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HP-UX 11i

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HP-UX 11i
HP-UX 11i の
概要
1
june 2000
HP
White Paper :
HP-UX 11i
目次
概要
4
インターネット・コンピューティングにおける要件とは?
4
コンピューティング環境
4
開発環境
4
HP-UX 11i の 機 能
4
HP-UX 11i の 主 な 新 機 能
5
Linux/Windows と の 互 換 性
5
Linux API
5
Java
5
Java パフォーマンスの改善
5
Webgain Studio の HP-UX Java コード
6
Gnu のオープン・ソース・ツール
6
その他の言語ツール
6
CIFS/9000
6
Windows システムとのファイルの共有
6
Windows システムとユーザ認証機能の統合
6
インターネット・クリティカル
Apache、その他の Web サーバ
6
Nokia WAP サーバ (別売の ISV 製品)
6
WebQoS Web トラフィック管理
7
Inktomi キャッシング(別売の ISV 製品)
7
e-speak によるダイナミック・ブローカ・サービス
7
APA によるロード・バランス
7
InfoSeek 検索エンジン(別売:ISV 製品)
7
iPlanet ディレクトリ・サービス
7
Sendmail 8.9
7
ゲートウェイに対応した BGP プロトコルのサポート
7
DNS の動的更新
7
HP-UX 11i の BIND 8.1
8
DHCP
8
BIND 8.1 による DNS の動的更新
8
TCP/IP による NFS
8
CacheFS による NFS パフォーマンスの改善
8
パフォーマンス
8
インスタント・キャパシティ・オンデマンド
8
ジャーナル・ファイル・システム(JFS 3.3:Veritas ファイルシステム)
8
M×N カーネル・スレッド
9
PA 8500 と PA 8600 に対応したチューニング
9
32 ビット・アプリケーションに対応した大規模なプライベート・データ空間
9
厳密な物理メモリ制御
9
スケーラビリティ
SMP スケーリング
メモリ・スケーリング
ハイアベラビリティ(可用性)
2
6
9
9
10
10
カードとコンポーネントの OLAR
10
PCI カードの交換
10
OLAR の管理
10
OLAR と MC/ServiceGuard
11
DPR(ダイナミック・プロセッサ・レジリエンス)と DMR (ダイナミック・メモ
リ・レジリエンス)
11
カーネル・パラメータの動的調整 (Dynamically Tunable Kernel Parameters)
11
DLKM モジュールの種類
11
DLKM の利点
11
高速リブート
セキュリティ
12
12
Praesidium IDS 9000 による侵入検知(Intrusion Detection)
12
IKE サポートによる IPSec 9000
12
CDSA サポートによる総合的な暗号化
12
UNIX/Windows に対応した LDAP、NTLM、Kerberos 5 の認証
12
スタックの実行保護(Execute-protected Stack)
12
管理機能
ServiceControl スイートと ServiceControl Manager(SCM)
13
13
SCR(System Configuration Repository:システム構成レポジトリ)
13
EMS(Event Monitoring Service:イベント・モニタリング・サービス)
13
SD/UX(Software Distributor)
13
SAM によるマルチシステム・ファイルとプリンタの制御
13
Ignite/UX
14
一般的な HP-UX コマンドの集中管理
14
カーネル・ロギング(KL)
ストレージ管理
14
14
Tachlite Fibre Channel
14
LVM(Logical Volume Manager:論理ボリューム・マネージャ)
14
投資保護
32 ビット共有ライブラリのプロファイル
簡素化された注文と構成の手順
3
11
カーネル・モジュールの動的ロード
15
15
15
オペレーティング環境のバンドル・パッケージ
15
アップデート・パス
15
結論
15
詳細について
15
概要
この資料では、インターネット向けのオペレーティング環境として開発された HP-UX 11i を紹介します。基幹業務系の E-services の
開発、展開、仲介 (Brokering) などのニーズに応えるために、高度なスケーラビリティ、管理機能、セキュリティを備えたエンド・ツ
ー・エンド型のオペレーティング環境を、HP-UX 11i によってどのように実現できるかを説明するとともに、Windows や Linux の環
境で開発されたインターネット向けアプリケーションを展開するにあたっても、なぜ HP-UX 11i が最適のシステムとしてご利用いた
だけるかを解説します。
イ ン タ ー ネ ッ ト・ コ ン ピ ュ ー テ ィ ン グ に お け る要 件 と は ?
今日、インターネットの潜在能力を最大限に利用している企業の代表として、従来型のビジネスからインターネットへの積極的な進
出を試みる「クリック・アンド・モルタル」系の企業をはじめ、最近成長著しいドット・コム系の会社、そして中規模市場の企業が
挙げられます。こうした企業は一般的に、インターネットによる販売を展開しながら、その技術を利用してそれぞれの顧客や供給業
者との情報連携を行っています。
図 1:インターネット・コンピューティングの要件
コンピューティング環境
インターネット・アプリケーションを支えるコンピューティング環境は、いくつかのレイヤから構成されると考えられます。個々の
レイヤごとに、必要となる要件がそれぞれ異なります。
• イ ン タ ー ネ ッ ト ・ レ イ ヤ :一般の消費者や供給業者が実際に、企業のインターネット・サイトを通じて、相互にやり取りするため
のレイヤです。このレイヤにはファイアウォールが設定されるほか、顧客のオンライン操作を強化する目的で、専用のロード・バ
ランス・サーバやキャッシング・サーバが置かれます。このレイヤでは、ハッカーや不当なユーザがファイアウォールを通過して
侵入することを防止する対策など、高度なセキュリティが不可欠になります。
• 境 界 レ イ ヤ :境界レイヤには Web サーバ、FTP サーバ、その他 VPN(仮想私設ネットワーク)サーバなどが設定されます。この
レイヤには、比較的小規模のサーバを何台も並列的に構成するという特徴があります。会社の規模や要件が変化するたびに、境界
レイヤは水平方向に拡大(サーバを並列的に拡張)していきます。
• イ ン ト ラ ネ ッ ト ・ レ イ ヤ :この社内のレイヤには、アプリケーション・サーバ、データベース・サーバといったバックエンド・サ
ーバが設置されます。いわゆる「ビッグ・アイアン」型のサーバ(大型で強力なハイパフォーマンス・サーバ)を設置する領域と
考えられ、社内のトランザクション、アプリケーション、顧客ファイルへのアクセス、データベース照会といった処理をします。
このレイヤを拡張する場合は、サーバを単純に追加していくのではなく、パフォーマンスを強化する形式で対応します。
開発環境
最近では、インターネットに向けた新しいアプリケーションを開発するにあたり、開発プラットフォームとして Windows 、さらには
Linux が選択されるケースが増えてきています。これは、会社の規模がそれほど大きくない場合に、特に効果的な選択と言えます。一
