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千 鳥
平成21年4月18日 塾 報 【編 集 発 行】 『滋賀の教師塾』事務局長 第二期 【第11号】 ちどり 千 鳥 【今日の言葉】子どもを不幸にする一番 確実な方法は、いつでも、なんでも手に 入れられるようにしてやることである。 J.ルソー 『エミール』 【本日の講座について】 いよいよ実践的な教材研究と指導案作りに入ります。 教育実習がまだの人にとっては、その時のためのよき準備実習ともなるでしょう。 【第十二回教師塾開催について】 ◎日 時: 平成21年5月9日(土)13:00 ∼ 16:40 52 ○ 53 ○ 54 南郷・大石方面行き ◎場 所: 滋賀大学教育学部〔JR石山駅下車、京阪バス乗車〔○ で「滋賀大学西門前」下車徒歩3分で西門へ、または①石山団地行きで「野々宮」 下車徒歩 15 分で西門へ、または②④で「滋賀大学前」下車正門へ徒歩8分〕 ◎内 容: 「マイクロ・ティーチング」(10班に分かれて実践指導の在り方を学びます。) 【学校実地研修報告書】 学校実地研修については、ほぼ8割の塾生が3月末日までに研修を終えています。 押印済みの出席簿とともに、報告書(表裏両面)は早めに提出してください。研修先学校へお礼状も忘れずに。 【選択講座報告書】 選択講座は最低3講座を受講することになっています。4月6日現在、3講座を受講し、 その報告書を提出済みの塾生はS・Aコース合わせて 126 名です。未提出の人はなるべく早く提出願います。 【第10回講座の評価結果について(5段階表示)】 ① 講演:教師と読書 … 4.12 ② 演習:読み聞かせ活動他 … 4.79 ③ 講演:企業人による … 4.78 《 第10回講座における塾生アンケートより》 【講話:教師と読書】▼日頃から読書をすることの大切さを学ん だ。読書を通して人間性や人生を豊かにし、子どもと共に読書をすることの大切さを感じていきたい(小・女) ▼「本は読んだ分だけ人生が豊かになる」という最後の言葉が大変印象的だった。教師になってからも教材研究 等を通して色々な本と出会いたい(小・女)▼読書が生徒の人格形成に必須の一つであると再確認できてよかっ た(A・女)▼「子どもたちに本を」という読書推進も大切だが、子どもと言う前に大人が本を読む必要がある なと強く思った。もちろん私自身も…(中・女)▼学校実地研修でお世話になった先生が大変な読書家で、授業 にもその知識が反映されていて読書の大切さを実感していた。今回その重要性を再認識した(中・女)▼“教科 書から読書へ広げていく”という考えがとても印象的だった。具体的な手法も聞きたかった(小・女)▼「本を 読まない人は自分の経験値からしか物事を考えられないが本を読む人は多くの人の経験値から物事を見ることが できる」との言葉をラジオで聞いたことがある。私も見習って読書に励みたい(小・女) 【演習:読み聞かせ活動等】▼実際に読み聞かせを行ってみてその奥の深さに初めて気付いた。絵本は作者の人 生であり、読む人の人生をより良い方へと変えてくれる力を持っていると感じた(小・女)▼とても素敵な絵本 や本をたくさん知ることができて本当に楽しかった(小・女)▼たかが絵本ではなく、されど絵本!と思いまし た。絵本の奥深さ、読み聞かせのノウハウを教えて頂き今まで以上に絵本に興味を持つことができたグループ討 議も意見を沢山出し合えて良かった(小・女)▼講師の方に大変わかりやすい読み方を教えて頂き、とても勉強 になった。また他の塾生が絵本を読むのを聞いて良い所などがわかり大変充実した時間で楽しかった(小・女) ▼自分が体験したものは身に付くと言われますが、班の仲間と心を込めて本を楽しみ、その本について語り、学 びを共有したことがとても良い時間となった(小・女)▼私が子どもの頃にも母が絵本を沢山読んでくれた。人 前でやるのは大変緊張したが楽しいひとときだった(中・女)▼課題図書を利用して班の塾生と今の不安や悩み なども共有することができ大変良かった(小・女)▼同じ課題図書を巡ってもこんなに違った考えが出てくるの だなと思いつつ有意義な時間を過ごせた(小・女)▼塾生はみんな本好きだなとということを感じた(小・男) 【企業人講演:私の人生】▼ 50 年もの間、企業のトップとして会社を率いてこられたという経験から、さすがに 素晴らしいアドバイスをくださり、目から鱗の一時間だった。高橋社長のお人柄に強く惹かれた(中・女)▼経 営哲学と教職とは関係ないと思っていたが、意外にも通じるところが多々あった。学校も組織であり、一人で出 来ないことは悩まずに相談していくことが組織を盛り上げることにつながる、と考えることができた(中・男) ▼すごく熱い講演で必死で聞いていました。社長さんの経験や考え方から学ばせていただくことが大変多くあっ た。今後の自分の生き方に生かしたい(小・女)▼「素直な心で」というフレーズがとても心に響いた。寛容な 心を持って子どもたちの素直な心を伸ばしていけるよう他人の意見を聞き入れ物事をありのままにとらえられる よう意識していきたい(小・女)▼「素直な心」というキーワードが民間企業の社長さんから出るとは思ってい なかった。将来どんな道を選ぼうとも人の原点は同じだと感じた(小・女)▼人生の大先輩の言葉はとても勉強 になった(小・男)▼「トレンドを見る。三年先を見る」との言葉が印象的だった。