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情報システムにおける LAN の役割

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情報システムにおける LAN の役割
1章
情報システムにおける
LAN の役割
1. 情報システムにおける LAN の役割
1.1 コンピュータシステムにおける LAN
●分散処理システムの構成要素としての LAN の誕生
1970 年代に LAN の研究開発が本格化した当初,LAN の目的は,分散処理型コンピュータシス
テムを構成する機器をつなぐ,高速度のデータリンクを実現することにあった。ところが,1980
年代に,LAN の普及が始まった後のシステム数の実績では,パソコン LAN に象徴される小規模
の LAN が圧倒的に多くなり,ホストコンピュータを中心とするコンピュータシステムにおける
LAN の利用は少数派になった。しかし,ホストコンピュータ中心のシステムで,LAN の効用が
認められなかったわけではない。むしろ,ホストコンピュータを中心とする集中処理型システム
であっても,ホストコンピュータと端末をつなぐ構内配線として,LAN が広く利用されるように
なっている。もちろん,分散処理型システムでも,コンピュータ同士をつなぐ高速データリンク
として,LAN が使われている。
●LAN を使わない,ホストコンピュータと端末の接続
LAN が出現する以前は,ホストコンピュータと端末の接続は,図 1.1.1 のようなスター型配線
が主流であった。1 台のホストコンピュータが多数の端末を相手とするデータ授受を同時に行う
ので,その制御のために,通信制御装置(communication control processor:CCP)あるいは前置
処理装置(front end processor:FEP)を用意する。通信制御装置と通信リンクの間には,データ伝
送装置のモデムあるいは DSU(回線終端装置)が必要である。このために,通信制御装置には,モ
デムあるいは DSU の数だけ,DTE/DCE インタフェースのコネクタを用意する。このコネクタは,
図 1.1.2 に示すような,25 ピンあるいは 15 ピンの比較的大きなものである。
ハードウェアの小型化技術の進歩によって,通信制御装置本体が小さくなっても,DTE/DCE
インタフェースコネクタは小さくなっていない。技術的にはコネクタの小型化が可能であっても,
すでに国際標準になっていて,多数の機器に実装されているコネクタを新しい小型のものに変え
ることは,いろいろと問題があって簡単には実施できないのである。したがって,通信リンクの
数が多い大規模システムでは,通信制御装置の小型化が,コネクタの数で強く制約される状態が
起きた。
コンピュータや端末の性能が良くなるにつれて,データ伝送速度の高速化の要望も強くなった。
データ伝送に使っているモデムは,伝送できる信号の周波数が 3.4kHz 以下のアナログ電話回線
の利用を前提としたものなので,あまり高速度のデータ伝送ができない。最新の高度の技術を使っ
たモデムでも,最高伝送速度は 56k ビット/秒程度である。
一方,ISDN(サービス総合ディジタル網)などのディジタル回線に DSU をつないで実行する
データ伝送では,データ伝送速度がかなり速くなった。ISDN の技術では,データ伝送速度の基
本が 64k ビット/秒であり,1.5M ビット/秒のデータ伝送もできる。ただし,すべての通信制御装
置がこのようなデータ伝送速度の DSU インタフェースを備えているわけではない。
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