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グローバル認証基盤研究会 成果報告書

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グローバル認証基盤研究会 成果報告書
経済産業省委託
平成 24 年度
工業標準化推進事業委託費(グローバル認証基盤整備事業:
先端分野に係る機能安全に関する認証システム基盤整備事業)
グローバル認証基盤研究会
成果報告書
平成 26 年 3 月
目 次
1. 概要..................................................................................................................................1
2. 本調査について................................................................................................................2
2.1 目的と背景 .................................................................................................................2
2.2 研究会の検討項目 ......................................................................................................3
2.3 研究会の実施概要 ......................................................................................................5
3. 各分野の認証活用における課題の類型化 ........................................................................6
3.1 対象分野 .....................................................................................................................6
3.2 検討・整理の方針 ......................................................................................................6
3.3 各対象分野の検討状況 ...............................................................................................7
3.4 各対象分野の課題の類型化 ......................................................................................13
3.5 各分野の検討結果のまとめ ......................................................................................17
4. 海外認証機関等の周辺機能の分析.................................................................................18
4.1 目的 ..........................................................................................................................18
4.2 調査方法 ...................................................................................................................18
4.3 調査内容 ...................................................................................................................18
4.4 調査対象機関の選定 .................................................................................................20
4.5 対象機関の事業分野 .................................................................................................21
4.6 調査結果 ...................................................................................................................47
4.7 海外認証機関調査結果のまとめ...............................................................................61
5. まとめ ............................................................................................................................62
注 :本文中、参考文献からの引用部分及びヒアリング調査の発言内容については、四
角い枠内に記載した。
1. 概 要
経 済 産 業省では我が国産業のグローバル展開に資する認証活用のしくみを整
備 す る こ とを目的として、
「平成24年度グローバル認証基盤整備事業」にお い
て 9 事 業 分野
1
を選定し(以下、「9分 野」と呼ぶ)、各分 野において認証活 用
の た め の 体 制整備について検討を 実施した。
本 グ ロ ー バル認証基盤研究会は 、 当該事業の一環として開催されたものであ
り、新 し い技術や製品を市場に出す際の、標準化と 認証活用の考え方について、
包 括 的 な 視点から検討を行った。検討に当たっては、各 9 分野における認証の
活 用 に 関 する取り組み状況及び海外認証機関の活動実態などを 考慮した。
第 一 回 研究会では、9 分野で の認証に関する課題の類型化、及び、海外認証
機 関 等 の 周辺機能の分析という検討内容の方向性を確認した(第2章)。
第 二 回 研究会では、9 分野での認証活用の ための体制整備に関する検討状況
を 踏 ま え た上で課題類型化の視点を整理(第3章)し、海外調査の結果報告(第
4 章 ) を 行った。課題類型化の考え方では、我が国の具体的な産業分野におけ
る 認 証 活 用の課題を4区分に類型化した。また、海外認証機関調査においては、
8 つ の 海 外認証機関に対してヒアリング調査を実施し、認証機能以外の周辺機
能 を 含 め た海外認証機関の機能として6 項目を整理した。
第 三 回 研究会では、第二回までの検討内容を踏まえ、新しい技術や製品を市
場 に 出 す 上での 標準化及び認証活用の考え方(第5章)に関する検討を行い、
事 業 者 用 普及啓発資料「新市場開拓・発展のための戦略的標準化認証活用事例
集 ( 仮 題 )」としての取り纏め方に関して、活発なディスカッションを行った。
本 報 告 書は、全3回の当 研究会 の概要、 当研究会に関する調査結果の概要、
及 び 当 研 究会の成果物として標準化及び認証活用の考え方の骨子を取り纏めた
も の で あ る。
1
具 体 的 に は 、① 大 規 模 分 散 電 源 関 連 設 備 、② 再 生 医 療 、③ 大 型 風 力 発 電 シ ス テ ム 、④ 高 度 部 素 材( 磁
性材料、有機半導体、ガスバリア膜、蓄電池)、⑤LED電球及び照明器具、⑥鉄道システム、⑦生
活 支 援 ロ ボ ッ ト 、 ⑧ フ ァ イ ン バ ブ ル 、 ⑨ 制 御 シ ス テ ム セ キ ュ リ テ ィ ( M S : Management System) の 9
分野である。
1
2. 本 調 査 について
2.1 目 的 と背景
今 後 、 アジアをはじめ多くの新興国において急速な経済成長が予測されてい
る 。 国 内 人口が減少し始めている我が国の産業にとって、海外市場は重要なマ
ー ケ ッ ト であり、グローバル事業展開は喫緊の課題である。
し か し グローバル市場において、我が国産業は「技術では勝っているが、ビ
ジ ネ ス で は負けている」と言われて久しい。グローバル市場においては、製品
の 品 質 だ けではなくその事業戦略の重要性が増しており、新技術分野の製品で
市 場 形 成 しシェアを獲得していくためには知的財産戦略や国際標準化戦略など
の 事 業 戦 略が重要である。事実、蓄電システムや風力発電システム等の戦略産
業 分 野 に おいては、各国が競って国際標準を開発すると共に、試験所の整備や
認 証 体 制 の構築を進めている。主要国が製品・サービスの新技術分野における
国 際 標 準 化動向に合わせて試験や認証に係わる施設整備を急速に進めている中
で 、 我 が 国国内は依然として「標準化はボランティアで、企業のビジネスには
直 結 し な いもの」
「認証は求めら れてから行うものでコスト要因に過ぎない」と
い っ た 考 え方が多く、 標準化と 認証の活用及びその体制整備が十分とは言えな
いの が 現 状である。我が国産業の市場形成・シェア拡大を図るためには、 知的
財 産 と 標 準化や 認証などの適合性評価をどのように活用できるかについて体系
的 に 検 討 し、 国際的に通用する標準化または認証活用の 体制を構築することが
必 須 で あ る。
「 平 成 24年度グローバル認証基盤整備事業」では、9 分野において、認証
活 用 の 有 用性を検討すると共に、 認証活用のための体制(規格開発、試験機関
の 整 備 、 認証機関の整備、認定機 関の整備等)について検討が行われた。我が
国 の 新 技 術や製品のグローバル市 場における競争力を強化するためには、これ
ら 複 数 の 産業分野における認証活 用の状況について分野横断的に知見を整理・
共 有 し 、 グローバルな認証の考え 方や活用方法について各事業者への普及・啓
発 す る こ とが有益である。
本 研 究 会では、新技術分野における、今後の認証活用の考え方について、ポ
イ ン ト を 整理し、事業者用の普及 資料「 新市場開拓・発展のための戦略的標準
化 認 証 活 用事例集(仮題)」としての取り纏め方を検討することによって、我 が
国 産 業 の グローバル展開に資する ものとする。
2
2.2 研 究 会 の検討項目
本 研 究 会においては、「各分野 の認証活用における課題の類型化(第3 章)」
「 海 外 認 証機関等の周辺機能の分析(第4章)」などを踏まえた上で、我が国 の
企 業 が 新 技術分野において、効果的にグローバル展開するための「標準化及び
認 証 活 用 の考え方(第5 章)」を整理した。
各 検 討 項 目の関係性を図 2-1 に示す。
2.2.1 各 分 野の認証活用における 課題の類型化
こ こ で は、各9分野に関して、認証活用の観点から事業環境を明確化すると
共 に 、 認 証 活用の現状と課題、 及び今後の方向性について整理した。さらに、
抽 出 さ れ た各9分野の課題を、分野横断的に整理・類型化した。
2.2.2 海 外認証機関等の周辺機能の分析
我 が 国 企業のグローバル展開に必要な認証機関の機能を分析するために、海
外 認 証 機 関等の事業活動に関する調査を行った。特に海外認証機関の事業戦略
及 び 認 証 以外の周辺機能について調査・分析することによって、我が国の今後
の認 証 活 用のあり方の検討に資するものとした。
2.2.3 標 準化及び認証活用の考え方に関する検討
先 端 分 野等の製品・サービスのグローバルな市場の形成・拡大を図るために
は 、 グ ロ ーバルに活用できる標準化と 認証のしくみ 2 の構築に資するため、 そ
れ ら の 考 え方を整理することが重要である。本研究会では、各分野の認証活用
に お け る 課題の類型化及び海外認証機関等の周辺機能の分析の結果を踏まえて、
標 準 化 及 び認証活用の考え方の整理を行った。
2 本研究会では、規格基準類、試験・検査設備、認証機関、認定機関、相互承認体制などを含む枠組
み全体と定義する。
3
図 2-1
研究会 の検 討内容
4
2.3 研 究 会の実施概要
本 研 究 会では、10名の検討委員のほか、各 9分野での認証活用の取り組み
状 況 の 把 握のため、各9分野における検討 WG のメンバーにオブザーバとし て
ご 協 力 い ただいた。
本 研 究 会の開催実績を以下に示す。
○ 第 一 回グローバル認証基盤研 究会
日 時 :平成 25 年 6 月 25 日(火)
10:00~12:00
場 所 :経済産業省別館 1 階 108 会議室
検 討 内容:
1. 研究会の趣旨説明
2. グローバル認証機関の 現状
3. 研究会の検討の方向性
4. 各製品・サービス分野 の認証基盤の現状と課題の整理方法の検討
5. 海外認証機関ヒアリン グ調査の計画概要
○ 第 二 回グローバル認証基盤研究会
日 時 :平成 25 年 11 月 8 日(金)
10:00~12:00
場 所 :経済産業省別館 1 階 108 会議室
検 討 内容:
1. グローバル認証基盤研究会の検討の方向性
2. 各 WG の検討の進捗状況
3. 認証基盤の4つの課題に関する議論
4. 海外認証機関ヒアリング調査の結果概要
○ 第 三 回グローバル認証基盤研究会
日 時 :平成 26 年 1 月 21 日(火)
10:00~12:00
場 所 :経済産業省別館 11 階 1111 会議室
検 討 内容:
1. グローバル認証基盤研 究会の検討の概要
2. 各 WG での検討状況の報告
3. 海外認証機関の調査結 果の報告
4. 認証活用の考え方に関する議論
5
3. 各 分 野 の認証活用における課題の類型化
こ こ で は、各9分野に 関して、認証活用の観点から事業環境を明確化すると
共 に 、認 証 活用の現状と課題、 及 び今後の方向性について整理した。さらに、
抽 出 さ れ た各9分野の課題を、分 野横断的に整理・類型化した。
3.1 対 象 分野
当 検 討 における対象の 9 分野を以下に示す。
① 大 規 模分散電源関連設備
⑥鉄道システム
② 再 生 医療
⑦生活支援ロボット
③ 大 型 風力発電システム
⑧ファインバブル
④ 高 度 部素材
⑨制御システムセキュリティ
⑤LED 電球及び照明器具
3.2 検 討 ・ 整理の方針
事 業 環 境を明 確化 す るに当 たり、 主な ス テーク ホルダ ーで あ る ① 調 達元、 ②
サ プ ラ イ ヤー、③ 認証機関等の3 つの視点( 図 3-1 )に着目して整理した 。
図 3-1
認証ス キー ム を整理 する視 点
6
3.3 各 対 象分野の検討状況
各 9 分 野にお ける 検 討状況 を以下 に示 す (各分 野の最 終的 な 検討結 果は各 報
告 書 を 参 照)。それぞれの分野に ついて、①事業環境、②標準化又は認証活用 の
現 状 と 課 題、③標準化又は認証活 用の方向性の観点から整理した。
3.3.1 大 規模分散電源関連設備
(1) 事 業環境
資 源 ・環境制約やエネルギーセキュリティの向上の観点等から、再生 可
能 エ ネルギーの普及拡大が推進されており、その中でも太陽光発電や蓄 電
池 シ ステムは欧米及び中国・インド・ASEAN 地域といった新興国にお い
て 、 今後の市場の成長が期待 されている。
し か しながら、我が国のこ れら再生可能エネルギーの関連産業がグロ ー
バ ル 市場への展開を行うに当 たっては、経済性(低コスト化)の観点の他 、
現 地 において求められる認証 への対応もまた課題となっている。
(2) 標 準 化又は認証活用の現状と課題
海 外規格の認証を取得する際には 、 当該規格に対応した試験設備が日 本
国 内 に存在しないため、費用と時間、さらに現地語に堪能な人材を登用 し
て 海 外で試験を行わざるを得ないケースが多々あり、海外メーカーとの 競
争 上 不利益を被る状況にある。
(3) 標 準化又は認証活用の方向性
大 規模分散電源関連設備に関しては、以上の事業環境や認証活用の現 状
と 課 題を踏まえ、① プラットフォームとしての試験場整備による海外規 格
の 国 内での適合性評価基盤の構築(平成 25 年度補正予算により、大型 PCS
に つ い ては独 立行政 法人 産業技 術総合 研究所 (AIST)に、大型 蓄電池シ
ス テ ムについては独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)に、そ れ
ぞ れ 試験評価拠点を整備することとなった)、②国内認証機関の基盤強 化 、
③ 国 際標準化研究開発などを推し進め、認証制度を活用していきながら 、
我 が 国の産業競争力の強化を目指す。
7
3.3.2 再 生医療
(1) 事 業環境
再 生 医療は現在治療不可能とされる疾患の根本治療に途を開き、患者 の
生 活 の改善に加え、家族などによる介護の負担軽減にも多大な効果をも た
ら す ことから、特に米国・欧州・アジアなどにおいて市場が拡大するこ と
が 期 待されている。
我 が 国の再生医療技術は研究・技術面では優れた成果もあるが、製品 化
の 点 では米国などに遅れをとっている。
再 生 医療技術の品質管理の観点から認証が必要とされているが、現段 階
で は 国際規格などは未だ存在しておらず今後の動向が注目されている。
(2) 標 準 化又は認証活用の現状 と課題
医 療品や医療機器とは異なる再生医療としての規制の国際基準が未整 備
で あ るため、我が国の 競争力となるような国際規格の整備が課題となって
いる。
(3) 標 準化又は認証活用の方向性
施 設基準に関しては、再生医療の製品製造に係る論点を洗い出した上 で
施 設 に関する規格を 開発することが必要 である。規格レベル (ISO,JIS,業
界/学 会 標準)につい ては今後の検討課題である。また周辺機器基準に関し
て は 、我が国初の周辺機器を戦略的に海外に展開するために、重要製品 ご
と に 必要とされる要件を整理することから取り組む必要が ある。
3.3.3 大 型風力発電システム
(1) 事 業 環境
風 力発電は世界的に導入が進んでおり、融資獲得等の商慣習上、型式 認
証 の 取得が必要要件となっている。一方で、我が国では近年の再生可能 エ
ネ ル ギーへの関心の高まりと固定価格買取制度の施行等により、国内で の
市 場 拡大が期待されているものの、これまで製品の国内市場が未成熟で あ
っ た 等の理由のため、海外メーカと比較した国内メーカーの国際競争力 は
必 ず しも高くない。また大型風力発電システムに関する認証活用のしく み
に お いても国内に試験機関がないなど風車導入先進国から遅れをとって い
る の が現状である。
(2) 標 準化又は認証活用の現状と課題
国 内市場が殆ど存在していないことが問題の根底にあり、そのため国 内
風 車 メーカーがリスクを取って投資をできない、 認証活用のしくみの整 備
が 進 まない、といった状況となっている。
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(3) 標 準化又は認証活用の方向性
我 が 国の大型風力発電システムの国際競争力獲得のためには、まず国 内
市 場 拡大のための環境整備が不可欠であり、同時に認証制度の構築、製 品
開 発 ・認証のための試験機関の整備等を明確化する必要がある。
3.3.4 高 度 部素材
(1) 事 業 環境
高 度部素材(①磁性材料、②有機半導体、③ガスバリア膜、④蓄電池 )
は 我 が国の製品の技術力が優位な分野である。これまでは相対取引にお い
て 性 能面で競争力を維持できているため現段階で新たな認証スキームを 構
築 す る必要性は少ないが、標準化と 認証を利用して技術的優位性を維持 す
る 仕 組みを構築できる 可能性についての検討を行った。
(2) 標 準化又は認証活用の現状と課題
標 準化については 、ガスバリア膜では国際競争力強化のため我が国が 主
導 的 に取り組みを行っているが、その他の分野では、規格整備、試験環 境
整 備 、認証円滑化とも検討段階である。
(3) 標 準化又は認証活用の方向性
高 度部素材分野においては、我が国の技術的優位性のもと、現時点では
高 い 市場占有率を維持している。この分野では、寧ろ標準化によるノウハ
ウ の 流出が懸念され、安全性・相互接続性・性能等についてはデバイスレ
ベ ル で規定することによってコア技術をブラックボックス化し、これまで
同 様 に相対取引の中でデバイスメーカーと部素材メーカーとの摺り合わせ
に よ るクローズな関係を継続し、デバイスメーカーへの技術流出を防ぎつ
つ 、 材料技術・プロセス技術・デバイス技術の革新を継続することが当面
の 基 本戦略と考えられる。
個 別素材では、磁性材料については我が国の 磁性産業全体としての国 際
標 準 化戦略の検討、ハイバリア膜ではハイバリア領域の計測法として、 公
平 ・ 公正な比較評価ができる測定方法の標準化の検討などを我が国が中 心
と な って進める。
3.3.5 LED 電球及び照明器具
(1) 事 業環境
LED 電 球 及 び 照 明 器 具 に つ い て は 今 後 世 界 の 各 地 域 に て 市 場 の 拡 大 が
予 想 されており、健全なグローバル市場整備及び今後の海外展開には、 急
速 に 整備が進んでいる安全性や性能に係る国際規格への対応・認証体制 の
9
整 備 が必要となる。海外の一般向け電球市場は海外メーカーが大きなシ ェ
ア を 確保しており、日本メーカーとしては性能の優位性をアピールしつつ、
得 意 分野を狙っていくことになる。
(2) 標 準 化又は認証活用の現状 と課題
LED 電球・照明器具の性能測定方法に関しては、現在、国際標準が急 速
に 整 備されつつある。しかし我が国においては、測光に関して国際的に 通
用 す る水準である JNLA 認定試験所が国内で不足している状況となってい
る。
(3) 標 準化又は認証活用の方向性
我 が国としては、国内で中立の試験所の数が不足していることから、 国
内 で 第三者認証に対応できる公設試験研究機関の数と能力向上(人材育成)
を 図 ることにより、国 内の JNLA 認定試験所を増やし試験体制を強化す る。
そ の 上で、アジア諸国における省エネ基準の適正化(発光効率だけで基 準
を 設 定せず、総合的な性能を勘案すること)、日本の試験データのアジアで
の 活 用 、LED 照 明 器 具 の 省 エ ネ 試 験 手 法 の 確 立 な ど を 進 め る こ と で 省 エ
ネ・演色性・寿命等の日本製品 の優位性が適切に評価される状態を目指す。
3.3.6 鉄 道システム
(1) 事 業環境
欧 米及びアジア等新興国では都市の発展やインフラ更新などにより、 鉄
道 シ ステムの需要が拡大することが予想されている。そのような中で、 有
望 市 場であるアジアを含む海外でのプロジェクトでは、鉄道システムの 安
全 性 を立証 するため に RAMS 規格と呼 ばれる国際 規格への 適合が求め ら
れ て いる。
一 方、国内の鉄道システムは技術力において一定の強みを持つものの 、
こ の ような海外プロジェクトにおける適合性評価への対応という観点で は
必 ず しも経験が豊富ではない。
今 後、我が国の鉄道メーカーにおける円滑な海外展開を実現するため に
は 、 その製品や技術が(適合性評価等の観点から)海外市場において適 正
に 評 価される必要があり、これを実現するための取り組みが求められて い
る。
(2) 標 準 化又は認証活用の現状と課題
我 が国でも 2012 年 9 月に鉄道システムを対象とした認証機関が 設立さ
れ 、 認証実績を 徐々に積み上 げている。しかし、認定を受けている認証 サ
ー ビ スの範囲拡大や、海外 で認証結果が受け入れられる状況の維持・向上 、
10
と い った課題がある。
(3) 標 準 化又は認証活用の方向 性
国 内認証機関は認証業務の対応能力向上と 、鉄道メーカーによる積極 的
な 認 証取得・活用により、認証の有効性を向上させ、調達元の信頼を得 て
い く ことが必要である。また海外向け製品試験を想定した国内試験所の 整
備 も 合わせて検討していく必要がある。
3.3.7 生活支援ロボット
(1) 事 業環境
生 活支援ロボット( Personal Care Robot)は、我が国の 技術開発と実 証
が 世 界的にも先行している分野である。 現在、生活支援ロボットの市場 は
徐 々 に拡大しつつあるものの、十分な市場創出に至っていない。 安全性 評
価に活用できる国内外の規格が存在しないことも一因と考えられ、
ISO13482 の発行により任意で ISO13482 への適合を示すことで安全性 を
立 証 することができるようになった。
(2) 標 準化又は認証活用の現状と課題
我 が 国 は 、 NEDO 生 活 支 援 ロ ボ ッ ト プ ロ ジ ェ ク ト を 通 じ て 国 際 規 格
ISO13482 の開発を主導するとともに評価手法の開発も実施した。その成
果 を 踏 ま え 、 一 般 財 団 法 人 日 本 品 質 保 証 機 構 ( JQA) が 、 ISO/DIS13482
に 基 づく世界初の認証を 1 件、ISO13482 に基づく世界初の認証を 2 件、
発 行 している。
生 活支援ロボットの更なる普及にあたっては、既存の認証機関や試験 所
に お いて認証取得や試験が実施できる体制を今後も維持しつつ、ロボッ ト
開 発 メーカーによる積極的な認証の活用が 重要であると考えられる。
(3) 標 準化又は認証活用の方向性
生 活支援ロボットにおける認証活用の方向性としては、①ISO13482 に
基 づ いた認証の効果および普及に寄与した認証事例の共有、②リスクアセ
ス メ ント等の評価ポイントを具体的に絞ることで ISO13482 適用を容易に
す る 詳細規格の開発と、ISO13482 に整合した JIS 規格発行による普及推
進 、 ③認証実績に基づき蓄積された知見、特に設計コンセプト評価に関す
る 手 法の、認証機関等によるメーカーへの技術支援、④生活支援ロボット
安 全 検証センターを、プロジェクトの範囲内にとどまらず広くロボット開
発 メ ーカーの安全性評価に利用することで、試験に関するノウハウの蓄積
と 技 術力の向上、の4点が挙げられる。
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3.3.8 フ ァインバブル
(1) 事 業環境
フ ァ インバブルに関する技 術開発は我が国がリードする状況となって お
り 、 ファインバブルを用いた 新たな産業が興りつつある中、グローバル 市
場 の 健全な発展のためには、 目に見えないファインバブルの機能に関す る
客 観 的な評価方法及びファイ ンバブルの認証システムを構築し、市場に 適
切 な 製品を提供する環境整備 が必要となっている。
(2) 標 準 化又は認証活用の現状と課題
技 術開発の部分で我が国が先行しており、技術力を先行者利益として 競
争 力 にしていくためには、国際規格を整備しつつ我が国発の認証体制を 構
築 す ることが急務である。
(3) 標 準化又は認証活用の方向性
規 格開発については、定義、計測方法、等の規格をファインバブル産 業
界 を 中心に策定する。ファインバブルの分野では、トップスタンダード 制
度 を 活用するなど産官学連携した体制で取り組みを進めており、当面は 業
界 の 認証体制を確立させ、将来的には国際的に認知される仕組み作りを 目
指す。
3.3.9 制 御システムセキュリティ
(1) 事 業環境
制 御システムは、エネルギー分野、 石油・化学等のプラントや機械・ 食
品 等 の生産・加工ラインなどを統括的に管理することを目的としたシステ
ム で ある。それらのシステムをサイバー攻撃から守り安定稼働を立証する
観 点 から、セキュリティ対策の重要性が認識されており、今後の市場拡大
が 期 待されている。
我 が 国は ISMS 認証取得の市場占有度が 52%であり、制御システムセ キ
ュ リ ティの国際標準化をリードする上では有利なポジションとなっている。
(2) 標 準化又は認証活用の現状と課題
国 際規格 IEC62443-2-1 を活用した制御システムセキュリティマネジ メ
ン ト システム CSMS(Cyber Security Management System)について、 適
切 な 認証体制の構築を目的としたパイロット事業を実施した。既存の
ISMS の認証体制を参考に、CSMS についての認証サービスを提供でき る
体 制 を確立した。本事業にて認証、認定基準を作り、CSMS 構築に有効な
ユ ー ザーズ ガイドを策定した。
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(3) 標 準 化又は認証活用の方向 性
現 在、我が国を含む世界各 国において ISMS の 認証活用のしくみは構 築
さ れ て いるが、CSMS の 認証制度は世界各国においても存在していない。
我 が 国 の制御システムセキュ リティの強化及びインフラ輸出の強化を図 る
べ く 、パイロット事業の成果を元に、早期に CSMS 認証サービスの開始 を
目 指 す。CSMS は制御システ ムセキュリティに関するマネジメント認証で
あ る が、製品認証(EDSA 認証)との関連についても整理・検討する。
3.4 各 対 象 分野の課題の類型化
こ こ で は、各 9分 野 で抽出 された 主な 課 題を分 野横断 的に 類 型化し た。 以 下
に 示す よ う に、 各 課 題 は、 事 業 環境 に 関 す る課 題 ( 3.4.1)、 規 格開 発 に 関す る
課 題(3.4.2)、試験 環境整備に関する課題(3.4.3)、認証の実効性向上に関する
課 題 (3.4.4)に大きく分類することができる。
各 分 野 に おける主な課題と上記 分類との対応関係を表 3-1 に示す。またこれ
ら の 課 題 に 関する、各ワーキンググループにおける検討の概況を表 3-2 に示 す。
3.4.1 事 業環境に関する課題
特 に 新 しい技 術や 製 品 の分 野での グロ ー バル展 開は必 ずし も 容易な もので は
な い が 、 製品市場の 動向を正しく把握・予測し適切に対応していくことは極め
て 重 要 で ある。例えば、生活支援ロボットなどの新しい技術や製品においては
グ ロ ー バ ル市場が未だ形成されておらず黎明期ではあるが、逆に安全性に関す
る 国 際 標 準及び認証を先導的に取得することで市場創出への梃子としての活用
を 試 み て いる。
高 度 部 素材分 野に つ いては 、 こ れ まで は 相対取 引の中 で我 が 国の技 術力が 評
価 さ れ て いる部分もあるため当面はブラックボックス化戦略を継続することが
事 業 戦 略 上は望ましいと考えられて いるが、グローバルな市場動向の予測には
不 確 実 性 もあることから、市場の状況把握と市場性評価を継続的に実施し 、常
に 戦 略 を 検討しておくことが重要である。
こ の よ うに新 しい 技 術や製 品分野 の事 業 環境に 適切に 対応 し ていく ために は 、
規 格 開 発 や試験環境整備などに個別に取り組むだけではなく、認証活用のしく
み 全 体 に 対して一貫性のある取り組みを行う必要があり、そのためには、市場
予 測 の ノ ウハウ及び標準化戦略の高度化は今後の我が国産業のグローバル展開
に お け る 大きな課題と考えられる。
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3.4.2 規 格開発に関する課題
フ ァ イ ンバブ ル分 野 は我が 国が技 術的 に リード してい る分 野 である 。 事業 戦
略 か ら 認 証体制構築までを精力的に進めており、現段階では規格開発に力を入
れ て い る 。規格開発では我が国の競争力が発揮されるような内容としていく必
要 が あ り 、ファインバブルの定義、計測方法、等の規格を策定している。
ま た 再 生医療 分野 に ついて も、認 証活 用 の 戦略 におい て規 格 開発の 段階と 位
置 付 け る ことができる。施設基準、周辺機器基準とも、再生医療分野において
我 が 国 の 競争力となるように重要な論点を洗い出した上 で規格を開発すること
が 必 要 で ある。
規 格 開 発にお いて は 、我が 国の技 術力 に 最大限 の付加 価値 を 付ける 規格を 開
発 す る た めの戦略立案が重要となる。
3.4.3 試 験環境整備に関する課題
大 規 模 分散電 源分 野 は国内 に試験 施設 が 無いた め、こ れま で 、海外 調達元 か
ら 要 求 さ れる試験を実施するために、非常に大きなコストを要してきた。また、
LED 電 球 及び証明器具の分野においては、海外での国際標準化が急速に進む 中 、
そ れ に 対 応するための国内 JNLA 認定試験所が不足する状況となっている。
こ れ ら の分野 では 国 内試験 所を増 強す る ことで 日本製 品の 輸 出に資 すると 考
え ら れ る 。ただし、試験設備を建設する際には、初期投資だけではなく特に運
用 段 階 で の利用頻度などを想定した上で運用コストについても計画時に考慮し
て お く こ とが重要である。
3.4.4 認 証の実効性向上に関する課題
制 御 シ ステム セキ ュ リティ 分野で は、 国 際規格 が発行 され 、 現在は パイロ ッ
ト 認 証 を 実施して我が国がリードして認証体制の構築を進めている段階である。
ま た 、 鉄 道システム分野では、国内認証機関を立ち上げ、海外へのキャッチア
ッ プ の た めの実績を積んでいる段階である。
こ れ ら の事例 に共 通 してい ること は、 国 内の認 証のし くみ を 、海外 の調達 元
に 認 め ら れるグローバルな信頼を得たものとするために、
「実績」を積んでい る
と い う 点 である。
「実績」は、国内認証機関を国際的に通用するものにしていく
際 の 重 要 なポイントとなる。
14
表 3-1
我が 国 の認 証 活用の しくみ の整 備 (各W Gテー マ ) に お け る 重 点 課 題
分野
1
大 規 模分散電源関連設備
課題(主要な内容を抜粋)
事業
規格
試験
認証
環境
開発
環境
実効性
海外市場から要求される試験を行う試験場、組織及
○
び人材が国内に無い。
2
再 生 医療
再生医療技術の特性を踏まえた国際規格基準の整備
○
が課題である。
3
大 型 風力発電システム
国内市場規模が小さく、国内認証活用(試験設備、
認証機関)の必要性から検討する。
4
高 度 部素材
将来的な市場動向変化を見据えて前広に 検 討 す る 。
5
LED 電球及び照明器具
第三者試験機関及び人材が不足である。
6
鉄 道 システム
調達側に認められるため、認証機関が実績を積むこ
○
○
○
○
とが必要である。
7
生 活 支援ロボット
製品市場の創出のために認証を積極的に 活 用 す る 。
8
フ ァ インバブル
健全な市場形成に向けた認証制度を規格開発から検
討する。
9
制 御 システムセキュリティ
パイロット認証を通じて認証体制を整備 中 で あ る 。
15
○
○
○
表 3-2
No.
各ワー キ ン グ グ ル ー プ に お け る 検 討 結 果
事業環境(標準化戦略の策定)
大規模分散電源関連設備
蓄電池については機器としての安全性及び性能の評価、PCS
については安全性及び性能に加えて電力網への接続について
各国の電力系統連系要件への適合が求められる。欧米・中国
において、試験設備の設置及び認証体制の構築が進んでお
り、我が国においても早急に国内における試験設備確保及び
認証を実施する主体の決定が必要。
蓄電池、PCSについて性能、安全性、接続連系の分野でIEC規
格、UL規格、IEEE規格等が存在するが、蓄電池システム(蓄電
池とPCSを一つのシステムとしてみたもの)については規格が
未整備な部分があり、これら未整備な分野等における国際標
準化テーマについて現在検討中。
再生医療
再生医療については、医師法、医療法の下で実施される医師
の業務外の領域である細胞の培養・加工等に用いる装置、機
器、サービス等が認証の必要性の検討対象と考えられる。
一方、規格の検討が途上であるため具体的な検討は今後行う
予定。
細胞培養加工装置・機器、サービス等に関する仕様、要求事
項、試験方法、特定方法等のうち規格が期待される分野とその
検討も未着手。
道筋を今年度中に特定。規格レベル(ISO,JIS,業界/学会標準)
については今後の検討課題である。
3
大型風力発電システム
【市場】
・ドイツ、デンマーク、韓国:風車建設に掛かる法的要件として
認証が必要
・その他の市場:商習慣として認証が必要(認証を取得してい
ないとファイナンス・保険を受けることが困難)
【認証内容】
・型式認証:設計評価、性能評価(発電性能、騒音、疲労試験
等)
・プロジェクト認証:サイト条件との適合性、製造監視、輸送・据
付の監視、定期モニタリングの実施
・国際規格:IEC61400シリーズが整備されている。
・デファクトとしては、GL規格、DNV規格が普及しており、IECよ
りも詳細に記述されているため、IECが参照している状況。
・IECへの統合が世界的な流れであり、日本独自の規格開発は
不要(日本に必要な規格をIEC化する動きは実施している)。
4
高度部素材
認証については現時点では不要
日本では、公的な試験機関はない。
計測方法規格は既に存在しているが、ごく一般的なレベルに留
海外ではドイツ、英国、中国等の公的な計測センターがトレー
まっており、産業界の先端で活用できるレベルとの乖離が大き
サブルな計測サービスを実施。センター間で相互比較を複数実
い。
施しているが、この枠組みに日本は参画していない。
総論として、より産業の現場での計測ニーズに近いレベルに標準化の水
準を挙げたいとの意向はあるが、各論レベルでは合意が形成されていな
い。今後、磁性産業全体としての標準化・認証基盤整備戦略を検討して
いく必要がある。
②(有機半導体)
有機EL材料の標準化・認証は日本の材料メーカの優位性を削
ぐこととなるため不要
有機ELデバイス・最終製品(照明)の、“製品寿命”、“安全性
(特に発火性)”、“照度”等について、日本製の材料を利用しな
いと実現できない高い基準を認証対象とすることが重要。
有機EL照明についてはCIE(国際照明委員会) TC-68につい
て規格策定の動きが進んでいるが、デバイスとしての安全性・
側光方法・性能(寿命、効率(lm/W))に関する議論が主であ
り、有機EL材料についての標準化・規格化の議論は行われて
いない。
照明デバイスという観点では、韓国が積極的にCIEへの提案を
行っている。
有機EL照明デバイスの性能(寿命、効率(lm/W))、安全性(特に、ショー
トによる発火)に関する規格は、粗悪品の台頭による当該製品の普及阻
害要因を取り除くために有効。
部素材に関しては、標準化・オープン化はせずブラックボックス化して、デ
バイスメーカと部素材メーカとの摺り合わせによるクローズな関係を継続。
デバイスメーカへの技術流出を防ぎつつ、材料技術・プロセス技術・デバ
イス技術の革新を継続。
認証に関しては、デバイスの性能を第三者的に担保する仕組みとして有
効。
③(ガスバリア膜)
認証については不要
(バリア性は膜の1特性に過ぎないこと、設計や想定使用環境
によりバリア性に対する要求が多様であること等による)。
ハイバリア領域の計測については、現在、民間企業による測定
ハイバリア領域のバリア性計測方法の国際規格を日本主導で
サービスが存在。公的な測定サービスについてのニーズは高く
策定中。
ない。
1
2
①(磁性材料)
規格開発(認証などの適合性評価の体制構築)
試験環境整備
欧米、中国では大型蓄電池や大型PCSに対応した試験評価拠
点が整備されているが、これまで国内にはそのような試験機関
が存在していなかったため、日本でも平成25年度補正予算に
より、大型PCSについては産総研福島に、大型蓄電池について
はNITEに試験評価拠点を整備することとなった。
・日本において試験を実施している機関はない。海外の機関を
活用するか、認証機関立ち会いによる自社試験で対応してい
る。
・現状の国内マーケット規模では、国内試験機関が十分に稼働
することができないが、今後国内マーケットが拡大した際には
それに応じた新機種開発が必要となるため、国内にも試験機
関が整備されることが不可欠。
認証の実効性の向上
今年度中の結論
テーマ
将来的には国内で取得した認証が海外で通用するよう、国内
の認証体制の強化を検討中である。
平成25年度補正予算により、大型PCSについては産総研福島に、大型蓄
電池についてはNITEに試験評価拠点を整備することとなった。
本試験評価拠点を活用した、国際標準化テーマや国内で取得した認証を
また、規格が未整備なアジアと規格の整備支援等の連携を図
海外で通用するようにするために必要な準備やアジアとの連携等の方向
ることで、国内認証基盤のアジアへの展開について検討中。
性について今年度中に取りまとめる。
検討も未着手。
規格が必要な設備を今年度中に特定し、規格開発を来年度以降着手出
来るようにする。
・日本においては、日本海事協会が小型風車の認証を実施し、
大型についても検討を始めている。試験を実施している機関は
ない。
・海外進出の際は、海外の試験機関を活用し、海外の認証を取
得している。GL・DNVの認証がグローバルスタンダードであり、
日本の認証機関の認証はすぐには、海外市場では価値を持た
ない可能性が高い。しかし、台風・乱流などの基準を国際的標
準にしていく活動は必要。
・諸外国の動向・歴史的経緯を調査し、試験機関・認証機関整備が必要
となる外的要件(市場環境、制作環境等)を明確化する。
・将来的に試験機関・認証機関を整備する場合の、整備内容・担い手に
ついて取りまとめる。
日本では、照明に関しては、従来よりJNLA認定を受けている機
関(現在24箇所)が試験を行っているが、有機EL照明に関する
公的な試験機関はない。
検討も未着手。
海外でも無い模様。
ハイバリア領域の計測法として、公平・公正な比較評価ができる計測方法
の標準化(策定中)の確立を目指す。
④(蓄電池)
部素材レベルの認証は不要
規格化は不要。(セル・モジュールレベルでの性能、安全性規
幾つかの民間企業による営利サービスとして部素材レベルの
(安全性や性能の認証が必要となるのはセル・モジュールレベ 格については注意深く策定されつつあるが、部素材レベルでの
試験・分析が行われているが、内容は完全にクローズ。
規格化は不必要)。
ルであり、部素材レベルで認証をすることは不要)。
5
LED電球及び照明器具
国内で、中立の試験所の数が不足していることから、公設試験
研究機関の能力向上(人材育成)を図ることにより、JNLA認定
LED電球・照明器具の国際規格は、急速に整備が進んでいる
取得を進め国内の試験体制を強化する。
LED電球及び照明器具の性能差別化(省エネ性だけでなく、演 が、IEC規格、CIE(国際照明委員会)規格、IES(米国照明学
国内でのJNLA認定試験所による測光試験の実績を積んだ上
色性、寿命など総合的な品質での差別化)
会)規格、JISが混在している状態。
で、日本メーカーが市場として注目するアジア現地国における
LED電球・照明器具について、JISの整備はほぼ終わっている。
日本国内試験データの採用働きかけ、東南アジアでの試験機
関の能力向上支援を行う。
(国内)電球・照明器具については、中立の試験所が不足して
いたが、JNLA認定を取得した試験所が2013年度中に数機関
になる見込み。
国内のJNLA認定試験所を増やすという明確な方向性を示す。その上で、
(海外)中国には米国EnergyStar認定の測光試験所が数十件 照明メーカーが注視するアジア市場への展開の方向性を示す。
ある。東南アジアは測光体制が未整備。LED電球にかかる性
能規格も整備途上。
6
鉄道システム
鉄道システムにおいては、規格に基づく試験のデータ提出が求
められ、場合によっては認証まで求められることがある。特に IEC62278(鉄道RAMS)が中心的な規格であるが、EMCや環
SILのレベルにより認証が必須となる。鉄道システムの中では、 境、スイッチ等の規格も多数あり。
特に信号システムにおいて認証が求められることが多い。
第三者による試験が求められるものとしては、EMC、環境試
験、燃焼試験等がある。EMCでは、高圧で実施しなければなら
ない地上設備の試験や、振動・温湿度・防水などの環境試験、
車両で求められる内装材料の難燃性、有毒ガス、煙について
の燃焼試験が該当する。
2012年9月に、(独)交通安全環境研究所(交通研)が認証機
関として認定された。信号システムに対し、5件の認証実績が
認証機関の認証実績の積み上げや実プロジェクトへの適用、そのための
ある。
広報活動等、認知度向上に向けた方向性を示す必要がある。
認証実績は徐々に積み上がっているものの、海外での認知度
は十分ではない現状がある。
7
生活支援ロボット
ISO13482が年度内にIS化予定。
規制のある分野と規制のない分野があり、規制のある分野で ISO13482は、汎用的な規格であるため、製品開発時にどこま
は認証が求められるが、規制のない分野での認証については で設計すれば安全かの指標とはなりにくい面がある。そのた
め、試験方法等まで含めた詳細な規格の開発を進め、日本の
必要性の考え方の整理が必要である。
技術力の差別化を狙う方向である。
2013年2月、サイバーダイン(株)のHAL(福祉用)がJQAから
試験所として、生活支援ロボット安全検証センターがある。
ISO/DIS 13482認証を取得した。
振動、温湿度試験、安全性試験などの試験が実施できる設備
市場立ち上げに向けた認証および試験所の活用についての方向性を明
認証体制について検討が必要であるが、既存の体制をまずは
を持っているのが特徴であるが、試験所の持続性を考慮した今
確化することが必要である。
活用しながら、市場の立ち上がりを待って体制構築を検討す
後の方向性について検討が必要である。
る。
8
9
ファインバブル
制御システムセキュリティ(MS)
部素材レベルではブラックボックス化を可能な限り維持する。
ファインバブル水等の製品の認証とファインバブル発生装置
(機器)の認証が対象になりうる。
ファインバブル水の認証については、一定基準以上含まれてい
るか気泡の大きさと量で評価することを想定。経時的な変化
(劣化)が想定されるため保存・輸送方法なども含めて、認証の
必要性を検討中。
測定原理の異なる各種計測装置をNITEに設置し、計測方法
規格開発は、定義、計測方法、応用アプリの規格を策定する方向。認証
ファインバブル技術に関する我が国を幹事国とする新たなTCを
ファインバブル発生装置の認証については、原則として一定条
スキームについては、当面は業界認証を確立させ、将来的には国際的に
の確立に向けて、どの計測方法がバブルの観察に適当か試験
ISOに設立(H25年6月)。定義、計測方法等の規格を検討中。
件下となる超純水等を用いてファインバブルを発生させ、機器
認知される仕組み作りを目指す方向。
評価を実施中。
認証の必要性を検討中。
認証スキームについては、試験所における試験レポートを基に
業界が認証し認証マークを付与するといった業界認証を検討。
将来的には第三者認証も見据えてその実現可能性を検討中。
制御システムをサイバー攻撃から守るためのマネジメントシス
テムである。制御システムにおいても、汎用OSの活用やネット
ワークの接続拡大等の理由から、セキュリティ上のリスクが増
大しており、海外の事業者、例えば米国の石油・化学プラント事
業者、から認証を求められる場合が今後想定される。
IEC62443-2(Cyber Security Management System:CSMS)とし
て発行済み。
マネジメントシステムであり、不要。
パイロット認証の結果を必要に応じて認証基準等にフィードバッ
クをかける。
16
パイロット認証を実施。パイロット認証の体制は、認定機関が
JIPDEC、認証機関はマネジメントシステムを事業としている各
CSMSは制御システムセキュリティに関するマネジメント認証であるが、製
認証機関からJQA、BSI-Jを公募により選定。既存のISMSの認
品認証(EDSA認証)との関連を整理し、方向性を示す必要がある。また、
証スキームを活用することで早期実現を目指す。本事業にて認
本認証制度普及に向けた具体的な活動計画を策定する必要がある。
証、認定基準を作り、認証を取る必要性についても触れたユー
ザーガイドの案等を策定。
3.5 各分 野 の検討結果のまとめ
検 討 の 結果、各 9 分野の課題は、①事業環境に関する課題、②規格開発に関
す る 課 題 、③試験環境整備に関する課題、④認証の実効性向上に関する課題に
大 き く 整 理することができた。
「 ①事 業 環境 に関 す る 課題 」では 、市 場 が 未成 熟であ るな ど の事業 環境に 困
難 を 抱 え ながらも市場開拓のために標準化を活用している事例もあり、市場予
測 の ノ ウ ハウ蓄積、我が国の技術力に最大限の付加価値を付ける認証活用戦略
の 高 度 化 等が今後の我が国産業のグローバル展開における大きな課題と考えら
れる。
「② 規格開発に関する課題」では、これら展開戦略に適した国際規格開発
及 び 体 制 構築が重要となる。
「③ 試験環境整備に関する課題」では、国内試験 環
境 が 足 り ないことが グローバル展開における弱みになっているケースも明らか
に な っ た 。ただし試験環境の整備においては、特に運用段階での利用頻度など
を 想 定 し た上で運用コストについても計画時に考慮しておくことが重要であ る。
「 ④ 認 証 の実効性向上に関する課 題」では、 最終的に国内認証機関を国際的に
通 用 す る ものにしていくためには、実績を積み海外市場からの信頼を得ること
が 重 要 で あるとの結論に至った。
今 後 グ ロ ーバル展開を図る新し い技術や製品の分野では、 それぞれの産業分
野 の 状 況 に応じて適切な認証活用のための戦略を検討する必要があり、上記が
重 要 な 視 点になると 考えられる。
17
4. 海 外 認 証機関等の周辺機能の分析
4.1 目 的
海 外 に おいて は、 新 しい技 術や製 品の 認 証活用 に当た り、 認 証機関 と製造 事
業 者 が 協 同する等の例が多くみられる。これを踏まえ当検討では、我が国企業
の グ ロ ー バル展開に必要な機能を明確化することを目的として、海外認証機関
に 対 し て ヒアリング調査を実施し、海外認証機関の活動の実態を分析した。
な お 、 海外認 証機 関 は試験 ・認証 業務 以 外(コ ンサル ティ ン グやア ウトソー
シ ン グ 、 規格作成な ど。図 4-1 参照。) においても幅広い業 務を行っている。
この こ と から、認証業務以外の周辺機能も含めて調査対象とした。
図 4-1
海外認 証機 関の事業 活動の 全体 像イメー ジ
4.2 調 査 方 法
海 外 認 証機関の活動に関して、公開情報調査(WEB 調査)及 び現地ヒアリン
グ 調 査 に より把握した。
4.3 調 査 内 容
海 外 認 証機関 現地 ヒ アリン グ調査 にお け る主な 質問項 目を 以 下に示 す。ヒア
リ ン グ 調 査においてはこれらの質問項目を軸に聞き取りを行ったが、ヒアリン
グ の 進 行 状況や制限時間等 の各種制約条件の中で柔軟に対応し聞き取りを行っ
た。
18
表 4-1
区分
項目
理念
アイデンティティ
出自
顧客
顧客と価値
価値・機能
組織・ガバナンス
事業戦略検討
ステークホルダー
市場選定
市場
市場環境
受注戦略
周辺事業
ポートフォリオ
事業戦略
調達側への働きかけ
連携機関
連携強化
競合・差別化戦略
海外展開
リソース
ヒト
事業の資源
モノ(インフラ等)
カネ
情報
情報管理
その他
日本の認証機関
海外認 証機 関への主 な 質問 項目
質問項目
組織の存在目的は何か。
組織の創生時点の事業内容は何であったか。現在の事業分野・事
業規模を形成してきた過程はどのようであったのか(組織の意思・考
え方、市場環境の変化など)。
最重要の顧客は誰か。(事業収入(うち自国産業の比率)及び社会
的意味)
顧客(またはステークホルダー)に対してどのような価値・機能を提
供しているのか。(顧客に対しての存在意義)
組織全体の構造と各部署の役割はどのように設計されているか。そ
して事業戦略策定は組織のどの部署/誰が担っているか。
事業戦略の考え方に強く影響を与えているステークホルダーは誰
か。(社長?/株主?/NPO/・・・)
現在、収益の中心となっている市場、及び、開拓しようとしている市
場はどの地域、どの分野か。
主に対象としている市場における要求項目(スペックの高さ、安全
性、コスト、他の要件)、認証スキーム(認証スキーム構築における主
なプレイヤー) 、国際規格等の概況
顧客のニーズを満たす(受注を獲得する)ための重要な訴求ポイン
ト・競争における強み(顧客に「選んで貰う」価値)は何か。そのため
に具体的にどのような活動を行っているのか。
認証業務以外に実施している事業活動(周辺事業)は何か?その
中で認証事業と深く関係している活動、力を入れている活動は何
か?
組織の事業ポートフォリオ及び、その中での認証事業はどのように
位置付けられているか。
認証機関は顧客要求に応えるために、調達側に対してもアプロー
チ(ニーズの把握や認証以外のサービス)を行っているか。どのよう
にして行っているか。
関係機関・ステークホルダー(国内外)との連携/M&A(買収)な
どは行っているか。どのような考え方で行っているか。
様々なステークホルダーとの人事交換(出向・派遣・転職者活用)を
行っているか。
主な競合相手(コンペティター)としてはどのような機関があるか。認
証事業における競争を勝ち抜くためのコンペティターとの差別化の
ポイントはどのようなものか。
特に振興市場での認証ニーズの開拓を行う場合にはどのようなこと
を実施しているか。
認証事業・周辺事業のために最も重要なリソースは何だと考えてい
るか。
認証に必要な人材はどのようにして育成しているのか。職員のキャリ
アパス・平均勤続年数などはどのような状況か。海外展開先におけ
る人材採用や知識共有の方法はどのようなものか。
認証に必要なインフラはどのようなものがあるのか。試験機関などと
の連携なども進めているのか。
歳入は全て事業の受注によるものか。(政府からの資金援助は受け
ておらず自立しているか)
認証事業に必要な情報は何か。規制や規格基準類の動向等を把
握するためにどのような活動・連携を行っているのか。
認証機関の利用を通じて、ノウハウなどが流出することを懸念する
声もあるが、情報管理の適切性に関する説明責任をどのように果た
しているのか。
日本における今後の活動のビジョン、日本における活動の特徴(ク
ライアントとの関係性に関する欧州との差異)、日本の認証機関との
連携の可能性をどのように考えているか。
19
重点項目
○
◎
○
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
4.4 調 査 対象機関の選定
海 外 認 証機関 ヒア リ ング調 査の対 象機 関 選定の 考え方 、対 象 機関候 補、対象
機 関 の 決 定方法などを以下に示す。
4.4.1 選 定の考え方
我 が 国 の各種 産業 の 今後の 海外展 開を 支 える国 内の認 証活 用 のしく みの整 備
に 資 す る ため、以下の観点から調査対象となる認証機関を選定した。

