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法の 検討 - 新潟大学

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法の 検討 - 新潟大学
29
.
電 顕 的 カ ル シ ウ ム検 出 法、
の検 討
小
沢 l
英
浩
矢
嶋
俊
彦
新潟大学歯学部 口腔解剖学第 2教室 (
主任
小
林
茂
夫
小林茂夫教授)
(
昭和47年 5月 8日受付)
Ani
nve
s
t
i
gat
i
ono
ft
heme
t
hodsf
o
rs
t
udyi
ngc
al
c
i
um
l
oc
al
i
z
at
i
onbyme
ansofel
ect
r
onmi
c
r
o
s
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Hi
de
hi
r
oOz
AWA"To
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hi
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koYAJ
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MA & Shi
geoKOBAYAS
HI
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i
,
ari
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nio
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,Ni
i
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aUni
v
e
r
s
i
t
ySc
ho
o
lo
fDe
nt
i
s
t
ry
(
Di
re
c
t
o
r:
Pr
o
f・
,Shi
ge
oKo
b
ay
as
hi
)
材 料 と方 法
序
微細 構造学的 に, 電子顕微鏡下 で電解質を観察
s
t
e
r系 ラ ッ ト (体
実験材料 には生後 7日の Wi
しよ うとす る試 みは,Ko
mni
c
k(
1
9
6
2
)1
)が ウ ミ
3.
8-1
5
.
2g 平均 1
4.
5g)の上顎第 1,第 2日
重1
Sal
zDr
ds
e中に Na' と Cl を それ
ぞれ po
t
as
s
i
um ant
i
monat
e と乳酸銀 (または
歯 々腔 を 用い, I, 各種固定液 の 歯 肝 における
4
5
Ca固定効果 の測定, Ⅱ,それ らの固定液 で固定
酢酸銀) を用いて検 出 して以来, 多数 の研究者 に
した歯旺 な らびに, 小腸上皮 にお けるカルシウム
ょって各種電解質の検出が報告 され てい る2
)
3
)
。
の吸収 を電顕的 に観察 し,比較検討 した。
ツバ メ の
)
カルシウムについて も,Pe
as
ee
tal
l,Co
s
t
a
-
Ⅰ 各種固定液 による歯腔 に頼 り込 まれた 4
5
Caに
nt
i
ne
ta1
5
)(
1
9
6
5)らが ammoni
um oxal
at
eを
対す る固定効果 の比較測定
カルシウウ 固定試薬 として 用 い, 筋小胞体 中 に
4
5
Ca
C1
2(
0
.
5
NHCl溶液) を 3
7
o
Cの生食水 に溶
か し,体重 19当 り1
0
F
L
Ciを腹腔内に注射 した。
c
al
c
i
um o
xal
at
e の不溶性沈澱物 を観察 して以
栄 ,鉛法6
)
7
)
,po
t
as
s
i
um ant
i
monat
e法8
)
,CaS
c
ol
l
i
di
nebuf
f
e
r法9)な どが試 み られ てい るが
注射後,歯腔 な らびに 血液 中の 4
5
Ca の経時的変
これ らの方法 についての 基礎的 な比較検討はほ と
0
分 ご とに屠殺 し,歯
とに, その後 は 3時間 まで3
ん ど行 なわれ ていない。
腔の摘 出 と同時 に心臓 よ りの採血 を行 な ったO 各
0
分ご
化 を測定す るために, 注射後 1時間 までは1
そ こで著者 らは, 硬組織石灰化機構 の微細構造
5
Ca 固定効果 の測定 の ためには
種固定法 に よる 4
学的研究 の一環 として, 硬組織 におけ る細胞 の役
0
分 と6
0
分後 に摘 出 した末 固定 の歯 旺 (
c
o注射後3
割 を, カルシウム輸送,調節 な ど,電解質代謝 の
nt
r
ol
) と, 各種固定液 で固定 し, e
t
hanol脱水
t
haした歯陸 を用いた。 また各固定液 ,脱水用 e
nolは,それ ぞれ 5耽
Cを 1回に用 い,使 用後 ,そ
の0
.
5
n
t
Cの 4
5
Caac
t
i
vi
t
y_を測定 し, 各液への流
出総 4
5
Caac
t
i
vi
t
y を求めた。採血 した血液 中の
4
5
Ca を含 め,4
5
Caac
t
i
vi
t
y の測定のためには,
各試料を直径 2
.
5
c
mのステ ン レス製試料皿に坂 り,
6N 硝酸 0
.
1
耽
Cを添加 して潜解 した後 Pho
t
o
r
e-
面か ら検索す るために, このたび, その基礎実験
として, 従来 の電癖的 カル シウム検 出法 と,著者
らに よる改良法 の カルシウム固定効果 を, 歯膝 に
振 り込 ませ た4
5
Ca の流 出量測定実験 で 求め, あ
わせ てそれ らの 固定法 で電顕的 に カルシウムを検
出 した時 に生ず る 微細 構造上 の問題点について,
電顕所見 をも とに比較検討 したので報告す る。
3
0
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
9
7
2年
f
l
ect
orl
amp で乾燥 し, 次 いでアセ ナン ・セ メ
ソダインで固定 して, gasf
l
ow count
er(
Al
o
0.
1
M Naphos
phat
ebuf
f
erpI
1
7.
4 に 2.
5%
ka 製 TR式 TDC6W)で測定 した。 なお, 読
の割合 に gl
ut
ar
al
dehyd、
e を加 え, この溶液 に
料は 1m
g/C
耽2以下 であ ったので, 自己吸収 に よる
5
0
ppm の CaC1
2を加 えた ものを固定液 として用
補正は必要 としなか った。
Cで固定後 ,5
0ppm の CaC1
2と
い, 2時間, 4o
-
また予備実験 で,脱水時での 4
5
Ca の流 出は 7
0
4) Caphos
phat
ebuffer法
1% Os
O。を含 んだ 0.
1M Naphosphet
ebuf
-
% et
hanoでわずか に認 め られたのみで,高濃度
4 で 1時間後 固定 を し, et
haf
er 溶液 ,pH7.
et
hanolではほ とん ど認 め られ なか ったので,令
nol脱水 を行 な った。
種 固定法 によるカルシウム固定能 は, 実際 には次
5) Naphos
phat
ebuff
er法
の近似式 よ り求めた。
0.
