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第7回 研究会 - 京都精華大学

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第7回 研究会 - 京都精華大学
テレビ文化アーカイブズ研究プロジェクト
第7回 研究会
報告
遠藤 薫 学習院大学法学部教授
TV アーカイブス研究の可能性と課題
─歴史的ドキュメントとしての TV
参加者
石田佐恵子
岩谷洋史
竹内幸絵
難波功士
村瀬敬子
山崎 晶
大阪市立大学大学院文学研究科教授
国立民族学博物館文化資源研究センター機関研究員
大阪市立大学非常勤講師
関西学院大学社会学部教授
佛教大学社会学部准教授
四国学院大学総合教育研究センター准教授
大石真澄
ケイン樹里安
李 天能
王 佳音
桐山吉生
大阪市立大学院生
大阪市立大学院生
大阪市立大学院生
大阪市立大学院生
事務局/京都精華大学全学研究センター
*50音順
(研究会メンバー)
/肩書きは2013年度現在
2013年7月6日 大阪市立大学梅田サテライト教室
82 テレビ文化研究
報告
TVアーカイブス研究の可能性と課題
歴史的ドキュメントとしての TV
─
遠藤 薫 Endo Kaoru
▼報 告▼
辻 テレビアーカイブズ研究会の今年度 3 回目の研究会になります。今回は、学習院大学の
遠藤先生をお呼びしましてお話を伺いたいと思います。遠藤先生は理論社会学、情報社会学、
文化社会学、都市研究など多岐にわたる研究をされておりまして、毎年精力的に本を出されて
います。先頃『メディアは大震災・原発事故をどう語ったか』
(東京電機大学出版局,2012)
を上梓され、その中で震災報道や原発報道に関する分析を詳細に行っておられます。遠藤先
生は SPIDER Pro という地デジの録画検索システムを使ってらっしゃったはずだと思いました
ので、きっとこれを活用されたに違いない、その活用の仕方を一度お聞きしたいと考えて、お
声をかけました。実際は、震災報道に関しては SPIDER Pro を使われたというわけではないそ
うなのですが、いずれにせよ、ぜひそのあたりのお話をお聞きしたいと思い、ご報告をお願い
した次第です。
遠藤 辻先生から 3.11 の話をしていただいたんですけど、3.11 の分析では SPIDER 使ってる
んです。ただし、2011 年 7 月のデジタル化される直前までは SPIDER Pro でやってます。ま
あ SPIDER Pro をすごく活用できたかというと、ある意味はできてるんですけども、ある意味
できてないみたいなところもあります。
私はテレビ CM アーカイブス、CM とかやってはいるのですが、みなさんとは興味関心が
少し違って、邪道ばかりで、心細く感じています。先ほどもご紹介いただきましたように、い
ちばんベースは社会システム論で、社会がどう変わるのかというのをいつも考えています。社
会の変動については、従来の社会学ですと、制度的にどうかわったかとかそういうマクロな構
造的なところから考えていくというのが普通だったと思います。しかし私は、出身が理系だと
いうのもありまして、情報っていうもの、広い意味ですけどそこから社会の変動を考えてみる
というアプローチをしています。そうすると情報を媒介するメディアが射程に入ってきて、メ
ディアの方に首を突っ込んでいるという感じです。ただし、メディアから社会の変動を考える
というと、最近あまり聞かれなくなったかもしれませんが、メディアに映った現実と現実って
いうのは違うんだから、メディアを研究したところで社会を研究できないよ、みたいなことを
しばしば言われ続けておりまして、そこのところをどういうふうに説明していくか、考えてい
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 83
くかというのは、ずっと宿題としてあります。ただ、メディアと社会、もちろんメディアに映
し出された社会というのは、社会のある種ゆがんだ像にすぎない。ただし、じゃあ関係ないの
かっていえば、メディアに映った像っていうのは人びとにフィードバックされて返ってくるわ
けですから、そのゆがんだ像から現実の社会ができてしまうというふうにも考えられる。だか
ら、どちらもいんちきだし─まあ現実がいんちきとかいうとすごく怒られますけど─、ど
ちらもいんちきな中から、嘘から出たまこと的に、社会というものが生成され、また変容して
いくというようなとらえ方をしています。ここらへんもご批判がいっぱいあると思うんですけ
ど、とくに社会の変動というものをどういうふうに─社会というものは常に変動して動いて
いるというのが私の基本理解なんですけれども、その中でも、とくに社会変動と見なされる状
況っていうのは、その変容がなめらかに変わっていくのではなくて、ジャンプして変わってし
まうようなことが起きたときに、歴史をこちら側から見たときに、ここで社会変動があったよ
ね、みたいなことが言われたりします。しかし、その根となるのはその前にすでに用意された
さまざまな状況というのがあるわけです。しかも徐々に変化しているだけではなく、デュルケ
ム的に言うと、集合的沸騰のようなものが起こって、その意図せざる結果として、だから理想
の方向に向かってジャンプするわけでもなく、みんなが望んだ方向に向かってジャンプするわ
けでもなく、ある種、意図せざる結果として社会変動は起こってきたんだろう、みたいな考え
方をしています。そのために流行とか世論形成とか、そういうものにたいへん関心をもってお
ります。私はそういうところから考えているので、メディアっていうものをすごく広くとらえ
ています。ですから、従来からのテレビを含むマスメディアという領域と、近年出てきている
ネットの領域、それから太古からある対面的なコミュニケーション─それらはそれぞれにき
れいに別れるわけではなく、
相互干渉しつつ、
全体を作っていくと捉え、
そういう状況を「間(か
ん)メディア」と呼んでいます。で、
そのためにテレビ CM についてやりました、
とか言っても、
そこにネットとかリアルが混じってきてしまいますし、また、ネットのことをやりましたとい
う書き物においてもテレビが出てきちゃったりすると、そういうふうなちょっとややこしい形
で、絡まり合った状態で、対象を見ているということだったりします。じゃあ、テレビの蓄積
をどう使って、どういうふうなことを見てきたかというと、すごく初期にはドラマとか CM を
採取してきて、というか集めてきて、そこから浮かび出てくる社会意識みたいなものについて
考えようかなということをやっていました。それが、さっき言ったように、メディア間の相互
作用をとらえつつ、社会空間全体がどう変わってきたかというテーマとしてあります。
(板書を示しながら)こう時間軸がありまして、あるところ(時点)をすぽんと切って考え
るという視点でやったのがこんな感じで、ここらへんはどう変わったかというのをとらえよう
としていて、ここの報道の間メディア化というのは、その中で社会空間のサブシステムとして
も報道というものが、いかに構造的に変化してきたか、というような話。それからこちらは世
論の話とか流行の話とか。
3.11 の時は、とにかくすさまじい出来事があって、私自身すごく衝撃を受けてしまって、
84 テレビ文化研究
ああいうとんでもないことが起こったときに、みんなはどういうふうに動くのか、とにかく記
録しとかなくちゃ、とせき立てられるようにして、時系列で報道を録った。録って、どういう
ふうに、それが何を報じていったか、というようなことを調べたわけです。ただ、やってい
て、わりにそういうことは意味があるって言ってくださる方が多かったのですが、同時に自分
の中では何をそこからとらえるかというところが重要だと思います。何か報道の方を責める
ためにやっている、もともとそういうつもりは全くなかったのですが、結果としてそういうふ
うに受けとられてしまうような研究ってちょっと違うよね。だって大災害があって、報道の方
だって報道の使命を果たそうとすると同時に人間だし、いろいろな社会関係もありつつ動い
ているわけで、たぶん、その中でその人なりのベストを尽くしている。それを外側から、ここ
でこういうふうに報道しました、これ遅れてますよ、なんでこんな誤報しちゃったのとか、そ
んなことを突っ込んでも、もちろん、やらないよりはやった方が良いかもしれない、反省材料
にはなるから。でも、何か違和感がすごくありまして……、その時にもう一つドキュメンタリ
ーというものに、前からドキュメンタリーに興味がなかったわけじゃないんですけど、災害の
時のとくに民放というかローカル局の方たちが作ったドキュメンタリーにすごく興味を惹かれ
て、普通の報道とは違う視線で、生の報道者たちの目線、悲しさとか悔しさとか、そういう
ものが素で出てくるわけじゃないんだけど、
「すごく、見たい」みたいな、そういうことを思
いました。その後、その時はさっきもご紹介がありました SPIDER を使ったんですけれども、
SPIDER がそのあとデジタル化の後にものすごく使いづらくなってしまったというのもあっ
て、SPIDER を諦める。そうするとこれからもし自分が進めていくとすると、テレビ・ドキュ
メンタリー、ローカル局なんかのほとんど誰も見ていないようなテレビ・ドキュメンタリーを
取り上げて─自分的にはそんな感じなんですけれども─、それを、ある種のフィールド
みたいな、民族学で言うところのフィールドみたいな感じで、何かそこから読み取っていけな
いか。すごく感情的に言えばローカルでドキュメンタリーを一生懸命作っている方たちを応援
したいし、また、その方たちが言いたいことを広げていきたいみたいなことを考えていたりし
ています。そんなことを今考えているし、こんなことを今やっていたり、これからもやってい
くかなという感じです。
もうちょっと中身を説明しますと、結構前からやっているんですけど、2000 年頃ハードデ
ィスクがクラッシュするという大惨劇がありまして、それ以前のデータが消えてしまったんで
す。それで残っているデータの古いほうのものとしては─最初の社会意識を探り出そうとし
てやったものの例としては─、高齢化社会ですね。このあたりから高齢化社会がすごく問
題になってきたんですけれども、高齢者の社会的なイメージというものを、CM から探り出す
ということで、これは方法としてはある日のある時間帯─
6 時間、12 時間かな─を取り
上げまして、そこで放送されたすべてのテレビ CM を切り出して、その中に高齢者の出てく
る CM がどれだけあって、どういうふうな高齢者の描き方をしたか、というようなことをや
ろうとしたものです。
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 85
一つ考えたかったのは、先ほども言いましたが、メディアに映し出された高齢者イメージみ
たいなものを探るというようなことをやると、CM というのはすごくバイアスがかかっていて、
フラットな記述じゃないじゃないか、というのが絶対出てくるわけですよね。われわれみんな
