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352KB - 地球生命圏研究機構
名古屋大学 21世紀 COEプ ログラム 「太陽・地球・生命圏相互作用系の変動学」 http://www.coe.env.nagoya-u.ac.jp/ SELIS ニュースレター January 2008 第9号 持続する志としての SELIS の精神 安成哲三(地球水循環研究センター) とうとう 5 年目も終わりになってしまいました。 この SELIS-COE を通して、その感をますます深め あっという間でしたが、この SELIS-COE の 5 年間 ています。 は、私にとって、新たなチャレンジでもあり、また このような理解には、地球というフィールドの観 さまざまな分野とさまざまな階層・世代の人たちと 察・観測、データの解析、そして統合的理解のため の楽しい協働の期間でもありました。 のモデリングという方法を、個人あるいはグループ COE として採択された頃、学内外からも COE の としてオールラウンドにしてコンプリートなかたち 関係者からも、名大地球科学の野合のプログラムで で進めていく枠組みとしくみが大切であると考えま はないか、本当にうまくいくのか、という声が多く す。このためには、地球を、部分と丸ごとを同時に 聞かれました。しかし、拠点リーダーを仰せつかっ 考える柔らかな頭を持つことも大切です。 た者として、21 世紀の地球の学を見据えた真の意味 このような若い研究者・技術者を育てることは、 での協働と連携をしよう、そうでなければ私はリー 大学のこれからの使命で現在、ポスト COE のプロ ダーを引き受けないと、申請時の会合で宣言してお グラムとして、グローバル COE プログラムが走り りました。日本学術振興会(JSPS)の中間評価や 出していますが、SELIS の構想の大きさを考えると、 外部評価委員会の評価とは別に、この分野間の壁を このグローバル COE にも、SELIS の更なる発展の 越えての交流と連携に関しては、私自身の 5 年間の かたちを、当然考えるべきでしょう。 自己評価は、Sはちと厳しいかもしれないが、まず 現実には、 しかし、 いろいろと問題山積みでした。 まず、まあ、A程度の評価にはなるかと考えていま 現在のような 5 年間という時限のプログラムで、 す。何よりもよかったのは、この COE の精神に則 SELIS の追求する地球学の研究と教育が、十分にで って、研究・教育の連携を進めてくださったのは、 きるとはとても思えません。このことを痛切に感じ 中堅・若手の教員、PD 研究員、そして博士課程の た 5 年間でもありました。教員も、そして、もっと 院生(DC 研究員)諸君でした。 も研究を担ってくださった PD 研究員も、遠大な これからの地球の研究・探求は、太陽活動の影響 SELIS の構想と、限られた年限で成果を出さねばな から、地球電磁気・超高層大気圏から、対流圏、そ らない、という制約とのあいだのギャップを感じて して、大気・水圏・地圏に、生命圏の過程を加えた いたにちがいありません。新しい地球学を、今後ど シームレスな地球システムを、その進化・変化の過 う構築していくことができるかは、このような研 程を含めて理解すること、 そしてその理解を通して、 究・教育制度の大きな問題への解決も含めて、考え 人間活動の意味、役割、そして地球での人間の地位 ていかねばなりません。 SELIS ニュースレター最終号の巻頭言は、同時に、 を考えるということが、地球環境問題の深いところ SELIS の永続宣言になってしまったようです。 での解決につながっていくと、私は信じています。 1 IGY50 周年と SELIS-COE 國分 征(東京大学・名古屋大学名誉教授、元太陽地球環境研究所長) 米ソの冷戦という政治的な枠を越えた国際的な科 学観測、国際地球観測年(IGY:1957-1958)以来、50 年の歳月が流れた。第 3 回国際極年に当たるこの観 測事業には、67 ヶ国が参加、極地域を含め約 4,000 の観測点で地球物理観測が行われた。この計画(後 に規模を拡げ国際地球観測年と名称が変えられた) は、1950 年 4 月、米国ワシントン市郊外のバンア レン邸で開かれた夕食会での懇談から始まった。こ の席上で、電離層物理学者で 1928-30 年の第 1 回バ ード南極探検隊のスタッフでもあったバークナーか ら「そろそろ次の国際極年をやる時期ではないか」 と提案が出て、同席していたチャプマン達の賛同が あり、国際組織に提案されることになった。先見的 な数名の研究者の発想から始まったのである。 国際地球観測年では、観測項目は、地球内部・表 層部や太陽・地球周辺空間の研究を対象とするもの まで拡がり、気象、地磁気、オーロラ、大気光、電 離層、太陽活動、宇宙線、緯度・経度、氷河、海洋、 地震、重力、大気放射能と大幅に増えた。新たな観 測手段として、ロケット・人工衛星が登場した。日 本もこの国際観測事業に参加することとなり、科学 の面での国際社会への復帰となった。また、組織的 な南極観測が始まり、我が国はプリンスハラルド海 岸に基地を設置し、IGY 計画の中心的な観測の一つ としての国際的な南極観測の一翼を担うこととなった。 IGY は、その後の地球科学の進展に対して、国際 協力事業という枠組みの他に、最初の人工衛星の打 ち上げ、世界データセンター、二酸化炭素や氷河の モニタリングの始まりなど、継承されるべき多くの ものを残した。平和的利用や科学的調査の自由など を定めた南極条約が制定されたことも特筆されるべ きことである。また、IGY を契機に新たな宇宙、海 洋 、 南 極 関 連 の 国 際 組 織 COSPAR(1958) 、 SCOR(1957)および SCAR(1958)が創設された。 1978 年 に は 、 太 陽 物 理 系 物 理 科 学 委 員 会 (SCOSTEP)が発足し、その後の太陽・地球系物理 学国際協同観測事業を主導した。 このCOEプログラム「太陽・地球・生命圏相互作 用系の変動学」の目的の一つとして、太陽地球生命 圏システム研究所(仮称)の創設があげられている が、主要メンバーは、IGYの流れを汲む国際協同観 測プログラム、世界気候研究計画(WCRP)−アジ アモンスーンエネルギー水循環観測研究計画 (GAME) 、地球圏生物圏国際協同研究計画(IGBP) や太陽‐地球系の気候と天気(CAWSES)に深くかか わってきた研究者であり、新しい研究所が国際的な ユニークな中核機関として機能する要素は、これま での国際プロジェクトの経験を通じて培われてきた ことは疑いもない。問題は、20世紀における「細分 化」による地球理解の壁を、地球を「丸ごと」見る シームレスな視点で乗り越えるようとする地球学の 創設という課題であろう。シームレスというキーワ ードは、従来、分野横断、複合領域、学際、有機的 連携、総合、最近では、環境学に代表されるように 文理融合などといった言葉で表現されてきたものを、 一言で表しているようにもみえる。安成リーダーの まとめでは、 「人間の唯一の生活環境、巨大な熱機関 である地球の理解を目指して、環境問題こそが地球 科学が取り組むべき課題である」としているが、シ ームレスな地球学の実態が見えないようでもある。 しかし、実態が見えないのは当然で、次代を担う柔 軟な発想を持った若手研究者を育てることが、当面 の課題と思われる。 第4回SELIS-COE春の学校の報告(ニュースレタ ー8号)をみると、若い研究者層の感想には、横断教 育研究プログラムの効果が現れているようだ。この 学校は、COEがカバーする広範な研究分野の各分野 についての共通理解や取り組みの方向性についての 認識確立を目的としたようだが、異文化コミュニケ ーション、各年代間の人脈・人間関係などと様々言 葉での表現により、地球科学に関連する諸分野の研 究者がひとつのコミュニティーを形成したメリット が語られたようだ。隣接分野間で仲間意識が育ち、 新しい地球学の創設への方向付けに対するコミュニ ケーションの重要性が認識されたことは大きい。環 境問題といった全体を含む概念の中で、緊密な連携 必要とする課題をみつけることの重要性が理解され ることは、シームレスな問題意識が生まれて来てい ることを示すものとして、次のステップへの土台と なるだろう。 2 「惑星からの発想」を 樋口敬二(名古屋大学名誉教授、元水圏科学研究所長) 今回の公開シンポジウムの招待講演の題名を「惑 星からの発想」としたのは、SELIS ニュースレター 第 2 号(2004 年 8 月)に同じ題の特別寄稿を載せ たからで、 当日もそのコピーを配布してもらったが、 これを機会に是非一読していただきたい。また、最 近、 「気象研究ノート」の日本気象学会創立 125 周 年特別号「次世代へ伝えたいこと―あのひとからの 助言―」 (2007 年 5 月)に「地球から火星を考える ―雪氷現象を追って―」を書いているので、これも 読んで下されば幸いである。 さて、私が惑星からの発想という視点の重要性を 強く意識したのは、2000 年 8 月 21 日∼24 日にア イスランドの首都レイキャビークで開かれた「火星 の極地科学と探査」に関する国際会議に出席した時 である。この会議で私が発表したのは霜の成長の研 究で、 火星のユートピア平原では表面が薄い H2O の 霜で覆われるが、この季節の気温は-35℃∼-90℃で あり、地球の南極内陸にあるドームふじ観測拠点の 気温に近いことに着目し、同拠点で亀田貴雄隊員た ちが観測した霜の針状結晶と人工雪の結果を結び付 けて、霜の成長を定量的に論じたのである。 このように、火星について研究をしたのは、近年 のことだが、火星に対する関心はもっと古く、実に 40 年以上も昔にさかのぼる。1966 年、私は北海道 大学気象学研究室から名古屋大学理学部に移ったが、 当時、そこには、若い優れた地球科学の研究者が集 まっていた。 今回のシンポジウムの招待講演で、熊澤峰夫さん は若手研究者に対して「 幸せ と 不幸せ を理解 しよう」という言葉を贈ったが、私に言わせると、 研究者の 幸せ とは、師、仲間、弟子に恵まれる ことだと思う。私の場合、師とは中谷宇吉郎先生で あり、良き仲間として思い出すのは名大に移って 早々に得た理学部の友人、駒林 誠、熊澤峰夫、水 谷 仁といった人々で、私はこの人たちから惑星か ら発想する面白さを次のようにして学んだ。 まず、駒林さんは火星に降る雪の研究と称して、 ドライアイスから出る CO2 ガスを液体窒素で冷や して、どんな結晶が成長するか、観察しようとして いた。