方、会社の規模が大きくなり、24×7(1 日 24 時間、週 7 日)ベースの基幹業務アプリケーションを運用するようになると、オペレ
ーティング・システム自体にパフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティに対して高い性能が求められます。
HP-UX 11i の 機 能
HP-UX 11i により、インターネット・アプリケーションには理想的な UNIX ベースのオペレーティング環境 (Operating Environment)
が実現されます。このオペレーティング環境の特長は次のとおりです。
•
•
•
•
4
Windows と Linux との高度な互換性
インターネット・クリティカルなシステムを総合的にサポートする機能
高いパフォーマンスとスケーラビリティ
バイナリ互換の保証による業界最高レベルの投資保護
HP-UX 11i によって、基幹業務系 E-services の開発、展開、仲介 (Brokering) といったニーズに対応できる高度なスケーラビリティ、
管理機能、セキュリティを備えたエンド・ツー・エンド型のインフラストラクチャが実現されます。
HP-UX 11i の 主 な 新 機 能
• Linux API が利用可能です(2000 年前半予定)。
• N クラス、および L クラスの各サーバでは、I/O カードをオンラインで追加/交換(Addition/Replacement)することができます。
• ラックあたりのパフォーマンスとサービス性が不可欠の条件となる ISP に向けて設計されたローエンドの A500 および A400 の各
サーバが全面的にサポートされます。
• L2000、L1000、および低価格の N クラス・サーバでは、IA-64 へのアップグレード・パスが保証されます。
• V2500/V2600 プラットフォームがサポートされます。
• VERITAS(JFS 3.3)ファイル・システムがサポートされます。
• Cache FS のサポートにより、ファイル・システムの機能が大幅に改善/強化されています。
• TCP/IP により NFS がサポートされます。
• システム管理の機能が強化(PRM の拡張機能)されています。
• セキュア・デフォルトと侵入検出の機能がサポートされます。
• 1∼32 ウェイの構成に合わせて広範なパフォーマンス・チューニングが可能です。
Linux/Windows と の 互 換 性
HP-UX 11i では、Windows と Linux との相互運用性が保証されるほか、各プラットフォームから HP-UX に移行するスムーズなアップ
グレード・パスが確保されています。HP-UX 11i に追加された画期的な機能によって、Windows と Linux へのシームレスなリンクが
提供されます。
Linux API
2001 年第 1 四半期には、HP-UX では Linux API を介して Linux の間のポータビリティが向上される予定です。まず Linux 上でアプリ
ケーションを開発し、これを HP-UX 11i での実行に向けて最適化することができます。すなわち、Linux を使用して開発したソフト
ウェアは、非常に簡単に HP-UX 11I 上に移植できるということです。
Java
HP-UX 11i には、Java アプリケーションの展開に利用できる総合的なツールセットが用意されています。また J Meter プロファイリ
ング・ツール、J Config、J Patch(推奨パッチの提供)といった各種の Java 最適化ツールが提供されます。
Java パフォーマンスの改善
HP-UX 11.0/11i では、Java パフォーマンスが大幅に改善されます。実際に、HP-UX 11.0/11i では 80 SPECjvm98 という驚異的なパ
フォーマンスを記録しています。
図 2 :HP-UX 11.0/11i と HP ハ ー ド ウ ェ ア に よ る Java パ フ ォ ー マ ン ス の 改 善
5
Webgain Studio の HP-UX Java コード
Webgain Studio により、Windows 上で開発された Java アプリケーションを HP-UX 11 や HP-UX 11i 上に容易に移植することができ
ます。また、Windows プラットフォーム上で開発された他のアプリケーションにおいても、HP-UX 11i 向けに最適化した Java コー
ドを生成することができるため、HP-UX 11 や HP-UX 11i の環境への移行が可能です。また Webgain Studio には、HP-UX 11i に対応
したデバッグ機能が組み込まれています。
Gnu のオープン・ソース・ツール
HP-UX 11i では、Perl、GCC、Python といった多様なオープン・ソース・ツールをアプリケーション開発に利用することができます。
また HP-UX 11I では、C、C++、Gnu Emacs といった人気のある開発ツールも利用可能です。
その他の言語ツール
HP-UX 11i には、次の言語ツールも用意されています。
• ANSI C コンパイラ、ISU の各ツール(lint、lex、yacc)、Corel のヘッダ、ライブラリ
• HP 社の cfront C++コンパイラ、Corel のヘッダ、ライブラリ
• HP 社の ANSI C++コンパイラ、Corel のヘッダ、ライブラリ
• HP 社の最適化用 ucomp スタンドアロン・コンパイラ・バックエンド
• Corel のリンカー、SOM/ELF ツール、ヘッダ、ライブラリ
• HP 社のユーザ空間デバッガ(DDE、wdb)
• SoftBench(C/C++)
CIFS/9000
Windows と UNIX のユーザどうしで、各種ファイルをシームレスに交換することができます。最も広く普及したファイル・システム
である NFS(ネットワーク・ファイル・システム)により、ネットワークを介してファイルを共有することができます。 しかし、
NFS では Windows システムを UNIX 用のファイル・サーバとして使用することができないため、UNIX システムを Windows 用のファ
イル・サーバとして使用することはできますが、逆の関係は成り立ちません。
Windows システムとのファイルの共有
この問題は、CIFS/9000 によって解決されます。CIFS/9000 は、HP-UX 11i の一部に組み込まれているため、標準の Windows システ
ムに統合された共通インターネット・ファイル・システム - 従来、SMB(サーバ ・メッセージ・ブロック)と言われていたファイ
ル・システム - を使用することができます。CIFS/9000 では、UNIX と Windows の間で高度なスケーラビリティとセキュリティの相
互運用性が保証されるため、UNIX 環境との緊密な統合が可能になります。CIFS/9000 は UNIX 固有のソフトウェアであるため、
Windows では提供されていません。つまり次の 2 つの形式の利用が可能になります。
• Windows プラットフォームを HP-UX 11i システムのファイル・サーバとして利用できます。
• HP-UX 11i システムを Windows プラットフォームのファイル・サーバとして利用できるようになります。OmniBack や Legato な
どの HP-UX 11i 標準ユーティリティと連動するファイル・サービス・テクノロジを HP-UX と緊密に統合し、より高度な互換性を
提供します。
Windows システムとユーザ認証機能の統合
