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(2006年9月)(PDFファイル/3.8Mb)

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(2006年9月)(PDFファイル/3.8Mb)
特別非営利活動法人 HANDS(Health and Development Service)
ケニア国西部地域保健医療サービス向上プロジェクト
インターンシップ報告書
2006 年 9 月
阿部麻理恵(横浜市立大学医学部医学科 4 年)
目次
Ⅰ. はじめに
・ ・ ・
1
Ⅱ. 研修概要
・ ・ ・
1
Ⅲ. 活動内容、学んだこと
1. ケニアの地方分権の現状
2. ヘルスセンターの比較
3. JICA 中間評価、PDME
・ ・ ・
・ ・ ・
・ ・ ・
3
3
4
・ ・ ・
7
4. プロジェクトサイトの文化の特徴
Ⅳ. 全体を通しての感想
1. プロジェクトについて
2. インターン研修について
Appendix.1
Appendix.2
Appendix.3
Appendix 4
Appendix 5
Appendix.6
Appendix.7
Appendix.8
実習日程
Kenya-related-articles list
論文の要約
health sector reformに関するパワーポイント
ケニアの地方分権化に関する調査ミーティング(省略)
HCの構造
ヘルスセンターの写真
各施設の現状
・ ・ ・
7
・ ・ ・
・ ・ ・
8
8
・ ・ ・
9
・
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・
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・
ⅰ
ⅱ
ⅳ
x
xiv
xx
xxiii
xxv
・
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・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
Ⅰ. はじめに
HANDS のケニア国西部地域保健医療サービスプロジェクトのインターンシップ研修について、国際保健医療学会学生
部会フィールドマッチングプログラムより応募し、大学の夏季休暇を利用して参加した。その研修概要を報告する。
Ⅱ. 研修概要
1. 研修の目的および意義
インターン研修のあたり、自らが設定した目的は以下の通りである。
・ 国際協力の実際の現場を経験する
・ ケニアについて理解を深める
・ 自らの進路を描きより具体化していくよい機会とする
これらの目的を達成するために、以下の意志を持ってインターン実習に臨んだ。
・ 日本人専門家のご指導のもとで、どのような仕事にも積極的に取り組む
・ 経験することや目に見えてくるものに対し、常に考える姿勢を持って生活する
・ 日本人専門家やその他全てのスタッフの方々から学ぶ機会を大切にする
2. 研修期間
2006 年 7 月 16 日∼8 月 23 日
3. 研修場所
ケニア リフトバレー州ケリチョー県、ニャンザ州キシイ県
4. 日程
Appendix.1 を参照のこと
5. 指導してくださった主な方々
島本 護 アドバイザー(チーフアドバイザー/プロジェクトマネージャー ケリチョー)
北川 由美子 専門家(妊産婦ケア ケリチョー)
荒木 京子 専門家(医薬品管理 ケリチョー)
山本 記代美 調整員 (ケリチョー)
6. 事前準備
・ HANDS 事前オリテンテーションに参加(2 日間)
・ 実習計画書を作成、国際保健医療学会学生部会マッチング事務局に提出
・ ビザ取得
・ 予防接種(破傷風を接種。黄熱病は以前接種済み。)
・ プロジェクトについて前期報告書等を読んで情報収集
・ ケニアの関連論文を検索(論文リストは Appendix.2 を参照のこと)
・ ケニアの保健状況、地理、気候、歴史、経済体制、文化 等について情報収集
1
7. 収支報告
収入
日当 1500Ksh×36 日 54000Ksh
宿泊費 全日程分
支出
航空券代 167540 円
ビザ申請代 6000 円
破傷風予防接種代 3500 円
海外旅行保険 12330 円
Ⅲ. 活動内容、学んだこと
主にケリチョー県にて専門家のご指導のもと、インターンとして 5 週間従事した 。日程につい て詳しくは
Appendix.1 を参照されたい。前半 2 週間は、国会議員のキシイ視察や DPCC(District Project Coordination
Committee)や、JICA の中間評価のワークショップに参加した。また、7 月 31 日から予定されていた妊産婦ケア
研修の準備の行程にも関わることができた。さらに、health sector reform に関する論文を読み、ケニアの医療体
制や地方分権化の現状について学んだ。次の 2 週間は、予定されていた妊産婦ケア研修が延期となり、Health
Center(以下、HC)や、District Hospital(以下、DH)の視察に同行した。その他、地方分権化に関するプレゼン
テーション作成や、新事務所の引越し準備などを行った。その他のケリチョーでの活動として、文書の英訳や、ミーテ
ィングの議事録作成、印刷作業、事務所の清掃などを行った。最後の 1 週間は、ナイロビに滞在し、Ministry of
Health(以下、MoH)や NGO、病院への訪問に同行した。また研修中、多くの本や文書を読んで勉強する機会にも
恵まれた。
研修により学んだことは主に以下のとおりである。
1. ケニアの地方分権の現状
2. ヘルスセンターの比較
3.