がテレビ CM に感じているわけではないかもしれない、でも、われわれの意識ってどこにあ
るのかよくわからないんですけれども─とりあえず、この時に、テレビ CM を作ってらっ
しゃる方は何を考えるんだろう? つまり、テレビ CM を作る方は、もちろんスポンサーが
いて、スポンサーの注文に応じて作るわけですよね。一方で CM を作る方は、自分自身が表
現者みたいなスタンスをお持ちですよね。その表現者としてのスタンスと、スポンサーの意図
を実現するという機能と、ただ作るだけじゃなくて、消費者に受け入れられやすい描き方、そ
の 3 通りのなかでもがき苦しみつつ、あるいは意識しないかも知れませんが、対立しつつ協
調して CM が出てくるというようなことを考えました。そうした中で、CM 自体が変わって
いく様子、あるいは報道のされ方というものが変わっていく様子などを見たりしました。こち
らは自分ではすごく面白がっているのですが、
2004 年頃「恋のマイヤヒ」という変なもの(楽
曲)が世の中で流行ったことがありまして、その流行の生成と生成と生成、生成……話みたい
な……。それがグローバルな流行現象だったんですけど、グローバルであるにもかかわらずロ
ーカル化され、ローカル化されるにも関わらずグローバルに戻りみたいな、ちょっと変な動き
方をしていたので、とてもおもしろいなと思ってやったことがあります。それからこれは、い
ろんな世論形成でやったんですけど、いちばん早い時期にやったのが 2001 年末から 2002 年
の初頭にかけて、小泉純一郎さんが首相の時で、田中真紀子さん更迭事件というのがありま
して、あれがどういうふうにメディア空間の中で動いていったかというようなことをやってみ
たりしました。これは選挙の話ですね。SPIDER 使いませんかみたいな話が、ここらへんの選
挙がらみで出てきたので、SPIDER に関しては、むしろ 2009 年の衆議院選挙の時にいちばん
使った。その時に、
いろいろ問題もあって、
どこまで使えるんだろうというのは……若干退(ひ)
いたところもあります。退いたというのは、私が悪いだけだと思いますけど……また、後ほど。
3.11 のテレビ・ドキュメンタリーでとくに面白いなと思ったものが、宝来館(岩手県釜石
市)の女将の話が話題になって、宝来館の女将の話は、もちろんストーリーとして面白いんで
すけど、あまりにもはまったストーリーだったために、各メディアがこぞって取り上げたとい
うことがあって、メディア間の比較ができちゃうところが一つおもしろかったですね。それか
ら、これと同型の物語というのが、ここだけじゃなくて、いろんなところでけっこう見られる。
さっき「民族学的に……」みたいなことを言ったのは、それはパクりだとかなんとだとかとい
う話ではなくて、みんなにすごく納得できる物語として、ある意味作られていったということ
もあるし、そういうふうに作られていった、そうしてまた、他のアクターやプレイヤーについ
ても同じような構造が形成されていく。ということは、その構造、作られていきやすい構造と
いうのは、なにかを指し示しているのではないかというような考え方ですね。これからは、そ
こら辺のことを民族誌として─今回のあれでは歴史ではないなあ、民族誌だなあと思って、
86 テレビ文化研究
後で書き換えてしまったんですけれども─、そういうことを考えています。たまたま、6 月
頃に『放送研究と調査』
(放送文化研究所、2013 年 6 月号)に桜井均さんが、
「テレビ 60 年
の考古学」という文章を書いてらっしゃって、
「1970 年代をテレビ・ドキュメンタリーの変遷
における注目すべき地層とし、そこを発掘現場とするテレビの考古学の試みである」というふ
うに断りをなさっていて、卓見だと思ったんです。これにインスパイアされて、私は 70 年代
というよりは、時間の流れ=時間軸とそこを切っていったクロスの中で、そこをフィールドと
して社会の変化の民俗学みたいなものを作れたら楽しいなというようなことを考えていたりし
ます。
高齢者の CM というのをサンプリングしたこともあります。ベースになっている意識とし
ては、高齢である、長寿であるということは、とりあえず昔だったら、いちおうおめでたい
という話だった。ところが、最近になりますと高齢社会、高齢化というのは、若者が老人に
搾取されるとか、医療費で全部持って行かれるよとか、介護費で社会負担がたいへんだよと
か、邪魔くさいよとか、そう他もろもろ……高齢者のイメージというのがあまりよくないよう
な気がする。これを社会学的に過去からさかのぼってみれば、近代における構造の問題など
もあるのですが……というわけで、高齢者の CM というのをサンプリングしました。この時
は、2000 年の 5 月 11 日の、朝の 8 時から 24 時まで TBS の全番組を記録しました。これは
全部手作業でした。この時の 16 時間のうち CM の総時間は、193 分 54 秒ありました。高齢
者の現れる CM の総時間というのは、810 秒で全体の 6.96%でした。こういう比較はほとん
ど意味がないのですが、この時の老齢人口は 14.5%で、CM のなかに現れるのが 6.9%とい
うのが多いのか少ないのかは、いろいろ判断が分かれるところです。その中でも、高齢者が
プレイヤーとして中心になっているのが、その半分 3.48% ですね。さらに、高齢者を主たる
登場人物とすると言いつつも、それは CM を見るとたまたま高齢だっただけで、ビッグネー
ムだから出てきてる、みたいなものがけっこう多い。そうじゃない、ただの高齢者としての登
場は 13 本しかなかった。これもどう評価するかはけっこう難しいとは思うのですが、とりあ
えず、
「ちょっと少ない !?」というのが、このときの私の意見でした。これが Excel で整理した
表です。で、高齢者 CM がどういうふうに分類できるかというと、
「誰にその CM を見てもら
いたいか」ということで見ますと、
〈高齢者向けの CM に高齢者が出てくるケース〉
〈高齢者
に関わる人たち向けの CM で高齢者が出てくる〉
〈とくに高齢は関係がない普通のケース〉
〈他
の年代に向けてのケース〉
、また登場人物の役割についても分類してみました。その結果、高
齢者 CM の中でいちばん多いのは、
〈一般対象(商品)で高齢者が主体となって出てくるもの〉
〈それから高齢者対象で高齢者が行為主体になってでてくるもの〉
、ここら辺に集中しているこ
とが分かりました。そしていちばん多いタイプが、先ほど言った一般対象商品で高齢者が行
為主体というやつですが─〈ここで CM を流す〉─というようなタイプですね。これは
昔懐かしいキリンの生茶の CM で、高倉健が主人公で放浪のおじいさんみたいな CM です。
こんなのが例に挙げられるかと思います。つまり、一般対象商品で、高齢者が行為主体なん
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 87
だけど、ここで高倉健が出てくるのは、おじいさんだから出てきているわけではなくて、高倉
健だから出てきているっていう構造です。これがいちばん多いです。それから─〈ここで
CM を流す〉─こちらの主人公は外国人の高齢者の方ですけれども、キャラクターで売ろ
うとしているわけではないのですが、外国の高齢者だと日本の高齢者のようにみじめったらし
くなくて、かっこいいよねみたいな、悠々自適の生活のイメージとして高齢者が出てきている
というふうに読めます。こちらは高齢者対象商品で、主人公が有名じゃない高齢者─〈こ
こで、パラマウントベッドの CM を流す〉─、こちらは先ほどのとは打って変わって、あ
んまりなりたくない高齢者像がリアルに描かれています。一般対象だと、高齢者というよりは
カッコいい何かでありまして、高齢者対象だと情けない高齢者というふうになっていくようだ
ったりします。こちらは、─〈ここで保険の CM を流す〉─お葬式代のための保険とい
うものです。いずれにせよ高齢者 CM は増加傾向にあるようです。その CM の種類としては
─ここでは CM の種類については出してませんが─、保険であるとか加齢による機能低
下に対応した商品、こうしたものの CM がひじょうに多くて、そういうことで困っている人
が増える。高齢者や高齢者を取り巻く人が増えることによって、こういう機能低下をカバーす
る商品が増えてきているということを表しているわけですが、そういうことが見えてくる。そ
れが CM だけの話なのか、それとも外の世界の高齢者に対するまなざしというものに対して
の若干の問題提起が必要じゃないかと考え、高齢化社会に関する技術と社会に関するワーク
ショップにおいて問題提起しました。この報告のときには 2 つ〈CM のなかに現れる高齢者〉
という視点と、それから、もうひとつ〈IT 関連の CM で高齢者がどう扱われているか〉とい
う視点から見ています。一般には IT 関連だと高齢者というのは出てこないんじゃないかとい
うふうに思われるんですが、実際にはけっこう出てくる。なぜかというと、─高齢と言って
いいかどうかわかりませんけど─実際にビジネス利用するところでは、使うのは中高年なわ
けです。かつ IT 機器というのは加齢を含む、機能低下を補助する可能性に対する期待がある。
さらに高齢者社会と情報化社会が連動して進展していく場合、高齢者市場というのが増える
わけですから、情報機器についても高齢者市場をターゲットにするというのは重要な戦略にな
っていく。そうした複合的な理由から、けっこう高齢者が出てきます。ということで、昔懐か
しい─〈ここで CM を流す〉─一時、一世を風靡した富士通のタッチおじさんシリーズ
ですけれども、これは古き良きお父さん的な人物が主人公になって、それほどシャカシャカで
きるという話じゃないんですけれども、
それでも「やってるよ!」というようなイメージですね。
それからこちらは、─〈ここでドコモの携帯の CM を流す〉─これは……自分が若いと、
人って年寄りに見えるんですね。この時は年寄りががんばってるなと思ったんですが、あんま
り年じゃなかったんですね、でもまあちょっと上の世代が、でもカッコいい上の世代が「ちょ
っともたつくけど、それもカワイイよね」というような感じで登場するタイプの CM です。こ
ちらは、わりにふつうに……─〈ここで CM を流す〉─ IBM は地域の老舗にシステム
を導入してみたいな話でこの当時はけっこうそんなことができるんだというミスマッチ感とと
88 テレビ文化研究
もに新しい可能性を示唆するみたいな感じで評価されました。いずれも言いたいことは、この
時点で一般の CM では高齢者の機能低下が強調されるのですが、なぜか高齢者市場を狙って
いた IT 関連では、意外にいい扱いを受けている。これは残念ながら壊れてしまった SO-NET
の CM で、最後に老夫婦が出てきて、2 人で SO-NET 堂に行こうね、みたいなそんな感じの
CM でした。これは寺内貫太郎ですね。こんな感じで、一般的に見た場合と特定の場合で見
たときで、中高年の扱われ方が違っているというところに、その時代の状況が透けて見えるね
ということでした。他に何か見たいのありますか?
