Comments
Description
Transcript
第1学年 美術科学習指導案
第1学年 美術科学習指導案 平成25年12月2日(月) 指導者 1・題材名 安陪 幸恵 アートカルタをつくろう!(鳥取県立博物館連携授業) 2・題材の目標 ○博物館の作品に触れ、鳥取県の美術作品や作家に興味を持つ。 〈関心・意欲・態度〉 ○自分の見方や作品から発想したことを言語活用して他者に伝える。〈発想と構想の能力〉 3・本時の指導 (1)問題 生徒たちは、何か作品を見ると何かしら思考している。しかし、発表させると考えがまとまらなかっ たり、どのような言葉を使って他者に伝えればよいか困る場面が多い。最後には、言葉途中で発表を終 えてしまうこともある。心の中で感じたり頭の中で思考したことを他者に伝える方法の一案として今 回の授業を設定。 (2)リサーチ・クエッション ①鑑賞の学習を生徒主導として意欲的に学べる方法は? ②「発想と構想の能力」も意識した鑑賞の学習は? →活動 →イメージの言語化 (3)仮説 アートカルタの読み札を既成のものを使わず、自分たちで考案してみる。その後、他者の作成した ものと見比べることでさまざまな発想があることや自分の考えたことを分かりやすく誰かに伝える には、イメージを具体的な言葉に置き換えなければならないことに気づくのではないか。 (4)検証方法 ワークシート 録画記録(個人分析) 4・本時のねらい ○絵札から感じたものを言葉に置き換えてつくることができる。 〈発想と構想の能力〉 5・本時の評価規準【評価B】 ①絵札を見ながら、イメージを言語化しようとしている。〈関心・意欲・態度〕 (観察) ②絵札から読み取れる情報(形・色・光・材料)をもとにイメージしたものを言語化できる。 〈発想と構想の能力〉 (ワークシート) とっとり美術 No.30 22 6・本時の学習過程 学習活動 ○主な発問 ・指導上の留意点 ・予想される生徒の反応 ●評価【方法】*手立て 1・前時の振り返り ○前時は、博物館の作品をアートカルタで見ま ・図版を活用することで視覚的 と本時の目標確認。 した。印象に残っている作品がありますか? にも復習をする。 導 ・長い長い行列 入 ○この時間は、前回見ていない抽象作品を見て 読み札を作ります。 絵札からイメージしたものを言葉で表そう。 1・絵札のイメージを ○例えば『長い長い行列』の読み札は「ミュ ・既習済みの作品で練習をする 言語化する方法を知 ージアム 超人気」とな ことで具体的に何をすればよい る。 っています。読み札を作った人は、作品のど か見通しが持てるようにする。 こからこの読み札を思いついたのだろう。 ・ワークシートを活用すること ・見える情報→読み札作成 でイメージを言語化、まとめや こんなふうに並ぶ 展 すくする。 開 2・具象作品の絵札か ○『漁り火の見える夕景』を見て思い浮かん ●絵札からイメージした言語を ら読み札を作る。 だイメージを言葉にしてみよう。 見えない部分からも発想して書 (個人→ペア) ・見える情報→読み札作成 き出している。〈発想・構想力〉 ・感情や雰囲気などの見えない情報 〔評価A〕【ワークシート】 →読み札作成 *イメージができない場合は、 ○隣同士でどんなのを作ったか伝え合おう。 見える情報から具体的な言葉を 引き出す。 DREAM 91−7(Blu ・作者が何を表現したかったの 3・抽象作品の絵札か ○『DAY ら読み札を作る。 e)』を見て思う浮かんだイメージを言葉に かを想像させ、見えない情報か (個人→ペア) してみよう。 らの言葉を引き出したい。 →読み札作成 ○隣同士で作った読み札に説明を加えなが ら伝え合おう。 4・抽象作品の作った ○他の人は同じ絵札でどのようなイメージ ・人それぞれイメージするもの 読み札を伝え合う。 を発想したのか比べ合ってみよう。 は自分の生活体験や思想がもと (全体) ・それぞれの読み札がイメージと結びついて になっていることに気付かせた いる。 い。正解はなく、人の心の動き や考えそれぞれがおもしろく、 言葉を使って伝える方法は誰も ま が分かりやすくて、有効な方法 と であることを押さえる。 め 5・振り返りをする。 ○今日の目標だった「絵札からイメージした ものを言葉に表す」ことができましたか? 振り返りを書きましょう。 とっとり美術 No.30 23 アートカルタをつくろう! 1年( ☆イメージを言葉にしよう。 (具象) )組 氏名( ) ☆イメージを言葉にしよう。(抽象) ・ ・ ・ ・ ・ ・ 《学習の振り返り》 1 2 カルタとりでは、絵札と読み札のつながりを意識しながら意欲的に 活動できた。 はい・いいえ 絵札を見て発想(イメージ)したものを言葉で表すことができた。 はい・いいえ 3 4 『カルタの読み札』を意識して、キーワードで読み札をつくること ができた はい・いいえ 自分がつくった読み札の説明がとなりの人に説明できた。 