ア ジア市場を含めグローバルに活動を展開している認証機関
( 主要な欧州メジャー認証機関)

積 極的に事業拡大を行っている認証機関
( 積極的に企業買収を行っている SGS、Intertek、TÜV SÜD 等)

認 証事業展開の観点で特徴的な活動をしている認証機関
( エネルギー分野に 強い KEMA、CB レポート発行数の多い NEMKO 等 )
4.4.2 調 査対象機関
各 海 外 認証機 関に 対 して上 述の考 え方 に 基づい て優先 順位 を 考慮し ながら ヒ
ア リ ン グ 調査対応の打診を行い、調査工程・調査期間などの制約の中で調査対
象 機 関 を 決定した(表 4-2 に示す)。
表 4-2
No.
認証 機関
海外ヒ アリ ング調査 対象認 証機 関
所在 地
特徴
1
VDE
German/Frankfurt
規格 開発 、 学会 と の連 携
2
TÜV SÜD
German/Munchen
企業 買収 が 活発
3
Lloyd’s Register
UK/London
企業 買収 が 活発
4
Intertek
UK/London
企業 買収 が 活発 (SEMKO 等 )
5
DNV GL
Norway/Oslo
DNV&KEMA 合 併
6
CSA Group
Canada/Toronto
規格 開発 、 北米 圏 で UL と 競合
7
UL
USA/Chicago
企業 買収 が 活発 (DEMKO 等 )
8
DNV/KEMA
Netherlands /Arnhem
DNV&KEMA 合 併
20
4.5 対 象 機関の事業分野
各 認 証 機 関に 関す る 、 公 開情 報(HP、CSR レポー ト等 )な どの 入手 可能 な
情 報 に 基 づく事業概要を以下に整理する。
こ れ ら の事業概要に関する考察は次節にてあ わせて整理する。
4.5.1 VDE
VDE の 概要、沿革、事業分野 を以下に示す。
(1) 概 要
VDE と は、Verband Der Elektrotechnik Elektronik Informationstechnik
e.V の 略 で、電気・電子及び情報技術協会を意味する。ベルリンに設立された
技 術 者 連 合を母体としており、規格開発とともに認証業務を行っている。
ド イ ツ の電気 技術 関 係者組 織が起 源で あ るため 、電気 ・電 子 製品の テスト 、
製 品認 証 、 国 際 規格 ( IEC、CENELEC) 開発 が 主 た る 事業 だ が、 情 報 技 術 、
マ イ ク ロ エレクトロニクス、ナノ テクノロジー、医療工学等、対象分野を広げ
ている。
現 在は 36,000 以上の協会員(うち 1,300 社の法人会員)を有し、ドイツ 29
地 域 に 関 連協会があり、60 大学と連携、5 つの専門技術協会を持つ非営利団体
と し て 活 動している 3 。
表 4-3
本部
売 上 高 ( 2012 年 )
事 業 所 進 出 国 数 ( 2012 年 )
総 従 業 員 数 ( 2012 年 )
VDEの概要
4
ドイツ(フランクフルト)
1 億 5,000 万 ユ ー ロ
( 172 億 1,000 万 円 5 )
18 カ 国
(欧州、アフリカ、アジア、北米)
1,100 人
3
VDE ホ ー ム ペ ー ジ http://www.vdeglobalservices.com/ja/Pages/About%20Us.aspx 及 び
Welcome to VDE, Visit of the Mitsubishi Research Institute on 07.10.2013( ヒ ア リ ン グ 資 料 )
4
同上
5
1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
21
図 4-2
VDEの海外 拠点
6
規 格 開 発部門の DKE がドイツの電気安全規格である「DIN EN 規格(通 称
VDE 規 格 )」 を 制 定 し 、 試 験 ・ 認 証 部 門 の VDE Testing and Certification
Institute が規格に基づき認証を行っている(図 4-3)。
規格開発
試験・認証
図 4-3
6
7
VDE組織図
7
Welcome to VDE, Visit of the Mitsubishi Research Institute on 07.10.2013( ヒ ア リ ン グ 資 料 )
Welcome to VDE, Visit of the Mitsubishi Research Institute on 07.10.2013( ヒ ア リ ン グ 資 料 ) を
もとに三菱総合研究所作成
22
(2) 沿 革
長 年 に わたり ドイ ツ の電気 ・電子 製品 の 規格開 発・試 験・ 認 証事業 を中心 に
行 っ て き たが、欧州規格、国際規格にも対応し、近年ではアジア(特に中国)
に も 積 極 的に進出している。
表 4-4
1879 年
1893 年
VDEの沿革
8
電 気 技 術 関 係 者 の 集 ま り で あ る 「 電 子 技 術 協 会 (ETV)」 が 設 立 さ れ る 。
各 地 に 設 立 さ れ た ETVを 束 ね る 組 織 と し て「 ド イ ツ 電 気 技 術 者 協 会 (VDE)」が 設 立 さ れ
る
9。 規 制 及 び 産 業 政 策 に 基 づ き 、 技 術 ・ 規 格 等 を 扱 う 中 央 組 織 を 運 営 。
VDE の 電 気 機 器 運 用 に 関 す る 規 格 策 定 委 員 会 が 策 定 し た 規 格( DIN VDE 0100 の 前 身 )
1896 年
が 規 制 機 関 の 技 術 ガ イ ド ラ イ ン と し て 採 択 さ れ る 。そ の 後 、劇 場 、倉 庫 、鉄 道 等 の 安 全
性に関する規格を策定。
1920 年
電気・電子部品の試験・認証機関をベルリンに設立。
1935 年
VDE 規 格 が ド イ ツ の 「 認 定 技 術 規 則 」 と し て 扱 わ れ る よ う に な る 。
1998 年
組 織 名 称 を「 ド イ ツ 電 気 技 術 者 協 会 」か ら「 電 気 ・ 電 子 及 び 情 報 技 術 協 会 」に 変 更 。専
2003 年
電 気 製 品 の 品 質・安 全 確 保 を 目 的 と し 、試 験・認 証 事 業 を 行 う た め の 支 社 及 び 設 備 を ア
2008 年
オ ー デ ィ オ ・ ビ デ オ 製 品 の 試 験 ・ 検 査 企 業 を 買 収 。 EMC 試 験 設 備 を 開 設 。
2012 年
ドイツのオッフェンバッハに電気自動車の電池及び環境試験センターを開設。
門 家 協 会 と し て の 活 動 だ け で は な く 、非 営 利 活 動 を 支 え る た め の 試 験・認 証 事 業 も 実 施 。
ジア地域に開設。
(3) 事 業分野
VDEで は、毎年約 5,000 の顧客に対し、16,000 件の VDE試験を実施し、全世
界 に お い て 20 万種類の製品に対しVDEマークを付与している。また、50 ヶ 国
以 上 の 地 域 のVDEパートナーと 提携している
8
10
。
The History of the VDE
http://www.vde.com/en/Association/Documents/Paper%20in%20VDE%20format%2020090910.pdf
9 シーメンス氏も創設者の一人である。
10 VDE ホ ー ム ペ ー ジ http://www.vdeglobalservices.com/en/Pages/AdvantagesFacts.aspx
23
表 4-5
安 全 ・ EMC
VDEのサー ビス概要
11
・ ド イ ツ 、 EU 及 び 国 際 規 格 に 基 づ く 試 験
・規格、指令及び法律への適合証明書
・設計段階または完成品の試験
・法的要求及び規格適合に関するアドバイス
化学品安全
・ 危 険 物 質 の 試 験 ( 例 ) PAH、 Phthalates な ど
・ REACH - SVHC (Substances of Very High Concern)の 試 験
・ RoHS 試 験 、 リ サ イ ク ル 率 の 評 価 (WEEE)
絶縁材料環境試験
・材料標準要求への適合試験
・プラスチック材料の認証
・ DIN、 EC、 IEC、 MIL に よ る 環 境 条 件 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン
ソフトウェアの評価
・リスク分析を含むソフトウェアの安全関連の評価
・製品開発から完成までの段階的な認証のアドバイス
ユーザビリティ
・性能測定、信頼性試験
・取り扱い、エルゴノミクス、操作機能の評価
エコデザインエネルギー効率
・エネルギー効率測定、エネルギーラベル、待機モードのロス
・ライフサイクル評価
騒音
・規格または顧客のリクエストに基づく試験
・騒音カメラによる騒音源の特定
VDE マ ニ ュ ア ル コ ン セ プ ト
・ユーザーに優しい取扱い説明書の作成
・リスク分析、消費者試験
検査サービス
・定期検査と適合性管理
・船積み前検査、製造ラインでの検査
マネジメントシステム監査
・品質、環境マネジメントシステムの認証
・定期監査に対応した監査実施
国際認証
・ CCC, CSA, GOST R, UL, CSA な ど の 国 際 認 証 の サ ポ ー ト
・ CB 認 証 、 CCA 認 証 の 発 行
11
VDE ホ ー ム ペ ー ジ http://www.vdeglobalservices.com/ja/service/Pages/default.aspx
24
4.5.2 TÜV SÜD
TÜV SÜD の概要、沿革、事業分野を以下に示す。
(1) 概 要
ド イ ツ ・マン ハイ ム に設立 された 蒸気 ボ イラー 検査協 会が 起 源で、 現在で は
電 気・電 子 機器、自動車、発電所 、エレベーター、鉄道、環境保護、食品安全、
マ ネ ジ メ ントシステム関連事業も展開している。
TÜV SÜDの親会社 TÜV SÜD AG はミュンヘンにあり、世界各国にある子
会 社 を 管 理している。TÜV SÜDの株式の実質的な保有者は、 TÜV SÜD e.V.、
及 び 、 TÜV SÜD 財 団
12 で 、 所 有 す る 株 式 を 「 TÜV
-ausschuss GbR」 と呼ばれる株主委員会に委譲している
SÜD Gesellschafter
13 。TÜV
SÜDの概 要
を表 4-6 に示す。
表 4-6
本拠地
売 上 高 ( 2012 年 )
事 業 所 進 出 国 数 ( 2012 年 )
総 従 業 員 数 ( 2012 年 )
TÜV SÜDの概要
14
ドイツ(ミュンヘン)
18 億 2,100 万 ユ ー ロ ( 前 年 度 比 8.5%増 )
( 2,088 億 4,000 万 円 15 )
50( 800 拠 点 )
18,758
(2) 沿 革
TÜV SÜD の歴史は約 150 年前の蒸気ボイラーの検査に始まる。その後、電
気 関 連 製 品、交通、エネルギー等、その対象を広げている(表 4-7)。
12
両組織とも在ミュンヘンである。
13
http://www.tuev-sued.de/uploads/images/1367848736221688680165/2012-tuev-sued-annual-report
.pdf
14
http://www.tuev-sued.de/uploads/images/1367848736221688680165/2012-tuev-sued-annual-report
.pdf
15 1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
25
表 4-7
1866 年
TÜV SÜDの沿革
16
当 時 の 最 新 技 術 で あ っ た 蒸 気 ボ イ ラ ー の 爆 発 事 故 が 多 発 し た た め 、TÜV の 前 身
となるバーデン蒸気ボイラー検査協会が設立された。その後、圧力容器の検査
も実施されるようになり、材料と溶接技術に関しても検査が実施されるように
なった。
20 世 紀 ~
検査となる対象が電気工学の領域やリフト・機械まで広がる。
第二次世界大
パイプライン、貯蔵タンク、公共広場、ケーブルカーに対して最初の安全性試
戦前
験を実施し、
「 遊 園 地 の ア ト ラ ク シ ョ ン と 構 造 物 」に 対 す る 試 験 と 検 査 が 始 ま る 。
1926 年
「 Maschinentechnische Beratungs-und Revisionsstelle für Kraftfahrzeuge」
と呼ばれる自動車の情報・検査センターが設立され、テュフバイエルンの道路
安 全 に 関 わ る 活 動 の 始 ま り と な る ( 現 在 で は TÜV SÜD の 基 幹 事 業 の 一 つ )。
戦後の経済・
製油所、プラスチック技術の試験と検査、原子力技術の試験を開始。この時期
技術急成長期
に、人と機械の相互作用に関する調査が行われ、この調査に基づいて家電、娯
楽用品、オフィス用品の型式試験が開始されるようになる。
1970 年 代
コンピュータ、マイクロプロセッサ技術、データ保護、職業上の安全性サービ
スラインを開始。省エネ、代替エネルギー使用、環境保護に関する研究の実施
と、それに基づくアドバイスも始める。電子機器、食品安全、医療技術、車両
開発といった新しい分野にも進出。
(3) 事 業分野
TÜV SÜD では、産業、交通、認証の 3 分野に区分して事業を展開している。
そ れ ぞ れ が全体の売上げに占める割合は、産業 39.8%、交通 34.4%、認証 25.6%
と な っ て いる(図 4-4)。
その他
0.2%
認証
25.6%
産業
39.8%
交通
34.4%
図 4-4
TÜV SÜDの事業分野
16
17
http://www.tuv-sud.jp/jp-jp/about-tuev-sued/tuev-sued-group/history
2012 年 実 績 ( TÜV SÜD Annual Report 2012)
http://www.tuev-sued.de/uploads/images/1367848736221688680165/2012-tuev-sued-annual-report
.pdf
17
26
TÜV SÜD の事業内容及び各事業の規模は表 4-8 の通りである。
表 4-8
売上げ
部門
(百万
ユーロ)
TÜV SÜDの事業内容
従業
18
事業内容
員数
 産業サービス
 プラント・設備の安全性
 プラント・設備、精製所の計画・建設・運営・取り壊し
 再生可能エネルギー、風力
 企業のリスクマネジメント、コンサルティング
産業
725
6,303
 不動産・インフラ
 不動産サービス、インフラストラクチャー
 建築技術、機械作業、不動産価値、ファシリティーマネジメ
ント、マネジメントコンサルティング
 鉄道
 安全性、機能性を考慮した鉄道、信号技術、装置への検査、
承認、公認、コンサルティングサービス
 自動車サービス
 サ ー ビ ス セ ン タ ー ( 300 以 上 ) に お け る 運 転 免 許 テ ス ト 、 適
性検査、排気ガス調査、クラシックカー登記の取得評価
 中古車市場、車体マネジメント、自動車取引における品質基
準テスト
交通
626
5,126
 自動車
 自動車産業に対する試験、形式承認、プロセス最適化サービ
ス、新モデルの開発、試験のサポート
 生活サービス
 個人向け運転適性テスト
 職場における健康面、安全面に対するアドバイス
 製品サービス
 様 々 な 製 品 の SCM 認 証 サ ー ビ ス
 マネジメントサービス
 品質、環境、エネルギー、健康、産業衛生マネジメントシス
認証
467
4,880
テム認証
 アカデミー
 教育・トレーニング
 人材の認証及びトレーニング
 国際会議
18
2012 年 実 績 ( TÜV SÜD Annual Report 2012)
http://www.tuev-sued.de/uploads/images/1367848736221688680165/2012-tuev-sued-annual-report
.pdf
27
TÜV SÜD では試験・認証サービスのグローバルネットワーク拡大を目指し 、
企 業 買 収 を積極的に行っている。2012 年に買収した主な企業は表 4-9 の通り
である。
表 4-9
企業
Bytest S.r.l. (Bytest)
TÜV SÜDによる企 業買収 (2012 年) 19
国
イタリア
主 要 非 破 壊 資 材 試 験 サ ー ビ ス を 行 う 。主 要 顧 客 は 、航 空 、
石油化学、製造業、自動車業界の企業。
製造業及びエレベーターシステム運用事業者に対する
TÜV SÜD South Africa Real
Estate Services (Pty) Ltd.
事業内容
南アフリカ
(旧 WAC Projects (Pty) Ltd.)
試 験 及 び コ ン サ ル テ ィ ン グ を 行 う 。こ の 買 収 は 、南 ア 投
資 に 留 ま ら ず 、ビ ル 技 術 分 野 に お け る 事 業 拡 大 も 担 っ て
いる。
欧 州 及 び ア メ リ カ に お け る 風 力 エ ネ ル ギ ー (特 に オ フ シ
Project Management
Support Services Limited
ョ ア ウ イ ン ド フ ァ ー ム )に 特 化 し た コ ン サ ル テ ィ ン グ を
イギリス
(PMSS)
行 う 。自 社 が 既 に 有 す る オ フ シ ョ ア ウ イ ン ド フ ァ ー ム 向
け 専 門 技 術 を 補 完 す る 形 で 、再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー 分 野 に
おける国際化を推進することが目的。
ZACTA Technology
Corporation (ZACTA)
SFDK Laboratório de
Análise de Produtos Ltda.
(SFDK)
Sercura Limited (Sercura)
Acertigo AG (Acertigo)
日本
電 磁 両 立 性 試 験 を 専 門 に 行 う 。電 信 分 野 に お け る 国 際 的
な サ ー ビ ス の ポ ー ト フ ォ リ オ の 補 完 が 目 的 。医 療 、鉄 道 、
自 動 車 産 業 に お い て 、EMC 測 定 関 連 サ ー ビ ス が 伸 び て
いることにも注目している。
ブラジル
微 生 物 、化 学 物 質・異 物 試 験 に 対 す る 包 括 的 な サ ー ビ ス
を 提 案 す る 。主 要 な 成 長 分 野 と し て 食 品 安 全 が 注 目 さ れ
ることから、食品試験施設のグローバル拡大が目的。
香港
出 荷 前 検 査 及 び 工 場 監 査 サ ー ビ ス を 行 う 。中 国 は 、世 界
最 大 の 消 費 財 生 産 地 と し て 、エ ン ド・ツ ー・エ ン ド の 検
査 、及 び 、付 加 価 値 チ ェ ー ン 全 体 の 監 視 、よ り 厳 格 な 管
理 基 準 に 対 す る 需 要 が 増 加 し て い る た め 、中 国 市 場 に 対
するサービスポートフォリオ拡大が目的。
ドイツ
支 払 い カ ー ド セ キ ュ リ テ ィ に 関 し 、 国 際 PCI(支 払 い カ
ー ド 産 業 )規 格 に よ る 認 証 を 行 う 。 金 融 サ ー ビ ス プ ロ バ
イダー及び小売チェーンの国際市場に参入することが
目的。
交 通 部 門では、2011 年にはFleet Logistics Deutschland GmbH (FLD)、2012
年 に は Fleet Logistics International N.V. (Fleet Logistics International
group 20 )の 100%の株主となり 、欧州市 場 における フリート 管 理の主導 的地 位
に 就 い て いる。
19
TÜV SÜD Annual Report 2012
Fleet Logistics International Group は 、 欧 州 レ ベ ル で 全 て の 車 両 タ イ プ に 対 す る フ リ ー ト 管 理 サ
ービスを提供している。
20
28
ま た 、2013 年 9 月にTÜV SÜD レールは、Railcert B.V.の保有株式を 50%
か ら 100%に増加 さ せた 。RailcertはTÜV SÜD レール とMovaresグ ルー プ が
1999 年 に 設立した試験認証機関で、この買収により、国際的な鉄道プロジェク
ト に 対 し 、積極的な対応ができる仕組みを作り上げている
21 。
TÜV SÜDの活動地域の約 8 割は欧州・中東・アフリカ地域に集中している
が 、 ア ジ ア・南米における都市のユーティリティ(エネルギー及び上下水)及
び 交 通 プ ロジェクトも積極的に行っている
22 。
南北アメリカ
8.6%
アジア
13.0%
欧州・中東・
アフリカ
78%
図 4-5
TÜV SÜDの活動地 域( 2012 年) 23
4.5.3 Lloyd’s Register
ロ イ ド レ ジスターの概要、沿革、事業分野を以下に示す。
(1) 概 要
商 船 の 等級分 けを 目 的に設 立され たが 、 現在は 海運業 界の み にとど まらず 、
マ ネ ジ メ ントシステム、工業製品、鉄道事業、オイル・ガス事業のリスクマネ ジ
メ ン ト 業 務を行っている。ロイドレジスターでは、世界を 3 つの地域に分 け 、
地 域 本 部 が地区内のオフィスを管轄している(表 4-10) 24 。
21
TÜV SÜD Annual Report 2012
メ キ シ コ シ テ ィ の 地 下 鉄 、 マ ニ ラ の 水 道 事 業 等 。 Urban Future, TÜV SÜD よ り 。
http://www.tuv-sud.jp/uploads/images/1367848750477038130174/2012-tuev-sued-urban-future.pd
f
23 全 体 の 売 上 額 ( 2012 年 ) に 対 す る 各 地 域 の 割 合 。 Annual Report 2012
24 ロ イ ド レ ジ ス タ ー ホ ー ム ペ ー ジ
http://www.lrs.or.jp/company/about_us.html
22
29
表 4-10
ロイドレ ジスター の概要
本拠地
イギリス(ロンドン)
売上高
( 2012/2013 年 )
9 億 2,000 万 ポ ン ド ( 前 年 度 比 3%増 )
( 1,245 億 5,000 万 円 26 )
78( 238 都 市 )
事業所進出国数
( 2012 年 )
25

