが 新鮮であった。(神奈川県 50代 保健医療関係) ●自分にはない考え方を聞けて、自分の思考の視野が 広がった。(神奈川県 10代 学生) 2012年度 世界YMCA/YWCA 合同祈祷週 YMCA/YWCA合同祈祷週とは、全世界に広が るYMCA、YWCAに連なる人たちが、毎年一つの テーマをもとに、聖書からメッセージを聴き、祈 りを共にするときとして定めています。 テーマ:「暴力に勝利はない―人権と尊厳の尊重を 目指して」 日 程: 2012年11月11日(日)∼17日(土) 第 1 日 : 正義による平和 詩篇12編6節 第 2 日 : HIVと、性と生殖に関する健康と権利 創世記1章27節 第 3 日 : 有害な伝統習慣 詩篇9章10節 ガラテヤの信徒への手紙6章2節 コロサイの信徒への手紙3章12‐14節 ルカによる福音書11章11‐13節 第 4 日 : 気候変動と女性の権利 創世記1章26節、31節 第 5 日 : 家族間における暴力 創世記4章8‐9節 第 6 日 : 弱い立場におかれた人々への暴力の防止 マタイによる福音書25章40節 第 7 日 : 礼拝 ホセア書11章8節後半ー11節 4