はい・いいえ 5 6 友だちのつくった読み札の説明に対する、自分なりのコメントがで きた。 はい・いいえ 県立博物館所蔵作品がだいたい分かった。 はい・いいえ とっとり美術 No.30 24 第2学年4組 美術科学習指導案 平成25年11月27日(水)5限 場所 2F 美術室 授業者 田中 信之 1 題材名 「絵を言葉に、言葉を絵に」 B鑑賞(1)ア 2 題材について ○題材観 中学校学習指導要領の第一学年の「B鑑賞」 (1)アにおいては「造形的な美しさ、作者の心情や意図 と表現の工夫、美の機能性の調和、生活における美術の働き等を感じ取り、作品などに対する思いや考 えを説明し合うなどして、対象の見方や感じ方を広げること」とある。しかし、実際に作品に対してど う感じたか生徒に聞くと、似ている事が良し悪しの見方の基準となり、画家のメッセージや作品に対す る思いを読み取ることが苦手で、例えば抽象的な絵画作品では「分からない」で終わる。作品に対する 感想を言葉にすることがなかなかできない。特に印象派以後の作品には似ている事が重要ではなく、画 家の心情や意図、あるいは表現の工夫を絵に込めて描いている作品が多い。鑑賞するということは絵画 作品に込められた画家のメッセージを読み取り、絵を身近に感じたりすることで、自分の感性を磨くこ とである。そのため鑑賞する力を育てることは大切であると考え、本題材を設定した。 ○指導観 本題材では、生徒自身が絵画作品を自らの視点を持って鑑賞するとともに、他者の感じ方なども理解 しながら作品に対する新たな価値などに気づき、深く味わうものである。その手法として絵画鑑賞によ る言語活動を活用することにした。つまり自分たちの言葉で絵を表現し、友だちの言葉を通して絵を想 像し表現する活動とした。 美術科では中学校入学時より3年計画で表現と鑑賞について取り組んできた。本題材は前題材・ 「名画 にチャレンジ」 (模写)の授業を受け、画家調べを含めた短時間の題材として取り組むものである。 授業は班を2つに分け、それぞれ異なる2枚の絵画を鑑賞し、描かれている内容と自分たちの感想を 言葉で記述する「絵を言葉に」と、その言葉をもとにもう一グループが絵画を想像して表現する「言葉 を絵に」の2つの活動を行う。説明する言葉は①描かれている具体的なこと(色や形/表現方法)、②そ れらから自分が感じたこと(描かれている人物の感情や色や形から受けるイメージ) 、の2つである。鑑 賞に言語活動を取り入れることで生徒自身が明確な視点をもって絵を読み取り、他者へ伝わるような言 葉を考えるようにさせたい。最後に全体の前で想像して描いた絵と元の絵を比べ、作品の造形的特徴(色 や形)やイメージを表現できた言葉など、積極的に鑑賞する態度を育てたい。 ○生徒観 本学級は静かに作業をすることは好きでコツコツと取り組むが、指示以上の作業は苦手である。特に イメージを膨らませたり、新しいものを創造する力が弱い。本題材を通して言語活動を行い、遊び的な 要素を取り入れながら、積極的に取り組む姿勢や創造する力を身につけさせたい。 3 題材の目標 ◎意欲的に作品に関心を持ち、積極的に鑑賞しようとする。 ・・・・・・・・ 【関心・意欲・態度】 ◎作品から感じ取った自分の考えや意図を相手に分かりやすく説明をする。 他者の説明や感じ方から絵を想像する。 ・・・・・・・・・・ 【発想・構想】 ◎言葉を通じてイメージを広げ、作品を想像しながら描く。 ・・・・・・・・・ 【 技能 】 ◎絵画の造形的なよさや美しさ、画家の心情や意図と表現の工夫など関心を持ち、主体的に感じ取る。 ・・・・・・・・ 【 鑑賞 】 とっとり美術 No.30 25 ※言語活動を通して他者と意見を交換して,イメージを整理したり,多様な価値に気付いたりする。 ・・・・・【題材で貫く言語活動】 4 評価の規準 5 美術への関心・意欲 発想や構想の能力 創造的な技能 鑑賞の能力 想像したことなどを言語 や絵に表現することに関 心を持ち、主体的に生み 出そうとしている。 対 象 か ら 感 じ 取 っ た 感性を働かせ、見通しを イメージを膨らませ、 持ちながら、創意工夫し 創 造 的 に 構 成 を 工 夫 て表現している。 している。 作品のイメージや画家 の意図などを感じ取り、 自分の価値観を持って 味わっている。 学習計画 ※前題材名「名画にチャレンジ(模写)」(10時間) ◎資料集の中から作品を選び、方眼の線を使って、作品の良さを感じ取りながら正確に模写する。 ○題材名「絵を言葉に、言葉を絵に」(4時間) ○画家とその生きた時代を調べる (図書室) ・・・・・(1時間) ○絵を言葉に(模写作品) (図書室) ・・・・・(1時間) ○言葉を絵に(言葉の発表会で絵を想像する)(美術室) ・・・・・(1時間) ○絵を言葉に、言葉を絵に (美術室) ・・・・・(1時間) 本時 6 本時目標 ◎作品から感じ取った自分の考えや意図を相手に分かりやすく説明をする。 