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2012年7月29日

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2012年7月29日
秋田大学史学会日本近世近代史部会
2012年
2012年7月29日
29日(日)
秋田県下の明治27年総選挙
伊 藤 寛 崇
はじめに
わが国では明治 27年(1894)に2回の衆議院議員総選挙が実施された 。1回目は条約改正問題
をめぐる政府と硬六派( 国民協会・立憲改進党など)の対立激化に伴う解散、2回目は自由党
提出の「 政府弾劾上奏案( 内閣ノ行為ニ対シ本院ノ意志ヲ表明スル件)」の可決( 賛成 153票、
反対139票)に伴う解散によってそれぞれ実施された総選挙である。
明治26年(1893)11月 25日 第5回帝国議会(通常会)開会
11月 28日 鳩山和夫(議員集会所)外2名、「軍艦千島の衝突損害賠償事件
に関する質問書」提出·政府、答弁放置
12月1日 星亨議長不信任上奏案可決(賛成152票、反対126票)
12月4日 同志倶楽部結成
12月 13日 本会議( 秘密会議)で星議員の除名議決( 賛成 185票、反対92票)
·議長に楠本正隆副議長、副議長に安部井磐根勅任
12月 19日 安部井磐根(大日本協会)、「条約励行建議案」提出·停会
12月 29日 「集会及政社法」により大日本協会に解散命令
12月 30日 衆議院解散
明治27年(1894)1月 19日 同志倶楽部、政社組織となり同志政社に改名
1月 24日 公爵二條基弘(貴族院)ら38名、忠告書送付
2月 10日 伊藤首相、貴族院有志に長文の答弁書送付
3月1日 第3回衆議院議員総選挙 (300議席・投票率 88.83%)
·自
由
党
119、立憲改進党
51、国 民 協 会
32、
同志政社
24、同 盟 政 社
19、政務調査所
5、
無
50
所
属
5月9日 立憲革新党結成(同盟倶楽部と同志倶楽部合同)
5月 12日 第6回帝国議会(特別会)開会
5月 16日 伊藤首相、施政方針演説 ·条約励行に反対の意志表明 …①
5月 17日 連合民党、「政府弾劾上奏案(閣臣ノ責任ニ関スル件)」提出 ·
否決(賛成 144票、反対 149票)
5月 18日 自由党、「解散ニ関スル決議案」提出 · 否決(賛成 131票、反対
148票)
-1-
5月 21日 特別委員起草による「現内閣ノ行為ニ対スル本院ノ意志ヲ表明ス
ルノ件」提出 ·可決(賛成253票、反対 17票)…②
5月 31日 自由党、「政府弾劾上奏案(内閣ノ行為ニ対シ本院ノ意志ヲ表明
スル件)」提出 ·可決(賛成153票、反対 139票)
6月1日 楠本正隆議長参内、上奏案奉呈…③
·2日に宮内大臣から口達をもって「衆議院ノ上奏ハ御採用ニ相
成ラス、上奏ニ対セラレテハ別段書面ヲ以テ勅答アラセラレス 」
との御沙汰あり
6月2日 衆議院解散
8月1日 日清戦争開戦 ·自由党・硬六派各党、政府支持の態度表明
9月1日 第4回衆議院議員総選挙 (300議席・投票率 85.07%)
·自
由
党
107、立憲改進党
49、立憲革新党
国民協会
32、帝国財政革新会
無
64
所
属
39、
5、中国進歩党
4、
10月 15日 第7回帝国議会(臨時会)開会
①伊藤内閣総理大臣施政方針演説(明治 27年5月16日)
( 前略)前期衆議院ノ止ムコトヲ得ザルニ立チ至ッタノモ均シク此問題ニ牽連ヲシテ居ルノ
デアリマスル。或ハ政府ト議会ト所見ヲ異ニシタコトハ勿論事実デアルニ相違アリマセヌガ、
此解散ノ止ムヲ得ザルニ出デマシタノハ即チ此厲行法案デアリマス。厲行法案ニ政府ハ最モ
重キヲ置タノデアリマス。厲行法案其者ニ就イテ特ニ重キヲ置クト云フ訳デハアリマセヌガ、
厲行法案ノ出処成立ト云フモノニ遡ッテ見ルト云フト 、即チ非内地雑居尚早論ヨリ起ッタノ
デアリマス(「 ノーノー」ト呼ブ者アリ)。一変シテ以テ厲行法案ト相成ッタノデアリマス
(「 ノーノー」ト呼ブ者アリ )。其一言ハ私ハ間違マシタカラ何時デモ取消シマス 。建議案デ
アリマス。―即チ建議案デアリマス。勿論議会解散ノ止ムヲ得ザルニ出デタコトハ種々ノ事
ガ湊合シテ居リマスルガ、夫レヨリシテ此立法行政ノ衝突ト相成リマシタガ、最モ重キハ厲
行案ニ置イタニ相違ナイ。政府ハ之ニ絶対的ノ反対デアッタ。若シ此建議案ニシテ万一ノ多
数ヲ占ムルニ至レバ其余響ノ及ブ所容易ナラヌコトヽ見タノデアル。(下略)
②現内閣ノ行為ニ対スル本院ノ意志ヲ表明スルノ件(明治27年5月21日)
第五期帝国議会ニ於テ本院未ダ其意旨行為ヲ表発セザルニ当テ政府ガ之ヲ解散シ且ツ其理
由ヲ明示セザルハ立憲的動作ニアラズト認ム 。依テ本院ハ第五期議会解散ニ伴ヘル政府ノ行
為ニ信任ヲ置ク能ハズ。茲ニ之ヲ決議ス。
-2-
目黑貞治(秋田県第1区選出)の反対演説
賛成シナイ理由ヲ述ベマス―ソコデ私ガ間違ッテアルト云フナラ間違ハナイ所ヲ述ベマセ
ウ。十八日ノ決議ニハ修正案ニ対シテ決ヲ採ッテドウデアッタ 、則チ修正案ヲ可トスル者百
三十九、否トスル者百四十九デアリマシタ 。ソレカラ修正ハ否決ナリマシタ。其次ニ原案ニ
対シテ決ヲ採ッタ、其当時ニアッテ原案ヲ否トスル者百三十一名デアリマシタ。可トスル者
ハ…原案ヲ否トスル者ハ百四十八名アリマシタ。可否決ヲ採ッタ時ニ当ッテ過半数ヲ以テ否
決ナッタモノデアリマス。再ビ議場ニ提出セントスルトキハ議院規則ノ許サヌ所ノモノデア
リマス。是ヲ昨日出シタノハ即チ此議会ガ議院規則ヲ濫用シテ居ル故ニ私ハ賛成スルコトハ
出来マセヌ 。モウ一ツハ此修正文デアリマス。此修正文デゴザイマスガ 、先ニ政府ノ行為ハ
不当トシテ茲ニ之ヲ決議スト云フナラ宜シイ 。過去ッテ仕舞ッタモノヲ政府ノ行為ニ信任ヲ
措ク能ハズト云フノハ甚ダ先キノ文章カラ合ハナイノデアリマス。又ろじっくニ合ハナイノ
デアリマス 。故ニ私ハ此二ツヲ以テ賛成スルコトガ出来ヌノデアリマス 。其理由ヲ一言述ベ
マス。
※「衆議院規則 」(明治23年12月1日制定)
第123条
修正案原案共ニ過半数ノ賛成ヲ得ザル場合ニ当リ議院ニ於テ廃棄スベカラザルモ
ノト議決スルトキハ特ニ委員ヲシテ其ノ案ヲ起サシメ会議ニ付スコトヲ得
③「政府弾劾上奏案(内閣ノ行為ニ対シ本院ノ意志ヲ表明スル件)」(明治27年5月31日)
-3-
1、選挙規定
①「衆議院議員選挙法」(明治 22年2月 11日法律第3号)
第六条
選挙人ハ左ノ資格ヲ備フルコトヲ要ス
第一
日本臣民ノ男子ニシテ年齢満二十五歳以上ノ者
第二
選挙人名簿調製ノ期日ヨリ前満一年以上其ノ府県内ニ於テ本籍ヲ定メ住居シ仍
引続キ住居スル者
選挙人名簿調製ノ期日ヨリ前満一年以上其ノ府県内ニ於テ 直接国税十五円以上
第三
ヲ納メ仍引続キ納ムル者
但シ所得税ニ付テハ人名簿調製ノ期日ヨリ前満三年以上之ヲ納メ仍引続キ納ム
ル者ニ限ル
被選人タルコトヲ得ル者ハ 日本臣民ノ男子満三十歳以上 ニシテ選挙人名簿調製
第八条
ノ期日ヨリ満一年以上其ノ選挙府県内ニ於テ 直接国税十五円以上 ヲ納メ仍引続キ納ム
ル者タルベシ
但シ所得税ニ付テハ人名簿調整ノ日ヨリ前満三年以上之ヲ納メ仍引続キ納ムル者ニ限
ル
第十四条
左ノ項ノ一ニ触ルヽ者ハ選挙人及被選人タルコトヲ得ス
一
瘋痴白癲ノ者
二
身代限ノ処分ヲ受ケ負債ノ義務ヲ免レザル者
三
公権ヲ剥奪セラレタル者又ハ停止中ノ者
四
禁錮ノ刑ニ処セラレ満期ノ後又ハ赦免ノ後満三年ヲ経サル者
五
旧法ニ依リ一年以上ノ懲役若ハ国事犯禁獄ノ刑ニ処セラレ満期ノ後又ハ赦免ノ後
満三年ヲ経ザル者
六
賭博犯ニ由リ処刑ヲ受ケ満期ノ後又ハ赦免ノ後満三年ヲ経ザル者
七
選挙ニ関ル犯罪ニ由リ選挙権及被選権ノ停止中ノ者
第三十条
選挙ノ投票ハ 通常七月一日 ニ之ヲ行フ但シ衆議院解散ヲ命ゼラレタルトキハ
勅令ヲ以テ臨時選挙ノ期日ヲ定メ少クトモ三十日以前ニ公布スベシ
第三十四条
投票ハ午前七時ニ始メ午後六時ニ終ル
第三十八条
選挙人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ被選人ノ姓名ヲ記載シ次ニ自己ノ姓名住
所ヲ記載シテ捺印スベシ
第三十九条
選挙人ニシテ文字ヲ書スルコト能ハザル由ヲ申立ツルトキハ町村長ハ吏員
ヲシテ 代書 セシメ之ヲ本人ニ読ミ聞カセ捺印投票セシメ其ノ由ヲ投票明細書ニ記載ス
ベシ
第四十条
第五十一条
一