1
M Naphosphat
ebuf
f
erpH7.
4で緩衝 し
カルシウム固定能 (
%)固定後の歯旺総 4
5
Caa
c
t
i
v
i
t
y ×100
固定液への流出+固定後の歯旺
総4
5
Caa
c
t
i
vi
t
y 総4
5
Caa
c
t
i
vi
t
y
.
5% gl
ut
ar
al
dehyde で 2時間, 4o
C で前
た 2
固定 を行 ない, 同 じ buf
f
er sol
ut
i
on で緩衝 し
04
で 1時間, 4o
Cで後 固定 を して et
haた 1% Os
4
5
Ca固定 のために用 いた各種 固定法 は次 のご と
くである。
nol脱水 した。
6) gl
ut
aral
dehydeOsO4混合固定法 12)
1) oxal
at
e法10)
0.
1
M ver
onalacet
at
e buf
f
er pH7.
4 で緩
2) Kant
i
monat
eOs
O4法8)
.
5
% gl
ut
ar
al
dehyde と 2% Os
04の
衝 した 2
3) Kant
i
monat
e 単独固定法 1
1
)
混合液 で 2時間, 4℃ で固定 し,0
.
25
M s
ucr
os
e
4) Caphos
phat
ebuf
f
er法
で1
5
分間洗源後 ,e
t
hanol
,脱水 を行 な った。
5) Naphosphat
ebuf
f
erB
7) CaS
eol
l
i
di
nebuffer法9
)
6) gl
ut
ar
al
dehydeOs
O4混合 固定法 12)
0.
1
M s
col
l
i
di
ne buf
f
erpH7.
2 で緩衝 した
1.
5
% Os
04に 5mM CaC1
2を加 えた ものを固定
7)ノCas
I
COl
l
i
di
nebuf
f
er法9)
Cで固定後 ,
et
hanol脱水 した。
液 とし,2時間 ,4o
1) oxal
at
e法 10)
t
hanol(4o
C)70%,80%'
なお脱水は全 て冷 e
5% gl
ut
ar
al
dehyde と 0.
01
2
5M ammoni
um oxal
at
e を含んだ 0.
1
4M veronalacet
at
e
90%,95%,1
0
0%)で各 1
5分ず つ行 な った。
Ⅱ 各種 固定法 による電顕的 カルシウム検出の比
Cで 固定 し, 固定後
buf
f
erpH7.
4 で 2時間, 4o
較検討
同buf
f
er に 0.
025
M ammoni
um oxal
at
eを加
s
t
er系 ラ ッ ト,
材料は Ⅰと同様生後 7日の Wi
.
5時間 洗源 した。 次いで 2% Os
04と
えた 液 で 2
上顎第 1,第 2白歯 々腔 と, 実験的 に カルシウム
0.
02
5M ammoni
um oxal
at
e を含んだ ver
onal
を経 口投与 した 成熟 ラ ッ トの小 腸上皮 を用いた。
acet
at
ebuf
f
er液 で 1時 間 後 固 定 し, 直 ち に
ant
i
mona
固定は Ⅰで用いた固定法 の うち, Kt
e単独固定法 を除いた 6種 で行 ない,電顧用試料
et
hanol脱水 を行 な った。
2) aanti
monat
eOsO4法8
)
とした。 歯 豚は全 て未脱灰 のまま固定 を行 な った
2
% pot
as
s
i
um ant
i
monat
e(
pot
as
s
i
um pyr
o-
が ,cont
r
olとして ,0.
1M cacodyl
atebuf
f
er
ant
i
monat
e)K 〔Sb (
OH)
6
〕水溶液 pH9
.
5を
5% gl
ut
ar
al
dehyde で
pH7.
2 で緩衝 した 2・
2% Os
O4水溶液 と等量 に混合 した溶液 pH7.
2
4o
C,2時間固定 した試料 を1
0% EDTA pH7.
2,
7.
4を固定液 として用い, 2時間, 4o
C で固定 し
0% EGTA pH7.
2 で, 4o
C, 3-5日
あるいは1
hanol脱水 を行 な った。
た後 ,et
間脱灰 した後, 各種 カルシウム固定液 で後 固定 し
-
.
3) Kanti
monat
e単独固定法 1
1
)
た歯 腔を用いた。 また実験的 に成熟 ラ ッ トに 1%
1% pot
as
s
i
um ant
i
monat
e を固定液 として
t
eを経 口投与 し, 5,10,20,
Cagl
uconat
e 2m
用い,室温 で 2時間固定 した。
3
0分後 に各種 固定液 で固定 した。 この COnt
r
Olと
小
沢 英
31
治, そ の 他
しては, 経 口的 に 純水 を 授与 した 小腸上皮 を 用
い,同 じ固定 を行 な った。
hanol脱水後
以上 の固定試料は, Ⅰと同様 ,et
Epon 樹脂 に包埋 し, LKB ul
t
rat
ome (
ul
t
rat
ome Ⅲ 8
800), du Pond の Di
amond Kni
f
e
で薄切片 を作成 し,無染色,鈴単染色 (
pH1
2・
0)
または 酢酸 ウラン と鉛 の 2重染色 を 施 し, 日立
HUⅠ
I
DS 型電子顕微鏡, 加速圧 7
5
KW で観察 し
た。
結果な らび に考察
歯肢 に坂 り込 まれた 4
5
Ca に対す る各種 固定液
の カルシウム固定能 を比較検討す るために, 注射
Blood
(
×1
0
3
C
8
7
6
o
I
2
3
4
5
6
7 hr.
図 2: 各種固定法 に よる歯旺固定操作 中の残
5
Ca の比較
留 4
4.
A.
