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鉄道事業における取り組み
環 境 配 慮 の 取 り 組 み ● 2015 TOBU 2 Corporate Social Responsibility Report 鉄道事業における取り組み 環境配慮型車両の導入 当社の電力使用量は駅・踏切等の安全対策 、冷暖房やエスカレーター・エレベーターをはじめとするバリアフリー設備等の サービス向上などによる増加要因もありますが 、省エネルギー車両の導入等により 、運転電力の消費削減に努めています。 省エネルギー車両の導入推移 直近 3 年間の導入実績 2014 年度実績 8 編成 48 両 60000 系 2013 年度実績 6 編成 36 両 同上 2012 年度実績 2 編成 12 両 同上 省エネ車両数※ 省エネ車両率(%) 年度 在籍車両数 2014 1,914 1,478 77.22 2013 1,936 1,430 73.86 2012 1,960 1,394 71.12 備考 年度末実績 ※省エネ車両数:電力回生車両および軽量車両(但し重複分は除く) Topics 新型特急車両「500 系」を東武本線に導入予定(2017 年春) 2017 年春 、東武本線で運行する新型特急車両「500 系」を 8 編成導入します。 開発コンセプトは 、 「さまざまな運行形態で運用可能な速達性と快適性を持った特急列車」であり 、1編成3両固定の併結・ 分割を可能とした仕様とします。これにより 、途中駅で列車の併結・分割などを行い 、お客さまの目的地に合わせたシームレ スなご利用が可能となります。 車両デザインは 、エクステリア(外観)は先進的でシンボリック なデザインとしたほか 、インテリア(内装)は江戸の伝統色「江戸 紫」をモチーフとした色を腰掛けに使用 、天井には鬼怒川や隅田川 の流れをイメージした造形をあしらうなど 、沿線の魅力をつむぐ デザインとしています。 設備面では 、車体に軽量なアルミダブルスキン構造を採用する ほか 、高効率の永久磁石同期電動機( PMSM )の採用 、車内照明の LED 化などにより消費電力量の低減を図るほか 、当社初となる車体 動揺防止制御装置(アクティブサスペンション)の導入により 、乗 り心地の向上も図ります。 Topics 通勤車両「70000 系」を東武スカイツリーラインに導入予定(2016 年度から) 2016 年度から東京メトロ日比谷線相互直通運転用の新型通勤車両「70000 系」を導入します。 同時期に製作する東京メトロ 13000 系と主要な車両機器・設備 について仕様共通化を図ることで、 車両ドア、 優先席、 フリースペー ス等の位置を統一化し 、お客さまがどの列車にご乗車いただいても わかりやすく・使いやすい車両として快適にご利用いただけます。 「500 系」同様 、車体にはアルミダブルスキン構造を採用すること で軽量化を実現するほか 、永久磁石同期電動機( PMSM )の採用 、車 内照明の LED 化などにより 、環境負荷低減を図っています。 また 、当社初となる操舵台車の導入により 、曲線通過時にレール と車輪とが接触することに伴って発生するキシリ音を抑制するこ とができます。 23 環 境 配 慮 の 取 り 組 み ● 2015 TOBU 2 Corporate Social Responsibility Report 鉄道事業における取り組み 主な環境配慮型装置 最新型の 60000 系車両は 、2004 年度に導入を開始した 50000 系を基本に 、 「人と環境にやさしい車両」をコンセプトに設計 したものです。省エネルギー、メンテナンスフリー、安全性の向上等を図り 、 「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」およ び「バリアフリー整備ガイドライン」を考慮しました。 紫外線( UV ) 反射ガラス 列車内への紫外線透過を防止するため 、 紫外線( UV ) 反射ガラスを用いています。 