二人以上ノ議員ヲ選挙スベキ選挙区ニ於テハ連名投票ヲ用ウベシ
左ニ掲グル投票ハ無効トス
選挙人名簿ニ記載ナキ者ノ投票但シ裁判言渡書ヲ所持シタルニ依リ投票シタル者
ハ此ノ限ニ在ラズ
-4-
二
成規ノ用紙ヲ用ヰザルモノ
三
選挙人自己ノ姓名ヲ記載セザルモノ
四
資格ナキ被選人ノ姓名ヲ記載スルモノ但シ連名投票ニ列記スル人員中資格アル者
ニ付テハ其ノ効アルモノトス
五
誤字又ハ汚染塗抹毀損ニ依リ記載スル所ノ選挙人又ハ被選人ノ姓名ヲ認知スベカ
ラザルモノ但シ通常ノ仮名字ヲ用ヰ又ハ誤字ニ係ルモ明ニ其ノ姓名ヲ認知スルコ
トヲ得ルモノハ此ノ限ニ在ラズ
六
第三十八条第二項ニ規定シタル外他ノ文字ヲ記載シタルモノ但シ被選人ノ指名ヲ
誤ラザル為ニ其ノ官位職業身分住所ヲ附記シ又ハ敬称ヲ用ヰタルモノハ此ノ限ニ
在ラズ
第六十六条
議員ノ任期ハ四箇年 トス但シ任期ヲ終リタル後仍選挙ニ応ズルコトヲ得
第六十九条
投票管理ノ町村長ハ投票所ノ秩序ヲ保持シ必要ナル場合ニ於テハ警察官吏
ノ処分ニ付スコトヲ得
第七十条
第七十三条
凡テ戎器又ハ凶器ヲ携帯スル者ハ投票所ニ入ルコトヲ許サズ
投票所ニ於テ秩序ヲ紊ル者アルトキハ町村長ハ之ヲ警戒シ其ノ命ニ従ハザ
ルトキハ之ヲ投票所ノ外ニ退出セシムベシ
※選挙区…小選挙区制 (1人区= 214区,2人区=43区),第1回~第6回
秋田県
第1区(1人)…南秋田郡
第2区(1人)…鹿角郡・北秋田郡・山本郡
第3区(1人)…河辺郡・由利郡
第4区(2人)…仙北郡・平鹿郡・雄勝郡
„ 「改正衆議院議員選挙法」(明治 33年3月 28日法律第73号)
大選挙区制 (1人区= 57区),第7回~第 13回まで
秋田県
秋田市区(1人)…秋田市
郡 部 区(6人)…鹿角郡・北秋田郡・山本郡・南秋田郡・河辺郡・由利郡・
仙北郡・平鹿郡・雄勝郡
„ 「改正衆議院議員選挙法」(大正8年5月 22日法律第60号)
小選挙区制( 1人区=295区,2人区=68区,3人区= 11区),第 14回・第 15回
秋田県
第1区(1人)…秋田市
第2区(1人)…南秋田郡
第3区(1人)…山本郡
第4区(1人)…鹿角郡・北秋田郡
第5区(1人)…河辺郡・由利郡
第6区(1人)…仙北郡
第7区(2人)…平鹿郡・雄勝郡
„ 「改正衆議院議員選挙法」(大正 14年5月5日法律第47号)
-5-
中選挙区制 (3人区= 53区,4人区=38区,5人区=31区),第16回~第21回
秋田県
第1区(4人)…秋田市・鹿角郡・北秋田郡・山本郡・南秋田郡・河辺郡
第2区(3人)…由利郡・仙北郡・平鹿郡・雄勝郡
②「衆議院議員選挙法施行細則」(明治 23年1月9日勅令第3号)
③「衆議院議員選挙法及選挙法施行規則事務取扱及書式等」(明治23年1月17日内務省訓令
第2号)
④「衆議院議員選挙法罰則補則」(明治 23年5月 29日法律第 40号)
⑤「衆議院議員選挙事務及書式」(明治 23年2月 12日秋田県訓令甲第 30号)
⑥「衆議院議員選挙事務取扱心得」(明治27年2月12日秋田県訓令甲第24号)
⑦「衆議院議員選挙事務管理方」(明治 27年2月 12日秋田県内訓第6号)
第二
選挙法第三十七条ニ規定スルガ如ク選挙人ハ選挙ノ当日本人自ラ投票所ニ至リ、選
挙人名簿ノ対照ヲ終テ投票スヘキモノナレバ、選挙人名簿ニ記載セラレタル者投票ヲ為
スノ場合ニ於テハ其投票ヲ拒マサルヲ可トス、其投票ノ効力ハ同法第五十二条ニ依リ選
挙長ノ決定スル所ニ依ルモノトス、又選挙法第十四条ニ依リ選挙人タルコトヲ得ザル者
ニシテ投票ヲ為シタルトキハ、同法第百条ニ依リ処罰セラルベキモノナレバ投票ニ際シ
投票所管理者ニ於テ注意ヲ与フルハ妨ゲナシ
⑧「衆議院議員選挙監督官及管理要項」(明治27年2月 12日秋田県内訓第7号)
第四
監督方法ニ付一二例ヲ挙グレハ左ノ如シ
一、選挙法第三十九条ニ依リ代書吏員代書スルトキハ監督者ニ之ヲ示サシムルヲ要シ、
而シテ監督者ハ代書吏員ニ於テ同音異字ヲ用ヰ其他申立ト異ナリタル事項ヲ記載ス
ル等ノコトアリト認メタルトキハ(時宜ニ依リ該選挙人ノ意思ヲ確メタル上)、代書
吏員ヲシテ訂正セシムル様第五項ノ意ヲ示シテ投票所管理者ニ命令若クハ注意スル
ヲ要ス、而シテ右ノ命令若クハ注意アルニモ拘ハラズ強テ不都合ノ記載ヲ為シタルト
キハ監督者ハ之ヲ自己ノ記録ニ留メ置クヲ要ス
二、選挙法第四十三条ニ規定スル投票明細書ノ記載方ニ付事実ノ相違脱漏等アリト認ム
ルトキハ 、監督者ハ投票所管理者ニ命令若クハ注意スルヲ要ス、而シテ右ノ命令若ク
ハ注意アルニモ拘ハラズ尚不都合ノ記載ヲ為シタルトキハ、監督者ハ之ヲ自己ノ記録
ニ留置クヲ要ス
第六
投票所管理者欠員トナリタルトキ又ハ投票所管理者ニシテ代理ヲ命スルコトヲ得
ザルノ事故ニ遭遇シタルトキハ 、選挙管理者ニ於テ施行規則第三十条ニ準ジ其市町村ノ
附属吏員中ニ就キ其事務ニ最モ適当ナル者ヲ択ビ投票所管理者代理ヲ命スベキモノトス
第二十四
本年本月内訓第六号選挙事務管理者ノ旨趣ハ選挙長及選挙監督者ニ於テ之ガ
厳行ヲ為サシムルニ付注意スルヲ要ス
⑨「選挙監督官心得 」(明治27年2月制定)
六、監督官ハ帰庁ノ翌日復命書ヲ呈示スベシ
但郡書記監督官タルトキハ郡長ニ於テ其復命書ヲ取纏ヒ差出スモノトス
七、前項ノ復命書ニ記載スベキ要項概ネ左ノ如シ
-6-
一、投票所発着ノ日時
一、投票所ノ状況及其出来事
一、内訓第六号第二項ノ事項
一、内訓第七号第四項ノ事項
一、内訓第七号第六項ノ事項
一、内訓第七号第二十四項ノ事項
一、選挙長ヘ即報シタル事項
一、其他必要ナル事項
十一、監督官ハ臨監投票所当日ノ景況ヲ具シ即日知事ヘ内申スヘキ事
但異状アルモノハ電報ヲ以テス可ク又県庁近接地ニシテ帰庁ノ上直ニ復命スルヲ便ト
スルモノハ書面ヲ要セズ
2、第3回衆議院議員総選挙
Ⅰ、『秋田魁新報』に見る選挙戦の実態
●争点
政府が推進する条約改正路線( 内地雑居)に賛成か反対か 。反対する勢力は対外硬路線
を掲げて民党と吏党の大連合=硬六派( 国民協会・立憲改進党など)を形成した。その
ため従来の吏党対民党の構図が崩壊した中で総選挙を迎えることになった。
●候補者の選定…二田是儀(第1区)は引退、荒谷桂吉(第2区)は不出馬
1月 12日 第1区 10日、南秋田郡土崎港町武田亭で秋田市・南秋田郡有志 50余名が
会合し、大久保鐵作 を候補者に決定
1月 21日 第4区 18日、横手町で候補者予撰会を開き、前代議士坂本理一郎・ 武石
敬治を候補者に決定
1月 23日 第2区 過般、能代港町で評議の結果、前代議士荒谷桂吉辞退により 横山
勇喜を候補者に決定
1月 31日 第3区 27日、本荘町で由利郡有志大会を開き、前代議士 野出鋿三郎 を候
補者に決定
1月 31日 第1区 前代議士目黑貞治、候補者に決定
同志倶楽部…大久保鐵作、横山勇喜、野出鋿三郎、坂本理一郎、武石敬治
独立倶楽部…目黑貞治
国 民 協 会…成田直衞
自
由
党…佐藤三次
●第2区の形勢
・『秋田魁新報』明治 27年2月 16日
米代川向岸の人民は素と質朴にして第一期撰挙以来敵党の脅迫籠絡のため本心を抂
-7-
げたる寡なからざりしも、今度は民党の運動公明正大なるに感じ帰順せるもの陸続
堪へず中正党は例の特得手段を以て撰挙人を誘ふのみならず、暴客を使役して質朴の
撰挙人を脅迫する等言語に堪へたり。八ツ森部面は本向大三郎、茂呂澤萬右衞門、
旧番主等運動し茂呂澤の如きは所刑僅かに了へ未だ監視中なるにも拘らず東奔西走
寸暇なきものゝ如し。駐在○○亦暗に中正党に加担し其運動に便宜を与ふる寡なか
らずと云ふ。
・『秋田魁新報』明治 27年2月 22日
塙川村通信
同村は県内有名の実業家髙杉保三氏の居村にして 、第一期撰挙の際は中
正党の領分なりしも一昨年に至り同村有力者は敵党運動の卑劣なるに憤慨し、五六人
を除くの外悉く民党に帰順せる土地なるに拘らず、今回は敵党死物狂となり同村に闖
入し謀計術策至らざる所なく日々七八の仲買的運動者縦横に駆け廻り居るより 、髙杉
氏は従来表面上政治運動を見合せ居たるも彼等の卑劣手段を目撃して大に激昂し村内
を遊説して正義を説き 、本月十八日民党大懇親会を開き大に気焔を吐きて反対者の肝
胆を寒からしめたり。当日は能代川の凍氷融解川支となり前日は溺死者ありし程なれ
ば同村有志者は民党本部より出会ならざるものと思ひ居りしに 、午後一時川村養助氏
は薄氷を踏み危険を冒して臨席せるに因り会合者の喜び一方ならず、川村氏は一場の
談話を為して満腔の熱血を灑ぎ大に来会者を感奮せしめたり。石川部面は有名の老農