ヨ ー ロ ッ パ 、 中 東 及 び ア フ リ カ (EMEA)地 区 ( 地 域 本 部 : ロ ン ド ン )

アジア地区(地域本部:香港)
 アメリカ地区(地域本部:ヒューストン)
総従業員数
( 2012/2013 年 )
8,192
(2) 沿 革
1760 年、商船を状態によって等級分けすることを目的に設立されたが、危 険
物 の 海 上 輸送における実績により、タンカー事業者との関係が築かれ、陸上の
石 油 産 業 へと事業が展開された 。エネルギー事業につ いては 、第一次世界大戦
後 、 イ ギ リスで生産された製品について、ロイドレジスターに検査を依頼する
海 外 顧 客 が増加したことに由来する。その後、マネジメントシステム、工業製
品 、 鉄 道 事業、オイル・ガス事業 などに業務を展開している。
表 4-11
ロイドレ ジスター の沿革
27
1760 年
船舶保険引受のための安全性審査作業をその原型として、船級格付け機関として設
1764 年
最初の船名録発行。
1834 年
立される。
Lloyd’s Register of British and Forign Shipping と し て 組 織 再 編 。 最 初 の 船 級 規 則
発行。
1898 年
船上冷蔵装置の検査を開始。
1911 年
陸上冷蔵倉庫の検査を開始。
1914 年
Lloyd’s Register of Shipping(ロ イ ド 船 級 協 会 ) に 変 更 。
1923 年
イギリスからの輸出用ボイラーの検査機関として、ロイドレジスターがインド政府
1930 年 代
液化石油ガス輸送の検査を開始。
により指定される。
25
Group Review 2013
http://www.lr.org/Images/LR%20GR%202013%20High%20Res%20Interactive_tcm155-248559.pdf
進 出 都 市 数 は Energy, Broader knowledge for a safer world よ り 。
26 1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
27
http://www.lrs.or.jp/company/history.html 及 び
http://www.lr.org/Images/1.4%20LR250%20from%20Insight%20issue%201%20June%202010_tcm1
55-247411.pdf
30
1934 年
圧力容器に関するガイダンスを発行。これにより海事以外の分野に参画を開始。
1945 年 以 降
世界中の発電所及び原子力関連のプロジェクトに携わる。
液化天然ガス輸送の検査を開始。
1950 年 代
エネルギー事業においても、第一次世界大戦後、イギリスで生産された製品につい
て、ロイドレジスターに検査を依頼する海外顧客が増加。
1985 年
品質マネジメントシステム審査業務会社ロイドレジスタークオリティアシュアラン
ス リ ミ テ ッ ド ( LRQA) 設 立
産 業 共 済 協 会 か ら 有 限 責 任 株 式 会 社 (Company limited by shares)に 転 換 。 転 換 後 の
2012 年
社名は「ロイドレジスターグループ」となり、その株式は新しい親会社である「ロ
イドレジスター財団」が所有。
(3) 事 業分野
ロ イ ド レジス ター は 、事業 分野を 大き く 海事、 輸送、 エネ ル ギー、 マネジ メ
ン ト シ ス テムの 4 分野に分けて事業を 展開している。売上高の中 では、海事 分
野 が 38.4%と最も多いが、エネルギー分野も 37.9%とほぼ同規模にまで成長 し
ている。
表 4-12
分野
サービス
ロイ ドレ ジスター の事業 内容
28
全売上げに
占める割合
事業内容
2012 年
主に船の設計、建設、運転の安全・環境基準を設定する事業を行って
海事
38.4%
き た が 、 2013 年 以 降 は 技 術 革 新 支 援 サ ー ビ ス も 展 開 し 、 安 全 性 支 援
の み な ら ず 、経 済 パ フ ォ ー マ ン ス 向 上 の た め の 支 援 サ ー ビ ス も 展 開 す
る。
エ ネ ル ギ ー 部 門 に 対 す る リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト サ ー ビ ス を 提 供 。専 門 家
エネルギー
37.9%
が プ ラ ン ト 及 び プ ロ セ ス の 保 全 性 に つ い て 、実 践 的 な ア ド バ イ ス を 行
う。
認 証 、バ リ デ ー シ ョ ン (validation)、ベ リ フ ィ ケ ー シ ョ ン (verification)
マネジメン
トシステム
19.2%
を 含 む 評 価 サ ー ビ ス 及 び ト レ ー ニ ン グ を 行 う 。50 以 上 の 認 定 機 関 か ら
認 定 を 受 け て い る 。独 自 の 方 法 論 LRQA ビ ジ ネ ス ア シ ュ ア ラ ン ス を 用
いてリスク管理を提言。
ア ジ ア 、ヨ ー ロ ッ パ 、中 東 の 3 地 域 を 中 心 に 鉄 道 部 門 の ア シ ュ ア ラ ン
輸送
4.5%
ス 事 業 及 び 専 門 的 な ア ド バ イ ス を 行 っ て い る 。顧 客 は 鉄 道 当 局 か ら 部
品サプライヤーまで多岐にわたる。
28
Group Review 2013
31
各 地 域 にお ける売 上 高ベー スの ポート フ ォリオ を表 4-13 に示す。 アメ リカ
地 域 で は、エネルギー分野の占める割合が 61%と最も多いが、交通分野の事 業
は 実 施 さ れていない。アジア地域、EMEA(欧州・中東・アフリカ)地域では 、
海 事、エ ネルギー、LRQA(マネジメントシステム)、交通の順の売上高とな っ
ている。
表 4-13
ロイドレ ジスタ ー の 売上 ポー トフォリ オ( 地 域別 )
アメリカ地域
アジア地域
29
EMEA
(欧州・中東・アフリカ)
ロ イ ド レジスターにおける 2013 年後半の主要な動向を 表 4-14 に示す。鉄 道
分 野 に お いて活発な動きが見られる。
表 4-14
2013 年 10 月 1 日
30
ロイドレ ジスター の最近 の動 向
RSSB か ら OTP(軌 上 プ ラ ン ト )エ ン ジ ニ ア リ ン グ 受 入 認 定 (Engineering
Acceptance accreditation)を 取 得 。LR は イ ギ リ ス に お け る OTP 供 給 者 の
増 加 に 対 応 し 、新 規 の 承 認 事 業 を 開 始 す る 。承 認 基 準 の 変 更 が 行 わ れ た り 、
最 近 ネ ッ ト ワ ー ク・レ ー ル が 調 達 プ ロ グ ラ ム を 開 始 し た り 、と い っ た 状 況
と 合 わ せ 、承 認 の 需 要 増 加 が 見 込 ま れ て い る 。LR は イ ギ リ ス 市 場 に 対 し 、
「初回承認」
「エンジニアリング変更後の再承認」
「期限切れ車両の再承認」
などを含む包括的な承認サービスを提供する予定である。
29
30
Group Review 2013
http://www.lr.org/news_and_events/news/248274-lloyds-register-enter-ontrack-plant-approvals-m
arket.aspx
32
2013 年 9 月 3 日
31
エ ネ ル ギ ー セ ク タ ー に お け る 独 自 の サ ー ビ ス を 創 出 す る た め 、Senergy 社
に対し、これまでで最大の投資を行うと公表。これにより、探索、製造、
輸 送 、精 製 、及 び そ れ 以 降 の プ ロ セ ス に 対 し 、包 括 的 な サ ー ビ ス が 提 供 で
きるようになる。
2013 年 8 月 5 日
32
2013 年 7 月 2 日
33
車両開発チームにより、イギリス発のバイオマス貨車の設計が行われた。
バイオマス輸送用貨車では最大級。
輸 送 部 門 デ ィ レ ク タ ー に Paul Seller が 就 任 し 、 鉄 道 業 界 に お け る コ ン サ
ル テ ィ ン グ 及 び 保 証 サ ー ビ ス 事 業 に 携 わ る こ と と な っ た 。同 氏 は 、ボ ン バ
ル デ ィ ア・ト ラ ン ス ポ ー テ ー シ ョ ン に 移 り 、幹 線 及 び 地 下 鉄 の 製 品 安 全 と
ホ モ ロ ゲ ー シ ョ ン を 担 当 し て い た が 、 今 回 、 LR に 復 帰 。 輸 送 部 門 デ ィ レ
ク タ ー と し て 同 氏 の 役 割 は 、 鉄 道 ・ 地 下 鉄 分 野 に お け る LR の 国 際 事 業 を
発 展 さ せ る こ と で あ る 。 LR の 国 際 鉄 道 事 業 は 、 既 に 中 東 及 び ア ジ ア に 拡
大 し て お り 、ク ロ ス レ ー ル 、エ テ ィ ハ ド レ ー ル 、台 湾 高 速 鉄 道 ネ ッ ト ワ ー
クの拡張などで実績を築いている。
4.5.4 Intertek
Intertek の概要、沿革、事業分野を以下に示す。
(1) 概 要
130 年 以上にわたり、製品、プロセス、システムの品質と安全性を確保する
た め の 試 験、認証、コンサルティング事業を行ってきた。様々な分野の企業の
合 併 ・ 買 収により成長した企業であり、対象とする分野が多岐にわたっている
の が 特 長 である。
表 4-15
本拠地
売 上 高 ( 2012 年 )
35
事 業 所 進 出 国 数 ( 2012 年 )
総 従 業 員 数 ( 2012 年 )
Intertekの概要
34
イギリス(ロンドン)
20 億 5,400 万 ポ ン ド ( 前 年 度 比 17.4%増 )
( 2,865 億 7,000 万 円 36 )
100 以 上 ( 1000 拠 点 )
36,000 人
31
http://www.lr.org/news_and_events/news/248035-from-reservoir-to-refinery-and-beyond-lloyds-re
gister-announces-largest-ever-investment-in-senergy-to-create-unique-service-for-energy-sector.a
spx
32
http://www.lr.org/news_and_events/news/247801-lloyds-register-designs-uks-first-biomass-rail-fr
eight-wagon.aspx
33
http://www.lr.org/news_and_events/press-releases/247741-paul-seller-appointed-transportation-d
irector.aspx
34 Intertek ホ ー ム ペ ー ジ http://www.intertek.com/about/
35 http://www.intertek.com/investors/presentations/
“2012 Full Year Results Presentation”
36 1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
33
(2) 沿 革
Intertek は、様々な国籍及び分野の企業と の合併と買収を繰り返すことによ
り 拡 大 し 成長を遂げてきた企業である。独立した試験機関の重要性を早くに見
出 し 、 幅 広い専門分野に対応している。
表 4-16
Intertekの沿革
37
1885 年
Brett に よ り 英 国 に お い て 船 舶 貨 物 に 対 す る 独 立 し た 試 験・認 証 会 社 が 設 立 さ れ る 。
1887 年
Hersey に よ り カ ナ ダ ・ モ ン ト リ オ ー ル に 独 立 し た 化 学 試 験 所 が 設 立 さ れ る 。
1888 年
Inchcape が ETL を 取 得 。
1896 年
米 国 エ ジ ソ ン エ レ ク ト リ ッ ク イ ル ミ ネ ー シ ョ ン 社 に ELT ( The Lamp Testing
Burau) が 設 立 さ れ る 。
ス ウ ェ ー デ ン の 電 気・電 子 製 品 の 安 全 性 試 験 を 行 う 機 関 と し て SEMKO が 設 立 さ れ
1925 年
る 。 SEMKO は ス ウ ェ ー デ ン 政 府 か ら 認 定 を 受 け た 義 務 認 証 「 S」 マ ー ク の 製 品 試
験機関となる。
1927 年
鉄 鋼 製 品 検 査 機 関 と し て カ ナ ダ ・ モ ン ト リ オ ー ル に Chas Warnock が 設 立 さ れ る 。
1954 年
Warnock と Hersey が 合 併 し Warnock Hersey と な る 。
1975-1980
多 国 籍 企 業 Inchcape 社 が 石 油 、 石 油 化 学 、 繊 維 、 エ レ ク ト ロ ニ ク ス 、 鉱 物 の テ ス
年
ト に 至 る ま で 、 複 数 の 試 験 ·検 査 会 社 を 取 得 。
1992 年
Inchcape が Warnock Hersey を 取 得 。
1994 年
Inchcape が SEMKO を 取 得 。
1996 年
2002 年
チ ャ ー タ ー ハ ウ ス 開 発 投 資 に よ る MBO( Management Buyout、経 営 陣 買 収 )を 受
け 、 Intertek と い う 名 称 に 変 更 。
ロンドン株式市場に上場。
(3) 事 業分野
Intertek では、多種多様な試験、アウトソーシング、認証、トレーニング、
検 査 、ア ドバイス、監査、品質保証業務を行っている。事業内容の詳細は表 4-17
の 通 り で ある。
37
Intertek ホ ー ム ペ ー ジ http://www.intertek.com/about/history/
34
表 4-17
分野
サービス
Intertekの事業内容
全売上げに
占める割合
事業内容
( 2012 年 )

産業・アシュアランス
 産業サービス
 ビジネスアシュアラ
ンス
38
石 油 、ガ ス 、原 子 力 、電 力 、再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー 、建 設 、
食品、化学、農業分野の産業を対象に世界標準レベルの
32%
品質維持に対するサービスを提供。

技術検査、設備の保全性管理、探査、生産支援、コンサ
 食品・農業
ルティング、トレーニング、第三者マネジメントシステ
 探査・生産
ム監査を実施。

製品
 貨物
 分析的評価
石油、鉱物、バイオ燃料産業に対する貨物検査、分析評
価、校正及び関連研究や技術サービスを提供。
28%

 政府・貿易サービス
政府や規制機関に対して、国境を越えた物流を支援する
貿易活動の助言を行っている。
 鉱物

消費財
 繊維製品
 玩具・生活用品
 リスクマネジメント
繊維製品、玩具、靴、生活用品の小売業に対して、規制
有害物質から持続可能性に至るまで、サプライチェーン
の確保と環境、倫理、貿易問題に関連する法律に対する
17%
専門知識に基づくサービスを提供。

 監査
試 験 、検 査 、監 査 、ア ド バ イ ザ リ ー サ ー ビ ス 、品 質 保 証 、
有害物質のテストを実施。

商業・電気
 電気
 自動車
 建物
家 電 製 品 、照 明 、医 療 、ビ ル 、産 業 及 び HVAC/R( 暖 房 、
換気、空調、冷凍)、情報通信技術、再生可能エネルギ
15%
ー、自動車メーカー等の顧客を支援。

 無線
自社の認定施設のグローバルネットワークを生かし、製
造企業や小売企業に対し、安全性、性能、品質関連の検
査 ·認 証 サ ー ビ ス を 提 供 。

化学・薬品
 化学・原料
 薬品
 健康・制御
化 学 、製 薬 、石 油 ·ガ ス 、自 動 車 、航 空 宇 宙 等 に 対 し 、先
進的なラボでの測定、専門家によるコンサルティング・
8%
サービスを提供。