JICA 中間評価、PDME
4. プロジェクトサイトの文化の特徴
以下、それぞれの項目について学んだことをまとめるとともに、考察を付け加えていく。
1. ケニアの地方分権の現状
ケニアのヘルスセクターリフォームに関する論文、Health sector reforms in Kenya: an examination of
district level planning. Health Policy. 2003 Apr;64(1):113-27.を読み、要約と論文に関するプレゼンテー
ションを作成した。プレゼンテーションは、スタッフ内の情報共有のために、ケリチョー事務所にて発表した。要約と発
表内容については、それぞれ Appendix. 3 と 4 を参照のこと。
さらに、8 月 5 日に JICA 本部アフリカ部調査役の方と HANDS ケリチョーオフィスの地方分権化に関するミーテ
ィングに参加し、議事録を作成する中で、さらに地方分権化に関する理解を深めることができた。作成した議事録に
ついては、Appendix.5 を参照のこと。
北川専門家が妊産婦ケア研修のため、中央や District の MoH、DH の関係者など様々なヘルスセクターの関係
者との打ち合わせをなさるのに同行させていただく中で得た各ヘルスセクターの印象、そして妊産婦ケア研修が延
期された背景などと、今回読んだ論文がつながる点が多かったように思う。
2
現状にも論文でも見られたケニアの課題の中で、大きな課題のうちの1つとなっているのは、制度を作る側と制度
を遂行する側に大きな隔たりがあることだ。それは、地方分権の制度もそうであるし、妊産婦の研修プログラムにつ
いても状況は同じである。以下が現状であった。
・ 妊産婦ケアの研修ガイドラインは、地方のニーズや状況がガイドラインに反映されていない点がいくつかある。ガ
イドラインは中央の MoH により作成されているが、それは地方によっては高度技術過ぎて研修には不適切な内容
が含まれている。また、数人の医療従事者で運営している HC が人手不足になってしまいかねない 2 週間という長
期間のプログラムが組まれている。
・ 医薬品の配布状況も地方のニーズが反映されていない。医薬品は決められた種類・量の医薬品がキットになっ
て各ヘルスセンターに配布される。これは、ケニア西部でも東部でも全く同じキットだ。例えば、マラリアにかかりやす
い東部だからといってマラリア薬が多くヘルスセンターに届くということもない。ただ、この現状は中央も問題視してい
て、改善の見込みは少しあるという声も Kenyatta National Hospital の薬剤師からあった。
・ 各 HC、各 DH の予算は中央の MoH が決めているため、HC の状況を一番理解している DH により HC の予算
の分配を調節することができない。そして、たいていの HC の予算は一律に決められている。
地方の声を十分に取り入れずに制度が中央の MoH で決められていることから、これらのような多くの解決を要す
る問題が浮かび上がってきている。現状を見ても、上記論文に書かれていた Closing the gap between policy
makers and policy implementers の重要性についての議論は妥当だと思う。
さらに、8 月 5 日の地方分権に関する調査ミーティングの中で議論された内容の中で、地方分権が進む推移につ
いての議論が興味深かった。ケニアは未だ平等にサービスを提供していこうという段階で、中央の MoH には地域の
状況まで目を配っている余裕はなく、平等なサービスを実現できた段階で、ようやくそれぞれの地方のニーズにより
サービスを変えていくことのできる地方分権が実現するのではないかという議論だ。
現在、地方のニーズ、声がなかなか中央の MoH に届いていないという現状があり、それを解決する一手段として
HANDS の活動も働いているのだと思う。
2. ヘルスセンターの比較
今回、HC や DH を見学する非常に多くの機会をいただいた。そのうちのいくつかを比較してみる。比較の方法とし
て、荒木専門家に教えていただいた2つのことに着目していく。それは、以下の通り。
・ 見学にいくときは 5 つのテーマに絞ってそこに着目する
・ 建物の地図を描き、構造にも着目する
キシイとケリチョーには各 7 個の HC と、各 1 個の DH がある。そのうち、今回見学することができたのは、以下の
通り。
ケリチョー: Kericho DH, Ainamoi HC, Kabianga HC, Kipkelion HC, Fortenum HC
キシイ: Kisii DH, Marani HC
ナイロビ: Kenyatta National Hospital, Masaba HP(Private HP)
3
このうち、Kabianga HC, Kipkelion HC, Fortenum HC, Kisii DH MCH, Kericho DH MCH について以下の
5 項目に特に着目して報告する。それぞれの項目の具体的な指標を設けるまでには至らなかったので、各項目につ
いて私が感じたことをそのまま表現していくに留める。
① トイレの清潔さ、構造
② ベッドの高さ、ベッドとベッドの間の間隔
③ 整理(sort)、整頓(set)、清潔(shine)がどれくらいできているか
④ 妊婦さんの病院までの交通手段
⑤ 看護師の制服の色、形、帽子の有無
+ 病院の構造(地図を描く)
なお、これらの項目を選んだのは、次のような意図によるものである。
①、② → どれだけ患者のことを考えた病院運営が行われているかを見るのに一番ベーシックな指標だと考えた。
トイレの清潔さは、患者が病院に来ようという気持ちを作用する要因でもあると思う。また、ベッドの高さは、医療者
側としてはベッドが高いほうが便利だが、患者のことを考えるとなるべく低いほうが安全である。また、トイレの構造
は、トイレがなるべく長く使えるような工夫がなされているかどうかを見るものだ。
③ → 病院改善を行う方法として、5S(Sort, Set, Shine, Standardize, Sustain)というスローガンをプロジェク
トの中間評価にきてくださった JICA の半田先生から学んだ。これは、病院の整理整頓をし、病院を清潔に保つとい
うことを、自分だけでなく周りの職員にも広めて継続することで、病院を改善していこうという手段で、すでにスリラン
カの母子病院での JICA プロジェクトでも成功をおさめている方法である。
この 5S はケリチョーやキシイの病院でも導入することができると思うが、その前に HC の整理整頓の現状を知りたく
てこの項目を設けた。
④ → 交通手段などのインフラもヘルスセンターの利用者を左右する重要な要因であり、リファラルシステムを円
滑に進めるためにも重要な要因だと考え、この項目を設けた。
⑤ → 看護師により服装が異なるので、どういう理由かを探るためにこの項目を設けた。
これらの項目に着目して Appendix.8 にまとめた。HC の地図については Appendix.6 を、Appendix.8 の中で
指し示している写真については Appendix.7 を参照のこと。
そして、ヘルスセンターの見学、そして Appendix.8 にそれぞれの HC についてまとめることにより、わかったこと
や考えたことは以下の通りである。
【1】 部屋の構造、配置の工夫
部屋の構造、配置の工夫が HC でも DH でもそれぞれに工夫が見られた。主に見られた工夫は以下;
・ お産する部屋とお産の後に休む部屋が隣り合っているので患者の移送がスムーズにいく
・ VCT room や、家族計画の部屋は建物の奥の人目につかないところに配置することにより、家族計画を
よく思わない民族にとっても入りやすい部屋としている。さらに、入り口を建物の裏に設けている HC もあ
った。
・ 電気が少なくても建物の中が明るいように、部屋の窓が大きく作られていた。
以上のように建物を 1 つ建てる際にも着目するべきことはいろいろあり、その国の状況や部屋の用途をよく考え
た上で建物を建てることが大切だと感じた。
4
【2】 患者のことを考えた医療現場とは何だろうか
今回の見学の着眼点の中でトイレに着目した際に発見した1つの大きな違いは、JICA が改修した HC のトイレは
男女別に分かれていたということだ。小学校でも他の HC でも男女別にしていないにもかかわらず、男女別にする理
由はないのではないだろうかと考えてしまう。男女別にした本当の理由はわからないが、理由を推測すると、JICA