0: Ammo
ni
um Oxal
at
e法
SbOs: Ka
nt
i
mo
nat
e
OsO4法
Sb: a
nt
i
mo
na
t
e単独固定法
Ca
P: Ca
phos
pha
t
ebuf
f
e
r法
Na
P: Na
pho
s
pha
t
ebuf
f
e
r法
GトOS: Gl
ut
a
r
al
de
hyde
OsO4
混合 固定法
Ca
C: Ca
s
I
C
Ol
l
i
di
nebuf
f
e
r法
に用い ることとし, 4
5
CaC1
2腹腔 内投与後 , 30分
の歯 腔 (
M
ql
,
輿 ) を摘 出 し,各種固定液 で固定 を
行 な った。 固定 ,脱水操作 中に流 出す る 4
5
Ca を
0
30
60
90 [
1
1∩
図1 4
5
Ca投与後 の歯旺 な らびに血 中の 4
5
Ca
a
c
t
i
vi
t
y の経時的変化
測定 した結果は図 2のご とくである。 この図は,
5
Ca の流 出は主 とし
各種 固定法 を行 な った際 に,4
てその 固定液 中にみ られ, et
hanol
,脱水 中には
後 の血 中 4
5
Ca 濃度 と歯陸 中の 4
5
Ca を, 注射後
5
Ca の流 出は生 じない ことを 示 してい
ほ とん ど 4
1
0分か ら90分 まで, それぞれ摘 出 した歯腔 と採血
る。 この結果は Fi
shman ら18)が骨格筋 に振 り込
液 について ,gasf
l
ow count
er で測定 した結果
まれた 4
5
Ca を ,oXal
at
e を含 んだ f
ormal
i
nで
は,図 1の ご とくであ る。 この測定結果か ら明 ら
hanol脱水 を行 な った実験結果 とほぼ
固定 し,et
かな よ うに,経時的 に血 中の 4
5
Caact
i
vi
t
y は減
一致 し, カルシウムを固定す る際 には, 固定液 の
分後 では 3
0,
0
少す るが,歯陸では逆 に増加 し,30
hanol脱水
選定や使用法 に よる影響が大 き く,et
000cpm と,歯腔 中へ著
00pm,60分後 では 45,
過程ではほ とん ど カルシウムの流 出は問題 にな ら
しい 4
5
ca の集積 を示 してい る。 この 結果か ら,
ない ことを物語 ってい る。 図 3は,以上 の結果 を
注射後 30分 の歯 膝を カルシウム固定能 の測定実験
も とに各種固定法 の カルシウム固定能 を比較図示
3
2
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
972年
AMMONIUM OXALATE
K-ANTIMONATE-OsO4
GLUT.
-OsO4(Ca-PHOSPHATE)
GLUT.
-OsO4(Na-PHOSPHATE)
GLUT.
+ OsO4
K-ANTIMONATE
S-COLLID川 E-Ca-OsO4
50
0
図 3 各種固定法のカルシウム固定能の比較
した もので ,o
Xal
at
e法 が 4
5
Ca 流 出 を約 5% 以
光 顕 オ ー トラジオ グ ラフ ィ-で 追 跡 す るため に,
ant
i
monat
e内 に押 え,最 も有 効 で,次 い で, K-
4
5
Ca を固定 す る目的 で Fr
ee
z-s
ul
s
t
i
t
ut
i
on と併
Os
O4法 , Caphos
phat
ebuf
f
er法 ,gl
ut
ar
aト
ant
i
monat
e
dehydeOsO4混 合法 な どが よ く,K単独 固定 や ,
Naphos
phat
ebuf
f
er法 ,
Mar
t
i
n,
Mat
t
hewsら9
)が カル シ ウム固定 のた め に用 い て
xal
at
e法 を用 い, 良 い結 果 を 示 してい
用 した o
col
l
i
di
nebuf
f
er法 な どの, カル シ ウ
い る Ca-S-
と して用 い る場合 には反 応生成 物 で あ る c
al
ci
um
ム固定能 は あ ま りよ くなか った。
oxal
at
e の電子 濃度が あ ま り高 くない ので, そ の
al
ci
um ox有 効性 が低 め られ てい る。 つ ま り, c
0Ⅹal
at
e法 は従 来 ,光 顕 的 に溶性 カル シ ウムを
る。 この よ うにオ ー トラジオ グ ラフ ィー と併用 す
る場合 な どは ,o
Xal
at
e 法 の もつす ぐれ た カル シ
ウム固定能 のた め に有 効 で あ るが, 電顕 的検 出法
4
)
,4% ammo固定 す る方法 と して知 られ てお り1
al
at
e の電子 濃度 は ,oXal
at
e 自身 ほ とん ど電子
r
alf
or
mal
i
n の等
ni
um oxal
at
e と 25% neut
線 散乱能 を持 た ないた め に, 結合 す る カル シ ウム
aト
量混合液 として用 い , カルシ ウムを不 溶性 の c
の濃度 に依存 してお り,従 って, カル シ ウム固定
ci
um oxal
at
e として沈澱 させ て,組織 内の カル
能 や カル シ ウム との 反 応特異性 がす ぐれ てい るの
シ ウムの証 明を行 な った もので あ る。 電顕 的 に こ
に もかかわ らず , カル シ ウム濃 度が充 分 に高 く,
as
eet
の方法 を坂 り入 れ ,改良 して用 いた のは Pe
限局 性 の場合 にのみ 電 顕 的 に検 出可能 とな るため
, Co
s
t
ant
i
n etal
.
