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配付資料のダウンロード - Sato Lab., CNEAS, Tohoku Univ.

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配付資料のダウンロード - Sato Lab., CNEAS, Tohoku Univ.
電波科学による防災・減災
東北大学 東北アジア研究センター
[email protected]
佐藤 源之研究室
http://magnet.cneas.tohoku.ac.jp/satolab/satolab-j.html
私達は環境計測、防災・減災などを目的として電波科学を
応用した衛星・航空機マイクロ波リモートセンシング(SAR)、
地中レーダ(GPR)・電磁法などの開発と応用に取り組んでき
ました。
アフガニスタンやカンボジアにおける地雷検知・除去、ま
たロシア、中国、韓国、モンゴルの植生や地下水環境調査
を現地研究者と共同で進め、国際貢献をめざしています。
一方で震災復興をめざして家屋・構造物の非破壊検査や
遺跡調査へ応用研究を進めています。
私達が持つ他にない技術的な特長
 センサのポジショニング技術
 広い周波数帯域での電波計測技術
 両者を組み合わせた高精度イメージング
ALISによるカンボジア地雷検知作業
2台のALISを利用し総計197,930㎡の範
囲で地雷除去活動を実施し80個の地雷
を除去しました.
主要な研究テーマ
アレイ型GPRによる
津波被災者捜索活動
 レーダポーラリメトリを用いた衛星(ALOS/PALSAR)・航空機搭載
合成開口レーダ(Pi-SAR2)による被災状況把握
 地中レーダ・電磁波による地下計測(震災による高台移転と遺跡
調査、震災による地盤被害調査)
 地中レーダによる人道的地雷検知(カンボジアで80個以上の地
雷を除去しました)
 GB-SARによる地滑りモニタリング(栗駒山)
 地中レーダーで震災被災者捜索 (閖上)
 電磁波を用いた建造物非破壊センシング技術(NICT受託研究)
Pi-SAR2 やALOS-2を 利 用 し た 被 災
地モニタリングなど航空機・衛星搭載
合成開口レーダ(SAR)の偏波利用な
ど高度な利用法の開発
地表設置型合成開口レーダ(GB-SAR)を利用し
た地滑りモニタリング(宮城県栗駒市)
電波科学による土砂埋没被災者捜索
東北大学 東北アジア研究センター
[email protected]
佐藤 源之研究室
http://magnet.cneas.tohoku.ac.jp/satolab/satolab-j.html
私達は電波科学を応用して地滑りや津波で土砂によ
り地中に埋没した災害被災者の捜索手法を開発し、
現場に適用してきました。電磁誘導を利用する金属
探知機と電波を利用する地中レーダ(GPR)を目的に
応じて適切に組み合わせることが重要です。
可視化金属探知システム
金属探知器による湯浜地区地滑地域計測結果(栗原市)
可視化金属探知システム
 土壌に瓦礫や砂礫が多数含まれる場
合、地中レーダは目標物の識別がで
きません。
 ガードレールや金網など多数の金属片
がある場合、通常の金属探知機では
目標物の判別ができません。
 可視化により埋設している金属の大
きさを判断できます。
アレイ型GPRによる津波被災者捜索活動
地中レーダ(GPR)
 検知対象物体は金属、非金属を問い
ません
 埋設物の形状と深さが予想できます
名取市閖上(ゆりあげ)海岸アレイ型GPR装置で発見した津波で流された梁材
電磁波を用いた建造物非破壊センシング技術
東北大学 東北アジア研究センター
佐藤 源之 [email protected]
NICT 「高度通信・放送研究開発委託研究」2012東北大学、三井造船
東日本大震災では多くの家屋、構造物が強震動により損傷を受けました。在来工法による木造家屋
の健全性評価には、強度部材である柱、梁、筋交いなどの状態を正確に把握することが求められて
います。これらの部材は、壁面の(内壁もしくは外壁)内部にあるため目視等による検査は不可能
です。コンクリート構造でよく利用される打音検査や超音波検査などの非破壊検査手法は、壁面と
構造部材との間に空間が存在するため、適用できません。X線を利用する手法は可能ですが装置が
大型化し、また周囲への影響を考慮すると使用しにくい方法です。これに対して電波は空気層を含
む建材を容易に透過することから、こうした目的に最も適していると考えています。
津波で損壊した住宅(宮城県・女川
町)
電波を用いた非破壊検査装置として地中レーダ(GPR)及びその応用機器が実用化されていますが、
これらはその主な対象が地中埋設物やコンクリート構造体でした。電波は媒質の電気的な性質に
よって伝搬、反射・散乱特性が大きく変化します。従って、木造家屋の健全性評価には、目的に適
応した周波数を利用する新しい装置の開発が必要です。開発する装置を利用した健全性評価は、研
究者ではなく現場技術者が実務にあたります。このとき計測の迅速性、操作性などが装置に求めら