が供与した便座の使い方を男性がわからないかもしれないということ、男女別のほうが糞便検査などがスムーズに
いく、女性がトイレに入りやすい、などがあげられるだろうか。
ベッドの高さは高いものから、低いものまであった。そして柵がないものもあった。あまりベッドの高さにまでは気を
配っていないことがうかがえた。
日本で患者の権利を叫ばれだしたのも最近のことだが、患者のことを考えた医療現場の最もベーシックなラインに
ついてケニアの医療者も少し考える姿勢を持つことができれば、HC へより多くの患者がくるかもしれない。
【3】 整理整頓の現状
整理整頓の取り組みは、少し意識と知識を得るだけで改善にむけて行動を起こすことのできる有効な方法である
と感じた。現状は、整理整頓は出来ているところとそうでないところがあったが、全体的にキャビネットの中や引き出
しの中が乱雑であった。しかし、5S(Sort, Set, Shine, Standardize, Sustain)の病院改善の方法を話すと、興
味を持って聞いてくれる職員も多かった。また、ファイルを横にするのではなく、立ててしまうといったことも、初めて
聞いたと言っていた。
整理整頓について HANDS から、そして、人から人へ、少しずつ意識が広まっていくことにより改善されていく大き
なコミュニティーアクティビティーの柱ともなる取り組みになると思う。
【4】 服装の違いから医療者関係が見えた
服装の違い、特に色の違いが医療者の上下関係を反映していることがわかった。HC では全員白色だったのだが、
DH の看護師は師長だけが緑色だったり青色だったり区別のつく服装をしていて、他の看護師が白色だった。
【5】 交通手段の問題
交通手段の問題が、HC の利用の大きな妨げとなっていた。マタツーで来ることができるところはまだよいが、来る
ことができない HC には坂道や泥道を 2-3 時間歩いてきていた。
いくら HC の機材が充実してお産が可能になっても妊婦さんが来なくてはしょうがない。また、ANC に来ていた妊婦
さんも、実際の出産の段階になって交通の便の悪い HC まで行くのは困難である。仮に車があったとしても次は燃料
がないという問題になる。
交通手段の問題の解決は非常に大切である問題だと感じた。解決手段として地元の大きな資源であるロバを使う
などの方法も考えてもいいのではないだろうか。実際にロバや馬をリファラル手段に利用している国や地域もあるの
で、不可能ではないと思う。
【6】 機材供与について
HANDS が前の期で行った機材供与は、各 HC でお産が始まったことに大きく貢献していた。お産が始まった HC
では多くの機材は使われていた。
しかし、課題もいくつか見られた。そのうちの 1 つが、ドップラーや、ジェネレーターなどのバッテリー、燃料が必要
な機材を持て余している HC があったということだ。その土地に何が一番適した機材なのかの判断は非常に難しいこ
とだと思った。
そして、機材供与の際に、そのものの使い方や、大切さも教えることも十分にしたほうがいいと思った。一部の機
5
材の使い方が誤っていたり、使われていなかったりしたのだが、それらの使い方や使うことでいかに医療サービスが
充実するかを十分に伝えることで、少しは改善するのではないだろうか。
3. JICA 中間評価、PDME
研修期間中に、JICA の半田先生によるプロジェクトの中間評価があり、PDME 作成のワークショップと、現状調査
のためのワークショップに参加させていただいた。後者は、CORP(Community own resource person)や
District HP の医師を招いて、プロジェクトの recipient 側からの意見を聞きプロジェクトがどこまで達成できている
かを判定し、さらに今後のプロジェクトの課題を見つけることも可能なワークショップである。
ワークショップの中で最も私が印象的だったことは、内容もさることながら、いかにワークショップの参加者の意見
を引き出すかという点である。なぜなら、参加者は前述したように様々な立場の人で、さらに初対面のファシリテータ
ーの前で、地域の医療の現状や困っていることなどを話しづらいのではないか、情報のバイアスが大きくかかってく
るのではないだろうかと私は考えたからである。
実際のところそのようなバイアスはほとんどかからずに、参加者のフランクな意見や課題を聞くことができたように
思う。そのような状況作りが実現した理由として以下のような要素があると思う。
・ この会の趣旨をはじめきちんと述べ、協力を募る
・ 立場の違う参加者同士のでも話しやすい雰囲気を作る。
・ ただ質問するだけでなく、具体的な例を用いて、どういう情報が欲しいのか詳しく話しつつ質問する
・ 日本の歴史や昔の現状の話しなどを持ち出すことにより、参加者も何か新しい情報を得ることが出来、参加して
よかったと思ってもらうと共に、ファシリテーターに対して身近な気持ちにさせる
プロジェクトの評価という、自国の評価だけではなく常にプロジェクトの recipient の意見を聞いていくことの大切
なプロセスにおいて、いかに recipient 側の率直な意見を聞きだすか、現状を知るか、ということを学べてとてもよか
ったと思う。
4. プロジェクトサイトの文化の特徴
島本プロジェクトマネージャーのご指導のもと、日々の活動の中で、キシイ、ケリチョーについての文化の特徴、注
意点を多く学んだ。またその他に、『アフリカ女子割礼』 (地方研究、Vol.6 No.1 2004.4.30)と、『グシイ』(松園万
亀雄、弘文堂、平成 3 年)という本を読んだ。
日々の活動の中で学んだことは以下の通り。
・ 服装の注意点
キシイでは、短い丈のスカートや、スラックスは着用せず、ロングスカートを着用しないと、キシイの民族のグシイに
恥をかかせてしまう行為となる。
・ 家族関係
キシイに住む家庭の息子は、父親に触れないことで、父親に敬意を表す。家族内で父親と息子の間である程度のス
キンシップは行われ、仲の良い家族、幸せな家族というものが理想とされる日本とは異なっている。父親の権威に対
して、敬意を示し服従しなければならない。
ケリチョー、キシイの文化の理解は、保健分野のプロジェクトにも切っても切り離せない大事な要因だ。文化を理
解していないと、現地の人と信頼関係を築けなくなる可能性もでてくるので、プロジェクトに支障をもたらなしかねな
い。保健分野のプロジェクトだからといって、文化について考えなくてよいということでもない。また、ケニアではゴミ問
題が深刻になってきているが、キシイでは穴を掘ることは罰則に使われることなので、ゴミを埋めることを住民に根
6
付かせるというプロジェクトを行ったとしても、そのプロジェクトは定着しない。
保健分野だけでは解決できないという点では、女子割礼も同じことがいえるかもしれない。女子割礼を保健の側
面だけから議論すれば、女性の身体や精神、生活、出産に悪影響を及ぼすものとして否定される。しかしながら、文
化人類学視点から 1990 年代後半に日本でも女子割礼の廃絶運動を批判するような議論がでてきたように、単純
に否定することはできない問題である。そして女子割礼の議論は他にも歴史学、女性学、政治学などさまざまな学
問領域で研究、議論されている。
今回、プロジェクトサイトの文化について触ることができたことで、医療分野の視点だけで物事を考え議論していくこ
との視野の狭さ、危険性を感じた。そして、まだプロジェクトサイトの文化について知らないことが多いので、さらに調
べてみたいと思う。
Ⅳ. 全体を通しての感想
1. プロジェクトについて
① コミュニティーのパワー
ケリチョーやキシイにあるコミュニティーのパワーを実感した。例えば、District のレベルでも、ケリチョーキシイの
合同会議において DH の医師が District の力で妊産婦ケアの研修をする能力があるということを述べたように、
District の発言力が少しずつ大きくなってきている。
そして、HC レベルでも、お産のサービスが開始し、少しずつ HC を利用する人が増えてくることによって、今後 HC
の役割も今までより少しずつ拡大していけるだろう。なにより、HC にもできる病院改善策を提供していくことが大切
だと思う。その一つとして、5S というスローガンを用いて病院を整理整頓するという作業を継続的に行っていくメソッ
ドがとても有効になってくるのではないだろうか。
地方分権化の政策においてうまくいっていない面も多く感じたが、今後ケニアが地方分権化を進めていく中で、プ
ロジェクトとして地方に視点をあて、強化していくことの意義は多くあると思う。
② 現場の近くで働くことの大切さ