5
)でいずれ も筋組織 中の
a1
4
)
Ca+
+ を筋収縮機構 との 関連 におい て 検 出 しよ う
で あ る。 実際 ,直 接 そ の反 応 を電顕下 で観察 す る
た め には,筋小 胞体 中の よ うな限局 性 で, しか も
と試 み てい る。 電顕的電解 質検 出法 の生 み の親 で
比較 的 カル シ ウム濃度 の高 い ところで も, 無染色
もあ る Ko
mni
ckl
O
)も カエルの腹 筋 中 に この方法
で観察 す るか, 包 埋 用樹 脂 な ども電子 線透過 性 の
++ を 検 出 し, Peas
e ら4
) と同 様 s
arco
で Ca
よい ものを 使 用 す る等 の 工夫 が 必 要 と され てお
pl
as
mi
cret
i
cul
um, な ら び に t
er
mi
nalci
s
-
り4
)
5
)1
0
)
,
細 胞 中に散在性 に局 在 す る カル シ ウムや ,
ci
um oxal
at
eの沈澱物 を観察 し
t
ernae 中 に cal
RNP 頼 粒 な ど os
mi
ophi
l
i
cな構 造物 な ど と混 在
てい る。
す る 場合 には 検 出が 困難 にな る 欠 点 を 有 してい
-
oxal
at
e 法 のす ぐれ た カル シ ウム固定能 につい
る。
s
hman ら1
8
) も骨格筋 に
ては,前 述 の ご と く Fi
図 4,5は oxal
at
e法 で 固定 した ラ ッ トの象牙
振 り込 まれ た 4
5
Ca に対 して, そ の流 出量 を測定
芽細 胞 の一 部 で あ るが, この細 胞 頂部 に出現 す る
5
)も鳥 の卵 管粘膜 上
して実証 してお り, Gay ら1
Gol
gi体 由来 の小 体 (
dens
ebody) には,電子
5
Ca の局 在,動 態 を
皮細 胞 中 に お け る授 与 した 4
濃度 の高 い微細 頼粒状, ない しは針状結 晶状 の反
小 沢 英 浩, そ の 他
3
3
応物が観察 され る。 これ らの反応物は EDTA,E
にも散在性 に c
al
c
i
um ant
i
monat
e の微細 な反
GTA で脱灰処理後は消失 し (図 7)
,同時に Kant
i
monat
eOs
O4法 でも同様 な強い反応 を示 す
頼粒が この小体 中に出現す ることか ら (図 8)
,こ
ant
i
応物 として 検出 され る。 しか しなが ら, Kmonat
eOs
O4法では このように 微細 な 反応物で
れ らの反応物は カルシウム由来 のもの と考 え られ
な反応 も生 じ易い欠 点も持 ってい る。 すなわち,
る。 このようにカルシウムの高濃度 に集積す る場
しか し,図 6は同 じ象牙芽細胞の Go
l
gi体,お よ
ant
i
monat
e は カルシウムに対 してのみ特異的 に
ant
i
結合す るのではな く,Na'とも結合 し,Namona
t
e の不溶性沈澱 をも生ず る可能性 もあ り,
びその周辺細胞質 と細胞間隙の一部を示 した もの
従 ってカルシウムに対す る 反応特異性 を高めるた
であるが, 他 の カルシウム固定法 (
図 9,10,l
l
めには さまざまの c
ont
r
ol実験 を必要 とす る。後
1
4,1
5,1
7) で,Gol
gi 体や 細胞間隙 にみ ら れ
ant
i
monat
eOs
O4法 の欠
述の ように この点が K-
た ような 反応は 全 く観察 されない。 この ことは
点にな ってい る。
al
ci
um oxal
at
e の反応は観察 し易い。
所 では c
も電顕で観察で きる利 点を有す る一方, 非特異的
図 8-1
1は Kant
i
monat
eOs
O4法 で固定 した
oxal
at
e の高 い カルシウム 固定能か ら 考える と
Gol
gi体,
細胞間隙に局在 した カルシウムも,恐 ら
ラ ッ ト歯腔の象牙芽細胞 の一部である。 図 8は図
al
ci
um oxal
at
e として固定 されてはい るが
くc
4, 5と同様,象牙芽細胞頂部 にみ られ る Gol
gi
カルシ ウムの濃度が 充分 な電子度 を与える程高 く
体 由来 の小体 (
dens
ebody) であるが,極めて
ないために, 同 じ固定液 中の Os
04によって固定
された比較的高い 電子濃度をもつ細胞構成 々分 に
強い反応がその小体中に観察 され る。 反応は小体
く
)
中に直径 50-700
A 位 までの 大小様 々の頼粒構造
よって,反応が ma
s
kされた状態 にな ってい るた
Xal
at
e 法 による所見 (図 4,
として認め られ ,o
め と推測 され る。
5) と考 え合せ る と, この小体中には高濃度の カ
ルシウムが集積す ることが推測で きる。 図1
0,l
l
このような カルシウム固定試薬の低電子濃度の
欠点を補い, 散在性 に,低濃度に局在す るカルシ
は同 じ細胞 の Go
l
gi体 の部分で あるが, 反応は
ウムも電顕的 に検出す る 目的で用い られた方法が
Kanti
monat
eOs
O4法である。 この カルシ ウム
Gol
gici
s
t
e
r
nae,Gol
gives
i
cl
esお よび Gol
gi
vacuol
es中にもみ られ, 細胞頂部に集 まる小体
図 2, 3)
,oXal
at
e法 に
固定能は約85-90% で (
uol
es中にも,特異的 に
の起源 と考 えられ る vac
al
ci
um ant
i
monat
e の不溶
比べやや劣 るが, c
i
monat
eに
電子濃度の高い小額粒 の集積が ant
性沈澱物は,ant
i
mony のもつ高い電子線散乱能
よる反応生成物 として認め られ る。 また これ らの
のために,微量な カルシウムで も, 高い電子濃度
反応物は細胞間隙や mi
t
oc
hondr
i
a 中にも観察
の小頼粒 として観察す ることが可能である。 従 っ
0
て極めて小 さい,直径 1
00
A以下 の反応頼粒で も,
され る (図 9)
。 しか しこれ らは EDTA や EG
Os04によって 固定 された細胞構成 々分 よ りは一
TA で処理 した後の歯腔では, ほ とん ど観察 され
ない。 このように Kant
i
monat
eOs
O4津 によれ
般 に電子濃度が高 く, 反応物 として検出 され る可
ばo
xal
at
e法では検出 されなか った微量のカルシ
能性 をもってい る。
ウムも, 微小頼粒 として電顕的に可視化 し得 る可
pot
as
s
i
um ant
i
monat
e は元来, Ko
mni
ckl)
能性 も示 されたわけであるが, その反応特異性 に
によって Na+の 電顕的検出に用い られた もので
2
ついては,今後 さらに検討の必要があろ う。 図1
+ とも結合 し, 高い電子濃度 をもつ
あるが,Ca+
1
3は ラ ッ トの腸管 に Ca一
gl
uconat
eを授与 し,小
gat
oこ
ら8)
不溶性沈澱物を生ず るところか ら, Le
腸 の吸収上皮 か らの カルシウム吸収過程 を観察す
によって, 犬 の心筋での カルシウム検出に用い ら
ant
i
monat
eOs
O4法で固定 し, anるために K-
れたのが最初 の報告である。 この方法 によるとカ
