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サッカーワールドカップ 2002 に伴う麻疹輸出の危険率モデル解析

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サッカーワールドカップ 2002 に伴う麻疹輸出の危険率モデル解析
269
サッカーワールドカップ 2002 に伴う麻疹輸出の危険率モデル解析
国立感染症研究所感染症情報センター
高橋
央
長谷川斐子
多屋 馨子
岡部 信彦
新井
智
(平成 13 年 11 月 20 日受付)
(平成 14 年 1 月 8 日受理)
Key words:
measles, exportation, modeling, risk analysis, mass-gathering
要
旨
日本では FIFA ワールドカップ 2002 が 6 月に日韓共同で開催されるが,これに関連した人往来で我
が国から海外への麻疹輸出が懸念される.1999 年 1 月から 2001 年 7 月までに発病し,豪州米国のサーベ
イランス当局に報告のあった麻疹症例のうち,日本からの輸出症例と見なされたものは各々 7 例と 22
例であった.その間,法務省出入国管理統計によれば出入国者総数は,日豪間が 213 万人,日米間が 1,469
万人であった.国土交通省によるワールドカップに伴う出入国予想数(42∼43 万人)をもとに,ワール
ドカップに伴う豪州間の往来を 1 万 6 千人,米国間を 10 万 9 千人と推定した.麻疹の曝露と伝播に関し
て,通常と同様と仮定し,ワールドカップ開催期間中の輸出麻疹の発生確率(P)を,P=1−
[1−
(輸出
ワールドカップの往来者数
麻疹発生数!
往来者総数)
]
とモデル化して,麻疹輸出の危険率をモデル解析した.結果は豪
州で 0.051,米国で 0.15 と算出されたが,麻疹は例年 5∼6 月に発生ピークがあり,観戦時の若者間の濃厚
な曝露も想定され,これより危険が高いと考えられた.開催後の麻疹輸出について,国際的なサーベイ
ランスの強化と共に,我が国においては流行規模抑制のため 1 歳児への予防接種の徹底が強く望まれる.
〔感染症誌
序
文
76:269∼274,2002〕
功している発展途上国もある.
今日の麻疹は,その流行状況が地理的に偏在し
航空機による高速大量の移動が可能となり,麻
ている感染症である.西半球やオセアニアでは抑
疹は国際的な伝播が問題化している.特に国際旅
圧状態(under elimination)にあるが,日本を含む
行の機会が多い先進国の国民に麻疹が流行した場
アジア,アフリカ,欧州では制圧(control)段階
合,旅行者が抑圧状態の国へ麻疹を持ち出す可能
にも至っていない.日本では 1 歳児の麻疹予防接
性が高くなる.豪州や米国では麻疹の全症例を
1)
種率が 95% に達しておらず ,毎年地域的な流行
サーベイランスで把握しており,例えば米国では
が各地で見られている.熱帯病や腸管感染症の伝
2000 年に麻疹の報告が 86 件あったが,うち 26
播と異なり,麻疹は経済状態や衛生環境に拘わら
件(30%)を輸入例が占め,これらの多くは日本
ず,先進国でも伝播が続いている.逆に予防接種
や欧州からの事例であった2).
が堅実に実施されている地域では,麻疹抑圧に成
別刷請求先:(〒162―8640)
東京都新宿区戸山 1―23―1
国立感染症研究所感染症情報センター
高橋
央
平成14年 4 月20日
日本では FIFA ワールドカップ 2002(以下ワー
ルドカップ 2002)が 6 月に韓国と共同開催され
る.我が国における麻疹流行の状況が改善されな
い場合,ワールドカップに関連した人の往来で,
270
高橋
どれ程度の麻疹が日本から持ち出されるかを,確
率モデルから推測した.
方
央 他
I:日本から豪米への輸出麻疹報告数(1999 年 1
月∼2001 年 7 月)
法
豪米の月間麻疹発病者数と日本からの輸出件数
の 集 計:1999 年 1 月 か ら 2001 年 7 月 ま で の 31
カ 月 間 に 発 病 し,豪 州 国 立 予 防 接 種 セ ン タ ー
(NCIRS)と米国疾病制圧予防センター(CDC)に
報告のあった麻疹(抗麻疹 IgM 抗体陽性またはウ
N:豪米の出入国者総数(上記観測期間)
Pr:往来者 1 人が麻疹を輸出する確率
とすれば,
Pr=I!
