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製造業向け総合水処理ソリューション
富士時報 Vol.77 No.3 2004 製造業向け総合水処理ソリューション 特 青木 隆(あおき たかし) 國谷 正(くにたに ただし) 集 茂松 信幸(しげまつ のぶゆき) まえがき Management)と呼んでいる。 図1が,IWM で提供する代表的な付加価値の例である。 昨今のデフレ経済が長引く中,製造業を営む企業は,厳 水,エネルギー,薬剤,メンテナンスなどのコストの削 しいコスト削減に迫られている。一方,海外では,その一 減,生産性の向上,製品歩留りの向上,環境負荷の低減や つの対策として,ユーティリティ設備のアウトソーシング レジオネラ属細菌対策を代表とする作業環境の改善ほかの 化が徐々に広がってきている。用水や排水などの水処理設 付加価値を IWM サービスの中から創出し提供していく。 備の建設・運用管理の委託,ESCO(Energy Service Com- 具体的な IWM サービスの進め方は,はじめにお客様の pany)によるコージェネレーションシステムからの電力, 既存の水処理設備ならびに関連する製造設備,ユーティリ 蒸気の購入がある。富士電機システムズ (株) では 2003 年 ティ設備の運用状況,メンテナンス内容,ランニングコス 度から,全世界的に薬品処理をベースとした水処理サービ トなどについての調査(オーディット)を実施する。次に スを展開しているナルコ社と共同で製造業向け総合水処理 本調査の結果で得られた問題点や改善の可能性を検討し, ソリューションサービス事業を推進しているので以下に紹 上記付加価値を創出できる水処理サービスを提案する。そ 介する。 してその中からお客様の都合に合わせ合意を得られたテー マについて,サービスを実施する。 IWM サービスの概要 IWM サービスの対象設備は,用水から,プロセス水, ユーティリティで使われる水,排水まで工場におけるすべ 富士電機が実施している製造業向け総合水処理ソリュー ションサービス事業は,単に対象となる水処理設備の水質 ての水処理を対象としている。また,提案内容も部分最適 でなく全体最適を目指している。 を改善するだけではない。水処理をキーワードに水処理の 図2は,IWM サービスにおける契約形態である。本契 結果として,経済的付加価値を提供するものである。富士 約形態は,省エネルギーサービスにおける ESCO 事業と 電機ではこのソリューションサービスを既存の水処理を改 同様の契約方式を基本としている。具体的には,現状のお 善,再構築していく意味から IWM(Integrated Water 客様のランニングコストを IWM サービスによって低減し, 図1 IWM で提供する代表的な付加価値の例 図2 IWM サービスにおける契約形態 コスト削減 生産性向上 ™上下水道費用削減 ™エネルギー費用削減 ™薬剤費用削減 ™処理能力の向上 ™生産性効率の向上 環境・安全 顧客利益 ™環境負荷の低減 ™作業環境の改善 (例)レジオネラ菌 対策 ソリューション による 削減メリット 顧客現状 ランニング コスト IWM 〈注〉 プレオーディット→オーディット→ソリューション提案→サービス IWM ソリュー ション後 ランニング コスト 水処理設備 用水,排水,プロセス水,ユーティリティ(ボイラ,冷却水) IWM 受託額 〈注〉オーディット:ソリューション提案のための水処理設備, 関連設備ほかに関する調査・診断 青木 隆 國谷 正 茂松 信幸 環境分野におけるエンジニアリン 環境分野におけるエンジニアリン 環境分野におけるエンジニアリン グ業務に従事。現在,富士電機シ グ業務に従事。現在,富士電機シ グ業務に従事。現在,富士電機シ ステムズ (株) 環境システム本部新 ステムズ (株) 環境システム本部新 ステムズ (株) 環境システム本部新 事業統括部課長。 事業統括部課長補佐。プロジェク 事業統括部課長補佐。 トマネジメント学会会員。 