CIFS/9000 によって UNIX クライアントと Windows サーバ間のファイル交換が可能になるため、HP-UX11i に Windows のユーザ認証
機能を統合することができます。CIFS/9000 では、Windows と HP-UX 11 の両プラットフォームで Windows のドメイン・コントロ
ーラを照合する認証機能がサポートされる結果、双方のプラットフォームで共通するグローバル・ユーザ認証が可能になります。
イ ン タ ー ネ ッ ト・ ク リ テ ィ カ ル
Apache、その他の Web サーバ
HP-UX 11i 上では、次の Web サーバなどが利用可能です。
• Apache
• iPlanet Enterprise Server(別売の ISV 製品)
• BEA Weblogic Enterprise Server(別売の ISV 製品)
• Zeus Web Server(別売の ISV 製品)
さらに、HP-UX 11i 上では、Web 領域でも効果的に利用可能です。
Nokia WAP サーバ (別売の ISV 製品)
最近では、ハードワイヤ結合を介さずに接続できるデバイスの人気が高まっているのを反映して、インターネット・アプリケーショ
ンでは WAP(Wireless Application Protocol:ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル)が不可欠の条件となりつつあります。た
とえば、HP-UX 11i で利用可能な Nokia WAP Server を利用すれば、携帯電話や PDA といった WAP デバイスでも市販の Web サービ
スに対応できるようになります。
6
WebQoS Web トラフィック管理
インターネット・ユーザにとって、サービスの品質は最も重要な問題です。重い処理負荷のもとでもシステム・クラッシュを回避す
ると同時に、Web サイトにアクセスしている各ユーザに適切なレスポンス・タイムを提供できるように、HP-UX 11i には WebQoS
というソフトウェアが統合されています。WebQoS は、次の 2 つのレベルで重要な役割を果たします。
• WebQoS Peak により、Web サイトにアクセスするユーザの数を制限して、一定水準のサービス品質を保証します。
• WebQoS Peak でユーザ・クラスを定義することにより、特別なサービスを提供したい優先客を設定することができます。
Inktomi キャッシング(別売の ISV 製品)
最後にアクセスされた Web ページと、最も頻繁に使用される Web ページのコピーは、遠隔地にあるサーバにではなく、ローカル・
キャッシュに保持されるため、キャッシングによって、インターネット・ユーザの処理効率が大幅に改善されます。HP-UX 11I 上で、
Inktomi の Web キャッシングとコンテンツ配布の製品が利用可能です。
e-speak によるダイナミック・ブローカ・サービス
HP-UX 11i の e-speak ソフトウェアには、E-services のサポートに必要となる基本的なブローカ・テクノロジが統合されています。
APA によるロード・バランス
ロード・バランスは、さまざまな動作環境で当然重要な要素となる一方、処理負荷のレベルが突然大きく変動する可能性のあるイン
ターネットでは、特に不可欠の条件となります。HP-UX 11i には APA(Automation Port Aggregation:自動ポート・アグリゲーショ
ン)というソフトウェアが利用可能で、ロード・バランスの調整や、リンクのフェールオーバ/復旧を設定が可能になります。
• ロード・バランス: Resonate(別売:ISV 製品)ソフトウェアを使用して、ロード・バランスを調整できます。Resonate では、複数
の Web サーバを対象としたロード・バランスを調整できるため、あらゆる顧客に向けて最善のパフォーマンスが保証されます。
• 複数ポートのアグリゲーション: APA(Automatic Port Aggregation: 別売 HP 製品)では、計 32 個のポートを 1 つの単位として
まとめることができます。このソフトウェアでは、Gigabit Ethernet がサポートされ、Cisco PAgP との互換性があるため、自動構
成とリンク・フェールオーバ/復旧が提供されます。
InfoSeek 検索エンジン(別売:ISV 製品)
HP-UX 11i 上では、効率的な検索を実行できるように、InfoSeek Ultraseek 検索エンジン(英語環境用)が利用可能です。
iPlanet ディレクトリ・サービス
HP-UX 11i には、全社規模を対象としたディレクトリ・サービスが提供できるように、iPlanet ディレクトリ・サービス(Intranet 対応
版)が統合(バンドル)されています。このバンドル・ソフトウェアによって、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)に基づ
くディレクトリ・サービスが提供されます。
Sendmail 8.9
インターネットのメール・サーバのうち 70%で Sendmail が利用されていると言われています。この人気のあるサーバの最新バージ
ョン、Sendmail 8.9 に対応した HP-UX 11i には、不具合修正、厳密なセキュリティのほか、ディレクトリ統合サポートといったさま
ざまな新しい機能が用意されています。Sendmail 8.9 は、旧バージョンとの下位互換性があります。
ゲートウェイに対応した BGP プロトコルのサポート
HP-UX 11.0 には BGP(Border Gateway Protocol:ボーダ・ゲートウェイ・プロトコル)が組み込まれています。HP-UX 11.0 では
BGP の正式なサポートは提供されませんが、HP-UX11i では BGP を完全サポートしています。
DNS の動的更新
インターネット/イントラネット革命が急速な勢いで進むにつれ、TCP/IP がネットワーク上のあらゆるデスクトップやサーバにも導入
されるようになっています。TCP/IP の特性の 1 つに、IP アドレスの構成があります。これは、TCP/IP ネットワーク上にあるすべて
のノードに IP アドレスとホスト名を手操作で割り当てるプロセスです。
この問題の解決方法の 1 つとして、DNS(Domain Name System:ドメイン・ネーム・システム)を動的に更新することにより、ホ
スト名や IP アドレスを自動的に割り当て、DNS データベースを使用して IP アドレス/ホスト名を記録/追跡することができます。
DNS の動的更新を実行するには、次の 3 つのコンポーネントが必要になります。
• DNS 8.x の更新機能
• DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol:ダイナミック・ホスト構成プロトコル)
• DNS と DHCP の間の通信を支援する libc コール
HP-UX 11i では、DNS 動的更新を支援する以上 3 つのコンポーネントの機能が拡張されています。
7
HP-UX 11i の BIND 8.1
インターネットに対応した DNS のネーミング構造によって、ホスト名に IP アドレスをマッピングすることができます。DNS は、総
合的な IP アドレス管理ソリューションを構成する重要なコンポーネントです。BIND(Berkeley Internet Name Domain:Berkeley イ
ンターネット・ネーム・ドメイン)は、UNIX ベース・システムに向けた最も一般的な形式で DNS を実装したものです。
HP-UX 11i では、BIND 8.1 のサポートによって、インターネット/ネットワーク関連のパフォーマンスと機能を向上しています。
