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腸内環境を良くするには
腸内環境を良くするには 2015.5.30 管理栄養士 森 律子 ●基本の三大要素を知り 摂るようにしてみましょう ①食物繊維 ・大腸で水分を吸収し便をスムーズに排泄 ・善玉菌のエサになる ②乳酸菌、ビフィズス菌 ・善玉菌を優位にする ③オリゴ糖 ・ビフィズス菌のエサとなる ①食物繊維について(食物繊維には2種類ある) 水に溶けない食物繊維(不溶性食物繊維) 【主な働き】 ・便秘の予防と腸内改善 水分を吸収して便のかさを増やす →腸壁を刺激してぜん動運動を促進→ スムーズな排便 →有害物質の体内停滞時間が短くなるとともに吸着して排泄させる ・満腹感で肥満防止 よく噛む食材に多い → 早食いのよる過食防止 胃内消化時間が長い → 満腹感が持続 水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維) 【主な働き】 ・有害物質の排除 排便促進効果と有害物質の吸着・排泄 ・動脈硬化、高血圧予防 腸内でのコレステロール吸収を抑制 ナトリウムの排泄を促す ●不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1 で摂るのが理想的ですがなかなか計算できないので 色々な種類を食事に摂り入れましょう 主な食材(どちらも含まれています) 不溶性食物繊維 ・豆類 いんげん豆 えんどう豆 大豆など ・穀類 玄米 ライ麦 あわなどの雑穀 ・イモ類 さつま芋 里芋 じゃが芋など ・野菜 かぼちゃ ブロッコリー オクラなど 水溶性食物繊維 ・果物 バナナ りんご いちご キウィフルーツなど ・海藻類 わかめ 昆布 モズク 寒天など ・キノコ類 しいたけ まいたけ えのきだけ エリンギなど ・野菜 ごぼう モロヘイヤ にんじんなど 食物繊維の摂取を増やすには ・主食を変えてみる 七分づき米・発芽玄米・オートミール>精白米 あるいは雑穀など混ぜてみる 日本そば>うどん ライ麦パン・全粒粉パン・玄米パン>食パン ・メイン料理にもう1種類プラス・・・ いつもの煮物+きのこ いつもの汁物+海藻 など ・副菜には野菜や海藻類・・・ 切干大根の煮物、ひじきサラダ、金平ごぼう、 野菜スープ、青菜のお浸し ・豆類、芋類も忘れずに・・・ 納豆、おから煮、さつま芋と切り昆布煮 ・果物も食物繊維が豊富・・・ 一日に握りこぶし大を目安に できるだけ皮ごと摂る *野菜は加熱した方がカサも減るので、常備菜を数種類作り 毎食食べるようにしましょう ②乳酸菌とビフィズス菌(どちらも善玉菌です) 乳酸菌(ブルガリア菌、ガゼリ菌などが仲間) ・ブドウ糖などの糖類から乳酸を生産する微生物の通称 ・酸素があっても生きられる ・ヨーグルトや発酵乳製品、キムチ、糠漬け、みそなどに含まれる ・便1gあたり10万〜100万個 ビフィズス菌 ・糖類の中でも特にオリゴ糖をエサにして酢酸と乳酸を産生 ・酸素があると生きられない→ よって手づくりヨーグルトには含まれない ・便1gあたり100億個 ビフィズス菌の様々な働き ・腸内環境を整える・・・悪玉菌の増殖を抑え有害物質を減少 ・便秘、下痢の防止・・・腸のぜん動運動を促しスムーズな排便 ・免疫力の調整・・・・腸内の免疫システムを刺激して正常化 ・病原菌の感染防止・・・生成した有機酸が腸内を酸性にして 病原菌の増殖を防ぐ ・消化吸収を助ける・・・糖質をうまく分解 ・ビタミンの生成・・・ビタミンB₁、B₂、B₆、B₁₂、 ビタミンKなどを生成 ・血中コレステロールを下げる など 乳酸菌、ビフィズス菌をうまく摂るには ・手軽に摂るにはヨーグルトがおすすめ 【選び方】 「プロバイオティクス」・・・体に有益な働きをする生きた微生物や その菌を含む商品 ❝生きたまま腸までとどく❞=胃酸などの強い殺菌力でも死滅しない 「トクホ=消費者庁許可特定保健用食品」 ・・・プロバイオティクスの医学的な効果が保証されているもの 【摂り方】 自分の腸内細菌と相性の良いヨーグルトを見つける →1日200g程度を1週間ほど摂ってみて、 快便になったり肌の調子が良くなれば○ →毎日続けて食事中や食後に摂る ③オリゴ糖 オリゴ糖とは・・・「オリゴ」とはギリシャ語で「少ない」という意味 ・砂糖や麦芽糖、乳糖などが仲間 ・小腸で消化吸収されずに大腸まで届くため ビフィズス菌のエサとなる ・母乳の研究から発見された成分 (赤ちゃんの腸内フローラは90%が ビフィズス菌で占められている) 【主な働き】 ・腸を刺激してぜん動運動を活発化→排便促進 ・血糖値、中性脂肪の上昇を抑える ・虫歯の発症を抑える など 【種類と含まれる主な食品】 ・フラクトオリゴ糖・・・たまねぎ、ごぼう、バナナ、ニンニク ・アガロオリゴ糖・・・寒天 ・アラビノオリゴ糖・・・りんご ・ダイズオリゴ糖・・・大豆 ・キシロオリゴ糖・・・たけのこ、とうもろこし など ・イソマルゴオリゴ糖・・・みそ、しょうゆ、清酒、蜂蜜 ・ラフィノース・・・ビート(甜菜) など *甘味料として売られているものもあり、カロリーは砂糖より低い *一度に大量に摂ると下痢になる可能性あり + ヨーグルト 果物 きな粉 ④ほかの要素も摂り入れてみましょう ビタミンC ・腸のぜん動運動を活発化+便を柔らかくする ・コラーゲンの生成を助け、 メラニン色素の生成を阻害し美肌に ・免疫力を高める ・果物、野菜に多いが加熱に弱い オレイン酸 ・多めに摂ると大腸まで届き腸を刺激(カロリーは高い) ・血中の悪玉コレステロールを減らす →動脈硬化、高血圧などを予防 ・酸化しにくいため発がん物質のもととならない ・オリーブオイル、ナッツ類、アボカドなどに含まれる 水 ・便を柔らかくしスムーズな排便 (便は80〜90%が水分) ・成人体重1kgあたり50ml必要 (食事などで約1ℓ摂取できるため 実際に飲むのは1.5ℓを目安に) ・一度にたくさん摂っても吸収されないため 1回にコップ1杯(200ml)を目安に摂る ・起床後、運動や入浴の前後に摂るのがおすすめ ・カフェインを含まない水、ほうじ茶、麦茶などを飲む マグネシウム ・腸管の働きを良くする ・骨を形成 ・酵素の活性化 ・神経伝達、血圧の調整に関与 ・ごま、アーモンド、ひじき、昆布、 玄米などに多い カリウム ・体内の水分バランスの調節 ・筋肉の収縮 ・ナトリウムの排泄を促す ・果物、野菜、海藻に多いが水に溶け出る