ケニア全体で見ると、HANDS はかなり現場に近いところで行っているプロジェクトだ。都市化しているナイロビで
のプロジェクトと比べ、生活環境、文化、気候も特徴があるケリチョーやキシイでのプロジェクトには苦労する面も多
いが、その地域に実際に住んでプロジェクトを行うことでよりその地域の特徴について理解できることも多いと思う。
そして、ケリチョーやキシイの中でもさらに、事務所にいるだけではなく、現場に足を運ぶことでわかることも多かっ
た。例えば、Kipkelion HC ではお産数が他の HC に比べて少ない。この数値だけを見ていると、この HC のスタッ
フのパフォーマンスが悪いのではないだろうかなどの予測しかできない。しかし、実際に足を運んでみることで、HC
の立地条件の悪さなどの現状も見えてくる。
稲葉峯雄先生が書かれた『草の根に生きる』(岩波書店、1973 年) という本に書かれていた、農村部の村で家
族計画に取り組まれた例でもそうだったが、コミュニティーでの活動は一歩一歩ゆっくり進んでいき、自ら足を運んで
活動していかないと物事はなかなか変わらない。
それだけ現場で働くことは大変な仕事であるということだが、それの大切さや醍醐味も多いに感じた。
③ ヘルスセクター間の架け橋
HANDS のプロジェクトの中で、一番大変そうだと私が個人的に感じたところは、いろいろなレベルのヘルスセクタ
ーと折衝していくという点だ。ナイロビでは中央の MoH の官僚と話をし、ケリチョーやキシイでは District や HC の
担当者やコミュニティーの人と話をしている。それぞれのヘルスセクターにはそれぞれの立場、方針があり、折衝も
容易ではない。
7
そのような困難の中でも、HANDS のこういった役割はとても大きいと感じる。中央にむかって地方がなかなか意
見を言うことができないシステムの中で、HANDS が代弁することができる。また、District の人と HC の人が交流す
る機会を研修などで設けているということも、District と HC の架け橋に HANDS がなっている意義は大きいと思う。
④ Porepore(ゆっくりゆっくり)
ケニアでは様々なことがのんびりとしていた。カーテン屋が 20 分で来ると言って 2 時間経過しても来なかったり、
ホテルのレストランの食事でも、たいして手の込んだ食事を注文したわけではないにもかかわらず、注文後 1 時間し
てようやくでてくるということもよくあった。
プロジェクトをケニアで行うときに、こういったのんびりした国民性にいらいらしてては身が持たない。郷に入れば郷
に従えという姿勢で取り組むことも大切だと感じた。
2. インターン研修について
① 自分で考えて行動することの難しさ、楽しさ
これまで、JICA のプロジェクトなどを見学する機会はあったが、インターンとしてもう少し深い立場で微力ながら関わ
ることができたのは初めてだった。インターンの見学との違いは、自ら積極的に行動するという点だと思う。もうすで
に進行しているプロジェクトの中で、周りを見渡して、自分にでもできることを探したり、興味のあることを調べていくこ
とに、難しさも感じた。しかし、同時に、自分にできることを探す過程で、まわりの人がどういった作業を行っているの
かを見渡すことができ、プロジェクトがどのように進行しているかについて知ることができて非常によかったと思う。
② ものをみる視点をみにつける訓練
いくつものヘルスセンターに行く中で、ヘルスセンターというものに対してどのような視点で見るか等のご指導をい
ただき、それを実践できたことは大きな収穫の 1 つだ。目にしたものをどう自分の中で消化し、自分のものにしてい
けるかということについてこれからもさらに訓練を積んでいきたい。
③ 将来へむけて
今回、1 ヶ月間プロジェクトに関わらせていただき国際保健の現場を間近で体感したことで、将来の進路を考える
上でより具体化して考えることができるようになった。一番の自分の宝物は、現地で働く方々とたくさん話すことがで
きたことだと思う。
④ 今後、まわりに経験を伝えていくことの重要性
今回のケニアでの経験を、自分のまわりでもぜひ伝えていきたい。
最後に、今回のインターンという貴重な機会を与えてくださり、ケニア滞在中も支えてくださった、HANDS の皆様、日
本国際保健医療学会学生部会、その他すべての方々に感謝の意を申し上げます。ありがとうございました。
8
Appendix.1 実習日程
7/16 Sun
日本出発 NARITA 12:00// AI307 // 20:10 Mumbai(Bombay)
機内
7/17 Mon
Mumbai 8:30// AI201 // 12:00 Nairobi 到着後に JICA、MoH を訪問
ナイロビ
ケリチョーへ移動
ナイロビ→
ナイロビ、ナクルで MoH を訪問
ケリチョー
7/19 Wed
島本 PM のオリテンテーション、Kericho District HP 見学
ケリチョー
7/20 Thr
DPCC に参加、ビデオ撮影、その後ケニア事務所合同ミーティング
キシイ
7/21 Fri
日本の国会議員のキシイ訪問に同行、Marani HC と Kisii District HP 見学
キシイ
7/24 Mon
PDM の英訳作業
ケリチョー
7/25 Tue
PDME 作成ワークショップに参加(JICA Kenya office 半田先生)
ケリチョー
7/18 Tue
7/26 Wed
7/27 Thr
CORP(Community own resource person)や District HP の医師を招いて
の中間評価ワークショップに参加(半田先生)
Ainamoi HC 見学
ケリチョースタッフと半田先生の会合に参加
ケリチョー
ケリチョー
印刷作業、『Reproductive health for CORP』の資料で勉強
ケリチョー
プロジェクト活動計画の英訳作業、health sector reform に関する論文で勉強
ケリチョー
8/1 Tue
health sector reform に関する論文で勉強、summary 作成
ケリチョー
8/2 Wed
health sector reform に関する論文で勉強、summary 作成
ケリチョー
7/28 Fri
7/31 Mon
8/3 Thr
Kisii District HP MCH 見学、Technical MTG on community activities 参
加
キシイ
8/4 Fri
Kabianga HC 見学
ケリチョー
8/5 Sat
JICA 地方分権に関する調査ミーティングに参加、議事録作成
ケリチョー
8/7 Mon
島本 PM と面談、Kipkelion HC、Fortenum HC 見学
ケリチョー
8/8 Tue
8/9 Wed
Kericho District HP MCH 見学、8/5 の議事録作成、資料英訳、新事務所の窓
寸法計算、health sector reform に関する論文のプレゼンテーション作成
8/5 の議事録作成、health sector reform に関する論文のプレゼンテーション
作成、プレゼンテーション
ケリチョー
ケリチョー
8/10 Thr
新事務所への引越準備
ケリチョー
8/11 Fri
新事務所への引越準備、クアヘリパーティー
ケリチョー
ナイロビへ移動
8/14 Mon
途中、ナクルの JICA 専門家(後藤専門家、渡辺専門家)と JOCV の大橋さんと会
合に参加、ナイロビでは半田先生とのミーティングに参加
8/15 Tue
8/16 Wed
8/17 Thr
MoH、印刷会社を訪問
ケリチョー
→ナイロビ
ナイロビ
MoH、AMREF、JICA ケニア事務所、TOYOTA、印刷会社を訪問
北川専門家帰国
MoH、Kenyatta National Hospital、IMC(NGO)、Masaba HP(Private HP)
を訪問
ナイロビ
ナイロビ
8/21 Mon
ナイロビ発 Nairobi 17:45// AI200 // 02:25(8/22) Mumbai
ナイロビ
8/22 Tue
Mumbai 14:30// AI308 //08:00(8/23) Narita
機内
8/23 Wed
帰国
機内
i
Appendix.2
Kenya-related-articles list
1
Use of antenatal services and delivery care among women in rural western Kenya: a
community based survey.
