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もう王子さま以外愛せない!? ~メディア依存が引き起こすナショナリズム

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もう王子さま以外愛せない!? ~メディア依存が引き起こすナショナリズム
「もう、王子さま以外愛せない!?」
~メディア依存が引き起こすナショナリズム~
福田充ゼミナール
11月3日 251講堂
13時30分~14時20分
法桜祭学生フォーラム
1
2
第1部
メディアがつくる
王子ブーム
3
ハンカチ王子(斎藤佑樹)
©『ハンカチ王子パーフェクトブック』講談社
©朝日新聞 2007年6月2日 夕刊
昨年の甲子園から人気者になった「ハンカチ王子」こと
斎藤佑樹選手(早稲田大学1年)。
6月には、彼見たさにファンが球場へ押しかけた。
4
ハニカミ王子に群がる人々
アマチュアの試合にも
かかわらず、異例の
1900人のギャラリー
が集まった。
©毎日新聞
5
王子好き度(N=374)
とても好き
まあまあ好き
あまり好きではない
0%
好きではない
無回答
50%
100%
1.9%
斎藤佑樹
9.9%
52.9%
19.3%
16.0%
1.6%
石川遼
6.1%
51.3%
21.7%
19.3%
2.1%
2.4%
20.6%
ペ・ヨンジュン
34.0%
40.9%
2.1%
デビット・ベッカム
6.1%
41.2%
32.6%
17.9%
※ハンカチ王子とハニカミ王子が好きな人が
50%を超えている。
6
過去にも・・・
ヨン様目当てに
わざわざ空港まで
押しかけるマダムたち
© http://mcn-tokyo.com/blog/archives/2004/11/post_25.html
7
スピリチュアルブーム
「オーラの泉」をはじめとする
スピリチュアル的な番組が流行っている。
© Sony Music Direct
© チケットぴあ
オーラの泉HP http://www.tvasahi.co.jp/aura/
8
細木ブーム
“視聴率の女王”と呼ばれ、
テレビメディアを支配している。
細木数子による六星占術が大流行。
・TBS「ズバリ言うわよ!」
・CX「幸せって何だっけ」
2003年にKKベストセラーズから
発売された
「幸せになるための先祖の祀り方」
はベストセラーとなった。
©KKベストセラーズonline
9
スピリチュアルブームへの関心度(N=374)
とても関心がある
0%
やや関心がある
あまり関心はない
50%
関心はない
無回答
100%
3.5%
21.9%
スピリチュアル・ブーム
24.1%
49.5%
1.1%
スピリチュアルブームへの好意度(N=374)
とても好き
まあまあ好き
あまり好きではない
0%
江原啓之(オーラの泉)
6.4%
好きではない
無回答
50%
23.3%
30.7%
100%
37.4%
2.1%
2.4%
細木数子
16.6%
27.5%
52.1%
※25%の人がスピリチュアルブームに関心を持ち、また、
29%の人が江原啓之が好きだ。
1.3%
10
なぜこれほど人気が出たのか?
メディアが
人気を作っているのではないか?
11
メディアイベント
ダニエル・ダヤーン&エリア・カッツ(1996)
「メディアイベントとはテレビで放送されながら
とり行われる行事、国民あるいは世界を
席巻するような歴史的行事を問題とする」
例…甲子園、W杯、オリンピックなど
12
メディアイベントの例①
甲子園
昨年の甲子園決勝戦
駒大苫小牧-早実の
テレビ瞬間最高視聴率は
30.4%だった。
徹夜組49人を含む
2100人のファンが
開門を待った。
©2006,Nikkan Sports News.
13
メディアで取り上げられた
ハンカチ王子 (N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
0%
そう思わない
無回答
50%
100%
1.3%
11.2%
ハンカチ王子を知ったのは甲子園の活躍後の
テレビ報道を通じてである
43.9%
19.3%
24.3%
※メディアの報道を通じて、ハンカチ王子を知った
人が62%もいる
14
メディアイベントの例②
• W杯 2002年日韓共催W杯
©2002,Nikkan Sports News.
15
近年のメディアイベントの動向
視聴率がほしい
イベント
メディア
テレビ
オーディエンス
スターの発掘
スターが見たい
スターの誕生
16
マスコミがつくったベッカム・ブーム
正確無比のフリーキック、
そして持ち前の甘いルックス
からメディアが連日報道した。
その結果、サッカーに興味
がない人たちからも圧倒的
人気を得た!!