N
輸出麻疹の発生確率 P は,各々が独立事象のた
め,
イルスが分離された症例)の数と,日本からの輸
V
P=1−P{往来者 1 人が発病しない確率}
出麻疹(豪米の当局が症例の国籍,旅行歴,発病
=1−(1−Pr)V
歴,予防接種歴,ウイルス型などから判断した症
V
=1−[1−(I!
N)
]
例)の全数を,両機関が運営するサーベイランス
と算定される.
から抽出集計した.
この演算をマッキントッシュ OS・グラフ計算
豪米からのワールドカップ 2002 来日人数の推
定:上記期間中に,日本へ入国した外国人総数と
海外へ出国した日本人総数を,法務省出入国管理
機(Macintosh 社製)と SPSS10.0J(SPSS 社製)で
計算し,モデル曲線をマイクロソフト・エクセル
(Microsoft 社製)で作図した.
結
統計より調べた.さらに豪州と米国について,同
果
期間中に日本へ入国した豪州人・米国人の総数
豪米の月間麻疹発病者数と日本からの輸出件数
と,日本から豪州・米国へ出国した日本人の総数
の 集 計:1999 年 1 月 か ら 2001 年 7 月 ま で の 31
を,同様に調べた.
カ月間に豪州国立予防接種研究センター
2001 年 7 月,国土交通省は公共交通機関の輸送
(NCIRS)
が報告を受けた麻疹症例数は,1999 年が
力から,
「ワールドカップ 2002 に伴う出入国者は
230 例,2000 年が 109 例,2001 年が 104 例の合計
42∼43 万人」
と発表した. そこで 43 万人のうち,
443 例であった.このうち日本からの輸出症例は
ワールドカップ 2002 に伴う豪米からの往来者数
7 例(1999 年 1 例,2000 年 3 例,2001 年 3 例)
あっ
は,上記の出入国総数に対する日豪・日米間の出
た.
入国者数の割合に一致すると仮定した.また日
米国疾病制圧予防センター(CDC)へ上記観察
豪・日米間の往来者数のうち,日本人の数は,上
期間中に報告された麻疹症例は 277 例(1999 年
記の出入国総数における日本人の占める割合に合
100 例,2000 年 86 例,2001 年 91 例)で,うち日
致すると仮定して推定した.
本からの輸入麻疹症例数は 22 例(1999 年 3 例,
豪米への輸出麻疹発生確率モデルの算定法:麻
2000 年 7 例,2001 年 12 例)あった.
疹ウイルスの曝露と伝播の強さに関して,ワール
豪米からのワールドカップ 2002 来日人数の推
ドカップ 2002 に伴う豪米からの往来では,通常と
定:1999 年 1 月から 2001 年 7 月までの間,外国
変わりないと仮定して,ワールドカップ 2002 開催
人と日本人の出入国者総数は,5,779 万人にのぼっ
期間中(2002 年 5 月 31 日∼6 月 30 日)の,豪米
た.同期間中,日豪間と日米間の出入国総数は,
への輸出麻疹の発生確率をモデル化して算定し
日豪間が 213 万人(豪州人入国者 37 万人,日本人
た.
出国者 176 万人),日米間が 1,469 万人(米国人入
ワールドカップ 2002 に伴って V 人が往来すれ
ば,輸出麻疹発生確率(P)は以下の数式で表され
る.
P=1−P{訪問者 V 人全員が発病しない確率}
ここで,
国者 192 万人,日本人出国者 1,277 万人)であっ
た.
従って,ワールドカップ 2002 に伴う豪州からの
訪問は 1 万 6 千人,米国からの訪問は 10 万 9 千人
と推定された(Table 1)
.