結局、装置が不完全で観察には成功しなかっ たが、今でも思い出すのは、実験の牧歌的情景であ る。CO2 ガスは人体に有害なので、装置を木造の研 究室の外に設置して実験していたが、装置から出る CO2 ガスを探知したヤブ蚊が周りの木から集まり、 液体窒素による冷気で気を失って装置の中に落ち、 実験が終わった時には装置の中は凍死した蚊の死骸 で真っ黒になっていた。 次に、熊澤さんの方は木造ではない理学部本館にい たが、1975 年 2 月に、氷を持ってやって来た。同年 2 月 20 日の朝日新聞(夕刊)に「空から 1 メートルの氷 塊」という見出しで、千葉県の水田にドスンという音 とともに、氷が突然落ちてきたという記事が出ていた が、熊澤さんはそのかけらを貰って来て、アイス・メ テオライトかもしれないから、鑑定しろという。これ は面白いと、早速、氷をよく観察したら、中に泡らし いものが見える、これで方法が決まった。氷を薄く切 って、顕微鏡で見ながら解かしたら、その泡が大きさ を変えないでスーッと浮かんできた。こりゃ駄目だ、 この氷は地面近くの大気中で出来たもので、飛行機に くっついていたのが、離着陸の際に落ちた可能性が高 いと判断し、熊澤さんにその結果を告げると、彼はが っかりすることもなく、 「いいんだ。どうせ、アイス・ メテオライトが見つかる確率なんて、10 のマイナス 10 乗位だ。だけど、もし本物なら、値打ちは 10 のプラス 10 乗だから、やってみるんだ」と言った。それがまた 話題になって、その後、空から氷が降ってくると、熊 澤さんのところに持ち込まれるようになり、二人で 隕 氷 談義を大いに楽しんだものである。 そして、水谷さんの方はもっと現実的で、1979 年の 5 月、NHK の人といっしょにやって来て、ア メリカの探査機ボイジャーが撮影した木星の衛星カ リストの写真を見せて、 「カリストは氷でできている のに、どうして南極氷床のように白くないのでしょ う?」と訊ねた。そこで、私は、 「南極氷床が白いの は、表面が雪で覆われているからです。カリストに は大気がなく、雪が降らないから、透明な氷がむき 出しになっていて、地球の海と同じように黒く見え るのです」と説明した。こうして私は、1979 年 6 月 25 日放映の NHK テレビ番組「科学ドキュメン ト・ボイジャー木星大接近」に出演して、 宇宙雪氷 3 学 という新語を日本で最初に口にする光栄を有す ることになったのである。 さて、ここで読者諸兄に質問したい。もしカリス トに住んでいる生物が地球を探査していて、皆さん に、 「地球は黒い海だけかと思ったら、その上に見え る白い帯はなんですか?」と、水谷さんとは逆の質 問をしたら、なんと答えますか? その答は、 「あれは雲というもので、大気中に存在 する氷晶、水滴が大きさ、空間密度、存在気層の厚 さの臨界条件に達した時に太陽光によって白く見え るのです」だが、そんな臨界条件を知るには、理論、 実験だけではなく、航空機による雲の直接観測が必 要であった。そう考えると、SELIS では多くの優れ た研究が行われたが、解析、分析、シミュレーショ ンが主であり、現象の直接観測が少ない気がして、 新しい地球学 を目指すには、ちょっと物足りない。 最近、私達が 30 年前に実施したヒマラヤの氷河 調査の記録写真が話題のゴア元副大統領による映像 「不都合な真実」に登場したり、当時の記録と比較 するために日本からジェット機を派遣して氷河の写 真撮影が実施されるなどの事態を見ると、現象の現 地調査による記録が年代を重ねるにつれて如何に重 要性を増すかがよく判る。 そこで、来るべき 地球・生命圏研究機構 にお いては大気圏、水圏、陸域における現象の直接観測 を研究活動に加えられることを期待したい。名古屋 大学に環境学研究科を新設する代償として姿を消し た大気水圏科学研究所では、大空を自由に飛び回れ る観測用航空機を持とうとした時代があった。そん な歴史を知る人間の切なる願いである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 縫い目なしの地球科学 熊澤峰夫(名古屋大学・東京大学名誉教授) SELES/COE の国内シンポジュウム(12/20-21)で は、最近の研究成果を聞かせていただいた。冷静で 堅実な研究の手堅い進展がすばらしいと思ったが、 面白さへの興奮をあまり感じなかったのは、歳老い て鈍くなった感性のためかもしれない。SELES の 趣旨に沿うようにと考えて用意した「SMLES 憲章・ 縞々学・ヒトの絶滅プログラムの設計」 というタイト ルで、地球∼環境科学の研究戦略論のような私見を 聞いていただいた。この機会は、科学のありようを 基本的なレベルから考え直す絶好の契機で、新たに 何冊かの本を買い、昔読んだ資料も読み返して考え 込んだ。 その結論は、SMLES 憲章の精神は先鋭的で、現 時点でも「われわれの行く道を示している原点」だ と思えたことだ。SMLES 憲章は、師匠の島津康男 が研究室の若手に示したインフォーマルな指針であ る。そこで育った私には、この憲章だけが刷り込ま れてしまっているのではないか、との反省もしてみ た。しかし、これこそがわれわれに求められている ことだ、と今あらためて開き直って確信したのだ。 そこでその内容を読み解いてみる。 これには2つの要素がある。その一つは、下線で 示した「満足せず」 「志す」 「信じ」 「望み」 「意図す る」など、主観的心情や願望、思想にもとづいた意 思や学問的野心の表明である。二つ目は、今や常識 になっているが、われわれが対峙するのはシームレ スのシステムであり、その論理的帰結として、何を どうやるのか示している(2)だ。人間活動や社会と の関わりの必然性は、 社会状況に媚びるのではなく、 地球科学の学の本質に根ざしているのだ。それに生 身のわれわれが知的誠実さをもって対処するのが (1)だ。もやもやとして整理できなかった私の思い を、 言葉で明確にしてくれたのがこの憲章であった。 しかし、当時は学力不足で(5)で述べているメンバ ーから脱落したが、及ばずながらこの憲章の精神を 保持し続けてきたつもりだ。何故なら、それしか自 分の存在理由とやり甲斐を思いつけなかったからだ。 そこまでも洗脳されてしまったのか、と思う人もい るかもしれない。でも、それで何が悪いのか? 総合討論(今後の展望を含む)では、年配の研究者 から分野を横断して社会科学とも連携してゆく掛け 声もあった。若手の研究者から、研究者としての自 己を確立するのが第一優先だとの訴えもあった。別 の研究者から、立派な研究業績を上げ、庶務をちゃ んとこなすことが生存に大事だとの趣旨の発言があ った。どれも間違いのない真っ当な考えだ。だが、 4 SMLES グループ憲章(1966.4.1) 1 SMLES は、細分化し、形骸化した地球科学の教育・研究の現状に満足せず、総合的に自然現象をみる 第 3 世代の地球科学を志す。 (註 SMLES は SEAMLESS EARTH SCIENCE の略) 2 SMLES は、地球の構成と発展とを研究対象にしてその視点から惑星にもおよぶ。そして生物活動や人 類の生産・社会活動と自然との相互作用を含めて、過去から未来への地球の姿をとらえる。 3 SMLES は、研究の推進力が頭脳であることを信じ、独創性とチームワークを重視する。研究手段にはこ だわらない。 4 SMLES は、学問的に常に反体制側であることを望み、しかも国際レベルの研究活動を意図する。 5 SMLES は、上記の趣旨に賛同する研究者及び研究者たらんとするもので構成される。メンバーの発表 論文には、SMLES CONTRIBUTION NO.を付する。 Global とは、空間時間だけでなく影響が及ぶすべ てのスパンをカバーし、われわれの存在理由から、 望ましいと思うこと、その行動規範、したがって将 来の生存戦略(その一つがヒトの絶滅プログラム) までが含まれる。要するに、科学はもとより風俗ま でを含むカルチャーの問題だ。できることには限度 があるから local に行動するが、それが global な視 点で適確に位置付けられると斬新さや大きな実効性 をもつだろう。総合討論の時には考えを整理して発 言できなかったので、次の提案で締めくくっておき たい。次の飛躍や生存戦略検討には「異端の研究者 や異端の考えとまみえる」 。 (熊澤峰夫) まだ手がけていない研究の夢や野心のほとばしる提 案はなかった。業績ってどういうこと?何のために 科学研究をするの?など、一見荒唐無稽な議論もな かった。要するに、実務的でお行儀がよい優等生な のだ。でも、それで何が嬉しいのか? Think globally, Act locally という言葉ができて いる。分野の異なる研究者の共同作業だけでは本質 に迫れないだろう。local action の加算だからだ。 global thinking の実効的実現のために島津康男は 「一人学際」と言い出して実行し、異分野領域侵犯 の常習確信犯になった。彼の影響を受けた人たちの 中には、批判や黙殺の対象になる異端者もいる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「新しい地球学」いよいよ出版! 2005 年 7 月に企画を本格化させ、その後、執筆陣と編者との間で何度も修正を繰り返した結果、 標記の教科書がいよいよ 3 月上旬に名古屋大学出版会から出版されます。最終的な書名は「新しい 地球学」となり、副題に「太陽-地球-生命圏相互作用系の変動学」を付け、我々の 21 世紀 COE プ ログラムの成果の一つであることを示しています。 企画当初の予定通り、本書は下記の 4 章構成となっています。 序 章 :「地球学:太陽-地球-生命圏相互作用系の理解」 第 1 章:「太陽-地球-生命圏相互作用系の動態把握」 第 2 章:「古環境記録から見た太陽-地球-生命圏相互作用系」 第 3 章:「太陽-地球-生命圏相互作用系のモデリング」 本書は、学部3・4年次生から大学院修士課程の大学院生を主な読者対象としていますが、老若男 女を問わず、広く地球学を学べるように配慮されています。例えば、各章に脚注をふんだんに盛り 込み、分野間の用語のちょっとした差異がすぐに理解できるよう心掛けています。これまでの蛸壺 的な地球科学を打破し、真の「新しい地球学」における画期的な教科書になることを祈っています。 5 ■ 第 5 回バイカル巡検・サマースクール’07 報告 のもう一つの側面の成功を意味するものであろう。 ロシアの物価上昇、日本側の引率体制・予算な 21 世紀 COE(名古屋大学、金沢大学)共同教 どの問題があって、来年度以降も継続できる見通 育プログラムとして行ってきたバイカル巡検・サ しが未だないが、何らかの形で続けられていくこ マースクールは、今年の 8 月に第 5 回目を無事終 とを願う。