辻 2009 年の衆議院選挙の時のものをぜひ。このとき SPIDER を活用されたということなの
で……。
遠藤 シンポジウムで発表したときのものですのでそれほど完璧ではありませんが、2009 年
の衆議院選挙というのをやりました。このときは、わずか 3 年前の話ですが、180 度違う歴
史的政治結果みたいなものが出たわけですね。テーマとしては、
なぜこういう現象が起きたか、
ということなのですが、それを分析する上で、いろいろ使いました。私の問題関心がアーカイ
ブを使ってそこの分析がメインじゃなくて、全体の構造の変化みたいなところにあるので、ち
ょっと違うところも出てきます。この時には、ちょっと投票率が上がったんですね。それ以前
に衆議院の投票率が異様に下がった時期があって、この時期ってなんなのっていう疑問もあり
ます。ここのところはちょっと面白いんですが、無視します。この辺りはどういうことかとい
うと、さっきの話のように変化みたいなもの、変化というか 2009 年の衆議院選挙で起こった
状況のようなものを、メディアの分析として見ていくのですが、メディアというのはマスメデ
ィアだけではなくて、ネットであるとか、リアルなコミュニケーションであるとか、そういう
ものと相互干渉しながら起こっていて、とくに現代においてはその相互干渉がひじょうに重層
化しているというところをとくに明らかにしたいと考えました。一言言っておくと、間メディ
アとか私が言うと、それってマルチメディアのことですよねとか、クロスメディアって前から
言われていますよねとか、よく言われるんですが、間メディアとして私が対象化しているのは、
マルチメディアやクロスメディアとは─そもそもマルチメディアっていうのはテキスト、音
声、静止画・動画等の機能を従来なら個別にしか扱えなかったものを、統一的に扱えるように
なった、そういう技術をさしているんですよね。そういうものが一般化した状況をマルチメデ
ィアの時代みたいな呼び方をしているわけですが、かつ、クロスメディアに関して言えば、ク
ロスメディアというのはあるコンテンツに関して、それを印刷媒体なりテレビ媒体なり新聞媒
体なりやネット媒体なり、そういうものに載せて、その間で相乗効果が起こることを期待する、
ある種の販売=マーケティングの戦略に関わる用語だったりするわけですね。私が間メディア
という言葉で考えたいのはそういうことではなくて─もちろん関係はあるんですけど、その
間で相互作用が起こってその結果、この場合だと相互作用が起こってその結果販売高が上が
るっていう因果関係が前提にされているわけですけど─、つまり、何が起こっちゃったのか
ということです。誰かが意図して仕掛けたらこうなりますよ、という見方ではなくて、─も
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 89
ちろんクロスメディアに関する研究が重要じゃないと言っているわけではないんですけれども
─、視点が違うと言っているだけの話です。そうではなくて、リアルで流通していく、マス
メディアで流通していく、ネットで流通していく、それが絡み合ったときに、そこに生まれて
くる新しい意味とか価値とか、あるいは─それはポジティブだけじゃなくて、ネガティブも
どっちでもありなんですけど─、どういう変化がそこに生じてくるか、っていうそこのとこ
ろに着目しようとしているわけです。選挙なんかもそれなんですけれども、この 2009 年の衆
議院選挙の前年ですね、オバマさんも選挙がありまして、オバマさんの選挙では、当然、メ
ディアの利用というのが大きな論点として登場した、扱われたし、そこではオバマさんの場合
ネットルーツということで、ネットでのコミュニケーションが戦力としてひじょうに強かった、
というのがいちばん着目されていますけど、実際にはマスメディアに関しても、カバレッジな
んかはオバマさんは途中から急激にアップしていますし、またマスメディアの扱い自体がひじ
ょうに好意的になっていった。それからネットルーツというよりは、むしろグラスルーツの形
で、実際のリアルな人間たちが動員され組織化されていった過程、これは全部つながって連
動してうまくいったから、だから勝てたわけですよね。これって別にクロスメディアじゃない
んですよね。お互いに相乗効果によっていい結果をもたらしたんだけど、クロスメディア戦略
っていうんじゃなくて、つないだ、つなぐ戦略─言ってることわかりますかね?─そこの
ところがポイントだったよね。じゃあ、日本では 2009 年、いったいメディアとか間メディア
的に見た場合何が起こったんだろう? というのを考えました。ひとつ日本の 2009 年の選挙
では─まだもちろんネット選挙というのは今回が初めてなので、ネット選挙みたいなものは
なかったんですが─、マニフェスト選挙ということが盛んに言われました。マニフェスト選
挙という言葉がこの当時言われた原因としては、90 年代末に政治不信があって、99 年の統一
地方選挙あたりから、地方の首長選挙を中心に、マニフェストというものが登場してきた。こ
のマニフェストに関しても、公職選挙法みたいなものが制限をかけていて、実際には違反すれ
すれみたいな感じで言ったんですけども、その後声が次第に大きくなって、2000 年に入る頃
から国政のレベルでもマニフェストということが盛んに言われるようになり、21 世紀臨調み
たいなものが出てきて、という展開で 2009 年の総選挙は、マニフェスト選挙というように呼
ばれるまでになった。で、このマニフェストを周知するにあたっては、この時初めてネットと
いうものが日本の選挙でも大きく出てきて、マニフェストみたいなごちゃごちゃ書いてあるも
のを多くの人に提供するには、ネットという手段はたいへん便利だということで、多くのマニ
フェストというか全部ですけれど、マニフェストはパンフレットの形でも配付されましたが、
それ以上にネットを通じていった。そういう状況の中で、実際に何が起こったかということを
ここでやろうとしたのは、メディアの動きと世論と選挙結果の相互関係を、テレビと新聞とネ
ットという 3 媒体におけるメディア露出のデータ、それからもう一つ意識調査というのをやっ
て、これを全部比較することによって、何か見えないかなというのをやったわけです。
このメディアにおける露出データをとるために、テレビに関しては SPIDER を使った。た
90 テレビ文化研究
だし、全部やるので、新聞に関してはエルネットというデータ会社からもデータをお借りし、
使いました。それからネットの記事検索に関しては、ホットリンクというところのデータをも
らいました。この間の関係を比較すると同時に、選挙直後の意識調査(インターネット調査で
すけれども)の結果との比較を行うというのが基本的な戦略であったわけです。ここから何が
出てくるかというと、
これは意識調査ですね。
「あなたは誰に投票するかをいつ決めましたか?」
という調査の結果なんですが、これによると、けっこうな人たちが選挙投票直前になって決め
ていることが分かりました。これが何を意味しているかというと、その間に入ってくる情報を、
私たちが考えるよりももっと聞いているのかもしれないな、ということですね。それから、こ
の時はマニフェスト選挙と言われていたんですが、実際にほんとうに普通の人がマニフェスト
なんか読んだんだろうかという、よくある衆愚論ですけれども、それに対して「読んだのかど
うか?」というのを聞いてみました。そうすると、
「少しは読んだ」というところまで含めると、
だいたい 70%、3/4 位は「ちょっとは読んでいる」というようなことを言っていて、意外と
読んでいるということが分かりました。それから、これは総選挙の結果に対する満足度と期待
度。いずれも「かなり満足」が 1/3 くらい、
「少しは満足」を含めると 2/3 くらいということで、
まあ、そんなにみんながひじょうに満足したわけではない。さらに、これは今回の選挙でもけ
っこうそんな感じですけど、期待度になりますと、
「かなり期待」は 1/4 までに減ってしまう。
ただし「少しは期待」だと 2/3 くらいになって、つまり、みんなカーッと頭に血が上って投票
したのかっていうのに対して、それほど血が上って付和雷同で突っ走ったというわけでもなく
て、みんな「でもね」っていう感じで投票した。実は、これは今回の 2012 年の選挙に関して
も出てまして、見かけ上政治体制がガタンガタンとなっているように見えるんだけど、普通の
人の感覚はそれほど変わらなくて、
「ちょっと、ちょこっと、やってみようか」みたいなレベ
ルなのかな、というようなことも考えました。コアでずっと同じ党に投票しているとかそうい
う人以外は、けっこう直前に決めているので、とするとメディアの報じ方というのはけっこう
影響が強いかもしれないということで、この時はキーワードの記事数の推移というのを出しま
した。
これはテレビですね。ここら辺で背後に SPIDER がいるわけです。SPIDER では、キーワ
ード検索というのができまして、キーワードがどのくらい出てきたかというのを出してくれま
す。これはそれを使ったグラフです。そうしますと、この時は衆議院それから政権交代、政権
選択、
マニフェストという 4 つのキーワードで、
検索をしました。その結果、
衆議院ですから
「衆
議院選挙」っていうのがいちばん多い、ただし選挙中盤のいちばん選挙戦が盛り上がるとこ
ろで、テレビの報道力がガクッと落ちていることが……
辻 これ、縦軸の単位はなんですか?
遠藤 これは記事数ですね。
辻 これはでもテレビですよね?
遠藤 そうです、これは SPIDER の数え方……お使いになってますよね?
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 91
辻 使ってます。
遠藤 数え方というのがあって、5 秒ごと(5
秒ごとだったかな…)に検索していって、それ
がいくつ引っかかるかというので数えている。
辻 当時はそういう感じだったんですか?
遠藤 はい。
辻 今のシステムは、じゃあガラッと変わっ
ていますね。
遠藤 今はどういうふうになっているのです
か?
辻 今だと、番組のコーナー単位でヒットし
て、そこが何秒とかは出るんです。でも、それ
が 5 秒ごとでというような形では出てこない。
遠藤 それもありました、どっちが使いやす
いかっていうことで、そのときには私はこっ
ちを使いました。
辻 これに、要は、かける(×)5 秒をする
と……
遠藤 だけど、5 秒かけていいのかどうかわ
からないんですよね。つまり、テレビってワ
ーッとしゃべってる中でパッと出てくるわけ
ですから、その重みっていうのは、どういう
ふうに考えたらいいかっていうのは、けっこ
う頭をひねるじゃないですか。で、この時は
こっち側でやってみたんですけど。それでこ
のくらいアバウトな話だと、ちょっと特徴が
出ているかなって感じなんですけど、これ以
上細かい分析をしちゃっていいのか悪いの
か、─本当はここ(PC)のどこかに入っ
ていますけど─、秒ごとにダーッと書いて
ある表も作ったんですけど、そんなの見ても
どうせ分からないし、集約しちゃえば結局こ
ういう感じになるんですけども、ただ、そこ
がちょっと……。とりあえずそんな感じでや
ったら、ここらへんでガーンと下がっている
テレビ:
〈キーワード〉関連記事推移
〈衆議院〉
〈政権交代〉
〈政権選択〉
〈マニフェスト〉
92 テレビ文化研究
ことがわかりました。それから政権交代、政
権選択ですが、全体として真ん中の時期に
は選挙に関する報道量が下がっている。か
つ、マニフェストに関しては、テレビは各党
がマニフェストを発表した週には持ち上がっ
ているんですけども、他の週ではそれほどは
いっていない。それから政権選択と政権交
代っていう言葉ですけれども、これに関して
は、テレビは当初は同じくらい使っていたの
ですが、次第に政権選択というほうを多く使
うようになっていきます。最後、本当に交代
したら、交代って使いましたって感じですね。
こちらが今度は新聞です。ここでもけっこ
新聞:
〈キーワード〉関連記事推移
〈衆議院〉
〈政権交代〉
〈マニフェスト〉
う大がかりにやったんですが、新聞では衆議
院と政権交代、マニフェストという言葉です
けれども、新聞ではそう言う括りの言葉はむ
しろ少ないです。その代わり政権交代という
言葉が上なんです。これは記事数です、単
位は。政権選択はほぼ出てこない。マニフェ
ストに関しては、新聞は次第に時期を追うに
従って増えていく、というような構造をして
います。
これはネットです。ネットに関しても、こ
の頃はブログと 2 ちゃんねるが両極だった
ので、ブログと2ちゃんねるでキーワード検
BLOG:
〈キーワード〉関連記事推移
〈衆議院〉
〈政権交代〉
〈政権選択〉
〈マニフェスト〉
索を行いました。そうすると、ブログのほう