© Biografías y Vidas, 2004
17
ブーム関心度(N=374)
とても関心がある
やや関心がある
0%
関心はない
無回答
50%
1.9%
王子ブーム
15.0%
2.9%
あまり関心はない
100%
0.3%
45.5%
37.5%
5.3%
0.5%
27.8%
韓流ブーム
63.4%
0.5%
2.9%
ベッカム・フィーバー
7.8%
30.2%
58.6%
3.0%
スピリチュアル・ブーム
1.1%
21.9%
24.1%
49.5%
※王子ブームに関心がある人が17%いる。
日本の人口に換算すると、約2159万人!!
※スピリチュアルブームに関心がある人が25%いる。
日本の人口に換算すると、約3181万人!!
18
私たちの疑問
どのような人が、
王子ブームや
スピリチュアルブームに
群がってしまうのか?
これにはメディアが
関わっているのではないか?
19
理論仮説
‡人々が王子ブームに群がる原因には、
不安の心理が働いているのではないか。
ブーム現象
メディア
‡不安の心理が、メディア依存を生み出しているの
ではないか。
‡メディア依存している人ほど、ぷちナショナリズム
の傾向にあるのではないか?
‡メディアが作るぷちナショナリズムが、ナショナリ
ズムを引き起こしているのではないか。
心理
ナショナリズム
20
理論仮説
この仮説を実証するため、調査を実施!!
ブーム現象
メディア
心理
ナショナリズム
21
調査概要
●世田谷区住民アンケート
〈対象者〉世田谷区在住の15歳以上の男女
〈対象地域〉
桜上水
(京王線)
経堂
祖師谷
(小田急線)
駒沢
上用賀
(田園都市線)
上野毛 等々力
(大井町線)
〈調査実施方法〉自記式質問紙による訪問留置調査法
〈調査実施日〉2007年8月1日~9月3日
〈有効回答数〉374票(男150票 女224票)
〈有効回答率〉95.9%
22
調査概要
〈訪問留置調査法〉
z 調査員が対象者の居住地へ訪問し、対象者を特定して
自記式の調査票を預け記入を依頼、回収する調査方法。
回収率が他の調査方法に比べ高くなるのが特徴。
〈対象年齢・性別〉
z 今回の調査に関しては、「メディアを自主的に利用し、
世論に影響を及ぼす」年齢層が必要であるとし、
15歳以上の男女を、その対象とした。
23
調査概要
〈標本抽出方法〉エリアサンプリングによる有意抽出
日本全国と世田谷区の男女比、年齢構成比、職業形態を比
較した結果、類似性が認められ、全国の縮図としての代表性
があるものとした。
さらに、世田谷区主要各線沿いの、教育機関(学校)を中心と
した地域に一般世帯の地域コミュニティがあると考え、7地域
を抽出した。
このように代表性の確保できる地域を抽出することを
エリアサンプリングという。
24
調査概要
平成17年総務省統計局国勢調査より
年齢層
全国
0%
15~19歳
5%
男女比
世田谷
男
10%
15%
12.2%
16.3%
14.4%
30~39歳
40~49歳
12.3%
13.8%
50~59歳
12.2%
70~79歳
0%
50%
100%
5.2%
4.2%
20~29歳
60~69歳
20%
女
10.1%
12.5%
全国
48.8%
51.2%
世田谷
48.5%
51.5%
18.3%
14.9%
9.3%
7.8%
25
桜上水
京王線
経堂
祖師谷
小田急線
東急田園都市線
駒沢
上用賀
東急大井町線
上野毛
等々力
26
地域別有効回答率
上用賀
16%
上野毛
11%
経堂
11%
合計:374名
駒沢
13%
祖師谷
15%
桜上水
21%
等々力
13%
27
第2部
不安から依存へ
28
質問があります!
当てはまる項目に、チェックしてください。
□将来像を明確に持っている。
□個性をとても大切にしている。
□自分なりの価値観を持っている。
□納得のいく生き方をしている。
□興味を持ったことは、どんどん
実行に移していくほうである。
29
まったく当てはまらなかった人!
・自分の生き方に自信を持てない!
・自己定義してほしい!
・人に自分の道を決めてもらいたい!
=アイデンティティの欠如
30
アイデンティティ
E.H.エリクソン(1950)
• 「自分とは何か?」という問いかけを自身に行い、
その過程の中で新たな自己を再統合し、自己認
識を深めていくこと。自我同一性。
↓
「自分探し」
自分とは、何なのだろうか?
自分は、どうすればいいだろうか?