(河合崇欣) えることが出来た。ロシア科学アカデミー・陸水 り、入出国手続き、宿舎および現地移動の手配、 ■ 東ユーラシアおよび周辺域の陸域環境 変動に関する第 6 回国際シンポジウム報告 ロシア側リーダー・通訳及び若手研究者の参加、 昨年 12 月の名古屋での開催に引き続いて、今 学研究所の意欲的で誠意のこもったサポートによ 調査船の貸与、見学施設等への交渉、採取試料の 年は 8 月 24 日∼28 日の日程で、バイカル湖流出 輸出手続きなどに加え、緊急時の医療・救援体制 口の港町リストビヤンカ(イルクーツク市)で標 など必要な条件が満たされた上での無事故であっ 記国際シンポジウムを開催した。シンポジウムの たことをまず感謝したい。 運営主体は変わらないが、今回は、ロシア科学ア この巡検を思い立ったのは、2002 年に筆者が名 カデミー・シベリア支部が中心になって進めてい 古屋大学に赴任して間もなく、名古屋大学理学部 る AASA(The Association of Academies of 地球惑星科学科や環境学研究科地球環境科学専攻 Sciences in Asia)評議委員会との共催となり、準 では一般参加者を対象とした海外巡検が行われて 備スタッフおよび開催費等(旅費、参加費を除く) いないことを知ったためである。地球科学的に興 は全てロシア側で負担した。口頭 45 件(うち日 味深いフィールドを設定し、参加者を募集して連 本 17 件)、ポスター18 件(うち日本 4 件)の発 れて行き、無事に連れ帰るには、国内外で多くの 表があり、名古屋大学からは 5 人の参加・発表が 関係者の協力が必要である。幸いにして、国内で あった。最後に行われた総合討論でも主催者代表 は金沢大学(2002∼)と名古屋大学(2003∼)の のクズミン所長(地球化学研究所)のまとめに続 COE プログラムの中に位置づけて頂くことが出 いて、時間いっぱいまで活発な発言が続いた。今 来たことによって、現地費用と教科書の印刷およ 回の特徴は、昨年の名古屋でのシンポジウムに引 び引率教員の旅費が裏付けられた。また、途中か き続き、各研究者の成果相互の関連性や総合的な ら正規の選択科目として位置づけて頂き、参加学 議論への考察がより強く感じられるようになった 生に単位を出せるようになった。これらのご協力 ことであろう。また、AASA の各国評議委員との に対しても感謝します。 巡検の中身は各年毎に報告してきたので、具体 的な内容はそちらをご覧頂きたい。出発前に予備 知識を与えるために集中講義と説明会(3 回)を 行い、現地では陸水学研究所グラチョフ所長と地 球化学研究所クズミン所長のレクチャー、ロシア 側研究者および日本側引率教員による船上実習な どを組み込んだ。しかし、目的の中心は、参加者 が「バイカル湖を自分の目で見て自分の肌で感じ る」ことである。多くの参加者が、他大学からの 参加者やロシア人との交流でいろいろ刺激を受け ▲ポスターの前で熱心に議論をする坂口綾さんとゴールドバ るなど得るものがあったと述べていたのは、目的 ーグ氏 6 交流が出来たことにより、環境問題解決に向けて 1日目 蛇紋岩及び手取層群の露頭では、ハン のアジアにおける国際協力の条件を醸成する上で マーで石を割って、ルーペ片手に観察したり、化 大きな貢献となったのではないかと思われる。ポ 石を探したりと、実際に見て触るという生きた体 ストコングレスエクスカーションは、言うまでも 験ができました。また、露頭では、普段地質に関 なくバイカル湖の視察(クルージング) であった。 する研究を行っている院生が丁寧に説明してくれ 参加した研究者の中にも初めて湖上に出た人も居 ます。これが学外セミナーの醍醐味の 1 つです。 たが、AASA の評議委員達は初めての人が多かっ 恐竜博物館は日本で唯一の恐竜専門の博物館で、 たらしく、交流も兼ねて楽しいものとなった。次 展示面積は広く、たっぷりの見学時間でも「短 回(第 7 回、2008)の開催地をモンゴル・フブス い!」と感じるほどの充実した展示の数々でした。 グル県で行うことを決め、閉会のパーティの場で 夜には、参加してくださった教員のレクチャーと モンゴル科学アカデミー副議長(AASA 評議員) 院生による見学地紹介を行いました。教員のレク が、歓迎の挨拶をした。 (河合崇欣) チャーは、最先端の研究内容や今回訪れた福井県 の地球科学的トピックスなど学外セミナー独自の ■<SELIS・地球環境科学専攻共催>学外セミナー ものです。このレクチャーでは、学生や他の教員 2007 年 10 月 6∼8 日の 2 泊 3 日の日程で、 「環 から様々な質問や意見が飛び交い、その後の懇親 境学研究科地球環境科学専攻地球惑星系・SELIS 会でも話を聞いている学生がいました。 共催学外セミナー」が福井県にて行われました。 2日目 福井市自然史博物館では、福井市一の 学外セミナーは、同専攻の大学院生が企画・運 高台からの景色を楽しみ、館長さんの計らいで、 営し、地球科学に関する施設や露頭を見学する巡 屋上の天文台で昼間の月や金星を観察させていた 検旅行で、今回初めて環境学研究科地球環境科学 だき、思わぬ見学ができました。また、東尋坊・ 専攻地球惑星系と 21 世紀 COE プログラム「太 福良の浜では、柱状節理や海食崖のダイナミック 陽・地球・生命圏相互作用系の変動学」の共催で さに心を打たれるものがありました。夜は、前日 開催されました。今回は、参加者 45 名(理学部・ と同様、レクチャーと見学地紹介のほか、地球惑 工学部生 19 名、環境学研究科院生 22 名、教員 4 星系各講座紹介を兼ねたポスターセッションを行 名)とここ数年に比べ多くの方々に参加していた いました。ポスターは主に大学院生が説明します。 だきました。 自分の研究を他分野の大学院生や学部生に分かり 学外セミナーの行程は、1 日目に九頭竜湖周辺 やすく説明しなければならないため、聞く側だけ での蛇紋岩・手取層群の露頭観察と福井県立恐竜 ではなく、説明する側にとってもいい勉強になり 博物館の見学、2 日目に福井市自然史博物館の見 ました。また、各ポスターの前では、活発に議論 学と東尋坊周辺の露頭観察、3 日目に大島半島で をしあう人達もいて、夜遅くまで大変盛り上がり のオフィオライトの露頭観察と高速増殖炉「もん ました。 じゅ」の見学と、内容的に充実したものでした。 3日目 この日は、本学地球科学科 OB(現福 井県立敦賀高等学校教諭) の木戸聡さんの案内で、 オフィオライトの露頭観察を行い、丁寧な説明を していただきました。通常オフィオライトのよう な地下深くにある岩体が地表に露出することは珍 しく、オフィオライトの観察はとても貴重な体験 になりました。もんじゅでは、警察の厳戒な(?) 警備が敷かれている構内での見学など、個人では あまり行くことのできない場所を見学することが できました。 このように、2 泊 3 日で多数の施設や露頭を見 学するというハードスケジュールでした。 しかし、 ▲三国町福良の浜にて堆積岩露頭を観察(10/7) 7 学外セミナーの 1 番の目的である普段教室ではで 政(Administration)との連携が重要です。県の きないことを経験し、他の分野の知識を広げ、様々 環境行政を通して技術者・行政者として活動を続 な人達との交流を深めることができ、有意義な 3 けてこられた稲垣氏が、地球環境への働きかけを 日間を過ごすことができました。 おこなう中でどのような知見に触れ、それをどの 最後になりましたが、学外セミナーの運営にご ように吸収してこられたのかを学び、 「地球学」へ 助力いただいた環境学研究科地球環境科学専攻及 の視点をさらに深めることを目的として本セミナ び COE 関係者の方々、学外セミナー参加者の皆 ーはおこなわれました。当日は COE 関係者だけ 様に学外セミナー実行委員一同、心から御礼申し でなく、なごや環境大学連携公開講座として一般 上げます。(冨田 覚、朝倉 彬、大石真紀子) からの参加もあり、技術士会会員も含め通常の SELIS 横断セミナーより多い 44 名にご参加頂く ■ 愛知県副知事 稲垣隆司氏の招聘と COE 特別セミナーの開催 ことが出来ました。セミナー後の懇親会では副知 事と COE 研究アシスタントらによる活発な意見 2007 年 10 月 10 日、愛知県副知事稲垣隆司氏 交換もはかられ「地球学」への新たな切り口を提 を講師としてお招きし、SELIS 主催 COE 特別セ 案する上で大変有用な機会になったものと思われ ミナー「技術者・行政者としての環境問題へのア ます。私は COE における研究活動と同時に、技 クション」が環境総合館 1F レクチャーホールで 術士会(技術)、故郷-沼津市議会(行政)におけ 開催されました。 る社会活動を通じて水圏環境の清浄化推進活動を COE 研究アシスタントに採用された大学院生 続けて参りました。国内・国際を問わず、グロー は「多角的かつ広範な視野をもつ研究者の育成」 バルに展開される技術者・行政者との連携は今後 という主旨に則り、分野横断型の自主セミナー とも COE 構成員の研究遂行になくてはならない (SELIS 横断セミナー)の企画と運営を任されて 要素のひとつであると考えております。 (鈴木千賀) おります。その拡大版である、COE 特別セミナー の企画提案者として、招聘・運営の機会を得たこ とは私にとって何物にも変えられない幸せであり ました。環境学研究科林研究科長、安成 COE 拠 点リーダー、田中事務局長及び技術士会の辻支部 長、 中川代表幹事を始めとする諸先生方のご助言、 博士課程 1 年次 COE 研究アシスタント(坂口、 伊藤、岩崎、森)らの協力にも改めて感謝申し上 げます。 講師の稲垣氏は、技術職初の副知事として、藤 前干潟の保全や愛知万博・中部国際空港における ▲講演会での稲垣副知事と司会進行 環境アセス活動にご尽力されてきたと同時に、技 術者の国家資格である技術士(環境部門)として の活動に取り組まれる環境学に非常に造詣の深い 方です。名古屋大学 21 世紀 COE プログラム「太 陽・地球・生命圏相互作用系の変動学(SELIS)」 では新たな地球環境学-「地球学」を築き上げるこ とを目的のひとつとし、太陽・地球・生命圏を一 体のシステムとしてとらえた研究・教育活動が続 けられております。