189(17) 製造業向け総合水処理ソリューション Vol.77 No.3 2004 図3 富士電機システムズ(株) とナルコ社の役割分担 処理 プラント IWM 特 凝集剤 用水処理 調査・診断 コンサルティング 改善実施 排水・ 汚泥処理 300 オゾ ナイザ RO RO 製造 プロセス エンジニア リング 薬品 エンジニア リング 凝集剤 排水・ 廃液処理 エンジニア リング 製造業向け ソリューション ユーティリティ エネルギー ソリューション エンジニア リング ™ボイラ ™クーリング タワー 薬剤最適 注入装置 (TRASAR) 防錆剤 レジオネラ 殺菌剤 250 200 150 100 50 リモート メンテ ナンス 2 日 目 スケール 防止剤 4 日 目 6 日 目 8 日 目 10 日 目 12 日 目 14 日 目 16 日 目 12 日 目 14 日 目 16 日 目 (a)タイマ制御 富士電機システムズ (株) ナルコ社 300 250 これにより得られるコストメリットをお客様とシェアする といった契約形態である。本契約方式により,IWM サー ビスを実施する際のお客様におけるコストやリスクを軽減 できると考えている。 図3に,IWM サービスにおけるナルコ社と富士電機シ 薬剤濃度(mg/L) 集 図4 タイマ制御と TRASAR 制御の薬剤注入濃度比較 薬剤濃度(mg/L) 富士時報 200 150 100 ステムズ (株) の役割分担を示す。ナルコ社側が世界第一の シェアを持つ薬剤を使った水処理エンジニアリング,薬剤 50 や注入装置などの機器を提供し,富士電機側は,計測制御 2 日 目 やオゾン,膜などの機械設備のエンジニアリング,機器の 提供,エネルギーソリューションに関するエンジニアリン 4 日 目 6 日 目 8 日 目 10 日 目 (b)TRASAR制御 グを担当している。 IWM ソリューションツール たり過剰な濃度になったりしている。目標濃度に対して下 回っている場合はスケールの発生率が上昇することになり, 3.1 薬注制御装置技術(TRASAR 技術) その結果,熱交換器部における熱交換効率の低下につなが 工場内に設置される冷却水設備において,冷却水におけ る可能性がある。一方,過剰な注入がなされている期間で るスケール防止および殺菌を目的として薬剤を注入するが, は無駄な薬剤が注入されていることとなり,使用量,薬剤 多くの設備ではタイマによる注入制御を行っている。すな コストの増加につながる。これに対して TRASAR 技術を わち,一般的に薬剤注入濃度はオンサイト上で検出されず, 適用した場合は,目標濃度に対してほぼ一定の濃度を維持 定期的な水質分析を実施することにより把握され,この分 しており,適正な水処理コントロールを実現するとともに, 析結果を基にタイマ設定を見直すことで注入率を改善し, タイマ制御に比べ使用薬剤量の削減につながる。 冷却水の水質をコントロールしている。これに対してナル コ社の技術である TRASAR 技術は,冷却水用薬剤の一つ であるスケール防止剤に対し,蛍光活性を有する物質を含 3.2 薬剤技術 (1) 脱酸素剤(ELIMIN-OX) ませ,これを検出することによって瞬時に処理水中の薬剤 代表的な脱酸素剤であるヒドラジンと比較して,薬剤ハ 濃度を検出する技術であり,薬剤の濃度一定制御が可能と ンドリング上の安全性が高く,脱酸素反応速度も 500 倍と なる。さらにこの技術を適用することで,容易に安全かつ 高い効果を持つ。この薬剤はすべてが揮発成分であるため 安定した水質コントロールが実現できる。 に,ボイラ内に溶解固形物を残さない。さらに,金属表面 図4は冷却水の水質コントロールにおけるスケール防止 にマグネタイトの被覆を形成することで,金属表面におけ 剤の注入制御において,タイマ制御を適用した場合と る腐食を防止するといった不動態化効果を持っていると TRASAR 技術を適用した場合とを比較したもので,おの いった特徴もある。 おのの制御方法における,薬剤濃度の変化を示している。 (2 ) 復水処理剤(ACT) なお,測定時の目標薬注濃度は 200 mg/L である。