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惑星ってきれいな色だね -G-TaK映像資料の活用
事例32 G-TaKを使用した指導 肢体不自由養護学校 惑星ってきれいな色だね −G-TaK映像資料の活用(中学3年理科2分野「地球と宇宙」)− Ⅰ 子どもの実態 この学習グループの生徒は、中学部3年の男子2名、女子1名の3名である。学年相当の教科 書を使用し、一斉授業で学習している。3人の学力差があるものの意見を交換し合ったり、協力 して観察・実験を行なったりする雰囲気があり、お互いに影響をしあいながら学習している。以 下に生徒ごとの実態を記す。教科における実態として ①自然への興味・意欲・態度、 ②科学的な思考、 ③観察・実験の技能・表現、 ④自然事象についての知識に分けて記入する。 生徒 A女 教科における実態 ①新しいことを知ろうという前向きな態度で授業に臨んでいる。 ②惑星の見え方等の分析的、理論的なとらえ方は難しい。 ③両手の不随意運動があるため、技能面が困難であるが道具の使用方法を理解し、口 頭で表現することができる。 ④家庭学習をするなど理解に時間がかかるが学習内容が定着している。 B男 ①新しい内容へ強い関心を持っていて、意欲的に探求することができる。 ②惑星の見え方等の分析的、論理的なとらえ方が難しい。 ③道具を積極的に操作して観察を行い、的確な表現をすることがある。 ④授業の中で的確な発言が多々見られる。 C男 ①「知りたい」という強い気持ちがあり、理科を得意教科に挙げているほどである。 ②目的意識を持って活動し、季節の変化については理論的に考えることができる。 ③観察・実験操作では方法をよく理解しているが手先を使っての作業に多少困難さが 見られる。 ④基本的な原理、法則や概念を理解している。 Ⅱ 指導のねらい 本単元「地球と宇宙」では、「身近な天体の観察を通して、地球の運動について観察するとと もに、太陽の特徴について理解を促し、太陽系についての知識を深める」という目標を掲げ、授 業を計画した。この単元は、天体を観察したり、プラネタリウムでの体験活動を取り入れたりす るなどを通して学習することが求められる。本学習グループでは、太陽の観察やプラネタリウム での学習を2学期上旬から中旬に取り入れた。机上の資料だけでは理解しがたい内容ではあるが、 生徒たちは観察や校外学習の中で好奇心を持って授業に取り組み、地球と宇宙についての知識を 身につけることができた。ところが、太陽系の惑星についての学習において、野外での星の観察 が困難であった。また、学校や家庭にある天体望遠鏡で惑星の様子(表面、色)を詳しく知るに は物質的に難しい状況があった。 そこで、映像資料(G-TaK)を用いての学習を設定した。これは、静止画だけではなく、動画 もあり図鑑には得がたいよさがある。また、VTRよりも映像が美しく、一時停止もきれいに見る ことができる。より鮮明な天体の映像を自分の目で確かめることにより、地球や月といった天体 の他にもさまざまな惑星やはるかかなたの銀河があることを知り、宇宙への興味・関心を高める ことができる。さらに宇宙についての理解を深めることができることを期待し授業を計画し、実 - 1/3 - 事例32 G-TaKを使用した指導 肢体不自由養護学校 施した。 Ⅲ 使用した教材・教具 教育センターが提供しているG-Takの、中学校のフォルダ「理科」の中の「2分野」「地球と宇 宙」を活用した。単元「地球と宇宙」では、季節の変化や惑星の公転軌道、いろいろな天体の様 子とさまざまな映像資料が用意されていた。学習の進度や内容によって、教員が提示したり、生 徒自身が見たいものを選んだりして活用した。 Ⅳ 生徒の活動 資料1、理科学習指導案参照 Ⅴ 今後の指導 G-TaKの映像資料を見たとき、「わー、冥王星ってこんなきれいな色していたんだね」「太陽の 黒点は実際に観察したときよりもたくさんあるんだ」「木星にある大きな台風は動いていたん だ」などと生徒の発言があった。