Reprod Health. 2006 Apr 6;3:2.
2
Modelling distances travelled to government health services in Kenya.
Trop Med Int Health. 2006 Feb;11(2):188-96.
3
The pervasive triad of food security, gender inequity and women's health: exploratory
research from sub-Saharan Africa.
Afr Health Sci. 2005 Dec;5(4):328-34.
Keywords: Food security, Gender equity, Women’s health, Sub-Saharan Africa
4
Use of intermittent preventive treatment for malaria in pregnancy in a rural area of western
Kenya with high coverage of insecticide-treated bed nets.
Trop Med Int Health. 2005 Nov;10(11):1134-40.
Keywords: pregnancy, malaria, sulfadoxine-pyrimethamine, IPT, Kenya
5
Neurological and developmental outcome of neonatal jaundice and sepsis in rural Kenya.
Trop Med Int Health. 2005 Nov;10(11):1114-20.
Keywords: neonates, hyperbilirubinaemia, sepsis, jaundice, brain damage, Kenya
6
Health sector reforms in Kenya: an examination of district level planning.
Health Policy. 2003 Apr;64(1):113-27.
7
Effect on neonatal tetanus mortality after a culturally-based health promotion programme.
Lancet. 2001 Aug 25;358(9282):640-1.
8
Female genital mutilation and obstetric outcome: WHO collaborative prospective study in six
African countries.
Lancet. 2006 Jun 3;367(9525):1835-41.
9
Pregnancy interval and delivery outcome among HIV-seropositive and HIV-seronegative
women in Kisumu, Kenya.
Trop Med Int Health. 2004 Jan;9(1):15-24.
Keywords: pregnancy interval, pregnancy, HIV, urban population, Kenya
10
Unplanned childbearing in Kenya: the socio-demographic correlates and the extent of
repeatability among women.
Soc Sci Med. 2003 Jan;56(1):167-78.
11
All-cause mortality among young children in western Kenya. VI: the Asembo Bay Cohort
Project.
Am J Trop Med Hyg. 2001 Jan-Feb;64(1-2 Suppl):18-27.
12
Frequency and timing of antenatal care in Kenya: explaining the variations between women
of different communities.
Soc Sci Med. 2000 Aug;51(4):551-61.
13
Delivery of paediatric care at the first-referral level in Kenya.
Lancet. 2004 Oct 30-Nov 5;364(9445):1622-9.
ii
14
Assessment of inpatient paediatric care in first referral level hospitals in 13 districts in
Kenya.
Lancet. 2004 Jun 12;363(9425):1948-53.
15
Use of bednets given free to pregnant women in Kenya.
Lancet. 2003 Nov 8;362(9395):1549-50.
16
Defining equity in physical access to clinical services using geographical information systems
as part of malaria planning and monitoring in Kenya.
Trop Med Int Health. 2003 Oct;8(10):917-26.
Keywords: geographic information systems, equity, physical access, health services, fevers,
Kenya
17
Free bednets to pregnant women through antenatal clinics in Kenya: a cheap, simple and
equitable approach to delivery.
Trop Med Int Health. 2002 May;7(5):409-20.
18
Evaluation criteria for district health management information systems: lessons from the
Ministry of Health, Kenya.
Int J Med Inform. 2005 Jan;74(1):31-8.
Keywords:
Evaluation criteria, District health management, information system, District
health system
19
Outcome of delivery and cause-specific mortality and severe morbidity in early infancy: a
Kenyan District Hospital birth cohort.
Am J Trop Med Hyg. 2003 Aug;69(2):228-32.
20
The role of the community in the control of tuberculosis.
Tuberculosis (Edinb). 2003;83(1-3):177-82. Review.
21
The health workers for change impact study in Kenya.
Health Policy Plan. 2001 Sep;16 Suppl 1:33-9.
22
Children and medicines: self-treatment of common illnesses among Luo schoolchildren in
western
Kenya.
Soc Sci Med. 2000 Jun;50(12):1771-83.
23
Changing patterns of orphan care due to the HIV epidemic in western Kenya.
Soc Sci Med. 2003 Jul;57(2):301-11.
Keywords: Orphans; Kinship; Kenya; LUO; Demographic change; Community-based
interventions
24
perceptions of soil-eating and anaemia among pregnant women on the Kenyan coast.
Soc Sci Med. 1999 Apr;48(8):1069-79.
iii
Appendix.3 論文の要約
SUMMARY OF
Health sector reforms in Kenya: an examination of district level planning.
Health Policy. 2003 Apr;64(1):113-27.
This article’s goal:
the concentration on outcomes rather than on the process has weakened achievement of the
government’s laudable policy aims
1 Introduction
■ Background (Evolution of health services policy in Kenya)
-1963 independence: Kenya government took responsibility for the health of its citizens
expansion of rural health facilities to meet the needs of rural area
- 1977 World Health Assembly “Health for All by the year 2000”
- 1978 Alma Ata Declaration on PHC
- 1981 World Health Assembly “Global Strategy for Health for All by the year 2000”
- 1982 reforms were instituted in the health sector
- 1986 “National Guidelines for the Implementation of Primary Health Care in Kenya” by Kenya
government
→ resulted in major reorganization and reorientation of the existing health systems
- decentralization
- community participation
- intersectoral collaboration
- 1989 cost sharing between government and individual service users was introduced
- 1990s a further shift in health policy towards institutional and structural reforms and market
orientation of the health services (following the publication of the World Development
Reports)
- 1994 the Health Policy Framework
- presented Kenya’s vision and mission for the health sector
- restated its commitment in providing health services to all its citizens and to equity to
ensure that health care reaches the most vulnerable groups and the underserved areas
- emphasized the role of the non-governmental sector
- It says:
“the goal of health sector reform is To promote and improve the health status of all
Kenyans through the deliberate restructuring of the health sectors to make all health
services more effective, accessible and affordable.”