大手多国籍企業の技術開発のアウトソーシングを受注。
Intertek では、南北アメリカ、アジア太平洋地域、EMEA(欧州・中東・ア
フ リ カ ) における売上げがほぼ同額の割合となっている(図 4-6)。
38
Intertek ホ ー ム ペ ー ジ http://www.intertek.com/services/
35
図 4-6
Intertekの地域別売 上げ割 合 (2012 年) 39
4.5.5 DNV GL グループ
DNV GL グループの概要、沿革、事業分野を以下に示す。
(1) 概 要
北 欧 ノ ルウェー・オスロに拠点を置く DNV(デット・ノルスケ・ベリタス )
と 、 ド イ ツ ・ハンブ ルクに本拠 地を置 く GL(ジャーマ ニ ッシュ・ロ イド) は
共 に、設 立約 150 年の歴史があり、船級協会を母体にした先進的なリスクマ ネ
ジ メ ン ト サービス・プロバイダーとして世界的にも認知されている。この 2 社
が 2013 年 9 月 12 日に合併し、マネジメントシステム認証において世界第 3
位 の 船 級 協 会、石油・ガス、エネルギー、ビジネスアシュアランス機関が誕生
し た 。 新 設 される会社の本拠地はノルウェーで、従業員数は約 16,000 名 とな
る 見 込 み である。DNV、GL の保有株式の割合は、それぞれ 63.5%、36.5%で
ある。
表 4-18
DNV GLグループ の概要
本拠地
売 上 高 ( 2012 年 )
事 業 所 進 出 国 数 ( 2014 年 )
総 従 業 員 数 ( 2014 年 )
40
ノルウェー(オスロ)
128 億 5,000 万 ノ ル ウ ェ ー ク ロ ー ネ
( 2,867 億 8,000 万 円 41 )
100( 300 拠 点 )
約 16,000 人
39
Annual Report 2012
DNV GL グ ル ー プ ホ ー ム ペ ー ジ
http://www.dnvgl.com/about-dnvgl/default.aspx#DNV-GL-IN-BRIEF
41 1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
40
36
図 4-7
DNV GLグループの 組織再編
42
(2) 沿 革
DNV は 、外国の船級協会に代わるノルウェー国内の保険会社として設立され
た が 、 石 油事業への参入をきっかけに、海事以外の事業にも進出していった。
2012 年 にはオランダの KEMA の株式を取得し、再生可能エネルギー・電力送
配 電 分 野 にも事業分野を拡大、2013 年には GL と合併している。
表 4-19
DNV GLグループ の沿革
43
1864 年
外国の船級協会に代わるノルウェー国内の保険会社として設立。
1888 年
中国において初めて活動する。
1907 年
保険協会との繋がりを解消し、通常の認証・格付協会となる
1920 年
1920 か ら 1940 年 に か け 、新 造 船 舶 の 推 進 力 と し て デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン が 導 入 さ
れ る よ う に な っ た こ と を 受 け 、こ の 技 術 を 迅 速 に 採 用 。エ ン ジ ニ ア リ ン グ 検 査 官
の採用を行う。
1940 年
第 2 次 世 界 大 戦 中 、 イ ギ リ ス と ノ ル ウ ェ ー で 経 営 が 二 分 さ れ 、 そ の 結 果 Lloyd’s
との密接な協力が行われるようになる。
1945 年
大 戦 後 、Lloyd’s に よ る 買 収 提 案 と 、DNV 内 部 に お け る 解 放 プ ロ セ ス 及 び 新 規 格
付 け 規 則 の 開 発 を 目 指 し た 作 業 が 盛 り 上 が っ た が 、 Lloyd’ s と DNV の 協 業 は
1952 年 に 終 了 。
1964 年
二分されていた本拠地が統一される。
1967 年
国 際 化 と 協 会 の 拡 大 が 始 ま り 、 船 舶 事 業 及 び DNV に と っ て の 黄 金 時 代 と な る 。
1970 年
石 油 事 業 に 進 出 し 、パ イ プ ラ イ ン 及 び 船 舶 等 、オ フ シ ョ ア 開 発 及 び カ ー ゴ 分 野 の
事業を始める。これは重要な新規市場に発展する。
42
43
1978 年
独立の財団法人となる。
1981 年
DNV 石 油 サ ー ビ ス が 設 立 さ れ 、 船 舶 用 燃 料 管 理 も 行 わ れ る よ う に な る 。
DNV GL グ ル ー プ ホ ー ム ペ ー ジ http://www.dnvgl.com/about-dnvgl/organisation.aspx
DNV Annual Report 2012, The history
37
1987 年
ISO 規 格 の 導 入 に 素 早 く 対 応 し 、そ の 規 格 に 基 づ く マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 認 証 活
1992 年
Det Norske Veritas に 代 わ り 、 DNV と 改 称 さ れ 、 新 し い ロ ゴ も 導 入 さ れ る 。
動 を 発 展 さ せ る 。 こ の 事 業 は 1995 年 に 独 立 し た 事 業 分 野 と な る 。
2004 年
DNV は 、CDM ス キ ー ム の も と で 気 候 変 動 緩 和 プ ロ ジ ェ ク ト を 認 証 す る 機 関 と し
て、気候変動に関する国際連合枠組条約による認定を受けた最初の機関となる。
2004 年
マネジメントシステム認証の再活性化のため、リスクベース認証が導入される。
2012 年
KEMA 株 式 の 74.3%を 取 得 。 こ れ に よ り 、 ク リ ー ン エ ネ ル ギ ー 、 サ ス テ ナ ビ リ
テ ィ 、発 電・送 電・分 配 業 界 で 、世 界 を 主 導 す る コ ン サ ル テ ィ ン グ 及 び 認 証 企 業
となる。
2012 年 3 月
「 DNV Business Assurance( 認 証・ア セ ス メ ン ト サ ー ビ ス 本 部:イ タ リ ア・ミ
ラ ノ )」
「 DNV KEMA Energy & Sustainability( エ ネ ル ギ ー 関 連 及 び サ ス テ ナ ビ
リ テ ィ サ ー ビ ス 本 部 : オ ラ ン ダ ・ ア ー ネ ム )」 「 DNV Maritime and Oil & Gas
( 船 級 ビ ジ ネ ス 及 び 石 油 ・ 天 然 ガ ス 関 連 サ ー ビ ス 本 部 : ノ ル ウ ェ ー ・ オ ス ロ )」
の 3 企 業 を 傘 下 に お く DNV ホ ー ル デ ィ ン グ ス ( 本 部 : ノ ル ウ ェ ー ・ オ ス ロ ) が
誕生。
2013 年 9 月
DNV と GL が 合 併 し 、「 海 事 」「 石 油 ・ ガ ス 」「 エ ネ ル ギ ー 」「 ビ ジ ネ ス ア シ ュ ア
ランスに」に「ソフトウェア」を加えた 5 部門の再編成が行われた。
(3) 事 業 分野
DNV の主な事業内容及び地域別の売り上げを以下に示す。
表 4-20
高度な教育プログラムを経た監査員による認証活動の推進。
アセスメント・
様々な分野の専門的領域におけるビジネス活動を適切に維持し、構築して
レイティングサ
いくためのレイティングサービス、及び顧客別にカスタマイズされた評価
ービス
サービス。
人材育成。レクチャー&ディスカッション及びオンライントレーニングの
提供。
船級
船 の デ ザ イ ン 、建 設 の 規 格 基 準 に 関 す る 認 証 お よ び コ ン サ ル テ ィ ン グ 業 務 。
検証
サステナビリティ、リスク分析に対する検証サービス。
製品認証
グローバル市場に製品を輸出する際に必要な製品認証。
表 4-21
地域
ノル ディ ッ ク諸 国
ヨー ロッ パ ・ア フ リカ
アジ ア・ 太 平洋
南北 アメ リ カ
合計
45
44
システム認証
トレーニング
44
DNV GLグループ の事業 内容
DNVの地域別売上 げ割合
2012
3,858.0
3,121.4
3,255.2
2,615.1
12,849.7
DNV GL ホ ー ム ペ ー ジ http://www.dnv.jp/
DNV Annual Report 2012
38
45
2011
3,508.4
2,113.6
2,972.1
1,562.3
10,156.4
2010
3,343.9
2,146.7
2,804.3
1,496.8
9,791.7
設 立 当 初は主に海事関連の事業を行っていたが、現在ではエネルギー、環境 、
ビ ジ ネ ス アシュアランスと対象を広げている。
表 4-22
分野
サービス
石油・ガス
DNV GLグループ の事業 分野
46
全売上げに
占める割合
( 2012 年 )
38.3%
顧客
事業内容
47
石 油 ·ガ ス 企 業
 検証
バリューチェーン全体の管
 安全、健康、環境サービス
理( 技 術 、ビ ジ ネ ス リ ス ク 、
 資産のリスク管理
安全性、環境性能)
 技術資格
 全社的リスク管理
 ソ フ ト ウ ェ ア と IT リ ス ク 管 理
船主、ヤード、管轄機関等
海事
 船舶及び移動式沖合ユニットの分類
(船に関わるあらゆるリス
 材料や部品の認定
ク管理)
 技術的、安全、ビジネスリスクや環境サ
32.1%
ービス
 トレーニングと能力に関連したサービス
 燃料試験
 ソフトウェア
エネルギー・
持続可能性
18.5%
エネルギーバリューチェー
 試験、検査&認証
ン関連企業
 クリーンな従来のエネルギーサービス
(高信頼性、高効率な持続
 再生可能エネルギーサービス
可能なエネルギー供給確保
 送電及び配電
を支援)
 交通システム
 ガ ス ·コ ン サ ル テ ィ ン グ ·サ ー ビ ス
 マネジメント&オペレーションコンサル
ティング
 持続可能な利用サービス
 認定気候変動サービス
ビジネスアシ
ュアランス
様々な分野
 マネジメントシステム認証
(持続可能な性能保証)
 製品認証
 サプライチェーンの認証と評価
11.1%
 食品安全性認証
 トレーニング
 ヘルスケアの認定や評価サービス
46
http://www.dnv.jp/
47 http://www.gl-group.com/pdf/Press_Conference_Presentation_Hamburg_-_as_shown.pdf,を も と
に三菱総合研究所作成
39
4.5.6 CSA 48
CSA の 概 要、沿革、事業分野を以下に示す。
(1) 概 要
CSA グ ループは、安全性・持続可能性に貢献する非営利会員から構成され る
カ ナ ダ の 団体で、国際的に認定された規格の開発・検証・認証機関である。ま
た 、 製 品 評価と教育・ トレーニングサービスも提供している。
CSAマ ー クは 、カナ ダにおけ る 電気 製品 ・医療機 器・機 械・ 器具など に対 す
る安全規格で、カナダにおいて使用される電気製品には必須の規格である。
CSAは 、 カ ナダでは SCC 49 により、米国で はANSI 50 により認定 を受けてい る 。
カ ナ ダ 最 大の規格開発組織として、世界の標準規格開発にも携わっている。
表 4-23
本拠地
売 上 高 ( 2012 年 )
CSA の概 要
51
事 業 所 進 出 国 数( 2013 年 ) 53
総 従 業 員 数 ( 2013 年 ) 54
カナダ(トロント)
2 億 3853 万 カ ナ ダ ド ル
( 222 億 5,000 万 円 52 )
14 カ 国
1,600 人
(2) 沿 革
CSA は カナダの工学規格協会として設立されたが、現在では北米を中心に 海
外 展 開 を 行っている。
表 4-24
1919 年
CSAの沿革
55
カ ナ ダ 工 学 規 格 協 会( Canadian Engineering Standards Association、CESA)
として設立
1944 年
1984 年
現在の名称に改名
外 部 組 織 と し て ISO9000 シ リ ー ズ な ど の 品 質 ・ 環 境 マ ネ ジ メ ン ト の 評 価 ・ 登
録 業 務 の た め に QMI( Quality Management Institute、 品 質 管 理 協 会 )、 ガ
ス 関 係 規 格 の 開 発 と ガ ス 関 係 機 器 の 試 験 ・ 認 証 業 務 を 担 当 す る 事 業 所 IAS
( International Approval Service, Inc. 国 際 認 可 サ ー ビ ス )を 設 置 し て い る 。
48 Canadian Standards Association
49
Standards Council of Canada, カ ナ ダ 規 格 審 議 会
American National Standards Institute, ア メ リ カ 規 格 協 会
51 CSA 2012-13 Annual Report
52 1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
53 CSA ホ ー ム ペ ー ジ
54 カ ナ ダ 政 府 ホ ー ム ペ ー ジ
http://www.ic.gc.ca/app/ccc/srch/nvgt.do?lang=eng&prtl=1&sbPrtl=&estblmntNo=123456003075&
profile=cmpltPrfl&profileId=21&app=sold
55 CSA ホ ー ム ペ ー ジ
50
40
(3) 事 業 分野
CSA の 対 象分野は表 4-25 の通りである。
表 4-25
CSAの対象分野
対象分野
56
取扱い製品
航空宇宙
航空宇宙製品
HVACR
HVACR、 大 型 機 器 、 小 型 機 器
自動車
天然ガスシステム、水素ガスシステム、電気自動車等
建設、建物、インフラ
建設資材、コンクリート、設計・エンジニアリング基準等
エネルギー・資源
石油・天然ガス、原子力、再生可能エネルギー
グリル製品
グリル・アウトドア料理機器、暖炉、ストーブ等
IT・ AV 技 術
AV マ ル チ メ デ ィ ア 機 器 、 IT 通 信 機 器
照明
固体照明、従来型照明
医療、ラボ、ヘルスケア
電子医療機器、ラボ・テスト・測量装置、ヘルスケア等
個人用保護具
落下保護、保護履物等、視認性の高い安全用衣服
配管
配 管 、 器 具 及 び 付 属 品 、 パ イ プ 、 WaterSense®& 環 境 試 験 等
高分子材料及び接着剤タイプのラベル
高分子材料及び接着剤タイプのラベル
電力・産業制御
産業&プロセス制御、配電盤、開閉装置・パネルボード等
アイスホッケー、スキー、サイクリングヘルメットなどのレク
スポーツ用品
リエーション&スポーツ用品
園芸用品
電動器具、芝生・園芸製品
配線器具・ケーブル
配線器具、ケーブル、ワイヤ
ま た 、CSA は主に表 4-26 に示すサービスを展開している。
表 4-26
コード・規格
検査・認証
CSAが提供するサ ービス
57
規格の開発、コードの設定
検査・認証オプション、認定プログラム、フィールド評価プログラム、技術
情報サービス
製品評価
56
57
製造前評価、工場監査、購入前検査、出荷検査、購入後評価
CSA ホ ー ム ペ ー ジ http://www.csagroup.org/us/en/industries
CSA ホ ー ム ペ ー ジ http://www.csagroup.org/de/en/services
41
4.5.7 UL
UL の 概要、沿革、事業分野を以下に示す。
(1) 概 要
1 世 紀 以上の歴 史を 持つ世界的な 第三者 安全科学機関 で、電 気、環境、再 生
可 能 エ ネ ルギー、ナノテクノロジーにおける安全な生活・ 職場環境の促進を目
的 と し た サービスを提供している。
表 4-27
ULの概要
本拠地
売 上 高 ( 2011 年 )
58
米国(ノースブルック/シカゴ)
20 億 7702 万 米 ド ル
59
( 1,798 億 3,000 万 円
事 業 所 進 出 国 数 ( 2013 年 )
40 カ 国
総 従 業 員 数 ( 2013 年 )
10,715 人
UL が 評 価 し た 製 品 品 目 数 ( 2013 年 )
20,268 品 目
製 品 意 表 示 さ れ て い る UL マ ー ク 数 ( 2013 年 )
22 億 マ ー ク
UL 認 証 製 品 の 生 産 工 場 数 ( 2013 年 )
69,795 工 場
フォローアップサービス(工場検査)
583,400 件
訪 問 件 数 ( 2013 年 )
事 業 を 展 開 し て い る 国 数 ( 2013 年 )
106 カ 国
Energy Star 認 証 製 品 数 ( 2013 年 )
23,612 品 目
製 品 評 価 件 数 ( 2013 年 )
90,304 件
試 験 所 / 事 業 所 数 ( 2013 年 )
152 箇 所
60 )
UL グ ル ー プ が 策 定 し た 現 在 の UL 規 格 数 ( 2013 年 ) 1,485 件
(2) 沿 革
1893 年 にシカゴで開催された「コロンビア博覧会」の照明用の配線の安全 性
を 守 る 業 務 を き っ か け と し 、 1894 年 に 電 気 製 品 な ど の 試 験 業 務 を 開 始 し た 。
UL 沿 革概略を表 4-28 に示す。
58
http://www.ul.com/global/jpn/pages/aboutul/whatwedo/bythenumbers/
非 営 利 団 体 情 報 サ ー ビ ス サ イ ト (Guide Star)上 に 掲 載 さ れ て い る 2011 年 の 収 益
http://www.guidestar.org/organizations/36-1892375/underwriters-laboratories.aspx
60 1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
59
42
表 4-28
ULの沿革
61
1894 年
UL の 前 身 と な る Underwriter ’s Electrical Bureau を シ カ ゴ に 設 立
1901 年
Underwriters Laboratories Inc. (UL)に 名 称 を 変 更
NBFU(米 国 火 災 保 険 協 会 )に よ る 支 援 を 受 け 、 電 気 製 品 以 外 の 試 験 を 開 始
1903 年
最 初 の UL 規 格 「 UL 10A ス ズ 皮 膜 加 工 防 火 ド ア 」 を 発 行
1916 年
保険業界からの支援が終了し、独力で運営を開始
1936 年
デラウェア州法下の非営利機関として再設立
1989 年
ISO9000 審 査 登 録 業 務 を 開 始
1992 年
IEC-CB ス キ ー ム の NCB(国 家 認 証 機 関 )と し て 認 定 さ れ る
SCC か ら 認 定 を 受 け 、 カ ナ ダ 規 格 に 基 づ く 試 験 ・ 認 証 業 務 を 開 始
(3) 事 業分野
UL の 事業は表 4-29 の通りである。
表 4-29
認証
試験
検査
監査
検証
ULの事業内容
62
排化学物質認証、部品認証、データ受け入れプログラム、エネルギ
ー効率性認証、環境製品宣言、危険地区、健康への影響度認証、多
様性サステナビリティ認証、マルチリスティング・プライベートラ
ベ ル 、人 材 認 証 、認 証 前 審 査 、最 梱 包 製 品 プ ロ グ ラ ム 、安 全 性 認 証 、
公衆衛生認証、サステナブル企業認証、第三者規制認可
分 析 試 験 、排 化 学 物 質 試 験 、化 学 試 験 、ク レ ー ム 試 験 、消 費 者 調 査 、
EMC 自 動 車 試 験 、 EMC 試 験 、 エ ネ ル ギ ー 効 率 試 験 、 GCF/PTCRB
試験、グローバルマーケットアクセス無線試験、現場試験、素材試
験 、 微 生 物 試 験 、 非 臨 床 試 験 、 OTA 試 験 、 性 能 試 験 、 光 分 析 試 験 、
物 理 試 験 、 規 制 試 験 、 信 頼 性 試 験 、 SAR 試 験 、 感 応 試 験 、 決 済 セ キ
ュリティ評価サービス、決済セキュリティ試験サービス、可用性試
験、無線ロゴ検証、無線規制試験
工 場 検 査 、実 地 評 価 、実 地 検 査 サ ー ビ ス 、フ ォ ロ ー ア ッ プ サ ー ビ ス 、
品質検査
ブランド保護・サプライチェーンセキュリティ監査、能力強化・継
続 的 改 善 監 査 、臨 床 サ ー ビ ス 、環 境 責 任 監 査 、抽 出 物・原 材 料 監 査 、
工場能力・品質監査、マネジメントシステム評価、リスク特定・マ
ネジメント監査、社会的責任・アカウンタビリティ監査
環境クレーム検証、プロセス検証
61
UL ホ ー ム ペ ー ジ http://www.ul.com/global/jpn/pages/aboutul/history/
UL の ウ ェ ブ サ イ ト (http://www.ul.com/global/eng/pages/aboutul/history/)で は 1894 年 を 設 立 年 と し
て い る が 、 『 新 版 UL 規 格 の 基 礎 知 識 』 (日 本 規 格 協 会 1985:2008、 pp.16-17)に よ る と 、 1894 年 に 設
立 さ れ た Underwriters Electrical Bureau は , 火 災 保 険 業 者 の 電 気 局 と し て 安 全 に 関 す る 証 明 書 を 発
行 す る 機 関 だ っ た 。 そ の 後 , 1901 年 に UL (Underwriters Laboratories Inc.) と 改 称 し , さ ら に 火 災
保 険 業 者 会 議 ( The National Board of Fire Underwriters) か ら 支 援 を 受 け る こ と に な っ た 。
62 UL ホ ー ム ペ ー ジ http://services.ul.com/
43
コンサルティング
教育
ブランド保護・サプライチェーンセキュリティ・コンサルティング
サービス、能力強化・継続的改善コンサルティングサービス、継続
的 改 善 研 修 、EMC 研 修 、環 境 責 任 コ ン サ ル テ ィ ン グ サ ー ビ ス 、抽 出
物・原 材 料 コ ン サ ル テ ィ ン グ サ ー ビ ス 、人 材 教 育 、パ ッ ケ ー ジ 審 査 、
製品開発コンサルティングサービス、プログラム開発、品質コンサ
ルティングサービス、品質適合性研修、規制コンサルティングサー
ビス、リスク特定・マネジメント・コンサルティングサービス、社
会的責任コンサルティングサービス、サステナビリティサービス、
決済セキュリティコンサルティングサービス、職場安全・健康コン
サルティングサービス、職場安全・健康研修
4.5.8 DNV KEMA Energy & Sustainability 63
DNV KEMA Energ&Sustainability の 概 要 、 沿 革 、 事 業 分 野 を 以 下 に 示 す 。
(1) 概 要
2012 年にDNVとKEMAが合 併し て設 立され た企 業で 、エ ネルギ ー・ バリ ュ
ー・チ ェ ーンにおける技術コンサルティング、試験、検査、認証、リスク管理、
証 明 を 行 っている。本拠地はオランダのアルンヘムで、DNVグループ傘下に あ
る 3 企 業 のうちの一つであった
64 。
DNV は国際エネルギーセクターを主導するコンサルティング及び試験・認証
企 業 で あ る N.V. KEMA 株式の 74.3%を取得後、3 月に KEMA エネルギー&サ
ス テ ナ ビ リティ部門の運営を開始した。
表 4-30
DNV KEMA Energy & Sustainabilityの概要
本拠地
売 上 高 ( 2011 年 )
65
オランダ(アンヘルム)
2 億 5810 万 ユ ー ロ
( 296 億 1,000 万 円 66 )
23 カ 国
1,850 人
事 業 所 進 出 国 数 ( 2011 年 )
総 従 業 員 数 ( 2011 年 )
63
2013 年 9 月 の DNV と GL 合 併 後 の 再 編 で 、 DNV KEMA Energ&Sustainability は 、 DNV GL グ
ル ー プ の エ ネ ル ギ ー 部 門 と な っ た た め 、 本 節 は KEMA 2011 Annual Report 及 び ホ ー ム ペ ー ジ の 情 報
を基に作成した。組織再編時に本報告書を作成したため、組織名が混在している。
64 http://www.dnvkema.com/about/default.aspx
2012 年 3 月 1 日 時 点 。そ の 後 2013 年 9 月 に 再 編 が 行 わ れ 、DNV GL グ ル ー プ の エ ネ ル ギ ー 部 門 と な
る。
65
66
DNV Annual Report 2012
1992 年 末 の TTB/TTS 中 間 値 を 採 用 し 為 替 換 算 し た 。
44
(2) 沿 革
KEMAは発電事業者 の試験部門の 独立が 起源であり、 オラン ダの電気事業 の
ニ ー ズ に 応えるかたちで成長を遂げてきた。特に、グリッドに対するテストに
は 定 評 が ある。DNVと合併後の 2013 年 11 月に も、高圧電力試験所(オランダ、
ア ル ン ヘ ム)に 7,000 万ユーロの投資を発表している。この投資により、800kV
以 上 で 動 作するスーパーグリッド部品技術を試験することができる世界初の試
験 所 が 設 立される。この新設備により、従来の高電圧部品の試験も 30%以上 多
く 実 施 で きるようになると見込まれている
表 4-31
67 。
DNV KEMA Energy & Sustainabilityの沿革
68
1924 年
発 電 事 業 者 VDEN の 試 験 部 門 が 独 立
1927 年
電 力 会 社 を 所 有 し て い る 地 方 自 治 体 や 民 間 の 発 電 事 業 者 に よ り 、上 記 組 織
が NV tot Keuring van Elektrotechnische Materialen (電 気 工 学 装 置 試 験
会 社 、 KEMA)と し て 設 立 さ れ る 。
1930 年
短絡試験所を設立
1938 年
試 験 所 、作 業 場 、保 存 室 を 持 つ 複 合 施 設 を 建 設 。第 2 次 世 界 大 戦 中 は 、車
1950 年 代 ~ 1960 年 代
自社敷地内に原子力発電試験施設を建設
1977 年
原子力に対する国の方針転換により、原子力プロジェクトを終了
1990 年 代
オ ラ ン ダ・エ ネ ル ギ ー セ ク タ ー の 市 場 の 自 由 化 に 伴 い 、電 気 工 学 か ら コ ン
両証明システムや発電所の燃料オイル再生といった研究を実施。
サルタント、知識センター、独立検査機関としての分野を拡大。
2009 年
Gasunie か ら ガ ス・エ ン ジ ニ ア リ ン グ・サ ー ビ ス を 取 得 し 、そ の 試 験・認
証 部 門 の 一 部 を 、 DEKRA に 売 却 し 、 エ ネ ル ギ ー 関 連 事 業 を 中 心 に 事 業 を
展開。
2012 年
DNV と 合 併
(3) 事 業分野
KEMA は、エネル ギーに特化し た試験 、認証、コン サルテ ィング企業だ が 、
特 に 石 油 ・ガス分野のリスクマネジメント、送配電分野に強みを持つ。また、
ネ ッ ト 売 上げベースでは、米国における活動が盛んである。
67 DNV Annual Report 2012
http://www.dnv.com/binaries/DNV%20annual%20report%202012%20m_skygge_tcm4-549951.pdf
68 DNV GL ホ ー ム ペ ー ジ http://www.dnvkema.com/about/history.aspx
45
表 4-32
DNV KEMA Energy & Sustainabilityの事業内容
69
試験・認証
パフォーマンス改善,品質・リスクマネジメント
マネジメント・運営コンサルティング
エ ネ ル ギ ー 市 場 に お け る 戦 略・運 営 上 の コ ン サ ル テ ィ ン グ
ガス分野のコンサルティング
ガ ス イ ン フ ラ ・ ガ ス 利 用 コ ン サ ル テ ィ ン グ サ ー ビ ス ( 40
年以上の経験)
クリーンエネルギーサービス
化石燃料、再生可能エネルギー
持続可能な利用
持続可能性及びエネルギーマネジメント
送配電
電気システム
アジア
太平洋地域
7.5%
オランダ以
外の欧州
23.0%
米国
44.2%
オランダ・
中東・
アフリカ
25.3%
図 4-8
69
70
KEMA Energy & Sustainabilityの活動地域
70
2013.10 現 在 の DNV KEMA ホ ー ム ペ ー ジ ( 現 在 は DNV GL ホ ー ム ペ ー ジ に 統 合 さ れ て い る 。 )
Annual Report 2011( 2011 年 ネ ッ ト 売 上 げ ベ ー ス )
46
4.6 調 査 結果
海 外 ヒ アリング調査の実施実績を 表 4-33 に示す。
表 4-33
No.
海外認証 機関ヒア リング 調査 実績
認証 機関
所在 地
訪問 日
1
VDE
German/Frankfurt
2013/10/07(Mon)
2
TÜV SÜD (Automotive)
German/Munchen
2013/10/08(Tue)
3
Lloyd’s Register
UK/London
2013/10/10(Thu)
4
Intertek
UK/London
2013/10/11(Fri)
5
DNV GL
Norway/Oslo
2013/10/14(Mon)
6
CSA Group
Canada/Toronto
2013/10/17(Thu)
7
UL
USA/Chicago
2013/10/18(Fri)
8
DNV/KEMA
Netherlands /Arnhem
2013/11/01(Fri)
海 外 認 証機関 にお け る認証 業務の 周辺 機 能は以 下のよ うに 整 理する ことが で
き る 。 製 造事業者に対する支援項目としては機能3~6が対応する。
図 4-9
海外認 証機 関調査の 周辺機 能
各 認 証 機関か らの 聞 き取り 内容に つ い て 、注目 する機 能ご と に以下 に整理 す
る 。 な お 、一部を除いて発言機関名は伏せて記載する。
47
4.6.1 【 機能1】市場予測機能
多 く の 海外認 証機 関 では、 各産業 分野 に おいて 認証の しく み が整備 される よ
り も 前 の 段階から、認証サービスが必要とされる認証需要の市場予測(製品需
要 予 測 を 含む)の機能を明確に組織設計・業務設計に反映している。
こ の こ とは、 海外 認 証機関 の多く が、 電 気製品 、船舶 、ボ イ ラーな どの工 学
設 備 等 の 安全や保険に関する検査・評価機関として設立された後、エネルギー、
サステナビリティ、マネジメント認証など時代の要請に応えて事業分野を発
展 ・ 展 開 してきた歴史を見ても、これらの認証機関が市場の動向に積極的に対
応 し て き た結果として理解することが できる。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( 市 場 予 測機能)
 今 後の事業展開の方向性は、新しい技術分野である、と断言できる。新規
市 場性検討のために「テクノロジーレーダー」と呼ばれている部署が設置
さ れている。
 最 近マーケティング専門の部署を新設した。
 ヘ ッドオフィスに戦略部門があり新規市場のポテンシャルを探してい る。
新 規市場への参入機会として、「新しい規制」の動向を注視している。
 馴 染みのある規制体系 を持った国を市場開拓の対象として考える。その他
に は経済成長の観点からアフリカ(年間成長率7%)に関心を持ってい る 。
 グ ローバルチームがあり事業戦略を複数の地域の目から確認している 。認
証 のビ ジネ スニ ーズ の源泉 とし ては 、「 サプラ イチ ェー ン」「規制 」「 成 長
と 多様性」「新技術」「要求品質」などの視点で捉えている。
 研 究開発投資によって最先端の知見で業界をリードすることができる 。先
端 分野の研究テーマは例えば、感染リスク管理や、大深海や極地からの生
産 技術、グリーンシッピングの分野がある。
 市 場に関するステークホルダー(消費者、製造事業者など)の意識調査 を
行 っており、事業戦略に反映している。
 自 社技術ではなく市場のニーズに基づいて考えることが重要 である(認証
マ ークを世界に広げたいわけではない)。
 各 事業部門に市場予測やマーケティングを実施する機能 が備わってお り、
か なりの投資を行って次の市場を探している。
 ス テークホルダーに対する意識調査結果などを市場開拓に活用してい る。
48
4.6.2 【 機能2】市場からの信頼獲得機能
海 外 認 証機関 が海 外 展開を 行う際 には 、 対象市 場への 拠点 進 出が第 一歩とし
て 位 置 付けられており、また対象 地域における規制当局や各産業などのステー
ク ホ ル ダ ーの関係性の把握とネットワーキング、地域ニーズへの着目、学術活
動 や CSR 活動などを通じた社会からの信頼獲得が重要な活動として位置付け
ら れ て い る。また、組織への信頼獲得は一朝一夕にはできず、長い間の地道な
実 績 の 積 み重ねによって構築されるとの回答が多く聞かれた。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( 地 域 か らの信頼の獲得)
 グ ローバル化したいのであれば、企業は地域社会に溶け込む必要があ る。
 海外展開において現地職員を雇用して育てていくという考え方をしてい
る。
 地 域拠点では地域の言語と文化 を熟知した人が実施することが最も良い。
 海 外市場で信頼を得ていくためには 現地職員による運営体制(ローカルオ
ー ナーシップ)体制を構築している。
 あ る国で認証事業を行うためには、その国から信頼されることが必要であ
り 、そのためには最初に試験機関を立ち上げて試験実績を積むことが信頼
獲 得のための第一歩として大切である。そして次に、その国から認定を受
け ることができれば、市場らの信頼が更に強くなり認証事業も含めてワン
ス トップでサービスができるようになる。
 地 域に認めてもらうための方法としては、地域のオフィスや試験設備を設
立 し、彼らの話に耳を傾け、対話をしていくことが重要である。地域文化
の 中に居場所を作ればビジネスの機会も できてくるだろう。
 地 域の規制当局に信頼されることもまた非常に重要であり、地域に拠点を
設 置するなどの基本戦略は同様である。試験設備の建設は状況次第だ が、
ま ずは規制当局との接点を持つことが必要である。その他に必要なことと
言 えば、地域産業ともコミュニケーションを図っていくことであろう 。普
遍 的な真実として、最初にニーズを見つける必要がある、そしてニーズに
対応するための地域での信頼や自信は地元化することによってしか獲得
で きないということを理解する必要がある。
( 学 術 的 活動による信頼の獲得)
49
 大学での技術者育成に関する授業内容など教育政策にも影響を与えてい
る。
 イ ベント部署 があり、各種の規格会議、標準会議、シンポジウムを開催 し
て いる。年間6万人が参加している。
 認 証スキームや規格開発にも関与し、標準化活動においてもオピニオンリ
ー ダーのように位置付けられている。
(CSR に よ る信頼の獲得)
 消 費者向け製品情報雑誌における製品テストの多くを実施している。
 本 社敷地は公園として地域に開放されており、古い建物が文化財 として保
存 されている。
 デ ィズニーとの教育教材開発やセーフティーアンバサダー( 子どものため
の 安全教室 の開催や教育者・保護者・消費者への安全に関する啓発活 動)
な どの活動を行っている。
( 規 制 当 局との関係構築)
 将 来の未来技術の方向性を研究し、政府に対して助言・提言をする活動を
行 っている。
 各 国の規制当局との関係性を維持 することが大切であり、それが各国支所
の 役割でもある。
 認 証機関は待っているだけではだめで、対象国の規制機関と対話して 、理
解 し、新しい規制を素早く理解する必要がある。新規市場開拓には、現 地
進 出によって現地政府機関と接触(ネットワーク)し迅速な意思決定をす
る ことが重要である。
 進 出先の政府に対して規制に関するアドバイスを行うこともある。
 市場開拓において、拠点を設置し地域政府に働きかけることは重要であ
る。
 あ る国 ではライセンスを受 けて規格適合性・テスト・検査などのサービス
を 提 供 し て お り 、 政 府 ( 認 証 な ど の ス キ ル が 無 い ) と Quality and
Conformity Council(QCC)の支援パートナーシップを形成している 。
 現 地展開の手順は、 ①拠点進出、②現地の人を雇用、③試験機関の設立、
④ 専門性の信頼獲得、⑤展開国での認定を取得、などの順となる。
 地 域の規制当局・地域産業に信頼されることもまた非常に重要であり 、地
域 に拠点を設置するなどの基本戦略は同様である。
50
( 事 業 戦 略におけるステークホルダーとの関係構築)
 顧 客の近くに拠点及び試験施設を構えて、対応している。
 製 品の種類(コモデティ、インフラ)による市場開拓の違いについて は、
市場のステークホルダーの影響の仕方が大きく異なるのでその点に着目
す ることが大切であろう。コモディティに関しては、通常は国家の規制当
局 、リテーラーや消費者自身が大きな影響を与えるだろう。太陽光発電や
風 力発電などのインフラの場合には、電力会社などの導入・運用事業者( イ
ン ストレーションオーソリティ)が大きな影響を持つ。
 製 品の種類によって確かにステークホルダーは異なる が、ビジネスの視点
で 見た場合には「市場がどこにあるか、ニーズがどこにあるか、どの機 関
( 規格開発やテストの実施機関も含めて)が影響力を持っているか」が重
要 であるとい う点では同じである。
 展 開先では、規制機関に働きかけることはあまりないが、市場参入のため
に 現地の標準化機関、認証機関との 関係構築を行うことは多い。
( 組 織 の 歴史・実績・文化)
 信 頼を得ている背景には、電気のことだけを 100 年やってきた「歴史」が
あ る。
 ブ ランドを構築する苦労とは、150 年間安全に取り組んできた長い歴史を
想 像するしかない。
 今 から 150 年前に創立した人たちの情熱とビジョンが未だに息づいて い
る 。“To safeguard life,property,and the ironment” ※ が全職員をつなげ
る 「のり」の役割 をしている。我々はとても強い企業文化を持っている。
こ の市場の中で我々こそが貢献できると信じており、我々が消滅してはい
け ない。我々が存在し続けなければこれ(※)が実現できない。
 創 業当初から電力設備の試験基準の開発に取り組み 、現在では世界中でそ
の 基準が使われている。それが現在の認証業務の土台となっている。
4.6.3 【 機能3】規格開発機能
殆 ど の 認証機 関で は 規格開 発にも 早い 段 階から 関与し 、 規 格 開発の 経緯や 背
景 を 理 解 することによって、認証業務の競争力としている。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
51
( 規 格 開 発)
 規 格部門があり、規格を作っており、ここで作った規格が欧州と自国の規
格 になる。
「イベント部」という部署 があり、各種の規格会議、標準会 議 、
シ ンポジウムを開催している。年間6万人が参加している。
 規 格開発段階に携わることもまた重要であり、ISO などの TC にはメンバ
ー として自分も参加している。規格開発の理由や経緯を理解できなければ
顧 客を支援することができない。規格基準類に早期から関わることは自社
の ビジネスにおいて必要不可欠で重要な要素となっている。
 医 療ではアメリカの認可された病院の支援から始まった。政府がやるよう
な 同じやり方で自社でも 認可を出すようになった。病院の国際認可規格を
開 発して世界に展開した。
 ユ ニークな点は、規格開発部門を持っていること。規格開発やコンセンサ
ス 形成の支援を行えることが強みである。現段階では、規格を開発してい
る が、ハーモナイゼーションも進んでいるので、他の国にも適用されるよ
う プロモートしたい。
 で きた規格を利用するだけではなくて、我々は規格開発から取り組みを行
っ ている。シニアになれば規格開発にも参画するようになる。
4.6.4 【 機能4】試験・検査機能
殆 ど の 認証機 関は 試 験・検 査事業 を実 施 してお り、技 術力 の 基盤と 位置付 け
て い る 。 更に、認証機関が試験機関を買収し試験サービス事業を発展・展開さ
せ て い る 事例もある。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( 試 験 ・ 検査)
 検 査・認証の品質には絶対の自信を持っている。
 タ イヤやホイールについては自社に 優れた試験設備や実験設備がある 。
 検 査ビジネスの売り上げは1億ポンドで世界に 7,000 の顧客がい る。
 自 社では試験機関から事業を開始しており、試験検査がなければ認証を出
せ ないと言う意味で重要である。
 電 力設備に関する試験所として、試験業務、試験基準の開発、認証業務 を
中 心として発展してきた。自社の 開発した試験基準は世界中で使われてい
る。
52
( 試 験 機 能のアウトソーシング化)
 大 企業のメーカーはデザインと製造が中心業務であり、既にテストラボを
自 分たちで個別に抱えたくないと考えている。そのようなラボを(従業員
と 一緒に)買収し、より幅広い分野の企業からテスト業務を受注できるよ
う な経営環境を整備・運営することによってテストビジネスを発展させて
い る。
4.6.5 【 機能5】認証機能
相 互 承 認など を含 め た認証 スキー ムは 対 象国の 状況に 応じ て 柔軟に 対応し て
お り 、 自 社あるいは自国の認証スキームを海外展開するよりは対象国のニーズ
に 応 え る ことが重視されている。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( グ ロ ー バル展開のための認証スキーム構築)
 ど の国にでも参入できるように対応できるような準備を行っている。それ
は様々な方法を使っている。国際的または欧州の認証スキームを使うこと
も あるし、相互承認(MRA:Mutual Recogntion Agreement)や MOU
(Memorandum Of Understanding)を使う場合もある。国際的な認証ス
キ ームに対応できるよう、社内に4種類(CB スキーム、 IECEx スキー
ム 、European Certification Schemes(EU Directives)、North America)
の 認証対応体制が併存している。
 メ ーカーは世界のどこにでもあるし、北米以外で も CB スキームに参加 し、
地 域の認証を発行していく。自社の認証マークだけではなく、CB スキー
ム や地域の認定を貰うなど の取り組みをしていくことが必要である。相互
承 認のタイプ(認証/試験データの活用)は、それぞれの国の規制の考 え
方 によって異なる。
 自 国内での認証マークはコアサービスになっているが、日本では電気用品
安 全法や CB スキームの検査業務がコアサービスになっている。地域が 求
め るものに応えていく。地域のニーズが先にあ って、それらに応えるよう
に 組織が動いていく。
53
4.6.6 【 機能6】コンサルティング機能
一 般 に 、同一 の顧 客 に対し て認証 サー ビ スとコ ンサル ティ ン グサー ビスを 実
施 す る こ とは独立性を損なうことから制限されている。しかしながら、現実的
に は 、 産 業からは認証機関に対して開発段階から様々な相談が持ちかけられて
お り 、 認 証サービスとコンサルティングサービスの境界線は一般的・客観的な
区 別 が 難 しくなっているのが実態である。したがって、コンサルティング的な
価 値 を 提 供する各認証機関では、認証事業とコンサルティング事業の独立性に
大 き な 配 慮を行いながら、事業を進めている。具体的には、別会社にする、部
署 を 明 確 に分ける、サービスの時期を明確に離す、などの配慮を行っている。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( コ ン サ ルサービスを提供しない機関)

コ ンサルティング機能を別の子会社として作って、コンサルティング 業
務 を行っているところもある。我々はそういう子会社は持っておらず あ
く まで規格作成と認証業務だけを行っている。
( コ ン サ ルサービスを提供している機関)

収 入 の中で試験・認証によ る部分は、鉄道では 70%程度、自動車では 60%
程 度ではないだろうか。残りはコンサルティング業務である。

マ ネジメントシステム認証の部門では、認証サービスが 90%、残りの 10%
の 中にテストやコンサルティングが含まれる。

コ ン サ ルテ ー ショ ン の比 率 は追 加 サー ビ ス的 な 位置 付 けで あ り、 顧 客 か
ら の 要 望に 応 える た めに 実 施し て いる が 、収 入 の中 の 割合 は 非常 に 小 さ
い。

コ ンサルティング業務の収益は全体の 8 割近くを占める。自社内で応用
研 究 を 進め 、 コン サ ルテ ィ ング の でき る 「知 識 提供 者 」と し ての 機 能 を
開 発してきた。
( 製 品 開 発のスピードとコンサルティングへのニーズ)
 企業は製品を市場に出すより数年早い時期から認証機関と協働すること
に よって、新しい技術の認証などのあり方等の知見を得て、市場に製品を
投 入するときに適切な品質を確保できるようにしている。新規制・基準の
策 定前から、メーカーと協働で試験や認証手順の方法を確立している企業
は 認証機関に開発を一緒に行うパートナーの役割を求めている。
54
 ど んな分野でも製品のライフサイクルが短くなっており、製品開発の姿が
変 わってきている。製品の安全・品質・パフォーマンスについて、できる
だ け早い段階から関与する必要がある。認証プロセスも開発と並行して進
め る必要がある。
 大量消費製品の製品開発では開発段階から密接にコミュニケーションを
図 る必要性が大きくなっている。
( コ ン サ ルティング業務と認証業務の独立性)