感染症学雑誌
第76巻
第4号
サッカーワールドカップの麻疹輸出モデル解析
271
Table 1 Assumption of the number of the visitors for WC2002
Japanese to Australia :
Australian to Japan :
Total
(TAU)
1,760,000
370,000
If a total 430,000 people travel
through Japan during WC 2002 :
2,130,000
Japanese to USA :
American to Japan :
12,770,000
1,920,000
Total
(TUS)
14,690,000
Japanese to overseas :
13,345,000
Foreigner to Japan :
Total
44,445,000
57,790,000
Visitors between Australia and Japan
= 430,000×TAU/Total
= 16,000
Visitors between USA and Japan
= 430,000×TUS/Total
= 109,000
Source : Ministry of Justice. Annual report of statistics on legal migrants, 2001
Table 2 Probability of measles exportation(P)
V
P=1−[P
{one doesn’
t export measles}
]
Since each incidence is independent,
V
P=1−(1−Pr)
V : Number of visitors for WC2002
Pr : P
{one exports measles}
=I/N
I : Incidence of exported measles
N : Number of travelers
Therefore,
V
P=1−[1−
(I/N)]
For Australia ;
V=16,000
I=7
N=2,130,000
For the United States ;
V=109,000
I=22
N=14,690,000
16,000
P=1−[1−
(7/2,130,000)]
109,000
P=1−[1−
(22/14,690,000)]
16,000
=1−
(1−3.2864×10−8)
109,000
=1−
(1−1.4976×10−8)
=0.051
=0.15
豪米への輸出麻疹の発生確率の算定:豪州間の
往来者による輸出麻疹の発生確率(Pau)は,
考
察
豪米では麻疹の年間発生数が 100 前後まで低下
V
Pau=1−
[1−(Iau!
Nau)]
しており,全ての麻疹症例を疫学調査しているた
16,000
=1−[1−(7!
2,130,000)
]
め,疫学的ウイルス学的に国外から持ち込まれた
16,000
=1−(1−3.2864×10−6)
麻疹の実態を把握することが出来る.今回得られ
=0.051
た結果は,日本から豪米へ持ち出された麻疹の発
同様に日米間の往来者における輸出麻疹の発生確
生報告数と出入国管理統計から仮定した往来者数
率(Pus)は,
による,ワールドカップ 2002 期間中における理論
V
Pus=1−
[1−(Ius!
Nus)
]
上の輸出麻疹の発生確率である.
V
=1−[1−(22!
14,690,000)
]
日豪間と日米間の往来者における輸出麻疹の発
109,000
=1−(1−1.4976×10−6)
生確率(P)
は,両国を合計しても Pau+Pus=0.201
=0.15
と大きな値にはならなかった.しかし,これらの
と算定された(Table 2)
.
結果は実際より小さめの数値と考えるのが妥当で
あろう.米豪のサーベイランス当局から報告され
平成14年 4 月20日
272
高橋
た報告症例には,不顕性症例や臨床検査が実施さ
れなかった症例は含まれておらず,医療機関を受
診しなかったため米豪のサーベイランス当局へ未
央 他
Fig. 1 Probability of measles exportation, if proportion of exportation is fixed to 10−6
V:Number of the visitors for WC2002
報告の事例があり得る.また麻疹流行のピークは
例年 5∼6 月なので,この間の輸出麻疹件数はもっ
と高くなる筈だからである.このモデルに用いら
れた往来者数は,仮説に基づく推定値である.正
確な往来者数は不確定要素が多過ぎるため,開催
直前になっても厳密に推定することは困難であ
る.本稿投稿時点で豪米の代表チームが参加する
かは未定であるが,もしも両国がワールドカップ
2002 に進出すれば,往来は推定値より多くなるだ
ろう.一方で,2001 年 9 月 11 日以降に米国で発生
した多発テロや,その後のアフガニスタン周辺の
軍事的緊張がワールドカップ 2002 開催に大小の
影響を与えることは必至であり,テロに関係した
Fig. 2 Probability of measles exportation, if number
of visitors for WC2002 is fixed to 100,000
Pr:Proportion of exportation
往来の変化は予測できない.