DHCP
DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol:ダイナミック・ホスト構成プロトコル)では、各ノードに IP アドレスとホスト名が自
動的に割り当てられます。DHCP は IP の世界では比較的新しいプロトコルではあるものの、ボトルネックが解消されることに加え、
効率の悪い「スパイラル・ノートブック・アプローチ」の問題(社内の 1 人が、IP アドレスの追跡と割り当てに専念している状況)
が解決されることから、最近急速に普及しつつあります。
DHCP の普及という第一波の影響を受けて、DHCP と DNS の統合という最大の問題が浮き彫りになってきました。現在のところ、
DHCP が割り当てるアドレスは、DNS では認識されません。DNS では、グローバルなネーミング構造が提供されるため、DNS と
DHCP の両方を利用している大規模な組織の場合、両者の間で不整合の問題に直面することになります。特に、組織の中で各サブネ
ットの間を頻繁に行き来するモバイル・ユーザが IP アドレスを変更するごとに、この問題は顕著になってきます。
BIND 8.1 による DNS の動的更新
HP-UX 11i では、BIND 8.1 によって DNS の動的更新機能と、DNS のセキュリティ、スケーリング、パフォーマンスの強化、および
IPv6 の将来的な実装に備えた基盤が提供されます。
今後の DNS では、IP アドレスの集中管理とストレージに向けた DNSSec、IPv6、およびディレクトリ統合の各機能に対応できるよ
うになります。
TCP/IP による NFS
HP-UX 11i のネットワーク機能を強化するもう 1 つの拡張機能として TCP/IP を介した NFS のサポートがあります。この拡張機能に
より、NFS トラフィックでは UDP/IP プロトコルとの通信に加え、TCP/IP ネットワーク転送プロトコルを使用できるようになります。
TCP/IP を介した NFS により、ワイド・エリア NFS テクノロジを応用できるため、多国籍企業をはじめ、ワールドワイドな規模での
ファイル共有を目指す組織には特に効果的なソリューションとなります。
CacheFS による NFS パフォーマンスの改善
HP-UX 11i の CacheFS(Cache File System :キャッシュ・ファイル・システム)によって、ファイル・システムのサポートを改善/
拡張することができます。CacheFS は、サーバとネットワークの処理負荷を軽減することにより、NFS サーバのパフォーマンスとス
ケーラビリティを強化する汎用的なファイル・システム・キャッシング・メカニズムです。
CacheFS により、各ファイル・システムどうしをキャッシングする機能が提供されます。NFS 環境では、CacheFS によって、サー
バあたりにクライアントが占める比率とネットワークの処理負荷が改善されるほか、低速リンクにあるクライアントのパフォーマン
スが強化されます。また、一度に読み込めるデータの読み取りパフォーマンスも改善されます。
パフォーマンス
HP-UX 11i は、インターネットの処理要求に応じられるように、数々のパフォーマンス強化機能とともに設計されています。
インスタント・キャパシティ・オンデマンド
HP-UX 11i では、HP L クラス、N クラス、および V クラスの各サーバを対象として iCOD(instant capacity on demand:インスタン
ト・キャパシティ・オンデマンド)サービスを利用することが可能です。この iCOD によってユーザは、インターネットには頻繁に
起きる過度のピーク時にも効果的に対応することができます。
iCOD を利用することにより、システムを再起動することなく、追加用の CPU をオンラインにすることができます。たとえば、未使
用の CPU を予備用としてサーバに設置した状態で納品することができます。処理負荷の状況に応じて、追加用の CPU をオンにすれ
ば、必要な処理能力を確保することができます。この場合、再起動の必要はないため、容量を追加する間にも、可用性が失われるこ
とはありません。iCOD は、Web サーバとバックエンド処理のいずれの面でも不可欠の機能となります。
ジャーナル・ファイル・システム(JFS 3.3:Veritas ファイルシステム)
HP-UX 11i には、オペレーティング環境の中核部分として、ジャーナル・ファイル・システム 3.3 が組み込まれています。
JFS 3.3 が提供する機能:
• VxFS ディスク・レイアウトのバージョン 2、3、および 4(デフォルト)のサポート
8
•
•
•
•
•
•
•
システム・ダウンなしのオンライン・バックアップ/ディスク・デフラグ(別売 OnLineJFS)
1 人の論理デジグネータに複数の物理ディスクを割り当てるボリューム管理(別売)
拡張クラスタ・ボリューム管理(別売)
POSIX および JFS ACL(アクセス制御リスト)
ブロック・レベルのインクリメンタル・バックアップ(アドオン製品は不要)
クイック I/O 機能(アドオン製品は不要)
vxfsconvert(1M)ユーティリティによる HFS から JFS への変換機能
M×N カーネル・スレッド
HP-UX 11i では今後、パフォーマンスの向上のために、M×N のカーネル・スレッドがサポートされる予定です。2001 年前半には、
M×N カーネル・スレッドによって、複数のスレッドからユーザ・データにアクセスしたり、複数のユーザ・データ・セットに同じ
スレッドを介してアクセスしたりできるようになります。M×N カーネル・スレッドは、現在提供している Java パフォーマンスをさ
らに向上する点はもとより、通信アプリケーションの面でもきわめて貴重な役割を果たします。
HP-UX 11i で実装された M×N カーネル・スレッドの機能は次のとおりです。
• DCE ライブラリに対応した 32 ビット/64 ビットのカーネル・スレッドのサポート
• 32 ビット/64 ビット・カーネル・スレッドに対応した libdcecpkt.sl と libdcedpvt.sl のサポート
• DCE アプリケーションに対応する 64 ビット・アドレシング
• さまざまな面でのパフォーマンスの改善
PA 8500 と PA 8600 に対応したチューニング
HP-UX 11i は、PA-RISC プロセッサを搭載した PA 8500 と PA-8600 のシステムで最大限のパフォーマンスを引き出すように調整さ
れています。また、将来のプロセッサに向けて、さらにチューニングを実施していく予定です。
32 ビット・アプリケーションに対応した大規模なプライベート・データ空間
32 ビット・アプリケーションは本来、64 ビット・アプリケーションよりも高速であることに加え、64 ビットの全面サポートに向け
てアプリケーションを移行させるのは大がかりな作業であるといった理由から、32 ビット・アプリケーションには依然として根強い
人気があります。LPD(large private data:大規模プライベート・データ)によって、64 ビット・カーネル上で実行する 32 ビット・
アプリケーションのプロセスあたりのプライベート・データの空間が拡張されます。LPD には、共有プロセス・メモリに対する HPUX の制限を拡大する場合と同様の手法が取り入れられています。
HP-UX 11i の LPD では、32 ビットという数値上のプライベート・データ空間の限界が、4 GB 近くまで拡張されます。これは、1.9
GB から 4 GB までの範囲のプロセス・データを扱うユーザには特に便利な機能です。
厳密な物理メモリ制御
