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がん免疫療法臨床試験について - 三重大学大学院医学系研究科 遺伝子

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がん免疫療法臨床試験について - 三重大学大学院医学系研究科 遺伝子
(参加ご希望の方へ)
がん免疫療法臨床試験について
三重大学大学院医学系研究科
がんワクチン治療学/遺伝子・免疫細胞治療学
第 6.0 版
2012 年 10 月
三重大学大学院医学系研究科
がんワクチン治療学/遺伝子・免疫細胞治療学講座
し
講座責任者
く
珠玖
ひろし
洋
目
次
Ⅰ
臨床試験とは .............................................................................................................................................. 1
Ⅱ
がん抗原とは .............................................................................................................................................. 2
1
「MAGE-A4 抗原」と「NY-ESO-1 抗原」について ...................................................... 3
2
抗原発現(あなたのがん細胞にがん抗原があるかどうか)を調べる方法 ..................... 4
Ⅲ
三重大学で実施中の臨床試験 .............................................................................................................. 5
1
2
がんワクチンの臨床試験 ..................................................................................................................... 5
1)
CHP-NY-ESO-1 がんワクチンと MIS416 併用療法 ............................................ 5
2)
CHP-NY-ESO-1 がんワクチン第Ⅱ相試験 ................................................................. 6
細胞治療の臨床試験 .............................................................................................................................. 8
1)
3
T 細胞受容体遺伝子導入リンパ球輸注療法(TCR 遺伝子治療) .......................... 8
腫瘍溶解性(破壊性)ウィルス療法の臨床試験.................................................................... 10
1)単純ヘルペスウイルス 1 型自然変異株 HF10 を用いた腫瘍内投与療法(HF10) 10
Ⅳ
参加適格基準
《
参加できる人、参加できない人
》 ..................................................... 12
1
CHP-NY-ESO-1 がんワクチンと MIS416 併用療法 ..................................................... 12
2
CHP-NY-ESO-1 がんワクチン第Ⅱ相試験 .......................................................................... 13
3