麻疹の流行規模は年毎に異なり,大流行が起
こった後は,感受性のある集団が激減するため,
暫くは大きな流行が起こらない3).我が国の感染
症サーベイランスによれば,小児の麻疹は 1991
年の大流行をピークに 2001 年まで小康状態であ
るが,地域的な流行は各地で報告されている4).成
人麻疹は 1999 年 4 月からサーベイランスの対象
となり,とりわけ 2001 年は報告数が増大した5).
今日の感染症疫学では麻疹流行の正確な予測は困
難なため,今回用いた過去 31 カ月間の輸出麻疹報
麻疹輸出確率モデルの利点は,このような不確
告数が,ワールドカップの開催される 2002 年 6 月
定な数値をパラメータとすることにより,様々な
の動向と一致するかについての確証はない.
条件での確率を解析できる点にある.本研究のモ
ワールドカップ 2002 開催に伴った麻疹感染を
デルでは,ワールドカップ 2002 に伴って麻疹が抑
考える上で重要な点は,ワールドカップでは若者
圧状態にある国から来た選手や観客に,日本人か
を中心に世界中から多数の人が短期間に開催地に
ら麻疹が伝播する危険性を推測できる.例えば
集まり,極めて密集した状況で接触を繰り返すた
サッカー観戦中の Pr が通常曝露による伝播の 10
め,観戦中の感染リスクが通常よりも高くなる可
倍と仮定すると,豪米へ麻疹が持ち出される確率
能性である.1991 年 7 月に米国ミネソタ州のドー
はそれぞれ 0.41 と 0.81 になり,50 倍であればほ
ム・スタジアムで開催された国際スポーツ大会で
ぼ必発と算出される.Fig. 1 は麻疹輸出の通常発
は,アルゼンチンの陸上選手が持ち込んだ麻疹ウ
生件数を Pr=10−6 と固定して,往来者数(V)の
イルスが 16 名の米国人(選手 7 名,観客 3 名,大
変動により麻疹輸出の発生確率がどう変化するか
会ボランティア 6 名)に伝播した.特に観客の 2
を図式化したものである.モデル曲線から 100 万
名は,アルゼンチン人選手より 30 メートル以上離
人の往来があれば発生確率は 0.63 であり,500 万
6)
れていたという .
人以上ならば 99% を超えることが分かる.Fig. 2
感染症学雑誌
第76巻
第4号
サッカーワールドカップの麻疹輸出モデル解析
は往来者を 10 万人に固定し,往来者 1 人の麻疹輸
273
麻疹予防に真摯な態度を早急に示すべきである.
出の確率(Pr)をパラメータとした場合の,P 値の
謝辞:本研究は平成 13 年度厚生科学研究(新興・再興
変動を示している.Pr=10−5 ならば発生確率は
感染症研究事業)
「国及び県の発生動向調査の連携及び海
0.63 となるが,Pr!5×10−5 では輸出は不可避とな
外の調査定点設定に関する研究,主任研究者鈴木重任」の
ることを示している.
一環として実施された.ここに明記し,関係者に厚くお礼
麻疹ウイルスは極めて感染力が強いため,麻疹
が抑圧状態にある国では,たとえ 1 例の侵入で
あっても,その地における感受性者数が増加して
いる状況では,二次感染や三次感染が続発し,大
きな被害を及ぼす.現に 1998 年に米国アラスカ州
で発生した 16 名の集団発生事例は,日本から旅行
で訪れた 4 歳児が感染源であった7).1994 年に西
オーストラリア州で 53 名が発病(うち 5 名が入
院)した集団発生事例は,日本から帰国した 16
歳の高校生が 1 人の同級生に感染させ,さらに 24
名の学校内集団感染から拡大したものだった8).
日本からの麻疹輸出が多い背景には,単に多く
の日本人が海外旅行をするからだけではない.問
題の根本は我が国の予防接種が充分に実施されて
いないことにある.ワールドカップ 2002 が共同開
催される韓国では,2000 年に麻疹の流行が起こっ
たため,2001 年 5∼6 月に約 520 万の学童へ MR
(麻疹・風疹)ワクチンの一斉追加接種を行い,流
行制圧に成功している9).