HP-UX 11i には、アプリケーションに割り当てるメモリ・リソースを確保するための機能が用意されています。このような制御機能
がないと、優先度の高いアプリケーションに確保すべき共有メモリが割り当てられなくなる可能性があります。こうした大量のメモ
リを要求するアプリケーションにはスラッシュ状態(本来の処理の実行ではなく、ページングやスワッピングなどに時間を占有され
る状況)が発生するようになります。
PRM(Process Resource Manager:プロセス・リソース・マネージャ)ツールにより、物理メモリの利用状況を強制的に制御できる
ようになります。PRM では、プロセスの優先順位を入れ換えながら、メモリの割り当て量を越えたアプリケーションには一時停止の
信号を送ります。
HP-UX 11i には、システムの物理メモリを MRG(Memory Resource Group:メモリ・リソース・グループ)という論理単位に分割
するという概念に基づいたインカーネル・ソリューションが採用されています。MRG によって、特にハイエンド・システムでは正確
で効果的なメモリ管理が可能になります。
スケーラビリティ
HP-UX 11i では、ユーザ処理のパフォーマンスを連続的に改善するための対策として、旧バージョンのオペレーティング・システム
に比べ、スケーラビリティが大幅に強化されています。HP-UX 11i のスケーラビリティは、次の面を中心に強化されています。
• SMP(Symmetric Multi Processor:対称型マルチプロセッサ)スケーリング:最新のハイエンド・サーバでサポートするプロセッ
サの数が拡大されます。
• メモリ・スケーリング:最新のハイエンド・サーバにおけるメイン・メモリの量が拡張されます。
SMP スケーリング
コンピューティング機能を強化することにより、1 時間あたりに処理できるトランザクションや照会の量を増やせるため、強力なバ
ックエンド・サーバにとって高度なスケーラビリティは特に重要な要素となります。HP-UX 11i オペレーティング環境では、追加す
るマルチプロセッサの数に応じて、パフォーマンスも強化することができます。同時に、シングル・プロセッサ搭載のローエンド・
システムでも優れたパフォーマンスを発揮するのは言うまでもありません。
HP-UX 11i における SMP スケーリングの主な特長
• HP-UX 11i では、HP 9000 ファミリ全体を対象として高度なスケーラビリティが提供されます。
• V2500 および V2600 シングル・キャビネット・システムを最大 32 ウェイまでスケーリングできます。
9
• HP-UX11i では、将来に向けて 64 ウェイ以上のサポートに向けたアーキテクチャ・デザインを実施。
メモリ・スケーリング
HP ハイエンド・サーバでは、サポートするプロセッサ数に加え、最大メモリ容量も同じように拡張されています。たとえば、32 ウ
ェイ・システムでサポートされる最大メモリ容量は、現在の 32 GB(V2600 の場合)から今後は 256 GB まで拡張される予定です。
HP-UX 11i では、システム・メモリの容量を拡張するごとに処理効率の向上が期待できるシステムであれば、将来において最大 256
GB までメモリをスケーリングすることにより、最大限のパフォーマンスを達成することができます。
ハイアベラビリティ (可用性)
HP では、基幹業務系のお客様に向けてエンド・ツー・エンドにおける高可用性、"5 nines (99.999%)"を提供すべく、全社的な取り
組みをパートナ各社とともに続けています。その意味で HP-UX 11i は、インターネット・サービス・プロバイダ、ドット・コム系企
業、および 24×7 ベースのインターネット・ビジネス・モデルへの移行を進める従来型店舗の企業に向けて可用性を強化するための
重要な第一歩をなすものです。HP-UX 11i では、こうしたユーザを対象に業者最高の水準を誇るシングル・システムの可用性が提供
されます。
カードとコンポーネントの OLAR
HP は、故障した部品を交換するために生じるシステム停止時間を短縮したいという要求を理解しております 。OLAR (Online
Addition and Replacement:オンラインによる追加/交換)は、システムの動作を続行したまま、PCI I/O カードを追加/交換するため
の HP-UX の機能です。システムの再起動の必要はありません。HP の全社的な HA 戦略の一環として提供される OLAR によって、シ
ステムの全体的なアップタイムが強化されます。OLAR は、特定のハードウェアでサポートされるプラットフォームに適用されます。
HP-UX 11i の OLAR 機能は次のコンポーネントに適用されます。
• PCI I/O カード
• ネットワーキング・カード
HP-UX 11i の OLAR では、I/O カードの追加/交換がサポートされます。今後のリリースでは、カードの削除にも対応できるようにな
ります。
PCI カードの交換
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コア・インフラ:ハードウェア、ファームウェア、machdep、および WSIO
PCI GigE
SAM
PCI 100bt(1∼4 ポート)
SCSI
PCI FDDI
X.25-4 ポート
PCI Token Ring
Term I/O mux
ATM 155
Crypto
ATM 622
Tachlite ベース Fibre Channel
X.25-2 ポート(今後サポートの予定)
Hyperfabric(今後サポートの予定)
SNA(今後サポートの予定)
OLAR の管理
OLAR は、HP-UX 11i の SAM(System Administration Manager:システム管理マネージャ)を通じて管理します(SAM は、HP-UX
11i に対応したグラフィカル・ユーザ・インタフェース・ベースの管理ツールです)。
OLAR のコア部分には、PCI I/O スロット(およびスロット付近にある LED)を制御する機能があります。またソフトウェア・ドライ
バを使用すれば、OLAR 機能の補完サポートを追加することもできます。たとえば、I/O の除去や動作の保留の要求に応じて、I/O 動
作を一時的に停止させることができます。またドライバでは、カードのエラーを検出したり、フェールオーバを開始したりできるほ
か、これらのエラーを、LVM や MC/ServiceGuard などの高度なソフトウェアに伝達することもできます。なお、オンライン動作を自
動的に起動することはできませんが、上記のようなフェールオーバや通知機能はサポートされます。
カードを追加するには、コントロール・ドライバがインコアでなければなりません。すなわちドライバがカーネルに組み込まれ、動
作している状態、または動作可能な状態になっていなければならないということです。ドライバで動的ロードが可能な場合、管理者
はドライバがロードされたことを確認する必要があります。
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HP-UX 11i で、カードを交換する場合は、ドライバが同種のカードとして認識できなければなりません。なお今後のリリースでは、
別の種類のカードでも交換できるよう拡張する予定です。
OLAR と MC/ServiceGuard
MC/ServiceGuard では、HP-UX 11i 上でネットワーク・ホスト・ベースのアダプタをオンラインで交換することができます。
DPR(ダイナミック・プロセッサ・レジリエンス)と DMR(ダイナミック・メモリ・レジ
リエンス)
HP-UX 11i では、DPR(プロセッサ障害事前回避機能)と DMR(メモリ障害事前回避機能)を採用することにより、その可用性が一
