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岩手のスキー場を応援 -

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岩手のスキー場を応援 -
平成 26 年度地域課題解決プログラム
岩手のスキー場を PR するためのデジタルコンテンツ企画の検証
(岩手のスキー場を事例とするスキー・スノーボードをテーマとした
デジタルコンテンツによるムーブメント創造の可能性の検証)
岩手大学教育学部芸術文化課程美術・デザインコース
映像メディア研究室3年チーム
(明石知枝実、稲上つくし、黒川香、佐々木亮乃、土田千夏、成瀬真実、日野りり、平松菜々子)
指導教員:教授
本村健太
序
岩手県においては、安比高原等、冬季のスキー場を核として県内外からの来客を期待して
いる地域が存在する。しかしながら、国内のスキーヤー及びボーダーの数が減少傾向である
ため、スキー場経営の問題が年々顕著になってきていることを岩手スキー場協会より提示さ
れた。このような傾向は、その地域の活性化をも阻む要因となりえるが、スキー場が料金値
下げや無料券配布などの「安売り競争」の施策に走ると、より苛酷な地盤沈下状態になる可
能性もある。また、単に現行のアクティブユーザーを対象にした広告を流しても根幹の問題
は解決せず、やはり非アクティブ層にスノースポーツを認知させ、そこから新規の顧客創出
に結びつけることが喫緊の課題となっている。そこで注目されるのが、「ガールズ&パンツァ
ーと大洗町」など、地域おこしと連動したコンテンツの展開である。今回はその基礎的な調
査段階として、岩手のスキー場を事例に、学生目線によるデジタルコンテンツを起爆剤とし
たスノースポーツへの関心喚起とムーブメント創造の可能性を検証する。
研究課題として本件に取り組むことは、映像メディア研究室所属学生にとっても個人制作
に陥りがちな表現を地域のために役立てられる好機となる。
図 1:「3 色忍者~巻物を取り戻すでござる!」成瀬真実
本研究課題に先立ち、研究室所属学生の制作技術を向上させるとともに、課題への意識を
平成 26 年度地域課題解決プログラム
高めるため、平成 25 年度後期の映像メディア実習において、「スノースポーツ」をテーマと
するアニメーション作品試作を各自が行った。これらの作品は岩手スキー場協会の課題申請
者からも好評を得た。さらに、その作品の一つであった成瀬真実「3 色忍者~巻物を取り戻
すでござる!」
(図 1)については、宮城県で開催される「東北映像フェア 2014」の学生部門
において大賞を受賞することとなり、本課題研究の実施に大きな励みとなった。
I.本研究課題について
(実施計画・方法)
学生によるキャラクター及びアニメーション等のデジタルコンテンツの試作をネット上で
配信し、その可能性を検証することで、岩手スキー場協会及び関連の地域をPRするための
方策を提案し、地域の活性化につなげるための基礎研究とする。本研究課題の成果としては、
キャラクターを含むコンテンツ試作とネット配信などの可能性の検証とすることとした。
改めて岩手スキー場協会との協議を行い、課題のテーマを確認しつつ、必要となるキャラ
クター及びアニメーション等を試作する。できあがった作品は、できる限りネット上に公開
し、地域のためにもよりよいコンテンツのあり方を見出していく。
図 2:研究室のホワイトボードに残された検討の痕跡
平成 25 年 7 月中旬、岩手県スキー場協会より、安比高原(株式会社岩手ホテルアンドリゾ
ート) リゾート事業本部の佐藤圭一氏(岩手スキー場協会副会長)とサポート役の株式会社
クーシー岩手研究室(映像メディア研究室と Web デザインに関する人材育成についての共同
研究を実施)の三上洋介氏を岩手大学に迎え、映像メディア研究室所属の3年生チームが本
研究課題の実施計画について話し合った。
3年生チームは、7 月下旬までの間、独自にコンテンツについての設定を検討(図 2)し、
「雪原戦隊アスタリスク」という漫画、そしてそれを紹介するためのアニメーションを制作
すること(図 3)とした。その後、佐藤氏・三上氏との調整を加え、以下のような実施計画
を予定した。
平成 26 年度地域課題解決プログラム
図 3:「雪原戦隊アスタリスク」の誕生
■岩手県スキー場協会広報誌への掲載
協会広報誌裏面の一部に、本プロジェクトの紹介を入れる。
COCOAR(ココアル)(※)を使用して動画も視聴可能とする。
※AR とは「Augmented Reality(拡張現実)」の略。