麻疹はそもそも予防接種で伝播が防止できる感
染症である.我が国の麻疹流行の現況は,年間麻
疹死亡が推定で数十名に達する文明国として緊急
な事態であり,日本小児科学会などは厚生労働省
と文部科学省に対して,国がより積極的な麻疹予
防対策に乗り出すよう要望している10).
麻疹伝播を止めるためには,1 歳児の予防接種
率を 95% 以上に維持する必要がある.同時にワー
ルドカップ 2002 の後には,日本からの麻疹輸出が
どれだけ発生するかを,国際的に監視する必要が
ある.21 世紀初頭の世界的なイベントを健康面か
らも成功させるためにも,わが国は世界へ向けて
平成14年 4 月20日
申し上げる.
文
献
1)多屋馨子,新井 智,松永泰子,岡部信彦:2000
年度麻疹血清疫学調査ならびにワクチン接種率
調査∼感染症流行予測調査より∼.病原微生物検
出情報 2001;22(11):3―5.
2)National Immunization Program, CDC:Measles
update 2001;No. 1
3)de Cuadros CA, Olive JM, Hersh BS, Strassburg
MA, Henderson DA, Brandling-Bennett D:Measles elimination in the Americas evolving strategies. JAMA 1996;275(3):224―9.
4)国立感染症研究所:麻疹 1998 現在.病原微生物
検出情報 1999;20(2):1―2.
5)国立感染症研究所:麻疹 1999∼2001 年.病原微
生物検出情報 2001;22(11):1―2.
6)Ehresmann KR, Hedberg CW, Grimm MB, Norton CA, MacDonald KL, Osterholm MT:An outbreak of measles at an international sporting
event with airborne transmission in a domed stadium. J Infect Dis 1995;171:679―83.
7) Centers for Disease Control and Prevention :
Transmission of measles among a highly vaccinated school population ― Anchorage Alaska
1988, MMWR January 8, 1999;47:1109―11.
8)Jeremijenko AM, Kelly H , Patel M : The high
morbidity associated with a measles outbreak in
a West Australian town. J Paediatr Child Health
1996;32:382―5.
9)Lee JK:The FETP-Korea activities on the mass
vaccination campaign to eliminate measles in Korea . The field epidemiology first scientific Asia
conference. Taipei, August, 2001.
10)日本小児科学会,日本小児保健協会,日本小児科
医会:麻疹の予防接種率向上と麻疹僕別に関す
る要望書.病原微生物検出情報 2001;22
(11):
13.
274
高橋
央 他
A Risk Analysis by a Measles Exportation Model Concerning the FIFA World Cup 2002
Hiroshi TAKAHASHI, Keiko TANAKA-TAYA, Satoru ARAI,
Ayako HASEGAWA & Nobuhiko OKABE
Infectious Disease Surveillance Center, National Institute of Infectious Diseases
Risk of measles exportation from Japan is of concern regarding the FIFA World Cup 2002(WC
2002),which will be held in Korea and Japan in June, 2002. During January 1999 through June 2001,
the number of reported exportation cases from Japan was 7 to Australia and 22 to the United States.
During the same time , a total of 2.13 million and 14.69 million people traveled between JapanAustralia and Japan-US, respectively. Based on an estimated number for travelers during the WC
2002(420,000―432,000)announced by the Japanese Ministry of Transportation, we estimated the
number of travelers for Japan-Australia and Japan-US would be 16,000 and 109,000 respectively. We
analyzed the risk of measles exportation to Australia(PAU)and the United States(PUS )regarding
travel for the WC2002 by assumption that measles exposure and transmission would be similar with
estimated number of travelers
.
the usual setting:P=1−[1−(reported exported measles!number of travelers)]
The risk was estimated as PAU =0.051 and PUS =0.15, however, the results could be higher, because
the peak of measles usually lies during May through June and exposure of the virus among young
population during the soccer watch would be denser. Through immunization to one-year-old Japanese children is highly needed, as well as strengthening of international measles surveillance especially after the WC2002.
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