31
©京都国立博物館
アイデンティティの確立
大人になっても自分がすべき事が
よくわからない人間が多い。
→それから逃げる人が モラトリアム人間
現代では、特別な人じゃなくてもアイデンティティが
確立しにくい社会となっている!
自分で自分がわからない。
32
アイデンティティ(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
無回答
50%
100%
5.9%
自分の将来像を明確に持っている
23.5%
36.1%
自分の個性をとても大切にしている
この先、生きていくことに漠然とした不安がある
44.4%
15.2%
傷つきやすく、もろい性格である 11.2%
25.4%
47.3%
36.9%
25.9%
31.3%
42.8%
0.8%
2.9%
13.1% 0.5%
15.5% 1.1%
19.8%
0.3%
※「この先、生きていくことに漠然とした不安がある」
と感じている人が51%もいる。
現代社会人のアイデンティティが欠如している。
33
アイデンティティが欠如すると…
不安
孤独
同調
依存
34
不安
都留春夫(1981)
自己の将来に起こりそうな危険や苦痛の可能性を
感じて生じる不快な情動現象。
スピルバーガー(1966、1970)
・状態不安
人間という生活体の一時的情動状態
あるいは条件。
→一時的な不安状態
・特性不安
パーソナリティ特性としての不安。
→慢性的な不安状態
35
不安(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
0%
そう思わない
無回答
50%
100%
7.5%
何かにつけ、よく心配する
26.7%
35.8%
将来、何か悪いことが起きそうな気がして 7.5%
39.6%
22.2%
ならない
2.4% 9.9%
43.0%
いつも緊張していてリラックスできない
5.9%
19.8%
自分に自信がない
7.5%
15.8%
現実から逃げたくなる
44.7%
38.0%
29.7%
29.7%
0.3%
1.1%
44.7%
29.1%
37.7%
0.8%
1.1%
※「何かにつけ、よく心配する」人は、63%もいる。
36
現代は不安社会
格差社会
憲法改正問題
年金問題
就職活動
教育問題
北朝鮮問題
37
現代人の不安の増大
38
同調行動
アッシュ(1951)
「他者や集団の基準と同じ行動をとること」
ドイチェ&ジェラード(1955)
同調過程には以下の2つがある。
①多数派の行動に合わせる「規範的影響」
②他のメンバーの意見を参考に
自分の意見を変える「情報的影響」
39
同調(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
0%
無回答
50%
他人の服装や化粧が気になる 11.5%
仲間はずれになるのは嫌だ
そう思わない
18.7%
31.0%
100%
36.9%
40.4%
20.3%
27.8%
0.3%
13.1%
4.3%
常に流行には気を配っている
みんなと一緒だと安心する 10.2%
21.4%
44.1%
38.5%
29.4%
36.1%
0.8%
14.7% 0.5%
※「仲間はずれになるのは嫌だ」と感じる人が59%もいる。
40
集団同一化現象
メシック・ブレワー(1983)
彼らは、同じスターに群がることによって
共同体としての一体感を得ている。
これはみんなと同じだと
安心するという
心理をさす。
41
孤独(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
無回答
50%
100%
2.7% 8.6%
自分の精神的な居場所が見つけられない
40.6%
1.1%
47.1%
0.8%
私には、心の支えが必要だ 17.1%
29.1%
32.6%
19.8%
※「心の支えが必要だ」と思っている人は46%もいる。
42
依存
ガリアン(1984)
自分の拠り所、支え、安全保障、承認を自己の外側
に求めること。
マコビー&マスターズ(1970)
依存の特徴として以下のようなものがある。
• 近くにいようとすること
• 分離に抵抗すること
• 助けを求めること
43
依存現象の例
• ドラッグ依存→薬物によって不安解消を求める。
• ネット依存→ネットの世界に自分の居場所を求める。
• アルコール依存→アルコールに不安解消を求める。
• ギャンブル依存→ギャンブルすることで楽しさを得る。
44
依存(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
50%
2.9%
14.7%
誰かに生きる指針を示してもらいたい
仕事するとき、手伝ってくれる人が欲しい
壁にぶつかったとき、すぐ誰かに
助けてもらう
他人から指図を受けるのが嫌いだ
私にできないことを、誰かかわりに
やってほしい
無回答
43.9%
0.5%
38.0%
36.1%
16.3%
100%
32.1%
14.7%
0.8%
4.3%
21.1%
35.6%
14.7%
9.6%
47.6%
22.2%
26.5%
35.8%
43.9%
0.5%
12.6% 1.3%
23.3%
※「生きる指針を示してもらいたい」と思う人は18%、
「壁にぶつかったとき、すぐに誰かに助けてもらいたい」
と思う人は25%もいる。
1.1%
45
相関分析とは??