嶋田慶吉氏采配を採りて同部面に防禦線を張り居るが故敵党如何に手段を廻すも同
地に八方敵を容るべき寸分の余地なし。
(『 秋田魁新報』明治27年2月3日)
●終盤の情勢…『秋田魁新報』明治 27年2月27日
第1区…大久保優勢、目黑劣勢·金略主義を以て撰挙区民を誤魔化し、僅かに其虚勢を
保つも例の中正党が声援を仮るに過ぎず 、男鹿の根拠地大に動き五十目・土崎
-8-
・秋田市地方は全然無勢力とも云ふべき程なり。
第2区…横山優勢、成田劣勢 ·従来吏党の肱股と頼みたる鹿角郡の形勢全く一変して同
志派に属し、山本郡の本拠地亦大半陥り、北秋田郡は素より同志派の本城なれ
ば彼れをして一歩も侵入せしめず、唯だ鷹巣地方の一部落のみ僅かに残塁を保
てり。
第3区…野出優勢
事実上の信任投票
第4区…坂本・武石優勢
Ⅱ、選挙結果…秋田県公文書館所蔵『衆議院議員選挙事務簿 』( 930103-10148)
●投票結果
選挙区 有権者数 失権者数 当 日 有 権 者 数 投票者数 棄権者数 投票率
前回投票率
無 効
第1区
1,280
37
1,243
1,167
76 93.89
94.19
-0.30
1
第2区
1,731
83
1,648
1,544
104 93.69
94.50
-0.81
9
第3区
2,054
103
1,951
1,785
166 91.49
96.25
-4.76
8
第4区
2,910
127
2,783
2,178
605 78.26
92.51 -14.25
4
計
7,975
350
7,625
6,674
951 87.53
94.16
県
-6.63
22
●開票結果·第2区は激戦区となった。
選挙区
候
補
者
政
党
新旧 得票数 得票率 惜敗率
第1区 ◎ 目 黑
大久保
目 栗
貞
鐵
貞
治
独立倶楽部
作
同志倶楽部
治ほか
新
新
776
386
4
66.6
33.1
0.3
第2区 ◎ 横
成
大
山
田
里
勇
直
喜
同志倶楽部
衞
国民協会
壽ほか
新
元
789
729
22
51.2
47.3
1.4
第3区 ◎ 野
佐
鈴
出
藤
木
鋿三郎
同志倶楽部
三 次
自 由 党
藤四郎ほか
前
新
1,342
378
58
75.5
21.3
3.3
第4区 ◎ 坂 本
◎武 石
河原田
大日向
理一郎
同志倶楽部
敬 治
同志倶楽部
次 亮
作太郎ほか
前
前
新
1,975
1,945
110
307
45.5
44.8
2.5
7.1
-9-
前回得票数
49.7
132
379
+644
+7
92.4
521
677
+268
+52
28.2
652
399
+690
-21
2,411
1,558
5.7
59
1,255
-436
+387
+51
-948
再選議員…野出鋿三郎・坂本理一郎・武石敬治
新人2人当選…目黑貞治・横山勇喜は秋田県会議員
各党議席数…同志倶楽部4議席、独立倶楽部1議席
各党得票率…同志倶楽部 73.0%、国民協会 8.3%、独立倶楽部8.8%、自由党4.3%
Ⅲ、復命書に見る選挙状況…秋田県公文書館所蔵『衆議院議員選挙事務簿 』
( 930103-10147)
◆3月1日、南秋田郡書記今井恭吉(南秋田郡外旭川村)
外旭川村投票所投票監督ノ義ニ付内申
二月廿八日外旭川村投票所管理者村長石川旧治ヲ伴ヒ、其投票場ト指定セル外旭川村尋
常小学校ニ臨ミ投票場ニ関スル諸般ノ事務ヲ整理セリ。抑々本村ニ於ケル選挙人ハ其数
六拾五人ニシテ本郡内尤一ノ処ニ有之、且ツ選挙人ノ方針モ一定セサルノ傾キアルカタ
メ目黑 、大久保ノ両派トモ互ニ掌中ニ入レントスルノ有様ニシテ、其状況恰カモ両虎ノ
争肉ノ如キ観アレハ其競争モ随テ激烈ニ渉ルヘシト考ヘ 、尤モ選挙人間ニ注目セルニ選
挙人間ハ意外静穏ノ姿ニシテ時々二三壮士輩ノ各部落ニ往来スルヲ見ルノミ。然ルニ仝
夜十一時頃大久保派ノ壮士輩ハ本村選挙人佐藤福太郎ヲ( 佐藤福太郎ハ目黑貞治ノ実家
金足村伊藤昌一ノ分家ニシテ本村ニ於テ目黑貞治ノタメ奔走周施セルモノト聞ク )殴撃
セントスルノ計企アルヲ聞キタル趣キニテ、目黑派ノ壮士拾名許ハ佐藤福太郎ノ居宅ニ
駆付ケタリトテ土崎警察署詰巡査渡邊典藏保護ノタメ出張セルモ 、佐藤福太郎ノ居宅ニ
ハ単ニ目黑派ノ壮士五六輩ノ居ルノミニシテ大久保派ノ壮士ハ隻影ヲ認メスシテ無事
該夜ヲ徹セリ。
Ⅳ、中央の動向
●政府による大規模な選挙干渉は行われなかったが 、藩閥与党として出発したはずの国民
協会に対しては圧迫が加えられた ·解散前69議席から32議席に激減した
●硬六派に属さなかった自由党のみが政府の目下の敵対者とは看做されずに干渉の対象
外とされたために大きく議席を伸ばした。
●解散前後から緊密な関係にあった同盟倶楽部と同志倶楽部は5月9日に合同して 立憲
革新党 を結成した·横山勇喜・野出鋿三郎・坂本理一郎・武石敬治参加
綱領…①立憲の聖旨を奉じ国民の公議に則り上皇室の尊栄を保全し下人民の権利を伸
張す
②政界を革新し責任内閣の速成を期す
③財政を整理し始めて民業の発達を図る
④外政は自主的方針を執り国威の宣揚を期す
⑤国防は内外の緩急に応じ其整備を図る
民党の一翼として政府の内外政策には批判的立場を取ることを強調
3、第4回衆議院議員総選挙
Ⅰ、選挙戦の実態…『秋田魁新報』が欠号期間のため詳細不明
●争点
政府の政権運営に対して賛成か反対か。自由党・硬六派は政府に反対の立場で選挙戦に
- 10 -
臨んだものの、日清戦争の開戦によって政府支持の態度を表明したため争点が曖昧とな
った。
●『御代弦日誌』明治 27年9月1日
衆議院議員撰挙投票ヲ施行ス。
今回ハ従来ト違ヒ、議員候補者ハ各派協議ノ上合同予定シタルヲ以テ競争ナク、依テ取
締ノ必要ナク、為ニ第二区ニ限リ県官ノ派出ナク、唯タ役所ヨリ六名ノ郡書記ヲ出張
セシメタルノミ。
·第2区では日清戦争開戦に伴う挙国一致の現れから事実上の信任投票となった。
Ⅱ、選挙結果…秋田県公文書館所蔵『衆議院議員選挙事務簿 』( 930103-10149)
●投票結果
選挙区 有権者数 失権者数 当 日 有 権 者 数 投票者数 棄権者数 投票率
前回投票率
無 効
第1区
1,296
25
1,271
1,168
103 91.90
93.89
-1.99
3
第2区
1,810
29
1,781
1,328
453 74.56
93.69
-19.13
4
第3区
2,057
28
2,029
1,762
267 86.84
91.49
-4.65
4
第4区
2,898
47
2,851
2,671
180 93.69
78.26 +15.43
2
計
8,061
129
7,932
6,929
1,003 87.36
県
87.53
-0.17
13
●開票結果·第1区・第3区・第4区は激戦区となった。
選挙区
候
補
者
政
党
新旧 得票数 得票率 惜敗率
無 所 属
立憲革新党
前
新
新
632
531
2
54.2
45.6
0.2
直 衞
国民協会
勇 喜
立憲革新党
直兵衞ほか
元
前
1,259
43
22
95.1
3.2
1.7
第3区 ◎ 橋 本 平左衞門
立憲革新党
野 出 鋿三郎
立憲革新党
橋 本 兵左衞門ほか
新
元
942
761
55
53.6
43.3
3.1
第4区 ◎ 坂 本
◎沼 田
武 石
伊 藤
河原田
前
新
前
新
1,807
1,541
1,472
160
346
33.9
28.9
27.6
3.0
6.5
第1区 ◎ 目 黑 貞 治
大久保 鐵 作
石 川 理紀之助
第2区 ◎ 成
横
成
田
山
田
理一郎
宇源太
敬 治
直 純
次 亮ほか
立憲革新党
立憲革新党
立憲革新党
立憲革新党
- 11 -
前回得票数
776
386
-144
+145
729
789
+530
-746
80.8 1,342
-581
84.0
0.3
3.4
1,975
-168
18 +1,523
95.5 1,945
-473
10.4
再選議員…目黑貞治・坂本理一郎
新人2人当選…橋本平左衞門・沼田宇源太は秋田県会議員
各党議席数…立憲革新党3議席、国民協会1議席、無所属1議席
各党得票率…立憲革新党 75.8%、国民協会 13.2%
Ⅲ、復命書に見る選挙状況·秋田県公文書館所蔵『衆議院選挙事務簿 』( 930103-10146)
◆9月1日、南秋田郡書記石井忠良(南秋田郡外旭川村)
投票処状況内申