れ、またその結果を技術者が現場で即座に判断できるようなシステムでなければなりません。
本プロジェクトではこれを実現するために、10-20GHzの周波数帯域を利用した操作性が容易なレー
ダシステムと、3次元可視化システム、ならびにデータ解釈を専門的にソフトウエアが補助するエ
キスパート・システムの開発を進めています。
• 建造物内部を3次元的にイメージングする
レーダ装置
• リアルタイムの可視化と判断技術を開発
アレイ型GPRによる木造住宅構造計測のイメージ
1. アレイ型GPR
2. GB-SAR (地上設置型合成開口レーダ)
3. 高精度位置追尾装置をもつGPR
(3DGPR)
4. バイスタティック型GPR
実物大の木造建築壁
(復興パークに設置しています)
Z=3cm
-8
x 10
0.8
8
Y [m]
0.7
6
0.6
4
0.5
2
0.4
0
0.3
-2
0.2
-4
-6
0.1
-8
0
左図はレーダー画像です。縦と横に柱と梁、また斜めに補強用の筋交いがあり、AとBの位
置では筋交いの板に生じた割れ目が見えています。右図は同じ範囲を送受信に垂直と水平
の偏波をもつアンテナを利用して計測した偏波イメージです。Cの位置は破壊によって筋
交い板が凹んでいる状態であることが画像から読み取れます。色の違い、つまり反射する
電波の偏波状態の変化から微小な板の変形がわかります。
0
0.2
0.4
X [m]
0.6
0.8
GB-SARによる損傷を受けた実物大木造建築壁の内部イ
メージング結果。柱と釘が見えています。
電磁波を用いた建造物非破壊センシング技術
東北大学 東北アジア研究センター
佐藤 源之 [email protected]
NICT 「高度通信・放送研究開発委託研究」2012東北大学、三井造船
ハンディタイプ3Dイメージングレーダ
本体完成予想図
マルチパスリニアアレイレーダの特徴
Target Specifications for
High Resolution Type MPLA-Radar
Application
E.g. Safety assessment of wooden braces inside the
walls of wooden houses damaged by a big earthquake
Radar Type
Multi Path Linear Array Radar
Frequency Band
10~20GHz (Step Frequency)
Array Antenna Unit
64 antennas (32 transmitting + 32 receiving)
Spatial Resolution
~7.5mm
Detectable Depth
~200mm
Measurement Width
~480mm
Measurement
Handy Scanning
Measurement Speed: 10cm/sec MAX.
Weight
~5kg (Radar Unit), ~15kg (Control Unit)
開発目標仕様
試験結果1:
木材ターゲットまでの距離:6cm
切断有り/間隔:10mm
単素子送受信アンテナによる基礎試験
試験結果2
木材ターゲットまでの距離:6cm
30度曲げ
アレイ型レーダによる遺跡探査と震災復興
東北大学 東北アジア研究センター
佐藤 源之 [email protected]
http://magnet.cneas.tohoku.ac.jp/satolab/satolab-j.html
東日本大震災以降、私たちは地中レーダー(GPR)技術を利用して減災、復興
活動を行ってきました。津波被害を受けた住宅の高台移転に伴い、今後多
数の遺跡調査が行われます。GPR(地中レーダ)は非開削の探査技術であり、
遺跡の有無を迅速に判断することができます。また発掘に先立ち、GPRに
よって遺跡状況を把握することで、効率のよい調査が実現できます。私達
は東北大学が開発した新しい地中レーダー計測手法(アレイ型GPRと高精度
3次元GPR技術)を利用した遺跡調査技術を、地方自治体の遺跡探査へ実践
的な技術協力・技術指導することで震災復興を推進する活動を開始しまし
た。宮城県ならびに福島県の文化財保護課、宮城県、福島県内市町村と協
力し、本事業を進めています。既に山元町、東松島市での活動を開始した
新しく開発したアレイ型GPR装置
ほか、名取市では津波被災者捜索にも協力しました。また南相馬市での活
動を開始しました。
新たに開発したGPR装置は送受8Ch,64通りの信号を一度
に計測します。1時間で2500平米程度の測定が行えます。
周波数
50MHz - 1.5GHz
レーダ方式
ステップ周波数
アンテナ素子
ボウタイアンテナ
アンテナ数
送信8,受信8(3-8組に可変可能)
計測間隔
走行方向に1cm
計測速度
7km/h
計画市街地図
(1cm間隔で計測時)
東松島市野蒜(のびる)築港での明治時代の
下水道跡調査
山元町での住宅高台移転予定地
の遺跡調査
名取市閖上(ゆりあげ)海岸アレイ型GPR装置で発見した津波で流
された梁材
本事業は東北大学東北アジア研究センター
「減災をめざした電波科学研究ユニット」
