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新型高性能ヒートシンク「Hi シンク・VL」 製品紹介 Products 新型高性能ヒートシンク「Hi シンク®・VL」 New High-Performance Heat Sink, Hi Sink VL 2.2 多数の高性能ルーバーによる高い熱交換効率 1. はじめに 流入した冷却風はフィンを構成する多数の高性能ルー アルミニウム製のヒートシンクは,電子機器の半導体 バーに分散して流れます。従来のくし型ヒートシンクに 素子や IGBT などの冷却用として,多くの電子電気製品 比べて,効率良く熱交換することができるので,高い冷 に使用されています。また,ハイブリッド車には,モー 却性能を実現できます。 タ制御用インバータの冷却用として搭載されています。 2.3 均一な温度分布 これらの電子機器や自動車用ヒートシンクには,放熱 性能向上と小型軽量化が強く求められています。 上記 2.1 項,2.2 項の特徴から,ヒートシンクのベース 面内の風上側から風下側での温度差を小さくかつ最高温 そこで当社は,新たなフィン形状を考案し,流体解析 度を低く抑えることができます。図 2 に同一条件で解析 と製品の実測評価により,従来のくし型ヒートシンクよ したくし型ヒートシンクと「Hi シンク・VL」の,素子取り りも大幅に軽量で冷却性能の優れた新型高性能ヒートシ 付け面の温度分布を示します。 ンク, 「Hi シンク・VL」 を開発しました。 「Hi シンク・VL」 の概略構造を図 1 に,また主な特徴を 次に示します。 風向き 2. 構造と特徴 50 47 44 41 38 35 32 29 26 23 20 くし型ヒートシンク 50 47 44 41 38 35 32 29 26 23 20 Hiシンク・VL 固体温度 (℃) 2.1 V 字型にフィンを配置 風上側では素子温度を低くできますが,風上のフィンで 暖められた空気が流れる風下側では,素子温度が高く なってしまいます。 固体温度 (℃) しかし, 「Hi シンク・VL」では放熱フィンが V 字状に 配置されているため,風下側のルーバーにも温度上昇し ていない冷却風を供給することができ,高い冷却性能を 得ることができます。 風向き 従来のくし型ヒートシンクは,冷たい冷却風が流れる 図 2 くし型ヒートシンクと 「Hi シンク・VL」 のベース面温 度分布の解析結果 Fig.2 Results of heat distribution simulation of comb shaped heat sink and“Hi Sink VL” . 3. 性能 3.1 熱抵抗が 1/2 風向き 図 3 に同 サ イ ズ( 幅 140 mm × 長 さ 200 mm× 高 さ 30 mm 、フィンピッチ 6 mm)のくし型ヒートシンクと 風向き 「Hi シンク・VL」の熱抵抗(発熱量当りの温度上昇量:低 い程冷却性能が優れる)の例を示します。 「Hi シンク・VL」は熱抵抗が非常に小さく,くし型ヒー トシンクの約 1/2 に低減することができます。 図 1 「Hi シンク・VL」の概略構造 Fig.1 Schematic of“Hi Sink VL”. 38 Furukawa-Sky Review No.6 2010 新型高性能ヒートシンク「Hi シンク・VL」 0.3 0.25 熱抵抗(K/W) 3.3 ベース面内温度差の大幅低減 くし型ヒートシンク Hiシンク・VL 図 6 に同一条件で解析した従来のくし型ヒートシンク と 「Hi シンク・VL」の,ベース面内の熱抵抗を示します。 0.2 一般的なくし型ヒートシンクでは,熱抵抗の最大値と最 0.15 熱抵抗 約 1/2 0.1 小値で 20% の差が生じてベース面内の温度差が大きい のに対し, 「Hi シンク・VL」では熱抵抗の差はその 1/3 と, 0.05 0 0 1 2 3 4 5 ベース面内の温度差を大幅に小さくすることができま す。 前面風速(m/s) 図 3 くし型ヒートシンクと「Hi シンク・VL」の熱抵抗 Fig.3 Thermal resistance of comb-shaped heat sink and “Hi Sink VL” . 熱抵抗差 約 1/3 熱抵抗(K/W) 0.11 3.2 フィン重量およびサイズが 1/2 図 4 に従来のくし型ヒートシンクと同等の熱抵抗とし た「Hi シンク・VL」の重量を示します。 「Hi シンク・VL」 0.10 20% 0.09 0.08 7% 0.07 は,くし型ヒートシンクと比較してフィンを約半分の重 0.06 量とすることが可能です。 風上 図 5 に従来のくし型ヒートシンクと同等の熱抵抗とし た「Hi シンク・VL」 のフィン高さの比を示します。 「Hi シ ンク・VL」は,くし型ヒートシンクの約半分のフィン高 くし型ヒートシンク Hiシンク・VL 風中 風下 図 6 くし型ヒートシンクと 「Hi シンク・VL」 の熱抵抗分布 Fig.6 Thermal resistance distribution of comb-shaped heat sink and“Hi Sink VL” . さとすることが可能です。 4. おわりに フィン重量の割合(%) 100 重量 約 1/2 80 化や軽量化が可能です。今後ハイブリッド車など環境対 応車のインバータやコンバータ用冷却器としての展開が 60 期待されます。 40 当社では,熱流体解析を活用して冷却製品の最適設計 20 0 「Hi シンク・VL」は冷却性能に優れるため,製品の小型 を行ない,電子電気製品の冷却に関する提案が可能です。 くし型 ヒートシンク また,各種の風洞設備を用いて,より実際に近い環境に Hiシンク・VL おいての冷却製品の温度評価も可能です。 図 4 くし型ヒートシンクと「Hi シンク・VL」のフィン重量比 Fig.4 Weight comparison between comb-shaped heat sink and“Hi Sink VL” . 今後も冷却製品の提案や熱に関係した技術課題の解決 に対応していきます。 お問い合わせ先 フィン高さの割合(%) 100 フィン高さ 約 1/2 80 押出加工品事業部 加工品部 〒 101-8970 東京都千代田区外神田 4 丁目 14 番 1 号 60 秋葉原 UDX12 階 TEL: (03)5295-3554 FAX: (03)5295-3766 40 20 0 くし型 ヒートシンク Hiシンク・VL 図 5 くし型ヒートシンクと「Hi シンク・VL」のフィン高さの比 Fig.5 Size comparison between comb-shaped heat sink and“Hi Sink VL” . 39 Furukawa-Sky Review No.6 2010