この新たな「地球学」創出の ためには我々が得意とする純粋科学(Science)に 加え、応用的な技術(Engineering)の融合、行 ▲稲垣副知事との記念写真 8 ■ 赤祖父俊一先生の講演会を開催 地球温暖化研究の問題点と今後の方向について熱く議論 平成19年10月19日(金)にアラスカ大学国際北 極圏研究センターの赤祖父俊一先生による「北極 圏から見た地球温暖化」と題する講演会を21世紀 COEプログラム「太陽・地球・生命圏相互作用系 の変動学(SELIS)」と太陽地球環境研究所の共催 で名古屋大学野依記念学術交流館において開催し ました。COE関係者だけでなく学内外から70名近 くの聴衆が集まり、赤祖父先生の北極圏の環境変 動を中心に現在の地球温暖化研究の持つ問題点と ウムホームページ http://www.stelab.nagoya-u. 今後の研究方向に関する話に熱心に耳を傾けまし ac.jp/cawses/をご覧下さい。 ) た。講演の後で、赤祖父先生と聴衆ならびに安成 CAWSES (Climate and Weather of the リーダーを始めとする地球温暖化問題に関わる研 Sun-Earth System)は SCOSTEP が 2004-2008 究者の間で非常に熱い議論が交わされました。こ 年に実施している国際共同研究計画です。太陽か の講演会を通して現在の地球温暖化研究のもつ限 ら惑星間空間、磁気圏・電離圏、大気圏にわたる 界と今後明確にすべき点が浮き彫りになったと感 広い領域を 1 つの系として捉え、様々な時間スケ じられました。(松見 豊) ールの変動現象を理解し、予測等を通じて社会へ 貢献をも目指しています。主要テーマは(1) Solar Influence on Climate、(2) Space Weather: Science and Applications 、 (3) Atmospheric Coupling Processes、(4) Space Climatology の4つです。 本シンポジウムには国内外から 376 名(うち外 国人は 26 ヶ国から 154 名) が参加しました。E. N. Parker 氏、西田篤弘氏、M. A. Geller 氏による 3 件のチュートリアル講演が行われ、一般の学生も 無料で聴講できました。5 日間を通して午前中は、 チュートリアル講演と基調講演(計 15 件) のシン グルセッションで行い、ふだんはあまり聴くこと ■ International CAWSES Symposium のできない広い分野の最新の講演を聴くことがで International CAWSES Symposium が平成 19 きました。午後は、口頭発表 2 会場、ポスター発 年 10 月 23-27 日の 5 日間、京都大学百周年時計 表 1 会場に分かれて行われ、招待講演 45 件、一 台記念館で開催されました。本シンポジウムは、 般口頭講演約 100 件およびポスター講演約 250 件 本 COE および、Scientific Committee on Solar が行われました。 -Terrestrial Physics(SCOSTEP)、京都大学生 CAWSESプロジェクト前半の研究成果を一同 存圏研究所、京都大学大学院理学研究科附属天文 に持ち寄り議論を行うことで、太陽地球系科学の 台、名古屋大学太陽地球環境研究所、京都大学学 総合的な理解と知見を進め、太陽物理学、磁気圏・ 術創成研究費「宇宙天気予報の基礎研究」、京都大 電離圏物理学、超高層大気物理学、大気科学、気 学 21 世紀 COE プログラム「物理学の多様性と普 象学、雪氷学などの研究分野の研究者間の交流を 遍性の探求拠点」、 情報通信研究機構の共同主催で 促進することができました。また、日本のこの研 行われました。本 COE では、主に海外の若手研 究分野におけるイニシアティブと貢献を国際的に 究者の旅費支援を行い、シンポジウム開催に貢献 示すことができました。同時に2009年以降に しました。 (組織・プログラムの詳細は、シンポジ SCOSTEPが取り組むべき重点課題ならびに将来 9 の研究動向についても議論を深めました。 本シンポジウム開催にあたり、日本学術会議、 日本天文学会、地球電磁気・地球惑星圏学会、 日本気象学会、日本地球惑星科学連合の協賛、 また、日本学術振興会、日本万国博覧会記念機 構からの支援を得ました。 (荻野瀧樹、増田智) ■ International Symposium on Water Isotopes and Climates 報告 ▲発表者集合写真(懇親会にて) テーマを水同位体比に特化したこと、および会場 2007 年 12 月 2 日から 3 日間にわたり、環境総 の都合で初日が日曜日であったことなど、主催する 合館および地球水循環研究センター本館にて表題 立場としては、 「いったい何人の人が興味を持って の国際研究集会を開催しました。国内外の、主と 聞きにくるのだろう」と一抹の不安がありましたが、 して若手研究者を招聘し、水の同位体比の気象 それでも学外から 10 名、全体でおよそ 30 名程度の 学・気候学・古環境学への応用に関する最新の研 来聴者があり、一安心した、といったところでした。 究成果の紹介および今後の研究動向に関する意見 主催者の期待以上の成果としては、事前小集会を 交換を目的として本研究集会を執り行いました。 含め四日間、非常に活発な議論が行われ、交流が深 発表者は国外から 8 名、国内から 9 名、学内から まったことでした。このような国際研究集会に参加 4 名(うち大学院生 1 名)で、のべ 23 件の研究発 すると、日本人はなかなか外国人同士の会話に入る 表をしていただきました。初日(2日)の第一セ ことができずに孤立した集団を作る傾向が散見さ ッションでは、大循環モデルに水同位体比を組み れるのですが、今回は発表者の多くが 30 代と比較 込んで古環境変動を復元する研究発表が 3 件、午 的若手であったためか、または毎晩宴会を行ったお 後の第二セッションでは、氷床コア、樹木年輪、 かげか、国籍・テーマを超えた交流ができたと思い 深海堆積物の有孔虫殻、サンゴ年輪のいわゆるプ ます。参加者の一人であるベルゲン大学の K. ロキシーレコードによる過去の水同位体比変遷の Sturm 博士がいみじくも語っていたように、水同位 復元に関する研究発表が 4 件行われました。二日 体研究は世界各国でそれぞれ小さなコミュニティ 目(3日)の第三セッションでは、広域水循環を を持っているにすぎない、まだまだ発展途上の研究 理解するツールとしての水同位体比に着目して、 分野であり、今回の機会がこれらのコミュニティ同 陸面水収支モデルやレーザー分光による大気水蒸 士を結ぶ貴重な場となったのであれば万福です。 気同位体比の観測など、先端的な研究成果の発表 なお、本研究集会を開催と運営にあたって、多くの が 4 件あり、午後の第四セッションでは、水同位 ご尽力をいただいた海洋研究開発機構の栗田直幸 体比の活用としてはこれまであまり行われていな 氏、本学地球水循環研究センターの池田健一氏、米 いものの今後の発展が期待されるメソスケール水 スクリプス海洋研究所の芳村圭氏、および COE 支 循環現象の解明に関する応用例を中心とした研究 援室各位にこの場をお借りして深く御礼申し上げ 発表が 7 件ありました。三日目(4日)はサテラ ます。 (阿部 理) イトセッションとして水やそれ以外の物質の様々 なアイソトポログ(同位体分子種)を用いた環境 解析、例えば 17O 異常や、四種硫黄同位体比など の 6 件の研究発表がありました。 また、今回は同位体モデルの実際の開発者が世 界各国から集まる希有な機会ということもあり、 スクリプス海洋研究所の芳村圭博士の呼びかけに より、1 日には同位体モデリングに関する現状と 展望を議論する小集会も開かれました。 10 ▼研究発表の様子 ■ 公開シンポジウム(全体集会)の開催 2007 年 12 月 20 日(木) 、21 日(金)の両日、 じさせることはできなかった。また、公開シンポ 野依学術交流館2階のカンファレンスホールにて、 ジウムと銘うったものの、一般・外部に向けた広 公開シンポジウムを開催した。 報・宣伝はほとんどなされず、外部からの参加者 はじめに、安成拠点リーダーより、本拠点の事 は片手にあまる程度であった。企画と運営におい 業概要と5月に行われた外部評価の結果が紹介さ て、ひとを惹き付けるための工夫が必要であった れた。事務局(筆者)は、主に教育活動に関する ことは、素直に反省しなければならない。 事業を紹介した。その後、3つの研究グループ(高 (田中広樹) 精度環境変動解析グループ、変動機構解明グルー プ、統合モデリンググループ)から研究成果の概 要と、いくつかの特筆すべき研究成果が報告され た。また、特定領域研究「全地球史解読」研究代 表者であられた熊澤峰夫先生、元太陽地球環境研 究所長の國分 征先生、 元水圏科学研究所長の樋口 敬二先生をご招待し、ご講演いただくと同時に、 我々の活動報告等へのコメントやサジェスション をいただいた。 名誉教授の3先生方のお話は個性的で楽しく、 特に、頂いたコメントは大変に興味深く、考えさ ▲辛口なコメントをくださる樋口啓二先生 せられるものばかりであった。参加したものにと っては、有益な集会であったことは異論のないと ころである。その分、参加者が非常に少なかった ことが惜しまれる。 熊澤先生の講演直前までには、 多少は人数が増えたものの、開会当初の会場の閑 散としたありさまは、目を疑うものであった。 もちろん、収容人数が 200 人と比較的規模の大 きな会場設定にも問題があっただろう。座席の横 列に切れ目がないことも、会場中央付近に座るこ とを敬遠させ、より閑散とした印象を与えた(写 真参照)かもしれない。また、延べ参加人数は 59 ▲にこやかに観測研究史を語る國分征先生 名と、過去の全体集会と比較して極端に少ない訳 ではない。 しかし、プログラムに、ひとを惹き付ける魅力 がなかったことも事実であろう。例えば、安成リ ーダーや事務局(私)による SELIS の概要説明 は、本拠点に関わるものであれば、誰しも一度は 聞いているはずの内容である。各グループの成果 概要や特筆すべき成果も多くのメンバーには、周 知のことである。