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建設的対話の重要性について~2つの事例から学ぶ、成功のポイント
平成28年度 全国障害学生支援セミナー「体制整備支援セミナー4」 (聴覚障害学生に対する) 建設的対話の重要性について ~2つの事例から学ぶ、成功のポイント~ 関西学院大学 総合支援センター キャンパス自立支援室 コーディネーター 松浦 考佑 1 本日の内容 Ⅰ. 関西学院大学について Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 Ⅲ. 2つの事例から学ぶこと Ⅳ. まとめ 2 Ⅰ.関西学院大学について 3 Ⅰ.関西学院大学について 大学の概要 (2016年5月現在) ・所在地:兵庫県 ・主なキャンパス:西宮上ケ原、神戸三田、西宮聖和 3キャンパス ・学部、研究科数:11学部、14研究科 ・学生数:23,498人 ・教員数:761人 ・職員数:529人 4 Ⅰ.関西学院大学について 障害のある学生の学内支援体制 学生活動支援機構 総合支援センター 学生支援 相談室 センター長 キャンパス 自立支援室 連携 心理相談 修学支援 総合支援センター委員会 (センター長、副長、委員、事務長、 教務副部長、学生副部長、各学部事務長/ 副学部長又は学部長補佐、保健館事務長) 支援協議・依頼 連絡・調整 各学部 支援相談 履修・相談等 障害のある学生 利用 関係部課 保健館 キャリアセンター など 5 Ⅰ.関西学院大学について 総合支援センター 学生支援相談室 (全学生対象) ⇒ 対人関係や自身の性格、生活、修学についての相談など ・個別心理的援助 ⇒ 面接、心理テスト ・教職員や保護者への助言(コンサルテーション) ・自己理解促進の各種プログラム ・学外機関との連携(医療・公的機関など) キャンパス自立支援室 (何らかの障害がある学生対象) ⇒ 授業や定期試験時の配慮調整、学部や 関係機関と連携した修学支援 6 Ⅰ.関西学院大学について キャンパス自立支援室における支援 聴覚障害学生 ノートテイカーやパソコンテイカー、ビデオ教材の文字起こしや字幕付け、 支援器具の貸し出し など 視覚障害学生 教材の点訳や拡大、テキスト校正、対面朗読、拡大読書器や音声読み上げソフトの 入ったパソコンの貸し出し など 肢体不自由学生 授業教室に関する調整、ノート作成者の派遣 など 発達障害・精神障害学生 履修相談、テストやレポート提出に向けたスケジュール立案、授業中に生じた問題 への対応、進路相談など、障害の状況や困り具合に応じた個別対応 7 Ⅰ.関西学院大学について 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 (障害者差別解消法:2016年4月施行) ⇒国の行政機関や利用公共団体及び民間事業者による 障害を理由とする差別の禁止 ⇒当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、 社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮 をしなければならない。 ※本学においても「障がい学生支援に関する基本方針」 「障がい学生支援実施基準(ガイドライン)」を定めている。 【参考】関西学院大学総合支援センター http://www.kwansei.ac.jp/university/university_m_000247.html 8 Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 9 Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 平成27年度(2015年度) 障害のある学生の修学支援に関する実態調査より 大学、短期大学及び高等専門学校の障害学生数 21,721人(前年度の14,127人より大幅増) 全学生(3,185,767人)に占める障害学生の在籍率 0.68%(前年度の0.44%より0.24%増) 「聴覚・言語障害」の障害学生数 1737人:8.0%(前年度は1654人) 10 Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 聴覚障害とは 聞こえの程度 • 難聴 30db以上の音が聞こえない状態 • ろう 90db以上の音が聞こえない状態 (医学的な意味での「ろう」deaf) ※なお、法的には、両耳平均70db以上であれば、 身体障害者福祉法に基づく身体障害者手帳の交付対象(=法的に聴覚障害者) 聞こえない理由、損傷の場所 • 伝音性難聴: 外耳~中耳に傷害があり、感覚細胞への音の伝達が不十分な状態。 (音が伝わる上でのトラブル) • 感音性難聴: 内耳の感覚細胞、聴神経、さらに中枢聴覚路に起因する、 音を感じ取るのが不十分な状態。 (音を感じ取る上でのトラブル) ※その他に、混合性難聴、心因性難聴、老人性難聴などの区分がある。 11 Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 聴覚障害学生への支援内容 障害学生への共通の支援 • • • • 個別相談 学内設備の改善 定期試験等の配慮の調整 授業担当教員への配慮事項の伝達 聴覚障害学生への支援 • ノートテイカー・パソコンテイカーの派遣 • ビデオ教材の文字起こし・字幕挿入 • 支援機器の利用(磁気ループ等) 12 Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 ノートテイカー・パソコンテイカーの派遣 テイカー(支援学生) • 毎年3月と9月に2回、養成講座を実施。 • スキルと希望に応じ、手書きテイカー・PCテイカーとして登録。 • 西宮上ヶ原・西宮聖和:161名 神戸三田: 93名 (2016年、9月現在の登録数) 聴覚障害学生支援に関するイベント • • • • 顔合わせ会 中間ミーティング スキルアップ講座 ふりかえり会 (利用学生と支援学生との顔合わせ) (学期途中で問題がないか話し合う) (新人向け、ベテラン向け) (学期末で全体の支援を振り返る) etc… 13 Ⅱ. 聴覚障害学生への支援 キャンパス自立支援室に支援申請のある学生数 障害種別 上ヶ原 三田 聖和 全キャンパス 視覚 2 1 0 3 聴覚 5 3 1 9 肢体不自由 6 0 1 7 病弱・虚弱 1 0 0 1 発達 20 9 2 31 精神 5 4 1 10 その他 4 0 0 4 合計(延数) 43 17 5 65 ・1年生 1 名 ・2年生 1 名 ・3年生 3 名 ・4年生 4 名 (2016年7月現在) 14 Ⅲ.2つの事例から学ぶこと 15 前方のスライドをご覧ください 16 Ⅲ.2つの事例~ 2つの事例から学ぶこと 建設的対話 合理的配慮は…当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ …(中略)代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による 相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応が なされるものである。 (障害者差別解消法より) 障がいのある学生が権利主体であることを踏まえ、障がいの ある学生一人ひとりのニーズに基づき…(中略) 教職員は適切な機会を通じ、建設的対話を働きかける等、 当該学生がニーズの申出をできるよう自主的な配慮に努める。 (関西学院大学「障がい学生支援に関する基本方針」より) 17 Ⅲ.2つの事例~ Aさんの事例をふりかえる 支援者からの説明 ・入学前にノートテイク制度について説明していたが、 ご本人の「わかりました」という言葉に安心していた ところもあったのではないか。 ・先回りの支援をしてしまっていた可能性もある。 Aさんの考え ・ノートテイク制度について十分に理解出来ていないため、 無断キャンセルや当日キャンセルをしてしまったのでは。 また、「本当はノートテイクを利用したくない」という 納得できていない部分がずっと解消されていなかった。 18 Ⅲ.2つの事例~ Bさんへの改善点 支援者からの説明 ・入学前にノートテイクへのイメージを持ってもらえるよう 「ノートテイクとは」というDVDを見てもらう。 ・入学式やオリエンテーションで、実際にテイカーを配置し、 終わった後にふりかえり面談を実施。 ・ノートテイク制度について、「ノートテイクマニュアル」 を一緒に熟読。 ・ご本人の「わからない」が言いやすい環境づくり、 面談の機会を多く取り、不安の解消に心がけた。 ⇒ 合意形成のプロセスは時間がかかるが一番重要。 19 Ⅲ.2つの事例~ 建設的対話の意義 支援者と利用学生とでしっかりと対話を重ね、 どこが困っているのか、どこまで支援が出来るのか、 どこまで利用学生が理解しているのかを話し合っていく。 ⇒ お互いに「合意形成」をはかっていく。 利用学生が納得し、その結果、楽しく学生生活を送れる ということが「成功」といえるのではないだろうか。 20 Ⅳ.まとめ 21 Ⅳ.まとめ 成功のポイント 1、最初でつまづかないように 利用学生としっかり話し合う 2、これくらい出来るだろうという慢心は捨てる 3、先回りの支援は絶対にしない 22 Ⅳ.まとめ 今後の課題 1、修学支援以外の支援について 2、他大学との情報交換 3、支援者自身のスキル向上 23 ご清聴ありがとうございました 24