AとB、両者の間に相関関係があるか調べる分析
・相関係数が大きいほど、相関関係が強い。
0≦r≦1→正の相関(Aが強まれば強まるほど、Bも強まる)
-1≦r≦0→負の相関(Aが強まれば強まるほど、Bは弱まる)
例、r=0.59
例、r=-0.25
正の相関は1に近いほど相関関係が強い。負の相関は-1に近いほど相関関係が強い。
例、r=0.21と、r=0.45では、r=0.45のほうが相関関係が強い。
・分析結果の誤差を確かめるために、統計的有意水準の検定を行う。
検定の結果はP値で表され、P値が小さければ小さいほど、その分析結果は正しい。
P値は*(アスタリスク)で表示され、*がなければ、統計的な有意差が認められない。
①p<0.05→* 5%水準有意差(95%以上相関関係あり)
②p<0.01→** 1%水準有意差(99%以上相関関係あり)
③p<0.001→*** 0.1%水準有意差(99.9%以上相関関係あり)
46
合成変数とは
複数の項目を点数化→その点数をもとに1つの変数を作成。
項目の選定は、心理尺度集を参照。
例:アイデンティティ
①自分の将来像を明確に持っている(問1-a)
②自分の個性をとても大切にしている(問1-b)
③この先、生きていくことに漠然とした不安がある(問1-d)
④傷つきやすく、もろい性格である(問1-f)
各項目ごとに、
そう思う(あてはまる)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4点
ややそう思う(ややあてはまる)・・・・・・・・・・・・・3点
あまりそう思わない(あまりあてはまらない)・・・2点
以上の点数をもとに換算
そう思わない(あてはまらない)・・・・・・・・・・・・・1点
作成した合成変数を用いて分析を行っていく
47
アイデンティティ(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
無回答
50%
100%
5.9%
自分の将来像を明確に持っている
25.4%
44.4%
23.5%
0.8%
2.9%
この先、生きていくことに漠然とした不安がある
47.3%
36.1%
自分の個性をとても大切にしている
15.2%
傷つきやすく、もろい性格である 11.2%
36.9%
25.9%
31.3%
42.8%
13.1%
0.5%
15.5% 1.1%
19.8%
0.3%
これらを、合成変数化する。
48
アイデンティティと不安
不安とその他の心理との相関
0.28***
-0.52***
アイデンティティ
同調
0.44***
孤独
不安
0.35***
数値は相関係数
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
依存
※アイデンティティが欠如している人ほど、不安を感じ、
同調・孤独・依存しやすい。
49
不安な人々は依存する
↓
その依存するものは、メディアではないか?
50
第3部
メディアの影響
51
メディアの平均利用時間(N=374)
0
20
40
テレビ
書籍・雑誌・週刊誌
80
100
120
140
160 (分)
139.2
新聞(一般紙)
スポーツ新聞
60
32.2
2.7
37
インターネット
34.8
携帯電話
34.2
※テレビの平均利用時間は、ほかのメディア利用時間の約4倍だ。
52
メディアへの好意(N=374)
とても好き
まあまあ好き
あまり好きではない
0%
好きではない
無回答
50%
100%
3.5%
31.0%
テレビ
55.1%
10.4%
3.7%
24.9%
新聞(一般紙)
スポーツ新聞 4.3%
58.8%
24.6%
11.8%
39.3%
0.8%
2.4%
29.4%
4.0%
37.4%
書籍
47.1%
11.2%
0.3%
5.9%
36.6%
週刊誌
インターネット
21.1%
32.9%
39.6%
23.5%
18.7%
18.4%
1.1%
2.1%
※86%もの人が、テレビに対して好意を抱いている。
53
メディアへの信頼(N=374)
とても信頼している
まあまあ信頼している
あまり信頼していない
0%
テレビ
新聞(一般紙)
スポーツ新聞
書籍
信頼していない
無回答
50%
7.2%
100%
54.5%
17.9%
2.1%
18.4%
6.4% 0.8%
31.0%
69.0%
9.4%
44.9%
13.6%
2.9%
31.0%
0.8%
3.5%
72.2%
8.8%
2.7%
2.7%
1.9%
週刊誌
インターネット 5.3%
15.8%
48.1%
47.3%
31.8%
27.8%
2.4%
15.5%
4.0%
※62%もの人が、テレビの情報に対して信頼している。
54
メディアへの意識(依存傾向)① (N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
テレビは、娯楽として欠かせないものである
テレビのない生活は考えられない
無回答
50%
29.4%
テレビを見ていると、なんだか安心する 9.1%
20.1%
39.8%
25.9%
自分が気になっている人を、もっとメディアで取り
12.0%
上げてほしい
100%