それぞれの発表者が新しい内容 を加えて発表に工夫を凝らしたとしても、プログ ラム(あるいは、発表タイトル)からは新味を感 ▲ユーモアたっぷりにコメントされる熊澤峰夫先生 11 公開シンポジウム「太陽・地球・生命圏相互作用系の変動学」 (SELIS)プログラム 日程:2007 年 12 月 20 日(木)13:00~17:00、21 日(金)9:00~15:00 場所:名古屋大学 野依学術交流館 2 階 カンファレンスホール (懇親会:名古屋大学 シンポジオン 2 階 ユニバーサルクラブ 12 月 20 日 18:00∼) 12 月 21 日(金) 9:00~15:00 12 月 20 日(木) 13:00~17:00 13:00 開会 13:00-13:10 挨拶(拠点リーダー:安成哲三) 13:10-14:00 SELIS 概要紹介・外部評価報告(拠 セッション2「変動機構解明」<9:00-10:30> 09:00-09:10 要(檜山哲哉) 09:10-09:35 点リーダー:安成哲三) 14:00-14:20 09:35-10:00 10:00-10:25 山口 靖) 湖底コアを用いる古環境変動解析の セッション3「統合モデリング」<10:30-12:00> 高時間分解能化(勝田長貴) 10:30-10:40 琉球列島の植生変遷史と花粉形態研 10:40-11:05 太陽活動周期と環境変動周期(増田公 ト高原の役割の解明(堀 正岳・阿部 同位体の高精度定量による環境物質 学・安成哲三) 循環(田中 剛) 16:00-16:40 11:05-11:30 ーション(川田佳史・渡邊誠一郎) トの絶滅プログラムの設計」 (熊澤峰 11:30-11:55 夫 名古屋大学・東京大学名誉教授) 討論 <18:00- 懇親会 ユニバーサルクラブ> シンプルモデルによる海洋の熱水循 環と炭素循環の相互作用のシミュレ 招待講演「SMLES 憲章・縞々学・ヒ 16:40-17:00 GCM 実験による第 3 紀から第 4 紀氷 期における地球気候に果たすチベッ 明) 15:40-16:00 統合モデリンググループの研究成果 概要(山口 靖) 究(藤木利之) 15:20-15:40 地球環境変動に応答した陸域蒸発散 量の変動の検出(劉 元波・檜山哲哉・ 高精度環境変動解析グループの研究 成果概要(河合崇欣) 15:00-15:20 山岳氷河域からの長期流出変動復元 (坂井亜規子・藤田耕史) セッション1「高精度環境変動解析」<14:30-16:00> 14:40-15:00 超高層大気における長期変動(元場哲 郎) 教育活動等の事業報告(事務局:田中 広樹) 14:30-14:40 変動機構解明グループの研究成果概 ケルビン・ヘルムホルツ不安定を介し た太陽風・磁気圏・電離圏結合(松本 洋介・関 華奈子) <12:00-13:00 昼食> 13:00-13:30 招待講演「IGY50 年・SELIS-COE」 (國分 征 東京大学・名古屋大学名誉 教授、元太陽地球環境研究所長) 13:30-14:00 招待講演「惑星からの発想」 (樋口敬二 名古屋大学名誉教授、元 水圏科学研究所長) 12 14:00-15:00 総合討論(今後の展望を含む) 15:00 閉会 SELIS-COE を終えるにあたっての感想 SELIS COE の成果は、外から見れば同類かもしれ It was in year 2005, I participated in the 21st ないが、異分野の交流であろう。ある程度の senior Century は新たな交流を行う時間はほとんどないだろうが、若 Sun-Earth-Life Interactive System. For me that 手にとっては横断的セミナーの参加などによる交流 was a good chance or otherwise a challenge to は意義があったであろう。若手には分野の意識は余り consider the science from another view. My major ないと考えられるので、異分野の交流などといっても work is one very small aspect of the space physics. そのような環境の中にいればそれが当たり前と思う This chance spread my sight to the world of the であろうが、そのような環境を整えたことが成果であ science, not the science in a narrow sense but the ろう。その一方、研究本体は自分の分野において深く real science. It made me to know that as a やらなくては結果は出てこない。自らの研究分野を固 researcher, it is natural to be absorbed in one’s めると同時に、他の分野への興味を常に持つことが必 own work, however to communicate with the 要であろう。(中村健治) outer world is also very important for improving one’s capability of research.(姚 堯) ---------------------------------------------------------------------異なる分野の研究所・研究科がCOEという枠組み COE Program of Dynamics of の中で一緒に研究をしようとしてきました。この試 ---------------------------------------------------------------------そこそこの資金が投入されたことで講座・研究室 みは、研究者にとってはかなり苦痛を強いるものだ 間、若手研究者間の交流の垣根が低くなったことは ったかもしれません。しかし、この試みがなければ 大きな成果で、今後の発展の中で活かされると思わ まず考えられなかったであろう分野横断的な新しい れる。しかし、 「教育 COE」と言いながら評価は主 研究成果が上がっていることも事実です。また、参 に研究成果でやるなどについては釈然としなかった。 加した学生・PDの視野を広げることにも役立ってい 研究面では、陸域の長期気候変動モデルを検討する ると実感しています。しかし後者は、なかなか評価 上で最も基本的な要素である、温度の再現が最も難 をしてもらえない部分でもあります。(塩川和夫) しい課題の一つであったため、最後までうまく「貢 ---------------------------------------------------------------------大規模な循環から微細な雲・降水の物理過程に至 献できなかった」のは残念でした。 (河合崇欣) るまで、地球は幅広い空間スケールの相互作用の上 ---------------------------------------------------------------------1 年 11 ヵ月の短い期間でしたが、参加出来たこと に成り立っています。また、近年の温暖化から氷期 をありがたく思っています。小さい子供がいると、 サイクルに至るまでの複合した時間スケールのプロ もしものことを考えて研究会等の催しへの参加に二 セスもあります。本COEではその二つのスケール間 の足を踏んでしまいがちですが、様々な催し物への の結び目にあたる諸問題に対して気候モデルを用い 参加発表の機会をいただきました。 欲を言うならば、 た研究をさせていただき、特定のプロセスのみを追 もっと参加して他の方との交流の機会を持ちたかっ 求するのではない、全地球的な理解への糸口をつか たのですが、今のモチベーションを将来に生かすべ むことができたと自負しています。 (堀 E. 正岳) く、本 COE が終わった後もさらに面白い研究をや ---------------------------------------------------------------------COEは幅広い年齢層、分野の方々と一緒に仕事が っていきたいと考えています。 (坂井亜規子) できた大きな出会いの場でした。いつも野球の話を ---------------------------------------------------------------------このCOEに参加したことが契機になって気候変 してくれる先生、同室のPDとの昼休み、DCとの会 動や地球環境に関する文献をいくつか読んだ。その 話(COEへ入った頃は年上のDCが多かったのに今 中には、STP分野との密接な関係を指摘するものも では…)、普段会えない豊川の秘書さんと会えた時 あれば、それを否定するものもあって、まだよくわ の感動、事務スタッフとの尽きない雑談、その全て からないというのが実感である。今後も、この方向 がおしゃべり好きな私にとって幸せな時間で、それ の研究について注視していきたいと思う。また、本 があったから最後までCOEで楽しくお仕事ができ COEを通じて他の研究分野の方々と交流できたの ました。皆さん本当にありがとうございました。 も、私の収穫のひとつ。COEで、お世話になった方々 (増成朝美) には感謝致します。(徳丸宗利) 13 理性的に、合理的に考えるとバカバカしく思える とができたのは、この上ない喜びでした。また、グ ことって、世の中にはいくらでもあるに違いない。 ループ 2 における同年代の教員達による「幹事会」 むしろ、やれることといえば、最大限の次善策を考 で、これまで同じ建物に居ながらも交流の少なかっ えて、走り回ることぐらい。あるいは、あきらめて、 た教員達と頻繁に会合を持つことができ、さらに共 成り行きに任せる。その場合にも2通りある。我関 同研究を実施して共著論文を執筆できたことは、大 せずとして斜めから眺めるか、あるいは、どっぷり 変良い経験になりました。 と中に浸かって、客観的思考を停止させるか。 「この 一方で、21 世紀 COE プログラムは研究教育プロ 酒を とめちゃいやだよ 酔わせておくれ まさか グラムであり、ある一つの特化した研究テーマに関 シラフじゃ いられまい」嗚呼たのし(田中広樹) する研究プロジェクトではなかったためか、一部の ---------------------------------------------------------------------本当に楽しかったというのが一番の感想です。太 教員の参加に留まったことを非常に残念に思いまし 陽活動と地球気候・気象の関係について長年研究し て、社会に貢献できる人材を育て、世に輩出する義 てこられた先生や卓越した個性を持ったリーダーと 務があります。その自覚と責任感をもち、地球環境 シニアの方々とお会いし、仲間と一緒にCOE春の学 科学専攻は一丸となって学生の教育に今後勤しむこ 校を主催したことなど感慨無量の経験でした。そし とを切に希望します。 (檜山哲哉) て、今、ようやく自分の研究に土台を据える段階に 来たのかなと感じています。