子 会 社含めてコンサルティングと認証の両方は同一顧客には実施しな
い。

認 証 の品質を確実にするためには、製造・開発支援業務と認証業務の 間
を 明 確に分離しておくことが重要である。これは我々のフィロソフィ ー
で あ る。

コ ン サルティングは試験や認証サービスと同時にはできない。監査を 受
け て いる。

同 じ 顧客に対して認証事業とコンサルティング事業を両方提供しては な
ら な いと考えている。

コ ン サルテーション業務と認証業務と両方実施すべきではないので非 常
に 厳 しい管理がなされている。

認 証 とコンサルティングを分離しておくことは重要で注意を払ってお
り 、 社内基準にしたがって第三者機関の監査を受けている。

ISO/IEC 17065 にはコンサルの定義は書いてあるが、まだまだ整理す べ
き ところはあると思う。解釈の混乱や翻訳の多義性などもある。
4.6.7 【 認証機関の前提】グローバル競争と拡大戦略
本 調 査 におい ては 、 海外認 証機関 の周 辺 機能の 他、海 外に お ける認 証事業 の
事 業 環 境 及び認証機関の基本的な事業戦略の考え方に関する内容も聞くことが
で き た の で、主な内容を以下に示す。
(1) 組 織の拡大志向性
海 外 メ ジャー認証機関は、厳しい市場競争に勝ち残るために、
「組織の規模拡
大 」 に よ る事業収益性の向上を意図している。
以 下 に 関連するヒアリング調査 の聞き取り内容を示す。
55
( 組 織 拡 大)
 市 場競争に食い込み続けるためには成長し続けることが必要である。
 成長に対しては非常に貪欲である。上場していることが成長の一因であ
る。
 認 証業 務は 、「 食う か食わ れる か」 のビ ジネス 生存 競争 の厳 しい分 野で あ
る。
 グ ローバルなビジョンを持っているので拡大志向は当然のことだと思 う 。
 成 長し続けなければ市場を失い負けてしまう。
(2) グ ローバル化の拡大志向性
海 外 メ ジャー 認証 機 関は、 認証業 界で の 生存競 争を大 きく 意 識した 上で組 織
の 拡 大 を 必要と考えており、そのために早い段階からグローバル企業への変革
を 行 う と 共に、対象顧客もグローバルな視点で捉えている(特定国の産業育成
に は こ だ わっていない)。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( グ ロ ー バル化)
 我 々は既に自国内 の企業ではなく世界の企業である。
 会 社全体としては特に自国 の産業振興というミッションはなく、グローバ
ル な企業を顧客としている。
 自 国の産業促進が 事業目的の中心にはなっているということはない。
 顧 客は主にアメリカ、そしてヨーロッパ、アジアであり自国内だけではな
い。
 認 証マークを世界に広げたいわけではなく、各地域の要求(EU など)に
対 応してサービスを提供していくことが基本的な姿勢である。
大 規模な試験設備を抱えており、国内市場だけではペイしない。そのため
創 業当初からグローバル展開を前提として展開してきた。
(3) 買 収戦略
多 く の 認証機 関で は 市場戦 略に沿 って 買 収戦略 を専門 に検 討 する部 署があ る 。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( 買 収 戦 略)
 買 収の 目的 は、 当然 利益を 上げ るこ とも 考えて いる が、「新 しい技 術分 野
56
の ノウハウ獲 得」「 市場参入」な どがあ る。例えばあ る 買収 で は、「IT 技
術 のノウハウ」と「特定の地域で活躍」しているという二つの観点から 評
価 して買収した。
 新規市場に出ていく場合はゼロから人材を育成するより組織を買ってし
ま った方が早い。本社には M&A 専門の部門があり、非常に優秀な人材 が
集 められている。
 買 収をレビューする小さな専門家チームが設立されており、事業面、管理
面 、資金経済面、規模、ポートフォリオなどを考慮して検討する。
 ある買収先を選定した理由は、当時すでに国際的な活動を行っていたこ
と 、買収先の機関の認証マークがよく認知されており、何百年もの歴史が
あ り、また幅広い産業を対象としていたこと、などの点であり、自社の ビ
ジ ネス戦略に最もフィット する企業であった。自社は買収を繰り返して大
き くなってきた。
 合 併によってオイル&ガス、電力、船級などの分野では世界最大の企業と
な り、大きなポートフォリオが完成した。両社がカバーしている拠点・市
場 の範囲及び産業分野の点でも相補的な合併が できた。
 市 場にニーズを発見し、そのニーズに応えるためのギャップを買収などに
よ って補完する。ある機関の買収では、その機関が、ヨーロッパ市場に お
い て ヨーロッパの文化と サービスを提供できる機関 であり、米国などの中
欧 州の文化に近く、英語が得意でありスタッフも協業しやすかったなど親
和 性が高かったことが買収の理由であった。
(4) 差 別化戦略
各 認 証 機関はそれぞれの競争力・差別化ポイントを明確化している
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
(差別化)
 検 査・認証の高い品質を断固として追及しており、学術技術機関としての
活 動と相まって、各国政府 機関から大きな信頼を寄せられている。
(検 査・
認 証の品質へのこだわり)
 自 由競争の中に身を置くことで鍛えられる企業体質に加えて、顧客拠点と
至近距離に優れた試験所を展開して特定分野のスペシャリストとして製
品 開発から支援することで競争力としている。(試験設備)
57
 全 世界に展開した拠点ネットワークと品質を売りにしており、特に日本の
中 小企業の技術力に高い関心を持っている。(拠点ネットワーク)
 と にかく全てのプロセスで「スピード」を重視した事業展開を徹底して行
っ ており、成長に対して積極的で企業買収が多い。(スピード)
 年 間収入の一定額を研究開発(大学や業界との協働研究など含む)に投資
し ており、新しいサービスを積極的に展開している。
(研究開発への投 資)
 自 国 の規格開発への貢献実 績が豊富であったが、既に海外市場をターゲッ
ト とした海外展開を推進しており、顧客に応じた規格での認証を行ってい
る 。(規格開発のノウハウ )
 創 業者の安全に対する理念を競争力と差別化の源泉と捉えている。
(「 安全
な 職場と生活環境」への強い想い)
 常 に先 端技 術の 知見 を蓄積 する こと をポ リシー ・強 みと して いる。「○ ○
○ が知 らな けれ ば誰 も知ら ない 」と 言わ れるこ とを 誇り とし ている 。( 先
端 技術の知見)
(5) 市 場対応のスピード感
欧 州 に おいては、新しい技術開発・製品開発とほぼ並行して規格開発、試験
環 境 整 備 、認証スキーム構築などが戦略的に進められており、近年のビジネス
で は 市 場 動向に追随する「スピード」が重要な要素となってきている。
ま た 、 新しい技術分野の競争が激しいことから、製造事業者としても発売時
期 の 遅 れ が損失に繋がることから認証の審査で時間がかかることは避けたいと
い う 考 え があり、設計段階から認証機関に関わってもらう方が良い、といった
声 が 国 内 メーカーにもある。
今 後 は 、我が国の技術開発においても、このような市場環境を前提とした上
で 、 規 格 開発・試験環境整備・認証スキーム構築を可能な限りスピーディーに
進 め て い くことが大切だと考えられる。
図 4-10
認証活用 のための 取り組 み
58
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( 製 品 開 発のスピードとコンサルティングへのニーズ)(再掲)
 企業は製品を市場に出すより数年早い時期から認証機関と協働すること
に よって、新しい技術の認証などのあり方等の知見を得て、市場に製品を
投 入するときに適切な品質を確保できるようにしている。新規制・基準の
策 定前から、メーカーと協働で試験や認証手順の方法を確立している企業
は 認証機関に開発を一緒に行うパートナーの役割を求めている。
 どんな分野でも製品のライフサイクルが短くなっており製品開発の姿が
変 わってきている。製品の安全・品質・パフォーマンスについて、できる
だ け早い段階から関与する必要がある。認証プロセスも開発と並行して進
め る必要がある。
 大量消費製品の製品開発では開発段階から密接にコミュニケーションを
図 る必要性が大きくなっている。
(6) 競 争原理がもたらす利益
認 証 機 関とし ても 自 ら 市場 競争に 身を お くこと によっ てグ ロ ーバル 市場で の
競 争 力 を 培っている、との意見も聞かれた。
以 下 に 関連するヒアリング調査の聞き取り内容を示す。
( 市 場 原 理の重要性に関する意見)
 以 前、 フラ ンス のメ ーカー に協 業を 持ち かけた 際に 、「 我々 はフラ ンス の
企 業でありフランス政府はフランスの認証機関 UTAC を使うことを求め
て お り、難しい」と回答されたことがある。電気自動車におけるフラン ス
の 状 況を見ればその結果は一目瞭然である。UTAC は企業の技術開発支援
は あまりやらないが、それは市場競争にさらされていないために必要性を
感 じないからであろう。市場競争は重要である。同様に、政府によって強
力 に支援された認証機関は、最初はコスト的には有利であるが、数年も経
て ば、それは逆に不利な点となる。なぜならば、最終的に重たい組織に な
っ てしまい競争力を失うからだ。認証機関が民間企業ではないことは 、産
業がグローバル市場に進出することにブレーキをかけていることになり
え る。
 自 社 がコンサル企業として 発展した理由は2つある。1つは、自社の応用
59
研 究を通じた知識の蓄積である。もう1つは、創業当初から海外市場を前
提 として事業展開をしてきたので、DNA としてグローバルアプローチ が
身 にしみついている。
60
4.7 海 外 認証機関調査結果のまとめ
我 が 国 産業の グロ ー バル展 開に必 要な 標 準化及 び 認証 を活 用 するた めの機 能
の 全 体 像 を分析するために、海外認証機関の活動(特に、認証機関等の認証事
業 以 外 の 周 辺機能)の実態を把握 することを目的として、 海外認証機関ヒアリ
ン グ 調 査 を実施した。
海 外 認 証機関 8機 関 に対す るヒア リン グ 調査を 実施し た結 果 、認証 以外の 周
辺 機 能 を 含む海外認証機関の機能として、①市場予測機能、②信頼獲得機能、
③ 規 格 開 発機能、④試験機能、⑤認証機能、⑥コンサルティング機能、の6機
能 と し て 整理した。特に、①②については製造事業者が新しい技術や製品をグ
ロ ー バ ル 展開する上で認証機関に求められる重要な機能である。
ま た 、 グロー バル 市 場にお いて は 製造 事 業者が 新しい 技術 や 製品の 上市の 前
に 、 適 切 な品質を確保するための試験や認証の方法等を認証機関に相談する例
が 多 く あ ることが分かった。これは、認証機関が厳しい市場競争の中に身をお
い て 上 記 のような機能を充実させていることに加えて、製造事業者が積極的か
つ 戦 略 的 に 標準化や認証を活用す る意識が高いことが背景にあると言える。
61
5. まとめ
本グローバル認証基盤研究会では、我が国の認証活用のしくみを国際的に通用するもの
として整備することを目的として、①各分野の認証活用における課題の類型化、②海外認
証機関等の周辺機能の分析、及び③標準化及び証基活用の考え方に関する検討を行った。
各分野での認証活用の取り組みに関しては、平成24年度補正予算「グローバル認証基
盤整備事業」の対象となっている9つの製品・サービス分野における取り組みの状況及び
課題を集約・整理し、その結果、我が国の認証活用における考え方として類型化(①標準
化戦略の策定に関する課題、②認証などの適合性評価の体制構築に関する課題、③試験環
境整備に関する課題、④認証の実効性の向上に関する課題)した。
一方、海外認証機関調査に関しては、8つの海外認証機関に対して認証機能以外の周辺
機能についてヒアリング調査を実施し、6つの機能(市場予測機能、信頼獲得機能、規格
開発機能、試験検査機能、認証機能、コンサルティング機能)として整理した。我が国の
標準化及び認証を活用するためのしくみにおいては、市場予測機能、信頼獲得機能への対
応が弱く、事業者、認証機関、国の支援のあり方などが今後の課題と考えられる。
これら、各分野での認証活用の課題の類型化及び海外認証機関の周辺機能の調査結果を
踏まえた上で、研究会において検討を行い、
「標準化及び認証活用の考え方(以下、
「考え
方」と記載)
」として考え方のポイントを整理した。我が国の先端分野等の製品・サービス
の国内外における市場の形成・拡大・グローバル化を図るためには、各産業分野における
固有の状況と課題を特定し、他分野における既存事例も参考にしながら適切な事業戦略及
び標準化と認証活用のための基盤戦略を立案・推進していくことが有益である。この「考
え方」は我が国産業のグローバル展開に資する本研究会の成果物として、具体的な事例紹
介も合わせた形で事業者向けの小冊子「新市場開拓・発展のための戦略的標準化認証活用
事例集(仮題)
」として配布する予定である。
グローバル化が加速する国際競争においては、後手に回ることなく先手を打って事業戦
略を立案して対応していかなければならない。そのためには、我が国産業のグローバルな
事業展開を支える標準化と認証活用のしくみの整備において、事業者・認証機関・国が連
携し、それぞれの課題について検討を継続していくことが必要である。
62
言葉の説明
本報告書において用いられる重要な用語について以下に説明する。
(1) 適合性評価
「適合性評価」とは、製品、プロセス、システム、要員又は機関に関して規定された要
求事項が満たされていることの実証を意味する。
適合性評価は、第一者評価(製品等の供給者自身による評価)、第二者評価(製品等の
購入者による評価)
、第三者評価(供給者でも購入者でもない第三者による評価)に分類さ
れる 71。
図 6-1 適合性評価の種類
(2) 認証
適合性評価の中で特に、製品、プロセス、システム又は要員に関する第三者証明を「認
証(Certification)
」と言う 72。本資料でも、単に「認証」と表現した場合には第三者適合
性評価のことを指すこととする。また権威のある機関が認証機関の認証能力を評価して認
めることを「認定(Accreditation)
」と言う。
(3) 規格
適合性評価における要求事項には多くの場合、規格が参照される。規格とは、「与えら
れた状況において、最適な程度の秩序を達成することを目的に、諸活動または、その結果
に関する規則、指針又は特性を、共通に、かつ、繰り返し使用するために定める文書であ
って、合意によって確立され、かつ、公認機関によって承認されたもの 73」とされている。
「規格」
「標準」
「基準」「規定」などの言葉は、英語の訳語は全て「Standard」が対応
する。
71
72
73
ISO/IEC 17000
ISO/IEC 17000
ISO/IEC Guide 2:2004
63
(4) 標準化
標準化(Standardization)とは、
「現実の、又は潜在する問題について、共通に繰り返
して利用する"規定”を制定する活動で、与えられた条件下でその指令を最適の段階までに
到達させることを目指す」ことを意味している。
(5) 相互承認(Mutual Recognition)
適合性評価手続の相互承認(Mutual Recognition)とは、相互承認の参加機関が、他の参
加機関の適合性評価結果を、自ら実施したものと同等であるとして相互に承認することで
ある。相互承認は、その参加機関により、1)政府間相互承認 2)認定機関間相互承認 3)
適合性評価機関間相互承認 の3種類に分類されまる 74。
図 6-2 相互承認のレベル区分(認証機関の場合)
(6) 政府間 MRA(相互承認協定:Mutual Recognition Agreement)
相互承認協定が締結されることにより、相手国向けの機器の認証(機器が技術上の要件
を満たしていることの検査・確認)を自国で実施することが可能になる。MRA によって
適合性評価に伴う手続等の簡素化及びコストの削減が見込まれ、貿易の円滑化につながる
と期待されている。日本の場合、欧州、米国、シンガポールなどと政府間相互承認協定を
締結している。
(7) ILAC ( 国 際 試 験 所 認 定 協 力 機 構 : International Laboratory Accreditation
Cooperation)
試験所・検査機関を認定する機関の国際的組織である。ILACは試験所・検査機関を認
74
http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/kijyun/mrarenew/MR.html
64
定する機関の国際的組織 75であり、欧州地域、アジア太平洋地域等、地域内での認定機関
同士の相互評価(Peer Evaluation)をベースとした相互承認(MRA: Mutual Recognition
Arrangement)が国際的相互承認へと発展している。ILAC/MRAの枠組みを使うことによ
って試験結果の相互受入を促進することができる。ILAC/MRAに署名している日本国内の
事例としては、独立行政法人製品評価技術基盤機構認定センター(IA Japan)が運営してい
るJIS法に基づく試験事業者登録制度JNLA(Japan National Laboratory Accreditation)
がある。
(8) IAF(国際認定フォーラム: International Accreditation Forum, Inc.)
IAF はマネジメントシステム認証機関や製品認証機関などを認定する機関の国際組織的
組織であり、ILAC と同様、欧州地域、アジア太平洋地域等地域内での相互承認が国際相
互承認(MLA: Multilateral Recognition Arrangement)へと発展している。日本国内で
は、
(公財)日本適合性認定協会(JAB)や IA Japan が運営している製品認証機関の認定プ
ログラムが相互承認に署名している。しかしながら、現時点では、製品認証機関の相互承
認は認定機関の同等性の承認ステージであり、各製品認証スキームの同等性受け入れには
至っていない。
(9) MOU(覚書:Memorandum of Understanding)
MOU は適合性評価などの試験結果や認定結果を複数の適合性評価機関が互いに承認し
あう取り決めのことを指す。
(10) CB スキーム(Certification Body Scheme)
CBスキームとはIECEEが独自に運営している枠組みで、CAB(Conformity Assessment
Body)同士が能力を相互にチェックすることによって技術レベルを確認し、試験結果を相
互に受け入れるものである。CBレポートを国内規制の認証結果を出すための試験レポート
として用いる
76ことができる。CBスキームの加盟国にある認証機関(NCB:National
Certification Body )またはCB試験所(CBTL:CB Testing Laboratory)から発行され
た製品の試験結果(CB試験レポート)とCB証明書を他の加盟国の認証機関で活用できる
ので、認証に必要な試験を大幅に省略でき、認証取得の期間短縮とコストの削減に大いに
役立つ仕組みである。
75
76
http://www.jab.or.jp/contact/faq/q13.html
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286890/www.meti.go.jp/main/siryou/seisaku04_07.pdf
65
非 売 品
禁無断転載
平成24年度グローバル認証基盤整備事業
(先端分野に係る機能安全に関する認証基盤整備)
グローバル認証基盤研究会
報告書
発 行 平成 26 年 3 月
発行者 株式会社 三菱総合研究所
〒100-8141
東京都千代田区永田町二丁目 10 番 3 号
電話 : 03-6705-6037
経済産業省委託
平成 24 年度
工業標準化推進事業委託費(グローバル認証基盤整備事業:
先端分野に係る機能安全に関する認証システム基盤整備事業)
鉄道システム
成果報告書
平成 26 年 3 月
目次
1. 事業の概要.................................................................................................................. 1
1.1 事業の目的 .............................................................. 1
1.2 事業の実施期間 .......................................................... 1
1.3 実施体制 ................................................................ 2
1.4 WG の委員構成 ............................................................ 2
2. 事業の実施状況........................................................................................................... 3
2.1 WG の開催 ................................................................ 3
2.2 文献調査 ................................................................ 4
2.3 国内調査 ................................................................ 4
2.4 海外調査 ................................................................ 5
3. 調査成果 ..................................................................................................................... 7
3.1 文献調査結果 ............................................................ 7
3.1.1 世界の鉄道産業市場.................................................................................................... 7
3.1.2 セグメント別の世界鉄道産業市場 .............................................................................. 7
3.1.3 地域別の鉄道産業市場 ................................................................................................ 9
3.2 国内調査結果 ........................................................... 10
3.3 海外調査結果 ........................................................... 11
3.3.1 アジア地域の調査結果 .............................................................................................. 11
3.3.2 適合性評価に関する一般論 ....................................................................................... 12
3.4 課題解決に向けたロードマップ(ブループリント) .......................... 13
1. 事業の概要
1.1
事業の目的
世界の鉄道産業市場は、引き続き拡大することが期待されている。UNIFE(欧州鉄道
産業連盟)の統計によると、鉄道産業全体における年間市場規模は、2009~2011 年の平
均で約 1,460 億ユーロ(2007~2009 年の平均と比較して 3.4%の成長率)であり、2017
年には年間 1,700 億ユーロに迫ると予測されている。
世界の市場への期待が高まる中、
我が国企業においても積極的な海外進出が進められて
いる。例えば高速鉄道分野における代表的なプロジェクトとして、英国都市間高速鉄道
(2012 年)があり、また、都市鉄道においては、2012 年以降、マニラ首都圏やホーチミ
ン市、バンコク市の都市鉄道における車両・設備をはじめ、アジアを中心に受注が続いて
いる。
今後、海外展開をより一層進めていくためには、現地における顧客の要求(仕様)に対
して的確かつ円滑に応えていくことが求められる。これにより、プロジェクトの遅延や紛
糾を回避することが可能となり、収益性が確保されるとともに、我が国企業のブランド力
向上、およびそれによる受注力向上が期待できる。中でも、試験・認証に対する要求に応
えることは、製品の引き渡しや運用の開始に当たり必須条件であり、非常に重要となる。
しかし現状では、このような試験・認証に対する要求に円滑・的確に応えられていると
は必ずしも言えない。その主な要因として、対応に必要となる知見・技能が国内に不足し
ていることや、実績のある認証機関や試験所が国内に十分にないこと等が挙げられる。こ
れらの結果として、欧米をはじめとする海外の認証機関や試験所の支援が必要となる等、
必要以上にコストや手間がかかる状況が生じている。またそれだけでなく、プロジェクト
が円滑にクロージングできないケース等も生じている。
このような状況を打開するためには、国内企業における知見・技能の向上や、国内の認
証機関や試験所の充実などを含めた、国・業界・企業による包括的な認証基盤の整備が望
まれる。求められる試験・認証はセグメントによって異なることから、基盤整備に当たっ
ては、セグメント固有の課題・状況に対応していくことも重要となる。
当事業では、このような背景を踏まえ、我が国の認証基盤の整備に資することを目的と
して、国内企業が抱える課題についてセグメント別の視点から明確化するとともに、その
解決策および認証体制のあり方を検討した。なお本事業においては、
国内における認証基
盤の議論を進めていることから、
国内の認証体制に関する課題および解決策を中心に検討
する。
1.2
事業の実施期間
自 平成 25 年 3 月 29 日
至 平成 26 年 3 月 31 日
1
1.3
実施体制
三菱総合研究所が主体となり、国内外の調査を実施する。また、海外調査にあたっては、
調査先との調整を目的として海外エージェントに請負外注を行う。
また、三菱総合研究所を事務局として、有識者による WG を設置する。WG では、調査
結果等を踏まえて鉄道分野における適合性評価の課題を議論し、
ブループリントの審議を行
う。
請負外注
事業責任者
北田貴義
事業副責任者
平本 充
プロジェクトマネジメ
ントセンター
(経費処理支援)
(2)先端分野の認証基盤
ブループリントの作成
(①鉄道システム)
テーマ責任者
石原嘉一
(1)認証スキームの事
例調査・分析
テーマ責任者
柴田高広
(2)先端分野の認証基
盤ブループリントの作
成
(②生活支援ロボット)
テーマ責任者
瀬川友史
海外エージェント
鉄道システムWG
1.4
WG の委員構成
有識者ならびに業界関係者等からなるメンバーで、ワーキンググループを構成した。
2
2. 事業の実施状況
2.1
WG の開催
開催された WG の開催状況を、次に示す。
(1) 第 1 回 WG
日時:平成 25 年 5 月 15 日(水) 10:00~12:00
場所:経済産業省 別館 628 会議室
出席者:
-委員
 研究機関 1 名
 鉄道メーカー 4 名
-オブザーバー
 関連機関等 12 名
検討項目:
(1)本事業の概要について
(2)交通安全環境研究所の取り組みについて
(3)調査及び検討内容について
(2) 第 2 回 WG
日時:平成 25 年 9 月 20 日(金) 10:00~12:00
場所:三菱総合研究所 会議室
出席者:
-委員
 研究機関 1 名
 鉄道メーカー 3 名
-オブザーバー
 関連機関等 9 名
検討項目:
(1)検討事項の確認
(2)海外ヒアリング調査結果について
(3)国内ヒアリング調査結果について
(4)ブループリントの要件等について
(5)今後のスケジュールの確認
3
(3) 第 3 回 WG
日時:平成 26 年 2 月 26 日(水) 10:00~12:00
場所:三菱総合研究所 会議室
出席者:
-委員
 研究機関 1 名
 鉄道メーカー 4 名
-オブザーバー
 関連機関等 9 名
検討項目:
(1)第2回 WG 議事概要の確認
(2)報告書構成について
(3)ブループリントについて
(4)その他
2.2
文献調査
鉄道市場予測等について、文献調査を行った。
2.3
国内調査
国内調査の実施概要を、次に示す。
実施期間:2013 年 7 月 24 日~2014 年 3 月 18 日
目的:
①
日本の鉄道メーカーにおける認証の課題調査

過去の海外鉄道プロジェクトにおける、
認証取得に際しての課題を明確に
する
実施方法:アンケート調査、ヒアリング調査
ヒアリング調査実施実績:
日付
ヒアリング先
2013/7/24
信号システム A 社
2013/7/29
商社 A 社
2013/8/1
鉄道システム A 社
2014/1/8
地上設備 A 社
2014/1/10
車両 A 社
2014/1/16
車両部品 A 社
4
2.4
2014/3/12
車両部品 B 社
2014/3/18
地上設備 B 社
海外調査
海外調査の実施概要を、次に示す。なお、ヒアリング先とのコンタクトにあたっては、一
部請負外注に依頼した。
実施期間:2013 年 6 月 3 日~2013 年 7 月 27 日
目的:
①
欧州鉄道市場における認証ビジネスの成立要件

欧州では、認証スキームの国際整合化が積極的に進められ、認証ビジネス
が発展している。

これを踏まえ、
欧州認証機関における認証ビジネスのベースとなっている
認証スキームおよび認証に対するニーズの内容を現状把握する。
②
アジア鉄道市場における認証スキームの成立要件

今後アジアにおいて想定される認証へのニーズの内容、
およびそれに応じ
てどのような認証スキームが想定されるかを明確にする。
ヒアリング対象:
日付
国/都市
ヒアリング先
2013/6/3
フランス/パリ
調査機関
2013/6/4
フランス/パリ
認証機関
2013/6/5
ベルギー/ブリュッセル
規制機関
2013/6/6
オーストリア/ウィーン
研究機関
2013/6/27
ドイツ/エアランゲン
鉄道メーカー
2013/6/28
ドイツ/ミンデン
試験・検査機関
2013/7/1
ドイツ/ボン
認証機関
2013/7/8
スペイン/マドリード
認証機関
2013/7/9
イギリス/ロンドン
認定機関
2013/7/10
イギリス/ロンドン
規制機関
2013/7/11
イギリス/ロンドン
オペレーター
2013/7/12
イギリス/ダービー
コンサルタント会社
2013/7/16
マレーシア
標準化機関
2013/7/17
シンガポール
規制機関
2013/7/18
タイ/バンコク
規制機関
2013/7/18
タイ/バンコク
オペレーター
2013/7/19
タイ/バンコク
オペレーター
5
2013/7/19
タイ/バンコク
オペレーター
2013/7/24
ベトナム/ハノイ
規制機関
2013/7/24
ベトナム/ハノイ
規制機関
6
3. 調査成果
3.1
文献調査結果
3.1.1 世界の鉄道産業市場
【概要】
鉄道分野は、グローバル市場で安定的に拡大傾向にある。具体的には、2009~2011 年の
3 年間における平均市場規模は 1,460 億ユーロ、2015~2017 年には平均 2.6%の成長に
なると予測されている。
UNIFE が 2012 年にまとめた調査1によると、鉄道分野のグローバル市場は、UNIFE
の統計が始まった 2000 年代後半以降、安定して拡大する傾向にある。総計の年間市場規
模は、2009~2011 年の平均で約 1,460 億ユーロであり、2007~2009 年の平均と比較し
て 3.4%の成長率となっている。
また、2015~2017 年までには平均 2.6%の成長が見込まれると予測されており、2017
年には市場全体規模は年間 1,700 億ユーロに迫ると予測されている。2009~2011 年にお
ける平均市場規模(鉄道部門別)および、2015~2017 年における平均市場規模(セグメ
ント別)の予測値を表 3-1 示す。
表 3-1
鉄道部門全体およびセグメント別の市場規模およびその予想成長率
年間売上高平均値(10 億ユーロ) 2015-2017 までの
区分
2009 - 2011
2015 - 2017
成長率(%)
146
170
2.6
インテグレーション
0.7
0.8
2.9
鉄道制御
12
14
3.0
インフラ(土木など)
30
34
2.1
車両
48
55
2.3
サービス
55
66
2.9
鉄道部門全体
セグメント別
(出所:
UNIFE World Rail Market Study 2012)
3.1.2 セグメント別の世界鉄道産業市場
【概要】
当事業における対象セグメントである「車両(車両および車両部品はここに含まれる)」
の市場規模は 477 億ユーロ、
「鉄道制御(地上設備および信号設備はここに含まれる)」
の市場規模は 120 億ユーロであり、大きな市場を形成している。
1
UNIFE World Rail Market Study 2012 より
7
前表のとおり、当事業における対象セグメントである「車両(車両および車両部品はこ
こに含まれる)
」の市場規模は 477 億ユーロ、
「鉄道制御(地上設備、信号設備はここに
含まれる)
」の市場規模は 120 億ユーロである。
また、当事業における対象セグメントである「車両」および「鉄道制御」における、地
域別市場規模およびその成長率をそれぞれ図 3-1、および図 3-2 に示す。両図では、各
セグメントにおける、2007~2009 年における平均売上高平均値、2015~2016 年におけ
る同値の予測値、および 2015~2016 年までにおける平均成長率(各グラフ上端に記載)
が示されている。
当図から、市場規模の大きい車両分野では、アジア太平洋における市場が大きく、今後
の成長も期待できることがわかる。
また鉄道制御分野では、西欧が最も市場規模が大きく、
次いでアジア太平洋地域が大きい。
25
15.0%
20
15
12.7%
10
5
30.9%
21.3%
43.8%
2007-2009年
23.1%
2015-2016年
46.7%
図 3-1
アジア太平洋
アフリカ・中東
中南米
CIS
東欧
西欧
NAFTA
0
注)NAFTA:
米国・カナダ・メキシコ
「車両」セグメントにおける地域別の市場規模およびその成長率
(単位: 10 億ユーロ)
(出所:
UNIFE
World Rail Market Study -Status Quo and Outlook- 2020)
25
20
15
10
33.3%
アジア太平洋
66.7%
アフリカ・中東
16.7%
CIS
16.7%
西欧
NAFTA
20.0%
中南米
81.8%
0
図 3-2
2007-2009年
10.6%
東欧
5
2015-2016年
注)NAFTA:
米国・カナダ・メキシコ
「鉄道制御」セグメントにおける地域別の市場規模およびその成長率
(単位: 10 億ユーロ)
(出所:
UNIFE
World Rail Market Study -Status Quo and Outlook- 2020)
8
3.1.3 地域別の鉄道産業市場
【概要】
世界の各地域とも市場の伸びが期待されるが、市場規模および今後期待される伸びの大
きいアジアが特に期待されている。
○ アジアは市場の規模、成長率の両面で期待度が高い
2020 年における地域別の市場規模および 2020 年までの成長率における予測値を図
3-3 に示す。当図は UNIFE の発行データをベースに作成したものである。
当図より、どの地域も市場として期待度が高いものの、規模、伸び、ともに大きい地域
として、アジアへの期待が高まっていることがわかる。米州(NAFTA2以外)、中東・ア
フリカ、CIS、東欧に関しては、成長率は高いものの、市場規模に関してはアジアほど大
きくはない。また、西欧、NAFTA の市場規模は大きいが、同様にアジアほど市場成長率
は高くない。
図 3-3
(出所:
2
地域別の市場規模およびその成長
「インフラ関連産業の海外展開のための総合戦略」平成 22 年 6 月 経済産業省)
NAFTA(North American Free Trade Agreement):北米自由貿易協定のことであり、米国、カナダ、メキシ
コが加盟している。
9
3.2
国内調査結果
海外調査の各セグメントに属する国内企業に対してインタビューを実施し、
今後の海外
展開に当たり重視する地域について調査した。調査結果の概要を以下にまとめる。なお、
詳細は別紙 1 を参照のこと。
その結果、
進出できる地域はどこでも進出したいという意見が共通して見られたものの、
中でもアジア地域を市場として重視する意見が比較的多く見られた。また、現状では欧州
などと比較して受注のしやすいアジア地域が、結果として海外事業の中心となっているケ
ースが多く見られた。
表 3-2
国内企業の重視する地域(セグメント別)
セグメント
重視する地域に関するコメント

アジア市場が重要であると考えている。

展開先の地域・国はこだわらない。発注してくれるところであ
ればどこでも対応したいと考えている。
信号システム

欧州案件に関しては情報が来ないことが多く、対応が難しい。
情報が出てきたころには、業者が決まっている。そのため、結
果として現状の進出先(受注している国)は欧州ではなくアジ
アとなっている。

東南アジアは、今後の伸びが期待できるので重要な市場であ
る。中国は中国国内企業が多く、海外から調達の必要性が低い
地上設備(電力)
ため、市場として期待はしていない。

その他の地域も、チャンスがあれば展開している。商社と組む
などケースごとに対応している。

アジアに注目している。対応できる規模・内容の案件があれば
対応したいと思っている。
車両

現在はアジア・北米が中心であるが、狙っていたというわけで
はなく、受注できたプロジェクトがアジアであったということ
である。

自社製品を採用してくれるところがあればどこへでも展開し
たい。ただし、市場の期待度の高い東南アジアがやはり有望で
車両部品
ある。円借款の活用というメリットもある。

