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20年間のアナリストの仕事を振り返って

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20年間のアナリストの仕事を振り返って
20年間のアナリストの仕事を振り返って
高 田 創
(証券アナリストジャーナル編集委員会委員)
 1980年代、アナリストと資本市場の歴史
日本で証券アナリストという概念が一般化した
80年代半ば、日本証券アナリスト協会の資格
のは80年代以降であり、米国とは約20年近いタ
取得を志しテキストを手にして以来22年が経過
イムラグがある。最近は大学生でも日本証券アナ
した。その後、90年代の4年間は銀行の審査部
リスト協会の資格取得のための勉強を行う者も増
で「クレジットアナリスト業務」を行い、この
加しており、それはとても好ましいことであるが、
11年余りは証券会社で「セルサイドアナリスト
筆者が学生時代であった80年前後、証券アナリ
業務」を行い、職業アナリストとしてのキャリア
ストという業務は学生の間ではほとんど認知がな
は15年となった。本論では『証券アナリストジ
かったように思われる(注)。
ャーナル』の編集委員の中で、現役のアナリスト
日本における資本市場の調査・評価の必要が生
として仕事に従事する立場として、自らの体験の
じるのは金融の自由化が前提となる。日米におけ
中で抱く、
「アナリストという仕事」を考えるこ
るアナリスト業務への認知の差は自由化のペース
とにする。また、そうした立場を通じて日本の資
の違いと考えてもいいだろう。市場化の出発点と
本市場の動きの一端を考えてみたい。
なった為替市場が生じたのが70年代以降であり、
証券アナリストは一般的には株式分析を行う証
その結果、金利が自由化され、国債の大量発行に
券会社の専門家を指すことが多く、中には花形ア
伴い債券市場が機能しだしたのも80年代以降で
ナリストとして会社を渡り歩く人もいる。筆者の
ある。したがって、筆者が学生時代、アナリスト
場合は、債券市場を中心に金利分析、国債市場、
という職種を意識しなかったのも無理もないのか
貸出、クレジット市場、資本市場全般の調査を行
もしれない。26年前に銀行(日本興業銀行)に
っている。自らが属する組織のリサーチリポート
入った当時、銀行に調査部という業種があり、主
の執筆や投資家向けに説明を行うのが主要な業務
に経済分析を行っていたが、同時に審査部という
となる。
セクションで個別企業の分析を行う「アナリスト
(注) 日本証券アナリスト協会の証券アナリスト通信教育は既に77年から第1次レベルが開始され、81年5月
には第2次試験が行われ、検定会員が誕生している。ただし、米国は60年代からCFA資格試験制度が導入さ
れており、そこには約20年のギャップが存在する。
証券アナリストジャーナル 2008. 8
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