時間を要した分だけに ---------------------------------------------------------------------この3年間の間、良くも悪くも、様々な経験をさ 今後その土台の上に是非とも立派な建造物を建設し せて頂きました。感謝いたします。今、気候モデリ たいと思っています。(横山正樹) ングがかなり癖の強い分野であることが、ようやく ---------------------------------------------------------------------研究棟が環境総合館から徒歩 20 分の南西の果て 分かりかけた所です(元々気候モデリングを研究し (!)にあり、COE が無ければ知り合うことが出 か?) 。鍋の下にも3年。ようやく道が開けそうな感 来なかったであろう HyARC や STEL の仲間とも交 じがしています(錯覚かもしれません) 。あと少しの 流の輪が広がり、研究生活における相談や悩みを共 間、気候モデリングの世界に浸っていたいと思いま 有することが出来ました。同輩だけでなく先輩や先 す。では、またどこかで。 (川田佳史) 生方にも見守って頂き、COE 特別セミナー、SELIS 横断セミナーの両セミナーにおいて、講師招聘・運 ---------------------------------------------------------------------この COE プログラムにおいて、専門分野が異な 営の機会を得たことも私にとって何物にも変えられ るためほとんど研究上の話が出来なかった教員の方 ない幸せでありました。 (鈴木千賀) と、また特に若手のポスドクや博士課程学生と、一 ---------------------------------------------------------------------このCOEに参加して、これまで交流の少なかった 緒に研究ができたことは大きな刺激となりました。 大気水圏系やSTEなどの方々とも、研究・教育面で 変良かったと思います。このプログラムに併せて開 連携することができました。また学生諸君にとって 設された「地球学」の講義においても、分野の異な は、見聞を広める機会や経済的支援などが得られて る若い研究者や学生諸君に話を聞いてもらい、有意 良かったと思います。ただ、特定のメンバーに負担 質問を頂いて感謝しています。 (中村俊夫) 義な意見、 が集中する傾向があり、運営面での問題点はいろい ろあったと思います。モデルグループと編集委員会 ---------------------------------------------------------------------本 COE プログラムに COE-DC として 4 年間参加 では若手メンバーに助けていただきました。この場 してきた。この 4 年間で様々なことを体験できた。 を借りて深謝いたします。(山口 靖) Nemani 先生を招聘した際にコーディネータを務め、 ---------------------------------------------------------------------准教授という身分ではあるものの、この COE プ 英語でのコミュニケーションの難しさを痛感した。 ログラムの事業推進担当者となり、事業の運営や各 スタワーの見学会では、実際にどのようにデータを 種事業を担当できたのは良い経験になりました。特 測定している現場を目にするのは非常に有意義なも に、自ら企画し、後半 3 年間で執筆と修正を繰り返 のとなった。これらの経験を今後の研究生活に生か してきた教科書「新しい地球学」の編集に携わるこ していきたいと思う。 (村上和隆) た。大学教員には、最高学府である大学の職員とし て来た人には、この気持ちは分からないでしょう 他分野の最先端の研究の現状にふれることが出来大 また、岐阜大 COE と合同で行った高山のフラック 14 私が従事している炭素 14 の研究は,まさに太陽か 科学は進歩するに従い細分化されてきたという側 ら地球環境までを含んでいますが、この COE を始 面を持ち、研究が狭い範囲のみに限定される現状も めるまではそういう意識があまり強くはなく、もと 否定はできない。しかし、自分の専門だけを見てい もと宇宙線や加速器実験が専門ですから、どちらか ると全体で何が起こっているのかが見えなくなりが というとその延長線上で考えていました。COE に ちであり、広い視野を身につけるという意味で本 参加することによって地球科学や環境にも目が向き、 COE は有意義なものであった。ただ、 「太陽・地球・ ちょうど話題になっていた宇宙線と雲の話とも相ま 生命圏相互作用系の変動学」という非常に大きなテ って,視野が非常に広がり、理解を進めるきっかけ ーマを掲げていたため、具体的に何をするべきなの になったと思います。 (増田公明) か戸惑う一面もあった。 (八木 学) ---------------------------------------------------------------------あっという間に3年間が過ぎてしまいました。私 ---------------------------------------------------------------------自分の研究が本 COE のお役にたてた感覚はあま 事になりますが、あまり役に立てずにすみませんで りありませんが、研究に対する視野、他分野への興 した。メンバーの皆様(特に支援室のスタッフの 味は確実に拡がり、楽しく本 COE に参加できまし 方々)には、御迷惑をかけることも多々ありました た。また、同年代の博士課程の仲間ができ、研究内 が、温かく見守って頂きとても感謝しております。 容を問わず、いろいろな議論をする機会が得られた (蜂須賀隆友) ことも、今後につながるよい経験になりました。多 ---------------------------------------------------------------------私は、協力教員として COE の諸活動に参加させ くの刺激をくださった諸先生方や PD、DC の方々、 ていただいた。いくつかのセミナーやシンポジウム や春の学校などに参加したり、 「地球学」講義に協力 ---------------------------------------------------------------------COE-SELIS に COE 研 究 ア シ ス タ ン ト させていただいたりして、私自身いろいろな刺激を (COE-DC)として採用していただき、地球表層や水 受けるとともに、学生にも刺激になったと思う。と 圏、地球内部の研究分野の先生方や学生の方の研究 くに、 「気候モデルセミナー」には2年間くらい参加 内容を聞く機会が増えたことは、研究の視野を広げ し、古気候学の最近の様子がわかっておもしろかっ るという意味で非常によい経験になりました。 また、 た。本 COE の活動を支えていただいた方々に感謝 国内だけでなく海外での学会・研究活動のために旅 したい。 (吉田茂生) 費などをサポートしていただき、貴重な体験をさせ ---------------------------------------------------------------------2005 年度から 3 年間の COE-DC としての活動の ていただいたことにとても感謝しています。 中で、DC 主催の横断セミナーや春の学校などで多 くの研究の話を聞けたことは、自分の視野を広げる ---------------------------------------------------------------------横断セミナーにおいて、全く異なる分野の方々に 良いきっかけとなりました。特にヒマラヤ氷河や 自分の研究内容を説明するのに苦労しました。努力 GCM の話は、アジアの環境変動解析を行う私の研 の大半を研究の背景の説明に費やすわけですが、自 究にとって、非常に有意義なものでした。今後はこ 身が取り組んできたプラズマの数値シミュレーショ の COE で得たきっかけから、異なる研究分野でも ンの意義などの説明に腐心しました。他の DC の 自分自身の糧にできるようにしていきたいと思いま 方々の研究内容についても、自身の予備知識の不足 す。 (村上拓馬) もあったため、三年間くりかえし聞いてようやく理 ---------------------------------------------------------------------COE期間は、我々がインドネシアで電離圏・熱圏 解に到ったというのが正直なところです(すべての の観測装置を設置する時期に重なり、大学院生を現 地に派遣して観測の経験を積んでもらうことができ ---------------------------------------------------------------------3 年間大学で働き、先生方や学生さん方と接する て大変感謝しております。また、大気上下結合の研 ことで、とても刺激を受けました。熱心に、また、 究にに関わることができ、これまであまり交流のな 生き生きと研究をされている皆さんの姿は魅力的に かった分野の方々と一緒に研究ができて良い経験と 見えました。これからは自分も、常に何かにチャレ なりました。(大塚雄一) ンジしていたいと思います。 (浅井瑞美) ありがとうございました。 (岡 知路) (中島章光) 内容とまではいきませんが)。(田中 伸) 15 SELIS-COE には、南極での越冬を終えて戻って 様にして芝の手入れをしているとか・・・。かく言 きたとたん、渦中に放り込まれたわけですが、普通 う私も「水をやってないぞ!」と三つしかない植木 の南極ボケ(?)からのリハビリに比べ、いろいろ 鉢のために、愛する妻をどなりつけています。もっ な面で刺激的でした SELIS-COE に参加する前は、 と周囲をみてごらんなさい。公害ヒステリーの母ち 共同研究といっても多少なりとも「雪氷」をキーワ ゃんは、緑を増やせ!公園を作れ!街路樹を植え ードとして括れる連携だったわけですが、SELIS で ろ!とわめいていますし、公園の管理人も"芝生内立 は「雪氷って何?」という人も多く、 「知らない人に ち入り禁止"とかして、芝生様を育てています。これ 如何に伝えるか」 という面で大変勉強になりました。 らは皆、善意という人間のすばらしい心を植物がコ (藤田耕史) ントロールした結果としたらどうでしょう。そのう ---------------------------------------------------------------------ヒト絶滅の次に来るもの−12 月のシンポジウム討 ちに草木は、人間をして「木を切り倒した人間は死 論補遺― いや、草木は人の心をコントロールするほど賢いの 刑にする」という法律を作らせるかもしれません。 