他者の説明や感じ方から絵を想像する。 ・・・・・・・・・・ 【発想・構想】 ◎言葉を通じてイメージを広げ、作品を想像しながら描く。 ・・・・・・・・・ 【 技能 】 ※言語活動を通して他者と意見を交換して,イメージを整理したり,多様な価値に気付いたりする。 ・・・・・【題材で貫く言語活動】 7 準備物 長机6 作品A(岡本太郎作)6セット 作品B(シャガール作)6セット A4画用紙12枚 班活動用ワークシート12枚 振り返りシート 作品C(松本俊介) 「調べ学習(松本俊介)」 作品D(シャガールの自画像)とシャガールの写真 8 クレヨン12セット 作品E(太陽の塔)と岡本太郎の写真 学習過程 学習活動 導入 6分 1・前時の確認 伝える言葉について ○松本俊介の「立てる像」 ○前時の生徒作品から ○主な発問 ・予想される生徒の反応等 ・留意点 ○評価および※手立て ※教師が作品Cをもとに①具体的 ○どんな事柄を伝えると分か な事柄②自分の感想やイメージ りやすいか を話す ・描かれているもの ○参考作品をもとに①と②につい ・色や形、大きさ 季節や天候 て自分の言葉で考えることがで きる ・本時の活動をしっかりと理解させ る 2・本時の確認 ○相手に分かるように作品を ※簡単に活動内容を実演する ・班を2つに分け、教室の 説明したり、言葉から作品を ・配られた資料を見せないようにす 左右に分けて座る。 想像して絵を描く る。 ・それぞれワークシートと ○見た作品を言葉で相手に伝え ・元の位置と長机に分かれる。 作品AとBを受け取る。 たり、書かれた言葉から絵を とっとり美術 No.30 26 ( ) 想像して描いたりすること で、美術に必要な言葉の力を 高める学習をします。 展開①︵ 10分︶ 作品を明確な視点をもって読み取り、言葉で説明する。 3・班ごとに1枚の絵を鑑 ・作品について鑑賞して話し合 ○作品から造形的なよさや美しさ、 賞し、描かれている内容 い、①具体的な事柄、②感想 作者の心情や意図と表現の工夫 をワークシートに言葉で やイメージを言葉にする。 など、主体的に感じ取ろうとして 記述する。 ※班員に伝わるように工夫する いる。 ※10項目を埋めるように考え ○相手に伝わるように言葉を考え る。 る[美術への関心・意欲・態度] ・マンガみたい [発想・構想] (発言内容) ・空を飛んでいる ・書き方が分からない班には、描か ・チャックがある れている事柄に注目させる。 ・画家の気持ちになって考える。 4・ワークシートを交換す ○シートを交換し、言葉をもと る。 に班で話し合い、もとの絵を 想像して絵を描こう。 ・説明文と共に作品AとBを集め る。 展開② 10分 説明文を読み取り、作品を想像しながら描く。 5・班で話し合い協力して、 書かれた言葉をもとに作 品を想像して描く。 ※特に参考とする項目にし るしをつける ○絵を制作するのに特に参考に ○書かれた説明文から作品を想像 なりそうな言葉を考える。 し、絵を描く。 ・描いてあるもの [発想・構想](会話や画用紙) ・形、色彩、材料、大きさ [技能](会話や画用紙) ・全体のイメージ ※描き方が分からない生徒に対し ○着色の材料を考える てはまず説明の事実のみに着目 ・色鉛筆/クレヨン/ポスカ して描くようにさせる。 ( ) ○作品と絵を見比べてみよう。 作品と制作した絵と見比べて、言葉での伝達について考える。 展開③ 1 6 分 6・発表 作品を知り、制作した絵 と比べる。 ・上手く表現できたところ を見つける。 ・参考になった言葉を確認 する。 ※岡本太郎 ※シャガール ※作品を伝えるには、何をポイ ・各班の絵とワークシートを見比べ ントにすればよいだろう? ながら、言葉がどれだけ伝達でき ・形、色彩、材料 たか確認する。 ・全体のイメージ ・他者の言葉から人はどんなイメー ○絵を言葉で伝えることについ ジを持ったか理解する。 て考える。 ○意欲的に作品に関心を持ち、積極 ○自分の感性を大切にしながら 的に鑑賞しようとする。 人の感じ方を理解する。 [鑑賞の能力] (生徒の様子) ( ) まとめ︵ 8分︶ 7・作品と画家について説 ※シャガールの自画像から写実的 明を聞く。 な力があったことを理解させる。 ・シャガールについて ※シャガールも岡本太郎も時代 ※作品をもとに岡本太郎の生きた ・岡本太郎について と合わせながら作品を理解す 時代について理解させる。 8・エピソードを聞き、絵 る。 に表現できているか鑑賞 ・似せるだけが「上手」ではな する。 いことを理解する。 作品A(岡本太郎作 1950年 とっとり美術 No.30 27 「森の掟」) 作品B(マルク・シャガール 1915年 「誕生日」 9 教室計画 1班から6班の班員(5∼6名) を2つに分けて展開①と展開② を行う。 