海外の製造拠点としては、米国、メキシコ、中国がある。どう
現地化していくかという課題はある。
(出所:
インタビュー調査結果より)
10
3.3
海外調査結果
海外調査結果の概要を以下にまとめる。なお、詳細は別紙 2 を参照のこと。
3.3.1 アジア地域の調査結果
(1) シンガポール
鉄道運営事業者であると同時に、規制機関でもあるシンガポールの LTA3は、英国コン
サルタントの提案を受けて、EN 50126、EN 50128、EN 501294をベースとしたシステ
ム開発プロセス(Project Safety Review(PSR)Process)を構築した。
これらの規格は、後に IEC 62278(鉄道 RAMS)等となったもので、シンガポールプ
ロジェクトにおいても RAMS の概念を取り込んだ対応が求められる。
(2) タイ
タイ・バンコクの鉄道運営事業者である BTSC5は、安全性確保の取り組みとして RAMS
導入に取り組んでいる。事業に当たって、BMA6から要求される規制のレベルより、少し
高めの安全水準を関係者に求めている。
バンコクにおける地下鉄(バンコク・メトロ)の路線・施設を保有する MRTA(タイ
高速度交通公社)7は、鉄道製品の調達に当たり、RAMS への対応を求めている。バンコ
ク・メトロの運営会社である BMCL8は、その要求に基づいて仕様を作成しているが、こ
の際、RAMS の概念を導入するのに、以前から関係のあった英国コンサルティング会社
に依頼した。
(3) マレーシア
マレーシアでは、標準化機関などにおいて鉄道 RAMS 規格のマレーシア版の開発に着
手している。SIL9の高い鉄道サブシステムについては、認証を求めるものもある。
(4) ベトナム
運輸省は、都市鉄道の安全性の評価に RAMS の概念を導入する方向で検討を進めており、
規格やガイドラインの作成を進めている。これにあたって、以前から認証で関係のあった英
国認証機関に支援を求めている。
3
LTA(Land Transport Authority)
:シンガポール陸上交通庁
4
EN 50126、EN 50128、EN 50129:RAMS に関する EN(欧州)規格であり、EN 50126 は IEC 62278(既出)
、
EN 50128 は IEC 62279「鉄道信号通信制御のソフトウェア」
、EN 50129 は IEC 62425「信号用安全関連シス
テム」と対応する。
5
BTSC(Bangkok Mass Transit System Public Company Limited):バンコク・スカイトレインの運営事業者
6
BMA(Bangkok Metropolitan Administration)
:バンコク都
7
MRTA(Mass Rapid Transit Authority of Thailand)
:バンコク・メトロの路線を保有する国営企業
8
BMCL(Bangkok Metro Public Company Limited):バンコク・メトロの運営事業者
9
SIL(Safety Integrity Level):安全インテグリティレベル
11
3.3.2 適合性評価に関する一般論
(1) 海外の鉄道事業で求めらる適合性評価の現状と必要性
欧州の鉄道事業は、EU 設立後、設備、運行、インフラを所有する事業者が異なること
が多い。それらの事業者は、それぞれ一定期間の契約を入札で獲得する方式を取り入れて
いることから、事業者の変更が一定の頻度で起こることになる。こういった事業のスタイ
ルであることから、製品やシステムの調達に当たっては、安全性の観点から全体を管理す
るコンサルタントの位置づけが重要とされてきた。
また、欧州各国においては、列車が各国に直接乗り入れることが多いことから、相互乗
り入れに関する設備・システムについては、別に確認をすることが求められる。
そのため、
欧州指令に基づいて、
インターオペラビリティを確保するために、
事業者が準じる規格や、
その適合性評価手続きが定められている。
(2) アジアの国において求められる適合性評価
アジアの鉄道事業においても、原則、鉄道事業者が全体を取り仕切ることになるが、仕
様書の作成や安全性の確認に関してノウハウを持たない者が担うこともあるため、欧州系
の企業がコンサルティングに入ることが多い。そのため、欧州のプロジェクトスタイルを
受けた、規格の適用、適合性評価の仕組みが構築されることが多い。
アジア各国の鉄道事業者に対して実施したインタビューから、数十年の単位で現地で活
動する欧州系コンサルティング会社が、
積極的に鉄道事業者をサポートするサービスを提
供しており、その結果、欧州と同様の安全性評価方式やプロジェクト構造が取り入れられ
るケースが多い。そのため、適合を求められる規格が国際規格や欧州規格となることが多
い。
可能な場合には、仕様書の作成に関与するといったことも、商社等の日本企業において
取り組まれてはいるものの、その割合は高くなく、現地鉄道事業者を支援する欧州系コン
サルティング会社が作成する仕様に従った製品の製造・納入が求められている事例が多い。
アジア地域の鉄道事業では、前述のような状況も踏まえ、仕様の中において、国際規格
や欧州規格への対応が求められることが多い。特に、IEC62278(鉄道 RAMS 規格)で
は、機能安全の概念が取り入れられており、外形的な条件に従った製品設計・製造のみな
らず、安全性の評価を設計に取り入れて管理しなければならず、我が国企業においてもそ
れらの規格への対応が必要となっている。
(3) 要求される適合性評価の種類
鉄道分野のプロジェクトにおける適合性評価方法は、
発注者から示される仕様書に具体
的に記載されている。
仕様書における適合性評価の種類は、事業者のインタビュー等から、
大まかに以下の通りに整理することができた。
<鉄道分野の適合性評価>
①仕様への適合の確認に、認証が求められる場合
②仕様への適合の確認に、第三者の試験所での試験が求められる場合
③自社内での試験等が認められる場合
12
全体の傾向として、①の認証が求められるケースは、求められる安全性のレベルが高い
製品やシステムに限定されている。現状においては、基本的には③の形での対応が認めら
れる要求事項が多い。
3.4
課題解決に向けたロードマップ(ブループリント)
以上の国内外の調査結果を踏まえ、WG での議論を行い、鉄道分野における我が国の
認証基盤の課題について、セグメント別(信号、地上設備(電力)
、車両、車両部品)に
分類して分析を行った。また、それらの現状を踏まえ、鉄道関連事業者のアジアを中心と
したビジネス展開が円滑化されるための、認証基盤の今後のあり方についてまとめた。
13
別紙1
国内調査結果
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目次
1.海外鉄道インフラ市場
2.機能安全認証への対応状況
3.国内企業の認証基盤に対する課題・ニーズ
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1
国内ヒアリング対象機関(実績)
○商社
○インテグレーター
○車両メーカー
○信号メーカー
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2
1. 海外インフラ市場 (1)
1.1 海外インフラ案件への対応状況
○日本企業の対応体制はケースバイケース
日本連合、コンソーシアムを組んで対応
日本企業/海外企業の区別無く顧客要望に応えられる体制を構築
案件開拓には商社と合同で設立した子会社を活用
○調達案件への仕込みは殆ど出来ていない
調達要件(認証等)への働きかけは殆ど出来ていない
入札前に商社経由で、調達者側コンサルがヒアリングを行う場合、多少の働きかけは
可能だが、RAMSについて調達側からの相談は無い
事業者側に付くコンサルが発注仕様を決定する。
○競争力
「コンソーシアム/インテグレーターの実績」が問われる
「安さ」では韓国・中国に敵わない
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3
1. 海外インフラ市場 (2)
1.2 日本としての海外鉄道インフラ戦略の課題
○欧州勢の攻勢
・インド等ではSTEP円借プロジェクトにおいても欧州の技術仕様への適合性要
求が増加している。規制機関に対し欧州が強烈なアプローチをしていると推察
される。
・インターオペラビリティが実現されているわけではないのに、アジアでは欧州の
基準が模倣されている。
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4
2. 機能安全認証への対応状況(1)
2.1 RAMS対応の負荷
○RAMS対応の負荷が大きい
・全ライフサイクルを見るRAMSの負担は、他の規格と異なり非常に大きい。
・分析の前提やハザードログの表現等の相違対応、英語によるコンサルとのや
り取りや文書作成などの負担は大きい。
・多様なステークホルダーから多量の修正コメントを受ける。
・事業者側コンサルやISAとの間に主契約者が介在するため、齟齬や形式的な
議論が発生する。ISAの指摘を減らすため、主契約者から過剰な要求もある
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5
2. 機能安全認証への対応状況(2)
2.2 RAMS対応の課題と実態
○ISA・コンサルによって異なる対応方法
・過渡期でもあるため、コンサルによってやり方が大きく異なる。
・アジアではISAの方がRAMSコンサルより強い。
○ISA・コンサルとの関係
・RAMSでは納入物に対し発注側ISAからの承認が得られれば良い。
・アジアでは、国内新幹線の実績に基づき、RAMSの安全分析が免除された
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6
2. 機能安全認証への対応状況(3)
調達元の要求に大きな影
響を与える。
ISAを担当する認証機関(評価・認証・
コンサル)によってやり方が異なる場合
がある。
欧州認証機関
(コンサルティング機能)
コンサルタント
助言
RAMS対応のための折衝
欧州認証機関 力、ノウハウが必要
(コンサルティング機能)
コンサルタント
調達元ISAと方針が一致し
ていない場合がある。
助言
調達元
鉄道運行事業者等
評価or認証
要求
元請
(インテグレーター)
評価or認証
Safety
Case 等
我が国の認証機関
(コンサルティング機能)
助言
下請
(サブシステムメーカー)
重層構造の中でRAMS対応
負担が非常に大きくなってい
る場合がある。
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Independent
Safety Assessor
Safety
Case 等
要求
コンサルタント
欧州認証機関
(評価・認証機関)
7
独立性
(Independent)
我が国の認証機関
(評価・認証機関)
Independent
Safety Assessor
3.国内企業の認証基盤に対する課題・ニーズ(1)
3.1 我が国の認証機関の課題・ニーズ
○コンサルティング機能
・顧客ニーズと日本製品のギャップについて的確なアドバイスをしてくれるが国
内にあれば有益。
・特に新システムの場合、安全評価は必要且つ重要である
○RAMS認証ノウハウの蓄積
・欧州のISAやコンサルは妥協点を押さえているが、日本の場合は、規格の規
定をすべて満たさなければならないと考えてしまう傾向にある
○国内認証機関が現有している価値
・日本語でのコミュニケーション
・日本の鉄道技術の背景を既に理解している
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8
3.国内企業の認証基盤に対する課題・ニーズ(2)
3.1 我が国の認証機関の課題・ニーズ
○国内認証機関の「実績(信頼)」「プレゼンス向上」
・国内認証機関が海外から認められるために、「実績」を積み、その名を海外
に広めることが必要
・日本メーカーが我が国の認証機関をもっと使う必要がある
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9
3.国内企業の認証基盤に対する課題・ニーズ(3)
3.2 認証基盤全体に対する課題・ニーズ
○試験設備に対するニーズ
・国内実証試験と交通研の認証が両方出来れば、完成度が高まり競争力とな
る
・建設中の路線向けの製品にとっては試験線は有用である。
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10
3.国内企業の認証基盤に対する課題・ニーズ(4)
3.2 認証基盤全体に対する課題・ニーズ
○その他支援役務
・部品メーカーにとっては、海外メーカーからの要求(溶接技術研修、認証サー
ビスなど)についてまとめて支援してもらえれば有益
・安全解析では定性的な分析が要求されており、設計上の危険性について論
理的な分析を行う機能が有用。FTA・SIL評価の実施機能が国内にあると良い
・日本語による認証手続きに加え、資料英文化を実施すれば価値がある
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11
別紙2
海外ヒアリング調査結果概要
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目次
1. 欧州における認証スキーム
2. アジアにおける認証スキーム
3. アジア等における欧州認証機関の動き
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1
海外ヒアリング対象機関(実績)
国
区分
1
ドイツ
インテグレータ
2
ドイツ
試験・検査機関
3
ドイツ
認証機関
4
スペイン
認証機関
5
イギリス/
認定機関
6
イギリス
規制機関
7
イギリス
オペレータ
8
イギリス
認証機関
9
マレーシア
標準化機関
10
シンガポール
規制機関
11
タイ/バンコク
規制機関
12
タイ/バンコク
オペレータ
13
タイ/バンコク
オペレータ
14
タイ/バンコク
オペレータ
15
ベトナム
規制機関
16
ベトナム
規制機関
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2
1.欧州における認証スキーム(1)
1.1 欧州における安全性立証の考え方
○第三者チェックによる透明性の担保/
「2つの目より4つの目」「社会の良心」
○安全管理の責任は鉄道事業者(技術的な部分は外部専門家を活用)
○RAMSは規制の強制ではないがBtoBでは認証が求められる場合もある
○欧州認証機関等の責任は基準への適合性確認
○認証機関は大手も中小も同格に扱われるべきという発言が多い。
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3
1.欧州における認証スキーム(2)
1.2 欧州各国の認証機関の有り方
・最終的な運行許可は各国のNoBo及び各国のDeBoの評価結果
に基づき各国の規制当局(NSA: National Safety Authority)が許
認可を出す。
(インターオペラビリティ指令、安全指令)
・NoBoの指定方法は国によって異なっている。独のNoBoはEBC
(国の機関)のみ。英のNoBoは12機関(民間)。
・NoBo (通知機関:Notified Body) =欧州統一技術仕様(TSI)の適合性評価
・DeBo (指定機関:Designated Body)=各国独自ルールの適合性評価。
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4
1.欧州における認証スキーム(3)
(NoBo)欧州統一技術仕様TSI
への適合性の評価/(DeBo)各
国規制に対する適合性の評価
助言
安全要求
運行許可
欧州認証機関
(コンサルティング機能)
コンサルタント
各国規制当局
助言
評価or認証
Safety
Case 等
助言
Notified Body、
Designated Body
鉄道運行事業者
欧州認証機関
(評価・認証機能)
評価or認証
(RAMS要求)
コンサルタント
欧州認証機関
(評価・認証機能)
Independent
Safety Assessor
Safety
Case 等
コントラクター
RAMSは規制として強制されている
わけではないが、BtoBでは認証が求
められる場合もある。
独立性
(Independent)
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5
2.アジアにおける認証スキーム(1)
2.1 アジアの新規鉄道事業者(調達者)はRAMSを要求 ①
○シンガポール
・LTA(規制機関と同時に事業の実施主体でもある)はEN50126,128,129を
ベースとしたシステム開発プロセス(Project Safety Review(PSR) Process)を
構築している。
・1996年からコンサルからの提案を受けて構築、構築したProject Safety
Reviewプロセスに対して、2004・2006年に別のコンサルにチェックをしても
らっている(シンガポール)
○タイ
・BTSC(鉄道事業者)は安全性確保の取り組みとしてRAMS導入に取り組んで
いる。バンコク都(BMA)から要求されるレベルより少し要求水準を高めてコント
ラクターに求めている。
・MRTAからの要求項目としてRAMS要件が求められており、BMCL(鉄道運行
事業者)としてはその要求に基づいて調達先を選択している。RAMS導入にお
いては以前から縁のあったコンサルタントに相談した(タイ)
・国鉄においてRAMSは要求していない。
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6
2.アジアにおける認証スキーム(2)
2.1 アジアの新規鉄道事業者(調達者)はRAMSを要求 ②
○マレーシア
・鉄道RAMS規格のマレーシア版の開発に着手。(現状EN50126, 128, 129
ベース)
・サブシステムに対してはRAMSに基づいてSILの高い部分に関しては認証が
BtoBで求められる。
・サブシステム・サブコンポーネントに対する認証を日本の認証機関がマレーシ
アに出てきて行うことは問題ない。
○ベトナム
・安全性の評価において、都市鉄道にはRAMSを導入する方向で運輸省から
関係機関に指示が出ている。
・RAMSをベースとした規格・ガイドラインの作成に対して、欧州認証機関が支
援を行っている。
・都市鉄道のRAMS導入は、以前から認証で関係のあった認証機関から支援。
古いインフラは、中国支援でのインフラの構築の経緯から中国基準を参照にし
ているところもある(ベトナム)
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7
2.アジアにおける認証スキーム(3)
2.2 アジアの安全性立証の考え方
○鉄道事業者による安全要件の確認方法(第三者評価機関の活用)
・「我々の仕様を満たしているか否かが重要であり、認証があるからといってチェックが
無くなるわけではない。」(タイ)
・独立したエンジニアやSafety Assessorを活用して、彼らのレポートに基づいた評価を
実施している(マレーシア、シンガポール、タイ、など)。
・Safety Caseを作成して、MRTAが雇った外部機関(ICE:Independent Certified
Engineer)にチェックしてもらい、MRTAから承認してもらって運行できる。ICEには公的
な資格はないが設計した経験や同様のチェック・検討を行った経験などが問われる。
(タイ)
・SPAD(マレーシアの公共陸運委員会)の承認にはISA(Independent Safety
Assessor)やICE(Independent Checking Engineer)のアセスメントレポートが必要。
ISAやICEに関するQualificationは特にない。(マレーシア)
○鉄道事業者を支援する認証機関に求められるのは「実績」
・「認証機関の実績などは当然考慮されるだろう。」(シンガポール)
・「認証機関選定の基準は?」「実績と提案内容」(シンガポール)
・「英国認証機関を選択した理由は?」「実績とこれまでの関係性」(タイ)
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8
2.アジアにおける認証スキーム(4)
 タイ(バンコク)の事例
第三者機関を活用しつつ、自ら
の基準で判断する。
欧州認証機関
(コンサルティング機能)
コンサルタント
各国規制当局
助言
安全要求
評価or認証
Safety
Case 等
(MRTAはRAMS要求)
欧州認証機関
(コンサルティング機能)
コンサルタント
・その国の規制機関等から活動実績、コン
ピテンシーなどを認めてもらい、自ら活動
領域を確保する活動が必須。
・認証機関には「実績」が重視されている。
・欧州における実績、NoBoという肩書を
ベースに新興国に参入し、対象国での実
績を積んでいる。
・各国における規格(RAMS規格など)・ガ
コンサルタント
イドラインの作成を支援している。
・認証ビジネスは一部であり、ほとんどをコ
ンサル業務で稼いでいる。
・人材の育成及び経験者のリクルートが重
要である
助言
雇用
欧州認証機関
(評価・認証機能)
ISA/ICE
Independent Safety Assessor
Independent Certified Engineer
鉄道運行事業者
公的資格はないが
経験が問われる。
欧州認証機関
(評価・認証機能)
ISA/ICE
評価or認証
RAMS要求
Safety
Case 等
コントラクター
Independent Safety Assessor
Independent Certified Engineer
・事業実施主体から要求されるレベ
ルより更に少し要求水準を高めて
RAMS対応をコントラクターに求め
ている。
独立性
(Independent)
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9
3. アジア等における欧州認証機関の動き (1)
3.1 欧州認証機関(認証・コンサル機能共)の積極的海外展開
・当初ラテンアメリカ支援を意識していたが、どこにでも出ていく意思がある。
・新興国等への参入(認証以外のサービス展開も含む)において、欧州・イギリ
スでNoBo/DeBoをやっているということでブランド・レピュテーションにつながり、
信頼を勝ち得ることができる。
・海外機関としては関係性の深い英国認証機関が承認される可能性が高い。
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10
3. アジア等における欧州認証機関の動き (2)
3.2 欧州認証機関の事業戦略
○認証業務は認証機関業務全体の一部
(コンサルティング業務、認証活動の教育・トレーニング、
規格開発・標準化活動、認証規格の普及、型式認証、等の業務を実施)
・例えば、某コンサルタント会社を例にとってみても鉄道分野は彼らの全事業
のほんの一部であり、その中でNoBoとしての業務は更にその一部分である。
・車両に関しては認証行為による収入は5%程度、信号システムに関しては
10%程度、鉄道事業全体でみるとインフラの部分では認証行為を行っていな
いので、5%もない。すなわち、ほとんどをコンサル業務で行っているとのこと。
○欧州認証機関の事業戦略は機関によって多様
・M&A、現地企業の活用、他機関との連携、営業戦略
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11
3. アジア等における欧州認証機関の動き (3)
3.3 欧州認証機関の競争力・差別化ポイント
○「実績」「技術力」「人材」
・認証機関だからアジアで活動できる、というわけではない。その国の規制機
関等から活動実績、コンピテンシーなどを認めてもらい、自ら活動領域を確保
する活動が必須である。
・NoBoであることは、欧州でTSIに基づいた評価ができるに過ぎないが、新興
国等でコンピテンシーや実績を認めてもらうための通行手形のような意味があ
る。
・プロジェクトに関与する人材の質が問われるので、人材の育成はもちろんのこ
と、経験者のリクルートは重要である。
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12
経済産業省委託
平成 24 年度
工業標準化推進事業委託費(グローバル認証基盤整備事業:
先端分野に係る機能安全に関する認証システム基盤整備事業)
生活支援ロボット
成果報告書
平成 26 年 3 月
目次
1. 事業の概要.................................................................................................................. 1
1.1 事業の目的 .............................................................. 1
1.2 事業の実施期間 .......................................................... 2
1.3 実施体制 ................................................................ 2
1.4 WG の委員構成 ............................................................ 2
2. 事業の実施状況........................................................................................................... 3
2.1 WG の開催 ................................................................ 3
2.2 国内調査 ................................................................ 3
2.2.1 標準化動向 ................................................................................................................... 3
2.2.2 国内の試験・認証の現状 ............................................................................................ 4
2.2.3 ロボット開発メーカの調査 .......................................................................................... 4
2.2.4 ロボット導入事業者の調査 .......................................................................................... 4
2.2.5 その他ステークホルダーの調査(保険業界等) ......................................................... 4
2.3 海外調査 ................................................................ 4
3. 調査結果 ..................................................................................................................... 6
3.1 標準化開発について....................................................... 6
3.2 国内の試験所(生活支援ロボット安全検証センター)の現状 ................... 6
3.3 ロボット開発メーカの調査................................................. 7
3.4 国内ユーザニーズの調査................................................... 9
3.5 国内保険会社の調査...................................................... 10
3.6 認証機関の調査 ......................................................... 11
3.7 海外調査 ............................................................... 12
4. 事業の成果.................................................................................................................14
1. 事業の概要
1.1
事業の目的
我が国が直面する社会課題の解決策の1つとして、これまで主に製造現場で使われてき
たロボットを介護・福祉や安全・安心等の生活分野において活用していくことが期待され
ている。こういった製品を市場に導入するにあたっては、一般に、使用者や消費者は、製
品の安全性に関する何らかの評価を得たものであることを求め、利用にあたっての安全が
担保されていることを期待している。
生活支援ロボットについては、様々な場所・用途での使用が考えられ、国内においては、
医療効果が認められる場合には、医療機器としての規制対象となることから、上記の安全
性に関する評価を受けることが必要であるが、国内の介護分野の製品については、「介護
製品の安全性」を対象とした規制が存在せず、また、その評価に活用できる国内外の規格
も存在しない状況であり、使用者の期待に応えられる環境が整っていない。
現在、生活支援ロボットの市場は徐々に拡大しつつあるものの、その勢いは十分ではな
い。その要因は、多岐にわたると考えられるが、前述の安全性に関する評価ができる体制
を整えることが必要と考えられた。
経済産業省が推進する「ロボット・新機械イノベーションプログラム」並びに内閣府が
推進する「社会還元加速プロジェクト」の一環として、独立行政法人新エネルギー・産業
技術総合開発機構(NEDO)による「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(平成 21 年
度~平成 25 年度)が実施された。このプロジェクトにおいては、技術開発の推進、国際標
準の開発、安全性検証の手法の開発が進められた。併せて、開発された国際標準を基に、
導入された試験設備を活用し、認証機関による認証取得の取組も行われたところである。
本事業においては、上記のプロジェクトにおいて実施された認証の取組が、生活支援ロ
ボットを取り巻くステークホルダーの間でどのような評価を受けたかを中心に分析すると
ともに、生活支援ロボットの安全性評価に関して、今後必要と考えられる対応について方
向性を示すことを目的した。
1
1.2
事業の実施期間
平成 25 年 3 月 29 日~平成 26 年 3 月 31 日
1.3
実施体制
経済産業省の指導の下、
株式会社三菱総合研究所に 1.4 の委員及びオブザーバーからな
る「生活支援ロボット WG」を設置し、協力を得ながら事業を実施した。
経済産業省 認証課
株式会社 三菱総合研究所
生活支援ロボット WG
1.4
WG の委員構成
有識者ならびに業界関係者、認証機関等からなるメンバーで、ワーキンググループを構成
した。
2
2. 事業の実施状況
本事業の目的を達成するため、生活支援ロボット WG の実施に合わせ、各種調査を実施
した。その実施内容を以下に示す。
2.1
WG の開催
・第1回
日時:平成 25 年 5 月 21 日(火) 14:00~16:00
場所:三菱総合研究所本社4階 CR-B 会議室
検討項目:
(1)本事業の概要について
(2)生活支援ロボットの市場と認証の現状について
(3)生活支援ロボットのブループリント検討のポイントについて
(4) 調査実施方針について
・第2回
日時:平成 25 年 9 月 24 日(火)10:00~12:00
場所:三菱総合研究所 本社4階 大会議室 A
検討項目:
(1)検討方針の確認
(2)調査進捗報告
(3)ブループリント素案
(4) 今後の進め方
・第3回
日時:平成 26 年 3 月 6 日(木) 13:00~15:00
場所:株式会社三菱総合研究所 CR-B 会議室
検討項目:
(1)第2回 WG 議事概要の確認
(2)報告書の構成について
(3)報告書の内容について
(4)その他
2.2
国内調査
2.2.1 標準化動向
生活支援ロボットの普及促進には安全性評価が重要であり、評価手法については国際
的にも標準化の動きが行われている。そこで、普及に資するための標準活動についてに
ついて、国内の状況を調査した。
3
2.2.2 国内の試験・認証の現状
NEDO の 生 活 支 援 ロ ボ ッ ト プ ロ ジ ェ ク ト の 研 究 成 果 を 踏 ま え 実 施 さ れ た
ISO/DIS13482 及び ISO13482 の認証事例を中心に、生活支援ロボットの安全性評価に
関する試験所及び試認証機関の現状について調査を実施した。
2.2.3 ロボット開発メーカの調査
ISO13482 に基づく認証を取得することによる効果を調査するために、既に認証取得
したメーカに対してヒアリング調査を行った。
また、生活支援ロボットの開発状況、標準や認証に関する関心とニーズを把握するた
め、現在介護分野の生活支援ロボットを開発中のメーカに対して、アンケート調査を行
った。
2.2.4 ロボット導入事業者の調査
生活支援ロボットが第三者の安全性評価を受けている事が、ロボット導入を検討する
事業者に対してどのような効果が期待できるのかを調査するために調査を行った。調査
は、既に生活支援ロボットを導入している介護施設等を対象とした。
2.2.5 その他ステークホルダーの調査(保険業界等)
生活支援ロボットを普及するにあたり、メーカや導入事業者以外のステークホルダー、
、
特に保険業界は重要な役割を果たす。そこで、生活支援ロボットに関連する保険の概要
及び、認証に期待される内容について調査を行った。
2.3
海外調査
生活支援ロボットを海外展開するにあたり、海外でのニーズや標準化活動状況を知る
必要がある。特に、アジア地域におけるニーズが重要であるため、タイおよびシンガポ
ールをターゲットとして、調査を実施した。
スケジュールと訪問先を以下に示す。
スケジュール
9月9日(月)
訪問先
・タイ保健省外郭機関
・タイ公立病院
9月10日(火) ・タイ私立病院
・タイ私立病院
・タイ科学技術省外郭機関
9月11日(水) ・タイ保健省
9月12日(木) ・シンガポール認証機関
4
・SPRING Singapore(規格・生産性・革新庁)
9月13日(金) ・シンガポール公立病院
・シンガポール公立病院
5
3. 調査結果
2.2 国内調査、および 2.3 海外調査について、その調査結果を以下にまとめる。また、詳
細の調査結果として、国内調査結果については別紙1,海外調査結果については別紙2にま
とめた。
3.1
標準化開発について
我が国は 2007 年 7 月に「次世代ロボット安全性確保ガイドライン」
(経済産業省)を発
表し、安全性確保のための基本的な考え方としてリスクアセスメント(RA)の実施に取組
んでいた。この実績もあったことから、ISO TC184/SC2/WG7 において生活支援ロボット
の安全に関する国際標準を開発するにあたって、
同様の安全要求事項を提案することとなっ
た。
機能安全に関しては、安全系のリスク軽減率の要求レベル(安全機能の達成レベル)を定
量化するための指標として、
「PL:Performance Level(性能水準)」や「SIL:Safety Integrity
Level(安全度水準)」を段階的に導入することを提案した。また、本質安全設計の重要性
を強調したことや、マニピュレータと接触・非接触状態にある人間検出技術、移動ロボット
の障害物回避及び転倒回避など安全防護・付加保護方策についても提案して採用されるなど、
規格作成に大きく貢献した。
また、規格の内容の特徴的な項目として、ロボットが購入後に他用途に転用される可能性
も考慮し、プログラムの改編や転用の禁止、安全関連系統へのユーザ介入の禁止など、利用
者へ適切な情報提供を行う点についても、要求事項が定められている。
今後の国際規格開発の展開については、ISO/TC184/SC2/WG7 において、
「パーソナルケ
アロボットの安全関連試験法」の日本原案および「ISO13482 の適用ガイダンス」の英国原
案について、各国による追加修正作業が開始されている。日本原案には、生活支援ロボット
安全検証センターで実施可能な「衝突試験」「耐環境試験」
「走行耐久試験」
「耐荷重試験」
「安定性試験」
「光学センサ試験」
「EMC 試験」
「障害物検知・対応試験」等が含まれてい
る。今後、NWIP 提案などを経て、発行に向けた検討が行われる見込みである。我が国と
しても、国内のプロジェクトの成果などを基に、継続的に規格開発へ関与する予定である。
3.2
国内の試験所(生活支援ロボット安全検証センター)の現状
NEDO 生活支援ロボット実用化プロジェクトのうち、安全性検証手法の研究開発の一
環として、2010 年 12 月に生活支援ロボット安全検証センターが開設された。
当該センターは、人間の生活環境中で作動する生活支援ロボットの安全性評価を目的に、
施設や設備が設置されている。停止や衝突回避など走行時の安全性評価、衝突や装着時の
転倒など対人に関する安全性評価など、ロボットの評価に必要な試験施設が集約されてい
ることが強みである。
6
3.3
ロボット開発メーカの調査
これまでに、ISO13482 及び ISO/DIS13482 の認証取得を公表している以下の事業者に
ついて、認証を取得したことや ISO13482 に取り組んだことによる効果を中心にヒアリン
グした。
3.3.1 既に認証取得した実績のあるメーカへの調査
(1)CYBERDYNE 株式会社「ロボットスーツ HAL®福祉用」
CYBERDYNE 株式会社は、「ロボットスーツ HAL®福祉用」について、2009 年から主
に介護施設向けに販売開始。2013 年 2 月に、ISO/DIS13482 認証を、認証機関である一般
財団法人日本品質保証機構(JQA)より取得した。同社からは、認証取得の効果を実感で
きた点として、以下が挙げられた。
① ISO/DIS13482 の認証を取得したことで、介護施設等が採用を検討する際のチェ
ックリストにある「安全性」の項目をクリアすることが容易になった。具体的には、
以前、安全であることの採用側への説明にとても苦労していた部分があるが、第三者
が評価した結果であることを付け加えると、説明の負担が減ったということ。
② ISO13482 に取り組んだことにより、組織内部管理の観点から、製品の図面や手
順書、リスクアセスメント等のドキュメント整理に関する内部管理体制が適正化され
た。
①の通り、ISO13482 の認証取得により、ユーザが製品を購入する際の安全確認の手続
きが簡略化される事例もあることがわかった。生活支援ロボットのような製品の安全性を
認証することは、技術に精通しないユーザの判断材料として有益であると考えられる。
(2)パナソニック株式会社 ロボット介護機器「リショーネ」
パナソニック株式会社は、ロボット介護機器「リショーネ」について、2014 年 2 月に JQA
から ISO13482 の認証を取得した。認証取得直後であることから、メーカの実感した認証の
効果は聴取できていないが、
同社が認証の取得を進めた狙いについては以下の通りであった。
①
車いすやベッドは福祉機器として JIS 規格が存在し、介護施設等への導入に当
たっては認証取得が推奨されている。今回開発した製品については、適用で
きる JIS 規格が存在しないため、国際規格である ISO13482 を活用し、その規
格への適合性を示すことにより、介護施設等への導入可能性が高まるのでは
ないかと考えている。この際、自己適合宣言より第三者による評価の方が、
さらに説得力が増す効果があると考えている。
②
ISO13482 に取り組むことで、組織管理の観点から、ソフトウェアに関するト
レーサビリティを確保することができ、不具合の対応が容易になる効果が得
られた。
7
①については、福祉機器として介護施設等への導入を進めるために、認証が活用できる可
能性について言及している。これについては、認証の有効性に関する議論を深めることによ
り、認証結果の新たな活用についての道が開ける可能性を示唆している。
3.3.2 ロボット介護機器開発・導入促進事業で採択されたメーカ
経済産業省が実施中の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の第 1 次採択事業者(平
成 25 年 5 月 28 日公表)であり、介護向け生活支援ロボットを開発する企業 24 社を対象
に、開発製品の種類、上市を目指す市場、認証の取組などの項目についてアンケート調査
を行った(回答は 23 社1)。なお、詳細については、別紙1の2.国内メーカニーズ調査
を参照のこと。
なお、今回の対象企業が製造する製品は、大半が開発段階のもので、実証段階のものが
3 割弱、上市製品はないことが調査時点で確認された。
主なアンケート結果は以下の通り。
第三者による安全認証について
 実施したことがある 3 社2
 実施を検討したことがある 7 社
 実施を検討したことはない 13 社
第三者による安全認証に期待する効果について(複数選択可)
(注)直前の質問が ISO13482 に関する質問で有り、
「安全認証=ISO13482 認証」
と捉えられている可能性が高い。
 メーカとしてのリスク管理の適正化 20 社
 安全認証の取得を通じたロボットの安全性の向上 13 社
 ユーザの心理的バリア軽減による導入の円滑化 12 社
 海外機関との相互承認による海外展開の円滑化 10 社
 安全認証の取得による広告効果 7 社
 ロボットの損害保険の料率低減 3 社
 ロボット事業化のための社内関係者の説得 2 社
この結果から読み取れる内容として、一番と二番に票を集めた項目については、どちら
かといえば企業外での評価ではなく、社内で実施したリスク評価の適切性に関して、外部
1
回答企業の規模を資本金階級別の内訳で示すと、5000 万円未満が 6 社、5000 万円以上 1
億円未満が 2 社、1 億円以上 10 億円未満が 5 社、10 億円以上が 9 社、未開示が 1 社であ
った。
2
第三者による安全認証で評価された内容は、A 社はモータ部品を対象とした機能安全規格
(IEC62061、IEC61508)に対応する認証、B 社は国内において日本玩具協会が発行する
玩具安全マーク(ST マーク)の認証であった。C 社については、介護現場で臨床試験を行
う際に「顧客の研究倫理審査会の承認」を得た、ということであった。
8
評価のニーズがあることが読み取れる。ただし、これは、認証のプロセスにおいても達成
されるが、外部のコンサルにおいても同様の機能が社会的に提供されるので、必ずしも認
証の取得である必要はないと考えられる。
三番と四番については、認証結果の有効性に関する議論と整理できるが、この点につい
ての期待を寄せている企業は約半数程度しかいない。
その他、自由記載でもいくつかの意見が寄せられたが、いずれにおいても、ISO13482
対応や認証取得の有効性を一層明らかにし、その効能を介護ロボットのユーザやメーカが
共有することが、市場において安全性の担保された介護ロボットを普及する上でも、重要
な観点であると考えられる。
3.4
国内ユーザニーズの調査
生活支援ロボットを使用する側が、ISO13482 の認証結果をどのように受け止めている
かを調査するため、国内のユーザに対するヒアリングを実施した。現在、我が国において
生活支援ロボットを活用しているのは、主に介護施設であることから、導入の実績のある
又は導入のための実証を実施した経験を有する 5 組織を対象とした。安全性と認証の有効
性に関する主なヒアリング結果は以下の通り。詳細については、別紙1の1.国内ユーザ
ニーズ調査を参照のこと。
【安全性について】
 ユーザが評価する点は安全性だけではないが、安全性が担保されていなければ、議論
の俎上に載らないという点で必須である。
 使用場所が高齢者や病人といった弱者が多い場所であることから、安全性への配慮は
十二分に行う必要がある。一般的な成人基準ではなく、高齢者等を基準に据えた安全
性評価が必要な場合もあるだろう。
【認証の効果について】
 新しい取引先からロボットを納入する場合には、規格への適合確認や認証も重要な指
標の一つとなる。特に、新分野のロボットであれば、必須の判定基準の一つとなる。
 導入の実証実験に先立つ内部審査で安全性が問われる。認証がとれていれば機械の安
全性は担保されていると考えられ、内部審査を円滑に進めるというメリットがある。
認証が無くとも実証実験を行えるが、認証により内部説明をかなり簡略化できると思