TCR 遺伝子治療 ................................................................................................................................. 13
4
HF10 ...................................................................................................................................................... 15
Ⅴ
FAQ(よくあるご質問と回答) ..................................................................................................... 17
Ⅵ
最後に .......................................................................................................................................................... 20
本文中のイラストはフリーソフトとして許可されたものです
Ⅰ
臨床試験とは
これまで多くの病気の原因が解明され、たくさんの薬が開発され、一般に使用され
るようになりました。どの薬も広く患者さんに使っていただけるようにするために
は、動物実験など多くの実験が行われた後に、実際に患者さんに使っていただいて
効果や安全性を検討しておく必要があります。さらに現在行われている標準の治療
薬や治療法と比較した上での有益性などについても検討します。
このように患者さんに投与して薬の新しい効果や安全性を調べることを“臨床試験”
と言います。臨床試験には主に、薬の安全性をみる試験(第Ⅰ相試験)
、臨床効果(が
んであれば腫瘍がどの程度縮小するか)をみる試験(第Ⅱ相試験)、さらに長期生存
をみる試験(標準治療との比較)
(第Ⅲ相試験)があり、それぞれ段階を踏みながら
実施されます。
三重大学で行っているがん免疫療法はすべて第Ⅰ相試験または第Ⅱ相試験で、がん
免疫療法はがんワクチン、細胞療法、ウイルス療法があります。ワクチンや細胞、
ウイルスの安全性をみながら、がん抗原に対する免疫反応(抗体反応など)と、が
んを縮小させる効果を検討します。
がん免疫療法の臨床試験は
病院の倫理委員会で承認を
得たうえで行われます。
1
Ⅱ
がん抗原とは
1
「MAGE-A4 抗原」と「NY-ESO-1 抗原」について
「がん抗原」とは、がん細胞には出ているが、正常細胞には出ていないかまたは少
ししか出ていない、細胞の表面または細胞の中にある物質を指します。長らく、こ
のがん抗原が本当にあるかどうか論争がありましたが、1991年世界で初めて、
悪性黒色腫の細胞に「MAGE」というがん抗原が発見され、この MAGE に対して
リンパ球が攻撃できることがわかりました。以降は、多くのがん免疫療法は、がん
抗原を攻撃目標にする方法として発展してきています。
「がん抗原」は、たくさんの種類があることがわかっていますが、正常細胞には出
ないものが、免疫療法を開発する上で副作用の心配が少ないので優れた抗原と考え
られています。
国内外で注目されているがん抗原に「がん・精巣抗原」という種類のものがあり、
「MAGE-A4 抗原」をはじめとする MAGE グループ抗原や「NY-ESO-1 抗原」
という抗原の研究が進んでいます。これらは、がんと精巣(男性生殖組織)に出て
いる抗原ですが、精巣には HLA というリンパ球の攻撃の受け皿になるものがないた
め、結局リンパ球の攻撃対象にはならず、不妊症など
の副作用は出ないと考えられています。
2
主ながんでの MAGE-A4 抗原、NY-ESO-1 抗原の発現を調べたデータ(三重大学
での検査)を以下の表に示します。
がんの種類
食道がん
MAGE-A4 陽性率
NY-ESO-1 陽性率
56.6%(120/212)
24.1%(51/212)
36.1%(26/72)
12.5%(9/72)
31.6%(12/38)
15.8%(6/38)