では後半になるにつれて全般に議論が活発
化し、政権交代と政権選択だと当初から政
権交代が圧倒的に多い、というように推移し
ています。マニフェストも、ここで発表され
たときの盛り上がり、ちょっとその後下がり
ますが、上がっていきます。2ちゃんねるで
は、衆議院というような大きな括りがいちば
ん大きくて、それから政権交代というふうに
なります。つまりテレビ以外では、政権選択
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 93
と政権交代を比較してみると、政権交代の
ほうを使っている。テレビだけが政権選択と
いう用語を選んでいるということがわかりま
した。
もう一点は、8 月の上旬ですね。選挙の中
盤戦で、テレビでは突然ガタッと下がる、報
道量が落ちるという現象が出てくることが分
かりました。これを4つ並べて比較してみた
のがこれです。そうなると、ネットはブログ
のほうがよく議論しているのかな、単位が違
うのでちょっとあれですけど……。ネットは
似てると言えば似てますね。ブログと 2 ち
ゃんねるで言うと、ブログは良識派で2ちゃ
んはちょっとね、みたいな感じがしますが、
おおざっぱにみるとけっこう同じような感覚
ですね。新聞ですが、新聞は衆議院という
言葉はあまり出てこないという変な特性があ
りますね。これに関しては、形(かたち)的
に見ると、新聞とネットはけっこう似ている
と思います。ネットと新聞は仇敵みたいに言
われてますが、意外に似ているなと、実はそ
ういう感じがしたりします。これに関してテ
レビは圧倒的に違う形をしていて、独自路線
を走っています。政権交代とかの話ですが、
政権交代っていうのはかなり強い言葉、民主
党の勝利をあらかじめ前提にしているような
言葉なので、テレビは避けたというのは、テ
レビ関係の方がそのままおっしゃっていたの
で、そういうことだったと思います。それを
中立と呼ぶのかなんなのかは分かりません
が、そういうスタンスだったというのがわか
ります。
テレビはマニフェストに関しては、一瞬報
道して、あと報道しないというのはまだまだ
という気は確かにします。新聞はこんな感じ
2 ちゃんねる:
〈キーワード〉関連記事推移
〈衆議院〉
〈政権交代〉
〈政権選択〉
〈マニフェスト〉
94 テレビ文化研究
テレビ:テレビはいつ何を報じたか
で言っています。新聞は反対に政権交代っ
てずっと言い続けていて……。ネットは 3 つ
だけ取り上げて言ってるっていうだけの話な
んですけれど、これは政権交代、政権選択
のところだけとりだしているわけですが、こ
こでも新聞、2ちゃんねる、ブログはだいた
い同じで、ブログと 2 ちゃんねると違うと言
えば、マニフェストに関する関心がブログの
新聞:新聞はいつ何を報じたか
ほうが高い。ここらへんは良識派としての態
度を出しているのかなと。テレビについて言
えば、なぜここでどんどん下がってしまうの
かは分かりませんが、下がったりしています。
こちらは選挙のアジェンダに関するもので
す。この時は年金とか医療、子育て、農業、
景気対策云々…ここらへんがキーワードだろ
うというふうに言われていたので、こんな感
BLOG:ブログはいつ何を論じたか
じです。報道量に関して言えば、やはりテレ
ビはマニフェストが発表された週、ここに集
中していて、あとはガンと下がっちゃうとい
う現象が出ています。個別のものについて言
えば、教育がここではいちばんトップに来て
いて、それから年金、医療というふうになっ
ています。
こちらは新聞ですが、かなり形が違うこと
が分かると思います。新聞では徐々に報道量
が増えていく、というような形になり、当初
2 ちゃんねる:2 ちゃんねるはいつ何を論じたか
は景気対策がいちばん上に来ていたのですが、
次第に年金がいちばん上になっていきます。
ここらへんで消費税……。
こちらはブログと2ちゃんねるです。ブロ
グと2ちゃんねるは似てますよね、ブログの
ほうではいちばん多いのは教育ですね。これ
は多分、けっこう年代だと思うんですよね。
ブログをいちばんよく書き込んでいる年代
が、30 代から 40 代で、教育に関心がある
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 95
のかなみたいな感じです。それに対して2ち
ゃんねるのほうは年金問題ですね。後半にな
るとやはり教育がぐっと伸びてきます。比較
テレビの政策報道総量
したのはこんな感じです。まず、ネットは似
ている、形的には新聞ネットは似ている、テ
レビだけちょっと違う。
これをやって良いのか悪いのかというの
は、けっこう悩んだのですが、単に両方が連
動しているかどうか、同じ動きをしているか
どうかを見るための参考の分析として、相関
係数を取ってみました。そこから、まあぱっ
と見たところと同じなんですけれども、これ
新聞の政策報道総量
は個別の問題に関してですね。テレビだけち
ょっと違っていて、あとのはけっこう似てい
るという感じです。そのように報道量の推移
はテレビだけちょっと違っていて、新聞ネッ
トはけっこう一致しているっていうのは分か
ったんですが、すごく変なことに……。
さっきのは推移ですね、こちらは報道総量
です。選挙期間中の報道量を足し合わせま
BLOG の政策報道総量
したっていう量です─で、こちらで見ます
と、テレビ一等賞が年金で、新聞も年金、ネ
ットはいちばんが教育で、2 番目が年金。で、
テレビは年金─医療─教育というふうに続
いていくんですが、ネットは教育─年金─医
療っていうふうに続いていって(こっち側が
2ちゃんねる)
、新聞は年金─景気対策─消
費税─社会保障というふうになっていて、ち
ょっと違うんですよね。なぜか、というのは
よくわかりません。
一方、こちらは意識調査のほうで取った
「今回の選挙で何を重視しましたか?」とい
うアンケートの結果で、意識調査では景気対
策がいちばんで、年金─医療─社会保障と
いうふうに続いています。いろいろ混ぜ合わ
2 ちゃんねるの政策報道総量
96 テレビ文化研究
人びとは何を重視したか?
(間メディア研究会意識調査より)
せたような、またちょっと違った感じが出て
います。
一方、
メディアは人びとの関心に応えたか、
ということで、選挙以外のテレビ報道に関し
て同じようにキーワード検索でやりました。
これが衆議院で……この減っているところで
すね。じゃあ、この減ったところでテレビが
何を報道していたのかというと、酒井法子報
道と地震なんですね。このあたりでちょっと
地震が頻発したんですね。それと酒井法子
報道という話で、全面的にワイドショーが酒
井法子にいっちゃったんで、こんな重要な時
期なのにテレビは選挙を全く報じませんでし
た、というすごくうれしい話です。
こちらは新聞です。新聞では、政権交代
がこれですね。新聞は、やはりここのとこ
選挙以外の TV 報道
ろでは地震はけっこう取り上げられていま
す。その分ちょっと食われたというのはあり
ます。酒井法子報道に関しても若干影響が
出ています。テレビほど露骨ではないのです
が、ある程度はそっちに行ってしまった、と
いう感じです。これはブログと2ちゃんねる
なんですけど、すごくあからさまで、ブログ
はこの時期地震がものすごく話題になってい
ます。2ちゃんねるのほうでは酒井法子。や
っぱりちがうんだ、みたいなことが、こうい
選挙以外の新聞報道
う面からは見えてきたりします。
これは、メディアは人びとの関心、こちら
は社会意識のほうで、この時期こういう話題
がありましたがどれが重要でしたかというこ
とで、実は意識調査の中ではいちばん重要
だったと応えられているのは、新型のインフ
ルエンザ。この時猛威を振るっていて、実は
みんなこれがすごく気になっていた。あんま
り変わらず選挙が大きく関心の中心になって
報告:遠藤 薫/ TV アーカイブス研究の可能性と課題─歴史的ドキュメントとしての TV 97
いる。あと災害ですね。地震とあと暴風雨が
選挙以外のネット言説(ブログ)
あって、今回もそうですけどいっぱい流され
ちゃったっていう話があって、ここらへんが
話題になっています。一方、
酒井法子さんと、
押尾学さんという話があったんですが、こち
らに関しては、ブービー賞ということで、あ
まりみんなそれほど関心はなかったよ、ある
いは意識調査だから、かっこつけてそう答え
たという可能性はないでもないですが。そん
な結果が出ています。酒井法子に視聴率を
選挙以外のネット言説(2 ちゃんねる)
とられたよっていうのがいちばん大きなトピ
ックで、この時は新聞が大喜びで、各新聞
が取材に来て、酒井法子報道、テレビは酒
井法子ばっかりみたいなのがどーんと記事に
なったんですけど、それはそれで一つの発見
なんですけどね。今回の選挙は各新聞がこ
ぞってビッグデータ分析とかいって Twitter
の数を数えたりしていますけども、あれだっ
て「だから何?」っていう話で、これ以上の
域に達しているわけではないので、なんであ
んなことで大騒ぎしているのか、っていうの
はよくわからない。それより先にやることが
あるだろう、というふうにはすごく思ってい
ます。かつ、この時に私がちょっと「うーん
!?」と思ってしまったのは、さっきも出てき
ましたけれども、キーワード検索というのが、
どの程度見ていいんだろうか、どの程度評価
していいんだろうかというのが、ちょっとよ
くわからなかった。マーケティングで使うな
ら適当につまみ食いしていいのかもしれない
んですけど、学問的に使うので、だからキー
ワード検索しても、出てきたり出てこなかっ
たりすることがときどきあって、
「なぜです
か?」って聞くと、
「よくわかりません」と
いうお返事だったので。そうすると、学会な
人びとにとっての重要事項
98 テレビ文化研究
んかで責められると、立ち往生する羽目に陥るなあと思ったりします。ただ、3.11 に関して
言えば、地震が起こることを前もって予測することができたわけではないので、地震が起きて
からあわてて SPIDER から吸い出して、少し前の時点から、ずっとデータをキープすること
ができた。そういう面では威力があるなと思います。とはいえ、その時点での SPIDER です
けれども、私は個人的にキーワード検索を全部手作業で抽出してやったんです。そうしてやっ
ていくと、やっぱり地震の威力っていうのはすごいので、SPIDER のガーッと動いたらしいと
ころが、ブチッと切れちゃってるんですね。そうすると完璧に信用するわけにはやっぱりいか
ないのか、というのもちょっとがっくりしたところです。そこら辺は技術的な面で、今後よく
なっていくんじゃないのかなとは思っています。
辻 震災時もメタデータ自体は配信されてくるんですか? それはストックしないんですか?
遠藤 えー、ストックしてますよ。ただ、それは局によって形式が全然違うという問題があり
ます。また、ガタガタと揺れたときには SPIDER のシステムがエラーを起こしちゃうので、そ
ういうときは配信全体が消えちゃうのです。ただえらいところは、それが収まると回復して、
また送ってきてくれる。こちらがエラーを起こしたからなんとかしなくちゃ、という必要はな
いです。
辻 震災が起こっても、インデクサーは、作業はしているっていうことですね?
遠藤 それは、作業をしてた人としてなかった人がいるみたいなことは後で聞きました。だ
から、メタデータっていうのがどこのレベルのメタデータなのかっていう問題もあります。
SPIDER 社でもメタデータ使っていますし。それの上のメタデータもありますよね。
辻 ここで開始から一時間半になりましたので、休憩を挟みたいと思います。ありがとうござ
いました。
99
ディスカッション
辻 ひじょうに多岐にわたるご報告でしたので、みなさんいろいろご質問があろうかと思うの
ですが、どなたからでもけっこうですので、どうぞ。
村瀬 村瀬です。基本的なことなのですが、ネットのブログと2ちゃんねるっていうのは、そ
の時に新しく書き込まれた記事にそのキーワードが含まれているということですか?
遠藤 はい、そうです。
村瀬 それは会社の人にお願いすると、日本語で書かれた全ブログと 2 ちゃんねる?
遠藤 その会社で捕まえられるすべてのもの。
村瀬 その期間の新しい記事の中で、キーワードがどのくらいあるかを調べてくる、そういう
サービスがあるってことですか?
遠藤 あります、価格は高いですが……。
石田 SPIDER のほうも、もともと Pro の時代は大きな企業が自分の企業のイメージがスキャ
ンダルなどで壊れたときのために、自分の企業がどんなふうに報道されているか知りたいとい
うようなニーズで、月額契約ですよね? とてもお金のかかるシステムで、月々いくらくらい
でしたっけ?
辻 現在、税込みで 63,000 円です。
石田 だから、使っても使わなくてもそれは基本料金で、調べてもらえばもらうほどかかるん
ですか?