先のシンポジウムで熊沢先生の「・・・・ヒト絶 ですから、一部にでも奴隷である人間の反撥を買う 滅プログラム・・」についての講演があった。私も、 ようなことはしないはずです。 ヒトは何が理由で滅び、その次に来るのはどのよう 私は、この草木軍団の人類奴隷化に対し、何かを な生物か!について、"思考?"を楽しんだ事がある しようというのではありません。私も草木に思考を ので紹介する。地質調査所労働組合の機関誌「大地」 コントロールされているのでしょうか、草木を楽し 462 号に掲載されたものである。 みながら生活したいと思っています。あと 50 年、 −標本館− 標本館を見学したことがあります 私の死んだあとも、今ベランダにある3本の植物は か?生物の進化系統樹が横に並んでいます。一番右 残るはずです。そして何万年か先、人類が滅んでし の端がホモサピエンス(人類)で、最も進化した生 まったのち、あの標本館のホモサピエンスという展 物となっています。古いものが衰えたり滅んだりし 示の右側にぐるりと一本の蔦が巻きつくでしょう。 ながらより進化した生物が生まれてきたわけですが、 生物の進化をより正確に展示するために! ではホモサピエンス(人類)の次に来るのはどのよ (田中 剛) うな生物でしょうか? 古生物は、それぞれ自分の特長とする所が最後に ---------------------------------------------------------------------私 は 、 COE プ ロ ジ ェ ク ト の 最 後 の 年 か ら は弱みとなり、衰えていったようです。たとえばあ COE-DC として COE 研究アシスタントをやらせて の巨大な恐竜は、その巨大さゆえ食べ物が足らず、 いただいており、まだ 1 年にも満たない身ですが、 滅んだと言われています。人間の特長の一つは"思考 自分の研究をしているだけでは経験できない他分野 する"ということでしょう。ある生物から人類の思考 の人との交流や研究に触れられて、自分にプラスに が知らず知らずの内に支配されているとしたら・・・ なったと思います。特に、気候などの環境問題に関 それも人間が喜ぶように・・・そのものは人間を支 して興味があったのでその講義などは聴けて良かっ 配する次代の生物かもしれません。それは何か!こ たです。COE に参加したことでこれからは自分の の筑波に移り来て強く感じました。それは草木では 視野をより広げ、 研究を進めていけたらと思います。 なかろうか?と。 (伊藤大晃) もあり、自然(草木)の保護には従来以上の注意を ---------------------------------------------------------------------第四紀という地質時代についてほとんど知識がな 払ったようです。草木を切った所には"これでもか" い状態からの開始でした。湖底堆積物の研究を通じ というくらい木が植えられています。 林を残したり、 て、ミランコビッチフォーシングによる氷期−間氷 新しく植樹する事に多くの要望が出され、一致した 期サイクルや太陽活動に関わる気候変動などの諸現 賛同を得たことでしょう。しかし、もっと考えてみ 象とそれらのメカニズムを知ることができました。 ませんか?草木が人間をして、少なくなりつつある また、研究のスキルアップにも努めることができま 自分たち(草木)のために奉仕させているのかもし した。4 年半もの間、ポスドク研究員として、研究 れないと! の機会を与えていただきまして、ありがとうござい この新都市を作るにあたり、人間は過去への反省 ました。 (勝田長貴) ある庭付きの住宅に住む課長さんは、毎朝なめる 16 安成リーダーの「COE は研究における出会い系 昨年度からの 2 年間、DC 研究員として COE に サイト」という言葉。世間では、一見して如何わし 参加させて頂きました。横断セミナーやシンポジウ いと誤解されるようなフレーズなのに、なんとも楽 ム等を通し、色々な方と交流し、多くのことを勉強 しそうな COE のイメージが見えてくる。新鮮で刺 することが出来ました。また DC 研究員となる以前 激的な言葉。とても印象深く感じたのを覚えていま の修士課程の頃から、地球学の授業やサイエンスワ す。このフレッシュ感をいつまでも。 (津田卓雄) ークショップに参加する機会を頂き、研究の意見交 ---------------------------------------------------------------------私は、ちょうど本 COE が始まった年度の当初、 換の場や、様々な分野へ視野を広げるきっかけを得 2003 年 4 月に名古屋大学に移ってきました。 生来、 りがとうございました。 (堀川真由美) 種々のことに興味をもっていますので、出会いの場 としての機能を十分に発揮した本 COE の催すシン ---------------------------------------------------------------------COE には最後の2年を参加させて頂きました。 ポジウムやセミナーになるたけ出席し、議論に加わ 私の研究テーマは太陽活動の気候への影響というこ ってきました。参加メンバーの報告書の査読を何回 とで太陽から地球、季節変化から 11 年、数百年の か行いましたが、これはよい試みだと思います。本 太陽周期のまでと広範囲に及んでいるので、この COE は、学問をする雰囲気を醸成するのにおおい COE の中で皆さんと一緒に研究できる機会は非常 に貢献したと思います。 (神沢 博) に貴重なものでした。ただこのような研究は一朝一 ---------------------------------------------------------------------COEプログラムの参加により大事なことが学べ 夕にできるものではなく、ようやくスタートライン た。参加した動機としてはお金がもらえることもあ え、これからのさらなる発展を願っています。 ったが、本プロジェクトに興味をそそられたことも (小寺邦彦) 大きかった。自分の研究内容を他分野の人に話すこ ---------------------------------------------------------------------- とも、他分野の人の研究の話を聞くことも貴重な経 Being a part of the integrated group of SELIS 験になった。しかし、同時に分野横断研究の大変さ COE helped me to broaden my scientific views in を目の当たりにした。楽しい研究をするには自分が the area of my research by exchanging ideas with 率先して動き、人を巻き込まなければならない。 the people from the diverse fields of studies. It (藤原大輔) played a role of common platform to share our ---------------------------------------------------------------------- problems and information within the different られたことは、大変有意義な経験でした。どうもあ に着いたというところです。若い研究者達とも出会 With an integrated team of versatile field in field of research. (Hemu K. Kafle) COE helped me a lot to broaden my horizons of knowledge. It not only enriched me with the ---------------------------------------------------------------------4年間は豊川キャンパスに研究室があったので、 research in different fields but also make me このCOEプログラムには学生を含めてあまりコミ realise and gave inspiration to look own research ットすることができなかったのが残念です。 しかし、 with broad angle. Interaction with researchers COEを通じていろいろな方と知り合え、私も学生も from different fields also gave me an opportunity 視野も広がったと感じます。(松見 豊) to re-evaluate and correct own research. In short ----------------------------------------------------------------------------------統合モデリンググループは、研究領域が太陽から COE for me was very fruitful. (Naresh Shakya) ---------------------------------------------------------------------私は所属研究室以外の方々にもお世話になってお 地球表層環境までと広く、どこまで分野横断的要素 り、隣接する諸分野にアドバイザーがいるありがた 隣接領域に視野を広げる努力をしつつ、各領域での さを実感しています。同様に、地球学という集まり 研究も疎かにしないよう、サブグループを立てる方 方が誰かの研究にとって有効な場合もある(あっ 針が決まってからは、落ち着いて研究・教育を進め た?)と思います。 地球を丸ごと理解するのは難しい られました。こうした研究交流で刺激を受けている ですが、視野は拡がりました。ありがとうございま 学生さんを見るにつけても、今後も何らかの形で交 した。(遠藤智史) 流を続けられればと思っています。 (関華奈子) を重視するのか、 最初は当惑もありました。 しかし、 17 4 Les Houchesでの一ヶ月 堀久美子(環境学研究科・博士課程3年) 私は、 7 月 28 日∼8 月 30 日の期間、 フランス Les ナモ、第 3 週はダイナモ理論、そして、第 4 週は室 Houches の universite Joseph Fourier, Ecole de 内実験でした。