スターティアラボのサービスである「COCOAR(ココアル)」は、マーカー型の AR コンテン
ツを誰でも簡単に作ることができる。テキストや画像、リンクはもちろん、動画や電子ブッ
クの再生も可能。(参照:http://www.coco-ar.jp/)
■スケジュール
平成 25 年 8 月
- コンテンツ企画・方向性の確認、協会広報誌デザイン入稿
9月
- コンテンツ進捗確認
10 月
- プレス発表(岩手県スキー場協会)
11 月
- 漫画第一弾リリース
12 月
- 漫画第二弾リリース
平成 26 年 1 月
- 漫画第三弾リリース
II.今年度における研究活動の経過について
(結果・考察)
上記のスケジュールに従い、学生グループが分担して作業した。8 月下旬までに佐藤氏・
三上氏の助言を受けながら、協会広報誌に掲載してもらう画像(図 4)を仕上げた。これと同
時進行で漫画公開の予告編動画も制作した。
9 月初旬、これらの制作物は、有限会社イメージクラフト杜の風の古戸英彦氏の協力によ
って、COCOAR(ココアル)の設定でリンクされることとなった。すなわち、この画像を COCOAR
平成 26 年度地域課題解決プログラム
のアプリを通して見ることにより、その場で動画が閲覧できるようになったのである。
(この動画は Youtube でも閲覧できる:http://youtu.be/l-goemlBST4)
図 4:COCOAR(ココアル)設定の画像(この画像から動画閲覧できる。)
ここで、AR によって印刷物としての広告がデジタルコンテンツと連携可能となった。この
手法は近年、次世代の広告として注目されてきているものであり、様々な可能性を秘めてい
ることが感じ取れる。
■コンセプト:あらすじ、プログラムにおける狙いや戦略について
岩手のスキー場の平和を守るため、オーナーに雇われてバイト戦士として働く3人、通称
「雪原戦隊アスタリスク」。そして彼らの前に立ちはだかるのは、スキー場に眠りし秘宝を狙
う少女達「マジカルダーク」。スキー場を懸けて彼らの壮絶な戦いが展開されていく。
メディアを用いて岩手のスキー場の活性化を図るため、この「雪原戦隊アスタリスク」が
生まれた。スキー場を舞台に、寒さをものともせず戦いを繰り広げるイケメン達と美少女達
の熱いハートでウィンタースポーツの魅力を伝える。
■映像メディア研究室所属3年生チームの役割分担
・キャラクターデザイン
雪原戦隊アスタリスク…土田千夏
マジカルダーク…平松菜々子
ユッキー、キッキー…黒川香
平成 26 年度地域課題解決プログラム
・漫画
明石知枝実、佐々木亮乃
(4 コマ漫画、黒川香)
・動画
稲上つくし、黒川香、土田千夏、成瀬真実、日野りり、平松菜々子
図 5:雪原戦隊アスタリスク(カラー表紙)
学生同士の連携作業により、
「雪原戦隊アスタリスク」の制作は進み、カラー表紙は図 5 の
ように完成した。また、第1話から第3話までの漫画(図 6、図 7、図 8)もおおむね予定通
りに完成した。
平成 26 年度地域課題解決プログラム
図 6:雪原戦隊アスタリスク(第1話より抜粋)
平成 26 年度地域課題解決プログラム
図 7:雪原戦隊アスタリスク(第2話より抜粋)
平成 26 年度地域課題解決プログラム
図 8:雪原戦隊アスタリスク(第3話より抜粋)
平成 26 年度地域課題解決プログラム
■「雪原戦隊アスタリスク」関連URL:
・「スキー王国いわて」(岩手スキー場協会)のリンクページ:
http://www.iwate-ski.gr.jp/asterisk/index.html
・岩手県「いわてマンガプロジェクト」の紹介ページ:
http://www.pref.iwate.jp/seisaku/manga/031275.html
・岩手大学からの発信:
http://www.art.iwate-u.ac.jp/asterisk/
・動画「雪原戦隊アスタリスク*予告編」
:
http://youtu.be/l-goemlBST4)
・動画「雪原戦隊アスタリスク*キャラ紹介」:
https://youtu.be/pbJymPTMUYU
・動画「アスタリスク漫画紹介 PV」:
https://youtu.be/cVln7gCQeZI
■「雪原戦隊アスタリスク」関連報道:
・岩手のスキー場を舞台にした WEB コミック配信開始-岩大が制作
(2014 年 12 月 08 日、盛岡経済新聞)
http://morioka.keizai.biz/headline/1744/
・ウェブ漫画で白銀へ招け-岩手大生が制作、スキー場協会 HP で無料配信