の活動です。また東北大学災害科学国際研
究所特別プロジェクトならびに国立大学協
会「震災復興・日本再生支援事業」の支援
を受けています。
地表設置型合成開口レーダ
(GB-SAR)による栗原市・荒砥沢
大規模地滑りモニタリング
東北大学
東北アジア研究センター
佐藤 源之 [email protected]
http://magnet.cneas.tohoku.ac.jp/satolab/satolab-j.html
2011年12月に観測
されたデータ、観
測期間の違いによ
り、降雪・積雪に
よる違いが現れて
いる。
宮城県栗原市荒砥沢
で東北大学が運用し
ているSAR(合成開
口レーダー)
積雪による崖面変化の観測例
2011年12月に観測したデータでは、積雪によると思われる
崖面の変化がGB-SARによって観察されました。GB-SARで
はこのように、対象物の小さな変化も敏感に観測すること
ができます。今後、対象物の状態を遠隔地より詳細に把握
できる解析手法を研究します。
GB-SARについて
SARは通常衛星に搭載され、地上の
観測を行うリモートセンシングに使
われていますがGB-SAR(地表設置型
合成開口レーダー:GB-SAR ジー
ビーサー と発音)は地表に設置し
た合成開口レーダー装置です。今回
は崖面の画像を3次元的に作成するの
に利用します。
地震による崖面変動の観測例
航空管制用レーダー
2012年12月7日、17時18分に三陸沖を震源とする地震が発生し、栗
原市でも深度4を観測しました。この地震により発生した崖面の変
動がGB-SARでもはっきりと観測されています。GB-SARではこの
ように、微小変動の分布をリアルタイムで観測することができ、そ
の情報に基づく警戒を促すことで、防災・減災に寄与できます。
SAR(合成開口レーダ)とは?
空港で見かけるレーダはパラボラアンテナを回転させて電波を
発射し、飛行機から跳ね返ってくる電波の向きを捜します。
SARはアンテナを一方向に移動させながら電波を発射し、毎回
反射波を受信しコンピュータに記録します。そのデータを使っ
てコンピュータで信号処理することでレーダ画像がつくれます。
パラボラアンテナを回す方法より、精密な画像を作ることがで
きます。
地震発生前後の崖面
における微少変動分
布
干渉計測について
時間をおいて、繰り返しGB-SAR計測をすることで、微小な地表面
の変位計測が可能になります。これを干渉測定(インターフェロメ
トリ計測)と呼びます。干渉計測を適用すれば地肌が露出する崖面
については、1cm以下の変位も計測が可能です。
崖面微少変動の経
時変化
GB-SARによる干渉計測を利用した崖面計測と従来手法の比較
GB-SARによる崖面モニタリングでは従来の計測手法に比べ以下の
利点があります。
・GPS、反射鏡を利用するレーザー計測、ひずみ計、伸張計など
従来手法では、計測ポイントが固定される。
・レーザー計測では濃霧の場合計測不能である。
東北大学と栗原市の協力関係
GB-SARを設置した栗原市・荒砥沢地区の大規模崖崩れ地点
Webでのモニター画面
東北大学東北アジア研究センターでは岩手・宮城内陸地震によって発
生した地滑りにより被災した車両の捜索を現地で行うなど、栗原市に
おいて実践的な電波科学による防災・減災技術の検証を行ってきまし
た。栗原市では同市荒砥沢地域の大崩落現場をジオパークとして保存
することなどを想定しながら、2次災害防止のための崖面モニタリング
の方法について検討していましたが、GB-SARがこの目的にふさわし
いことが分かりました。そこで、東北大学はGB-SARによる地滑り計
測手法の有効性を検証する目的で、荒砥沢地区をモデルケースとし、
土砂崩れの様子をリアルタイムで連続モニタリングできるシステムを
完成させることとし、2011年栗原市と連携協力協定を締結し、2011年
11からGB-SARモニタリングを開始しています。
地雷探知機ALIS(エーリス)による
カンボジアでの地雷除去活動
東北大学 東北アジア研究センター
佐藤 源之 [email protected]
http://magnet.cneas.tohoku.ac.jp/satolab/satolab-j.html
http://cobalt.cneas.tohoku.ac.jp/users/sato/ALIS.htm
東北大学では2002年以来地雷検知機であるALISを開発してきました.ALISはハン
ドヘルド型デュアルセンサであり,金属探知機とGPRを組み合わせたセンサを操
作員が手動で走査することで地雷検知作業を行います.ALISはセンサ位置追跡シ
ステムを搭載しており,取得したデータに対してマイグレーションを行い地下構
造の再構成し3次元可視化することができます.ALISはこうした機能を有する世界
唯一の地雷検知センサです.マイグレーション処理により地中のクラッタ除去が
行われ,地雷の可視化画像の質が改善されました.ALISは多くの地雷被災国で評
価試験を行ってきたが2009年からカンボジアの実地雷原で稼働を開始しました.2
台のALISによってカンボジアでは既に80個以上の対人地雷をALISによって検知・
除去しました.