タイマ ACT は食品業界でも広く使用されている乳化剤を主成 制御の場合,薬剤濃度が激しく変動し,目標濃度を下回っ 分とする安全な復水処理剤である。この薬剤の効果は,注 190(18) 富士時報 製造業向け総合水処理ソリューション Vol.77 No.3 2004 入後短時間(数日)で皮膜を形成し,炭酸ガスが原因の腐 あり,分散した設備においても比較的容易にシステムの構 食だけでなく,酸素による腐食も防止できる。さらに油の 築が可能である。 エマルジョンを形成しないため,従来の皮膜型アミンと比 べストレーナを閉塞させることが少ないといった利点も持 つ。 特 3.4 廃水回収テクノロジー 工場における廃水は水質および下水道の整備状況によっ (3) 重金属処理剤(NALMET) て,下水道放流する場合と河川放流する場合がある。とり NALMET は高分子に硫黄系の物質( - CS2:Carbon わけ下水道放流する場合は,下水道料金が工場にとって大 disulfide)をつなげた薬剤である。排水中の重金属を,中 きなコスト負担となっている場合が多い。また,廃水の水 性領域で凝集・沈殿処理することができる。除去可能な金 質が比較的よい場合,何らかの処理を加えることによって 属は,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ag,Cd,Sn,Hg お 再利用できる可能性がある。このため IWM では対象とな よび Pb であり,半導体工場,石油精製工場,製鉄工場な る廃水の量や水質の調査および再利用水の用途などを検討 ど幅広い設備での適用が期待できる。 したうえで,適切な処理設備を設置し,下水処理費用の削 (4 ) RO 装置用薬剤(PermaCare) 減と用水使用量の削減を目指すソリューションサービスを RO(Reverse Osmosis)装置はスケールやスライムな 展開している。ただし,一般に廃水の再利用設備の設置に ど微生物障害による RO の閉塞を懸念して,透過率を低下 は多大な投資が必要となる場合が多く,投資対効果が得ら させて運転を行う場合が多い。PermaCare は RO におけ れるか十分検討したうえで計画することが必要である。 るスケールや微生物障害を抑制し,RO の透過率を向上さ せるための薬剤である。PermaCare の適用により,RO 透 IWM サービスの実例 過率を上げることができ,用水および排水量の削減が期待 IWM サービスの実例として,某半導体工場にて実施し できる。 ているソリューションサービスについて以下に記す。ここ では,現在三つの IWM サービスを展開中である。 3.3 リモート監視技術 工場において用水,排水,冷却水およびボイラ水のよう に,水質コントロールが必要な箇所は,適切な水質管理が 4.1 冷却水処理ソリューション なされていることを定常的に確認する必要がある。これら 某半導体工場内には 100 冷凍トン以上の冷却塔が約 20 の中で特に冷却水とボイラ水においては,設備が分散して 基設置されており,これらは主にクリーンルームなどの空 いる場合が多く,効率的な監視システムを構築することが 調用冷凍機用として用いられている。冷却水の水処理コン 困難なため,定期的に人が巡視点検するなどにより管理さ トロールは,スケール防止とバイオフィルムや藻などの生 れている。これらの業務を軽減し,さらには人の経験値な 物系スライムによる水質低下に対する薬剤処理を主体とし, どにより判断が異なることがないように,リモート監視設 冷却塔の底に沈殿する不純物の除去などを目的とした定期 備を設置することが有効である。IWM 事業を推進する一 洗浄などがあげられる。今回は,これら冷却水設備のうち 環として,水質などの必要な計測データやアラームを取り 12 基に対し,最適運用を実現することを目的として IWM 込み,これらの情報を常時リモート監視することで,現場 サービスを実施した。今回設置した冷却水系の処理システ 作業の軽減と安心を提供する。リモート監視装置の一例と ムを図6に示す。 