- To achieve this goal, the government focused on:
・ devolving government support to the district level
・ strengthen the district as the point of delivery and development of health care
・ Cost sharing to recover fees for service
・ Management of health service under a DHMT
iv
・ Mechanisms to transfer funds from MoH headquarters to the district
■ The context of health sector reforms in Kenya
Many factors complex health issues, such as:
- epidemiological factor
- social factor
- economic factor
- political factor
e.g. - GDP growth: 1.5% /yr (economy is declining fast)
- growth in per capita income < the average growth of the population
- the growth of government services and official safety nets have been minimal
- Poverty has increased over 50% of the population living below the poverty line
- The number of the poor increased from 3.7 million people (1972-1973) to about 15
million (2000)
Those factors are linked with health situation, such as:
- IMR increased from 62(per 1000, in 1993) to 74(per 1000, in 1998)
- Under 5 child mortality rate 96 to 112 (per 1000, in 1998)
- The prevalence of chronic under nutrition increased from 32.1% (in 1987) to 34% (in 1998)
- Malaria and Acute Respiratory Disease combined account for almost 50% of all reported
diagnosis in public health facilities
- Perinatal and maternal health complication account for 27% of the total burden of diseases
- HIV/AIDS prevalence (500 people die everyday due to the pandemic)
- per capita expenditure on health is declining
■ Health sector reforms, decentralization, and the district focus
- WHO’s definition of Health sector reform:
A sustained process of fundamental change in policy and institutional arrangements guided by
the government, designed to improve the functioning and performance of the health sector and
ultimately the health status of the population
- Reasons for health sector reforms
・The lack of government resources to support health care
・The necessity of including private and NGO actors in the health sector
・The desirability of pursuing market approaches to the management and organizational
relationship in the health sector
・The value of decentralizing power and authority from the center(national level) to the
periphery(district level)
- The goal of decentralization is to ensure:
・the rationalization of the management and delivery of health care
v
・the gradual transfer of the process of decision making and management of health
resources from national level to local level
e.g. decentralize decisions about finances for health care
→ establishing local bank accounts for districts, so that each district can receive and allocate
funds at their own level w/o going through the central government system (the system
started in pilot districts)
2 Methods
- This paper is a result of a 4-week Health Policy and Planning Elective Course for students taking
Masters degree in Community Health and Development at the Tropical Institute of Community
Health and Development in Africa based in Kisumu
- The students went through 3 basic steps
1.
each students presented a seminar on one of the following topics: poverty alleviation and
health; financing and sustainability of health services; health sector reforms and
decentralization; and planning for the sistrict health system and the role of civil society
2.
students interviewed a range of actors engaged in policy formulation and/or implementation
at the provincial, district, and community levels
3.
students analyzed the information collected from the field, and compared to the information
they first reviewed and presented before the field visits
3 Results
The Government of Kenya had laudable outcomes expected from policies, but it would appear
that these outcomes have not been achieved for 2 reasons:
- Assumptions on which these sought outcomes are based, are questionable
- The government has focused mainly on the outcomes while neglecting the policy process
3.1 Assumption and realities of the HSR policy implementation at the district level
In discussion with various governments, NGO and community officials in Nyanza Province, Kenya,
it became clear that the success of the health policy implementation based on many questionable
fundamental assumptions below:
3.1.1. Assumption1: the health sector has resources; the fundamental problem is
the mismanagement of these resources
- This is questionable for following reasons:
1.
the problem of the financial funding from outside donor agencies
→
The MoH states that 80% of the Developing Budget alone is represented by donor
contributions, but funds available for health care provision from both the government
and foreign donor agencies have decreased over the last decade
2.
the majority of funding from the MoH is allocated to staff salaries
3.
the MoH is no longer the only provider of health care in Kenya, so , it is not a position to fully
control all available health care resources
vi
- Therefore, it is not only a question of better management, but more importantly, availing
adequate resources to ensure quality and continuity of service provision under the new
management structures
3.1.2. Assumption2: both governmental and non-governmental health stakeholders
will have the capacity to successfully implement the HSR policy
- government side: further allocation of staff, financial and material resources, and capacity
building would be needed to strengthen their respective roles in the implementation of the health
sector reforms at the local level
- NGOs side:
・too unevenly distributed and uncoordinated to act as a viable alterative to government
services
・no procedures to manage efficiently the referral system between the non-governmental
and governmental health care providers
- Therefore, in reality, neither the government nor the non-governmental stakeholders appear to
have necessary capacity to effectively implement health sector reform policy particularly at the
district and local levels
3.1.3.
Assumption3:
moving
from
‘needs-based’
to
a
‘resource-based’(demand-driven) planning will make the provision of health care
more cost-effective and accessible
- ‘resource based’ approach: It is assumed that the economic environment generates enough
demand for health care services
- However, at present, the majority of the population is faced with not only a deteriorating quality
and range of services, but also lack of purchasing power to ‘demand’ health services even though
their health care needs are overwhelming.
3.1.4. Assumption4: decentralization will provide an enabling environment for the
provision of responsive health care
- The reasons for decentralization
・provision of enabling environment for improved health performance
・increased responsiveness to local health needs
・improved multi-stakeholder collaboration
・Increased potential to develop new funding mechanisms
- However, the governance and accountability at both the provincial and local levels are problem:
- Even though, Boards members selected are supposed to be people of high respect, integrity,
and professional/technical know-how in their respective fields, very often they are selected
based on the political allegiance and patronage.
- They are not responsible to any defined constituency except the appointing authority
vii
4 Discussion
- Gilson L. also argues about this issue:
・The implementation failure is a result of stressing policy outcomes but virtually ignoring
the policy process
・A lack of concern for process has led to a situation where policy is so often implemented
ineffectively and so expected policy outcomes are not achieved
- Policy makers relied upon many assumptions
- Many factors that complicate the policy process including economic constraints and poor
governance
- The most important process to which the government must pay attention in order that its stated
health outcomes can be achieved are the followings:
4.1 Closing the gap between policy makers and policy implementers
- At present, the MoH headquarters is developing and directing the health sector reform policy.
- Those who must carry the health sector reforms at the district level have not been involved in
the process
4.2 Maintaining the government’s role as a protector of the citizens health rights
- How the government can continue to play a credible role as the protector of its citizens’ health
rights while at the same time responding to the demand of a market economy is an important
point
- market orientation’s results are:
・The main health policy actors(the State, the private sector, and the organized civil society)
have not included the poor majority in their schemes, because the poor can neither make
effective demand nor act as viable players in the health markets
・The issue of the State/government’s ability to promote, preserve, and ensure equity
4.3 Sustaining the health sector reform process
- A large proportion of resources is being provided by the external donors either as loans and
grants
- The donors are pushing the market agenda and creating policy mechanisms to support and
maintain a demand-driven health system
- Government officials and other stake holders have done little to research or promote policies
based on indigenous knowledge and experience
- The state continues to withdraw from an active role because of international, political, and
economic pressures
- These situations calls for a concerted government effort to involve a whole range of
stakeholders working together to address the issue of capacity building
4.4 Overcoming poor governance and management of the health sector
- The growing anxiety is created by the environment of poor governance and lack of credible,
viii
concerned and committed political leadership
- Great need in both countries to pay attention to the process that assure the outcomes of policy
meet the published goals to the policy makers
5 Conclusion
To manage health forms:
- the need to identify the most critical processed, build and manage these process in a systematic
way and to monitor and evaluate the results
- the need to build organizational and institutional capacity to undertake this task
ix
This article’
article’s goal
Health sector reforms in
Kenya
the concentration on outcomes rather than
on the process has weakened achievement
of the government’s laudable policy aims
From the article of
Health sector reforms in Kenya: an examination
of district level planning.
