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米 FDA,バルプロ酸の胎児危険度分類を D から X に

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米 FDA,バルプロ酸の胎児危険度分類を D から X に
Vol.1.⑬
平成調剤薬局 医薬品情報 2013.5.13
D:危険性を示す確かな証拠がある
X:妊娠中は禁忌
X:妊娠中は禁忌
米 FDA,バルプロ酸の胎児危険度分類を
,バルプロ酸の胎児危険度分類を D から X に引き上げ
臨床試験で胎児期曝露により 6 歳時点の IQ 低下
DI 室長 : 朝倉 恵美子
安全性情報の対象となった製品はバルプロ酸ナトリウム(米での商品名 Depacon),バルプロ酸・バルプロ酸ナ
トリウム配合薬(Depakote,Depakote CR,Depakote ER),バルプロ酸(Depaken,Stavzor)と各種ジェネリ
ック。
FDA は同薬の胎児危険度分類を D から X に引き上げる他,妊婦への「片頭痛の予防」を目的とした同薬使用を
禁忌とすることを発表している。同薬の米国内における適応はてんかん,双極性障害の躁状態,片頭痛の予防で,
その他の精神疾患にも適応外使用されることがある。今回の安全性情報では,これらの薬剤の胎児危険度分類を
最も重い X に引き上げる他,妊婦への「片頭痛予防」を目的とした投与を禁忌とすることが示された。
今回の措置の根拠とされたのは,今年(2013 年)発表された NEAD(Neurodevelopmental Effects of
Antiepileptic Drugs)試験の結果(Lancet Neurol 2013; 12: 244-252)。妊娠中にバルプロ酸を服用していた母
親から出生した小児において,他の抗てんかん薬を服用していた場合に比べ,6 歳時点の IQ の有意な低下が見ら
れた(表
表)。
妊娠初期のバルプロ酸服用歴と児の二分脊椎などとの関連が知られており,各種ガイドラインでは計画的妊娠
や妊婦への慎重な使用,葉酸の予防投与などが推奨されている。
今回の安全性情報では,同試験の全対象妊婦を対象とした解析により,妊娠前から葉酸を使用していた群では
非使用群に比べ,IQ 中央値が高い傾向が見られたとの情報も示されている。しかし,この知見についてはあらか
じめ設定された評価項目ではなく,試験登録時に後ろ向きに収集された情報であることから,FDA は解釈に注意
が必要との見解を示している。一方,同試験の主要な結果は過去の疫学研究の結果に矛盾していないとも述べて
いる。
A:ヒト対照試験で危険性がみいだされない
B:人での危険性の証拠はない
C:危険性を否定することができない
Medical Tribune より引用
参考:現時点での国内添付文書内容(一部抜粋)
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[二分脊
椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤の成分
を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇形、その他の奇形を有する児を出産したとの
報告がある。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとする報
告がみられる。]
妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単剤投与することが望ましい。[他の抗てんかん剤(特にカルバマゼピ
ン)と併用して投与された患者の中に、奇形を有する児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査報告がある。]
動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある。
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