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心拍数の変動からてんかん発作の予知に成功 ~ウェアラブル

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心拍数の変動からてんかん発作の予知に成功 ~ウェアラブル
国立大学法人熊本大学
平成28年3月4日
報道機関
各位
熊本大学
心拍数の変動からてんかん発作の予知に成功
~ウェアラブル予知デバイスの開発が進行中~
(概 要 説 明 )
熊 本 大 学 大 学 院 先 導 機 構・大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 の 山 川 俊 貴 テ ニ ュ ア ト ラ
ッ ク 助 教 は 、京 都 大 学 大 学 院 情 報 学 研 究 科 の 藤 原 幸 一 助 教 、東 京 医 科 歯 科 大
学大学院医歯学総合研究科の宮島美穂助教らとの共同研究で、脳の病気であ
....
るてんかんの発作を、脳波ではなく心電図をもとに算出した「心拍変動」と
いう指標から高精度で予知することに成功しました。
本 研 究 成 果 は 、 日 常 的 に 身 に つ け る こ と が 可 能 (ウ ェ ア ラ ブ ル )な て ん か ん
発作予知システムの開発に繋がるもので、発作による怪我や事故を防ぎ、患
者さんが安心して暮らすことのできる社会の実現に大いに貢献するものです。
本研究成果は、文部科学省科学研究費補助金、文部科学省テニュアトラッ
ク普及・定着事業、てんかん研究振興財団研究助成、三菱財団自然科学研究
助 成 等 の 支 援 を 受 け た も の で 、 医 用 工 学 の ト ッ プ ジ ャ ー ナ ル 「 IEEE
Transactions on Biomedical Engineering」 オ ン ラ イ ン 版 ( プ レ プ リ ン ト 版 )
で 2015年 12月 24日 ( 木 ) に 公 開 さ れ ま し た 。
ま た 、世 界 的 権 威 の あ る 科 学 誌「 Science」の 姉 妹 紙「 Science Transrational
Medicine」 の Editor’ s Choiceで も 紹 介 さ れ ま し た 。
○論文タイトル
Epileptic Seizure Prediction Based on Multivariate Statistical
Process Control of Heart Rate Variability Features
○論文著者
Koichi Fujiwara; Miho Miyajima; Toshitaka Yamakawa; Erika Abe; Yoko
Suzuki; Yuriko Sawada; Manabu Kano; Taketoshi Maehara; Katsuya Ohta;
Taeko Sasai-Sakuma; Tetsuo Sasano; Masato Matsuura; Eisuke Matsushima
○掲載誌等
IEEE Transactions on Biomedical Engineering (Volume:PP, Issue:99 )
DOI: 10.1109/TBME.2015.2512276
http://ieeexplore.ieee.org/xpl/articleDetails.jsp?reload=true&arnu
mber=7365453
○ 科 学 誌 「 Science Transrational Medicine」 Editor’ s Choice記 事
http://stm.sciencemag.org/content/8/323/323ec12
(説明)
てんかんは全人口の約1%が罹患する病気です。脳の慢性的な疾患で、脳
の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により、発作
を繰り返す特徴があります。患者さんの多く(約7割)は抗てんかん薬の服
用などで発作を抑制し、問題なく日常生活を営むことができます。
しかしながら、中には薬の効きにくい難治性てんかんもあり、いつ起こる
かわからない発作に患者さんは毎日不安をかかえながら生活しており、発作
を予知する仕組みの開発が強く求められていました。
心拍数を用いたてんかん発作の予知においては、これまでのような変動解
析手法による分析方法では、平常時と発作前の差がわかりにくく、個人差も
大 き い 状 態 で し た 。 こ の た め 偽 陽 性 (誤 報 )が 多 く 、 実 用 化 は 困 難 と 考 え ら れ
ていました(図1参照)。
そ こ で 、 今 回 私 た ち は 多 変 量 統 計 的 プ ロ セ ス 管 理 (Multivariate
Statistical Process Control, MSPC)と い う 工 学 的 手 法 で 、 心 拍 数 の 揺 ら ぎ
を解析しました。対象としたのはビデオ脳波モニタリングというてんかん検
査 の た め に 入 院 し た 患 者 さ ん で 、 14名 の 心 電 図 デ ー タ を MSPCに よ っ て 解 析 し
た と こ ろ 、 実 に 91%と い う 高 い 精 度 で 発 作 を 予 知 す る こ と が 可 能 で あ る こ と
が わ か り ま し た ( 偽 陽 性 頻 度 は 1 時 間 に 0.7回 ) 。 さ ら に 今 回 の 研 究 成 果 で 、
発 作 が 起 こ る 約 8 分 前 [正 確 に は 494±262秒 (平 均 ±SD)前 ]に 予 知 す る こ と が
可能である事がわかりました(図2参照)。平常時と発作前の差異が非常に
わかりやすく、偽陽性が少ないことから、高精度なてんかん発作の予知が可
能であることが本研究において証明されました。
本研究によって日常的に身につけられる(ウェアラブル)発作予知デバイ
スが開発されれば、発作が起こる前に安全を確保する対策を、患者さん自身
で出来るようになります。装置を装着するのは心臓のそばなど外からは見え
ないところで、目立つことなく身につけて日常生活を送ることができます。
実際に我々は現在、ウェアラブルてんかん発作予知装置(図3)の開発を進
めています。本装置の開発については、現在既に東京医科歯科大学医学部附
属病院、国立精神・神経医療研究センター病院等の複数の医療機関において
臨床研究が進められています。
【お問い合わせ先】
熊本大学 大学院先導機構
兼 大学院自然科学研究科(電気電子工学)
担当:山川 俊貴 (テニュアトラック助教)
e-mail: [email protected]
【図 1】従 来 の心 拍 数 変 動 解 析
通常時
発 作 前 ※赤 線 が発 作 開 始 のタイミング
【図 2】多 変 量 統 計 的 プロセス管 理 (Multivariate Statistical Process Control, MSPC)
による解 析
通常時
発 作 前 ※赤 線 が発 作 開 始 のタイミング
【図 3】現 在 開 発 中 のウェアラブル発 作 予 知 システム(イメージ)
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