Health Policy. 2003 Apr;64(1):113Apr;64(1):113-27.
Background of this article
1994 the Health Policy Framework
“the goal of health sector reform is
To promote and improve the health
status of all Kenyans through the
deliberate restructuring of the health
sectors to make all health services
more effective, accessible and
affordable.”
- Evolution of health services policy in
Kenya 1963 Independence
1977 World Health Assembly
“Health for All by the year 2000”
1978 Alma Ata Declaration on PHC
1981 World Health Assembly
1982 Reforms were instituted in the health sector
1986 “National Guidelines for the Implementation
of Primary Health Care in Kenya”
1989 Cost sharing system was introduced
Kenya’
Kenya’s health situation
IMR increased
from 62(per 1000, in 1993)
to 74(in 1998)
Many factors complex health
situations
Under 5 child mortality rate
•
•
•
•
112 (per 1000, in 1998)
The prevalence of
chronic under nutrition
increased
from 32.1% (in 1987)
to 34% (in 1998)
Malaria and ARD combined
account for
almost 50%
★ Assumptions on which outcomes
are based, are questionable
★ The government has focused mainly on
the outcomes while neglecting the policy
process
of all reported diagnosis
in public health facilities
Perinatal and maternal health complication
account for 27%
of the total burden of diseases
epidemiological factor
social factor
economic factor
political factor
HIV/AIDS prevalence
(500 people die per day)
x
1
Assumption1:
questionable
Assumptions 1-4
the health sector has resources; the fundamental
problem is the mismanagement of these resources
outcomes
the policy process
for health sector reform
all health
services more
effective,
accessible and
affordable for
all Kenyans
•
•
the problem of the financial funding from
outside donor agencies
the majority of funding from the MoH is
allocated to staff salaries
This article’s suggestion 1-4
Assumption2:
Assumption3:
both governmental and non-governmental health
stakeholders will have the capacity to successfully
moving from ‘needs-based’ to a ‘resourcebased’(demand-driven) planning will make the provision
implement the HSR policy
of health care more cost-effective and accessible
• government side:
- further allocation of staff, financial and material
resources, and capacity building would be needed
• NGOs side:
- too unevenly distributed and uncoordinated to act
as a viable alterative to government services
- no procedures to manage efficiently the referral
system between the non-governmental and
governmental health care providers
NEEDS BASED
Health sectors
People
DEMANDDEMAND-DRIVEN
lack of purchasing power to ‘demand’ health services
Assumption4:
questionable
Assumptions 1-4
decentralization will provide an enabling environment for
the provision of responsive health care
outcomes
the policy process
for health sector reform
The problem is・・・
the governance and accountability
at both the provincial and local levels
all health
services more
effective,
accessible and
affordable for
all Kenyans
One of its reason is・・・
This article’s suggestion 1-4
Board members are selected based on
the political allegiance and patronage.
xi
2
suggestion1:
suggestion1:
Closing the gap
Closing the gap
between policy makers and policy implementers
between policy makers and policy implementers
Policy makers
Policy implementers
MoH
headquarters
the district level
Policy makers
Policy implementers
Policy makers
MoH
headquarters
the district level
suggestion2:
suggestion3:
Maintaining the government’s role
Sustaining the health sector reform process
as a protector of the citizens health rights
HC HMT
MoH
Donors
Cannot make effective demand
Cannot act as viable players
Capacity building
in the health markets
PHMT
DHMT
CORPs
Market orientation
suggestion4:
suggestion4:
Overcoming poor governance and
Overcoming poor governance and
management of the health sector
management of the health sector
questionable
outcomes
Assumptions 1-4
the better policy process
Poor governance
Poor leadership of GOK
Growing anxiety
all health
services more
effective,
accessible and
affordable for
all Kenyans
This article’s suggestion 1-4
xii
3
My additional comments
CONCLUSION
- I almost agree on this paper
- I understood the importance of strengthening
the district and the community
- The closer to the people, the better you can
understand about them
- Decentralization is good for meeting each
district’s needs
To manage health reforms・・・
- identify the most critical process
- build and manage the process in a
systematic way
- monitor and evaluate the results
xiii
4
Appendix. 5 (省略)
xiv
Appendix.6 HC の構造
Fortenum H.C.
Laboratory
Postnatal
Delivery
Antenatal
female
Clinic (ANC)
inpatients
Steralization
ward
lavatory
Consultation
MCH
waiting room
Dispensary
Consultation
generatior
Injection
Delivery&KEPI
Kabianga H.C.
VCT
after-
Delivery
site
delivery
Room
Pharmacy
injection
site
Consultation
Long Chair
Long Chair
Entrance
xx
Kipkelion H.C.
AISLE
AISLE
Reception
AISLE
treatment
Office
consultation
Health
AISLE
room
Public
pharmacy store
VCT
laboratory
AISLE
♂
lavatory
Delivery
site
Reception
AISLE
♀
Kisii District Hp. MCH
sterilization
generator
nation
water tank
postnatal
Exami-
Delivery
room
Antenatal
Consultation
AISLE
MCH
waiting for
delivering
Consultation
postnatal 3
(after
C-section)
postnatal 2
Neonatal
postnatal 1
xxi
Kericho District Hp.