段と向上しています。これまでのテストの結果、メモリ(CPU キャッシュメモリ含)におけるシングル・ビット・エラーの発生は、
障害が起きる前兆であることが明らかになっています。HP-UX 11i には、それらをバックグラウンドで診断する機能が組み込まれて
います。これらの診断機能により、エラーの報告をはじめ、状況によってはエラーの修正やエラー箇所の割当て解除などが行われま
す。
• メモリや CPU キャッシュメモリ上のシングル・ビット・エラーについて、検出と修正を行います。
• 一 定 期 間 に 起 こ る シ ン グ ル ・ ビ ッ ト ・ エ ラ ー が し き い 値 を 超 え た 場 合 、 該 当 す る メ モ リ ブ ロ ッ ク や CPU を 割 当 て か ら
動的に解除します。OS のリブートなどは必要ありません。
• ダブル・ビット・エラーが起こってしまった場合には検出までを行います(修正はされません)。代わりに、警告が送られます。
ダブル・ビット・エラーは、場合によってシステム・クラッシュを導く可能性があるため、深刻な問題を示唆するものです。これま
でのテストの結果、24 時間以内にシングル・ビット・エラーが 3 回起きると、ダブル・ビット・エラーを後に引き起こす可能性が高
いことが明らかになっています。
カーネル・パラメータの動的調整 (Dynamically Tunable Kernel Parameters)
HP-UX 11i には、ハイ・アベイラビリティを提供するためのもう 1 つの対策として、カーネル・パラメータなどのシステム・パラメ
ータを動的に調整する機能が組み込まれています。この動的調整機能によって、パラメータを処理の途中で変更したり、変更と同時
に有効にしたりできます。システムの再起動は必要ないため、変更したパラメータをそのまま有効にして、最適のパフォーマンスを
得ることができます。次に、変更可能なパラメータの例を示します。
• ユーザあたりの最大プロセス数
• 最大共有メモリ・サイズ
• プロセスあたりの最大ファイル数
• 最大メッセージ数
• メッセージ・キューの最大バイト
• テキストの最大セグメント・サイズ(32 ビット)
• テキストの最大セグメント・サイズ(64 ビット)
その他の動的調整が可能なカーネルパラメータに関する SAM(HP-UX システム管理ツール)などにより入手可能です。
カーネル・モジュールの動的ロード
DLKM(Dynamically Loadable Kernel Module)により、システムの再起動やカーネルの再構築を行わずに、現在実行中の HP-UX 11i
システムにカーネル・モジュールを追加することができます。また DLKM では、特定のカーネル・モジュールが必要なくなった場合
に、UNIX システムからこれを動的に削除できます。これにより、貴重なシステム・リソースの有効利用が可能になります。
DLKM モジュールの種類
DLKM では、現在のところ、次のタイプのカーネル・モジュールがサポートされています。
• WSIO クラス・ドライバ
• WSIO インタフェース・ドライバ
• STREAMS ドライバ
• STREAMS モジュール
• 各種のモジュール:たとえば、静的構成のカーネルでは必要のない、複数のロード可能モジュールで共有されているサポート機能
を含むモジュールです。
DLKM の利点
DLKM モジュールでは、次のようなスタティック・モジュールに向けて多様な利点が提供されます。
• ドライバのインストール・プロセスを簡素化することにより、デバイス・ドライブの開発期間を短縮します。
• 管理者は、他社製のデバイス・ドライバを容易にインストールできるようになります。
• システムを実行させながら、デバイス・ドライバやその他のモジュールをカーネルに構成できるため、システム・アベイラビリテ
ィが大幅に強化されます。
• 頻繁には使用しないモジュールについては、非動作時にアンロードできるため、システム・リソースが節約できます。
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• 管理者は要求に応じて、モジュールのロード/アンロードを行うことができます。
• カーネルに、ロード・モジュールの自動ロード機能が追加されます
カーネルが、あるタスクを実行するのに特定のロード可能モジュールが必要であると判断した時点で、該当するモジュールがまだロ
ードされていないと、自動ロードが実行されます。カーネルでは、必要なモジュールが自動的にロードされます。
高速リブート
再起動の間にメモリや CPU のチェックをスキップすることにより、HP-UX 11i では、再起動を従来より最大 70%まで高速化できる
ほか、システム・アベイラビリティの強化とダウンタイムの短縮を図ることができます。高速リブート・オプションはデフォルトと
して提供されます。また再起動の間に、メモリと CPU のチェックを実行することも当然できます。
セキュリティ
セキュリティは、インターネットでは特に重要な問題となります。HP-UX 11i には、業界最高水準のエンド・ツー・エンドに対応す
る強固なセキュリティ機能が利用可能です。
Praesidium IDS 9000 による侵入検知(Intrusion Detection)
HP Praesidium IDS 9000 侵入検知システムにより、HP-UX にはホスト・ベースの侵入検知機能(IDS)が提供されます(別売)。通常
のセキュリティ製品はサードパーティ・ベンダ各社から提供されていますが、HP Praesidium IDS 9000 は、HP-UX 11i の中に統合さ
れているため、HP 独自のオペレーティング環境に関する専門知識に裏付けられたセキュリティが実現されます。
IDS 9000 では、HP-UX システムのセキュリティを破って侵入しようとするユーザを検出します。同時に複数のシステムを対象として
モニタすることもできます。IDS 9000 は次の 2 つのサブシステムで構成されます。
• Kernel Data Source(カーネル・データ・ソース):安全で強力なカーネル監査データを提供します。
• IDS サブシステム:カーネルやその他のデータ・ソースをもとにデータを照合して、HP-UX への侵入が開始された時期を特定しま
す。
カーネル・データ・ソースは、HP-UX に向けた新しい標準モード(非トラステッド・モード)のカーネル監査システムとして、初め
て実装されたサブシステムです。今回のリリース(HP-UX 11i)で提供されるカーネル・データ・ソースは、Praesidium IDS 侵入検
知システムの要件のみに対応したものです。カーネル・データ・ソースは本来、外部の世界からは完全に遮断され、監査システムに
は透過の形式で動作するサブシステムです。
IKE サポートによる IPSec 9000
HP-UX 11i の IPSec 9000(インターネット・プロトコル・セキュリティ)により、VPN(Virtual Private Network)に対応したエン
ド・ツー・エンド型のセキュリティが提供されます。この機能により、Cisco で採用された IKE(Internet Key Exchange:インターネ
ット鍵交換)がサポートされるため、168 ビットの鍵の動的生成とセキュリティの連携が可能になる結果、Cisco ルータとの互換性が
保証されます。
CDSA サポートによる総合的な暗号化
ネットワーク/オペレーティング環境で提供されるセキュリティでは対策が十分ではないため、HP-UX 11i により CDSA に対応した総
合的な暗号化機構が提供されます。この API セキュリティ・セットを使用して、暗号化などセキュリティ機能をアプリケーションの
