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ロンドン ラフボロウ団地の再生(手法と現況)
ロンドン ラフボロウ団地の再生(手法と現況) (Loughborough Estate) 関西大学 戦略的研究基盤 団 地 再 編 リ ー フ レ ッ ト -Re-DANCHI leafletMAY 2012 文部科学省 私立大学 戦略的研究基盤形成支援事業 『集合住宅“団地”の再編(再生・更新)手法に関する技術開発研究』 VOL. 037 □概要 されており、11 階建ての高層住棟 法により建設された団地である。 ラフボロウ団地は、ロンドン南東 はマルセイユのユニテダビタシオン 1. 高層棟の建設 部に位置し、エンジェルタウン団地 そっくりに作られている。これらは 2. 長大な低層住棟の建設 に隣接しているが、近年の再生事業 平行配置で並び、周辺は芝生のオー 3. 広大なオープンスペースの設置 は行われていない団地である。現在 プンスペースとなっている。 4. 工業化工法による建設 もまだ高層住棟及び長大な低層住棟 低層棟は、レンガで建てられたも □現状を確認して が残っている団地である。( 図 1,2,3) のと、RC で建てられた長大な住棟 ×高層住棟は街路に面しておらず、 □再生前の状況 がある。レンガの低層住棟は、解体 道路との関係性を全く持たない配 ラフボロウ団地は、3,000 戸以上 工事ではなく改修工事が行われてい 置となっていた(図 7) の住戸が集まり、1940 年代の低層 た。住棟同士の間は、車路と駐車場 ×高層棟の 1 階部分はエントランス 住棟と 1950 年代の高層住棟によっ と な っ て い る。RC の 低 層 住 棟 は、 とピロティになっており、住戸と て 構 成 さ れ て い る。 高 層 住 棟 は、 街路に面しているが、セットバック 屋外区間の関係性が全く感じられ 1953 〜 57 年にかけてロンドン州 ないものとなっていた(図 8)。 も無く街路に直接面する形態となっ 議 会(LCC) に よ っ て 建 設 さ れ た。 ている。 ×高層棟の周辺のオープンスペース コルビュジェの思想に基づいて建設 □団地建設の手法 は、フェンスで区分されており、 ラフボロウ団地は、以下の建設手 人が気軽に立ち入る作りになって いなかった。またオープンスペー スの管理主体も明確になっていな かった(図 8)。 図 1 . ラフボロウ団地位置図 図 4. ユニテそっくりの高層棟 図 7. 道路との関係性を持たない高層棟 図 2 . ラフボロウ団地配置図 図 5. レンガによる低層住棟 図 3 . 建設当初の航空写真 図 6.RC による長大な低層住棟 Keyword : イギリス ラフボロウ団地 団地再生 図 8. 内外の関係性持たない高層棟 1 ×高層棟の周辺には、集中型の駐車 △レンガ造の低層棟は、適度な隣棟 は、芝生の空間が広がるだけで、 場が配置されているが、住戸と駐 間隔があり、住棟も適度に分節化 専用庭もなく、管理主体が明確に 車場の関係性は全く見られなかっ されている(図 11)。 ならず使われない空間となってい た(図 9)。 ×レンガ造の低層住棟の間の空間は た(図 13)。 ×高層棟のファサードは、変化が無 、ストリートファニチャー等が設 ×道路と住棟の距離が離れているた く非常に単調なものとなっており 置されているが、使われていない め、道路空間と住戸との関係性が 、生活感などが全く感じられない 空間となっていた(図 11)。 全く見られなかった(図 13)。 ものとなっていた(図 10)。 ×レンガ造の低層住棟の間の空間は ×高層棟とレンガ造の低層棟の関係 × RC の低層棟は、街路に面するも 、車路と駐車場となっており、居 性が全く見られず、フェンスで区 のの全くセットバックされておら 住者の活動が全く見られなかった 切られるだけの空間となっていた ず、緩衝空間も全く設けられてい (図 11、12)。 (図 14)。同じ団地とは思えない なかった(図 6)。 △レンガ造の低層住棟は、改修工事 住棟配置となっていた。 × RC 低層棟の 1 階部分には、ほと が行われており、古いストックを △住宅協会の現地事務所があり、団 んど開口部も設けられておらず、 有効に活用する姿勢が感じられた 地マネジメント委員会の活動や、 住戸と街路の関係性が全く見られ (図 12)。 団地清掃や飼犬所有についての規 なかった(図 6)。 ×道路とレンガ造の低層住棟の間に 則が公開されていた(図 15)。 参考文献: 佐 藤 健 正、「 イ ギ リ ス 住 宅 物 語 - 近 代 の ハ ウジングはどのようにつくられてきたか -」 2012.03 図 9. 高層棟と駐車場の関係 図 10. 単調な高層棟のファサード 図 11. 低層住棟の間の空間 図 12. 車路と駐車場となっている住棟間 図 14. 高層棟と低層棟の間の空間 図 13 . 芝生のみの住棟と道路の間の空間 図 15. 住宅協会の現地事務所 関連リーフレット:007, 034, 035, 036, 038, 039, 040, 041, 042, 043, 044, 045, 046, 047, 048, 049, 050, 051, 052, 053, 054 『ロンドン ラフボロウ団地の再生 ( 手法と現状 ) (Loughborough Estate)』 発行:2012 年5月 執 筆 :増田 和起(関西大学大学院 博士後期課程) 倉知 徹(関西大学 先端科学技術推進機構) ( 調査:2012 年 2 月 28 日〜 3 月 4 日 ) 本リーフレットは、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 「集合住宅 “ 団地 ” の再編 ( 再生・更新 ) 手法に関する技術開発研究 ( 平成 23 年度 ~ 平成 27 年度 )」によって作成された。 2 関西大学 先端科学技術推進機構 地域再生センター 〒 564-8680 大阪府吹田市山手町 3 丁目 3 番 35 号 先端科学技術推進機 4F 団地再編プロジェクト室 Tel : 06-6368-1111(内線 :6720) URL : http://ksdp.jimdo.com/ ロンドン ラフボロウ団地の再生(手法と現況)(Loughborough Estate)