MCH
Long Chairs
pharmacy
AISLE
staff ’s
counceling
AISLE
chair
nutrition
antenatal
consultation 3
consultation 2
consultation 1
immunization
clinic
nursing
AISLE
staff room
child welfare
lavatory
family
planning
office
registration
room
AISLE
ANC
register
male
lavatory
Long Chairs
female
lavatory
Entrance
xxii
Appendix.7
ヘルスセンターの写真
(1)Kabianga HC
fig.2
fig.3
fig.4
fig.1
fig.5
fig.6
病院の外観
(2)Kipkelion HC
fig.7
fig.8
fig.9
病院の外観
患者さんと
fig.11
xxiii
fig.10
(3)Fortenum HC
fig.12
fig.13
fig.15
fig.14
病院の外観
fig.16
(4)Kisii DH MCH
写真は撮影しなかった。
(5)Kericho DH MCH
病院の外観
明るい構造
xxiv
Appendix.8 各施設の現状(2006.8)
① トイレ
(1)Kabianga HC
(2)Kipkelion HC
(3)Fortenum HC
トイレは病院の外に穴を掘って
男女別にトイレが分かれていて、
Kipkelion HC と 同 じ よ う に
建て られてい る。 ( Appneix.7 中も割りと清潔だ った 。JICA が 2003 年に JICA が改修工事を
fig.1,2)外見は、レンガ造りで
2003 年にこの HC の改修工事を
行ったもので、トイレも男女に分
一見きれいだが、中に入ると汚 行っている。しかし、蓋が壊れたま かれていた。中は鍵がかかって
なかった。レンガでしっかり造っ ま落ちていたりもして、修理のエン
ている割には、土に穴を掘って
いて見ることができなかった。
ジニアを呼ぶようなことはできない
建てただけの構造なので、いつ のだろう。(Appendix.7 fig.7)
かは穴が埋まってしまい使えな
② ベッド
くなってしまう。
ベッドはお産後の妊婦が休むた ベッドは無かった。
ベッドは腰の高さで、ベッドとベッ
めに1つだけあった。高さは膝の
ドの間隔は 1.5m 程度であった。
高さだったので十分に低い。
間隔はある程度広いが、ベッドの
高さがとても高く、転落事故が心
配だ。(Appendix.7 fig.12)
③ 整理整頓清潔
キャビネットの中のファイルがす 前の期に HANDS が機材供与し
べて横になって保管されてい
救急カートは Kipkelion HC に比
た救急用のキャビネットの使用法 べ るとよく 整理整 頓されてい た
た 。(Appendix.7 fig.4)そ の が上手に出来ていないことが目立 が、キャビネットはあまり整理整
後、HANDS ローカルスタッフが った。薬の仕分けスペースが空だ
頓 さ れ て い な か っ た 。
medical officer にファイルは ったり、引き出しの中も乱雑に収 (Appendix.7 fig.13, 14)清潔
立てて保管したほうがよいと教 納されていた。ここの HC は他の 度を見ると、同じ 2003 年に改修
えたところ、キャビネットは綺麗 HC に比べて複数の質のよい救急 工事された Kipkelion HC に比
に 整 理 さ れ た 。 ( Appendix.7 用キャビネットが供与されていた
べて汚れていたが、これは患者
fig.5)medical officer はファイ ので、有効に活用されていないこ 数が Fortenum HC のほうが多
ルを立てて保管するということ自 と が も っ た い な く 感 じ た 。 いのでよく使っているからその分
体初めて知ったと言っていた。 (Appendix.7 fig.8, 9)
汚れるということもあるので、一
整理整頓の方法を伝えていくこ もしかしたら、このキャビネットの 概に否定することはできないだろ
との有効性を感じた。
使い方を知らないということも考え
う。
られるので、日本の病院で実際に
使用されている写真などを見本に
④ 交通手段
見せられるといいと思った。
マタツー(ケニアの乗り合いバ マタツーも走らないところなので、 マタツーはないので、歩いてくる。
ス)。一番遠い人で 10km、約 2 歩 い て 2-3 時 間 か け て く る 。
時間かかるという。
(Appendix.7 fig.10)
毎週木曜日に病院のすぐ横の広
場で市場が開かれるので、その
時 に 多 く 来 る 。 (Appendix.7
fig.15)
xxv
⑤ 看 護師 の
制服
医師も看 護師 も白衣を着てい
看護師は白衣の上にフリースを着 全員白いワンピースで、1人だけ
た。保管状態も悪く、汚かった。 ていた。靴も白かった。帽子はか
白い帽子をかぶっていた。靴は
(Appendix.7 fig.6)
黒 か っ た 。 (Appendix.7
ぶっていない。
その他
fig.16)
帽子はかぶっていない。
・ 一日に 35-45 人の外来患者 ・ HANDS が機材供与したジェネ
がくる。
レーターは、燃料の問題があり、
・ お産は1ヶ月に 4-5 回。緊急 燃料がない時は自分で回して発
のお産のケースのみ、この HC
電 さ せ て い た 。 ( Appendix.7
でのお産が 2006 年 5 月から実 fig.11)
施 さ れ て い る 。 Maternity ・ この HC は山の上に位置してい
ward がまだ建設中で入院でき て、交通の便が悪かった。マタツ
ないことや、水の出が悪く川の ーも通らずに、地元の人の軽トラッ
水を使わなくてはいけないことな クで人を輸送していた。
どが起因している。
・ 前の期で HANDS が機材供
与したドップラーが、電池切れで
使えなくなっていた。バッテリー
がチャージ式の再利用できるも
のではないので、電池が一度終
わると、さらに電池を買う余裕が
HC にはなく、ドップラーは使え
なくなってしまう。
xxvi
①トイレ
(4)Kisii DH MCH
(5)Kericho DH MCH
トイレは見ることが出来なかった。
綺麗だったが、臭いはくさい。しかし、病院の建物のの
端のほうに位置していたので、それほど臭いは気になら
② ベッド
ないというように、構造上の工夫がなされていた。
お産の後に 6 時間休むことになっているのだ
ベッドは無し。
が、そこにはベッドがところ狭しと並んでいた。
ベッドの間隔は 50cm くらいで、1つのベッドに
2-3 人寝て、床にも患者が横たわっていた。患
者の多いときにはベッドの下にも患者が寝てい
③ 整理整
頓清潔
るという話をうかがった。
全体的に雑然としていた。クリニカルオフィサ 大丈夫な範囲内だと思う。
ーの部屋すらも整理整頓が全く出来ていなか
った。
④交通
手段
不明。マタツーは走っているので、マタツーで
マタツーまたは徒歩
来る人や徒歩で来る人など様々だろう。
⑤
看護
白い服を着ていた。帽子はかぶっていない。
帽子はかぶっていない。
その他
師の制服
看護師長は緑色の制服で、その他の看護師は 看護婦長は青いワンピース、その他は白いワンピース。
・ 以前は月に 500 件のお産をこなしていると
・ 米国の NGO の Walterread project が出資して
きもあったが、今は月に 280 件ほど。ヘルスセ 2004 年に建てられた。
ンターでのお産も始まり、ヘルスセンターでお
・ 一日 70 人の妊婦、全部で 300 人の患者が来る
産をする人もわずかだがいるということも一因 ・ 蚊帳は1個 50Ksh で販売していた。これは、街で買う
だろうか。
よりもはるかに安いらしい。妊婦へのマラリア対策だろ
・ ヘルスセンターの壁の色は緑色だった。
う。
・ 家族計画がうまくいっていないと職員が困っ
・ この MCH の一番の特徴は建物の構造、部屋の配置
ていた。新生児を病院に置いて逃げてしまう母
の工夫にある。まず、各診察室にはドアが2つあり、そ
親が後を絶たないという。しかし、キシイの孤 れぞれ別の廊下に通じているため、診察室から出る患
児院はつぶれ、一番近い孤児院でもキスムと
者と入る患者が会わなくて済む。また、家族計画の部屋
遠いところにある。そのため、母親のいない新 で待つ患者や部屋に入る患者が他の患者から見えない
生児は、病院が面倒を見つつ里親を探してい
ような工夫もなされている。(Appendix.6)
て、ただでさえ患者数の多くて忙しい病院の負
担がさらに増えている。
xxvii
Fly UP