t
i
monat
e による反応のカルシウム依存性 を確か
Xal
at
e法で報告 されていた よ うに
ルシウムは,o
めた例 である。 Cagl
uconat
e の代 りに,純水を
)
1
0
)
,筋小胞体中のみな らず,筋線維 の
4)5
Ⅰ
band
授与 した c
ont
r
ol の小腸上皮では反応はほ とん
3
4
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
97
2年
どみ られ なか ったが, Cagl
uconat
e を投与す る
(図1
4,1
5
)
,o
Xal
at
e 法 では検出で きなか ?た
と図1
2,
1
3に示 す ごと く,小栗粒 の反応生成物は上
(図 6)点については次 の よ うに考 え られ る。
皮細 胞 の mi
cr
ovi
l
l
i 中,大小 の ves
i
cl
es 中,
Caphosphat
ebuf
f
er 法 で固定 した歯 腔の切
mi
t
ochondr
i
a 中な らびに Gol
gi体 中にもみ ら
片 を無染色で観察す る と, 鈴染色 を施 した場合 と
れ,基底部細胞間隙 中にも 時間の経過 と共 に観察
異 な り,Go
l
gi体 中や細胞 間隙 中の微細 な反応生
され る。 しか し c
ont
r
ol でほ とん ど 反応物がみ
成物 は Cal
ci
um phosphat
e の低電子濃度 のた
られ なか った事実 は, Kant
i
monat
eOs
O4 法 で
めに, ほ とん ど電顕下 に認 め ることはで きない。
は小腸上皮 に生理的 に存在す る量 の Ca+
+
,Na+
この事実は, 鉛染色が微細 な額粒状沈澱物で ある
を電顕的 に検 出す ることが 検出限界 を越 えてい る
cal
ci
um phosphat
e の電子濃度 を特異的 に高め
ために不可能 であることを示 してい る。
てい る可能性 を物語 ってお り, 次 の よ うに解釈 で
カルシウム固定能が Kant
i
monat
eOs
O4法 に
きる。す なわち,生 じた c
al
ci
um phosphat
eの
次いで良 く,4
5
Ca の流 出率が約25%で (
図 2,3)
沈澱 は, 切片上で鉛染色 (
pH 1
0-1
2) を施 す こ
しか も微細構造 の 維持が最 も良好 な結果 を示 した
とに よ り,Pb と Ca の置換反応が起 き,その結
のは Caphos
phat
ebuffer法 である。図1
4,1
5
果,電子濃度 の低い c
al
ci
um phos
phat
e が,不
は この方法 で固定 した象牙芽細胞 の Gol
gi体 で,
溶性で電子濃度 の高い l
eadphosphat
e とな っ
Kant
i
monat
eOsO4 法 の場合 と同 じ く, Gol
gi
て,電顕的 に可視化 され るため と考 え られ る。
gi体 由
ci
s
t
er
nae,Gol
gives
i
cl
esな らびに Gol
一方 oxal
at
e法 の場合 には cal
ci
um と oxa-
来 の vac
uol
es中に高電子濃度 の微細願粒が観察
1
at
e の結合 が cal
ci
um と phos
phat
e の結合 に
され る。 EDTA 処理後,同 じ方法 で固定 した歯 腔
比べ て強 く,従 って o
xal
at
e の沈澱物 は鉛染色
では (図1
6)
, Gol
gi 体 中の微細頼粒 は 全 く認 め
を行 な っても容易 に Ca と Pb の置換 が起 らない
られ ない。 この方法 に よる反応生成物は,象牙芽
ことが推測 され る。 そ のために,鉛 に よる電子染
細 胞 の細 胞 間隙 にも認 め られ (
図1
7)
,Kant
i
mo-
色 を施 した場合 には Caphos
phat
ebuf
f
er法 で
nat
eOs
O4法 で得 られた所見 とも一致す るが, こ
のみ微量 な カルシウムの反応が観察 され る結果 と
の反応 も, EDTA処理 を した場合 には認 め られ な
な るのであろ う。 このよ うな カルシ ウム検出のた
か った 。
めの金 属置換法は, 光顕的 にも古 くか ら用い られ
この Caphos
phat
e buf
f
er 法 の固定液 は,
てい る方法 で, た とえば組織 中の リン酸 カルシ ウ
Naphos
phat
ebuf
f
erで緩衝 した Gl
ut
ar
al
de-
ムに硝酸銀 を作用 させ る と, カルシ ウムは本来 の
2を加 えた もので, このカルシ
hyde溶液 に CaC1
ウム 固定作用 は固定液 中の Ca,P によ り 組織細
結合か ら切 り離 され て その部分 は重金 属陽 イオ ン
胞 内の カルシウムを me
t
as
t
abl
e の状態 に保 ち,
+3Ca(NO8
)
2
〕。 この場合,
固定操作 中における カルシウム の流 出 を防 ぐと
に置換 され る条件 として, 陰 イオ ン と結合 してで
共 に,組織 内で a
morphous な cal
ci
um phos
-
きた重金 属塩 は も との カルシ ウム塩 よ り一層不溶
phat
eの核 を形成 し,不溶性 の沈澱物 を作 ること
性 である必要 が ある とされ てい る14)。 電顕的 にも
に よるもの と考 え られ る。 従 って生 じた反応物 の
鉛 を用いて固定 中に Ca と Pb の置換反応を起 さ
本体 は c
al
ci
um phos
phat
eで,そ の電子濃度 は
せ る方法 も報告 され てお り6
)
7
)
,その結果 は鉛 の極
局所 の カルシウム 濃度 に 依存 す る わけで あ る。
めて高 い電子濃度 のため に 有効 な手段 とな ってい
る。
しか し 電子濃度が カルシウム依存性で ある点は,
oxal
at
e 法 も同様 であ り, カルシウム固定能や カ
に置換 され る 〔
Ca3
(
PO4
)
2
+6AgNO3
- 2Ag8
PO4
カルシ ウムが 重金 属
CaS
col
l
i
di
nebuf
f
er法 も固定液 中に CaC1
2
ルシウム結合力はむ しろ Caphosphat
e 法 より
を加 えて カルシ ウムの流 出を少 な くしよ うとい う
はす ぐれ て い るにも かかわ らず,Caphos
phat
e
点では Caphosphat
ebuf
f
er法 と類似す るが,
法 では Go
l
gi 体や細 胞間隙 に反応物が認 め られ
Mat
t
hews ら6) の方法 に よった結果は,図 2,3
う
う
小 沢 英 治, そ の 他
のどとくカルシウム固定能は約40
%で, 電顕的 に
従 って, カルシウムを固定す る際 にはカルシウム
も反応は極めて少な く有効ではなか った。
自身の 固定のみ ならず, 結合基質 と な って いる
以上の結果か ら, 電顕的 にもカルシウムの局在
pr
ot
ei
n,pol
ys
acchar
i
de,
l
i
pi
d などの固定にも
を把え得 る可能性が示 されたわけであるが, それ
ut
ar
al
dehyde充分に注意 を払 う必要がある。 gl
らのカルシウム局在 を 細胞生理機構に結びつける
ut
ar
aal
dehyde についで
Os
O.