南秋田郡外旭川村ニ於テ本日定刻ヨリ投票執行候処、総数六十五票ノ内六十二票ハ正午
十二時ニ至リ終了シ、残リ三票ハ投票函閉鎖時限ニ至ルモ投票セス、終ニ棄権セリ 。而
シテ本村ニ於テハ競争ノ運動稍々激烈ノ状ヲ現シ 、投票人投票処ニ至ル途中車夫体ノ暴
漢四五名ヲシテ其前後ヲ囲繞セシメ、各手ニ棍棒ヲ携帯シ甚タ危険タルカ如キ感アリト
雖トモ 、敢テ又他ニ暴行脅迫ヲ加フニアラス。唯巳カ定約セル投票者ヲ安穏ニ投票処ニ
護送スルノ目的ニ過サルモノヽ如シ。而シテ投票者減少スルニ従ヒ漸次平穏ニ帰シ 、正
午十二時ニ至リ之レ等暴漢東西ニ解散セリ。尤モ土崎警察署巡査二名之ノ地ニ出張シ一
名ハ投票処ニ臨警シ、一名ハ投票処外万一ノ暴行警戒ニ従事シ敢テ異状ナク結了候条、
此段及内申候也。
◆9月2日、秋田県属田村精伯(平鹿郡増田村)
復命書
今般衆議院議員選挙監督トシテ第四区選挙区内増田村投票所ヘ臨監ヲ命セラレ、客月二
十九日出発仝三十一日仝所ニ至リ直ニ役場ヘ出頭投票所準備ノ如何ニ就キ村長ヘ協議
シタルニ、洪水被害ノ為メ寺院学校等相当場所ナキ趣ニ依リ不得止役場ヲ以テ投票所ニ
充テ別紙甲式ニ準ジ舗設セシメタリ。本月一日規定ノ時限前投票所ヘ出頭シタルニ管理
者及立会人等参会シ投票時限ノ至ルト仝時ニ管理者ハ立会人ト共ニ選挙人ノ面前ニ於
テ投票函ノ空虚ナルコトヲ示シ併セテ第一蓋ノ錠ヲ卸シタル後到着番号ノ順序ニ依リ
選挙人ニ定式ノ用紙ヲ交付シ漸次投票セシメタリ 。本村ニ於ケル選挙人ハ惣計五十二名
ニシテ内自書投票ヲ為シタル者二十五名 、代書投票ヲ為シタル者三十三名、棄権シタル
者四名ナリトス 。而シテ参会選挙人中田中庫藏ハ文字ヲ書キ得サル旨申立テタルニ依リ
代書吏員記載ノ際管理者ハ被選人ノ姓名ヲ尋ネタルニ沼田、又ハ沼川、又ハ坂本喜一郎
ト申立テ其意判明セサルニ依リ管理者ニ注意シ再三其意思ヲ確メシメタルモ結局他ノ
一名ニ対スル其姓名ヲ口述シ得サルヲ以テ単ニ坂本喜一郎ノ一名ヲ記入シ投票セシメ
タリ。且又文字ヲ読ミ得サル代書投票者中多クハ被選人ノ姓名ヲ記シタル片紙ヲ携帯シ、
私ニ代書吏員ニ交付スルヲ認メタルニ依リ厳重管理者ニ注意シ悉ク制止セシメタリ。要
スルニ該片紙ハ紙質及其筆蹟等各自ノ記載シタルモノニアラスシテ、全ク候補者ノ配付
シタルモノト視認セリ。而シテ本村ハ(仝主義)武石、沼田ノ両派ニ分裂シ陰ニ陽ニ一
時ハ競争ノ熱度ヲ嵩メタルモノヽ如シト雖モ、選挙当日ハ敢テ異状ナク午後六時管理者
ハ閉場ノ旨ヲ告ケ直ニ投票函ヲ閉鎖シタリ。
但投票函ハ翌二日午後第七時管理者先ニ立会人二名、警官弐名付添選挙管理仙北郡役所
- 12 -
ヘ発送セリ。
右選挙当日ノ概況ヲ具シ此段一応及復命候也。
·明治 32年の県会議員選挙でも見られたように、有権者の低識字率の実態が明らかと
なり 、無効投票を生み出す一因となった。また、代書投票は本人に読み聞かせて捺印
投票したことから選挙結果に有権者の意思( 秘密・中立性)が正確に反映されたもの
であったとは言い難い。
選挙区 有効投票数
第1区
第2区
第3区
第4区
県
計
1,165
1,324
1,758
2,669
自書投票
809
411
476
992
69.4
31.0
27.1
37.2
6,916 2,688 38.9
代書投票
356
913
1,282
1,677
30.6
69.0
72.9
62.8
※秋田市·自書49/代書6
4,228 61.1
Ⅳ、水害と総選挙
●南秋田郡内川村では8月 30日からの大雨のため未曽有の大洪水となり、選挙期日を1週
間延期して9月8日に投票が行われた。
衆議院議員選挙投票執行停止ノ義ニ付上申
本日ハ衆議院議員選挙期日ニ付 、兼テ諸般ノ準備ヲ整ヘ規定ノ通リ午前七時ヨリ投票所
ヲ開キタルモ、投票所々在部落ノ選挙人一人参会セルノミニシテ、其他一人ノ参会スル
モノ無之。然ハ一昨卅日夜以来ノ強雨ノタメ部落間ニ通スル橋梁流失通行遮断ノタメ参
会モ能ハサルモノト認メ候条、選挙法施行細則第二十六条ニ依リ其執行ヲ止メ此段及上
申候也。
明治廿七年九月一日
南秋田郡内川村長
印
工藤善伍左衞門□
秋田県知事平山靖彦殿
●1週間遅れの投票となった内川村では大久保派と目黑派の大規模な選挙戦=騒擾が展開
された ·南秋田郡書記石井鎭之助の復命書(9月 10日)
一、投票所ノ状況及其出来事
前述ノ如ク本区域内ニ於ケル両派ノ競争ハ頗ネ激烈ニシテ、大久保派ニ於テ五十目村旅
廛石山方ヲ根拠トシ、去ル一日ノ投票執行停止セシヨリ各選挙人ヲ石山ニ誘ヒ以テ自派
ノ投票ヲ得ントス。目黑派ニ於テモ本村浅見内工藤祐治 、工藤喜市宅ヲ根拠トシ、是以
テ各選挙人ヲ引カントス 。而シテ両派互ニ運動ノ烈シキヲ加フルニ及ビ壮漢十数名ヲ雇
入レ運動ノ補助ヲ為サシム。斯クテ期日切迫シ七日ノ夜ニ至リ大久保ノ壮士永井喜久治、
籠谷定雄等壮漢ヲ率ヒ工藤祐治ヲ訪フテ勧誘ヲ試ミントシタルニ 、祐治ノ壮漢等之ヲ防
- 13 -
ガントス。各棍棒ヲ携ヒ闘争セントシテ該夜尤モ騒擾ヲ極メタリ。然レドモ警官視察ノ
周密ナルヲ以テ椿事ヲ牽キ起サズシテ弭ミタリ。
翌八日ハ投票ノ当日ナルヲ以テ管理者ニ於テ投票所危険ノ虞アリト認メ、予ジメ警官ノ
出張ヲ請求シ場内ノ諸準備ヲ整ヒ各選挙人ノ出頭ヲ待ツ居タルニ 、午前十時卅分ニ至リ
大久保派ノ選挙人十七名袂ヲ連ネ打揃フテ石山ヨリ壮漢百数十名ニ護衛セラレ列ヲ為
シテ来ル。投票所ニ到ルヤ右壮漢ハ役場近傍ノ民家ニ投ジ場外少シモ喧囂ノ状ヲ呈セズ。
併シ街道ニ佇立シ居ル幾多ノ群集アルハ投票所当日ノ状況ヲ観ントテ参集セル人々ナ
リキ。右十七名ノ選挙人投票ヲ終フルヤ暫クアリテ目黑派ノ選挙人二名ハ警官ニ擁護セ
ラレ出頭シ孰レモ無事投票ヲ執行セリ。
大久保派ノ選挙人出頭ノ途中大手ノ仮橋ニ於テ目黑派ノ壮漢六七名斗リ出来リ暴行ヲ
加ヘントシタルヲ警官ノ保護ニ依リ衝突ノ難ヲ免レタリト云フ。
Ⅴ、中央の動向
●日清戦争の開戦により政局は一変し、政府党も反対党も挙国一致政府を援助して戦争目
的の達成に専念するに至った·大多数は前議員が再選され、党派別もほぼ同じ結果とな
った。
● 10月 18日に大本営が設置されている広島の西練兵場内の仮議事堂で開会した第7回帝
国議会(臨時会)では、各党とも内政に関する責任問題の追及はしばらく中止すること
とし、戦争関連法案が全会一致で成立した。
●自由党劣勢 ·議長には立憲革新党の楠本正隆、副議長には立憲改進党の島田三郎、とも
に硬六派議員が就任した。
4、成田直衞の選挙戦
Ⅰ、成田直衞の生涯(嘉永元年(1848)9月8日~大正7年(1918)12月 29日)
①出羽国秋田郡鷹巣村(現北秋田市)の大地主成田良左衞門の次男
として誕生
②戊辰戦争で南部方を切り崩し、その功績により藩主より刀一振を
賜る
③明治6年に上京、福澤諭吉・細川潤次郎の門下生となる
④明治12年2月 、第1回秋田県会議員に当選し 、初代県会議長とな
る ·3期議長を務める(~明治16年4月)
⑤明治19年9月、第6代山本郡長に就任(~明治 23年2月)
⑥明治22年 10月、秋田中正党を組織
⑦衆議院議員に当選…第1回・第4回・第7回・第8回(4回)
⑧明治31年2月、秋田農工銀行設立 ·明治 43年、頭取に就任
⑨明治32年7月、国民協会を解散して帝国党を組織、代議士会長となる
⑩業績…秋田鉱山専門学校の誘致、雄物川改修、船川鉄道敷設運動、県育英会創設など
- 14 -
Ⅱ、選挙戦
※村瀬信一氏「『 成田直衞日記』にみる明治期の総選挙」
·『成田直衞日記』から第1回から第3回までの選挙戦を分析
●第3回総選挙…出馬に当たって2度の総選挙で家財を傾けたことから、成田の親類は当
初から不賛成であった。ただ横山勇喜に対抗し得る相手が見つからず、鹿角の領袖勝又
平太郎に出馬を期待するしかなかったが 、最終的に三度の出馬を決意した。成田の所属
する国民協会と横山が所属する同志倶楽部は中央レベルで協調関係にあったため 、両陣
営の争点は甚だ不明瞭の様相を呈した。選挙の結果、成田は60票差で敗北した。
●第4回総選挙…対立候補が立たず事実上の信任投票となり、2回目の当選を果たした。
„
成田の選挙戦
a候補者個人に多大な出費を強いるものであった·第1回総選挙当時の地租納税額は 847
円で、第4回総選挙当時の約413円に比べてほぼ半減している。地券記載地価17,360円
分の土地が消耗されたことになる。
b資金投入の割には得票を得ていない · 秋田県第2区の有権者の投票行動が固定的であ
ったといえるのではないか。