私のこれからの目標にした い(中・女)▼自分や家庭を大事にしない人は仕事もできないという言葉にはハッとさせられた(中・男)▼大 変勉強になるお話だった。一人ひとりがプチ坂本龍馬となれるよう教育を行わなければと思った(小・女)▼社 長さんの会社には父親がいつもお世話になっています。今日は貴重なお話を聞かせていただき感謝感激です(小 ・女)▼経営者は本当にシビアに現実を見ておられる。教師も同様、先見対応力を持たねばと思った(小・女) 塾報『千鳥』【第11号】 【名著復刻】 (No.2) シュリーマン『古代への情熱』−シュリーマン自伝−(岩波文庫)より … そこで私は異常な熱心をもって英語の学習に専心したが、このときの緊急切迫した境遇から、私 はあらゆる言語の習得を容易にする一方法を発見した。 この簡単な方法とはまず次のことにある。非常に多く音読すること、決して翻訳しないこと、毎日 一時間をあてること、つねに興味ある対象について作文を書くこと、これを教師の指導によって訂正 すること、前日直されたものを暗記して、次の時間に暗唱すること。私の記憶力は少年時代からほと んど訓練しなかったから、弱かったけれども、私はあらゆる瞬間を勉学のために利用した。まったく 時を盗んだのである。できるだけ早く会話を物にするために、日曜日には英国教会の礼拝にいつも二 回は通って、説教を傾聴し、その一語一語を低く口真似した。どのような使い歩きにも、雨が降って も勿論、一冊の本を手に持って、それから何かを暗記した。何も読まずに郵便局で待っていることは なかった。かくして私は次第に記憶力を強めて、三ヶ月後にははやくもわが教師テイラー氏とタムソ ン氏の前で、何時もその授業時間には印刷された英語の散文二十頁を、もしあらかじめ三回注意して 通読していたならば、言葉通りに暗唱することができた。この方法で私はゴールドスミスの「ヴィカ ー・オヴ・ウェイクフィールド」の全部とウォルター・スコットの「アイヴァンホー」とを暗記した。 過度の興奮のために私はごく僅かしか眠れないので、夜中に醒めているすべての時間を利用して、夕 方に読んだことをもう一度宙で繰り返した。記憶力は書簡より夜は遙かに集中するものであるから、 私はこの夜中に繰り返すことは最も効果があることを知った。私はこのような方法を何人にも推薦す る。このようにして私は半ヶ年のあいだに英語の基礎的知識を我が物にすることができた。 〔解題〕 シュリーマン(1822-1890)はドイツの考古学者。実科中学校を卒業しただけでしたが、 実業家として成功した後、ホメロスの叙事詩に触発され私財をなげうって幻の「トロイア」の発 掘に没頭した。多くの遺跡を発掘して考古学や美術史に大きな業績を残している。その過程で十 カ国語以上の外国語を独学でマスターした。ここに記された彼の英語学習法は読む・聞く・話す・ 書くの四技能を駆使して暗記と繰り返しを徹底して行うという、古典的ながらも基本的で実効性 の高い学習法であり、彼が短期間で英語を習得したのもうなずける。そして、この方法はとかく 安直な手段と方法で外国語を学びたがる傾向のある現代人にも極めて有効な示唆を与えてくれる。 【英語ア・ラ・カルト(1)】 (英語にまつわる話題や表現などを紹介していく新コラムです。ご笑読を。) 東風と西風は東洋と西洋の差…… The West Wind は柔らかく、そして優しく 日本文学では東風(こち)は春を呼ぶ心地よい風として詩歌にもしばしば登場します。夏目漱石には 「東風吹くや山一ぱいの雲の影」と詠んだ一句がありますし、よく知られたものでは菅原道真公の「東風 吹かば匂い起こせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」がありますが、英国ではこの東風に当たるものが 西風です。日本では穏やかな海風を運んでくれる太平洋が東側にあるのに対して、逆に、英国ではその機 能を果たす大西洋が西側にあることがこの差となって出るのでしょう。西風は春を呼ぶ風として楽しまれ、 またギリシャ神話から Zephyr(ゼファ)とも呼ばれ、春の柔らかいそよ風の総称となっているのです。 詩人テニスンには、漁師の妻が爽やかな西風に吹かれながら夫の漁船が寄港するのを念じて子どもを寝 かしつけている様を歌った Sweet and Low という有名な子守歌があります。また「冬来たりなば春遠から じ」(If Winter comes, can spring be far behind ?)で知られる一文も、英国の叙情詩人P.B.シェリーの 名詩 Ode to the West Wind (西風に寄せる歌)の最後の一行から来ています。もっとも日本にも、陰暦2月 15 日の涅槃会(釈迦入滅)頃に吹く西風を「涅槃西風」と呼び、西方浄土からの迎え風とされますが、 この風には春彼岸ごろに寒さがぶり返す冷たさがあります。前号の「編集後記」にも登場しています。 【図書紹介】 車谷長吉『阿呆者』(新書館)平成10年に 【編集後記】 新たな気持ちで新年度を迎えられたことで 直木賞、他に三島由紀夫賞、川端康成文学賞を受賞の しょう。人事の春は去る人と来る人あり。「歳々年々人 姫路市出身作家による初の評論集。絶対作家になると 同じからず」です。本塾も担当が一人変わりました。新 いう強固な意志を持ちつつ、様々な下積みの生活を重 しい担当は伊吹美喜夫です。本塾も今日を含めた必修講 ねながら人間社会の幾多の辛酸を嘗めてきた著者なら 座はあと5回、6月の卒塾を目指して頑張ろう! ではの、味わい深い人間観察と社会戯評が満喫できる。 義仲寺を訪ひて行く春惜しみけり(和)