(2015 年 1 月 22 日、読売新聞)
■「雪原戦隊アスタリスク」の展示:
・「いわて若者文化祭」(若者が日頃培った様々なジャンルの文化・芸術を発表する場)
(2014 年 11 月 15-16 日、ななっく7階催事場)
http://www.i-w-bunkasai.net/index.html
「雪原戦隊アスタリスク」という岩手のスキー場の活性化を目的とした地域開発プロジェ
クトの予告動画を展示。アニメーションを用いることにより、スキー場のイメージをポップ
にし、若者からお年寄りまで足を運んでもらえるような足掛かりにしたい。(図 9)
・「IWATE DESIGN DAY~いわてのデザインでもっとワクワク。」
(2014 年 11 月 30 日、アイーナ 4・5F )
http://iwate-design.com/
「復興推進デジコンシェアオフィス MORIOKA」の展示スペースにて紹介(図 10)
平成 26 年度地域課題解決プログラム
図 9:「いわて若者文化祭」への出展
図 10:
「IWATE DESIGN DAY」での紹介
■「コミックいわて」シリーズ第 4 弾『コミックいわてっち』にて紹介
2015 年 3 月 20 日、岩手県内外の書店で発売の『コミックいわてっち』にて、「漫活@いわ
て」というカラーページで「いわてマンガ大賞」とともに「雪原戦隊アスタリスク」も紹介
されることとなった。
http://www.pref.iwate.jp/seisaku/manga/033831.html
平成 26 年度地域課題解決プログラム
■本プロジェクト関係者よりコメント:
株式会社クーシー岩手研究室、三上洋介氏:
学生の皆様のものづくりに対する高いモチベーションとスキルに感心しました。
本プロジェクトに対する強い思いを作品を通して感じることができたのは非常に嬉しかっ
たです。
今後の要望としてはその高いスキルと強い意志を周囲に表現、発信する方法についても学
び、ぜひ岩手県のクリエイティブを盛り上げてください。
大変よいプロジェクトだったと思います。ありがとうございました。
岩手スキー場協会副会長、佐藤圭一氏:
はじめに学生の皆さん、そしてプログラムを総括いただいた本村先生に感謝申し上げます。
岩手大学映像メディア研究室の皆さんには、このプログラムによって旧態然としたスキー
場プロモーションに新鮮な変化を与えていただきました。
課題採用いただいた際は、
「初めての試みであり、時間と共に完成度を高めていければ」と
の思いでしたが、トライアル作品、完成作品ともに、想像を大きく超えるクォリティに大変
驚いたものです。
今回のプログラムは終了となりますが、学生の皆さんにはごく短期間に素晴らしい作品を
発信されたこと、マスコミ取材を受けるほどの高い評価があったこと、そして仲間と代えが
たい協働体験を共有できたことを自信に、これからもそれぞれの強みを伸ばされて、一層成
長されることを期待しております。
近い将来、皆さんの素敵な作品や仕事に出会えることを楽しみにしています。
■指導教員よりコメント:
岩手大学教授 本村健太:
本プロジェクトは、漫画やアニメによる地域おこしとして、岩手県スキー場の現状におけ
る課題と、当映像メディア研究室の表現研究としての課題がマッチングして実現しました。
一般的には出版や放映のメディアによって大量に露出するコンテンツですが、今回のケー
スではそのような予算や労力を提供するものではないため、現状は Web を使った必要最小限
の配信に留まっています。やはりその波及効果については、今後継続していけるか、さらな
る展開ができるかということにも委ねられるように思いますが、ぜひとも「岩手県のスキー
場」とリンクするようなデジタルコンテンツとして育ってくれることを願っています。
本プロジェクトの実施におきましては、岩手スキー場協会副会長の佐藤圭一氏、株式会社
クーシー岩手研究室の三上洋介氏、有限会社イメージクラフト杜の風の古戸英彦氏にたいへ
んご尽力いただきました。また、本プロジェクトの紹介におきましては、岩手県環境生活部
若者女性協働推進室主査の兼平俊亮氏、復興推進デジコンシェアオフィス MORIOKA の川崎能
敬氏に、報道におきましては、盛岡経済新聞の山崎なつ美氏、読売新聞盛岡支局の高橋学氏
にお世話になりました。改めてお礼申し上げます。
平成 26 年度地域課題解決プログラム
図 11:映像メディア研究室3年チーム
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