c中央政界と地方政界の乖離 · 初期議会の民党対吏党の対立図式が崩れた第5議会解散
後の第3回総選挙でも秋田県第2区では依然として民党対吏党と枠組みで選挙が行わ
れていた。
·日記・書簡などから第4回総選挙以降の選挙戦の実態について検討する必要があると思
われる。
5、大久保鐵作の選挙戦
Ⅰ、大久保鐵作の生涯(嘉永5年(1852)11月 20日~大正10年 (1921)7月5日)
①久保田藩士俳人大久保盛実の長男として秋田郡秋田中谷地町( 現
秋田市中通)で誕生
②藩校明徳館に入学して根本通明から漢学を学ぶ
③新聞社生活…明治8年に上京して「 朝野新聞 」に入社、その後「 熊
新聞」主幹、明治 15年1月に「秋田遐邇新聞」を譲り受け改題し
て、
「 秋田日報」主幹となる ·明治22年2月、
「秋田魁新報」発刊
④明治17年2月、第4回秋田県会議会選挙で初当選·明治 31年8月
まで8回当選、2期議長を務める( 明治18年12月~明治 21年4月)
⑤衆議院議員に当選…第6回・第8回(2回)
⑥秋田市長に就任(第5代・第6代、明治 39年8月 15日~大正5年8月 14日)
⑦業績…秋田市上水道敷設 、秋田市庁舎新築、秋田鉱山専門学校設置 、久保田藩第12代藩
主佐竹義堯公の銅像建立
Ⅱ、選挙戦
a第1回総選挙以来、民党の立場から連続出馬したものの中央政界へ進出するまで実に
- 15 -
14年の歳月を要した。
b明治30年11月、大久保は進歩党を離党して「東北同盟会」を組織·第6回総選挙で初当選。
cその後 、立憲政友会に所属·第8回総選挙で当選するものの代議士在職期間は2期約5
年余であった。
·大久保の選挙戦については不明な部分が多い。苦戦を強いられながらもなぜ連続出馬す
ることが出来たのか、支持基盤・選挙費用等について解明する必要がある。
6、その後の総選挙の結果
·4年後の明治 31年には再び1年に2回の総選挙が実施された。
Ⅰ、第5回衆議院議員総選挙
● 進歩党 の結党(明治 29年3月1日)
立憲改進党・立憲革新党・大手倶楽部・帝国財政革新会・中国進歩党などが合同して
大隈重信を事実上の党首として代議士99名で結成された 。進歩主義に立つことを宣言し
責任内閣の完成・国権拡張・財政整理を政綱として掲げた。第二次松方正義内閣では与
党となって金本位制確立のための貨幣法案や戦後経営関連諸法案などを成立させた。
●衆議院解散…明治30年12月25日 、第二次松方内閣不信任決議案上程に対抗して解散 、同
時に松方首相は辞表を奉呈した。
●争点…地租増徴に賛成か反対か 。解散時に第1党であった進歩党( 86議席)と第2党の
自由党(82議席 )が政権参入のためどれだけ議席を獲得出来るかが焦点の1つであった。
●投票結果…秋田県公文書館所蔵『衆議院議員選挙事務簿 』( 930103-10152)
選挙区 有権者数 失権者数 当 日 有 権 者 数 投票者数 棄権者数 投票率
前回投票率
無 効
第1区
1,268
57
1,211
1,153
58 95.21
91.90
+3.31
3
第2区
1,828
88
1,740
1,658
82 95.29
74.56 +20.73
5
第3区
1,835
94
1,741
1,659
82 95.29
86.84
+8.45
6
第4区
2,844
205
2,639
2,092
547 79.27
93.69 -14.42
12
計
7,775
444
7,331
6,562
769 89.51
87.36
26
県
+2.15
●開票結果·第1区・第2区は激戦区となった。
選挙区
候
補
第1区 ◎ 北 島
大久保
目 黑
太 田
者
政
党
傳四郎
進 歩 党
鐵 作
東北同盟会
貞 治
自 由 党
政 光ほか
- 16 -
新旧 得票数 得票率 惜敗率
新
新
前
478
408
260
4
41.6
35.5
22.6
0.3
85.4
54.4
前回得票数
531
632
-123
-372
山
田
山
雄 三
進
直 衞
進
雄治郎ほか
歩
歩
党
党
新
前
904
738
13
54.6
44.6
7.9
81.6 1,259
-521
第3区 ◎ 須 藤
大日向
佐 藤
善一郎
進
作太郎
進
三 次ほか
歩
歩
党
党
新
新
1,376
265
9
83.4
16.1
0.5
19.3
24
+241
第4区 ◎ 沼
◎武
榊
坂
宇源太
進
敬 治
進
淸兵衞
進
理一郎ほか
歩
歩
歩
党
党
党
前
元
新
2,039
1,983
39
108
48.9
47.6
0.9
2.6
1,541
1,541
+498
-442
第2区 ◎ 畠
成
畠
田
石
田
本
2.0
再選議員…沼田宇源太
新人3人当選…北島傳四郎は横浜地方裁判所判事、畠山雄三・須藤善一郎は秋田県会
議員
各党議席数…進歩党5議席独占
各党得票率…進歩党 90.7%、東北同盟会4.7%、自由党 3.0%
●秋田1区開票結果
市 町 村 ◎ 北 島 傳四郎 大久保 鐵 作 目 黑 貞 治
(進 歩 党) (東北同盟会) (自 由 党)
秋 田 市
2
45
0
土崎港町
飯 島 村
27
15
9
一日市村
26
0
0
面 潟 村
37
1
4
五城目村
6
12
0
富津内村
0
29
0
内 川 村
9
7
3
馬 川 村
8
12
2
馬場目村
3
22
1
船 越 村
天 王 村
15
10
4
脇 本 村
20
4
18
船川港町
南 磯 村
1
0
29
男鹿中村
0
0
17
北 磯 村
戸 賀 村
7
3
14
五里合村
16
7
15
寺 内 村
川 尻 村
0
28
0
広山田村
8
33
8
太 平 村
25
32
1
旭 川 村
2
37
16
外旭川村
26
16
16
上新城村
18
14
5
下新城村
32
5
12
金 足 村
49
0
2
豊 川 村
12
0
3
大久保村
18
1
2
飯田川村
35
0
26
上井河村
13
10
13
潟 西 村
28
19
0
下井河村
25
9
23
払 戸 村
0
23
13
大 川 村
10
14
4
478
408
260
総
計
●選挙戦 ·秋田県公文書館所蔵『衆議院選挙事務簿 』(930103-10153)
選挙戦では壮士なるものが白昼公然と武器や凶器を携帯して横行し、恐喝や暴行を加え
- 17 -
る事件が多くなって来たことから、その取り締まり強化のために「議員選挙ニ就キ人ヲ
殺傷スヘキ物件携帯禁止ノ件」(明治31年2月8日勅令第 21号)を発布して、選挙運動員
の武器・凶器の携帯を禁止した 。そのため大規模な選挙戦=騒擾は見られなかった 。な
ほこの勅令は選挙後の第 12回帝国議会( 特別会 )において『大日本帝国憲法』第8条第
2項「 此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ
政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ」の規定により 、貴族院では承認を
与えたものの、衆議院では出席議員が定足数に満たなかっため議決に至らず失効した。
●各党獲得議席数
自由党 98議席、進歩党94議席、国民協会 22議席、鹿児島政友会7議席、
公同会6議席、新自由党2議席、東北同盟会2議席、無所属69議席
Ⅱ、第6回衆議院議員総選挙
● 憲政党 の結党(明治 31年6月22日)·巨大与党の誕生
板垣退助の自由党と大隈重信の進歩党が第6回衆議院議員選挙に備えて藩閥政府に反
対するために合同して結成した 。
「政党内閣の樹立」地方自治の発達 」
「通商貿易の拡大」
「産業・鉄道の充実」
「国力に見合った軍備増強」
「財政基盤の確立」
「 教育の発達 」
「皇
室及び憲法の擁護」「文官任用令廃止」などを綱領として掲げた。第一次大隈重信内閣
=隈板内閣の与党となり総選挙では263議席を獲得したが、尾崎行雄文相の共和演説事
件を機に旧自由・進歩両派の対立が激化し、結成からわずか5カ月余で分裂した·10月
29日に旧自由派は新たに憲政党を、11月3日に旧進歩派は憲政本党を結成した。
●衆議院解散…明治31年6月10日 、地租を地価の 2.5%から 3.7%とする地租増徴法案の否
決(賛成27対反対247)に伴い、政府はただちに解散した。伊藤首相は地租増徴に好意
的である実業家層を結集した一大政党結成の計画を立て 、自ら首相兼政党の党首になる