して,WebMaster の外観と基本仕様を図5に示す。 WebMaster は , pH 計 , ORP( Oxidation Reduction 図6 冷却水系処理システム Potential)計や電気伝導度計などの計測機器と通信装置が 一体化した水処理設備のリモート監視を目的とした装置で 遠隔監視 ①データ管理・蓄積 ②非常警報受信 ③設定値の変更 冷却塔 図5 遠隔監視制御装置(WebMaster)の外観と基本仕様 M 補給水 電気 pH 伝導度 監視項目 ™アナログデータ×8点+4点 電気伝導率(冷却水) 電気伝導率(補給水) pH(冷却水) ORP(冷却水) ™ディジタル(パルス含む)データ×6点 電気 pH フロー ORP 伝導度 計 スイッチ 計 薬注制御装置 (TRASAR) 監視,データロギング,配信機能 ™現状監視(計測値,ディジタル情報 監視) ™アラームの電子メール配信 ™日報,週報(隔週も可)月報の電子 メール配信 操作・設定 ™ディジタル出力×7点 ™アナログ設定値出力×4点 運転指令 P 循環ポンプ 冷凍機 レ ベ ル 計 レ ベ ル 計 薬剤タンク1 薬剤タンク2 遠隔監視 制御装置 (WebMaster) 191(19) 集 富士時報 製造業向け総合水処理ソリューション Vol.77 No.3 2004 IWM サービスによる第一の改善点は,従来,スケール 防止剤と殺菌剤を混合して 1 液薬剤とした複合薬剤が適用 されていた箇所に対し,これらの効果を個別に分けた2液 事実,濃縮倍数を 3.24 倍から 4.85 倍へ上げて運転した 状態で,既存の薬剤使用量 2.94 L/日に対して 1.8 L/日と約 ある特定の割合でスケール防止剤と殺菌剤が混合されてい 4 割の削減を達成した。また,並行して行ったスケール試 るため,薬剤注入による最適な水処理コントロールを行う 験でも全硬度・シリカ・カルシウム硬度の濃縮倍数は電気 場合,スケール防止剤を基準とするか殺菌剤を基準とする 伝導率・塩化物イオンの濃縮倍数を上回っておりスケール かにより,いずれか一方の薬剤が過剰注入となり,必要注 析出の問題はなかった。このほかに腐食試験も実施したが, 入量が確保できなくなるが,個別に 2 液を設置し,それぞ IWM サービス実施前と比較して同等のレベルであった。 れで処理することにより,このような問題を解決できる。 これまでの結果,IWM サービス実施により,薬剤使用 さらに,これらの 2 液のうちスケール防止剤について,先 量が約半分となり,工場の水処理運用費のコストダウンに に紹介した TRASAR 技術を適用することで,薬剤の最適 貢献している。冷却水処理も順調に処理されており,従来, コントロールを実現している。 冷却塔にところどころ発生していたスライム障害も大幅に 第二の改善点は,冷却水の濃縮倍数を従来の 2 ∼ 3 倍か 減少している。また,処理水質や薬注装置の異常が Web ら 5 倍へ高めることで補給水,薬剤の使用量および排水量 Master のデータにより発見・追跡調査が可能となり,問 の削減である。 題発生時の原因の追究が容易になった。 従来は,スケールの析出や藻類の繁殖を懸念して冷却水 の濃縮倍数(冷却水中の成分濃度/補給水中の成分濃度) 4.2 蒸気配管腐食ソリューション を 2 ∼ 3 倍に抑えて運転されていたが,ナルコ社の薬剤と 本工場内では主として生産用・空調用・冷凍機用に蒸気 TRASAR 技術による薬注コントロールの組合せにより, を使用している。蒸気は工場内に集約されたボイラおよび 高濃縮運転下であってもスケールの析出や藻の繁殖を防止 コージェネレーションシステムから各建物へ供給されてい することが可能となった。 る。これらは蒸気ドレンによる配管腐食防止のため,ボイ 第三の改善点は,先に紹介した WebMaster を使用した ラおよびコージェネレーションシステムの水・蒸気系統に リモート監視システムを設置することで,システムや処理 対し,防錆(ぼうせい)剤などによる薬剤処理を行ってい 水質の異常を早期発見することが可能となり,お客様に安 る。