班の1グループは机を使って、も うひとつのグループは折りたた みの長机を使う。 10 板書計画 絵を言葉に、言葉を絵に 目標1 練習 目標2 絵の内容を伝えるための、分かりやすい言葉を考える 作品 作品Cの説明 ○画面中央に赤の大きなチャックがついた怪獣 ワークシート C ①具体的な事項 事実 ②自分の感想 [言葉]をもとに絵を想像して描こう 上から・中央に 季節は・時間は 印章的なことは 心に残ったことは ○木の穴の中には生物 ○海パンの男と紅白のネコが飛んでいる ○飛んでグニャグニャの人 ○赤いじゅうたん ○人がふわふわしている 感じ取ったこと ② まとめ 絵を言葉に、言葉を絵に 岡本太郎 「森の掟」 目標2 [言葉]をもとに絵を想像して描こう ○画面中央に赤の大きなチャックがついた怪獣 ○木の穴の中には生物 ○海パンの男と紅白のネコが飛んでいる ○飛んでグニャグニャの人 ○赤いじゅうたん ○人がふわふわしている 最初に岡本太郎を描いたグルー プの発表。その後にシャガール とっとり美術 No.30 28 ワークシート ( )班 絵を言葉に、言葉を絵に メンバー【 事実《具体的なこと》 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ イメージ《作品から感じたこと》 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ とっとり美術 No.30 29 】 「絵を言葉に、言葉を絵に」 ○作品を見て①具体的な事 ○作品を見て②感じたこと・思ったこと 授業の感想 とっとり美術 No.30 30 2年 組:氏名 第1学年4組美術科学習指導案 平成25年 11月1 5 日(金)5 校時 場 所 美 術 室 1年4組 男子1 6 名 女子1 2名 指 導 者 濱 野 剛 1 題材名 コップ を 描く(素描 ) 2 題材に つて この題材 は絵画の 基 礎として 取 り扱って い るものであ る。 紙コ ッ プを 2 回描く ことによ って絵の変化を自分の目で見ることができる。小学校で対象物をじっくり観察して描く体 験は少ない ようで 、1 回 目は割合短 時間で描 き あげてしま う生徒が 多 い 。紙コ ップの形 は楕 円と直線との組み合わせで容易に描くことができるが、白い紙コップを白い画用紙に描く ため陰の付け方がわからない生徒が多い。描き終わった感想を聞くと「形が難しかった」 と「陰がうまく描けない」というものがほとんどである。そのため形の取り方、影のつけ 方を学習す ることに よ り 2 回 目はか なり変化 が見られる 。大半の 生 徒が 上達し たように 見 え、少しの 達成感と 、 少しの自信 につなが る 題材である と考える 。 毎年、入学後最初の授業でアンケートをとる。絵を描くことは「好きですか」「嫌いで すか」という問に対し、多い年では半数以上の生徒が「嫌い」または「苦手」と応えるこ とがある。理由を尋ねると「自分は絵が下手」「うまく描けない」「下書きはいいが色を 塗ると失敗する」という理由は様々であるが、この感覚を取り除くことが大切なことだと 強く感じている。本来絵画の表現は自由で良いと考えているが、描き方がわからないから 描けないという生徒が描くポイントを学習することにより、絵に変化が現れ、それを確認 することが 出来れば 少 しでも感覚 は変わっ て くるはずで ある。 紙コ ップを描 く ためにグラ デーショ ン 、楕円の書 き方、円柱 の影のつけ 方を練習 す る。2 回 目 に 描 く と き は 、1 回 目 よ り 丁 寧 に 形 を見よ う と し た り 、 描 かなか っ た 陰 を 丁 寧 に 描 こ う と す る た め 少 し 長い時 間 が 必 要 と な る 。しか し 、 こ れ ら を 学 習し、 自 分 や 級 友 の 絵 の 変 化 を 見 る こ で 、 こ れまで 絵 を 描 く こ と に 抵抗感 を 持 っ て い た 生 徒たち の 苦 手 意 識 が 少 し で も軽減でき ればと考 え ている。 3 題材の 目標 ・円柱の陰 の付け方 を 理解し、意 欲的に学 習 に取り組む こ とがで き る。 (関心・意 欲・態度 ) ・前時にお こなった 形 の描き方を 使い、配 布 したプリン トの円柱 を 書き写すこ とが出来 る。 (創造的な 技能) ・ハッ チングを 使 い、面を意 識しなが ら 線を重ね、 陰影を着 け ることが出 来る。 (創造的な 技能・発 想 や構想の能 力) 4 学習計 画 (1)グラ デーショ ン 用の枠 の作 成。 ・・ 1時間 (2)鉛筆 を使った 明 暗のグラデ ーション を 理解し、塗 りと ハッチング の2種類 作 成する。 ・・ 1 時間 (3)立方 体を描き 、 グラデーシ ョンを元 に 塗り 分けを 行う。 ・ ・1時間 (4)コッ プを描く 。 形の描き方 を知り、 練 習する。 ・ ・1時間 (5)陰の 付け方を 知 り、円柱を 使って練 習 する 。 ・・1 時 間(本時) (6)紙コ ップ2回 目 を描く。 ・・ 1時間 とっとり美術 No.30 31 5 本時の 学習にお け る評価規 準 【関心・意 欲・態度 】 B(おおむ ね満足で き る) A(十分 満足でき る)と判断した 具体的な 状 況 Bに達しな い生徒へ の 手だて 作業に意欲 的に取り 組 んでいる。 ○作業に進 んで取り 組 み、周囲をリ ードして いる。 ○机間指導 を行い。周 囲の協力や 教師の支 援 で製作に取 り組ませ る 。 【発想や構 想の能力 】 B(おおむ ね満足で き る) A(十分 満足でき る)と判断した 具体的な 状 況 Bに達しな い生徒へ の 手だて 陰の付け方 など全体 の バランスを ○プリント をよく見 て 、濃淡のバラ ンスを考 考えようと している 。 えることが できる。 ○濃淡のバ ランスに な かなか目が いかない ので個別指 導を行う 。 【創造的な 技能】 B(おおむ ね満足で き る) A(十分 満足でき る)と判断した 具体的な 状 況 Bに達しな い生徒へ の 手だて グラデーシ ョン(ハッ チング)を使 ○グラデー ションを も とにして、濃 淡のバラ 用し、濃淡 のバラ ンスを 考え 描いて ンスを考え 、製作を 進 めることが できる。 いる。 ○ハッチン グによる 陰 の つけ方、濃 淡の具合 など机間指 導や個別 指 導を行う。 6 学習課 程 学習内 容・学習 活 動 1 前時ま での学習 内 容を 確認する。 意 図 及 び 留 意 点 評 価 教師の説明 をしっか り聞くこと ができる 。 (観 ・楕 円の描き 方 とっとり美術 No.30 32 察) 3 円柱に 影のつい た プ リ ・目で 確認でき るものを 準備 ントを配布 する。 。 意欲的に 制作に取 り くむことが できる 。 (観 察・作品 ) ・楕円の 書き方を 思 いだ し、それに 直線を加 え 、 円柱を描く 。 ・円柱は プリント に 描い ・同じ 大きさの 方が描き 写し てあるもの とほほ同 じ 大 やすくなる 。 きさを意識 させる。 ・グラデ ーション は ハッ ・同じ グラデー ションで もハ チングを使 用する。 ッチングだ と線によ り 面を 意識させる ことがで き る。 全体の陰影 のバラ ンス をとりなが ら 、八ッ チ ングを使い 円柱に陰 を 付 ける。 4 生徒全 体にある 程 度陰 ・制作 途中で他 の作品を 見る 意欲的に 制作に取 り が付いたら 、1分程 度お 互 ことは、お互い の制作意 欲を 組むことが 出る。 いの作品を 見回せ合 う 。 高める効果 があると 考 える。 (観 察・作品 ) ・自分 の陰のつ け方のバ ラン スがどうな のか見る こ とが できる。 ・陰の濃さ に多少差 が あっ ても、全体の濃 淡のバラ ンス があってい れば良い こ とも アドバイス する。 本日の授 業のまと め 5 影のつ け方を理 解 し、プ リントに近 い状態の 円 柱 を描くこと が出来た か 確 認する。 〈参考〉 とっとり美術 No.30 33 教師の話 をしっか り 聞くことが できる 。 (観 察) 鳥取市立西中学校 第1学年2組 美術科 学習指導案 平成25年5月29日(水)5限 場所 1F 美術室 授業者 稲垣 彰浩 1 題材名 「絵を言葉に、言葉を絵に」 2 題材について B鑑賞(1)ア 小学校の鑑賞学習では、第1・第2学年で自分たちの作品や身近な材料などを楽しく見る活動。感じた ことを話したり、友人の話を聞いたりするなどして、形や色、表し方の面白さ、材料の感じに気づくこと。 第3・第4学年ではそれに加えて身近な美術作品や製作の過程などを鑑賞して、よさや面白さを感じ取る とともに、表し方や材料の感じの違いが分かるようになること。第5・第6学年ではさらに、我が国や諸 外国の親しみのある美術作品、暮らしの中の作品などを鑑賞し、話し合いなどをとおして表し方の変化、 表現の意図や特徴をとらえることを学習する。中学校学習指導要領 美術 第1学年「B鑑賞」 (1)アに おいては、 「造形的な美しさ、作者の心情や意図と表現の工夫、美と機能性の調和、生活における美術の働 きなどを感じ取り、作品などに対する思いや考えを説明し合うなどして、対象の見方や感じ方を広げるこ と。」と示しており、作品の鑑賞においては造形的な美しさ、作者の心情や意図、表現の工夫に重点をおい て指導を行う。特に作品に描かれた形や色彩が作品全体にどのような効果をもたらしているかを考える活 動は今後の学習に大きく関わるため、確実に定着をさせたい。