ことを画策した 。それに対しては山縣有朋・山縣系官僚を中心に強い反対があり、新党
結成の見通しが立たなくなった第三次伊藤内閣は6月25日に総辞職した。
●争点…隈板内閣に対する信任投票 ·藩閥支持の国民協会は衰退した。
●投票結果…秋田県公文書館所蔵『衆議院議員選挙事務簿 』( 930103-10154)
選挙区 有権者数 失権者数 当 日 有 権 者 数 投票者数 棄権者数 投票率
前回投票率
無 効
第1区
1,352
18
1,334
1,219
115 91.38
95.21
-3.83
0
第2区
1,916
28
1,888
1,601
287 84.80
95.29 -10.49
6
第3区
1,990
22
1,968
1,675
293 85.11
95.29 -10.18
3
第4区
2,770
27
2,743
2,453
290 89.43
79.27 +10.16
0
計
8,028
95
7,933
6,948
985 87.58
89.51
9
県
- 18 -
-1.93
選挙区 有効投票数
自書投票
代書投票
第1区
1,219
382 31.3
837 68.7
第2区
1,595
420 26.3
1,175 73.7
第3区
1,671
486 29.1
1,185 70.9
第4区
2,453
952 38.8
1,501 61.2
6,948 2,240 32.2
4,698 67.6
県
計
●開票結果·激戦区なし。
選挙区
候
補
第1区 ◎ 大久保
者
北
島
鐵 作
傳四郎
目
黑
貞
治
政
党
新旧 得票数 得票率 惜敗率
憲政党(旧東北) 新
785
64.4
憲政党(旧進歩) 前
320
26.3
憲政党(旧自由) 元
107
8.8
7
0.6
1,019
63.9
石 川 理紀之助ほか
第2区 ◎ 畠
前回得票数
408
+377
40.8
478
-158
13.6
260
-153
904
+115
1
+45
1,376
-216
1,983
-99
雄 三
平太郎
憲政党(旧進歩) 前
勝
山
又
新
513
32.2
50.3
山
田
猪太郎
新
46
2.9
4.5
成
田
直
17
1.1
第3区 ◎ 須
善一郎
宇一郎
憲政党(旧進歩) 前
1,592
95.3
齋
藤
藤
新
52
3.1
伊
藤
惣兵衞ほか
27
1.6
第4区 ◎ 武
敬
直
治
純
憲政党(旧進歩) 前
1,884
38.5
◎伊
石
藤
憲政党(旧進歩) 新
1,769
36.1
16 +1,753
沼
田
宇源太
憲政党(旧進歩) 前
961
19.6
54.3 2,039 -1,078
榊
田
淸兵衞
新
44
0.9
2.5
本 鄕 吉右衞門
新
42
0.9
2.4
195
4.0
北
島
国民協会
衞ほか
虎之助ほか
再選議員…須藤善一郎・武石敬治
新人2人当選…大久保鐵作・伊藤直純は秋田県会議員
各党議席数…憲政党5議席独占
各党得票率…憲政党 89.9%、国民協会 5.5%
- 19 -
3.2
39
+5
●選挙戦 ·秋田県公文書館所蔵『衆議院選挙事務簿 』(930103-10154)
先に失効した「議員選挙ニ就キ人ヲ殺傷スヘキ物件携帯禁止ノ件」(明治31年2月8日
勅令第 21号)に代わって「衆議院議員選挙取締ニ関スル罰則」(明治31年7月19日勅令第
170号)を発布して選挙戦の取り締まりを強化した 。隈板内閣の事実上の信任投票という
こともあり大規模な選挙戦は展開されなかった。なほこの勅令は選挙後の第13回帝国議
会(特別会・通常会)において衆議院で否決され失効した。
·「改正衆議院議員選挙法 」
(明治33年3月 28日法律第73号)での罰則強化につながる。
●各党獲得議席数
憲政党 263議席、国民協会 20議席、無所属17議席
7、総選挙の予算額・決算額
◆予 算額
第3 回衆 議院 議員 総選 挙 第 1 項
第 1目
第 2目
第 3目
選 挙 費 10 5円 60 銭3 厘
備 品 費
2円 96 銭
投票 函修 繕費
消耗 品費
5 4円 25 銭1 厘 諸用 紙代
雑
費
4 8円 39 銭2 厘 投票 函運 送費
第4 回衆 議院 議員 総選 挙 第 1 項
第 1目
第 2目
第 3目
選 挙 費
備 品 費
消耗 品費
雑
費
第5 回衆 議院 議員 総選 挙 第 1 項
第 1目
第 2目
第 3目
選 挙 費 15 1円 37 銭3 厘
備 品 費
5円 33 銭
投票 函修 繕費
消耗 品費
8 1円 77 銭8 厘 諸用 紙代
雑
費
6 4円 26 銭5 厘 投票 函運 送費
第6 回衆 議院 議員 総選 挙 第 1 項
第 1目
第 2目
第 3目
選 挙 費
備 品 費
消耗 品費
雑
費
9 9円 35 銭3 厘
6円 66 銭
投票 函修 繕費
4 8円 50 銭9 厘 諸用 紙代
4 4円 18 銭4 厘 投票 函運 送費
7 1円 18 銭1 厘
5円 33 銭
投票 函修 繕費
4 1円 28 銭5 厘 諸用 紙代
2 4円 56 銭6 厘 投票 函運 送費
◆決 算額
明治 27 年 度 歳出 経常 部 第 17 欸 衆 議院 議員 選挙 費 1 85 円3 4銭
明治 31 年 度 歳出 経常 部 第 17 欸 衆 議院 議員 選挙 費 2 60 円1 2銭 4厘
まとめ
①中央の政治動向が必ずしも地方の選挙戦・有権者の投票行動に反映されたものでなかっ
た。·政党本位ではなく候補者本位で投票する傾向が多く見られた。
②各政党の地方組織が確立していない中で、立候補者に対する政党の役割(選挙資金・支持
基盤)はかなり低いものであった。
③激戦区では大規模な選挙戦=騒擾が展開されたが、対立候補のいないいわゆる無風区では
事実上の信任投票と化した。
④有権者の低識字率対策・有効得票数アップを目指して代書投票制度は導入されたが 、その
実態を見る限り有権者の意思(秘密・中立性)が正確に反映されたものではなかった。
- 20 -
《参考》帝国議会議員活動の一例
- 21 -
- 22 -
- 23 -
- 24 -
参考史料
①『秋田魁新報』明治 27年5月 31日
◎目黑代議士辞職勧告書
秋城の三新聞社連合して目黑代議士に左の如き辞職勧告書を送
ると云ふ。
目黑貞治君足下。余輩は衷心必ずしも足下を信認し尊崇するものにあらざるも而かも巳
に忠良なる撰挙区民多数の推す所となり堂々帝国至高議政府に参列したる以上は国民た
るものゝ本分として義務として成るべきたけ足下をして其責務を尽さしめんことを望み
たりき。
然るに頃来京信の齎らし来る処親しく足下の言動を目撃したるものゝ報道は余輩をして
如何に足下を信認し足下を吾人国民の代表者たらしめんとするも能はざるものあるを如
何せん。足下は総撰挙の際に於て第五議会の解散問題たる条約励行千島艦事件に対して
飽迄民派締盟の方針に依り現内閣を攻撃し藩閥情実の弊政を倒さんことを誓言明約した
るに拘はらず今や撰挙区民の公義に背反し全国民の輿論に乖戻して藩閥の雇兵となり了
れり。是れ直ちに世を欺き人を罔き国家百年の大計を忘れ一時の苟安を偸むものにあらず
して何ぞや。足下如何に辞抦を設けて世人を籠罩せんと欲するも由来蘭艾処を異にし薫
蕕自ら分る。又何を以て天下の視聴を瞞化し得んや。余輩は己に足下の没節無徳を知る。
即ち彼国民の熱誠を表白したる現内閣弾劾上奏案に反対したるに依て知る。国民十数年
の大宿望たる言論自由の標的なる新聞条例改正案に反対したるに依て知る。区々の醜為
穢行算し来れば僕を代へて足らざるも必ずしも問はず只此二大問案に対する言動己に足
下を知るに余りあり。唯り撰挙区民の憤慨のみならず管内士人の足下の悖徳穢行を詰責
叱咤し以て反省自決を促さんとする者亦宜なりと云ふべし。
嗚呼目黑貞治君余輩の茲に一書を裁して左右に呈するもの豈止むを得んや。足下の言動
斯の如く足下の信を天下に失ひたる。斯の如きを見て実に黙々過すべからざるものあるな
り。余輩は決して足下を憎むものにあらず。却て事の茲に至れるを悲むものなり。然れど
も今や詮なし 。想ふに足下の明敏なる輿衆の信を失して猶ほ議場に立つものにあらざるべ
し。何となれば人信を措かず愛を呈せざれば也。信を失ひ愛を得ずして議員たるも夫れ何
の用ぞ。況んや世人も徳義の為め正義の為め一日も猶予せざるべきをや。故に余輩輿論の