1混合固定が, gl
ためには, さらに解決 しなければならない幾つか
Os
04 で固定す る 2重固定に比べ カルシウム固定
の問題が残 されてい る。 例 えば検出された カルシ
能が よいのも (図 2, 3)前者は 1s
t
ep で固定
ウムが イオ ン性か結合性かの問題, あるいは反応
を完了 し得 るためにタンパ ク, 脂質共固定性が よ
s
l
ocat
i
on,di
f
f
us
i
on に対す る
時に生 じ易い di
く, 従 ってカルシウムの流出も少ない もの と考え
処置法, さらには反応特異性の確認法 などがあげ
られ る。
られ る。 最後 にこれ らの諸点について考察を加え
た い。
次いで, 固定液のカルシウムに対す る反応特異
性であるが,厳密には 1s
t
ep の固定で カルシウ
検出 した カルシウムが 結合性のものであるか香
ムのみを特異的 に固定す る方法はない。 従 って特
かについての形態学的な判定は非常に困難で, 用
異性を高めるにはさまざまな cont
rolを用いる必
い る カルシウム 固定液 の カルシウムに 対す る 結
要があ り, そのい くつかについてはすでに述べた
合力や, カルシウムが どのような形で pr
ot
ei
n,
通 りである。 本研究で用いた カルシウム固定法 の
pol
ys
acchar
i
de,l
i
pi
d などと結合 しているかに
なかで, 非特異性反応が最 も 問題 になるのは K
も依 り,単純には結論は導びけない。さきに述べた
ant
i
monat
eOs
O4法である。 この方法は, 反応
ように Legat
o ら8
)も Kant
i
monat
eOs
O4法
生成物の電子濃度が高 く, カルシウム固定能 もす
で筋細胞内の カルシウム局在を 観察 しなが ら,L
bandにみ られ るカルシウム反応は,t
r
oponi
nと
ぐれてお り, 他 の方法では検出で きない ような微
量のカルシウムも, 電子濃度の高い小額粒 として
結合 した結合性の カルシウムであろ うことを論 じ
,
Mg十
十な
検出で きる利点を有 している反面,Na+
てお り, それ らは小胞体中のカルシウムのように
ども反応す るとい う欠点も持 っている。 この非特
s
ucr
os
e などによる潅流洗源などで容易に流 され
異性を除 くために, EDTA,EGTA,などの前処
得 ないものであることも示 している。 本研究の場
理法や,切片上での EGTA 処理法などを併用 し
ant
i
monat
e単独固定の結果は (図 2
合でも,K-
てい るが充分な方法 とはいい得ない。
3)
, K-ant
i
monat
el
0s
O4固定の 場合 と比較 し
-
また, 反応生成物の 大 きさに よって Na+, と
て カルシウム 固定 能は 悪 く, 約6
0% の 4
5
Ca は
Ca+
+を区別す ることもある程度は可能であるが8
)
流出 して しまう結果にな ってい る。この ことは K-
これ も局所 イオ ン濃度の多寡によって, 反応頼粒
ant
i
monat
e によってカルシウムは固定 され るが
の大 きさは異なるため, 目安 に とどまる。 電顕的
Kant
i
monat
e 自身 タンパ ク固定能がほ とん どな
オー トラジオグラフ ィーとの併用は, 高い特異性
いために,結合性の カルシウムはタンパ ク質等の
を得 る点ではよいが,、
4
5
Caの 線のようにener
gy
流 出 と共に消失 して しまうもの と考えられ る。 一
般 に細胞内のカルシウムイオ ン濃度は平均 1
07M
の大 きな i
s
ot
ope では得 られた 結果の分解能が
○
,
5
00
-3,
00
0A の分解能),個 々
低いために (
約1
位 とされ, カルシウム輸送や調節の盛んな硬組織
の反応頼粒については論 じ得ない。 Ⅹr
aymi
cr
o-
の細胞などでは, 坂 り込 まれた カルシウムめ多 く
anal
yzer(
ⅩMA) を電顕切片 に応用 して, 反応
は pr
ot
ei
n等 と結合 し mi
t
ochondr
i
a内,Gol
gi
生成物の元素分析を 直接行なお うとす る報告 も近
体 内,1
ysos
ome 中などの cal
ci
um packagi
ng
年なされつつあるが1
1
)
1
9
)
2
0
)
, これ も ⅩMA の検出
sys
t
em 中に貯 えられ るか1
6
)
, 小腸上皮 における
感度が まだ充分でないため, 電顕 レベルまでの分
ように Cabi
ndi
ngpr
ot
ei
n によって結合 されて
解能は得 られず,補助的手段にす ぎない。 Lが u
l
t
r
ans
por
t され る場合が多い とされている1
7
)
1
8
)
0
なが ら,最近,透過型電顕 に ⅩMA を装着 した塾
β
36
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
97
2
年
の元素検 出器 が 英 国で 開発 され
(
EMMA4型 ),
3) 将 来 , カ ル シ ウムを細 胞 生 理 機 能 と直 結 さ
電顕 レベ ルの微小部分 につい ての 元 素分析が な さ
せ た研 究 を行 な う際 の 方 法 論 上 の 問 題 点 を あげ ,
れ つつ あ る21)(22)。分解能 もそ のす ぐれ た検 出感度
考 察 を行 な った 。
00-500
A に まで達 してお り, mi
t
ochonに よ り3
5
Caact
i
vi
t
y の測定 に御協
稿 を終 るにあた り, 4
dr
i
a中の頼粒や,細 胞膜 レベ ルでの元素分析 まで
力,御助言をいただいた,放射性 同位元素中央研究
な され てい るのは注 目に値 す る。
室々長,清水泰二教授に深謝いた します。
また, freezedryi
ng 法 も年 々改 良 され,電顕
文
的 に も充分使 用可能 な切 片が この 方法 で得 られ る
可能性 が示 され てい る今 日2
3
)
,電解 質細 胞化学 の
献
1
) Komni
c
K,H: El
e
kt
r
o
ne
nmi
kr
os
kopi
s
c
he
最 も大 きな難 点で あ った 電解質 の di
f
f
usi
on や
Lo
kal
i
z
at
i
onyonNa+und Cl i
n Zel
l
e
n
di
sl
ocat
i
on の防止 もあなが ち不可能 とは考 え ら
und Ge
we
be
n.Pr
ot
opl
as
ma,55:41
441
8,
れず, 生理機能 に直結 した微細 構 造学的 な研究 も
1
96
2.