中に直接組み込むことができます。
UNIX/Windows に対応した LDAP、NTLM、Kerberos 5 の認証
UNIX/Windows 環境に対応した柔軟な認証を支援できるように、HP-UX 11i では LDAP、NTLM、および Kerberos 5 がサポートされ
ています。
また HP-UX 11i には、GSSAPI(RFC2078)と Kerberos の各ライブラリが、コア・オペレーティング環境の一部として統合されてい
ます。各ライブラリには、次の機能があります。
• 独立系ソフトウェア・ベンダ(ISV)と開発業者に向けた認証/暗号化 API
• RFC 2078 と Sun 仕様の準拠
• libgss.sl、libkrb.sl、ヘッダ・ファイル、32 ビット/64 ビットの支援
• セキュリティ・メカニズムと動作品質に選択により、パフォーマンスと柔軟性を強化
• Windows 2000、Sun Solaris 、および IBM AIXとの互換性
スタックの実行保護(Execute-protected Stack)
UNIX 環境における最も一般的な侵入の手口は、「バッファ・オーバフロー」攻撃と呼ばれるものです。この手口は、侵入の順序を無
作為にスタックに格納して、不当なユーザにルート・シェルに対する侵入を認めてしまうという手法です。HP-UX 11i では、スタッ
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クに置かれたコードの実行を禁止することにより、こうした侵入を防止することができます。実行を保護されたプログラム・スタッ
クでは、メモリ管理ハードウェアを使用して、スタック中に実行コードへの侵入を防止します。
管理機能
HP-UX 11i では、HP-UX の強力な管理機能が継承されています。
ServiceControl スイートと ServiceControl Manager(SCM)
HP ServiceControl スイートは、強力なシステム管理ソリューションです。HP ServiceControl により、IT マネージャは卓越した管理/
制御機能に基づいて、高性能の HP-UX ベース環境を使用できるほか、HP 9000 サーバに向けた理想的な管理機能が提供されます。ま
た IT マネージャは ServiceControl を使用して、実際に発生した障害はもとより、潜在的な問題についても即座に検出/回避できると同
時に、HP HyperPlex プラットフォームを通じてシステム・パフォーマンスやレスポンス・タイムを自動的に事前管理することができ
ます。
HP ServiceControl Manager では、HP-UX マルチシステム・ベースの HP 9000 サーバ環境、マルチシステム E-serviceCenter、また
は HP-UX マルチサーバ環境のいずれについても、その処理効率の大幅な強化を図ることができます。HP HyperPlex の中核となる
ServiceControl Manager では、HP-UX の重要な管理ツールをいくつかまとめて、マルチシステム機能を支援する(すなわち「マルチ
システム対応」として支援する)ことにより、一点からの集中管理が可能になります。
ServiceControl Manager は、次のような便利なツールが統合されています。
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SCR(System Configuration Repository:システム構成レポジトリ)
EMS(Event Monitoring Service:イベント・モニタリング・サービス)
SD/UX(Software Distributor)
SAM(System Administration Manager:システム管理マネージャ)
一般的な HP-UX コマンド
Ignite/UX
OnLineJFS
管理者は ServiceControl Manager により、各種の管理インタフェース(PC ベース・ブラウザ、Motif、コマンド行など)を介して、
管理に適用する最も効果的な機構を選択することができます。また ServiceControl Manager では、複雑な作業を軽減するための機能
が追加されているほか、管理作業の代行も可能になるため、ネットワークを介して中央の管理サーバにリモート・アクセスできるよ
うになります。
SCR(System Configuration Repository:システム構成レポジトリ)
SCR では、さまざまなシステムを対象として、変更の状況を集中的に管理したり、追跡したりできます。管理者は、各ノードを比較
してトラブルシューティングを行ったり、イベントの前後のスナップショットを照合して、システム構成が変化していないかどうか
を判断したりできます。
EMS(Event Monitoring Service:イベント・モニタリング・サービス)
HP EMS では、リアルタイムの監視とエラー検出が可能になります。HP EMS は、HP ServiceControl Manager と緊密に統合されて
いるため、マルチシステムの管理者はクラスタ全体を通じてシステムの動作を常時監視できるほか、ハードウェア/ソフトウェアに何
らかの潜在的な問題が検出された時点で、実際に障害が発生する前に、その旨の通知を受け取ったりできます。
SD/UX(Software Distributor)
SD/UX(Software Distributor)は、ServiceControl Manager に統合されたもう 1 つの貴重なツールです。SD により、ソフトウェアや
パッチを格納しておくためのデポが作成されます。ServiceControl Manager により SD が「プッシュ」される結果、SD の一貫したプ
ロセスに基づいて多数のノードに対しソフトウェアやパッチを同時にインストールすることができます。この高度な調整機能によっ
て、システム・ソフトウェアが最適の形式に保持され、システム全体を通じて一貫した管理が可能になります。
SAM によるマルチシステム・ファイルとプリンタの制御
ServiceControl Manager を利用することにより、HP-UX SAM はマルチシステムにも適用できるようになります。ServiceControl
Manager を使用して SAM の主なタスクを複数のシステムに分散させれば、役割ベースのセキュリティに従って、必要なタスクを該
当するシステムに代行させることができます。マルチシステム環境に ServiceControl Manager を導入すれば、SAM によるユーザ/グ
ループのアカウント管理、監査/セキュリティの実行が可能になるほか、ディスクやファイル・システムの管理、カーネル構成の変更、
周辺装置の管理といった作業にも対応できるようになります。
HP-UX 11i リリースに対応した SAM には次の機能が追加されています。
• PCI ベース I/O カードのオンラインによる追加/交換
• VERITAS ボリュームの認識
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• Optimus Prime ディスク・アレイの構成のサポート:LUN(SCSI 論理ユニット)の作成、変更、削除、およびステータス情報の表
示など
• XP256 ディスク・アレイのサポート:アレイ LUN、各種構成の認識、および設定の表示など
Ignite/UX
ServiceControl Manager と Ignite/UX ツールを統合することにより、複数の HP-UX システムの構成を管理できるようになります。管