辻 いえ、定額です。
遠藤 これは全部プロにやってもらったので、お金がかかったはずです。私が知らなくて、途
中、広報会社 !? 広告会社じゃなくて、PR 会社の方が、こういう分析法で何ができるんだろ
うかっていうのを選挙をネタにみてやってくれないか、別にどっちを応援するとかという話で
はなくて、どういう結果を出せるかみたいなことを、やってくれないかということでお借りし
たんですね。
石田 PR 会社というのは、テレビ局に自分の会社の商品が取り上げられた回数を計って、そ
れをスポンサーに持って行ったりするサービスも売っているということなので、夕方のワイド
ショーなんかで特に、取材と称したコマーシャルめいたものの効果測定のためにこういうのも
売ってたりするんですよね。私、ずっと、テレビの量をどうやって測るのかって考えてはいる
んですけど、ずいぶん前に TBS で、
「お父さんのためのワイドショー講座」っていうコーナー
があって、その週にワイドショーでどれくらい話題が出たかっていうのを、出す会社がありま
したよね。そこも、最初は今週のトップランキングをネットで無料で公開していたんですけど、
もちろん地味にやろうと思えば毎週あの番組を録画して、今週は第何位までが何分というの
を録っていたんですけどね。ある時代までタダでネットで公開してたんですけど、それが研究
100 テレビ文化研究
で使えないかなと思ってアクセスしてみたら、1 件 20 万円とかそういうふうに言われて、そ
ういうものを必要とするデータがいろんなところで商売になるってある段階から気づかされて
しまった、そういうことがあると思いますけどね。
遠藤 「お父さんのためのワイドショー講座」全部録画してあります。
石田 あれはもう終わってしまいましたし、あのサービス自体もなくなってしまったので、あ
の手のものをニュースでどこかがちゃんと、国立情報学研究所とかそういうところがやってく
れると、もっと信頼性の高いデータになると思うんですけれど。前にフランスの INA に調査
に行ったときは、INA は基本的にそういうことを基本サービスとしてやっていて、月報で出
している。だから政治家が、例えば橋下徹みたいなキーワードで検索すると、どういう推移で
出たのかみたいなことは、基本的に無料で誰でも使えるようになっていますね。
遠藤 アメリカなんかでもピュー・リサーチ・センター(Pew
Research Center)がそれに近い
ものを、あそこの研究結果としてですけど出してますから、日本ではどこでも出ませんから、
あんまりだと思うんですけどね。
石田 ニュースに関しては、そういう基本的なデータを誰でもアクセスできるような形で公開
していかないと、ものすごくお金がかかるようなことにわたしたちが加担しているのは良くな
いなと……。
遠藤 そうなんですよ。けっこうこういうのも、個人がやろうとしたら絶対できない額になっ
ちゃうじゃないですか。
石田 できないですよね、労力的に。
遠藤 できないです。金額(的に)も労力(的に)もできないし、しかも、どういうふうに(デ
ータが)出てきたのかっていう細かいところは企業秘密になっちゃうので、企業さんにやって
いただくわけには、やっぱりいかないんですよね。
石田 まあ、そういう商売がなり立つところももちろんあるので、それはそれで必要なのかも
しれないですけどもね。
遠藤 もちろん、商売の方はそれでいいんですけれども、社会にフラットに貢献するための研
究ための何か方法も必要ですよね。
石田 ネットに関する調査とかは、大学院生の人たちはみんなやりたくてたまらないところが
あると思うので、何か、こういうふうに調査すればこれが定番だ、みたいなことがある程度見
えるとすごく助かるなと思うんですけれど。
遠藤 Google のデータなんかもあるけれども、
あれも結局ビジネスになっちゃってますからね。
あれをフェアユースで、研究のためって言ったらどこかで流してもらえるとか、そういうシス
テムができるといいんですけどね。
辻 とりわけ、いま「ビッグデータ、ビッグデータ」って言い始めているので、Google をは
じめとして全部囲い込み出しますよね。他にご質問いかがでしょうか?
SPIDER で録画されてたのは、DVD かなにかに焼いて保存をされてたんですか?
ディスカッション 101
遠藤 そうです。
辻 それと Excel のデータとかを対応づけて、この映像はこの DVD のどこにあるとか……。
遠藤 そうですね。ファイル名の付け方ですぐ分かるようにしています。
辻 デジタル化以降は、ひじょうにダビングが厄介になっていて、これがさまざまな作業を難
しくしている。要はダビング 10 のことですが。
遠藤 ええ、なのでできないから……遅かろうとなんだろうとアナログの状態だったら、クイ
ックタイムとか mpg とかに変換すると、コンピュータでいくらでも、ちょっと削って、こっ
ちで加工して見ることができたんですけども。
辻 ダビング 10 では、ダビングした映像のコピー、つまり孫コピーができない。実際上はも
う編集ができないっていうことに近いですから。確かに使い勝手が悪くて、いまブルーレイに
焼いて Excel と対応づけてっていうのは考えてはいるんですけど、ブルーレイもやっぱり 10
年も経つと見られなくなるじゃないですか、ハードとか耐用年数の問題で。ソフトが変わっち
ゃうっていうのもありますけど。私自身は、ダビング 10 とか著作権保護が研究利用するには
いきすぎていて、これはひじょうに大きな問題だなあというのが、実際に SPIDER のデジタ
ル版を使ってみて、実感したことではあります。
遠藤 本当にそうなんですよ。ダビングや変換のルールをとりあえずフェアユース、研究用に
だけは開いて欲しい、それはひいては業界のためにだってなるんだよって、なんで分かってく
れないんでしょうね !? だってそうじゃないですか、あそこであんまりよく知識のない状態で、やって売りつけたっ
て、ビッグデータだって使い物にならないですよ。こっちが自由に使って、新しい分析法を考
えてあげれば─それはもちろん公開ですけれども─、そしたらもっと新しい世界がどん
どん開けるかもしれないのに……なにか働きかける手段があるといいですね。
石田 こういうのっていうのは、よくマスコミ学会でもずっとワークショップやってきたりし
てたんですけど、あそこも学会に行くと実際上の話が展開されにくくて、ある特定の業者とか、
あるサービスのことについて何か言いにくいですよね、学会なんでね。
遠藤 ダビングの話なんて広い話だから、どこか、なんか……
石田 どこでやるべきなんだろうかな、って考える。
遠藤 なにか提言みたいな感じで、せめて申し入れを時々ちょこっと言ってく、みたいなのは
してもいいかな……絶対産業界のためになると思うんですが。
石田 まあテレビの話が、この研究会だと番組と CM という 2 つの柱があるので、SPIDER
の検索の場合は CM の検索ができないっていう……
辻 できます。
石田 できるんですか? 辻 CM の場合、キーワード検索はできないですけれども……
石田 どの CM が出たかは検索できる?
102 テレビ文化研究
辻 どの CM が出たか……?
石田 どの会社の CM が出たか。
辻 検索できますね。カテゴリー検索というのがあって、例えば食品なんかだと、2 週間なら
2 週間に新たに流された CM がリストアップされてきます。あと企業名検索っていうのもでき
たはずですし。
石田 新たに、というのは新作ということですか?
辻 初めてオンエアーされたやつですね。だから継続的に 1 か月前から流されている CM は
その検索に引っかかってこない。定期的に 2 週間ごとに、新着 CM というのが検索をかけて
いれば、ごそっとダビングしていくことは可能は可能なんですけども、実際上の問題としてダ
ビングにかなりの時間がかかる。NAS-HDD にもダビングしてみたんですけど、CM は 1 タ
イトルずつで扱っていくので、なぜか知らないけれど、ものすごく時間がかかるんです。だか
ら全録のアーカイブを、NAS-HDD とかブルーレイに作っていこうとすると、物理的にちょ
っと無理ですね、時間かかりすぎて。SPIDER をそれだけのためにフルで 24 時間稼働してい
なきゃいけない状態で……。
石田 じゃあ例えば、遠藤先生が 2000 年にやった CM の調査を先行研究にして、10 年経っ
てやってみましょうみたいなことをやろうとすると、あれ、ある一日の TBS を一日中録ると
いうことですよね !? そういう形ならできなくはない !?
辻 難しいですね。CM 検索になると、同じ CM が 2 回流されているようなものが捕まって
こないんです。初めて流された CM の初めて流れたときしか捕まらないので、例えば TBS の
24 時間分の放送から CM だけ抜き出せっていうのは、たぶん SPIDER のシステムではできな
い。そういう使い方を想定していないので。民間企業の場合そういう需要がないですから。
遠藤 私のアナログのマシンはそれが一つ売りだったんですけど、使ってみると全然使い物に
ならないと言われちゃったんで。
石田 実は、私の研究室では SPIDER ではなくて、SONY の X-Video
Station っていうのをア
ナログ時代に使ってたんですね。いまもアナログ波を変換して X-Video Station 使っているん
ですけどね。その継続機を考えていて、SPIDER はちょっとダメそうだということで、業者さ
んに来てもらってデモもしてもらったんですけど、今年は東芝のタイムシフトマシーンを買お
うかと、いまは思っているんですが……。
遠藤 私もちょっと考えています。ただ、いずれにせよコピーができないので、コピーして変
換しないと本当に使いづらいですね。
石田 やっぱりだから保存が問題なんですね。見る分にはいいんだけども。
遠藤 ただ、私の始末が悪いからか、どんどん積み上がっていくと何がなんだかわからないみ
たいなのはすごくありますね。
辻 例えば TCJ のテレビ CM アーカイブなんかは、リンクですぐつながるようになってます
けど、あれはひじょうに使い勝手がいいと思うんですね。それを、いま放送されているデジタ
ディスカッション 103
ル放送の CM に関してやろうとすると、たぶん実際上不可能だと思いますね。
遠藤 テレビ研究、けっこう不可能っぽくなってる。なんでそんなコトしたのかよくわかりま
せんが。
辻 著作権保護信号を外さないと、地デジの場合、たぶん実際的に運用できるようなアーカイ
ブシステムは組めないと思うんですよね。
石田 だからどんな研究を企画するかということなんですよね。CM を一日中録るっていうの
も、X-Video Station でアナログ時代によく卒論とかでもさせてたんですけど、1 週間全局録っ
て DVD に焼いたのを 300 時間くらいかけて見るっていう。いまちょっとそれができなくな
っちゃっているので難しいんですけれども。こういう研究がしたいんだっていうニーズから、
機械のほうを逆に作るっていうか、そういうふうに発想していかないとダメかなと思いますね。
それでちょっと質問なんですけれども、その「間メディア性」っていうことで、テレビと新聞
とネット 2 つという、そういう 4 つのならびで研究されていますけれども、それは 2000 年代
はすごく意味のある 4 つだったと思うんですが、それが、今後どういう形で、間メディア的な
世界が作り上げられていくのか? テレビっていうものが研究できなくなるとすればそれ以外
で研究するしかないのか、テレビの研究自体はやっぱり間メディア的な世界の中で残すべきな
のか?
遠藤 やはり残すでしょうね。できないできないと叫んでしまいましたけど、ほんとうに絶望
感が大きいんですよ、なんで !? ここ欠けちゃうじゃんみたいな。でも、テレビの影響力がな
くなったわけじゃないですから、ひじょうに大きな部分を占めているので、だから私がいちば
んリアルに考えているのは、やっぱり何らかの形で、こういう検索のシステムを作っている会
社もそうですし、そういうところにあれして、別に研究したから、産業界の利益を損なうよう
なことはないんだから、むしろプラスに働くんだから、研究会ではある種のメリットをくださ
いっていうのを交渉していくっていうのがいちばん現実的かなとは思っています。で、もっと
現実的には、やっぱりしようがないから、いまでもそうですけど、何回かデジタル化の後に録
画機買ってるんですけど、今はパナソニック、あれがいちばん評判がいいみたいなんで、使っ
てとりあえず溜めてます。
石田 じゃあ、手作業状態に戻ったということですか。
遠藤 そうですね。昔の手作業は、ほんとうにいろいろできたんですよ。いまは、もうただブ
ルーレイを溜めていくっていうだけなので、どういうふうに使えるのかはもう泣きそうですけ
ど……。SPIDER は全局(録画)できたんだけど、パナソニックで 2 局、プラスでギリギリで
3 局みたいな。
石田 それを複数台置いて?
遠藤 そうするしかないですね。
石田 新しく加えるべきワールドはないんですか? ネットと新聞とテレビという……ネット
の中でもブログと2ちゃんねる……
104 テレビ文化研究
遠藤 この時はブログと2ちゃんねるですけども、いまだったら、もっといろいろなものが増
えていますね。ただ一方で、そうやって録ったデータってどういう意味があるんだろうってい
うのをもっと考えないと、ただ数を並べてほらここが多かったよとか言ってもしょうがないと
いうむなしさを感じていますね。ほんとうに今度の選挙なんかは、マスメディアはいっぱいそ
ういうのを載せましたけど、
「だからなに?」っていう話ですよね。それより先に選挙だった
ら議論するべきことはいっぱいあっただろうし、数の問題じゃないですよね。あるいはその数
が何を表しているのかっていうのを、もっと考えなくちゃいけなくて、全部ベタで数にしちゃ
ってもしょうがないでしょ。
石田 それは事例研究で深く解釈的にやるとか、そういうことになるんですかね。
遠藤 まあ、いろんな場合に使えるんじゃないですか。選挙の場合でも全部ベタで考えるより
は、年代とかいろいろなクロスかけた形で見た方が分かってくることはありますよね。
大石 いま SPIDER の困難を質疑応答で伺ったんですけども、反対に遠藤先生はわりと短い間
しか SPIDER を使われていなかったようにお話からは思えたんですが、その間に SPIDER の
構造からむしろこれはこういう研究ができるっていうふうに思われたことはないんでしょうか?