32.4%
22.7%
13.4% 0.8%
14.7% 0.8%
1.3%
29.4%
37.7%
19.5%
34.5%
36.4%
19.3% 0.8%
※62%もの人が「テレビのない生活は考えられない」と思っている。
55
メディアへの意識(依存傾向)②(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
0%
テレビ番組を楽しむことで、現実の困難を
忘れようとしている
5.6%
18.7%
2.9% 7.8%
インターネットをしていないと落ち着かない
28.3%
1.1% 6.4%
39.8%
テレビや新聞が悩みを解決してくれる
そう思わない
無回答
50%
39.3%
100%
35.6%
58.3%
51.9%
0.8%
2.7%
0.8%
※24%の人が、
「テレビ番組を楽しむことで、現実の困難を忘れようとしている」。
56
相関分析と重回帰分析の違い
2つの事象の因果関係を調べる分析のこと。相関分析
だけでは分からない事象間の因果関係を調べられる。
『相関分析』
運動不足
体重の増加
ケーキ
食べすぎ
どちらが原因でどちらが結果なのかわからない。
57
相関分析と重回帰分析の違い
そこで・・・
『重回帰分析』を行うことにより、因果関係が明らかになる!!
『重回帰分析』
結果
運動不足
原因
ケーキ
体重の増加
食べすぎ
ケーキを食べたことが、体重の増加の主な原因であることがわかる。
58
メディア依存と心理
重回帰分析モデル
0.12*
不安
0.11
孤独
同調
メディア依存
0.36***
数値は標準化係数β
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
※同調意識がメディア依存を引き起こしている。
59
メディア利用時間とメディア依存の
重回帰分析モデル
テレビ
0.33***
新聞
-0.18**
スポーツ新聞
0.05
テレビ利用が
0.002
書籍
メディア依存をもたらしている
0.17**
インターネット
携帯電話
メディア依存
0.13*
数値は標準化係数β
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
60
マスコミの「利用と満足」研究
ベレルソン(1949)
「受け手は、送り手の意図や内容からは予測できないような動
機でメディアを利用し、各種の満足を得ている。」
欲求
メディア
満足
61
私たちはテレビから、
どのような満足を得ているのか?
62
番組ジャンルの場合
第1因子
第2因子
第3因子
第4因子
自然・歴史・紀行番組
0.665
-0.087
-0.087
0.059
政治・経済・社会番組
0.539
-0.059
-0.001
0.118
ドキュメンタリー
0.488
0.093
0.137
0.007
ニュース
0.379
0.039
0.103
0.079
教育番組・語学講座
0.361
0.101
-0.049
-0.259
生活・実用番組
0.338
0.192
0.123
-0.214
音楽番組
0.043
0.472
0.007
0.079
映画
0.171
0.416
0.027
0.107
バラエティー
-0.198
0.411
0.322
0.014
アニメ・漫画
-0.047
0.386
-0.015
-0.055
ドラマ
0.061
0.366
0.22
0.012
ワイドショー
0.201
0.08
0.861
0
スポーツ番組
0.187
0.213
0.008
0.698
第1因子、第2因子は因子分析の結果、グループ化が可能!!
63
因子分析とは??
バラバラに存在する項目をパターン化する分析
Q.あなたが好きなスポーツは何ですか?
非常に好き
やや好き
あまり好きでな
い
好きではない
球技因子
サッカー
1
2
3
4
マラソン
1
2
3
4
相撲
1
2
野球
1
2
プロレス
1
卓球
個人因子
3
4
3
4
2
3
4
1
2
3
4
ラクロス
1
2
3
4
テコンドー
1
2
3
4
格闘技因子
64
番組ジャンルの場合
第1因子
第2因子
第3因子
第4因子
自然・歴史・紀行番組
0.665
-0.087
-0.087
0.059
政治・経済・社会番組
0.539
-0.059
-0.001
0.118
ドキュメンタリー
0.488
0.093
0.137
0.007
0.039
0.103
0.079
ニュース
教養番組
0.379
教育番組・語学講座
0.361
0.101
-0.049
-0.259
生活・実用番組
0.338
0.192
0.123
-0.214
音楽番組
0.043
0.472
0.007
0.079
映画
0.171
0.416
0.027
0.107
0.322
0.014
0.411
娯楽番組
バラエティー
-0.198
アニメ・漫画
-0.047
0.386
-0.015
-0.055
ドラマ
0.061
0.366
0.22
0.012
ワイドショー
0.201
0.08
0.861
0
スポーツ番組
0.187
0.213
0.008
0.698
第1因子を教養番組、第2因子を娯楽番組として合成変数化!!