惑星や太陽に自分なりに持っていた予想と実際の様子が異なる ところに驚きが生まれていた。次の授業ではどんな天体を学習するのか、観察をするのかと楽し みにしている様子が見られた。 理科の学習において、実験・観察は欠くことのできない学習方法である。本校の生徒は野外観 察等に出かける場合、長距離にともなう移動や砂利道のような悪路、段差のある移動が困難であ る。 そこで、より実際に近い状態の映像資料を観察し、自分の目で見ることは、興味・関心を持っ て理解を深めることにつながると言えよう。今後も生徒の実態を考えて、できるだけ実際に観 察・実験することに加え、G-TaKのような映像資料を活用し、「わかりやすくておもしろい」授 業を計画していきたい。また、理科の学習に加え、他の教科での活用についても検討していこう と考えている。 資料1 理科学習指導案 1 題材 2 生徒の実態 太陽系 (単元 地球と宇宙) (本文Ⅰを参照) 3 本時の学習 (1) 目標 太陽系の主な天体の特徴について資料を調べ、それを元にしていろいろな惑星について興味・ 関心を持つ。 (2)準備 教科書(大日本図書 中学理科2分野下)、ワークシート、パソコン(G-TaK) (3)評価についての配慮事項 【技能・表現】においては、実態を考慮する。上肢等に障害があり、実験・観察等の操作活動 が困難 な場合、言葉での参加や指示ができれば、習得できたと評価する。 - 2/3 - 事例32 G-TaKを使用した指導 肢体不自由養護学校 (4)展開 活動内容 生徒の活動 1.前時の学習を ・前時の学習内容に 時間 5 支援及び留意点 ○復習をクイズ形式に行うことで興味を高 評価項目 【興味・関心】 確認し、本時の課 ついて確認し合い、 めて発言をうながすと共に本時の授業につ ○惑星に関する 題を知る。 本時の流れと課題を なげる。 友だちの発表を とらえる。 ○本時の課題を明確に伝え、目的意識を持 聞き、惑星に対 って授業を受けられるようにする して興味・関心 を深める。 2.調べ学習で行 ・ 「宇宙旅行計画」の 15 ○聞く側にとって、わかりやすくて、興味 った「宇宙旅行計 企画者となり、プレ 深い発表になるよう発表者がある旅行会社 画」の発表を通し ゼンテーションを行 の「旅行計画」の企画者という意識を持っ 【科学的な思 て、いろいろな惑 う。 て説明することとする。 考】 星の特徴をとらえ ・発表の手順、聞く ○ 生徒が調べた惑星と惑星同士の比較がで ○惑星の発表や る。 きるよう質疑応答を設ける。 時の観点を確認して から始める 3 . パ ソ コ ン ・調べた惑星以外に 映像資料から、 特徴を見いだし 15 ○ パソコンで何を調べるのかという目的意 太陽系の天体を ( G-TaK) を 使 っ どんな惑星があるの 識を明確にして活動に取り組めるように発 とらえることが て、発表にあった か考える。 表にあった以外にどんな惑星があるのか考 できる。 惑星以外の惑星を ・パソコン(G-TaK)を える時間を設定する。 知る。 使って、その他の天 ○ パソコン(G-TaK)の映像から表面の様 【知識・理解】 体の様子を見る。 子や色等の特徴をとらえたり、解説を聞い 天体の特徴につ たりすることを通して、自分の調べた内容 いて理解し、知 と照らし合わせ、特徴について理解を深め 識 を 身 に つ け られるようにする。 ○ 大きさについては、パソコン(G-TaK) の「地球と惑星の位置関係」の映像を用い て、理解できるようにする。 4.本時の追求活 ・活動の結果や自己 10 ○ 意見交換では、自分の考えや理解したこ 動について意見交 の評価を通して、本 とを整理し、学習の深まりが持てるように 換を行い、活動や 時の課題について意 する。 自己の考え方や見 見交換を行う。 方の変容をとらえ る。 5.次回の方向性 を確認する。 5 ○次回は、惑星の特徴をプリントにまとめ る等をすることを伝え、意欲の継続を図 る。 - 3/3 - る。