遠藤 だから、さっきから言っているような制限っていうのは本質的な問題じゃなくて、ただ
システム的に掛かっているだけなので、別に外せるんですよ。外したら全然すごい使い勝手
の良い、バンバン研究ができるものにできるんですよ。そこにいっぱい制限が掛かっている。
研究っていうことで少しその制限を緩めてもらいましたけど、やっぱり産業界と学界っていう
のは不信感が相互にあるみたいで。だからまあ、あちらの方は研究用って言って渡しても、訳
のわかんない学生さんもいっぱいいて、どんどん流れちゃって、そしたらどうすればいいんで
すかみたいなことを……でも、そんな悪い方じゃなくて、それなりにいろいろ考えて、研究に
も使ってもらって、いろいろ使い道が増えたらいいなって思ってる、学界にも売れたらいいな
というふうにも思ってらっしゃる。だったら、というところなんですよね。本当にある意味、
交渉のところ(余地)もあるので、決して対立構造とか、これはダメだ、という話ではなくて、
なんかいい建設的な道が探れないかなっていうのは、私がいちばん思っているところです。そ
ういうシステムの問題なので、いくらでもできるんです。
大石 そうすると録画してあったものを、コピーするとかではなくて、何があったか見て、見
た上で研究テーマを思いついて、その先がたいへんだということですか? それを研究用に
落としてくるのがたいへんだから、研究に使うのがたいへんっていうことでしょうか?
遠藤 いま現状で研究に使うのがたいへんなのは、いちばん大きなところはコピーができない
ので、自在にあっちを見てこっちを見てっていうふうにいじれない、あるいは保存してあって
も、ここのところが見たいなと思ってもすっと取り出すのは、けっこう難しい。
大石 見ること自体が難しいんですね。
遠藤 そうです。そういう困難を、乗り越えてやるのはかなり現実的じゃない。すごく低レベ
ルのところで引っかかってしまう。だからデジタル化がいちばん問題なんです。
ディスカッション 105
辻 私が答えるものじゃないと思いますけど、ある程度長期保存していくというまさにアーカ
イブズというのを、手作りで作っていこうとすると、孫コピーができないので、結局これが劣
化してきたときに、さらにダビングしてバックアップをとっていくというのができないんです
ね。で、ブルーレイで同じのを何枚焼いていても、劣化の速度は一緒なので意味ないんですよ。
だから今のままだと、ブルーレイのディスクの耐用年数が過ぎちゃた時点で、その映像データ
は研究利用も何もできないっていうような形の問題が起きてきているんです。これもう個人の
努力ではある意味どうしようもないところで出てきていて。
4 4
大石 持続可能な形でアーカイブを残していくのが難しい、技術という問題があるんですね。
石田 だから全国大学共同利用施設みたいなものがあるじゃないですか。どこの大学からもア
クセス可能な。そういうものを作って、なんかそこに保存してもらうみたいなね。それをおそ
らく国立情報学研究所がやってくれるんじゃないかと期待しているんですけども、その辺はど
うなんでしょうかね?
辻 どうなんでしょうね。
石田 次の課題ということですね。
辻 でも、本当に深刻な問題だと思います。これがアナログデータの時代だったら個人が持っ
ているものを、バックアップを繰り返して何とか保存されているものってあると思うんですよ
ね。いまだとそれをやろうとすると、必ず違法にやっていかないと残らなくなっちゃっている
ので、合法的にバックアップとって残していくっていうことができなくなっちゃっている。だ
からテレビ番組だったら放送局が、CM だったら企業が管理しているものしか、もう将来的に
利用可能性がなくなってしまうという問題が出てきてしまっている。
遠藤 そうです。それこそテレビ局の首だって絞まっちゃうし、広告だってそうですよね、何
回も引用してもらったら、それってタダで広告してもらっているようなもんなんだからお得じ
ゃないですか。ほんとうにそこのところを分かって欲しいんですね。われわれは、決して誰か
の利益のためにやっているわけじゃないんだから、その誰かのものではないところに関しては、
フェアユースというのを日本ではきっちりルール化されてないけれども、日本でもきちんとル
ール化して欲しいっていうのを何らかの形で訴えていったほうがいいのかなー。じゃないと、
研究ができなくなっちゃうか、どこかから怒られちゃって、
「ごめんなさい」みたいな話にな
るか、どっちかなので。広告なんかは全然無理なんですけれども、無理っていうか、知らんぷ
りしちゃってるんですけれども、ドラマとかドキュメンタリーなんかだと、制作者には一言「こ
ういうふうに致しますから」って言って、ご挨拶はするようにしています。人間としての対応
で、
「よろしく」みたいな。
辻 3.11 の災害報道とテレビ・ドキュメンタリーのところで、あるいは報道批判みたいなと
ころで落としちゃうと、あまり意味がないんじゃないかとおっしゃっていたと思うんですね。
例えば、その報道にしても番組にしても、業界側からすると、結局これを研究者に使わせると、
先ほど石田先生が言われたように、われわれの批判しかなされないからというような、あるい
106 テレビ文化研究
は相互不信感みたいなものがあるんじゃないかと思うんです。
遠藤 褒めて、こちらが評価して、それを分かっていただいた場合もあるけども、評価しない
場合だってあるわけですよね。そこ両方書かなかったら、こっちの良心というのがあれで、そ
したらいちいちそういうふうに怒られちゃうの? 私は悪いことしてないけどみたいな。そこ
ら辺も、もっと交流を深めることで、決して単に批判して、
(メディアを)つぶす意味なんか
ないじゃないですかね、メディアは必要なんだから。社会学者としては、ぜひメディアの方は
もっとちゃんとやっていっていただきたい。だから、ここのところはちょっと批判的な記述だ
けれど、それは、あなたを責めているんじゃなくて、そういうことがあったから、そういうこ
とは二度と起こらないようにしようねっていう、みんなの自戒なんだっていうあたりをちょっ
と分かって欲しいですね。だから、もっと交流をするといいと思うな。
辻 どういう交流の仕方がありうるでしょうか? 例えば、メディアの報道現場に携わってい
るような方と研究会でご一緒したりすると、やっぱり基本的に学者の側は、メディアを権力と
とらえて批判するというスタンスが基本ですが、一方でテレビのニュース制作に携わっている
方は、皆さんのような学者に向かってニュースを作っているわけではないとおっしゃる。要は、
そこらへんで世間話をしているおばちゃんおじちゃん、居酒屋で喋っているようなおじちゃん
たちに分かるように、流さなきゃいけないと。そこのところとの兼ね合いで、どうやるかって
いう現場の論理が、表に立ってくる。それ自体は理解できるんです。でも現場の論理を立て
られると、そこで話が終わっちゃうみたいなところがあって、実りある交流にするにはどこで
話を噛み合わせればいいのかっていうのはよく思うところなんですけれども。とりわけアーカ
イブに残していかなきゃいけないっていうのは、フローのニュースであるとかワイドショーで
あるとかのもののほうが意義が大きいと思うんですね。そこのところは、アーカイブの意義を、
メディア産業側、企業側に訴えていくときのポイントにもなるのかなと思うんですけども。そ
の辺なにかちょっとお考えがあれば伺いたいです。
遠藤 とくに戦略があるわけじゃないんですけども、現場の論理で向こうがおっしゃって、こ
ちらはこちらの……とりあえずは一緒に交流して、場を共有する機会をとにかく増やすという
のが……最初から目標を立てて、こうなるために会いました、っていうのは無茶じゃないで
すか。最初から結婚しましょうって言って合コンできないですよね !? 「もしかしたら…」み
たいな、でも「やっぱりダメだった」
、そういうことの積み重ねだと思うんですよね。そこの
点に関してはあまり通じないかもしれないけど、とにかく増やすことというのが重要だという
ふうに私は思っています。で、現場の論理─わたしその「普通のおじちゃん、おばちゃん」
って言い方すごく嫌いなんですよ。そんなにバカじゃないですよ。あなたたちも普通のおじち
ゃんおばちゃん、わたしも普通のおじちゃんおばちゃん、ていうふうに思っているので、それ
を言われるとすごく違和感を感じてしまって、矛盾するようですが、そこでちょっと喋る気を
なくすみたいなところはあります。でも、分かりやすくっていうのは、間違っていることとは
違うし、酒井法子をみんながみんな見たいわけじゃないっていうのを、どうしてみんなが酒井
ディスカッション 107
法子を見たいはずだってうふうに決めつけるのか。それが、普通のおじちゃんおばちゃんだと
思っているのか !? それっておかしいじゃないですか、っていうことをまさに伝えなくちゃい
けないと私は思うんですよ。あなたたちが思っているほど普通のおじちゃんおばちゃんはバカ
じゃないし、その普通のおじちゃんおばちゃんのために社会があるんだから。まさにその人た
ちに本当のことを苦いクスリだろうと、本当のことを伝えていく、つまんないかもしれないけ
ど一生懸命伝えていく、って言いたいです。どんどん理想論みたいになっちゃって、ごめんな
さい。でも、誤解してると思うんですよ、ほんとに普通の人はそんなバカじゃないです。
村瀬 遠藤先生は理系のご出身ということでお聞きしたいのですが、インターネットのデータを
全て収集しているような工学系の研究があると思いますが、そこで集めたデータからあるテーマ
に沿ってデータを取り出すということは可能なんでしょうか。
遠藤 できますよ。だからやってますよもう。
村瀬 できる人は可能なんですよね?
