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プロジェクトレポートガイドライン - 東京工業大学 イノベーション
プロジェクトレポートガイドライン 1. 本ガイドラインの目的 本ガイドラインは、大学院イノベーションマネジメント研究科技術経営専攻におけるプ ロジェクトレポートの目的,内容,評価軸を記述することによって,教職員および学生の プロジェクトレポートに対する理解を共有するために記すものである。 2. プロジェクトレポートの定義と目的 プロジェクトレポートは、各学生が実務で培った知識や経験に加え、本専攻で開講され ている講義等を受講することで得られる学理や方法論などを用いて、指導教員のもと、調 査・研究プロジェクトを実施し、その結果をレポートとしてまとめたものである。 プロジェクトレポートの執筆ならびにそのための調査研究の実施を通じ、学んだ学理や 方法論等を実務に応用する方法を習得するとともに、課題設定や課題解決、そのために必 要な論理的思考と証拠に基づき独自の論理を構築する能力を向上させることを目的として いる。これらの能力は実務における課題解決においても、学術的研究においても必要不可 欠なものである。 3. プロジェクトレポートのタイプ プロジェクトレポートは「レポート型」および「研究論文型」の 2 つのタイプから構成 される。 レポート型 レポート型のプロジェクトレポートでは、技術経営に関連する特定のテーマ,たとえば 研究開発や技術ならびに企業・産業の動向、政策や制度、社会や国際情勢などに関して、 網羅的に調査し、その結果を整理して記述する。そのうえで、定性的・定量的問わず独自 のデータを収集・分析し、独自の問題意識(社会的・産業的課題の認識や要請)に基づき 課題を抽出する。さらに、課題の重要性を論理的に記述し、課題の背景にある因果関係に ついて分析・考察する。その課題を解決するための新たな製品やサービス、ビジネスモデ ルやエコシステム、政策や制度を設計し、プロトタイピングの作成や実装を行い、ユーザ ーや当事者等に対するインパクト評価までを含むことが望ましい。これらの一連のサイク ルについて、過程と結果を報告する。 研究論文型 研究論文型のプロジェクトレポートでは、技術経営分野における先行研究における知の 蓄積を踏まえ、新たな方法論の開発、独自のデータの取得や分析結果の提示、または結果 に対する洞察を通じた新たな理論の展開や実務への貢献を議論することで、学術的な貢献 を提示する。イノベーション専攻への内部進学を希望する者は、研究論文型のプロジェク トレポートを選択する必要がある。なお、博士課程に進学することを想定していない学生 であっても研究論文型を選択できる。 4. プロジェクトレポートの評価 プロジェクトレポートは、プロジェクトレポートならびに最終発表会におけるプレゼン テーションの結果に基づき、専攻会議による審議を経て決定される。評価は、レポート型、 研究論文型のそれぞれにおいて、以下の評価軸に基づき行われる。 レポート型 レポート型のプロジェクトレポートは、技術経営に関連するテーマの調査,課題抽出, 課題解決の計画,課題解決の計画実施という一連のサイクルの過程と結果を報告するもの である。すなわち、社会や組織等における現状の理解や分析に基づき、本質的な課題を抽 出するとともに、その課題を実際に解決することを志向するものである。従って、下記の 軸に沿って総合的に評価を行う。 テーマ設定の重要性 (特に調査段階での)信頼性 抽出した課題の妥当性 記述の論理性と明瞭性 データ、問題意識、課題抽出、課題解決の各構成要素に含まれる新規性 価値の創出 研究論文型 研究論文型のプロジェクトレポートは、技術経営に関する概念の構築、因果関係の解明、 分析手法や設計手法の開発を志向するものである。従って、関連研究を十分に広く調査し、 体系的に整理するとともに、蓄積された知の体系の中での位置づけとオリジナルな貢献を 示すことが必要であり、以下の評価軸に沿って総合的に評価を行う。 研究課題の重要性 記述と表現の論理性と明瞭性 先行研究に対する新規性 データと手続きの信頼性 結果と主張の妥当性と信頼性 価値の創出 評価軸に用いられる用語の定義 重要性:テーマ設定の重要性。社会的、経済的、技術的に重要な課題に取り組んでいるこ と。またその重要性が説得的に示されていること。 論理性:論理的に書かれていること。用語の定義が明確であり、統一的に用いられている こと、主張や論理展開に飛躍や矛盾がないこと、章立てやパラグラフライティングなどに より、レポートが有する論理構成が明確に示されていることを含む。 新規性:新たな内容を含んでいること。レポートの位置づけと独自の貢献が明確に示され ていること。報告されていない事象の記述、新たな現象の発見、新しい概念の提案、因果 関係の解明、新たな手法の開発、製品やサービス、制度等の設計と提案、プロトタイプの 実装を含む。 信頼性:手続きの信頼性。信頼できる手続きにより研究がなされており、かつその手続き が追試験・追実施可能な形で明示的に示されていること。 妥当性:分析目的を達成するために用いるデータや、得られた結果の妥当性。用いたデー タの範囲と分析目的や主張の間に齟齬がないこと。分析結果の妥当性について議論がなさ れていること。 明瞭性:読者や読みやすさを念頭に置いていること。誰に内容を伝えたいかを想定した構 成や内容で執筆されていること。文章表現が明瞭であり、図表や参考文献等の体裁が整っ ていること。 価値:創出しようとする知的、社会・経済的価値が明確に主張されていること。また、結 果としてプロジェクトレポートやその作成過程を通じて価値が創造されていると認められ ること。つまり、レポート型であれば、社会経済的に有益な問題解決に貢献していること。 研究論文型であれば、蓄積された知の体系の中での位置づけと貢献が明確であること。 5.不正行為について プロジェクトレポートならびにその作成過程において不適切な行為があったと認められる 場合には学位の不授与、過去に遡っての学位の取消を行う場合があるので、研究倫理を遵 守すること。