講義や講演の資料は、Web で入手で Physique des Houches に滞在してきました。目的 きます。 は、約四週間に渡って同施設で開催された Les (http://www-lgit.obs.ujf-grenoble.fr/houches/notes. Houches Summer School on ‘dynamo’に参加し、ポ html) 個人的には、第 2 週から 3 週にかけて行われた、 スター発表および研究を行うことでした。 滞在した村 Les Houches は、ヨーロッパアルプス Jones 氏(英 Leeds 大学)の理論と Tobias 氏(英 の最高峰 Mont Blanc(モンブラン)への登山口と Leeds 大学)の太陽ダイナモの連続講義が印象に残 して有名な町 Chamonix Mt Blanc から、バスで 30 りました。私がこれまで地球物理を背景にしてきた 分ほどの位置、標高約 1100 メートルの高さにある こともあり、このような理論の話を、近年の成果も 村です。 滞在施設のEcole de Physique des Houches 含めて、まとめて聴講したのは初めてでした。 今回の summer school の特徴の一つは、一日のプ は、村の中心部から少し外れた山の中腹にありまし た(写真 1) 。 ログラムの組み方にもありました。一日は、まず午 前の講義に始まり、午後いっぱいの自由時間を挟ん で、夕方に先端研究の紹介、というゆったりとした スケジュールでした。午前が終了した後は、昼食を 交えながら、気の済むまで議論をするもよし、研究 を進めるもよし、山に繰り出すもよし、といったも のです。私個人は、この午後の自由時間に集中して 時間を取れたことで、研究および論文執筆を進める ことができました。また、理論がテーマであった第 3 週には、午後の自由時間を使ってポスター発表を 行い、Jones 氏、Glatzmaier 氏(米 UCSC) 、陰山 氏(JAMSTEC)、Cardin 氏(仏 Grenoble 観測所) ▲写真 1 Ecole de Physique des Houches の本棟 といった第一線の研究者の方々と、一週間かけてゆ 今回参加した Summer School は Joseph Fourier ったりと議論をすることができました。 大学 Grenoble 観測所のダイナモチームが主催し、 参加者の多くが、大学院生だったことも大きな刺 「ダイナモ」をキーワードに開催されました。参加 激となりました。彼らの大半は、ダイナモ、太陽や 者は欧米を中心に、合計で約 50 名(うち講義者約 地球の内部を専門にしています。日本国内に限ると 20 名)でした。期間中は、一週ごとにテーマが設け ほとんど皆無になってしまう、これらの分野の学生 られ、各週のテーマに関連して、基本事項の講義、 と多く知り合うことができ、各国の学生事情をも垣 その応用例として先端研究の紹介、そして参加者の 間みることができました。 ポスター発表が行われました。第 1 週のテーマは、 また、Mont Blanc の麓という立地から想像され 固体地球惑星物理、第 2 週は、天文および太陽ダイ るように、 周囲の自然環境はすばらしいものでした。 18 建物から眺める景色(写真 2) 、近くの山道の散歩は、 講義や研究の合間の癒しとなりました。毎週末、出 かけたハイキングでは、2∼4 千メートル級の山々や、 その合間にある多くの氷河を、足で体験することが できました。 このようにして、Les Houches での一ヶ月はあっ という間に過ぎてしまいました。メリハリとゆとり があり、学業面と生活面の両方で充実した一ヶ月で した。 最後に、この一ヶ月にわたる滞在をご援助頂いた 当 COE にお礼申し上げたいと思います。貴重な機 ▲写真 2 Ecole de Physique des Houches からの景色。上方の 会を頂き、ありがとうございました。 山々の奥に Mt. Blanc。下方に見えるのが Les Houches 中心部。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 オーストリア・グラーツへ 中島章光(理学研究科・博士課程 2 年) 2007 年 7 月 9 日∼8 月 8 日に、21 世紀 COE プ broadband electrons の磁気圏から電離圏付近に至 ログラムから旅費の援助をしていただき、オースト るまでの加速・加熱メカニズムを調べることが期待 リア・グラーツにあるオーストリア科学アカデミー できます。Cluster 衛星は ESA(European Space 宇宙科学研究所(Institut fuer Weltraumforschung Agency)が 2001 年に、Double Star 衛星は ESA と - IWF)に滞在し、人工衛星のデータ解析を行ってき CNSA(Chinese National Space Administration)が ました。 協力して 2003 年に打ち上げた衛星です。これらの 私はこれまで、磁気嵐と呼ばれる地磁気擾乱時に 衛星データの一部を管理し、積極的な研究活動を行 観測される、broadband electrons という特異なオ っている IWF の Baumjohann 教授と中村先生の下 ーロラ電子の降りこみ現象について解析を行ってき でデータ解析を行い、解析結果について議論をする ました。磁気嵐が発生するとオーロラ帯は低緯度ま ことが今回のグラーツ出張の目的でした。滞在中に で広がり、時には北海道でも赤いオーロラが観測さ 解析を進めた、FAST 衛星と Double Star 衛星によ れることがあります。この低緯度で見られるオーロ る broadband electrons の同時観測例の解析結果は、 ラの発生原因の一つとされているのが、オーロラ帯 今年 9 月末に名古屋で行われた地球電磁気・地球惑 低緯度側での広いエネルギー範囲(30eV-30keV)に 星圏学会や 12 月中旬にアメリカ・サンフランシス わたる電子フラックスの増大現象、broadband コで行われた米国地球物理学連合(AGU)秋学会で electrons です。NASA(National Aeronautics and 発表することができました。 Space Administration)の打ち上げた 400-4000 km これまでも国際学会や観測のため、海外出張の経 の高度を楕円軌道しているFAST 衛星のデータから、 験はありましたが、一週間程度のアメリカやカナダ broadband electrons は、FAST 衛星の高度付近で など英語圏への出張が主でした。しかし、今回は一 加速された電子と、それよりさらに高高度で加速・ ヶ月と比較的長期間の滞在であり、それもドイツ語 加熱された電子とで構成されていると推察されてい 圏であるオーストリアへの出張ということで大きな ます。そこで、FAST 衛星のデータと、磁気圏の高 不安がありました。実際、ホテルでも少し英語ので 高度(数 Re、Re は地球半径)を飛翔する Cluster 衛 きるスタッフが一人いる程度であったため、学部時 星や Double Star 衛星のデータを比較すれば、 代に第二外国語で履修したはずのドイツ語での会話 19 は、恥ずかしいことに大変苦労しました。欧州圏と たのではないかと思います。なかなか経験すること 日本での生活面における文化の違いに戸惑うことも のできない今回の経験を、これからの研究活動や生 ありました。しかし、IWF の中村先生のサポートも 活に生かしたいと思います。 あり、 一週間した頃にはグラーツでの生活にも慣れ、 ドイツ語での会話や生活面での苦労も少しずつ楽し めるようになりました。 私が今回滞在したグラーツという街は、オースト リア・シュタイアーマルク州の州都であり、首都ウ ィーンに次ぐ人口第二の都市です。中心街近くにあ る高台には大きな時計塔があり、その高台からはグ ラーツ市歴史地区として世界遺産にも登録された、 非常に美しい街並みを見ることが出来ます。 ヨーロッパでは、私の滞在した夏季はバケーショ ンシーズンで、チロル東端や多くの山々があるオー ストリアでも登山姿の人を駅などで多く見かけまし た。 私がお世話になった IWF でも毎年この時期に、 所属している研究者みんなで登山をする、山頂セミ ▲グラーツの時計塔と市街地 ナーと呼ばれるものを企画しているそうです。今年 の山頂セミナーはたまたま私の滞在中に催され、私 も登山に参加することができました。20 名程度のス タッフと共に約 3000m の山に登り、山中の山小屋 で郷土料理を食べ、山頂で美しい山々を眺めること ができたことは、今回の出張の一番の思い出となり ました。 今回のグラーツ出張は、満足のいく解析結果が得 ることができ、また、海外での研究活動・語学研修 という意味で非常に良い経験になりました。言葉や 普段の生活で苦労したことで人間的にもタフになれ ▲IWF のみなさんと山頂セミナーにて -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ます。編集委員会へのご協力ありがとうございまし 職員異動 (平成 19 年 8 月∼平成 19 年 12 月) た。(Y.Y.) ついに最終号です。4年半というのは、終わってみると 【退職】 佐藤 淳 COE 研究員(PD) 早いものです。年2回のペースで、計9回発行しました。 H19 年 11 月 30 日 紹介した記事の内容は、北は北極圏から赤道を通り、南 ◆編集後記◆ は南極圏まで、地球全体に渡りました。でもこのCOEの SELIS COEとしては最後のニュースレターをお 試みは第一段階が終了を迎えただけで、これからが本 届けします。今号では本COEを終えるに当たっての 番のような気もします。今後もいろいろな人とおつきあい 感想を皆さんに書いていただきました。これを読む を続けていきたいと思っております。最後に、原稿依頼 と、地球科学に関係した幅広い分野を横に繋げると に対し、心よく引き受けてくださいました執筆者の皆様、 いう当初の目標は、ある程度達成できたかなと思い どうもありがとうございます。(S.N.) 編集:21世紀COEプログラム「太陽・地球・生命圏相互作用系の変動学」編集委員会 〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院環境学研究科 環境総合館401号室 TEL 052-788-6042,6043 FAX 052-788-6044 20