さらに進歩す るもの と思 われ る。
2) 小 沢英浩 : 電鉄的 電解質 放 出法 -その概念
以上 の結果考察 を も とに, 電顕 レベ ルで の電解
と問題点- .歯界展望 ,3
8:1
05
9-1
06
6,1
9
71
.
EMXや非 分散検 出法 な どを
3) 小 沢英浩 : 電疎的 電解 質検 出法 「
歯の 研究
質細 胞化学 の方法 を
導入 す る ことに よ り 今後 さらに検討改 良 を加 え る
法」(
須賀昭一他編)医歯薬出版 ,
8
2-1
05,1
97
2・
つ も りで あ る。
(印刷 中)
4
) Peas
e,D.C.
,
D.∫
,Je
nde
n& ∫.N,Howel
l:
要
約
電顕 的 に カルシ ウムを検 出す る 目的 で, 各種 の
電顕的 カルシ ウム固定法 につい て 次 の よ うな検討
を行 な った。
1) 4
5
Ca を授 与 した ラ ッ トの歯 肱を用 い,固定
Cal
ci
um upt
akei
ngl
yc
e
r
ol
e
xt
r
act
edr
abi
t
ps
o
asmus
cl
ef
i
be
r
s
.I
I
.El
ec
t
r
o
n mi
c
r
o
S
c
opi
cl
oc
al
i
z
at
i
onofupt
akes
i
t
e
s
.∫.Cel
l
andComp.Phys
i
ol
.6
5:1
41
-1
5
4,1
965
.
5) Co
s
t
ant
i
n,L.L.
,Fr
anz
i
ni
Ar
ms
t
r
o
n& R.∫
,
Podol
os
ky: Loc
al
i
z
at
i
ono
fc
al
ci
umac
cu一
脱水操作 中に流 出す る 4
5
Ca を gasfl
ow counter
mul
at
i
ng s
t
r
uct
ur
es i
n s
t
r
i
at
ed mus
cl
e
で測定 し, 各種 固定液 の カル シ ウム固定能 の検討
f
i
be
r
s
.Sci
e
nc
e,1
4
7:1
5
8-1
60,1
965
.
ate 法 , Kanti
monaを試みた。 そ の結果 oxal
6) Ca
r
as
s
o,N etP,Favar
d: Mi
s
ee
ne
vi
de
n-
phosphate buf
fer 法 の順 で,
teOsO4法, Ca-
c
educ
al
ci
um damsl
esmyo
nemespedon-
4
5
Ca 固定 能 が良い ことを確 かめた。
cl
ai
r
es de ci
l
i
es pe
r
i
t
r
i
c
hes
. ∫.Mi
c
r
o
・
2) それ ぞれ の 固定 液 で固定 した 歯 腔や Ca-
s
c
opi
e,5:75
977
0,1
96
6.
gl
uconate を授与 した ラ ッ トの 小腸上皮 を 電顕
7) 迂井 禎 : Ⅱ 貝殻お よび真珠 形成機序 の研
的 に観察 し,1) の結果 と 比較検討 した。 そ の結
究,ア コヤガイの 真珠袋お よび 外套膜上皮細
ate 法 は カルシウム 濃度 が高 い場合
莱 ,a)oxal
にのみ カルシ ウムを可視 化で き, 電顕的 オ - トラ
ジオ グラフ ィー法 との 併用 の場合 には効 果的 で あ
胞 の カルシウムの電子顧微鏡的検 出について.
「
硬組織研究」 (
荒谷其平 他編)医歯薬出版,
4
31
44
2,1
96
9.
る こと, b) Kanti
monateOsO4法 は微 量 の カ
8) Legat
o,M.∫& G.A,Lange
r: Thes
ubcel
l
ul
a
rl
oc
al
i
z
at
i
o
no
fc
al
ci
um i
oni
nmam-
ルシ ウムで も電顕的 に可視可能 で あ るが, 反応特
ノ
mal
i
a
n myoc
ar
di
um. ∫. Cel
l Bi
ol
・
,41:
異性 が低 いため, cont
rol を充分 に考慮 す る必要
4
0ト4
2
3,1
96
9.
phosphate buff
er 法 は Ca
が あ る こと, C)Ca-
9) Ma
t
t
he
ws
,∫.
,∫.H,Ma
r
t
i
n・
,∫.A,Lynn &
固定能 はやや低 いが, 鈴 に よる電子染色 で比較的
E.∫
,Col
l
i
ns: Cal
ci
um i
nc
or
por
at
i
on i
n
微量 な カルシ ウムも可視 化 で き, 微細 構 造 の維持
t
he de
vel
opl
ng C
ar
t
i
l
agl
nOuS epi
phys
i
s
.
と共 に有効 な方法 で あ る こと_
が確 かめ られ た。
Cal
c.Ti
s
s
.Re
s
.
,
1:3
3
03
36
,1
96
8.
小
沢
英
1
0) Komni
c
k.H: Hi
s
t
o
c
he
mi
s
c
he Cal
c
i
umLo
kal
i
z
a
t
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o
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t
mus
kul
at
urde
s
Fr
os
c
he
s
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s
t
o
c
he
mi
e
,1
8:2
429
,1
9
6
9
.
ll
) Ta
ndl
e
r
,C.J
・
,C,M,Li
ba
nat
i& C.A,
San-
治, そ の 他
5
7
mi
nDde
pe
nde
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al
c
i
umbi
ndi
ngpr
o
t
ei
n.