現状の地雷検知技術
実験や地雷除去を行っている場所はカンボジアの北部、
アンコールワットの街シェムリアップの近くです。
•カンボジアなど地雷被災国では金属探知器が地雷除去に使用されています。
•しかし金属片が多数散乱する場所で、金属探知器は金属と地雷の見分けをつ
けられません。
ALISの特長
•金属探知器とGPR信号の複合センサによる効率化と高信頼性
•地中レーダ(GPR)による形状判定
•ハンドヘルドセンサによる位置情報取得と信号の画像化
ALISの仕組みと信号処理能力
GPRと金属探知機信号の画像化
CCDカメラが捉えた画面からセンサ移動位置
を計算してセンサの位置がわかるので、画像
表示ができます。また高度な信号処理が可能
となります。更にCCDカメライメージに重畳
した画像化した金属探知器データにより操作
者が音で聞くのとは全く違う高度な情報が得
られます。
金属探知機
画像化した金属探知器の信号
青と赤の信号の中心に地雷が
あります。
GPR
GPRの画像化データとセンサの動いた軌跡
地雷の円い形状がはっきり現れています。
ALISは強力な信号処理機能によって地雷
の可視化を可能にしました
ALISによるイメージング
地雷探知機ALIS(エーリス)による
カンボジアでの地雷除去活動
東北大学 東北アジア研究センター
佐藤 源之 [email protected]
http://magnet.cneas.tohoku.ac.jp/satolab/satolab-j.html
http://cobalt.cneas.tohoku.ac.jp/users/sato/ALIS.htm
ここに地雷
があります
2010年 3月 地雷除去作業中
一般の農民が地雷原を横切ってい
カンボジアにおける地雷除去活動
く
カンボジアでの現地評価試験はシェムリアップ市南部の農村地域で2009年5
月より開始しました.この地域はベトナム軍,カンボジア軍による紛争があ
り,住民により,地雷埋設位置の通報がされています.地雷埋設の恐れの無
い周辺地域では農耕が行われ,地雷除去作業を行う場所の周囲は住民が通常
の生活を送っています.
ALISの地雷検知作業
CMACでは隊員9人によるALIS専任チームを結成しています.4名のALIS操
作員に加え,従来法との比較のための金属探知機操作員1名,医療班1名,安
全確保要員1名にプロジェクト・コーディネータ1名から構成されています.
東北大学はALISの地雷検知認証のカンボジアにおける直接人件費を負担し,
CMACは作業のための使用機材などを提供しています.
地雷除去作業と結果
現在は評価試験であるため,すべての金属反応があった地点について掘削確認
作業を行い,位置と判定結果の真偽を記録しています.2009年7月からCMAC
がALISを用いて行った地雷検知評価試験で検知された対象物は13,915個です.
2台のALISを利用し総計198,000㎡の範囲で地雷除去活動が実施されました.
2010年 10月 地雷除去作業後
まとめ
ALISの開発経緯とカンボジアにおける実地雷原での評価試験結果を報
告しました.カンボジアでは2009年5月からの作業で既に80個近くの地
雷を検知・除去しています(2013年7月まで).今後,現地試験を継続
すると共に量産化と実展開を目指した活動を継続していきます.
謝辞
ALISの改善点についてカンボジア地雷
除去センター(CMAC)隊員の意見を聞く
本研究は科学研究費補助金基盤研究(A) 23246076ならびに科学技術振
興機構(JST)によるものです.カンボジアでの試験ではカンボジア地雷
除去センターCMACに協力をいただきました.深く感謝いたします.
この中で総計78個の対人地雷がALISによって検知され,そのほとんどが旧ソ
ビエト製対人地雷PMN-2でした.総計13,915個の金属反応の中で3,454個は実
際には金属片であるのに地雷として作業員によって報告されています.また
910,443個は金属片を,ALISによって正しく金属片として識別し,78個の地雷
はすべて正しく地雷として識別されました.
従って本計測範囲の場合,13,915カ所の金属検知地点のうち,910,443カ所つま
り約75%の金属片を地雷の可能性があるとして掘削確認する作業を省略できる
ことを示すことができました.この比率を高めることがデュアルセンサを金属
探知機に替えて地雷検知作業に導入する最も重要な目標です.
地雷除去作業を行っている集落
Fly UP