本題材では、生徒が絵画作品をきちんと視 点を持った上で鑑賞し、他者の感じ方なども理解しながら作品に対する新たな価値などに気づき深く味わ うために言葉や絵による言語活動を活用することにした。 5月のはじめに生徒に対しておこなったアンケートでは、小学校時に友人の作品を鑑賞して、意見を言 ったり、話し合ったりした経験があると答えた生徒は76%、日本や外国の作品を見て、意見を言ったり 話し合ったりした経験があると答えた生徒は46%であった。我が国や諸外国の親しみのある美術作品を 鑑賞すること。また、鑑賞した作品から感じたことや思ったことを話したり、友人と話し合ったりするな どして、表し方の変化、表現の意図や特徴をとらえる活動を十分に経験していない生徒がいることも想定 される。事前の学習では、表現活動「目の素描」において〔共通事項〕のポイントである、形の性質とそ れがもたらす感情、また、 「着色の基本」では色彩の性質とそれらがもたらす感情について基本的な学習を した。2種類の学習により自分のイメージを表現するために形や色彩の微妙な表現の工夫が自己の表現に 結びつくことを学んでいる。 指導については、異なる絵画を班ごとに鑑賞し、描かれている内容を言葉で記述する。絵画作品を言葉 で説明することにより生徒に明確な視点をもって絵を読み取らせたい。そのために、単に描かれている事 実のみを列記するだけの活動にならないように、 「事実」と「感じ取ったこと」を区別して記入するように 指示し、形や色彩、描き方に見られる事実を根拠にして作品イメージにつなげていくことで思考を深める。 次に記述した文を他の班と交換し、造形的特徴が記入された文を基に一人一人がもとの絵画を想像して色 鉛筆で描く。この活動においても「事実」と「感じ取ったこと」を整理しながら描かせていくことでより 深い思考につなげる。最後にクラス全員で、各自の絵、班ごとにまとめた文を見ながら、作品の造形的特 徴やイメージを的確に表現できた言葉について話し合い、美術における思考力や判断力につながる表現の 力を高める。 3 題材の目標 絵画の造形的なよさや美しさ、作者の心情や意図と表現の工夫などに関心を持つとともに、それらを感 じ取り、作品などに対する思いや考えを説明し合うなどして見方や感じ方を広げる。 4 題材の評価規準 美術への関心・意欲・態度 造形的なよさや美しさ、作者の心情や意図と表現 の工夫などに関心をもち、主体的に感じ取ろうとし ている。 とっとり美術 No.30 34 鑑賞の能力 造形的なよさや美しさ、対象のイメージ、作者の 心情や意図と表現の工夫、主題と表現技法の選択や 材料の生かし方などを感じ取り、自分の思いや考え をもって味わっている。 5 指導と評価の計画(全1時間) (1)本時の指導と評価 (題材名 第1学年「絵を言葉に、言葉を絵に」) ○主な発問 学習活動 ・予想される生徒の反応等 ・留意点 ○評価および※手立て ・ 教師が2種類の絵(ゴッホ 「星月夜」、キリコ「街の神 秘と憂鬱」)を3枚ずつ用意 し、前方の3班にゴッホ、後 方の3班にキリコの絵を渡 す。配られた絵画を他の班に 見せないようにする。 1 事前準備 ・6つの班に分かれ、教室前方 に3つの班、後方に3つの班 が分かれて座る。 導入︵10分︶ 配られた絵画を言葉で表 ○ 見た作品を言葉で相手に伝 ・ 活動の簡単な実演をするこ えたり、書かれた言葉から絵を とで学習に対する関心・意欲 すことを知り、学習に関心を 想像して描いたりすることで、 を高める。 持つ。 美術に必要な言葉の力を高め ※ 特別な支援を要する生徒 ※ 実演を基に学習のイメー る学習をします。 については、事前に学級で同 ジを持つ(「美術資料」P19) 絵画の内容を、分かりやすい言 様の活動を体験させておく。 ○ 造形的なよさや美しさ、作 葉で伝えることが目標です。 者の心情や意図と表現の工 ○ 最初に練習をしてみよう。 夫などに関心をもち、主体的 ・真ん中にジグザクの黒い線 に感じ取ろうとしている。 ・黒線の両脇に赤い半円形 [美術への関心・意欲・態度] ・黒線の上には灰色の雲が重な (発言内容) る ・カラフルで楽しい感じ 2 絵画作品を明確な視点をもって読み取り、言葉で説明する。 3 展開①︵15分︶ 班ごとに1枚の絵画を鑑 賞し、描かれている内容を言 葉で記述する(班で1つにま とめる)。 とっとり美術 No.30 35 ◎ 班ごとに配布した作品を、互 いの班が見えないように鑑賞 し、描かれている内容が相手に 伝わるように考えて10文以 内の文にまとめます。 ○ 事実には「○」、感じ取った ことには「●」を分類の枠に記 入します。 〔ゴッホ「星月夜」の場合〕 ・空の中央に渦巻きの風みたい なものがある ・夜で絵全体は青みがかって暗 い ・色や描き方が、すこし怖い感 じ ・ 各文の最後に発言者の出席 番号を記入させる ○ 造形的なよさや美しさ、対 象のイメージ、作者の心情や 意図と表現の工夫、主題と表 現技法の選択や材料の生か し方などを感じ取り、自分の 思いや考えをもって味わっ ている。