Re
s
p
ons
et
os
omephys
i
ol
o
gl
C
ala
ndnut
r
i
-
.Bi
ol
.Che
m.
,2
4
3:3
9
8
7t
i
u
o
nalva
r
i
a
bl
e
s
.J
3
9
9
3
,1
9
6
8
.
c
hi
s:Thei
nt
r
a
c
el
l
ul
a
rl
o
c
al
i
z
at
i
o
no
fi
no
r
一
r
t
i
n: El
e
c
t
r
o
n pr
o
be
1
9) La
ne
,ち.P & E.Ma
ga
ni
cc
at
i
o
ns wi
t
h pot
a
s
s
i
um pyr
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nt
i
-
a
nal
ys
I
SO
fc
at
i
o
ni
cs
pe
c
i
e
si
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2) 黒住一 昌 : グル タールデ ヒ ド, オス ミウム混
合固定法. 「
電子顧徴鏡 試料技術集」 (日本電
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子顔微鏡 学会関東支部覇 )誠文堂新光社 ,
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組織 学研究法 」第 2版 (
南山堂)
1
4) 佐野 豊 : 「
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8
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
9
7
2
年
付
図
図3二 7 ラ ッ トの象牙芽細胞 ,o
Xal
at
e法
図 4 象牙芽細胞の細胞項部で,多数 の電子濃度 の
説
明
図 H Gol
gi 体 の拡大で,微細な反応物が Gol
gi
ci
s
t
e
nnae,Gol
givac
uol
e
s(
GV) に認め ら
高い小体 de
ns
ebody (
DB)が観察 され る。
gi体週辺の c
o
at
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i
cl
es(
矢印)
れ ,Gol
de
ns
el
ody 中には額粒状ない しは針状の反
ER (
ER) 中 にも 反応物が 観察 され
中や r
応生成物がみ られ る。象牙前質中には謬原線
る。De
ns
e bodi
e
s(
DB) 中には さらに集横
CO)が 観察 され, 中には 長軸方向に針
維 (
した額粒がみ られ る。
状結 晶構造 を 有す るもの もある (
矢印)
0
×21
,
000
MVB: mul
t
ive
s
i
cul
arbodi
es
×45,
0
00
図
1
2
.1
3 Ca
一
gl
uc
o
nat
e 投与後 の ラ ット小腸上皮
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
■
-■
細胞 Ka
nt
i
mo
nat
e
Os
O4法
図1
2 小腸上皮の mi
c
r
o
vi
l
l
i(
MV) 中には吸収 し
図 5 細胞項部 の de
ns
ebody (
DB)で,内部 には
た Caによる多数 の額粒状反応物が観察 され
微細額粒 の他 に,長軸方向に一致 して針状 の
t
oc
ho
ndr
i
a(
M) 中や ves
i
cl
e
s(
矢
る。 mi
反応生成物がみ られ る。
×45
,
0
00
印) 中にも Ca に よる微小頼粒がみ られ る。
図 6 同 じ細胞の Gol
gi体 (
G) とその周辺部細胞
質,な らびに細胞間隙 (
矢印)を示す。反応
生成物はほ とん ど観察 されない。
×1
6,
00
0
図 7 EDTA で脱灰後 ,oXal
at
e法で固定 した象牙
芽細胞 の一部で,de
ns
e body (
DB) 中の額
粒状反応物は消失 し,豚原線維上 の結晶様構
造 もみ られない。
×45
,
0
00
×45,
00
0
図1
3 取 り込んだ Ca による反応物は, mi
t
oc
ho
n-
gi ci
s
t
e
r
nae 中,Gol
gi
dr
i
a(
M) 申, Gol
vacuol
es(
G) 中,な らびに 細胞膜 の内側に
沿 って も認め られ る。
図1
-17
■
■
- 4.
×21
,
00
0
ラ ットの象牙芽細胞 ,Ca
phas
phat
e
buf
f
e
r法
図T
8-1
1 ラ ッ ト象牙芽細胞, Ka
nt
i
mo
nat
e
Os
O4
法
図1
4 Gol
gici
s
t
e
r
nae(
G) 中に特異的 に観察 され
図 8 象牙芽細胞項部 に集積 した dens
e body (
D
V) 中にも粗大 な反応物がみ られ る。
i
mo
nat
e に よる反応生
B) 中にみ られ る ant
○
成物で,5
0-7
00
A 位 までの高い電子濃度 を
もった微細の集積 として観察 され る。
×31
,
00
0
o
at
edve
s
i
cl
es (
C
る微細額粒状の反応物 ,c
×80,
000
0
図1
5 Gol
givacuol
e
s(
GV,GV'
)中にも 1
00
A位
の微細な反応物が観察 され ,de
ns
ebody (
D
B) 中 には さらに多数 の反応物が存在す る.
図 9 象牙芽細胞間隙 (
矢印)にみ られ る反応生成
物 ,mi
t
oc
ho
ndr
i
a(
M)
,de
ns
ebody (
DB)
中にも額粒状 の反応物が認め られ る。
×45
,
00
0
図1
0 Gol
gi体 (
G) とその周辺部細胞質で,反応
×8
0,
00
0
図1
6 EDTA で脱灰処理 を施 した後 ,Caphos
phat
e
法 で 固定 した もので, Gol
gi体 (
G) 中の
反応物は Gol
gici
s
t
e
r
nae,Gol
givacuol
es
(
GV) 中 とも消失 し観察 されない。
物は Gol
gici
s
t
e
r
nae,Gol
givac
uol
es 中に
強 く認め られ,Gol
gi体 由来 の de
ns
ebody
(
DB)にも額粒状反応 の強い集横がみ られ る。
×1
6,
00
0
×80,
00
0
図1
7 象牙芽細胞の細胞間隙 にみ られた反応物 (矢
印) N :核
×45,
0
00
小 沢 英 浩, そ の 他
3
9
4
0
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
97
2年
小
沢
英 治, そ の 他
新潟歯学会誌 2巻 1号 1
9
7
2
年
Fly UP