アルミ合金製の軽量車体 【次ページ③で解説】 LED 前照灯 LED 車内照明 LED 灯を用いることで 、消費電力の 低減を図っています。 【次ページ④で解説】 密閉構造のモーター 密閉構造のモーターを採用することで 、車内外へ の騒音を低減させ 、環境に配慮 しています。 滑走防止装置 【次ページ⑤騒音・振動低減対策(車両関係)で解説】 VVVF インバーター制御装置 【次ページ①で解説】 回生ブレーキシステム 【次ページ②で解説】 防音車輪 【次ページ⑤騒音・振動低減対策(車両関係)で解説】 ※東武アーバンパークラインでは 、2013 年度から電力回生ブレーキを搭載した「60000 系」などの省エネ ルギー車両(回生車両) の運転を開始しています。 24 環 境 配 慮 の 取 り 組 み ● 2015 TOBU 2 Corporate Social Responsibility Report 鉄道事業における取り組み ① VVVFインバーター制御装置 ②回生ブレーキシステム 従来は速度制御の比較的容易な直流モーター 回生ブレーキとは 、主電動機を発電機として利用し 、発生した電 が一般的に用いられていましたが 、近年の半導体 力をパンタグラフ・架線を通して 、近くを走行(加速)中の他の電 技術の進歩により 、直流 1500V を交流電圧に変換 車に供給することにより 、発電時の回転抵抗が負荷となり 、その結 する装置を用いて電圧と周波数を自由に制御する 果ブレーキ力を得る方式のことです。これまでは熱として捨てて ことができるようになりました。この変換装置を いたエネルギーを有効活用できます。近年の VVVF 制御装置搭載車 VVVF 制御装置といいます。直流モーターで行っ 両は 、回生ブレーキシステムを簡単に組み込むことができます。 ていた主抵抗器の抵抗値を変える方式よりもモー ターの回転力をなめらかに変化させることで 、よ 電力の流れ 発電した電力を 架線に戻す 架線から電力を 取り入れる あまった電力は 貯めておく り効率的な制御が可能になるとともに 、大きな省 回生ブレーキ中の電車 エネルギー効果をもたらします。 走行(加速)中の電車 ③アルミ合金製の軽量車体 モーター アルミ合金は他の金属と比べ軽量ですので 、従 ブレーキをかける 来の鋼板製の車体と比べ 、少ない消費電力で 、列 架線から取り入れた 電力で加速 車輪 車の走行が可能となります。 鋼板製の車体に対し 、アルミ合金製の車体は軽 ④ LED 車内照明 量化の他に上記の「 VVVF インバーター制御装置」 や「回生ブレーキシステム」も搭載し 、約 40%の省 車内照明を従来の蛍光灯から LED 灯に変え エネルギーが図られています。 ることで 、消費電力量の低減を図っています。 現在 、 LED 車内照明の導入率は約 10%です。 ⑤騒音・振動低減対策(車両関係) 【防音車輪】 列車走行時の騒音にはレールと車輪間で発生するものが多 く 、曲線通過時に発生するキシリ音がその代表例です。キシリ 音を低減するために 、車輪周囲にゴムを挟み込むことで騒音を 抑制する防音車輪の導入を進めています。現在 、防音車輪の導 入率は約 89%です。 「防音車輪」 【滑走防止装置】 車輪のフラットは 、電車がブレーキをかける際 、車輪とレー ル間の摩擦力よりブレーキ力が大きくなった場合に 、滑走(車 輪がロックされた状態) を引き起こし 、車輪がレールと擦れ発生 する平面状の部分のことで 、騒音・振動の要因となるため 、対策 として滑走を検知してブレーキを一時的に弱める滑走防止装置 の導入を進めています。現在 、装置の導入率は約 37%です。 なお 、車輪にフラットが発生した場合は 、車両基地にて車輪 「フラットが生じた場合の車輪削正の様子」 の削正を行います。 