第1因子、第2因子は因子分析の結果、グループ化が可能!!
65
不安
同調
孤独
依存
教養番組
0.31***
0.21**
娯楽番組
スポーツ番組
0.43***
メディア依存
心理とメディア依存の相関モデル
ワイドショー
数値は相関係数
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
※同調・孤独傾向がある人ほど娯楽番組を見ている。
娯楽番組を見ている人ほどメディア依存をしている。
66
男女別の心理作用
娯楽番組と心理の相関モデル
同調
0.27***
娯楽番組
孤独
女性
0.38***
0.44***
メディア
依存
数値は相関係数
0.27**
娯楽番組
男性
0.24**
0.48***
メディア
依存
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
※女性は同調傾向が、男性は孤独傾向がある人ほど、
娯楽番組の視聴頻度、メディア依存の傾向が高い。
67
パス解析
3変数以上の因果関係の連鎖を調べる分析のこと。
重回帰分析を繰り返し行い、因果関係の流れを調べる。
この分析には標準化係数(β)を用いる。
β=因果関係の強さの値。(βが大きいほど因果関係が強い)
パス解析を行うと、例えば・・・
ストレス
ケーキ
体重の増加
上のような3つの因果関係の流れを調べることができる。
68
パス解析
『体重の増加』に何が影響したのかを調べたい。
→それぞれを重回帰分析し、影響を与えているものを調べる。
ex) ①『体重の増加』と他の2つを重回帰分析
→『ケーキ』のほうがβが強い(体重の増加はケーキが原因)
②次に『ケーキ』と『ストレス』を重回帰分析
→ケーキを食べる原因はストレスにあることがわかる
よって・・・
β=0.65***
β=0.21*
ストレス
ケーキ
このような因果関係の流れがあることがわかる。
体重の増加
69
男女別の心理作用
娯楽番組と心理の相関モデル
同調
0.27***
娯楽番組
孤独
女性
0.38***
0.44***
メディア
依存
数値は相関係数
0.27**
娯楽番組
男性
0.24**
0.48***
メディア
依存
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
※女性は同調傾向が、男性は孤独傾向がある人ほど、
娯楽番組の視聴頻度、メディア依存の傾向が高い。
70
娯楽番組と心理のパス解析モデル図
(女性)
娯楽番組
0.24***
同調
0.40***
メディア依存
※女性は娯楽番組を視聴することで、同調傾向が高まり、
メディア依存をしてしまう。
(男性)
孤独
0.31***
娯楽番組
0.45***
メディア依存
※男性は、 娯楽番組を視聴することで、孤独を解消し、
メディア依存をしてしまう。
数値は標準化係数β
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
71
テレビ局がつくる
メディア依存?!
①視聴率稼ぎのためにシンボル
(王子など)を作り、それを放送する。
テレビ局
②「何かにすがりたい」という気持ちから、
放送されているシンボルに関心を寄せる。
視聴者
③シンボルが注目された際に、
視聴率のために、さらに放送する。
②③の流れが
繰り返されることで…
72
ハニカミ盗聴事件
TBSはハニカミ王子こと、石川遼選手の同伴の選手に盗
聴器を装着してリポートを依頼していたことがわかった。
→しかし、未遂で終わる。
さらに同日、無断でヘリコプターを会場上空に飛ばしたこと
によって非難を受けた。
メディアは視聴率を得ようとした結果、
過剰報道をしてしまった。
73
マスコミの現場からの意見
ノンフィクション作家
黒井克行氏
「ハニカミ王子はひとつの素
材だから、メディアはそれを
奪い合うしかない」
「メディアは選手を“商品”と
して扱っている」
74
メディアリテラシー
鈴木みどり(1997)
市民がメディアを社会的文脈でクリティカルに
分析・評価・アクセスし、多様な形態でコミュニ
ケーションをつくりだす力を指す。
また、そのような力の獲得を目指す取り組み。
75
メディアリテラシー(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
0%
無回答
50%
メディアがハンカチ王子のようなスターを
作っている
29.4%
100%
5.9%2.9%
30.7%
0.8%
59.6%
1.3%
テレビや新聞が言っている情報はすべて
15.8%
事実である
テレビや新聞の伝え方は公平ではない
そう思わない
44.7%
48.4%
37.7%
0.5%
7.0%
15.0% 0.3%
※「テレビや新聞が言っている情報はすべて事実である」
と思う人が17%いる。
76
メディア依存スパイラル
0.49***
メディアへの信頼
メディアへの好意
0.35***
-0.30***
メディアリテラシー
-0.32***
0.31***
メディア依存
数値は相関係数
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
※メディアへの信頼が高まるとメディアの好意が上昇し、また、
メディアリテラシーが下がり、メディア依存が発生する。
77
メディア依存からの相関モデル
0.49***
メディア依存
0.23***
王子への
好意
ブームへの
関心度
0.43***
数値は相関係数
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
スピリチュアル
ブームへの好意
※メディア依存すればするほど、ブームへの関心が高くなり、その
ブームに関係する人物への好意が高くなっていく。
78
この先には何が待っているのだろう?