この工場内における蒸気の配管長は長く,一部の配管 心を提供するとともに,定期的な報告をすることにより, において高い頻度で腐食傾向が見られていたため,この原 IWM サービスの透明化を図ったことである。また,これ 因を調査した。従来の調査の方法は蒸気ドレンのサンプリ らのデータ検証および報告を通して,冷却水処理をより効 ングを行い,それを持ち帰って分析し原因を探るというも 率よく行うための冷却塔内の設備改善提案や,冷却水の異 のであったが,この場合,持ち帰る間にドレン中の炭酸ガ 常な汚れの原因を調査し汚れの発生源の特定と改善提案を スの放出または吸収が起こり,pH 測定が正確に行えな 行い,冷却水システム全体としての改善およびコスト削減 かった。そこで IWM の調査では,直接蒸気配管に腐食 を図っている。 計・ pH 計などを取り付け,数週間にわたりデータを取得 IWM サービス導入前と導入後の濃縮倍数とスケール防 止剤注入量の比較を図7に示す。 した。その結果,図8に示すデータのとおり時間帯によっ てドレン水の pH が低下することが判明した。本現象は, IWM サービス実施前は薬剤濃度が高く,また変動が大 給水中の M アルカリ成分の変動と薬液注入制御がミス きいため,結果として余分な薬剤を注入していることが分 マッチになっていることが原因と考えられ,現在改善提案 かる。これに対して IWM サービス実施後は濃度が一定で を行っている。 図7 冷却水導電率(濃縮倍数)と薬剤使用量(濃度) ←IWM実施前 導電率( S) IWM実施後→ 図8 蒸気ドレン水質測定結果 1,200 冷却水導電率 補給水導電率 濃縮倍数アップ 400 50 0 1 日 目 20 日 目 600 濃度制御 無駄のない注入 400 200 0 1 日 目 192(20) 10 B系統pH 10 日 目 タイマ制御 無駄な注入が多い 10 日 目 A系統導電率 40 9 30 8 A系統pH 20 7 10 6 B系統導電率 0 20 日 目 5 1 日 目 2 日 目 3 日 目 4 日 目 5 日 目 pH 800 導電率(mS) 集 少ないことを示している。 による薬剤供給システムとした点である。複合薬剤の場合, 薬剤濃度(mg/L) 特 かつ実施前と比べて低い値で推移しており,薬剤使用量が 富士時報 製造業向け総合水処理ソリューション Vol.77 No.3 2004 図9 廃水回収システムフロー 制御盤 凝集剤タンク 特 硫酸タンク 集 アルカリタンク 硫酸タンク パーマケアタンク 凝集沈殿槽 LC LC サンドフィルタ LC プレ フィルタ LC pHC 処理水 原水タンク 凝集処理水タンク ろ過水タンク 高圧ポンプ pH調整タンク ROユニット 廃水処理 最終放流槽 LC:レベルコントロール pHC:pHコントロール 水中ポンプ より最適なシステムの選定を行っている。 4.3 廃水回収ソリューション 本工場から排出される下水放流量は 1 日あたり約 5,000 あとがき m3 と多く,下水道料金は大きな負担となっている。そこ で,廃水を回収しボイラ・冷却水などの補給水などに再利 今回は,ナルコ社と共同で実施している製造業向け水処 用することを目的とする廃水回収システムの検討を行い, 理ソリューション(IWM)事業について紹介した。製造 下水道料金の削減と環境負荷低減を目指している。現在, 業における水は必要不可欠なものであるとともに,運用の 廃水回収装置のテストプラントを設置し,実現性を検証中 改善や特定の技術を適用することで,運用コストの低減や である。設置したテストプラントの廃水回収システムフ 環境負荷の低減へとつながることが期待できる。今後とも ローを図9に示す。 対象設備に対し,優れた提案を行うことにより,お客様へ 本装置は一次受水・ pH 調整タンク,凝集沈殿処理槽, ろ過処理装置,RO 膜装置(スケール分散処理付き) ,pH 新たな付加価値を提供するとともに,環境負荷の低減へと つながるよう,本事業を推進していく所存である。 調整タンクの五つのユニットから構成されており,実験に 193(21)