先駆を以て自任する新聞記者先づ管内士人に代て断々乎として茲に辞職を勧告す。余輩
は足下に向て此言をなす。実に不快なるも立憲国民の大義社会公徳の扶植に於て実に止む
を得ざるものあればなり。天下請ふ。之を諒せよ。
②『改正府県制』(明治32年3月15日法律第64号)
第十八条
選挙ハ投票ニ依リ之ヲ行フ。
投票ハ一人一票ニ限ル。
選挙人ハ投票所ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選挙人一名ノ氏名ヲ記載シテ投函スヘシ。
投票用紙ニハ選挙人ノ氏名ヲ記載スルコトヲ得ス。
- 25 -
自ラ被選挙人ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ス。
③秋田県公文書館所蔵『県会議員選挙事務簿』(930103―10065)
◆復命書…9月 27日、秋田県属阿曾村鶴吉(仙北郡淀川村)
一、選挙人百十名ノ内投票ヲ為タル者百六名棄権者四名ニ過キスト雖トモ、投票記載スル
ニ被選人ノ姓名ヲ記シタル紙片ヲ携帯シ之レニ便リ漸ク文字ノ形ヲ造リタルモノアル
カ如キ 、片仮名ニテ書キタルモノ及文字ノ正画顛倒シタルモノアルカ如キ、中ニモ或ル
一人ノ如キ進藤繁吉ニ投票セントスルモ無筆ナルヲ以テ手本ヲ示サンタシト請求スル
モノアリタルモ 、管理者之ニ応セサルカ為メ更ニ氏名記載ノ紙片ヲ持来リテ書シタルモ
ノアリ 。又或ル一人ハ投票用紙ヲ受取リナカラ自署スル能ハサル旨ヲ告ケ退場セルモノ
アルカ如キハ、平素目ニ一文字ヲ解スル能力ヲ欠キ居ルモノニシテ 、俄カニ練習セルモ
未タ就成ニ至ラサルモノト推測セラルヽモノアリ 。要スルニ真正ニ自署スルコトヲ得ル
モノハ全数ノ半ニ充タサルカ如キ観アリ 。棄権者ノ種類及投票用紙ヲ置損シテ再渡ヲ請
フニ至リタルモノ左ノ如シ。
老衰自書スルヲ得サルモノ
二人
旅行中ノモノ
一人
投票所ヘ入場ノ上自書スル能ハサル旨ヲ告ケ退場セルモノ
一人
投票用紙ヲ置損シ再渡ヲ請ヒタルモノ
五人
- 26 -
《参考》東北の総選挙投票結果
◆ 第 3 回 = 明 治 27 年 ( 1894 )3 月 1 日 ( 木 )
県
名 選 挙 区 当日有権者数 投 票 者 数 棄 権 者 数 投 票 率 有 効 投 票 数 当選者得票数 落選者得票数 無 効 投 票 数
青森県 第1区
第2区
第3区
県 計
1,384
2,002
1,419
4,805
1,277
1,798
1,104
4,179
107
204
315
626
92.27
89.81
77.80
86.97
2,551
1,796
1,095
5,442
1,555
925
965
3,445
996
871
130
1,997
1
2
9
12
岩手県 第1区
第2区
第3区
第4区
第5区
県 計
1,414
193
1,605
760
660
4,632
1,227
146
1,393
704
617
4,087
187
47
212
56
43
545
86.78
75.65
86.79
92.63
93.48
88.23
1,211
146
1,393
701
612
4,063
693
42
696
449
225
2,105
518
104
697
252
387
1,958
16
0
0
3
5
24
宮城県 第1区
第2区
第3区
第4区
第5区
県 計
1,774
824
2,253
1,716
817
7,384
1,645
769
2,108
1,606
752
6,880
129
55
145
110
65
504
92.73
93.33
93.56
93.59
92.04
93.17
1,641
766
2,103
1,605
751
6,866
1,038
404
1,397
834
417
4,090
603
362
706
771
334
2,776
4
3
5
1
1
14
秋田県 第1区
第2区
第3区
第4区
県 計
1,243
1,648
1,951
2,783
7,625
1,167
1,544
1,785
2,178
6,674
76
104
166
605
951
93.89
93.69
91.49
78.26
87.53
1,166
1,540
1,778
4,337
8,821
776
789
1,342
3,920
6,827
390
751
436
417
1,994
1
9
8
4
22
山形県 第1区
第2区
第3区
第4区
県 計
2,393
2,811
4,085
1,530
10,819
2,150
2,586
3,789
1,413
9,938
243
225
296
117
881
89.85
92.00
92.75
92.35
91.86
4,256
2,580
7,532
1,410
15,778
2,906
2,219
3,937
983
10,045
1,350
361
3,595
427
5,733
21
6
23
3
53
福島県 第1区
第2区
第3区
第4区
第5区
県 計
2,440
1,866
1,756
2,422
3,787
12,271
2,280
1,729
1,633
2,284
3,457
11,383
160
137
123
138
330
888
93.44
92.66
93.00
94.30
91.29
92.76
2,276
1,726
3,260
4,562
3,443
15,267
1,156
875
2,363
2,692
2,022
9,108
1,120
851
897
1,870
1,421
6,159
4
3
6
6
12
31
東北6県計
47,536
43,141
4,395
90.75
56,237
35,620
20,617
156
- 27 -
◆ 第 4 回 = 明 治 27 年 ( 1894 )9 月 1 日 ( 土 )
県
名 選 挙 区 当日有権者数 投 票 者 数 棄 権 者 数 投 票 率 有 効 投 票 数 当選者得票数 落選者得票数 無 効 投 票 数
青森県 第1区
第2区
第3区
県 計
1,420
2,087
1,334
4,841
1,309
1,182
1,127
3,618
111
905
207
1,223
92.18
56.64
84.48
74.74
2,608
1,157
1,127
4,892
1,508
1,117
655
3,280
1,100
40
472
1,612
1
25
0
26
岩手県 第1区
第2区
第3区
第4区
第5区
県 計
1,458
203
1,668
806
714
4,849
1,242
159
1,451
730
644
4,226
216
44
217
76
70
623
85.19
78.33
86.99
90.57
90.20
87.15
1,236
159
1,447
716
642
4,200
635
80
556
490
311
2,072
601
79
891
226
331
2,128
6
0
4
14
2
26
宮城県 第1区
第2区
第3区
第4区
第5区
県 計
1,843
879
2,334
1,805
871
7,732
1,685
815
2,113
1,676
772
7,061
158
64
221
129
99
671
91.43
92.72
90.53
92.85
88.63
91.32
1,683
807
2,109
1,675
770
7,044
1,030
507
1,260
831
499
4,127
653
300
849
844
271
2,917
2
8
4
1
2
17
秋田県 第1区
第2区
第3区
第4区
県 計
1,271
1,781
2,029
2,851
7,932
1,168
1,328
1,762
2,671
6,929
103
453
267
180
1,003
91.90
74.56
86.84
93.69
87.36
1,165
1,324
1,758
5,326
9,573
632
1,259
942
3,348
6,181
533
65
816
1,978
3,392
3
4
4
2
13
山形県 第1区
第2区
第3区
第4区
県 計
2,468
2,899
4,251
1,590
11,208
2,315
2,567
3,968
1,474
10,324
153
332
283
116
884
93.80
88.55
93.34
92.70
92.11
4,585