79
第4部
依存と不安がもたらす
ナショナリズム
80
81
みんなは、
ぷち・ナショナリズムを知っているかな?
知ってま~す!
別に…
知らな~い!
82
「ぷち・ナショナリズム」
香山リカ(2007)
ぷち・ナショナリズムとは、サブ・カルチャーの領域で
発生するナショナリズム。
©香山リカ室
©Amazon.co.jp
83
ぷち・ナショナリズムとは・・・??
・スポーツの国際大会などで
日本選手の勝利をうれしく思う気持ち
・マンガやアニメが海外で流行って
いることを、誇りに思う気持ち など
© YOMIURI ONLINE
©東映アニメーション
84
ぷち・ナショナリズム(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
50%
52.4%
2.7%
39.0%
0.3%
5.9%
日本のアニメやマンガが世界で流行していることを
誇りに思う
日本人監督や映画が世界で賞を
獲ると嬉しい
100%
5.6%
オリンピックなどで日本人の選手が活躍すると
誇らしい気分になる
ワールドカップのときに日本代表の
ユニホームを着て応援した
無回答
31.8%
6.1%
39.8%
22.2%
0.3%
6.1%
12.0%
74.1%
1.6%
9.1%
36.1%
39.8%
14.2%
0.8%
※「オリンピックでの日本人の選手の活躍」を誇らしいと思う人の割合が、91%もあり、
「マンガやアニメの海外での流行」を誇りに思う人の割合が72%もある。
85
メディア依存が引き起こすぷち・ナショナリズム
メディア依存
0.23***
0.49***
ブーム関心
王子好き
0.43***
スピリチュアル好き
0.23***
0.28***
ぷち・ナショナリズム
数値は相関係数
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
メディア依存によって、ブームの中心にあるものに群がる
ぷち・ナショナリズムが発生!!
86
メディア依存
ぷち・ナショナリズム
このつながりは、さらに何かを生み出しているのでは?
ナショナリズム
従来のナショナリズムに関係があるのではないか?
87
ナショナリズム
大石裕(2006)
「人々が、地域、宗教、言語などを要因とする
『ネーション(民族ないしは国民)』」という単位を想
定し、それに対する人々の求心力を増大させ、諸
利益の拡張を図ろうとする思想と運動」
88
ナショナリズムの事例
例:北朝鮮拉致問題
小泉元首相が訪朝したことで、
拉致被害者救出に対する
世論が高まった。
また、安倍前首相は、外交で拉致問題を
重視していたことで、他国のメディアで
ナショナリストとして取り上げられた。
©asahi.com
89
ナショナリズム①(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
無回答
50%
日本に生まれてきてよかった
100%
3.5%
5.1%
28.9%
62.6%
5.3%
日本人であることに誇りを感じている
自分なりに日本のために役に立ちたいと思って
いる
32.9%
28.9%
43.0%
46.5%
18.4%
0.3%
6.1%
0.3%
18.2%
7.8%
愛国心を持つのは当然だ
39.0%
35.0%
※「日本に生まれてきてよかった」と感じる人が
90%を超えている。
17.4%
90
ナショナリズム②(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
無回答
50%
100%
10.4%
日本は一流国だ
17.4%
0.3%
35.8%
36.1%
6.4%
日本は国連の常任理事国に入るべきである
38.0%
30.7%
1.3%
23.5%
11.2%
日本人は他の国と比べて、優れた民族である
18.7%
33.7%
34.8%
1.6%
※「日本は一流国だ」と感じている人が、54%もいる。
91
ナショナリズム③(N=374)
そう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
そう思わない
0%
無回答
50%
100%
1.6%
靖国神社に参拝するのは国民として望ましい
ことだ
17.9%
27.0%
35.6%
17.9%
12.3%
憲法9条は改正すべきだ
3.2%
21.7%
31.0%
31.8%
※「憲法9条は改正すべきだ」と思っている人が34%いる。
92
ナショナリズム
ナショナリズムとメディアには
どのような関係があるのだろうか?