[鑑賞の能力](ワー クシート) 展開②︵15分︶ 記述文を前後の班で交換 し、もらった班は、書かれて いる内容を基に絵画の情景 を想像して絵を描く(絵は一 人一人が描く)。 ○ 基になった絵画、文、各自 が描いた絵を見比べてクラ ス全体で鑑賞する。 ・ 造形的なよさや美しさ、作 者の心情や意図と表現の 工夫などを感じ取り味わ う。 ○ 4 まとめ︵15分︶ 5 記入した文を相手の班と交 換します。書かれた文をもとに 各自がもとの絵を想像して色 鉛筆を使って絵に描こう。 文を記入したワークシート を見て、作品を的確に表現して いる文に印をつけよう。 ○ 作品の美しさを伝えるには、 何をポイントにして話せばよ いだろう? ・描いてあるもの ・形、色彩、材料 ・全体のイメージ ※ 描き方が分からない生徒 に対してはまず事実のみに 着目して描くように促す。 ・ クラス全員で、各自の絵、 班ごとにまとめた文を見な がら、名画についてよさや美 しさ、作者の意図や表現工夫 などを話し合い見方を広げ る。 (2)準備物 【教師】A3判でプリントした絵画作品(ゴッホ「星月夜」、キリコ「街の神秘と憂鬱」)各3枚、班活動 用ワークシート6枚、個人用ワークシート31枚 【生徒】筆記用具、教科書、色鉛筆 (3)板書計画 ① 導入 目標 絵 絵の内容を伝えるための、分かりやすい言葉を考える 言葉 ○真ん中にジグザクの黒い線 ○黒線の両脇に赤い半円形 事実 ○それぞれの半円形から4本の青線が放射状に伸びる ○黒線の上には灰色の雲が重なる ●全体が原色で描かれ、はっきりした印象 ●機械的で硬い感じ 感じ取ったこと ●カラフルで楽しい感じ ② まとめ 目標 絵の内容を伝えるための、分かりやすい言葉を考える ○画面右に明るい三日月が光っている ○画面左側には太い木が1本ある ○空の中央に渦巻きの風みたいなものがある ○空には大きくて明るい星がたくさんある ○夜で絵全体は青みがかって暗い ●色や描き方が、すこし怖い感じ ●優しく包み込むような感じ ●ヨーロッパみたいな雰囲気 とっとり美術 No.30 36 形 色 イメージ 「絵を言葉に、言葉を絵に」ワークシート (班で記入) 作品に描かれている内容を、なるべく分かりやすい言葉で相手の班に伝える。 (分類: ○…事実、●…感じ取ったこと) 〔 班〕 分類 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 とっとり美術 No.30 37 相手の班に伝える内容 「絵を言葉に、言葉を絵に」ワークシート 年 1 組 (個人で記入) 番(氏名) 相手の班が書いた文をヒントに、作品を想像して色鉛筆で描く。 作品がよこがきの時はこちらを下にして描く 2 作品の特徴を分かりやすく相手に伝えるためには、どんなことを伝えると よいですか? とっとり美術 No.30 38 鳥取県立博物館 夏休み企画展示「ランランらいん」 作品鑑賞レポート 年 組 番(氏名) (1)展示されている中で一番気に入った作品 作品名 作者 (2)作品の特徴(見て分かる特徴を「形」と「色」にわけてそれぞれ箇条書きでかく) 形 色 (3)作品に対する自分の意見(「形」や「色」の特徴から想像される作品全体のイメージ、自分が感 じたこと、作品に込められた作者の思いや願い、表現の工夫を考えて文章で表す) 評価ポイント:作品の形や色の特徴からイメージを導きだすことで、作者の考えや表現の工夫を感じ取 り、自分の思いや考えをもって味わうことができたか とっとり美術 No.30 39 やさしい 記入例 鳥取県立博物館 夏休み企画展示「ランランらいん」 作品鑑賞レポート (1)展示されている中で一番気に入った作品 博 物 館 で はペ ン が 使えません。鉛筆を 準備しましょう。 作品名 モナ・リザ 作者 レオナルド・ダ・ヴィンチ レオナルド・ダ・ヴィンチ 《モナ・リザ》 (2)作品の特徴(見て分かる特徴を「形」と「色」にわけてそれぞれ箇条書きでかく) 形 色 ・ やさしい顔をした女の人がこっちを見ている。 ・ 女の人ははおなかの上でかるく手をくんでいる。 ・ うしろの景色には大きな川や高い山、細い道、石でつくられた橋がある。 ・ 暗い色の服を着ている。 ・ 目の近くや首の部分の影が真っ黒 ・ 全体的にうす暗いかんじ 作品を見て分 かる事実を書 く。 (3)作品に対する自分の意見(「形」や「色」の特徴から想像される作品全体のイメージ、自分が感 じたこと、作品に込められた作者の思いや願い、表現の工夫を考えて文章で表す) あや レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」はちょっと怪し くておもしろい絵です。 にっこりした顔やふわっと重ねた手は、やさしい感じがし かげ かく ます。