遠藤 自分でというか、元のデータを手に入れなくてはいけないので、それはこの前 Suica で
問題になりましたけど、ああいうふうに部分的に商品化されていますから、お金さえあれば。
村瀬 技術的には、できるということですね。
遠藤 技術的にはできます。
石田 Suica も、だから「自分の Suica を使わないで」って言われていないよね、っていう話
ですよね。そういうふうに言うタイミングがなくて、勝手に使われているっていうことなので。
遠藤 われわれのデータは全部、われわれもそのくらいは知っておく必要があって、Google
だってなんだって、いっぱいただでサービスを受けている。それはどこかでお金が動いている
話で、それをわれわれに直接被害がないから使わせてもらいますね、っていう形で向こうは使
って、全体をなり立たせているわけですから。ただ、そのゲームの中からわれわれは抜けるこ
とはできないっていう、その一点がひじょうに変なんですけども、データはあって、それを使
う許可さえあれば。
石田 村瀬さんは、そういうデータとコラボして研究する。
村瀬 コラボするとか……技術的には可能なのかなと思って。
遠藤 限定的には、そういうプロジェクトはいくつも立ち上がっいて、やってると思いますよ。
あと企業の中ではやっています。
石田 さっきからくり返しおっしゃっているように、そういうふうにデータで出てきて、
「だか
らそれがなんなの?」っていう話なんです。
遠藤 だから、あの人たちは自分たちでデータをいっぱい抱え込んで、
「ビッグデータは……」
みたいなことを言っているけど、
「それで何か面白い結果出せたのかよー?」というところは
私が勝ち、と私が勝手に思っている。もちろんそれもそういうところと協力している研究者の
方たちは、日夜研究なさっていると思いますよ。大勢のグループがそういう方たちとコラボで
きる形になれば、もちろんできますよね。くり返しになりますけれど、いちばん重要なのは問
108 テレビ文化研究
題意識だし、そこから何が出せるのかっていう正確さですよね。一見こんなことが出ましたよ、
みたいなことはいくらでも言えるわけですよ。だからある意味その正当性を担保することは、
いままで以上に難しくなっているということは言える。そういうところをパスして、とにかく
上っ面でやっちゃうことは簡単。3.11 に関しても、ある程度限定的にビッグデータは外に出
てましたし、それは別に全然公開で、やりたい人は手を上げて、応募してくれれば出しますみ
たいな形で、3.11 の膨大なデータなんかでも、私のこんな小型の HDD でも入っちゃうんで
すよね。それは分析なんていくらもできますよね。タグだってすでにいっぱいついてるし。だ
から SPIDER の中のデータよりもずっと精度のいいデータが手に入るチャンスなんていうの
は、いくらでも転がっている。じゃあ、その時も面白い研究、きれいな研究、いっぱい出てま
す。それだけでも、きら星のように出ているし、世界でコンテストも行われていて、知り合い
はなんかそれで優秀賞かなんかを取った。ただ、それはある種のデータ・ジャーナリズムとか
ビジュアル・ジャーナリズムみたいなことが最近言われていますけど、そういうことに関して
はかなりいいと思いますね。私はその方向に別に反対ではない。ただそれをどう解釈するかと
か、どう解析するかに関しては全然白紙だな。ビジュアル化は本当にきれいにできるので。
石田 動くグラフとか、見ただけで「うわー」って思ってしまいますね。
遠藤 そうですね。わかりやすいからもっと使えばいいのに、とは思うけれども、ただ、
「そ
ら見えた……終わり」みたいな。
石田 問題意識はどこから来るのか、みたいな問いが実はあって、それは間メディア性みたい
なものの向こうにあるのかな、と思いながら聞いていたんですけどね。だから、ある単一のメ
ディアにだけすごく深く関心を持つ人が多いなと思っていて、メディア研究の人は。だから、
CM 研究をしている人もそうなんですけど、自分の研究はここの関心なんです、他のメディア
はあんまりっていう、そういうふうになってしまうと、研究関心が間メディア的なものから出
ないですよね。だから一つのメディアだけに特化した、その関心っていうのはどういうものな
んだろうなとは、すごく思いますけれどもね。
辻 その点を引き取って質問していいですか? 間メディア性という問題を扱うときには、あ
る程度メディアの界みたいなのをそれぞれ決めて、そこをまたぐ相互関係、リンクデータみた
いなものを、どう捌いていくかがいちばんポイントになると思うんですね。例えば、新聞のこ
れまでの内容分析であれば、新聞のデータベースから記事を引っこ抜いて、テキスト解析を
かけるなり何なりですんでいた。しかし、その新聞報道とテレビ報道がどう連動しているかと
か、どう影響し合っているか、そこにどうネットが関わってくるかになると、必ずなんかの形
でどうリンクしているかっていうというところを提示していかなくてはならない。私のところ
でもう修了してしまった院生ですけれども、遠藤先生の本を参考にして、新聞の報道とネット
のニュースサイトなんかの報道がどういうふうに間メディア的に関係しているかを研究してい
たのですが、そこの捌き方がいちばん難しくて、なにかサジェスチョンがあれば教えていただ
きたいのですが。アーカイブを使った研究なんかでも、これからはそこが重要になってくるか
ディスカッション 109
なと思うんですね。
遠藤 それに関しては、すごい辛いところがあって、そういう意味でもさっきのいろんなとこ
ろからの協力をいただいてできたときにはすごく期待したんですけども、それをやるためには、
時間とか、そういうものが正確に出てこないと、関係が見えないんですよね。でも、そのレベ
ルの正確さっていうのは、あまり理解していただけなくて、5 秒とかね。5 秒じゃダメなんで
すよ、みたいな。そういうふうに塊になられちゃうとダメなので、ほんとに生データで、放送
のデータにせよなんであれ、全部アーカイブになっていて、それを比較しながら、ああこう情
報が移ったな、っていうのが見られるようになるっていうのが私の理想なんですけども、ちょ
っとその前に関門が多すぎて、だからほんと選挙の時は期待したんですけどね。ちょっと粗く
て、そこまで細かく、これが真実だ、というふうには言えない。
石田 同じ時系列の中でグラフを並べてみるっていうやり方ですよね。だから、どういうふう
な時間を刻んで、何分何秒までやると、このメディアで、このテレビでここをやったから新聞
が次にこう出たみたいなことが、ひょっとしたら分かるかもしれない。
遠藤 データ的には、ほんとはあるはずなんですよ。Google だってなんだってすべての秒は
あるわけだから、それを処理して見ていけば、できるはずなんですよ。
辻 その時は、時間軸、時系列、時刻データというのが、大きなポイントですか?
遠藤 一つ大きな重要ポイントですね。あとは空間みたいなものと。例えば、日本の情報が海
外でどういうふうに変わったかっていうのはちょっとズレるわけですよね。そのズレをどうい
うふうに考えていくか。
石田 麻生副総理がナチス問題みたいなことを言ったときに、海外のメディアで報道されて、
それがまたフィードバックしてみたいな話になるときは、海外のどういうメディアを参照すべ
きかってことがね、どの範囲で特定したらいいのかな、みたいな。
遠藤 それはだから目的によるんじゃないですかね。いちばん簡単にはやっぱり有名な、もう
ちょっとあれすれば、ミュージアムみたいなところの新聞をチェックすればけっこう細かいの
が出てくる、とらえられる部分もあるんで、ただ、世界中の言葉は読めないし、それは研究の
範囲だと思いますけどね。
石田 最近、難しいなと思うのは、各テレビ局がニュースをネットで動画配信してるじゃない
ですか。新聞も紙媒体じゃなくて、ネットでまず記事を出しますよね。だから何時何分ってい
うそういう時系列がついた記事がたくさんネット上で見られるので。で、次の日の朝刊には同
じ記事が載っているんですけど、夜中の 23 時 55 分とか、23 時 57 分とか、そういうふうな
時系列で記事が出ていくので、そうすると、そういう調査っていうのは、全部ネット上ででき
てしまって、テレビとか新聞とかを研究していることに、これでなるのかなということをちょ
っと思ったりするんですけどね。
遠藤 どのくらいの数の人たちがペーパーベースで見ているか、っていうことの動き方と、そ
れがネットで本当にシフトしていってるのかどうかということは、見ていく必要があると思い
110 テレビ文化研究
ますね。
石田 ネットの方が情報を拾いやすいので、だんだんそういうふうに自分がなっちゃってるな、
っていうのを感じるんですよね。
遠藤 ただ、やっぱり、あまりそれは……どっちかというとネット寄りの私が言うのもなんで
すが、ネットに頼りすぎるというの、それ誰か見てる? っていうところもけっこうあります
よね。そこらへんの見極めはけっこう難しいな。情報があちこち行き来、行き来しちゃってい
るので、振動状態になっちゃっているので、間メディアっていう観点がより必要だし、でもそ
れをとらえるのはより難しくなっている感じがします。
竹内 私は先生方のように今日の 1 分 1 秒の違いとかいうところに気持ちをもっていくことが
できないので、どちらかというと過去を気にしてしまう方なんですけども、2000 年にされて
いた高齢化社会を CM イメージから見るという興味関心は、すごく私にとっても興味深かっ
たんですが、これをもう一度 2010 年にするとか、そういった計画はお持ち、ないしはなさっ
ているのかなっていう、興味です。
遠藤 データ自体は、デジタル化以前であれば、ビデオが生きているかどうかとか、いろんな
問題がありますが、ある程度できるんですね。やりたいと思っているんですが、次々と自爆的
研究をしているので……。
竹内 いろいろなベクトルで、高齢者が出てきているシーンをこういうふうに見るっていうの
を、参考として教えていただいてすごく興味深かったんですが、この研究会で言えば、もう少
し古いものをたくさん見られる環境をもっているわけですよね。ですので、2000 年ではなく、
1990 年、1980 年で同じ高齢者っていうのを、とある一日っていうのは今の状況では難しい
んですけれども、ある程度のボリュームの中で、どれだけ高齢者が出現していて、それが主
たるアクターなのか、従のアクターなのかというのも調べていけば、もう少し大きいレンジで
の変化、とあるタイミングで新聞が先かネットが先か、っていうのはちょっとすごく難しくて
わたしはそれは絶対答えられないなと思って引いてしまうんですが、ちょっと大きく見たとき
には、テレビ・コマーシャルなり、番組なりが、語ってくれるものっていうのがあるような気
がするんですね。でも、それも一人ではなかなかできないことなので、チームでやるようなご
企画があればぜひ一緒にと思って。
遠藤 ありがとうございます。私も一人ではできないので誰かやりませんかっていうのに、み
んな知らんぷりしている。
竹内 90 年担当と、いやもう黎明期 50 年担当に、アニメでもいいから老人は出てきたのかみ
たいなのはすごく興味深いですし、もっと言えば今ですよね。今日、相当変わってると思うん
ですよ。企業人の立場からしても、高齢者を市場としてとらえないと生きていけない企業がた
くさん出てきてますから、飲料にしたって化粧品にしたって高齢者対象の CM は絶対増えて
ますから、今までと同じことをされても全然違う結果が出るだろうというのは明らかなので、
それと比べるというのも面白いなと思いながら、伺ってました。
ディスカッション 111
遠藤 全くおっしゃるとおりで、この化石を見るたびに、これ続きはどうなっているんだろう
みたいなことを思っていて、まあ、もしできれば本当にうれしいですね。私が絡まなくても、
いろんな方がやってくだされば、重要だと思うんですよ。とある一日だけだとあまりにもグラ
グラしますけど、ずっと並べて傾向がちゃんと出せれば、説得力も、社会変動に関する知見も
いっぱい出てくると思うんですよね。
石田 高齢者イメージ研究会を。その班をテレビ CM 班の中に作って、それで 1 回報告して
もらう。まあ高齢者以外にもどういうネタがあるのかみたいなね。
遠藤 そういうネタとしていろいろあるんですけど、例えばこれは 2000 年ぐらいから 2005
年くらいなんですけど、これは「つながり」っていうキーワードで、自分の中で見ていくとけ
っこういっぱいあって、すごく印象的だったのはこの、BOSS という、覚えていますか?
辻 見たら思い出せる。なんでしたっけ。
遠藤 みんな忘れちゃうんですね。
辻 BOSS は名作が多いので。
遠藤 BOSS は名作が多いんですよ。ジョーンズさんのやつは別です。ジョーンズさんのやつ
も面白いんですけど、
これはもっと前のですね。これがエピソード 3 からで、
1、2 がないんです。
ハードディスクがクラッシュしてしまって。─〈ここで BOSS の CM を流す〉─思い出
しました? いろんなところで渡していろんなところでつながっちゃうんですよね。
石田 違う商品の CM ですよね?