25 環 境 配 慮 の 取 り 組 み ● 2015 TOBU 2 Corporate Social Responsibility Report 鉄道事業における取り組み ⑥騒音・振動低減対策(軌道関係) 【レール削正車】 電車の走行音や振動を大きくする原因となるレール表 面の微細な凹凸やキズ。 当社では 、レール削正車で夜間終列車後にレール表面を 削って滑らかに仕上げています。この削正作業で 、微細な 凹凸やキズを除去し 、新品レールに近い形状に戻すこと で 、電車の走行音や振動の抑制を図っています。 「レール削正車」 2014 年 度 は 、一 晩 あ た り 平 均 約 440m 、年 間 で は 約 110km のレール削正を実施しました。 「レール削正の様子」 【分岐器の弾性化】 これまでの分岐器は 、レールを関節を曲げるように動か して電車の進行方向を変えていました。そのため 、関節分 岐器と呼ばれる分岐器には 、トングレールとレールをつな ぐ継目が必要でした。 現在 、レールのしなりを利用してトングレールを転換さ せる弾性分岐器化を進めています。 これにより 、トングレールとレールをつなぐ継目を解消 でき 、継目部を列車が通過する際に発生する騒音・振動の 低減を図っています。 「弾性分岐器」 ⑦回生電力貯蔵装置 2014 年 12 月 、運河駅構内に回生電力貯蔵装置の導入・供用を開始しました。この 装置は 、電車がブレーキを使用した際に発生する回生電力を架線を通して吸収・貯蔵 し 、その貯蔵した電力を他の電車が加速する時に供給し 、電力の安定供給と有効活用 を実現するものです。 当社では東上線の上福岡き電区分所に続き2か所目の導入です。 「回生電力貯蔵装置」 26 環 境 配 慮 の 取 り 組 み ● 2015 TOBU 2 Corporate Social Responsibility Report 鉄道事業における取り組み ⑧変電設備の環境保全対策(変電設備の絶縁油) 変電所には 66kV の電圧を 6kV に変換する高配用変圧器があ ります。変圧器内の絶縁と発生熱の冷却のために使用する油 は 、従来石油由来の鉱油を用いていました。 現在は 、設備更新時等に 、植物由来の「パームヤシ脂肪酸 エステル」や「菜種油」を使用した変圧器を採用しています。 2014 年度は 、杉戸変電所設備更新で「菜種油」を採用しました。 この油は冷却・絶縁に優れていると共に 、植物由来であるこ とから 、従来の石油由来の鉱油に比べて 、焼却処分時も大気中 の CO2 濃度の上昇防止に大きく貢献します。 「変電設備」 ⑨塗装の環境配慮(橋梁) 鉄道橋梁のうち「鋼製橋梁」は 、錆の進行に伴う部材劣化の 抑制を図るため 、定期的な塗装が必要です。 当社では 、大気汚染の原因物質である揮発性有機化合物 ( VOC )への対策として 、従来から弱溶剤系の塗料(フタル酸樹 脂塗料 、ポリウレタン樹脂塗料等)を用いています。この他 、 鉛の含有量が少ない錆止め剤(変性エポキシ樹脂等)も使用し ています。 交通量の多い道路に架かる橋梁や鉄道と交差する橋梁では、 高耐久性の塗料(フッ素樹脂塗料) を使用することもあります。 東上線「入間川橋梁」 ⑩照明器具の LED 化(駅照明) 駅施設の照明器具も大規模改修や設備更新時にあわせて LED 化を図っています。とうきょうスカイツリー駅の例では 、 ホーム上家の梁部分に設置されていた 150W コンパクト形メ タルハイライドランプ投光器を LED コンパクトキャノピー灯 に更新することで 、60,000 時間の長寿命化を実現し 、かつ旧照 明設備と比較して省エネ率約 60%を可能にしています。 また 、首振り自在の金具付きを採用し 、無駄に光を広げない よう灯下光の範囲を定めて設置するとともに 、ホーム上の均 整度を高め乗降時の安全性を確保するよう努めています。な お 、LED 照明は瞬時点灯の機能を有していますが 、同駅照明は スロースタート機能を搭載し 、夕方などの点灯時に急な明る さ変動を伴わず 、ご利用のお客さまの目にやさしい配光制御 東武スカイツリーライン 「とうきょうスカイツリー駅ホーム」 としています。 27