頭頸部がん(咽喉頭
がん、舌がんなど)
卵巣がん
子宮頸がん
9.5%(2/21)
0.0%(0/ 4)
子宮体がん
19.2%(5/26)
37.5%(3/ 8)
胃がん
33.3%(7/21)
0.0%(0/ 5)
大腸がん
17.4%(4/23)
25.0%(3/12)
膀胱がん
未検査
27.3%(3/11)
前立腺がん
未検査
26.1%(6/23)
3
2
抗原発現(あなたのがん細胞にがん抗原があるかどうか)を調べる方
法
三重大学で行っているがん免疫療法の臨床試験は、体外からがん抗原蛋白(または
蛋白の断片であるペプチド)を注射することにより、がん細胞を直接攻撃する体内
のキラーT リンパ球を活性化する“がんワクチン”と、がん抗原にだけ反応するリ
ンパ球などを一旦体外で増殖活性化させ、再び体内へ戻す“細胞治療”と、がんに
感染して破壊するウイルスを投与する“ウイルス療法”があります。
“がんワクチン”と“細胞療法”ではがん組織にだけ発現されている“がん抗原”
を標的とするため、あなたのがん組織でがん抗原(MAGE-A4、NY-ESO-1)が発
現していることが条件となります。
抗原発現の検査にはがん組織そのものが必要となるため、過去に手術または生検な
どでがんの病巣を取ったことがある場合に限り検査を行うことができます。
(手術または生検後の検体は、ほとんどの場合各医療機関で保存されています)。
抗原発現の検査は三重大学で行いますので、ご希望の方はお問い合わせ下さい。
なお、抗原発現の検査の費用はかかりませんが、あなたのかかりつけの医療機関か
らがん組織を取り寄せる際に費用がかかる場合は、ご負担をお願いしております。
Ⅳ 最後に
「お問い合わせ先」をご
覧ください
4
Ⅲ
三重大学で実施中の臨床試験
1 がんワクチンの臨床試験
1)CHP-NY-ESO-1 がんワクチンと MIS416 併用療法(第Ⅰ相試験)
この臨床試験は、あなたのがんの細胞が NY-ESO-1 抗原を持っている場合に、
NY-ESO-1 蛋白質をワクチンとして注射して、体内でがん細胞を攻撃するキラーT
リンパ球を増やそうとするものです。
CHP-NY-ESO-1 は、下図のように、NY-ESO-1 蛋白質をコレステリルプルラン
(CHP:疎水化多糖という糖の一種)の中に取り込ませた複合体です。CHP に取り
込ませることで NY-ESO-1 蛋白質のワクチン効果があがるように工夫しています。
CHP-NY-ESO-1 は、日本のイミュノフロンティア社で開発されたお薬です。
MIS416 は CHP-NY-ESO1 ワクチンと併用することにより、ワクチンの免疫反応
を高めることが期待できるお薬で、ニュージーランドの Innate Therapeutics 社で
開発されたお薬です。
5
臨床試験名
(略名)
対象疾患
試験の概略
年 齢
腫瘍組織の
抗原発現★
実施機関
CHP-NY-ESO-1
がんワクチンと MIS416 併用療法
・尿路上皮がん(膀胱がん、尿管がん、腎盂がんなど)
・前立腺がん
・食道がん
上記疾患で通常治療が無効
・CHP-NY-ESO-1 ワクチンと MIS416 を通院で 2 週毎に
6 回皮下注射する
20 歳以上
NY-ESO-1
三重大学(三重県)
★抗原発現は、専用の検査が必要です。「Ⅱ 2 抗原発現(あなたのがん細胞にがん
抗原があるかどうか」)を調べる方法」をご覧ください。
2)CHP-NY-ESO-1 がんワクチン(第Ⅱ相試験)
この臨床試験(治験)は、食道がんの患者さんで手術の前に抗がん剤治療を行い、
そしてがんの切除手術を行った方で、がんの細胞が NY-ESO-1 抗原を持っている
場合に、がんワクチンの「注射をする方」と「しない方」の 2 つのグループに振り
分けをして、再発する割り合いに違いがでるかどうかを調べるものです。全体で3
5人ずつ(2 グループで 70 人)を登録します。全国 9 か所の病院が参加していま
す。各病院の担当医が、食道がんの治療を始めるにあたり、この治験に参加される
かどうかについて説明することから始まります。
6
1)と同じように CHP-NY-ESO-1 は、日本のイミュノフロンティア社で開発され
たお薬です。
臨床試験名
(略名)
CHP-NY-ESO-1 がんワクチン
対象疾患