そして、その関係に危険性はないのか?
93
メディアとナショナリズム
大石裕(2006)
「マス・メディアおよびインターネットなどの
ニューメディアの普及が、国民国家の
ナショナリズムを増幅させる一連の現象」
94
©Amazon.co.jp
メディアとナショナリズムのメカニズム
スポーツ
文化
社会
国民の価値観
の共有
メディアが
情報を集約・意味づけ
政治
国家的
アイデンティティ
我々意識の
形成
経済
生活
外交
芸能
95
メディアとナショナリズムの事例①
9.11以降のアメリカ
テロの後、メディアがブッシュ
政権によるイラク戦争を支持
したことで、国民のほとんどが、
戦争を支持するようになった。
©世界航空機年鑑
©Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/
また、番組内で反戦を訴えた
人気キャスターが解雇される
という事態にまで発展してし
まった。
96
メディアとナショナリズムの事例②
ナチス・ドイツ
ラジオや広告などのメディア
を駆使して民衆の圧倒的な
支持を得たヒトラーは、反ユ
ダヤを掲げ、ナショナリズム
を高揚させ、ファシズムへの
道を歩んだ。
©ヒトラーの予言
http://inri.client.jp/hexagon/floorB1F_hss/hitler17_b.jpg
97
アンダーソン(1983) 『想像の共同体』
国民とは「イメージとして心に描かれた想像の政治共同体」
だが「想像の共同体」は国民だけではない。あらゆる共同体
は、自らを同一性を持つ集団としてのイメージと共にある。
・県民/市民
・ファン集団
・学校
・友達のグループ
あらゆる集団はすべて「想像の共同体」
98
シンボルとメディア
社会現象
メディア
メディア
99
メディアとナショナリズムの相関モデル
不安
同調
0.25***
メディア依存
0.43***
0.23***
0.49***
ブーム関心
0.26***
王子好き
0.28***
ぷち・ナショナリズム
0.43***
スピリチュアル好き
0.23***
0.40***
ナショナリズム
数値は相関係数
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
100
分析結果
・アイデンティティの欠如が不安を引き起こしている。
・不安、同調傾向のある人はメディア依存の傾向がある。
・メディア依存がメディアリテラシーの低下をもたらす。
・メディア依存が強い人はブームへの関心が高い。
・ブームに関心のある人ほど、ぷち・ナショナリズム傾向がある。
・ぷち・ナショナリズム傾向が強い人ほど
メディア・ナショナリズムの影響を受けやすい。
101
分析結果モデル
ブーム関心
メディア依存
テレビ利用
不安・同調
ナショナリズム
ぷち・ナショナリズム
不安で群がりたい人々がメディア依存する
↓
ナショナリズムが発生!
102
このままでは…
103
い
ら
さ
お
メディア利用時間とメディア依存の
重回帰分析モデル
テレビ
0.33***
新聞
スポーツ新聞
メディア依存
書籍
インターネット
携帯電話
数値は標準化係数β
有意水準: ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05
メディア依存の原因はテレビ利用にある!
104
い
ら
さ
お
メディアの平均利用時間(N=374)
0
20
40
テレビ
80
100
120
140
160 (分)
139.2
新聞(一般紙)
スポーツ新聞
60
32.2
2.7
書籍・雑誌・週刊誌
37
インターネット
34.8
携帯電話
34.2
※テレビ利用に偏ってしまい、他メディアとの接触が減っている。
105
メディア依存を防ぐためにも!!
広い視野を持ち、多くの価値観に触れていこう!! 106
会場のみなさん
まずは、自発的に情報を得ようと動いてみよう!
そうすれば、
いつもの世界が、違って見えてくるはず!
能動的な受け手になることで、
メディア依存から脱却しよう!!
107
ご清聴ありがとうございました。
福田充ゼミナール一同
108
福田充ゼミナール 5期生
ゼミ長
副ゼミ長
國方
今村
三橋
矢沢
山下
伊藤
恵
大輔
清人
稔明
彰悟
将史
加那
爽
109
質疑応答
疑問・質問などございましたら、
どうぞお気軽にお尋ねください。
110
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