竹内 AU とコラボしてますね。
遠藤 フィラー(filler)のところでコラボしたり、この後にもずっと続いていって、いちおう
最後オチがつくんですけれども、すごく面白くて。で、この頃こういうタイプのつながってい
く、つながっていきながらどんどん変化していくみたいな CM がけっこういろいろ出て、そ
れってネットがけっこう入ってくることによって、従来だったら全然別のものがくっついてい
っちゃう、っていう感覚が、ある種のリアルとして出てきた、っていうことと対応しているん
じゃないのかな。これは、たいして面白くないんですけども、エキサイトのやつなんかでも、
そういう意味で。これは NTT のなんですけどけっこう有名で……こうやってお見せできるの
は変換して使いやすい形にしているからなんで、いまは絶対にできないですよね。─〈ここ
で CM を流す〉─好きだったんですね。ただ、ここでは電話がまだすごく生きていたって
いうのが分かるじゃないですか。それから電話の役割っていうのが、ここで改めて違う空間を、
一気につなぐ、共在っていう場を作ることなんだっていうふうに主張してるわけですよね。そ
れは普通に考えるとネットで見られることなんだけれども、もともと電話も実はそうだった。
翻っていくと、メディアって結局そういうもんだよね。そういう意味では進歩しているよう
だけど進歩していない。進歩していないってのは悪い意味じゃなくて、ずっと変わらずメディ
アのいちばんの特性というのは共在性を作り出すことなんだっていうことが、ここである意味
気づかれているのかなと、そんな感じです。ネットサーフィンとテレビザッピングの違いみた
112 テレビ文化研究
いなものも、ほんとうはここにいっぱいコマーシャルがあるんですけれども、私がいま見せた
くてじたばたしているのは……ああこれも面白いんですよ。これも大好きで。モスクワ劇場占
拠事件という、覚えてらっしゃいますでしょうか? そのうちギャラリーのほうから「生きて
ませーん!」とか言われて。大学の授業なんかそうじゃないですか?
石田 (多くの学生は)2002 年だったら産まれているんじゃないですか?(笑)
遠藤 でも絶対「覚えてません!」ですよ。これは早い時期だと思うんですけど。─〈こ
こでモスクワ劇場占拠事件のニュース映像を流す〉─これがニュースステーションですね。
これわりに昔ながらの報道のスタイルでやっていて。でもこの人現地にいる意味ってほとんど
ないんですよね。ないままで、でもそれが従来のやり方で……でも、ここでモスクワのテレビ
の画面が、犯人のそのままの映像を出しちゃっている。まあ犯人が自分で映しちゃって出しち
ゃっているわけですよね。それから、そもそもこの事件の時には、犯人グループの犯行声明、
いまどういうふうに犯行していますとか、犯行の理由はなんですとかいうのをネットでアピー
ルしちゃっていて、それが報道より先に世界にバラ捲かれちゃっているという状況で、まさに
報道のほうが後追いになっている。で、その後追いになった情報をマスメディアが報道し、で
もモスクワではすでにデモが起こっていて、このデモは犯人のインターネット上の声明文を読
んで、刺激されて自分たちは犯人グループに賛成するっていう運動が……つまり、そこではメ
ディアが変わって、リアルにがーんと言ってしまって、リアルを動きだして、それをまたメデ
ィアが言ってるみたいなそういう複雑な構造が、この時できています。さらにこの後、ほんと
にこのおじさん(現地記者)なんなのよみたいな、しかも(記事を)読んでるし。ここですね、
これは犯行グループが自分たちでどんどん出していて、この画像は多分モスクワのロシアのあ
れなんですけど、この時アルジャジーラが最初いちばん早い時期に注目された。CNN と違う
形で中にどんどん入り込んでいっちゃって、中の情報を出しちゃって、それって報道倫理とし
てどうなのよとか、袋だたきにあいつつも、でも伸びてきた。そこではまたもっと違った形の
マスメディアのあり方というか、報道のあり方というものも、提示され、さらにこの後、突入
によって解決するんですけど、その突入の際の内部情報っていうのは、人質が携帯で電話し
て外側のメディアに筒抜けに聞こえていたという、すごく早い時期なんだけど、いろんなメデ
ィアが駆使されて、不思議な空間─従来とはちょっと違う情報の流れ方、それから現実が
まさにそこで動き始めちゃうっていうような、空間を作り出した事例なんじゃないかなという
ふうに思ったりしていて、なぜかこのニュースの中にそれがみんな凝縮して入っちゃってて、
「あら、びっくり!」みたいな感じで、後ですごく使いやすいなあっていう。
このころにはもうファックスやメールでテロップを出すっていうのが始まったんですね。い
まは Twitter とかでやってますけど。これは小泉さんが北朝鮮に行ったときですけれども、あ
の時、すごく大々的にこういうものが使われ始めた。今の前哨戦みたいな感じですね。これは
ネットと NHK がやってるものですけれども、NHK スペシャルと連動させてやった実験的番
組ですし、これがけっこう面白くてですね、すごくよかったんですけど。
ディスカッション 113
「恋する M」─なんかネットの方で片思いの人に対する告白文みたいなのを募集してアッ
プすると、テレビの下の方でどんどん流れてきて、切ない思いが流れるっていう 5 分番組な
んですけど、面白い連動の仕方だな、まあ「鉄腕 DASH」は有名ですけど、ただ鉄腕 DASH
なんかの事例でも、鉄腕 DASH はネットの使い方がすごくうまくて、うまく連動させたんで
すけど、それと同時にこういうパロディサイトがいっぱいできて、まあパロディサイトは当然
普通の人たちが動き出して、これに対して鉄腕 DASH という番組は、それを否定するんじゃ
なくて、それとコラボした番組を作っちゃう、みたいなわりに面白いやり方をしていた例だっ
たりします。同じ時期に、これは覚えていますかね? これはねえビデオがないんですよね、
覚えてらっしゃる方いらっしゃいます? 一瞬テレビを見ていると何が起こったかわかんない
んですよ。突然なんか手持ちのビデオカメラで撮ったようなざらざらした映像が出てきて、不
倫現場を「あっ! 見ちゃった!」みたいな。
「えっ、なになに?」って思っていると、不倫
現場の人が、バッと振り返って、いちばん下のところにですね、
「大ピンチです。この続きを
見たい方はホームページまで」っていう CM なんですけど、そのドキ感と、それからつない
でいく、
「詳しくは Web で」っていうのの走りですね。走りでひじょうに刺激的だったという
CM です。このころから、2000 年頃から「詳しくは Web で」っていうのが出てきて、ユニ
クロのオンラインショッピングとも連動したのが、当時すごく話題になりましたけど。それは
それで、この後、
(画面の)下にノコノコ出てくるのがいっぱいあるんですよ。これは少し「何
回も録ってます」っていうのを見せたかったんですけど、テレビの CM に URL が出てくるコ
マーシャルっていうのは、どのくらい変化していくんだろうってのを一生懸命数えたんですよ。
これは 1 日につき 6 時間ですけども、じょろじょろと増えていっていることがあります。もう
一回最近やろうかなと思ったんですけど、ほとんど 100%なので、やっても無駄だからやりま
せんが、どこら辺で 100%になったのか、実は一回下がるんですよ。ちょっと見てて、この後
2006、7 年にちょっと下がって、また盛り返して 100%になった。こういうデータもあったり
します。これも間メディアの一種で、どれだけ連動しているかというのをこういうところから
も見えるかなと思いました。これはネットムービーでいろいろやられましたが、あまり成功し
なかったかな。
石田 あれですよね、間メディアみたいなものはどこに観察できるのか、という質問に対して、
テレビのニュースショーとか CM の中に実はたくさん観察できるお答えですよね。
遠藤 ありがとうございます。
石田 すごくよくわかりました本当に。
辻 どなたか最後に、ぜひご質問したいという方がいらしゃいましたら、どうぞ。
石田 難波先生なにかあれば。
難波 コメントというか感想になるんですけど、実は老人の CM、お年寄りはどう CM の中
にどう描かれているかという分析は気になって、現実のお年寄りがどうゆがめられて描かれて
いるか、というパターンの研究ってずいぶんあるんですけど、そうじゃなくて CM に表象さ
114 テレビ文化研究
れている老人像が逆に現実にどう影響を与えるかとか、それを追っかけるにはどうすればいい
んだろう、というのがずっと気になっているけど答えはないなと思ってるし、デュルケムの言
った集合表象のようなものと CM の中の表象との関係とか、たくさんありそうだなと思いつ
つもやもやしてるのが、また、もやもやしたなという感想です。
辻 例えば、老人や高齢者が CM でどう描かれているのを長期で比較するときって、特有の
難しさがあるかなと思うんです。毎回同じようなことを研究会で繰り返しているんですけど、
要は、どの年齢あたりまでを高齢者、老人ととらえているか、1960 年代と現在だと、全然
違うだろうと思うんですね。今だと確かに年齢的には高倉健とか吉永小百合とかは確実に高
齢者の年齢ではあるとは思うんですが、CM に現れてきたときに吉永小百合を高齢者として、
意味づけているだろうか。受け手の側がそういう意味づけでとらえているだろうか、っていう
ところがいちばん違っているんじゃないかなと。
遠藤 さっきの高倉健さんは高齢者なんですけど、高齢者という意味で出てきているわけじゃ
ない。
辻 じゃないですよね。1960 年代までさかのぼると、その辺の不一致みたいなのがなくなる
んじゃないかなという、単に勘ですけど……。
遠藤 そこら辺はけっこう難しくて、例えば『七人の侍』とか見ると、実年齢すごく若かった
りして、でも映画の中ではものすごい年寄りだったりする人っていっぱいいますよね。なので、
そこら辺はどういうふうにあれするかというのは、ある種の判断のように思いますけれども。
でも、吉永小百合さんはあの人ほんとにあんなに若いんですか。
辻 要は、老人とか高齢者の意味内容が時代とともに変化してきているとすると、そこで一本
比較の軸を通そうとするときに、その比較の軸自体のゆがみっていうのがあって、比較に定義
上ならなくなってしまうというのがあって、意味上のところでならなくなってしまうっていう
困難が……。
遠藤 それは、その軸のゆがみごととらえていくよりないんじゃないですかね。だから高齢者
イメージはイメージなので、
「高齢者」じゃないんですよね。その場合、キャラクター自体に、
意味があって、高倉健さんとか吉永小百合さんとかは実は「高齢者」じゃない、っていう表
現をするよりないのかな。
辻 そうなると、ピックアップする CM というのが変わってきますよね。
遠藤 だから分類の箱を変えていって、どことどこで見ていくかっていうのは、判断じゃない
ですかね。
石田 まあ辻先生が作っておられる言葉を採録していくっていうやり方だと、高齢者っていう
言葉自体あんまり登場しないかもしれないですよね。おじいさんとかおばあさんとか、もうち
ょっと違う言い方が、出現しているかもしれないなと。
遠藤 だけどその老婆とかそういう言葉って、放送禁止になっちゃってるじゃないですか !? 使わないですよね? だから 12 歳の女の子も 84 歳の女性もみんな「女性」になってしまって、
ディスカッション 115
そういう意味では、年齢を社会の中から消し去って行く、それは良い面と悪い面があると思う
んですけど、そういう一つの高齢者、だけで見ていくのではなくて、多角的な社会っていうの
が、個別の高齢者を含んだり、さっきの IT っていうのだと違うふうに見えてきますよってい
うふうに言いましたけど、あるひとつだけでやろうとするとブレが大きくなりすぎる。そうじ
ゃなくて、軸をいくつか立てたところでじゃあどうだっていうふうに見ていく方がブレが少な
いのかなと思いますね。
辻 何となく話がまとまったところで、最後に石田先生、どうぞ。
石田 今日はとても多岐にわたるお話で、遠藤ワールドを堪能させていただきました。私はす
ごくインスパイアされることが多くて、いろいろ研究のアイデアをいただけたと思うんですけ
れども。アーカイブを作っていると、どうしても扱うデータがたくさんあります。業者さんに
頼んでデータを提供してもらう形でも同じですけど、資料を判断する基準は何かとか、方法
論的な担保が欲しい、といった議論になってしまって、研究の持っている意味とか社会的な
価値が、むしろ後回しになっちゃう傾向があるなっていうことを強く感じました。その意味で、
魂も植民地化されているんだなって。だからもっと自分自身の魂を解放しないと! というこ
とを今日は感じました。そういう感想を持ちました。ありがとうございました。
以 上
Fly UP