・術前化学療法及び根治術を予定している食道がん(但し試
験登録は、術前化学療法前に行う必要があります)
試験の概略
・CHP-NY-ESO-1 ワクチンを通院で 2 週毎に 6 回、その
後は 4 週毎に 9 回皮下注射する
年 齢
腫瘍組織の
抗原発現★
実施機関
20 歳以上
NY-ESO-1
三重大学(三重県)、北海道大学(北海道)、国立がん研究セ
ンター東病院(千葉県)、愛知県がんセンター(愛知県)、京
都府立医科大学(京都府)
、大阪大学(大阪府)
、北野病院(大
阪府)、長崎大学(長崎県)、長崎医療センター(長崎県)
★この試験において抗原発現は、手術の検体にて行います。事前に生検検体などで
調べることはできません。
7
2 細胞治療の臨床試験
1) T 細胞受容体遺伝子導入リンパ球輸注療法(TCR 遺伝子治療)(第Ⅰ相試験)
この臨床試験は、MAGE-A4 抗原陽性のがん細胞を破壊することができるキラーT
細胞の MAGE-A4 抗原を認識する部分(T 細胞受容体)の遺伝子を、がん患者さ
んから採取したリンパ球に体外で導入し増幅したあとに再び患者さんの血液に戻す
治療法です。
(下図参照)
対象疾患は食道がんで、腫瘍に MAGE-A4 抗原を有しており HLA-A2402(白血
球の型)陽性の患者さんです。
本遺伝子治療臨床試験は、日本初の T 細胞受容体遺伝子治療です。
この試験は、タカラバイオ(株)との共同研究で行っています。
成分採血
患者さんの
リンパ球
MAGE-A4特異的
T細胞受容体遺伝子
癌細胞
・MAGE-A4
MAGE-A4 陽
性がん細胞を破
壊できるキラー
T 細胞
T細胞受容体
遺伝子導入
・HLA-A2402
輸注
MAGE-A4 陽性がん細胞
を破壊できるようになっ
た患者さんのリンパ球
8
ウイルスに遺伝子
をのせる
臨床試験名
(略名)
対象疾患
試験の概略
年 齢
腫瘍組織の
抗原発現★
TCR 遺伝子治療
・通常治療が無効な食道がん
・リンパ球採血(成分採血)
・TCR(T 細胞受容体)遺伝子導入、リンパ球輸注(点滴)
・MAGE-A4 ペプチドワクチン 2 回(皮下注射)
以上を 1 コース
20 歳~75 歳
MAGE-A4
HLA 型
A2402
実施機関
三重大学(三重県)
★抗原発現は、専用の検査が必要です。「Ⅱ 2 抗原発現(あなたのがん細胞にがん
抗原があるかどうか」)を調べる方法」をご覧ください。
9
腫瘍溶解性(破壊性)ウイルス療法の臨床試験
1)単純ヘルペスウイルス 1 型自然変異株HF10 を用いた腫瘍内投与療法
(HF10 腫瘍内投与療法)
(第Ⅰ相試験)
単純ヘルペスウイルス 1 型(HSV-1)には、40 歳代の日本人では約 60%以上
が感染していると言われています。HSV-1 に感染した患者さんの体内では、ウイ
ルスを抑えることのできる抗体がつくられます。このようなことから、感染した後
しょうほう
の HSV-1 は、ときに唇の周辺に 小 疱 をつくる口唇ヘルペスなどの症状を出すこ
とがありますが、深刻な病気をおこすことなくからだの中に潜んでいます。HF10
は弱毒性の HSV-1 で、がんに投与するとがん細胞が溶解(破壊)されて縮小す
ることが期待できます。また、これまでの動物を用いた研究から、ヒトにおいても
がん細胞に対する免疫応答が誘導され、HF10 を投与していない場所のがんにも
縮小効果をもたらすことが期待されています。
HF10 はがん細胞によく感染し増殖してがん細胞を溶解(破壊)しますが、正常
細胞では増殖しにくいウイルスです。また、通常の HSV-1 と違って脳に侵入し
にくく脳炎を起こしにくい、などの特徴を持ち、安全性が高いと考えられています。
また、この臨床試験は HSV-1 に感染したことがあり HSV-1 を抑えることので
きる抗体を持っている患者さんを対象としておりますので、HF10 を投与しても
正常細胞に感染して症状を出すことは少ないと考えられます。万一、HF10 が正
10
常細胞に感染して症状を出しても、一般に広く使われている抗ヘルペスウイルス薬
が効くことから、治療することができます。
この試験は、タカラバイオ(株)との共同研究で行っています。
臨床試験名
HF10(腫瘍内投与療法)
(略名)
対象疾患
試験の概略
年 齢
抗 HSV-1 抗体*
実施機関