理者は、個々のサーバのバックアップを利用して、システム構成の一貫した「ゴールデン・イメージ」を効率的に展開できるほか、
各ノードでリストア作業を同時に実行できるようになります。インストールはネットワークを介して行われるため、CD-ROM による
更新よりもはるかに効率的に実行できます。また Ignite/UX が、ServiceControl Manager に統合される結果、ServiceControl で管理す
るクラスタのゴールデン・イメージをそのまま利用することができます。
HP-UX 11i リリースに対応した Ignite/UX には次の機能が追加されています。
• VxFS 3.3 ファイル・システムのサポート
• Set_parms の変更:構成するネットワーク・インタフェースが選択可能
• インストールの間に Tachlite および Gigabit Ethernet の使用がサポート
一般的な HP-UX コマンドの集中管理
ServiceControl Manager により、一般的な HP-UX コマンドが統合されるため、bdf、ls、cat、cp、find、ls、mv、ps、rm といった標
準的なコマンドセットを複数のシステムで同時に実行することができます。
カーネル・ロギング(KL)
サポート・エンジニアは、HP-UX 11i のカーネル・ロギング機能を利用して、システム障害の原因を迅速に特定することができます。
KL インフラにより、次のようなカーネル・ソフトウェア・メッセージを収集するためのフレームワークが提供されます。
• ディスエーブラ
• エラー
• 警告
• その他参考になるイベント
メッセージは、ディスク中のサーキュラ・ファイル(circular file:ファイルサイズはユーザが定義可能)に書き込むことができます。
また、ユーザが必要な情報のスナップショットを要求する時点まで、サーキュラカーネル・メモリのバッファ(このサイズもユーザ
が定義できます)に保存しておくこともできます。
ストレージ管理
HP-UX 11i には、オペレーティング・システムの中にストレージ管理の機能が組み込まれているため、多様なストレージをはじめ、
高速コネクティビティ・オプションがサポートされます。こうした機能によって、SAN(Storage Area Network:ストレージ・エリ
ア・ネットワーク)の構成や運用に伴う作業が一段と簡素化されます。
Tachlite Fibre Channel
HP-UX 11i では Tachlite Fibre Channel 機能がサポートされるため、ストレージ・サブシステムのパフォーマンスを一層強化すること
ができます。HP-UX 11i に対応した Tachlite Fibre Channel には次の機能があります。
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Tachlite に対応した OLAR のサポート
Tachyon に対応した EPL(ファブリックのログインは不要、HCS のみ)
ダイレクト・ブート・サポートとコア I/O
Tachyon HSC カード
同じホストでの Tachyon と Tachlite HBA のサポート
同じループでの Tachyon と Tachlite のサポート
サポートされる構成:ループ・トポロジ
最大カード数:N クラスは 2 枚、V クラスはスロット数と同じ枚数
LVM(Logical Volume Manager:論理ボリューム・マネージャ)
HP-UX 11i に対応した LVM には次の機能があります。
• 共有 LVM のもとでのストライプ化
• 共有/移行のもとでのミラー化(ミラー・ストライプ、Oracle シルバー資格取得、ミラーの高速再同期化)
• TPC-D パフォーマンスの調整
• HP ディスク・アレイ(XP256)のサポート
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投資保護
HP-UX 11i では、32 ビット・アプリケーションと 64 ビット・アプリケーションの両方がサポートされるため、既存の投資が効果的
に保護されます。また HP-UX 11i では、HP-UX 10.20 と HP-UX 11.00 で作成された「良好」なアプリケーションについてバイナリ・
レベルの互換性が保証されます。さらに、32 ビットと 64 ビットの両 HP-UX カーネルが引き続きサポートされます。
32 ビット共有ライブラリのプロファイル
HP-UX 11i では、gprof を通じて 32 ビットの共有ライブラリや関連するライブラリのプロファイルを作成することができます。
簡素化された注文と構成の手順
注文と構成の手続きを簡素化するために、HP-UX 11i は次の 4 つのオペレーティング環境に対応しています。いずれも、基本的な
HP-UX に加え一連のレイヤ型ソフトウェア製品で構成されます。これらのバンドルはインストールと運用が簡素化されているほか、
購入時にも優れた付加価値が提供されます。
オペレーティング環境のバンドル・パッケージ
各オペレーティング環境(OE):
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HP-UX 11i オペレーティング環境
HP-UX 11i エンタープライズ・オペレーティング環境
HP-UX 11i ミッション・クリティカル・オペレーティング環境
HP-UX 11i テクニカル・オペレーティング環境
いずれのオペレーティング環境(OE)でも、煩雑なインストール手順を簡素化することにより、わかりやすいインストール・プロセス
として統一してあります。さらに、保守契約などの購入手続きも大幅に簡素化されています。
アップデート・パス
HP-UX 10.20(任意のパッチ、HWE、または ACE ソリューション)から HP-UX 11i へのアップデート、HP-UX 11.00(任意のパッ
チ、または Extension Pack ソリューション)から HP-UX 11i へのアップデートが可能です。
図 3 :HP-UX 11i (HP-UX 11.11) へ の ア ッ プ デ ー ト ・ パ ス
結論
HP-UX 11i は、ビジネスの成功をお約束するオペレーティング環境戦略です。実際に、インターネット・ビジネスの開始から完了に
至るまで、HP-UX 11i が一貫して強力な支援を提供します。HP-UX 11i は、基幹業務系の E-services の開発、展開、仲介といったニ
ーズに対応する高度なスケーラビリティ、管理機能、セキュリティを完備したエンド・ツー・エンド型のインフラストラクチャを実
現できる理想的なオペレーティング環境となります。
詳細について
HP-UX 11i の詳細については、次の Web サイトをご覧ください。
ドキュメント・サイト: www.jpn.hp.com/go/manual および www.docs.hp.com
製品情報サイト : www.jpn.hp.com/go/hpux
および www.hp.com/go/hpux
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HP 製品の詳細については、次のWeb サイトをご覧ください。
www.jpn.hp.com/www.hp.com
Microsoft and Windows NT は、米国 Microsoft Corporation
の米国およびその他の国における登録商標または商標で
す。UNIXは The Open Group の登録商標です。
その他の商標名は、各所有者の商標です。
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