でも、真っ黒な影や暗い色の服は何かを隠しているよ あや えが うな怪しい感じがします。そして、うしろの景色に描かれた きび 細い道や高い山は、女の人が歩いてきた厳しい道に見えます。 さくしゃ きび きっと作者は、やさしく見える女の人の心の強さや厳しさ あや や怪しさを描きたかったんだと思いました。 作品の特徴をもと に考えたこと、思 ったことを書く。 評価ポイント:作品の形や色の特徴からイメージを導きだすことで、 作者の考えや表現の工夫を感じ取り、自分の思いや考えをもって味わうことができたか とっとり美術 No.30 40 ちょっと 難しい 記入例 鳥取県立博物館 夏休み企画展示「ランランらいん」 作品鑑賞レポート (1)展示されている中で一番気に入った作品 博 物 館 で はペ ン が 使えません。鉛筆を 準備しましょう。 作品名 モナ・リザ 作者 レオナルド・ダ・ヴィンチ レオナルド・ダ・ヴィンチ 《モナ・リザ》 (2)作品の特徴(見て分かる特徴を「形」と「色」にわけてそれぞれ箇条書きでかく) 形 色 ・ 斜めに座った長い黒髪の女性が、こちらを見てわずかにほほえんでいる。 ・ 女性はおなかの上(割と高い位置)で軽く手を組み、くつろいでいる。 ・ 人物の背景には大きな川、切り立った山々、細い道、石造りの橋が描かれている。 ・ 頭には黒いレースをかぶり、かすかに紫や緑が見える暗い色の服を着ている。 作品を見て分 ・ 全体が茶色・オレンジ色の光に包まれていて懐かしい印象がする。 かる事実を書 ・ 目元や首に真っ黒な影があり、顔の表情を強烈に印象づけている。 く。 (3)作品に対する自分の意見(「形」や「色」の特徴から想像される作品全体のイメージ、自分が感 じたこと、作品に込められた作者の思いや願い、表現の工夫を考えて文章で表す) あや みりょく レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナ・リザ」は怪しい魅力 み しょうぞうが やわ ひょうじょう ゆる く に満ちた肖像画である。柔らかな 表 情 、緩やかに組まれた りょうて いっけん やさ いんしょう かげ しきさい 両手 は一見 優 しい 印 象 を持つが、真っ黒な影 や暗い色彩 の ようふく しょうたい うらがわ かく 洋服は女性の 正 体 を裏側に隠しているように見える。また、 はいけい えが けわ じんせい へいたん 背景に描かれた細い道や険しい山々は、女性の人生が平坦で れんそう はなかったことを連想させる。 おだ かく きっと作者は穏やかな中に隠されたモナ・リザという女性 きび ほんしん あや あいはん の強さや厳しさ、本心が分からない怪しさといった、相反す みりょく どうじ ひょうげん ちが る魅力を同時に 表 現 したかったに違いない。 作品の特徴をもと に考えたこと、思 ったことを書く。 評価ポイント:作品の形や色の特徴からイメージを導きだすことで、 作者の考えや表現の工夫を感じ取り、自分の思いや考えをもって味わうことができたか とっとり美術 No.30 41 とっとり美術 No.30 42 とっとり美術 No.30 43 鳥取市立江山中学校 美術科授業実践報告 尾 怜美 1 年 生 の 活 動 報 告 1年生では、図画工作と美術の違いを意識しな がら、基本的な画材の扱い方や美術的な知識を丁 寧に勉強していきました。前期に学習した「知る ためのスケッチ」では、対象をよく見て描く力を、 「色との出会い」では、色の三要素や色から受け る感情を理解して作品に用いる力をつけていき ました。後期に学習した「木彫はし作り」では、 小刀の正しい扱い方を学び、木肌の持つ温かさや、 「木彫はし作り」生徒作品 生活を美しく豊かなものにする木工芸のよさ を味わいながら制作に取り組みました。 2 年 生 の 活 動 報 告 2年生では、自己の内面を深く見つめたり、社会での美術の役割を考えたりしながら作 品制作に取り組みました。前期に学習した「影の自画像」では、自分という存在と向き合 いながら主題を生み出し、形や色彩を工夫して 自己の内面を表現しました。後期に学習した 「生活に役立つ光のオブジェ」では、粘土を使 ってランプシェードを制作し、使う人や場所の ことを考えて、機能的で美しいデザインを生み 出す力をつけていきました。 「生活に役立つ光のオブジェ」生徒作品 3 年 生 の 活 動 報 告 3年生では、日本美術の展開と世界との交流を学 び、日本と諸外国の美術や文化のよさや美しさを感 じ取りながら国際理解を深め、より幅広く深い知識 と技術を学んでいきました。後期に学習した「墨が 生み出す豊かな世界」では、中国から伝わった水墨 画を学び、表現意図に合う技法や構成を工夫しなが ら動物の生命力を表現しました。制作を通して、自 分の表現を追求していく姿勢を養うことができま した。 「墨が生み出す豊かな世界」生徒作品 とっとり美術 No.30 44