2,565
7,889
1,671
16,710
2,522
2,459
4,335
810
10,126
2,063
106
3,554
861
6,584
23
2
23
3
51
福島県 第1区
第2区
第3区
第4区
第5区
県 計
2,577
2,044
2,011
2,634
4,003
13,269
2,352
1,904
1,760
2,485
3,437
11,938
225
140
251
149
566
1,331
91.27
93.15
87.52
94.34
85.86
89.97
2,347
1,902
3,518
4,956
3,436
16,159
1,169
963
2,684
2,938
2,116
9,870
1,178
939
834
2,018
1,320
6,289
5
2
2
14
1
24
東北6県計
49,831
44,096
5,735
88.49
58,578
35,656
22,922
157
- 28 -
第3回衆議院議員総選挙秋田県第4区候補者別得票数
【仙北郡】
町
村 ◎ 坂本理一郎 ◎ 武 石 敬 治 河原田次亮 大日向作太郎
そ
の
他
千
屋
村
60
61
0
0 沼田宇源太1
横
堀
村
28
28
1
4 畠山久左衞門4,最上廣胖1,他2
畑
横
屋
沢
村
村
71
64
9
9 畠山久左衞門1,最上廣胖1,成田直衞1
六
郷
町
37
34
0
0 畠山久左衞門2,小西嘉兵衞1
飯
詰
村
23
21
0
0 沼田宇源太1
金沢西根村
29
29
0
0
金
沢
村
28
27
0
0 伊藤直純1
大
花
曲
館
町
村
58
56
1
1
神 宮 寺 村
55
55
0
0
北 楢 岡 村
12
11
0
0 齋藤勘七1
刈 和 野 村
17
15
0
0 嵯峨俊親4,髙根淸信1
淀
川
村
31
31
0
0
荒
川
村
10
10
0
0
土
川
村
32
32
0
0
大 沢 郷 村
31
30
0
1 最上廣胖2
強
村
20
9
0
1 小山田治右衞門25,深浦八十治5,他8
南 楢 岡 村
26
26
0
0
外 小 友 村
19
19
0
0
内 小 友 村
大川西根村
39
37
2
2
藤
16
13
0
1 最上廣胖2,榊田淸兵衞2,一星常助2,他6
首
木
村
最上廣胖2,畠山多吉1,小原六兵衞1
高
梨
村
35
35
1
0 榊田淸兵衞1
四 ツ 屋 村
50
50
0
0
長
野
村
37
37
0
0
角
館
町
27
24
3
0 沼田宇源太1,榊田淸兵衛1
神
代
村
45
39
7
0 最上廣胖1,大道政次郎1,髙柳萬藏1
田 沢 村
生 保 内 村
12
7
14
桧 木 内 村
3
3
1
西 明 寺 村
18
20
25
1 梁田宇吉13,齋藤勘七3,他2
中
川
村
17
7
19
0 石黑直幹2,齋藤勘七1,竹田文五郎1
雲
沢
村
16
12
19
0 西宮藤剛11,石黑直幹6
清
水
村
38
38
0
0
白
岩
村
23
23
0
0
豊
川
村
49
46
0
0 黑澤熊雄4,加藤進2,齋藤勘七1
長 信 田 村
48
44
3
5 最上廣胖2,大信田如水2,髙橋傳兵衞2,他3
豊
村
36
34
2
0 齋藤勘七1,榊田淸兵衞1
計
1,096
1,027
107
岡
郡
0 大久保鐵作1
0 太田顯諒2,竹下彌一1,上杉乙松1
25
※畑屋村・横沢村得票は朗読の際、区分不明瞭のため合併計算。
【平鹿郡】
町
村 ◎ 坂本理一郎 ◎ 武 石 敬 治 河原田次亮 大日向作太郎
そ
の
横
手
町
39
38
0
0 掛札久右衞門1
山
内
村
13
13
0
0
醍
醐
村
49
48
0
0 柿崎武助1
村
6
8
0
0 柿崎武助2,長沼光諒2,太田利兵衞1
十 文 字 村
17
17
0
0
栄
他
増
田
村
39
37
2
0 東海林重太郎4,石田幸之助1,長江八兵衞1
三
重
村
14
14
0
0 柿崎武助1,齋藤勘七1,他4
植
田
村
24
25
0
0 今雄平1
睦
合
村
19
20
0
1
吉
田
村
23
25
0
0 柿崎武助2,東海林重太郎2,湊谷傳之助2,他2
浅
舞
村
13
14
0
0 村田範光7,湊谷傳之助2,他3
福
地
村
11
11
0
0
八 沢 木 村
17
17
0
0
里
見
村
26
26
0
0
沼
館
村
20
20
0
0 鹽田團平2,佐々木又藏1,佐々木順貞1
大
森
村
13
13
0
0
館
合
村
15
15
0
0 佐藤三左衞門1,佐藤福治1
阿
気
村
16
16
0
0
田 根 森 村
23
23
0
0
境
村
16
16
0
0
村
3
17
0
0 沼田宇源太14,最上廣胖1,本鄕吉右衞門1
町
旭
朝
倉
村
8
10
0
0 長沼光諒1
黒
川
村
14
14
0
0
角 間 川 村
16
13
0
1 最上廣胖4,齋藤勘七1,畠山久左衞門1,他3
川
村
43
43
0
0
計
497
513
2
2
西
郡
【雄勝郡】
町
湯
村 ◎ 坂本理一郎 ◎ 武 石 敬 治 河原田次亮 大日向作太郎
沢
町
44
45
0
そ
0 田口岩藏1
の
他
弁
天
村
14
14
0
0
東 成 瀬 村
5
5
0
0
幡
野
村
17
17
0
5 柿崎武助2,最上廣胖1,他2
岩
崎
町
15
17
0
1 石井信1
西 成 瀬 村
10
10
0
0
駒
形
村
15
17
0
2 沓澤德太郎9,久米田正之助1
川
連
村
4
9
0
0 沓澤德太郎5
三
梨
村
13
26
0
0 沓澤德太郎12
稲
庭
村
6
6
0
0
三
須
関
川
村
村
18
19
0
1
皆
瀬
村
8
8
0
0
小 野 村
秋 ノ 宮 村
横 堀 村
17
18
0
1 髙橋理造1,小山田八之助1
院
内
村
5
6
0
1
山
田
村
61
60
0
0 木村久藏1
三
輪
村
37
37
0
0
西馬音内村
34
34
0
0
元西馬音内村
10
7
0
3
新
成
村
19
18
0
3
明
治
村
14
14
0
0
田
代
村
8
8
0
0
仙
道
村
9
10
0
1
計
383
405
0
18
第 4 区 計
1,975
1,945
110
郡
45 坂本と河原田の合計得票数合致せず
◎現在の貨幣価値換算「消費者物価」
◆『日本銀行百年史
資料編 』(日本銀行百年史編纂委員会編、昭和 61 年9
月)
明治 27 年( 1894 )
0.315
明治 31 年( 1898 )
0.424
昭和 57 年( 1982 )
1,474.1
明治 27 年 · 昭和 57 年
1,474.1 ÷ 0.315 = 4,679.68 (倍)
明治 31 年 · 昭和 57 年
1,474.1 ÷ 0.424 = 3,476.65 (倍)
※昭和9年~ 10 年=1基準
◆総務省統計局
昭和 57 年( 1982 )
82.9
平成 20 年( 2008 )
101.7
101.7 ÷ 82.9 = 1.23(倍)
昭和 57 年 · 平成 20 年
※平成 17 年= 100 基準
明治23年 · 平成20年 4,679.68 × 1.23 = 5,756.01(倍)
明治25年 · 平成20年 3,476.65 × 1.23 = 4,276.28(倍)
◆予算額
第3回衆議院議員総選挙
105.603 × 5,756.01 = 607,851.924 (円)
第4回衆議院議員総選挙
99.353 × 5,756.01 = 571,876.862 (円)
第5回衆議院議員総選挙
151.373 × 4,276.28 = 647,313.332 (円)
第6回衆議院議員総選挙
71.181 × 4,276.28 = 304,389.887 (円)
◆決算額
明治 27 年度
185.340 × 5,756.01 = 1,066,818.893 (円)
明治 31 年度
260.124 × 4,276.28 = 1,112.363.059(円)
※企業物価(総務省統計局)
明治 26 年( 1893 )
0.319
平成 20 年( 2008 )
737.5
明治 26 年 · 平成 20 年
737.5 ÷ 0.319 = 2,311.91 (倍)
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