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「フレンドシップキルトを贈ろう~自分たちにできること~」 熊本県立盲学校
被災地復興に係る児童生徒の活動事例 「フレンドシップキルトを贈ろう~自分たちにできること~」 熊本県立盲学校 1.活動の概要 この活動は、平成22年度修了式の学校長講 話から始まった。 そして、このキルトを「フレンドシップ」キ ルトにするために、生徒Aは、アップリケを縫 い付けるブランケットステッチの仕方を、高等 講話は、東日本大震災の話と、「ハチドリの 部の生徒や学校長を始めとした職員に、手をと ひとしずく いま、私たちにできること(辻信 って教えて回り、多くの人に少しずつ縫っても 一監修 光文社 らった。1人の熱い思いから始まったこの活動 2005 年)」の朗読であった。 ハチドリが山火事を消すために、くちばしで水 は、クラスの2人に、その後普通科の5人へ、 を運んだ話である。この話は生徒たちを感動さ そして学校全体へと広まっていった。 せ、その感性を刺激した。「私は、私にできる 6月末、75cm*90cm のキルト3枚ができあ ことをしているだけ」という一文を聞いた生徒 がり、お見舞いと応援の手紙を添え、岩手、宮 たちは、「自分たちも、自分たちにできること 城、福島の盲学校に送った。 をして被災地を応援したい」という気持ちを強 くした。 高等部普通科1年(当時)の全盲の女子生徒 Aは、この講話後、 「自分たちも何かをしたい」 という熱い気持ちを、家庭科担当である筆者に 訴えてきた。筆者は前任校で、阪神・淡路大震 災の時に、授業で作ったフレンドシップキルト を被災地の小学校に贈った経験があり、その話 ①学校長に縫い方を説明する生徒A 2.活動の成果等 をすると、生徒Aはフレンドシップキルト(友 夏休みに入り、各盲学校から震災後の復興の だち同士でサインやメッセージを入れたパタ 様子と共に「力づけられた」「あたたかさが伝 ーンなどを持ち寄ってつなぎ合わせたキルト) わった」とお礼の手紙が届いた。 の意味を知り、「キルトで被災地の盲学校の皆 2学期になり、最初の呼びかけをした2人の さんを応援したい」とその気持ちを益々強くし 高校生は、応援の気持ちが伝わったことの喜び た。そして、唯一の級友である男子生徒Bと話 と共に、人と人がつながる「絆」の大切さ、自 し合い、自分たち普通科生5人が中心となって、 分のできることをする「小さな応援」の大切さ フレンドシップキルトを作ろうと決意した。 を知り、「自分自身もまた、励まされた。今後 新学期になり、家庭科の授業や余暇の時間の もハチドリのように行動につなげていきたい」 中で、ミシン縫い、まつり縫い、ボタン付けな と語っている。そして、前にも増して学業に、 どの学習を組み合わせ、キルトが完成していっ 部活動に頑張っている。 た。生徒たちはこの製作過程で、学校長講話で 聞いた「絆」という文字をアップリケにして縫 い付け、その中に綿を入れて凹凸をつけたり、 ボタンを点字のかわりにしたりとアイディア を出し合い、「このキルトをたくさん触っても らって、元気になってもらおう」と、一針一針 に気持ちを込めて縫っていった。 ②完成したフレンドシップキルト