われる。
生活支援ロボットを導入する介護施設等においては、施設の入居者が製品を使用する際
の安全性を確保するため、受け入れ時の安全性評価が求められる傾向にある。これらは、
ロボットの導入を先進的に行っているユーザにおける傾向であるが、今後、新たに導入を
検討する施設等においても、第三者による認証の有効性を広めることができれば、メーカ
9
の市場拡大の一助になると考えられる。そのため、認証の有効性等について情報を収集し、
積極的に発信することが必要と考えられる。
3.5
国内保険会社の調査
通常、メーカ(第一者)とユーザ(第二者)間で認証結果が利用されているが、製品の
安全性を担保するような認証結果については、保険業(損害保険)の分野において活用さ
れる可能性がある。そこで、ロボットビジネス協議会の保険 WG のメンバー企業 3 社を対
象に、ISO13482 の認証の有効性に関する調査を行った。詳細については、別紙1の3.
国内保険会社調査を参照のこと。
【生活支援ロボットに関連する保険について】
 生活支援ロボット本体の物的損害は動産総合保険、製造・販売における欠陥による対
物・対人損害は PL 保険、所有・使用・管理に伴う保険は施設賠償責任保険と、それぞ
れメニューが存在しており、現状でも適用可能。
 PL 保険は、基本的に大企業でもベンチャー企業でも、あるいはどのような生活支援ロ
ボットでも、よほど危険度が高いものでない限りは提供できると考える。ただし、動
産総合保険について、どう壊れるかわからないものについて提供するのは難しい。
 身体の弱っている人が装着するロボットについては、何か事故があった場合の因果関
係を説明しにくいものもあると考えられ、引き受けは慎重に検討することになる。
 生活支援ロボットと一言で言っても、タイプや用途によってリスクの種類や大きさが
様々であり、同様に語ることはできない。保険の受入可否や条件は、個別に異なって
くる。
 一般に、保険会社が他社との差別化のため、保険商品の割引に、第三者認証の取得を
用いることがある。
【生活支援ロボットの認証と保険について】
 安全性に関する認証のある製品は、ない製品に比べてリスクが低いと考えるのが一般
的。
 保険の観点から、生活支援ロボットの認証の効果を整理すると、導入初期は保険提供
可否や条件設定に影響があると考えられ、一定の生活支援ロボット市場が成立した後
には割引に寄与することになるだろう。
 生活支援ロボットのように前例のないものは、保険対応可否や条件設定において、
ISO13482 に基づく認証取得がプラスに働くだろう。保険会社によっては難色を示す場
合でも、認証があれば提供できるかもしれない。また、賠償金額の上限などの条件が
よくなるかもしれない。
10
 損害賠償の世界で裁判になると、予見可能性が重点的に問われる。用いられた基準が、
設計時の安全コンセプトも考慮するものであり、その認証を取得しているということ
であれば、裁判においても有用な根拠として使用できるのではないか。
 ISO13482 は概念的な規格なので、安全性の評価が技術的に難しいことから、明確な安
全基準のある規格に比べると事故率の計算が難しく、結果的に割引が控えめとなる可
能性もある。この点から、ISO13482 の規格が、生活支援ロボットのタイプ毎に明確化
されれば、保険会社としても保険適用の可否や料率についての議論がしやすくなる。
以上の通り、現状においても生活支援ロボットに対する保険適用は、各社条件はあるも
のの、概ね可能であることがわかった。また、保険適用に際して、安全認証が果たす役割
についても、保険会社は一定の理解を示していることから、生活支援ロボットの市場導入
に向けた支援ツールとして、積極的に保険を活用することが望まれる。
3.6
認証機関の調査
NEDO 生活支援ロボットプロジェクトでは、国際規格の開発に併せて、評価手法の開
発も実施したが、その成果を踏まえ、一般財団法人日本品質保証機構(JQA)が、
ISO13482 に関連する認証を発行している。
具体的には、2013 年 2 月に、CYBERDYNE 株式会社の製造する装着型ロボット「ロボ
ットスーツ HAL®福祉用」
を対象に、ISO/DIS 13482 に基づく世界初の認証を実施した3。
また、2014 年 2 月には、離床支援のためのロボット介護機器「リショーネ」(パナソニ
ック株式会社)及び配送センター内高速ビークル管理システム「エリア管理システム」
(株
式会社ダイフク)についても ISO13482(DIS ではない)の世界初の認証を行った4。
ISO13482 及び ISO/DIS13482 の認証を実際に行った認証機関に対し、成果及び今後の
方向性についてヒアリングを行った。
【一般財団法人 日本品質保証機構】
一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)では、2013 年 2 月に ISO/DIS13482 で 1 件、
2014 年 2 月に ISO13482 で 2 件の認証を実施した。生活支援ロボットの製品段階として、
上市・普及にむけて安全性を第三者が評価した点が重要であり、ユーザが生活支援ロボット
を導入するにあたり、安全性評価の一助になると期待している。
また、製品の多様性やロボット技術の進歩から、関連する研究機関、試験所及び業界団体
の協力・連携体制は今後も引き続き重要と考えている。
<審査について>
3
4
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100179.html
http://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140217002/20140217002.html
11
ISO13482 の規格は、定められている内容が概念的なものであり、
「リスクを特定し、リ
スクを低減するよう対策を取ること」といったような記載となっている。そのため、審査で
は、まず対象製品を確実に理解するところから始める必要がある。
具体的には、規格のどの要求事項を適用するか、何を満たせばその要求を満たすことにな
るか等を決めながら審査することになるため、
設計コンセプトに関する評価が求められるこ
とになる。
認証機関としては、実際の審査を通じて、評価項目や評価基準の解釈を深めることができ
たことに意義を感じている。また、このような設計コンセプトの評価は、いわゆるコンサル
ティング会社でも行える業務と考えられることもあるが、
安全性に対する説明責任を負って
いる認証機関として評価したことにも意義があると感じている。
なお、審査員については、自社内人材だけでは対応が難しかったことから、ロボット
技術や安全技術に知見を持った人材を新たに採用している。
3.7
海外調査
生活支援ロボットを海外展開、
特にアジア展開する上でターゲットとなるタイおよびシン
ガポールについて海外調査を行ったのでその内容について以下にまとめる。
詳細については、
別紙2を参照のこと。
①タイ(バンコク)
【国としての取組について】
タイでのロボット開発の動向として、タイ科学技術省外郭機関との打合せの中で、2
013年10月より国の予算を活用して Medical care robot についての開発プロジェ
クトを始めるとの情報を得た。このプロジェクトでは、ロボットの実証試験を実施する
設備の建設も含まれており、2~3年かけて設備建設する計画である。
【規格・規制について】
生活支援ロボットにフォーカスした規格・規制は現状未整備で、現存するのは、医療
機器であればタイ FDA、工業製品であれば TIS(Thai Industrial Standards)である。
治療やリハビリに使用するものは医療機器扱いとなるが、FDA と TIS のどちらに適
用するかが明確でないグレーゾーンの製品についてはその都度個別判断を行う。
タイ国
内では、生活支援ロボットを開発している企業は現時点では存在しておらず、現在 ISO
で策定中の ISO13482 についても話は知っているが、積極的な関与はしていない。
【市場ニーズについて】
市場ニーズの調査として、病院は、大学病院、一般の公立病院、私立病院の3つに区
分され、それぞれでスタンスが異なることがわかった。大学病院は先端技術を積極的に
取り入れようとし、
最先端の医療技術を目指す。そのための大きな投資が必要な場合は、
国への提案を行い、補助金等を活用しながら進める。公立病院は、大学病院等の他の病
院での実績を重視する傾向がある。一方、私立病院は、医療技術というよりは、経営重
視、サービス重視であり、病院経営の効率化、ブランド力強化を目指す。私立の大病院
はさながらホテルのような様相で、医療ツーリズムを推進していることもあり、アラブ
12
諸国やインドの患者が多数おり、多言語対応を充実させている。
ロボット調達のプロセスとしては、調達元である病院の判断、とくに病院トップの判
断が最初となる。その後、当該製品が明らかに医療機器ではない場合と疑わしい場合の
線引きを行い、疑わしい場合には当局の判断を仰ぎながら調達を進める手順となる。
ISO 認証取得の効果については、参考情報としてプラスになるが、それだけで十分安
全とは言えない。
②シンガポール
【国としての取組・規格・規制について】
シンガポールでは、高齢化社会が日本同様に進んでおり、そのサポート手段としてロ
ボットをとらえている。病院での治療対応だけでなく、退院後に在宅でも継続的に介護
のサポートができることを目指している。シンガポールは住宅が狭いので、狭い場所で
も対応できる機器が望まれる。採用にあたっては、安全性、可用性、使いやすさ、保守
性が重要である。
シンガポールでは、HSA(Health Science Authority)が医療関係の規制について管轄
している。生活支援ロボットについては、利用用途が重要で、誰がどのような目的で利
用するかによって規制の分類が異なる。シンガポールでは、タイと同様に生活支援ロボ
ットに関する規格は特にない。
【市場ニーズについて】
シンガポールの病院には、スイスの某メーカのリハビリ機器が多数入っていた。その
メーカは、シンガポールに限らず、欧州や米国でも、研究機関や病院とのパートナー関
係を構築し、開発や実証を進めている。今回訪れたシンガポールの公立病院で実証実績
を積み、他の病院、他の地域に普及させようとしている。
③その他
【シンガポール認証機関】
シンガポール認証機関は、2006 年に国から試験設備の買い取り事業を開始した。試験
設備は自前主義で、ワンストップで試験を実施できる強みを生かし、ASEAN 各国からの
試験を引き受ける。試験(Testing)の事業が最も規模が大きい。
13
4. 事業の成果
ISO13482 の認証をロボット開発メーカが取得すると、ロボット導入事業者は安全性評価
の観点で一定の評価を与える傾向にあることがわかった。現状においては認証取得件数が少
ないため、認証の効果について判断はできないものの、生活支援ロボットの更なる普及にあ
たっては、
今後も既存の認証機関や試験所において認証取得や試験が実施できる体制を維持
しつつ、ロボット開発メーカによる積極的な活用を図ることが重要であると考えられる。
本事業の成果として、認証に関連する課題が明らかになったことから、それらについて整
理し、関係機関での意見のすり合わせを行うとともにブループリントとして取りまとめた。
14
別紙1
国内調査結果(生活支援ロボット)
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目次
 1.国内ユーザニーズ調査
 2.国内メーカニーズ調査
 3.国内保険会社調査
 4.国内試験機関・認証機関調査
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1
1.国内ユーザニーズ調査
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2
調査目的
<目的>
 生活支援ロボットのユーザ候補となる機関の、ロボットに対するニーズ、および第三
者認証に対するニーズや導入判断にあたっての効果を把握すること
<方針>
 先行してロボット導入が進みうるユーザとして病院・介護施設が想定されるため、
優先的に調査対象とする。
 ロボットに対するイメージを有していないユーザから認証のニーズまで聞き取ること
は難しいとかんがえられることから、ロボットを実導入あるいは実証のために受け
入れた経験や、受け入れを検討した経験を有するユーザを調査対象とする。
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3
調査方法
<調査項目(ヒアリング項目)>
1. ロボットに対するニーズ・期待
省力化・省人化や業務効率化のニーズ全般
ロボットに対するニーズ・期待
2. ロボット導入にあたっての阻害要因
制度面(法制度、規制、商習慣)
性能面(機能、価格、安全性)
3. ロボットの実証実験への協力を決めた/決める際の理由
受け入れを決めた/決める際の理由
受け入れ可否の検討時に問題となった/なる点(安全性に対する懸念など)
受け入れ可否の検討における、第三者認証の効果
4. ロボットに限らず、一定以上のリスクのある機器の調達にあたっての考え方
調達時にメーカや製品が満たすべき要件
第三者による認証の必要性や効果
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4
調査結果
<生活支援ロボットに対するニーズ・期待>
1. 介護現場における生活支援ロボットへのニーズとして、「省人化」「軽労化」「介護
の質向上」「ノンコア業務削減」「自立」が挙げられた。
介護現場は日々の業務で大変であり、人が足りない、腰痛発生率が高いなど数年先につな
がる課題に十分に取り組めていない。
介護される側にもスタッフとのコミュニケーションの機会が増えるなどのメリットが有り、介護
の質を上げることにつながる。
介護の資格がなくてもできる業務(ノンコア業務)の機械化にニーズがある。
福祉用具の本質は、本人が満足できる生活、そのための質の高い介護あるいは自立支援
ができるということであろう。
2. 病院における生活支援ロボットによる搬送システムへのニーズとして、「コスト」「安
定性」「柔軟性」が挙げられた。
病院向けの搬送システムは様々なものがあるが、イニシャルコストもランニングコストも高く、
故障も多い。コストと安定性の両面から、搬送ロボット導入のメリットがあると考えた。
ロボットはルートの変更も容易でよい。既存の搬送システムは一旦決めたら変えられない。ま
た、構造上、単純なナース・ステーション配置にしかできない。
良い搬送系がないのは日本だけでなく、世界共通の課題である。ドイツ、デンマーク、イギリ
ス、アメリカ、シンガポールなども見に来ている。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
5
調査結果
<生活支援ロボット導入にあたっての阻害要因>
1. 現場ニーズとのミスマッチ
メーカー側の発想で作られたロボットは、必ずしも現場のニーズに合致していない。
2. 現場の慣習・抵抗感
介護事業者の多くには、ロボットなど機器の利用に対する抵抗感がある。
介護業界が常識としている慣習があり、阻害要因となっている。
介護現場のイノベーション、介護の質や効率の定量化が必要である。
3. 利用モデルの不在
新しい発想のものであるから、誰がそのサービスをどう使うか、提供するかというモデルが必
要である。制度改革の必要性や目標価格も、ここから出てくる。
ISO13482に基づくアセスメントでもはじめに利用シーンの設定があり、重要な視点である。
(参考)細分化された市場(メーカにとっての阻害要因の指摘)
介護機器は同じようなものでも人によって形が変わったりするため、対象とできる人が少な
いことがあり、ビジネス規模が小さいこともある。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
6
調査結果
<生活支援ロボットの受け入れを決めた理由>
1. 導入実績があったこと
他の病院で2004年から導入されており、実績があったことが決め手となった。
2. ロボット活用の環境が整っていたこと
電子カルテ化や薬剤払出ロボットの導入など、搬送ロボット活用の周辺環境が整っていたこ
とも一因となった。
3. 安全性対策にメーカーと一緒に取り組めたこと
安全性については、メーカに注文をつけた。ドライブレコーダとしてのカメラ内蔵、障害物セ
ンサの追加、可視光通信による階段等への侵入防止、衝突に備えたバンパー、人にロボット
によるエレベータ利用を知らせるサイネージなどである。
4. 利用モデルの検討からメーカーと一緒に取り組めたこと
METIの研究会がきっかけとなって一緒にやることになった。利用モデルの検討から一緒に取
り組んだ。対象ユーザの設定などを経て、実証や評価に進んだ。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
7
調査結果
<リスクある機器の調達にあたっての考え方/第三者認証の効果>
1. 安全性の担保はベース・ライン
安全性が担保されていることは調達のベース・ラインであり、使い勝手や機器利用ポリシー
との合致などを考慮して調達する。
2. 安全性の担保にあたって、客観的な基準や第三者の認証は重要
メーカと我々で議論して安全性を担保していった。基準があれば、拠り所となって良い。
現在取り組んでいるロボットは信頼関係を築いてきたので良いが、他のロボットなら規格適
合の有無も考慮するだろう。特に、大手が使っていない、先行事例がない/少ないというと
きには、判定基準の1つとなる。
3. 実証実験の倫理審査でも安全性は重要であり、第三者認証が審査を円滑化
認証がとれていれば機械の安全性は担保されている状態で審査が進むのでメリットになる。
認証をとっていないものでも倫理審査はできるし、そこで別のロジックで認められる場合もあ
るが、説明を簡略化できる。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
8
調査結果
<リスクある機器の調達にあたっての考え方/第三者認証の効果>
4. 高齢者・弱者など病院向けは特に安全性のハードルを高くすべき
病院は、お年寄りや子どもや妊婦や病人など弱者が多い。また、売店や食堂や散髪屋もあ
り、病院は1つの街である。また、不特定多数のめったに来ない人ばかりである。
安全性の試験、評価、認証は高齢者や弱者向けのものである必要がある。
5. 福祉用具の安全性はリスクベネフィットの中で考える必要性
安全性はリスクベネフィットとして考える必要がある。福祉機器は、危ないものであるという
認識のなかで、それでもそれがないと生活できないから使っている側面がある。
6. 良いロボットが開発された際にすぐに導入できるように環境整備を進めるべき
高齢者のピークは2025年であり、研究開発されたロボットがすぐに実用化できるような環境
を整えておかないと間に合わない。
7. ISO13482はロボットを体系化し安全性を論じられるようにした点で大きな前進
他国はロボットといっても様々なタイプがあるという状態で安全性を論じることができない状
態であるが、3タイプに体系化することで日本は安全性を論じることができるようになった。
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9
2.国内メーカニーズ調査
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10
調査目的
<目的>
 生活支援ロボットの開発・実用化に取り組むメーカの現状と課題、第三者認証に
対するニーズを把握すること
<方針>
 我が国のロボット開発・実用化の最新の取り組みである、経済産業省によるロボッ
ト介護機器開発・導入促進事業の採択企業などを対象とする。
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11
調査方法
<調査項目(アンケート項目)>
問1.貴社のロボットは、以下の3タイプのいずれに該当するか選択ください。(選択式)
※3タイプは、ISO13482におけるタイプ分け(本資料末尾のとおり)
1.移動作業型(Mobile Servant robot)
2.人間装着・密着型(Physical Assistant robot)
3.搭乗型(Person Carrier robot)
4.その他
ロボットの概要を補足ください。(自由記述)
問2.貴社のロボットの現状について、最も当てはまるものを選択ください。(選択式)
1.開発段階
2.実証段階
3.上市段階
具体的な状況を補足ください。(自由記述)
問3.貴社のロボットの想定顧客をご記載ください。(病院、介護施設、等)(自由記述)
問4.貴社のロボットの想定事業化段階・事業規模をご記載ください。
1年後
想定事業化段階
(いずれか選択ください)
開発段階・実証段階・上市段階
3年後
開発段階・実証段階・上市段階
5年後
開発段階・実証段階・上市段階
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想定事業規模
(百万円単位で記載ください)
12
調査方法
<調査項目(アンケート項目)>
問5.貴社のロボットの想定展開先について、いずれかを選択ください。(選択式)
1.国内展開のみ
2.国内展開に加え、将来的に海外にも展開
3.当初から国内および海外に展開
4.先に海外に展開、将来的に国内でも展開
5.海外のみ展開
(2~5の回答の場合)海外について、地域別に、想定展開先を記載ください。(自由記述)
北南米
例:病院、介護施設、一般企業、一般消費者、・・・
欧州
アジア
その他
問6.貴社のロボットの事業化に向けた課題について、当てはまるものをいくつでも選択ください。(選択式、複数選択)
1.技術改良
2.ユーザニーズとの合致
3.安全性
4.有効性
5.低コスト化
6.サービス化・ソリューション化
7.法制度
8.その他
(「8.その他)の場合)具体的に記載ください。(自由記述)
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13
調査方法
<調査項目(アンケート項目)>
問7.第三者による安全認証について、いずれかを選択ください。(選択式)
1.実施したことがある
2.実施を検討したことがある
3.実施を検討したことはない
問8.ISO13482について、いずれかを選択ください。(選択式)
1.内容を理解している
2.知っているが、内容は理解していない
3.知らない
問9.第三者による安全認証に期待する効果として、当てはまるものをいくつでも選択ください。(選択式、複数選択)
1.ユーザの心理的バリア軽減による導入の円滑化
2.メーカとしてのリスク管理の適正化
3.海外機関との相互承認による海外展開の円滑化
4.ロボット事業化のための社内関係者の説得
5.ロボットの損害保険の料率低減
6.安全認証の取得を通じたロボットの安全性の向上
7.安全認証の取得による広告PR効果
8.その他
(「8.その他)の場合)具体的に記載ください。(自由記述)
問10.生活支援ロボットの安全規格・認証基盤の整備に対するニーズ・期待を自由に記載ください。(自由記述)
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14
調査結果
 アンケート回収(23社/24社)
 アンケート結果(次ページ以降)
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15
問1.貴社のロボットは、以下の3タイプのいずれに該当するか選択ください。
1.
2.
3.
4.
物体の受け渡しや情報の提供などの作業を人間と関わりながら実行する、移動型のロボット
人間の身体能力を補うあるいは増強することにより,人間が要求された仕事を実行する補助を行うロボット
目的地まで搭乗者を搬送するロボット
その他
本アンケートの回答は、主に「身体能力を補うあるいは増強するタイプの補助ロボット開発メーカ」から得られた。
1
移動型のロボット
8
補助を行うロボット
0
搬送するロボット
14
その他
0
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2
4
6
8
10
12
14
16
問2.貴社のロボットの現状について、最も当てはまるものを選択ください。
アンケート回答企業のロボットは現状では大半が「開発段階」であり、上市製品を有する企業からは回答
が得られていない。
0
上市段階
実証段階
6
17
開発段階
0
2
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4
6
8
10
12
14
16
18
問3.貴社のロボットの想定顧客をご記載ください。(自由記述)
ロボットの想定顧客としては、「介護施設」という回答が最も多く、次いで「病院」という回答が多かった。
介護用品販売店
1
訪問介護
2
障がい者
2
高齢者
5
在宅介護者
8
介護施設
18
病院
11
0
2
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4
6
8
10
12
14
16
18
20
問4.貴社のロボットの想定事業化段階・事業規模をご記載ください。
想定事業化段階
想定事業化段階として、1年後の「実証」、2年から3年後の「上市」を目標とする企業が多かった。
20
1
3年後
0
19
上市段階
2
2年後
実証段階
開発段階
0
4
12
1年後
5
0
5
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10
15
20
25
問4.貴社のロボットの想定事業化段階・事業規模をご記載ください。
想定事業規模
1年後には売上を立てることは厳しいものの、2年後には1億円規模、3年後には10億円規模の売
上を想定する企業が多かった。
1
5
11
3年後
2
1
0
3
~100,000,000,000
0
~10,000,000,000
3
6
~1,000,000,000
2年後
9
~100,000,000
2
~10,000,000
0
3
0
回答なし
0
0
2
1年後
4
1
6
10
0
2
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4
6
8
10
12
問5.貴社のロボットの想定展開先について、いずれかを選択ください。
アンケート回答企業は、「国内展開に加え、将来的に海外にも展開」することを想定するケースが多く、約
80%のメーカが海外展開を検討していた。
5
国内展開のみ
15
国内展開に加え、将来的に海外にも展開
3
当初から国内および海外に展開
先に海外に展開、将来的に国内でも展開
0
海外のみ展開
0
0
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2
4
6
8
10
12
14
16
問5.貴社のロボットの想定展開先について、いずれかを選択ください。
地域ごとの件数(単位:社)
海外展開を考えている企業のうち、「アジア」への展開を想定する企業が最も多かった。
17
北南米
19
欧州
30
アジア
9
その他
0
5
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10
15
20
25
30
35
問5.貴社のロボットの想定展開先について、いずれかを選択ください。
全体の施設毎件数(単位:件)
海外展開を考えている企業のうち、どのような施設展開を想定しているのかについては、「介護施設」
という回答が最も多く、次いで「病院」という回答であった
一般消費者
9
高齢者
3
在宅介護者
5
介護施設
31
病院
24
一般企業
1
その他施設・団体
2
0
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5
10
15
20
25
30
35
問5.貴社のロボットの想定展開先について、いずれかを選択ください。
各地域の施設毎件数(単位:件)
海外展開を考えている企業の中から、どの地域で、どのような施設展開を想定しているかアンケートを
取った結果、どの地域でも「介護施設」が最も多く、次いで「病院」という回答であった。
2
1
1
北南米
7
一般消費者
6
0
0
高齢者
1
1
1
欧州
8
在宅介護者
6
0
2
介護施設
5
1
2
アジア
13
病院
8
1
0
一般企業
1
0
1
その他
3
その他施設・団体
4
0
0
0
2
4
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
6
8
10
12
14
問6.貴社のロボットの事業化に向けた課題について、当てはまるものをいくつでも選択ください。
ロボット事業化に向けた主な課題としては、「ユーザニーズとの合致」や「低コスト化」が挙げられていた。
11
技術改良
16
ユーザニーズとの合致
11
安全性
7
有効性
15
低コスト化
11
サービス化・ソリューション化
7
法制度
2
その他
0
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2
4
6
8
10
12
14
16
18
問7.第三者による安全認証について、いずれかを選択ください。
第三者による安全認証については、「実施を検討したことはない」という回答が最も多かった。
3
実施したことがある
7
実施を検討したことがある
13
実施を検討したことはない
0
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2
4
6
8
10
12
14
問8.ISO13482について、いずれかを選択ください。
ISO13482については、「知っているが、内容は理解していない」という回答が最も多く、「内容を理解して
いる」のは全体の2割程度であった。
5
内容を理解している
12
知っているが、内容は理解していない
6
知らない
0
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2
4
6
8
10
12
14
問9.第三者による安全認証に期待する効果として、当てはまるものをいくつでも選択ください。
第三者による安全認証に期待する効果としては、「メーカとしてのリスク管理の適正化」が最も多く、次い
で「安全認証の取得を通じたロボットの安全性の向上」、「ユーザの心理的バリア軽減による導入の円滑化
」という結果であった。
ユーザの心理的バリア軽減による導入の円滑化
12
メーカとしてのリスク管理の適正化
20
海外機関との相互承認による海外展開の円滑化
10
ロボット事業化のための社内関係者の説得
2
ロボットの損害保険の料率低減
3
安全認証の取得を通じたロボットの安全性の向上
13
安全認証の取得による広告PR効果
7
その他
1
0
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5
10
15
20
25
ユーザご自身ならびにそのご家族の心理的
バリア軽減による導入の円滑化
問10.生活支援ロボットの安全規格・認証基盤の整備に対するニーズ・期待を自由に記載ください。
認証効果へのユーザ認知
メーカだけではなく、ユーザへの理解が深まり、ユーザ内での標準的指針になることを期待しています。
現状の施設における機械物に対するアレルギーがあるので、積極的に採用する病院・施設の協力と、ロボット介助に理解を示すユーザー(要介護
者およびその家族)の協力が必要不可欠です。 書類的な物で準備しようとすると、使用する側およびされる側の負担が大きくなりすぎるのではない
かと、危惧していますが、この過程を越えなければならないことも事実ですので、関係者一同協力して解決できればと期待しています。
安全性をクリアする為の各企業負担を軽減できる、最低限の基盤情報の共有化や、情報発信により、参入障壁ではなくむしろロボット普及促進とし
ての活動を期待します。
・日本の認証機関が、ノーティファイドボディの資格を取れるように国策等で支援
・日本もCEマーキングのように、一部製品の安全性能を法令化により要求する。これにより、国際的なJISの位置づけの向上を図る。
・医療系ロボットは13482のスコープ外であるが、一方で薬事法の対象となる。これらも非医療ロボットのカテゴリーにうまく取り込むために、効能以
外の部分の安全要求については、生活支援ロボットの安全規格に準拠していれば良い、安全機能の確認は安全検証センター&指定認証機関でや
る、等を盛り込む。
機能安全規格(ISO13482)は、サービスロボット全般を対象とした非常に広範囲な規格であると理解しています。製品の普及に向けては、具体的な
アプリケーション(例えば、手押し車型のロボット等)ごとに安全規格・認証基盤の整備が必要と考えます。また、商品化に向けた事前の認証試験が
早期に実施できる基盤の整備を期待します。
・早期に安全規格・認証基盤を決定いただき、公開して欲しい。開発途中で安全規格に合わせることは時間とコストの無駄だから。
・海外と統一した規格にしてほしい。
費用をできるだけ安くやってほしい.
安全規格と認証方法の明確化を早急に行っていただきたい。
開発中の製品は生活支援ロボットでは無いため、特に期待する項目はありません。
認証の基盤が整備され、生活支援ロボットの実態に則した認証となることで、商品化の際の指針となるのではないかと考えており、認証基盤の整備
に関して非常に期待しております。宜しくお願い申し上げます。
規格を厳格化すると、新しい製品領域を阻害することも考えられます。これから拡大する事業領域であることを鑑み、多少の流動性を持った内容と
していただきたいです。
利用者に説明しやすい。ロボットの開発、改良の目的の明確化により、迅速に対応可能。各国の基準が統一され輸出がしやすい。過剰にならずに
適正な安全基準によりコストが低減可能。使用者のマニュアルが作成しやすく理解が進む。
当社の機器は、ロボット的に言えば、人の100倍の視力を持ち、夜間でも微かに動く小動物を見つけられる「フクロウの目」に例えられる。(アウル
ビュー) このように、駆動機構を持たないロボットが、今回のISO13482の規格の中で、どのように位置づけられるのか、どのような対処を考えてい
けばよいか、早急に知りたい。
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3.国内保険会社調査
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30
調査目的
<目的>
 生活支援ロボットの導入時に必要となる保険商品を提供するにあたっての考え方
、課題、第三者認証の効果を把握すること
<方針>
 ロボットビジネス協議会の保険WGのメンバー企業を調査対象とする。保険業界の
大手企業が参画しており、継続的な議論・検討を行ってきた経緯がある。
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31
調査方法
<調査項目(ヒアリング項目)>
1. 生活支援ロボットの損害保険の現状と課題
過去の事例について
現状の対応について
課題について
ロボットのタイプによるポイントの違いについて
2. 生活支援ロボットの損害保険に対する第三者認証の効果
料金査定との関連について
事故査定との関連について
その他の関連について
ロボットのタイプによるポイントの違いについて
3. 上記2つを踏まえた、今後の第三者認証のあり方
安全規格のあり方について(JIS, ISO)
試験・認証のあり方について
メーカーの取り組みのあり方について
国としての取り組みのあり方について
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32
調査結果
<生活支援ロボットの損害保険の現状と課題>
1. 代表的な3つの保険を中心とする既存の保険商品の組み合わせで対応可能
ロボットそのものの物的損害に備える、動産総合保険(ロボット保有者向け)
対物・対人の損害賠償に備える、PL保険(ロボット製造者、リース/販売会社向け)
利用施設への損害に備える、施設賠償責任保険(ロボット利用者向け)
2. 過去にいくつかの保険商品提供の取り組みあり
実証試験ベース
東京海上日動 & NPO法人ロボティック普及促進センターによるロボット保険
神奈川県のレスキューロボット実証試験など
三井住友海上による治験PL保険
ロボットスーツHAL(医療用)の臨床試験など
市場投入ベース
三井住友海上によるロボット保険
富士重工の清掃ロボットや搬送ロボット
3. 保険各社ともに注目しているが、現状では市場がないことから様子見の段階であ
り、当面は個別案件について都度判断して対応していく方針
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33
4.国内試験機関・認証機関調査
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34
調査目的
<目的>
 国内試験機関および認証機関の現状と課題を把握すること
<方針>
 生活支援ロボットに関する試験および認証を行なっている機関である生活支援ロ
ボット安全検証センターおよび一般財団法人日本品質保証機構(JQA)を調査対
象とする。
 また、参考として、福祉用具・生活支援用具の規格づくり・基準づくりを担っており
、経済産業省によるロボット介護機器開発・導入促進事業における安全性・有効
性の基準づくりにも関与している日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)も対
象とする。
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35
調査方法
<調査対象(ヒアリング対象)>
 生活支援ロボットの試験機関、認証機関に加え、福祉用具・介護機器の規格・基
準づくりに携わる機関にヒアリングを実施
機関名
ロボットに関する取り組み
一般財団法人
日本自動車研究所
(JARI)
•
NEDO生活支援ロボット実用化プロジェクトを通じて整備されている「生活支援
ロボット安全検証センター」において、生活支援ロボットの安全性試験手法・設
備の開発を担当
一般財団法人
日本品質保証機構
(JQA)
•
ISO13482に基づく生活支援ロボットの認証を実施
(2013/02/27、サイバーダインのHAL福祉用)
【参考】
日本福祉用具
・生活支援用具協会
(JASPA)
•
•
リフトなど介護機器の規格づくりに関与
ロボット介護機器開発・導入促進事業における安全性・有効性の基準づくりに
関与
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36
調査方法
<調査項目(ヒアリング項目)>
生活支援ロボットの試験機関、認証機関向け
福祉用具・介護機器の規格・基準づくりに携わる機関向け
• 生活支援ロボットの安全性評価の現状と課題
• 手法、設備、人材、体制の現状
• 課題と今後の取り組みの方向性
• 生活支援ロボットの安全性認証の現状と課題
• 手法、設備、人材、体制の現状
• 課題と今後の取り組みの方向性
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• 介護・福祉機器における第三者認証の効果
• 認証取得のものの導入率
• 調達時の効果
• 課題
• 生活支援ロボットにおける第三者認証の効果
• 調達時に期待される効果
• 課題・クリアすべきポイント
• ロボットのタイプによるポイントの違いに
ついて
• 上記を踏まえた、今後の第三者認証のあり方
• 安全規格のあり方について(JIS, ISO)
• 試験・認証のあり方について
• メーカーの取り組みのあり方について
• 国としての取り組みのあり方について
37
調査結果
<生活支援ロボットの試験設備・手法の現状について>
1. 生活支援ロボットの試験手法は新規開発要素が多く、ノウハウとなる
前例のないものが多く、ノウハウのかたまり
2. 開発した設備や手法を、グローバルに通用するものにする必要性
ISO13482は概念的な規格であり、より具体的な基準を他国に作られてしまうと設備・手法
が活用できない懸念あり
ただし、今後どのようなロボットが出てくるか不明である点にも懸念あり
3. 試験機関とともに、認証機関の強化が重要
試験機関としては、現在の生活支援ロボット安全検証センターを発展させる方向性
ただし資金面としては、当面は年間何十台も試験するようなことにはならないだろうから、開発・実証
の段階から試験で協力していく必要あり
一方、認証機関の育成とセットでなければ、センターの試験結果を海外の認証機関に提供
する形となってしまう懸念あり
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38
出所:関連機関へのヒアリング結果よりMRI作成
調査結果
<生活支援ロボットの第三者認証の現状について>
1. ISO/IEC17065に基づき、マニュアルを構築、運用
製品認証を行う認証機関について求められる国際規格。要員の力量に関する要求事項の
他、認証の仕組みとして、評価プロセスに従事した者とレビューを行う者は異なる人物である
ことなどを要求。
2. 生活支援ロボットの難しさは、規格要求事項に対する適切な基準設定
産業育成を阻害しないような適切な高さの基準を、ロボットのリスク/ベネフィットを考慮し
ながら設定していくこと
3. 人材育成や規格開発への関与が引き続き重要
機能安全に係る認証のできる人材育成、対応力の強化の取組み
ISOなど規格開発の場と同様に、JISの作成段階から関与し、順次認証できるよう備えること
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39
調査結果
<介護分野における第三者認証の現状と効果について>
1. 福祉機器におけるJISマークの取得状況は二極化
車椅子やベッドは、事故リスクが高いこともあり、国内企業はほぼ全てJISマーク取得
それ以外は、市場規模から言って費用対効果があわないため、JISマーク取得はほぼゼロ
1形式ごとの認証に年間100万円が必要、工場設備の条件もあり負担大
JISマーク取得によって売上が大幅に増加するというとわけではない
ただし実際のところ、各社の製品はJIS規格に即したものになっており、JIS規格はガイドライ
ン的に効力を持つ
2. ケアマネージャーが導入する機器の選定を主導する立場であり、認証にも理解あり
車いすとベッドの場合、ケアマネージャーが意思決定に関与し、JISマークがついていないも
のは推薦しない
JISマークが普及していないリフトにおいても、リフト関連企業連絡会においてリフトインストラ
クター制度を設けており、普及・啓蒙に努めている
ISO13482についても、ケアマネージャーへの導入浸透を図っていくのは重要である
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40
出所:関連機関へのヒアリング結果よりMRI作成
別紙2
海外ヒアリング調査結果概要(生活支援ロボット)
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調査目的
<目的>
 生活支援ロボットの市場性の把握
 我が国発の認証の展開可能性の把握
 生活支援ロボットの規格・認証基盤づくりにおける連携可能性の把握
 我が国のロボットおよび認証の競合となる動向の把握
<方針>
 多くのメーカが注目しており、有識者からも市場性および連携可能性のポテンシャ
ルの高さが示唆されている一方、情報が少なく実態把握が不十分な東南アジア地
域(シンガポール、タイ等)を優先して現地調査を行なう。
 他の国・地域についても、文献や国内有識者ヒアリングにより情報収集のうえで、
必要に応じて現地調査を行なう。
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1
(参考)アジア調査先としてのタイ・シンガポール選定理由
 経済規模、高齢化率、医療水準、我が国との親和性、我が国関係者とのこれまで
の協力関係の存在から総合的に選定した。
人口(万人)
シンガポール
65歳以上
人口比率
一人あたり
GDP(ドル)
一人あたり
病床数
医療支出(ドル) (1000人あたり)
518
9.4%
46,241
2,286
2.7
タイ
6,952
9.1%
4,972
202
2.1
マレーシア
2,886
4.9%
9,977
346
1.8
フィリピン
9,485
3.7%
2,370
97
1.0
24,233
5.6%
3,495
95
0.6
ベトナム
8,784
6.0%
1,407
95
2.2
カンボジア
1,431
3.9%
897
51
0.7
629
3.9%
1,320
37
0.7
ミャンマー
4,834
5.2%
-
23
0.6
韓国
4,978
11.5%
22,424
1,616
10.3
中国
134,413
8.4%
5,445
278
3.8
日本
12,782
23.4%
45,903
3,958
13.7
インドネシア
ラオス
※橙:上位3位まで(2位と3位に差が大きい場合2位まで)
※緑:上位6位まで(5位と6位に差が大きい場合は5位まで)
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2
調査方法
<調査対象(ヒアリング対象)>
 ユーザ、行政、専門家の3つの観点から調査を実施した。
主体
調査のねらい
有望ユーザと考えられ <ニーズと阻害要因の把握>
る大手病院

生活支援ロボットに対するニーズ

我が国の生活支援ロボットのへの興味・関心、導入可能性

生活支援ロボットの導入阻害要因
<調達要件、その中での第三者認証の位置づけの把握>

生活支援ロボットの調達要件、調達検討基準

生活支援ロボットの調達にあたっての第三者認証の位置づけ

我が国の生活支援ロボット認証スキームへの興味・関心、採用可能性
生活支援ロボットの導 <ロボットに係る政策的な取り組みの現状>
入を進めるとした場合 
生活支援ロボットの開発・実用化に関する政策の現状
の所管省庁

生活支援ロボットの規格・認証に関する政策の現状

生活支援ロボットの導入にあたっての規制や補助
<国としてのロボットへの興味・関心、連携可能性>

我が国の生活支援ロボットへの興味・関心、導入支援可能性

我が国の生活支援ロボット認証スキームへの興味・関心、導入支援可能性
生活支援ロボットおよ <ニーズと阻害要因の把握>
生活支援ロボットに対するニーズ
びその認証に係る有 
識者

我が国の生活支援ロボットのへの興味・関心、導入可能性

生活支援ロボットの導入阻害要因
<ロボットに係る業界としての取り組みの現状>

生活支援ロボットの開発・実用化に関する取り組みの現状

生活支援ロボットの規格・認証に関する取り組みの現状

生活支援ロボットの導入にあたっての規制や補助
<業界としてのロボットへの興味・関心、連携可能性>

我が国の生活支援ロボットへの興味・関心、導入支援可能性

我が国の生活支援ロボット認証スキームへの興味・関心、導入支援可能性
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3
調査方法
<調査項目(ヒアリング項目) >
 1.ユーザ向け
ニーズと阻害要因について
生活支援ロボットに対するニーズとその背景
ニーズの有無、内容、規模
背景(人件費、省人化、品質安定、富裕層対応、など)
生活支援ロボット導入にあたっての阻害要因
制度面(法制度、規制、商習慣)
性能面(機能、価格、安全性)
調達の考え方について
調達における認証要件とその背景
有無と内容
背景(法制度、規制、慣習など)
調達における方針・プライオリティ
安全性のプライオリティ(たとえば価格とのトレードオフ)
認証のプライオリティ(導入可否や条件への効果など)
日本の製品・メーカに対する信頼性
調達における認証機関へのニーズ
認証機関へのニーズ(調達要件検討支援など)
認証機関の選定基準
日本の認証機関・認証に対する信頼性
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4
調査方法
<調査項目(ヒアリング項目) >
 2.所管官庁向け
生活支援ロボットに係る政策的な取り組みの現状
開発・実用化/規格・認証/導入の規制や補助
国としての生活支援ロボットのへの興味・関心、連携可能性
我が国の生活支援ロボットについて
興味・関心
その背景(技術革新、産業育成、社会福祉、など)
国としての導入支援の可能性
日本の製品・メーカに対する信頼性
我が国の生活支援ロボット認証スキームについて
興味・関心
その背景(安全への認識の高まり、産業育成、など)
国としての導入支援の可能性
日本の認証機関・認証に対する信頼性
病院への機器導入にあたっての国としての考え方について
調達における認証要件とその背景
有無と内容
背景(法制度、規制、慣習など)
国としての関与について
関与の有無と内容
背景(法制度、規制、慣習など)
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5
調査方法
<調査項目(ヒアリング項目) >
 3.専門家向け
ニーズと阻害要因について
生活支援ロボットに対するニーズとその背景
ニーズの有無、内容、規模
背景(人件費、省人化、品質安定、富裕層対応、など)
生活支援ロボット導入にあたっての阻害要因
制度面(法制度、規制、商習慣)
性能面(機能、価格、安全性)
生活支援ロボットに係る業界としての取り組みの現状
開発・実用化/規格・認証/導入の規制や補助
業界としての生活支援ロボットへの興味・関心、連携可能性
生活支援ロボットのへの興味・関心、連携可能性
我が国の生活支援ロボットについて
興味・関心
その背景(技術革新、産業育成、社会福祉、など)
国としての導入支援の可能性
日本の製品・メーカに対する信頼性
我が国の生活支援ロボット認証スキームについて
興味・関心
その背景(安全への認識の高まり、産業育成、など)
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6
国としての導入支援の可能性
日本の認証機関・認証に対する信頼性
調査結果
<訪問先概要(タイ)>
区分
ユーザ
(大手病院)
名称
公立病院
概要
• 公立病院、中学生以下の児童の専門病院、病床数538
• 全国の児童病院に対するトレーニング機関としての役割あり
• 私立病院、美容整形や整形外科など専門、病床数400
• 世界140ヶ国から患者が来訪
• 公立病院(大学病院)、タイを代表する大病院、病床数1433
• 大学病院として先端技術の実証にも積極的
• 私立病院、最大手、上場企業、病床数538
• メディカルツーリズムで有名、ホスピタリティを重視
• 保健省の関連機関
• 全国の公立病院の運営管理、機器・システム導入を所管
訪問日、訪問先
2013/9/9
保健省外郭機関
• 保健省の関連機関
• 薬、医療機器の許認可を担当
2013/9/11
科学技術省関連機関
• 科学技術省の関連機関
2013/9/10
• 医療・ヘルスケア領域の技術・製品の研究開発と実用化を助成
(医療・ヘルスケア領域のロボットも担当)
• 医療・ヘルスケア領域のロボット研究を進めている。
2013/9/10
私立病院
公立病院
私立病院
所管省庁
有識者
保健省外郭機関
マヒドン大学教授
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7
2013/9/10
2013/9/10
2013/9/11
2013/9/9
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果
<国としての取り組みに関するヒアリング結果(タイ)>
1. 科学技術省による「医療・ヘルスケア分野のロボット」開発プロジェクトが始動
マヒドン大学が中心的役割
マヒドン大学に試験・実証を行う施設( advanced medical robot services development
centre )を2015年までに建設予定
2013-2017年の5カ年間で____億バーツ(およそ___億円)の予算規模
ロボットの開発、実証、普及支援まで含むプロジェクト
パーソナルケアロボットも範囲に含まれるもの
タイ科学技術省外郭機関がプロジェクトを先導
2. ロボット政策は科学技術省が主導しており、製造業用と医療・ヘルスケア用に注目
科学技術省として研究開発を進めるとともに、工業省のTISなどにも働きかけている。
上記のプロジェクトを進めるにあたって、医療・ヘルスケア分野のロボットについて規制がは
っきりしていないと認識しており、FDA、TISなどの基準を整備していく意向あり。新しく建設す
るセンターで安全性試験や基準づくりも担っていく。
上記の活動のなかで、ISO13482についても関心を持っている。
出所:タイ科学技術省、タイ大学有識者に対するヒアリング結果および以下よりMRI作成
http://www.tcels.org/Home/ReadMoreContent/30
http://www.nanotec.or.th/en/?p=4414
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8
調査結果
<ユーザニーズに関するヒアリング結果(タイ)>
1. 大学病院は先端機器・設備の導入・実証を担う役割であり、ロボットにも関心あり
2. 公立病院も中長期的にはロボット活用ニーズあり、導入には大学病院等での実績を重視
3. 私立病院はサービス向上・ブランド向上のためのロボット活用に興味あり
区分
役割
大学病院 国の支援も受けなが
ら先端機器・設備の
導入・実証を進める。
ロボットへのニーズ
○医療の向上に役立つ先端機器・設備
• 歩行アシストロボット
• 移動支援ロボット
• 院内搬送ロボット
※先端機器・設備の効果を実証し、タイ全土
に広めていく際の先導役としての役割あり
導入にあたっての考え方
○重視するポイント・懸念事項
• 医療高度化への貢献
• 使い勝手
• コスト
○導入基準
• 医療機器はタイFDAの認証が必要
• 実証の場合、倫理審査委員会(院内)の承認
公立病院 国の支援と管理のも ○院内搬送ロボット
○重視するポイント・懸念事項
とで、公共医療を担 • 人が薬剤などを運ぶことに対する抵抗感
• 移動環境(段差や階段)
う。一般市民の利用 • 特定時間における搬送の集中
• 電力消費(省エネは国全体の課題)
者が多い。
• エアシュータでは運べないもの(がん治療、 • 保証期間・アフターサービス
冷凍保存、混ざってはいけない薬剤など) • コスト(保健省の予算制約)
○子供の自立を支援できるロボット
○導入基準
• 子供が身につけられる身体アシスト
• 大学病院など中核病院における実績
• 子供が利用できる移動アシスト
• 医療機器ならタイFDA、工業製品ならTISの認証
私立病院 会社として独立経営 ○サービス向上・効率向上のためのロボット ○重視するポイント・懸念事項
されており、経営指 • 清掃ロボット(きれいな病院というブランド) • 宣伝効果・ブランド力向上
向、サービス指向で • 搬送ロボット(食事など)
• 費用対効果
医療を提供する。富 • 移動支援ロボット(ナースコールとも連携し • アフターサービス
裕層や外国人の利
た見守りのイメージ)
○導入基準
用者が多い。
• 医療機器はタイFDAの認証が必要(困難ではない)
• 既存実績、成功事例
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9
出所:現地ヒアリング結果よりMRI作成
調査結果
<規制・基準に関するヒアリング結果(タイ)>
1. 医療機器か否かで扱いが異なる。
医療機器については保健省のタイFDAの基準に則った認証が必要となる。
工業製品については工業省のTIS(Thai Industrial Standards)に則った認証が求められる場合
がある。
2. 医療機器かどうかはタイFDAが判断する。
生活支援ロボットに対する明確な基準は不在である。
ヒアリングの場での現行担当者による参考意見は以下のとおり。
医療機器と思われるもの
医療機器でないと思われるもの
明確ではないもの
ベッドとして機能するロボット
清掃ロボット、警備ロボット
薬剤などを搬送するロボット、身につけて歩行などを支援するロボット
3. 医療機器と判断された場合、タイ独自の基準によりさらに分類される。
タイは医療機器について国際的な分類とは異なる独自の分類を持っている。
多くのロボットは最も緩い「general」に該当すると見られ、認証は困難ではない。一方、リハビリ
用途のロボットは「notification」に該当する見込み。
4. 医療機器でないと判断された場合、工業製品としてのTISに則った認証のみでよい。
現在のTISにロボットに該当するものはない。
TISが存在しないものは、TISI(Thai Industrial Standards Institute)が個別登録を行なっている。
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10
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果補足
<タイの人口動態予測>
 2030年以降、人口は減少する可能性
 65歳以上人口比率は、2015年に10%、2025年に15%を超える見通し
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11
出所:タイの医療機器市場・規制の現状(ジェトロ、2011年11月)
調査結果補足
<タイの病院・医療制度>
 タイの病院
保健省に登録されている院数は1318箇所である。公立病院(1002箇所、76%)と私立病
院(316箇所、24%)に分かれる。
公立病院(一般)
保健省が管轄しており、予算も個別には有していない。30バーツ医療制度が敷かれており、安価な料
金で医療を受けられる。多くの病院は混み合っている。
私立病院
会社として経営されており、予算裁量も個別にある。料金も個別の裁量で定められており、一般に高
額であり、公立病院の10倍以上かかると言われる。富裕層や外国人などが多く利用する。サービス・ホ
スピタリティを重視しており、高級ホテル並みの内装やスタッフ、内装を有しているところもある。多言
語対応も進めている。
公立病院(大学病院)
チュラロンコン大学病院やシリラート病院(マヒドン大学付属)のような大学病院が存在しており、先端
的な医療を担っている。
 タイの医療制度
2002年タクシン政権下で誕生した「30バーツ医療保障制度」がある。自己負担金30バー
ツ(およそ90円)で医療サービスを受けられる。
タイ保険省外郭機関が、全国の公立病院に人頭払いにより予算配分している。
私立病院も自らの判断で参加している(30バーツ医療を受け入れている)ところもある。
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12
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果補足
<タイにおける医療機器に関する規制・認証>
 タイにおいて医療機器は、国際的なリスク分類とは異なるlicense、notification、
generalの3つの区分に分けられている。ほとんどがgeneralに該当し、現地の販売
認可を得るのは比較的容易である。
 輸入の場合は、原産国の自由販売証明(Certificate for Free Sales:CFS)があれ
ばよい。generalに該当する場合、CFSがあれば1週間ほどで認可が下りるとも言わ
れる。licenseまたはnotificationの場合は6カ月~2年要するとの声もある。
 今後、general分類のうち、リスクが高い製品についてはlicenseやnotificationに相
当する厳格な審査を要求するようになる可能性もある。
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13
出所:タイの医療機器市場・規制の現状(ジェトロ、2011年11月)
調査結果補足
<タイにおける工業製品の認証(Thai Industrial Standards Institute, 工業省)>
 概要
1969年1月にタイ工業省の一機関として設立されたタイの規格・認証を担う機関
1966年に開始された「 The Thai Industrial Standardization Project」の一環として1968年
に「The Industrial Products Standards Act」が制定されたことが背景
 活動目的
1.
2.
3.
4.
Consumers protection
Environmental protection and natural resources preservation
Industrial development to be competitive in the world market
To ensure fair trade and eliminate trade barriers caused by standardization measures
 活動内容
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
Standards development
Product certification
Information service
WTO Agreements
International standardization
Standardization promotion
Personnel development
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出所:http://www.tisi.go.th/eng/
調査結果補足
<タイにおける工業製品の認証(Thai Industrial Standards Institute, 工業省)>
 活動内容詳細
2. Product certification
Product certification (TISに基づく認証を実施) (voluntary / mandatory)
Product registration (TISが存在しないものについて暫定的な登録を実施)
Foreign inspection body (日本(JIS)、ドイツ(VDE)、スリランカ、フィリピン、南アフリカ)
5. International standardization
International standardization
1965年からISO参加
•81のTCやSCにP-memberとして、168のTCやSCにO-memberとして参加
•TC184(Automation systems and integration)には参加していない
1991年からIEC参加
•31のTCやSCにP-memberとして、58のTCやSCにO-memberとして参加
Regional standardization
 ASEAN Consultative Committee for Standards and Quality (ACCSQ)のメンバー
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15
出所:http://www.tisi.go.th/eng/
調査結果補足
<ASEAN Consultative Committee for Standards and Quality>
 1992年に設立されたASEAN域内の基準・認証の標準化を推進する組織
優先する20製品と81種類の安全基準を調和した段階
基準の相互承認では電子・電気、化粧品で比較的進んでいるが、他分野では、医薬品、食
料品、自動車製品、伝統薬・健康補助食品、木材製品、ゴム製品、医療機器でWGが設置さ
れ、検討が始められている段階
相互承認の議論を進めているのはWG1(Working Group on Standards and Mutual
Recognition Arrangements)であり、その議長は現在シンガポール
出所:http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000337/asean_fjccia_taiwa.pdf
http://www.asean.org/communities/asean-economic-community/item/accsq-structure
http://www.aahsa.org.sg/asean-regulation/asean-consultative-committee-on-standards-and-quality-accsq/
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16
(参考)基準認証分野における近年の世界情勢
 ASEANにはEUから、域内の基準・認証の統合への支援あり
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出所:http://www.jsa.or.jp/itn/pdf/koryu090724-text.pdf
調査結果
<タイ調査結果まとめ>
 国としても注目しており、市場ニーズもある(短期的にはテストパイロット、中長期
的には広く活用)。認証のあり方は医療機器か否かで扱いが異なるが、いずれに
せよロボットについて確立されたものはない。
観点
示唆事項
国としての
取り組み
• 科学技術省による医療・ヘルスケア分野のロボット開発プロジェクト(2013年から5カ年、
総額____億円)が始動し、開発・実証・普及支援に取り組む。安全性や有効性の試験・実
証を行う施設がマヒドン大学に新設される。
• ロボット政策は科学技術省が主導しており、製造業用と医療・ヘルスケア用に注目してい
る。医療・ヘルスケア分野について医療機器の基準を定めるタイFDAや工業製品の基準
を定めるTISに基準整備を働きかけていく意向があり、ISO13482についても関心あり。
市場
• 大学病院は先端機器・設備の導入・実証を担う役割であり、ロボットにも関心あり。
• 公立病院も中長期的にはロボット活用ニーズあり。導入には大学病院等での実績を重視。
• 私立病院はサービス向上・ブランド向上のためのロボット活用に興味あり。
規格・認証
• 医療機器か否かで扱いが異なる。医療機器については保健省のタイFDAの基準に則っ
た認証が必要となる。工業製品については工業省のTIS(Thai Industrial Standards)に
則った認証が求められる場合がある。
• 医療機器かどうかはタイFDAが判断する。医療機器と判断された場合、タイ独自の基準
によりさらに分類される。生活支援ロボットに対する明確な基準は不在である。
• 医療機器でないと判断された場合、工業製品としてのTISに則った認証のみでよい。現在
のTISにロボットに該当するものはない。TISが存在しないものは、個別に製品登録を行う。
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18
調査結果
<訪問先概要(シンガポール)>
区分
ユーザ
(大手病院)
所管省庁
訪問先
公立病院
概要
• 公立病院グループに属する。病床数1400。
• 先進的なリハビリを行うセンターを有している。
公立病院
• 公立病院グループに属する。病床数757。
2013/9/13
• 政府が進める医療政策「Healthcare 2020」の中でシンガポール東
部地域医療の中核となる医療施設に位置付けられている。
• 通商産業省(Ministry of Trade and Industry)傘下の機関。
2013/9/12
• 生産性とイノベーション、標準と品質を所管。
• 標準化推進、適合性評価機関の認定、測定機関の監督を担う。
SPRING
(The Standards,
Productivity and
Innovation Board)
Ministry of Health
WSHC
(The Workplace Safety
and Health Council)
Agency for Integrated
Care (AIC)
有識者
認証機関
•
•
•
•
訪問日、訪問先
2013/9/13
医療機器などの許認可を所管。
また、国としての医療・福祉に貢献できる技術の導入支援を所管。
Ministry of Manpower傘下の機関。
労働安全衛生に関する業界代表者や政府による委員会。
• シンガポールの公的医療・福祉関連企業の持株会社である The
Ministry of Health Holdings (MOHH) 傘下の企業の1つ。
• 中長期的な介護・福祉の革新を所管。
• 国際的に第三者試験認証機関として活動する認証機関
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19
2013/9/12
(SPRING会合に同席)
2013/9/12
(SPRING会合に同席)
2013/9/12
(SPRING会合に同席)
2013/9/10
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果
<国としての取り組みに関するヒアリング結果(シンガポール)>
1. 高齢化の進展を背景に、2012年3月に国としての計画である「ヘルスケア2020」
を発表し、医療・介護の新たなあり方を構築している。
2. シンガポール公立病院では、シンガポール発の先進リハビリセンターである
CART(Centre for Advanced Rehabilitation Therapeutics)を立ち上げ、先端技
術のリハビリ活用を進めている。
ロボット技術、バーチャルリアリティ技術、ブレインマシンインタフェース技術など
スイスのリハビリ機器メーカーであるHOCOMAとMOU締結し共同開発・実証
HOCOMAには、当該病院以外にも世界各国にパートナー病院があり、自社のリハビリ機器の実証デー
タを相互共有、リハビリ機器の開発やリハビリ機器を利用したリハビリ手法の開発に活用している。
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20
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果
<ユーザニーズに関するヒアリング結果(シンガポール)>
1. 国の支援を受けて医療・福祉分野への技術活用・イノベーションを推進している。
国家戦略としてヘルスケア2020を策定し、高齢化を背景とする新しい医療・福祉のあり方
の確立を目指しており、中核病院としてロボットなど新技術の活用に関心がある。
国の支援を受けている公立病院において、先進的なリハビリプログラムの開発・実証に取り
組んでおり、ロボットなどの新技術の活用に関心がある。
2. スタッフの腰痛や、ケアワーカーが今後不足してくるといった問題を感じており、移
乗支援へのニーズがある。使い勝手、安全性、保守性、コストを重視している。
さまざまな体型のユーザに調節可能であること
高齢者にとって安全性は重要、また、メンテナンスが重要
今後は在宅介護が重要と考えており、多くの国民が住んでいる国営アパートは狭いため、狭
い空間でも使える使い勝手が重要
3. 公立病院では、業務効率化に関心が高い。
病院でトヨタ生産方式を取り入れている例もある。
人は人ができることに注力すべきとの方針であり、院内搬送ロボットなどへのニーズがある。
人手を割かないで済むよう、バッテリーの持ちや自動充電を重視している。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
21
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果
<規制・基準に関するヒアリング結果(シンガポール)>
1. 医療機器か否かによって扱いが異なる。
医療機器に相当する場合、 HSA(Health Science Authority)の認証が必要
医療機器でない場合、工業製品の安全規格に対応する認証が求められる場合がある
2. 医療機器かどうかは、HSA(Health Science Authority)が判断する。
生活支援ロボットに対する明確な基準は不在である。
医療機器の分類は、EUと同様のリスクに基づくものとなっている。
3. R&D段階のロボットを実証する場合は、各病院の倫理審査委員会を通れば良い。
倫理審査委員会が、HSAを通すべきかどうか判断する。
CEマーキングやISO13482に基づく認証の取得は、倫理審査委員会の判断材料の1つとな
る可能性があることが公立病院担当者から示唆されている。
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
22
出所:現地調査および各種文献よりMRI作成
調査結果補足
<シンガポールの人口動態予測>
 2035年以降、人口は減少する可能性
 65歳以上人口比率は2015年に13.6%、2025年には22.9%に達する見通し
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23
出所:シンガポール経済の動向(ジェトロ、2012年10月)
調査結果補足
<シンガポールの病院・医療制度>
 シンガポールの病院
シンガポールの病院は、公立(政府系)病院と私立病院に分けられる。2012年時点で登録されている病
院数は25あり、公立が15(185-2,010床)、私立が10(20-345床)である。
公立病院
日本の総合病院と同じシステム(CLOSED SYSTEM)で医師もそれぞれの病院に所属しており、ひとつの病院で検査か
ら治療、入院まで全て行うことができ支払いも一度で済ますことが可能。
私立病院
OPEN SYSTEM を採用しており、各専門医は病院内の施設をテナントとして借り受けてクリニックを開業している。検査
や処置、入院が必要な時は病院の施設を借りて行う。また、各クリニックのスタッフは医師が直接雇用しており、運営や
診療方針も全てその医師に委ねられている。
 シンガポールの医師
英国式にならい、一般総合医(GENERAL PRACTITIONER, G.P.)と専門医(SPECIALIST)とに分かれてい
る。大抵の病気はG.P.が治療するが、病気や怪我の症状がG.P.の治療範囲を越え、より専門的な知識や
治療が必要な場合は、そのG.P.が適切なSPECIALISTを紹介する。
 シンガポールの医療制度
自助、互助、政府の間接的援助を医療制度の原則としている。
国民健康保険が無く、その代わりに中央積立基金(Central Provident Fund, CPF)と呼ばれる強制的な
社会保障積立制度が存在する。
CPFの中で、メディセーブ(一般的な医療サービス向けで強制加入)とメディシールド(高度な医療サービス向けで任意加
入)が医療費を賄うための口座である。
生活困窮者に対する医療費補助を目的とした基金としてメディファンドがあり、セーフティーネットとしての位置づけられ
ている。公立病院の医療費の支払いにおける補助で、メディセーブを使用しても不足する場合のみに適用される。
出所:「シンガポール政策 福祉政策編」(財団法人自治体国際化協会、2011年)、Singapore Ministry of HealthウェブサイトおよびContact Singaporeウェブサイト
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
24
調査結果補足
<シンガポールにおける医療機器に関する規制・認証>
 シンガポールの医療機器はHealth Products Actによって規制されており、健康科学庁(Health Sciences
Authority : HSA)が管轄している。このうちHealth Products Regulation Groupが医療機器を担当している。
 医療機器と体外診断(インビトロ診断、IVD)用機器はEU及び医療機器規制国際整合化会議(Global
Harmonization Task Force : GHTF)のカテゴリーに則り、当該医療機器のリスクの高さに応じて、下表の
とおり分類される。
 リスクの高さは侵襲性の度合い[invasive]、身体に埋め込まれるものかどうか[implantable]、能動
性(電源など人体が発する以外のエネルギーを必要とするか)[active]、医薬品や生物製剤が含ま
れているかなどにより定められる。
リスク分類 リスクレベル
(上段:医療機器 下段:対外診断用機器)
クラスA
低リスク
個人に対するリスクが低く、公衆に対するリスクも低い
クラスB
クラスC
クラスD
医療機器の例
(上段:医療機器 下段:対外診断用機器)
車椅子、舌圧子
検体収集チューブ(Specimen collection tubes)、一般培養基
(general culture media)
低-中リスク
皮下注射針、吸引装置
個人に対するリスクが中程度で、かつ/あるいは、公衆 ビタミンB12(Vitamine B12)、妊娠検査キット(Pregnancy self testing)、
に対するリスクが低い
抗核抗体(Anti-nuclear antibody)、尿検査紙(Urine test strips)
中-高リスク
肺換気装置、骨固定板
個人に対するリスクが高く、かつ/あるいは、公衆に対 血糖値自己検査(Blood glucose self testing)、HLA検査(HLA Typing)、
するリスクが中程度
PSAスクリーニング(PSA Screening)、風疹検査(Rubella test)
高リスク
心臓弁、埋め込み型の除細動器
個人に対するリスクが高く、かつ/あるいは、公衆に対 HIVスクリーニングABO式血液診断 (Screening for HIV ABO blood
するリスクが高い
gruping tests)
出所)GN-15:Guidance on Medical Device Product Registration」(HSA、2013年1月)
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
25
調査結果補足
<シンガポールにおける医療機器に関する規制・認証>(つづき)
 Health Products Act では、シンガポールで生産、輸入、卸売りを行う医療機器をHSAに登録すること
を義務付けている。
 2012年5月より減菌医療機器を除くクラスAの製品は製品登録が免除され、HSAのリストに製品を載
せるだけで販売が可能となった。
 クラスBの製品についても、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、日本の規制当局から
承認を受けている場合は、一部の登録手続きが免除される。
 クラスCDの製品及び他国の承認を受けていないクラスBの登録を行う際には、まずHSAのオンライン
サービスMedical Device Inforation & Communication System(MEDICS)から「製品登録者
(Registrant)」登録を行う。事業者免許を取得している場合でも別途、製品登録者登録を行う必要が
ある。
 申請書類はASEAN共通の医療機器登録フォーマットであるCSDT(Common Submission Dossier
Template)形式に従って作成する。申請書類の提出後、HSAにて申請書のスクリーニングを行う。書
類が揃った段階で審査が行われる。審査に通ると、医療機器データベースSingapore Medical Device
Register(SMDR)に登録される。
 スクリーニングから登録に至るまでの期間は、およそ160~310営業日を要する。
クラスBCDの製品登録の流れ
MEDICS経由で
申請書の提出
申請書類の
評価
申請書類
の確認
登録可否の
決定
出所)「シンガポールにおける医療機器法規制とシステム」(ジェトロ、2010年9月)
および「GN-15:Guidance on Medical Device Product Registration」(HSA、2013年1月)
Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc.
26
調査結果補足
<シンガポールにおける政策 “HEALTHCARE 2020”について>
 2012年3月に発表された、包括的な医療システム構築にむけたマスタープラン
 高齢化の進行や医療費高騰を背景に、医療へのアクセスと質を高め、国民の負担を軽減するこ
とを目的としている。
 医療支出を40億ドルから今後5年間で倍の80億ドルに増加させる方針で、以下のような
政策目標を掲げている。
 医療のキャパシティ拡大
 医療関係従事者(医者、看護師など)を2020年までに20,000人、50%増加させ、
外国からも採用する。
 2020年までに公立病院の緊急用ベッドを1900床増加(30%増)
 2020年までに地域病院のベッドを1800床増加(100%増)
 2013年から2015年にかけて老人ホームのベッド数を560床増加
 二つの総合病院( Sengkang、Jurong)を設立、に4つの地域病院( Yishun、Juron、
Outram、Sengkang)を設立予定
 国民の負担の軽減
 高齢化社会に向けて中長期的医療サービス(Intermediate and Long-term
Care:ILTC) の拡充を目指す。在宅医療等に対して補助金を増加させる
 メディセーブ、メディファンドの拡充
出所)Singapore Ministry of Health ウェブサイトおよびMOHHウェブサイト
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調査結果補足
<シンガポールにおける工業製品に関する規制・認証>
 SPRING(Standards, Productivity, and Innovation Board)
Singapore(規格生産性革新庁)
概要
 貿易産業省の下位機関で、1996年に設立された生産性基準審議会(Productivity and Standards
Board:PSB)を基に、2002年4月にSPRING Singaporeに改名
 生産性を高め、シンガポールの競争力と経済成長力を向上させ、国民によりよい生活の質を提供す
ることを使命とし、「生産性と革新」、「標準と品質」、「中小企業(SME)と国内部門」の3分野に焦点
をあてている
活動内容
 「生産性と革新」の主要分野は、優良ビジネス、イノベーション、優秀な人材、優良サービス。
世界レベルの標準を達成する企業の支援、イノベーション・クラス(I-Class)プログラムによる、イノベ
ーション能力の達成・維持の評価ツールや全体論的アプローチの提供、人材開発者・産業能力向上
プログラムの提供などを行っている
 「標準と品質」においては、①国際標準に適合するシンガポール標準の開発、促進を行う国の標準化
団体、また、②適合性評価機関を認定する国の機関、③測定のための国際基準を提供する国の測
定機関、④シンガポール製品の安全性を保証するシンガポール消費者保護(安全要求事項)規定ス
キームを実施する安全機関、として活動している
 「中小企業(SME)と国内部門」において、国内部門のイノベーションと中小企業(SME)の地位向上を
促進する主導的機関として、現地企業融資スキーム(LEFS)や現地企業技術支援スキーム(LETAS)
を運営し、国内産業の発展を支援している
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出所)SPRING WEBページ
調査結果補足
<シンガポールにおける工業製品に関する規制・認証>
 SPRING(Standards, Productivity, and Innovation Board) Singapore
(規格生産性革新庁)
活動内容詳細
 シンガポール規格(Singapore Standards : SS)の開発、実施は、生物医学、建築、化学、電気・電子、
エネルギー、環境、食品、一般工学、情報技術、経営システム、シルバー産業といった11分野の規格
委員会を配下に持つ規格協議会(Standards Council)の助言の下で推進
 規格協議会(Standards Council)のメンバーは、ISOやIECの委員会に参加
 材料、製品システムやプロセス、行動規範、テスト方法、用語、ガイドなど、機能的・技術的要件をまと
めたシンガポール規格(SS)や、SS規格化前のテクニカルリファレンス(TR)をWebサイトで提供する他、
国際標準規格であるISO規格、IEC規格も提供
 SPRING Singaporeが支援するSAC(Singapore Accreditation Council)が国家機関として、シンガポ
ールの適合性評価機関(CAB)の認定を実施
 SACの認定を受ける適合性評価機関(CAB)については、①化学、生物、環境、医療、医療用画像処
理、非破壊検査、土木、機械工学などに関する試験を実施する試験所、②工業用圧力容器や昇降
装置、構造鉄骨、自動車、貨物検査などの検査を行う検査機関、③各種マネジメントシステム、製品
といった多岐に亘る分野に関する認証を行う認証機関。
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出所)SPRING WEBページ
調査結果補足
<シンガポールにおける工業製品に関する規制・認証>
 SPRING(Standards, Productivity, and Innovation Board) Singapore
(規格生産性革新庁)
活動内容詳細
 SPRINGは安全当局(Safety Authority)として、消費者保護(安全要求事項)規定スキーム(
Consumer Protection (Safety Requirements) Registration(CPS) Scheme)を運営
 当スキームの下、シンガポールで販売される家庭用の電気・電子機器、ガス機器、付属品などの45カ
テゴリーにおいて、製品の安全基準適合が保証される
 企業は、登録サプライヤー(Registered Supplier:RS)として安全当局へ登録を行い、適合性評価機
関(CAB)により、製品の安全基準適合の認証を受ける。その後、RSは認証製品を安全当局に登録
する。登録製品は、8桁の登録番号を記したSafety Markを必ずマークしなければならない。
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出所)SPRING WEBページ
調査結果補足
<シンガポールにおける工業製品に関する規制・認証>
 SPRING(Standards, Productivity, and Innovation Board、規格・生産性・革新庁)
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出所)SPRING WEBページ
調査結果補足
<シンガポールにおける工業製品に関する規制・認証>
 SPRING(Standards, Productivity, and Innovation Board、規格・生産性・革新庁)
11の Standards Council の活動を支援
1. Biomedical Standards Committee (BMSC)
2. Building and Construction Standards Committee (BCSC)
3. Chemical Standards Committee (CSC)
4. Electrical and Electronic Standards Committee (EESC)
5. Energy Standards Committee (ENSC)
6. Environment Standards Committee (EVSC)
7. Food Standards Committee (FSC)
8. General Engineering and Safety Standards Committee (GESSC)
9. Information Technology Standards Committee (ITSC)
10.Management System Standards Committee (MSSC)
11.Silver Industry Standards Committee (SISC)
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出所)SPRING WEBページ
調査結果
<シンガポール調査結果まとめ>
 高齢化を背景に国として「Healthcare 2020」計画を策定し、医療・ヘルスケアの
高度化を進めている。公立病院はロボットの活用に医療・介護の高度化の面でも
業務効率化の面でも関心を持っている。基準・認証の考え方にはEUの影響が見ら
れるがロボットについて確立されたものはない。
観点
示唆事項
国としての
取り組み
• 高齢化の進展を背景に、2012年3月に国としての計画である「ヘルスケア2020」を発表し、医
療・介護の新たなあり方を構築している。
• 中核的な公立病院において、リハビリや医療・介護の高度化に取り組んでいる。
市場
• 先進的なリハビリプログラムの開発・実証に取り組んでおり、ロボットなどの新技術の活用
に関心がある。
• スタッフの腰痛や、ケアワーカーが今後不足してくるといった問題を感じており、移乗支援へ
のニーズがある。使い勝手、安全性、保守性、コストを重視している。
• 公立病院は、業務効率化に関心が高い。人は人ができることに注力すべきとの方針であり、
院内搬送ロボットなどへのニーズがある。
規格・認証
• 医療機器か否かによって扱いが異なる。医療機器に相当する場合HSAの認証が必要であ
る。医療機器でない場合、工業製品の安全規格に対応する認証が求められる場合がある。
• 医療機器かどうかは、HSAが判断する。生活支援ロボットに対する明確な基準は不在であ
るが、医療機器の分類はEUと同様のものとなっている。
• R&D段階のロボットを実証する場合は、各病院の倫理審査委員会を通れば良い。倫理審査
委員会が、HSAを通すべきかどうか判断する。
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