・悪性固形腫瘍(脳腫瘍を除く)で身体の表面から注射しや
すい場所に病変があり、通常治療が無効
HF10 を腫瘍に直接注射(腫瘍内投与)する
20 歳以上
陽性
三重大学(三重県)
*試験に参加するには抗 HSV-1 抗体が陽性であることが必要です。専用の検査を
行いますので、ご希望の方はお問い合わせ下さい。抗 HSV-1 抗体の検査費用はか
かりません。
11
Ⅳ
参加適格基準
《
参加できる方、参加できない方
》
参加基準については少し
難しいですので主治医と
ご相談ください。
1
CHP-NY-ESO-1 がんワクチンと MIS416 併用療法(第Ⅰ相試験)
参加できる方
① 組織診で以下の悪性腫瘍と診断された方。
ⅰ)尿路上皮がん(膀胱がん、尿路がん、腎盂がんなど)、ⅱ)前立腺がん、ⅲ)食道がん
② 標準治療で治癒が望めない方。例としては以下のようなものである。
ⅰ)尿路上皮がん:1 次治療の化学療法に抵抗性。治療の有害事象により治療継続が困難
ⅱ)前立腺がん:薬剤的あるいは外科的去勢に抵抗性。
ⅲ)食道がん:プラチナ系薬剤(シスプラチンなど)やタキサン系薬剤(ドセタキセルなど)
を用いた化学療法に抵抗性。
③ 免疫組織染色法あるいは RT-PCR 法で腫瘍の NY-ESO-1 発現が確認されている方。
④ 同意取得日より 3 ヶ月以上の予後が望める方。
⑤ 20 歳以上の方。
⑥ PS(Performance Status:全身一般状態)がグレード 0、1、2の方(付表参照)。
⑦ 以下の条件を充たす臓器機能を有する方。
・白血球数
2,000/ mm3 以 上
・へモグロビン
8.0g/dl 以 上
・血小板数
75,000/ mm3 以 上
・総ビリルビン(T-Bil)
正常上限の 1.5 倍以下
・AST(GOT)
正常上限の 3 倍以下
・ALT(GPT)
正常上限の 3 倍以下
・クレアチニン(Cr)
正常上限の 1.5 倍以下
⑧ 前治療から一定の期間を経過している方(治療内容によって期間が異なります)。
⑨ ご本人の同意を文書で得ることのできる方。
参加できない方
① 重篤な薬剤過敏症の既往がある方。
② HBs(B 型肝炎ウイルス)抗原、HCV(C 型肝炎ウイルス)抗体、HIV(エイズウイルス)
抗体のいずれかが陽性である方。
③ 同意取得日より 6 ヶ月以内に治療を要した自己免疫疾患を有する方。
④ 活動性の重複がん(同時性重複がんおよび無病期間が 5 年以内の異時性重複がん)を有す
る方。
⑤ 緊急の放射線治療を必要とする方。
⑥ ステロイド剤(プレドニゾロン換算で 20mg/日より多い)あるいは免疫抑制薬を使用し
ている方。
12
⑦ 以下に示す重篤な合併症を有する方。
・ 重篤な心疾患やコントロール不良の狭心症
・ 同意取得日から 6 ヶ月以内の心筋梗塞
・ コントロール困難な糖尿病
・ 腸管麻痺・腸閉塞などの消化管障害
・ 抗生物質や抗真菌剤の全身投与を要する活動性の感染性疾患
・ その他、治療の実施に重大な支障を来すと判断される合併症
⑧ NY-ESO-1 に関連した免疫療法を受けた既往がある方。
⑨ 妊婦、授乳婦および妊娠の意思のある女性の方。
⑩ その他、担当医師が本試験の対象として不適当と判断された方。
2
CHP-NY-ESO-1 がんワクチン(第Ⅱ相試験)
参加できる方
① 細胞診あるいは組織診で扁平上皮がんと確定診断された食道癌の方。
② フッ素ピリミジン系代謝拮抗剤(5-FU など)とプラチナ製剤(シスプラチンなど)を含
む術前化学療法を施行予定の方。
③ 根治術後 12 週までの期間に治験薬の投与が可能な方。
④ 一次同意取得時の年齢が 20 歳以上の方。
⑤ 一次登録取得時から治験薬投与終了後の 6 カ月間、有効な避妊法を使用することに同意さ
れる方
⑥ ご本人の同意を文書で得ることのできる方。
参加できない方
① 根治術施行前に食道癌に対して放射線療法が施行された又は施行される予定の方。
② 重複癌を有する方。
③
④
⑤
⑥
自己免疫疾患を有する方。
HIV(エイズウイルス)抗体が陽性である方。
重篤な過敏症の既往歴のある方。
免疫抑制剤、免疫強化剤及び副腎皮質ステロイド剤の全身投与が治験薬投与開始前 4 週間
以内に行われる予定の方。ただし副腎皮質ステロイド剤は連日 5 日間までの全身投与は許
容する。
⑦ 妊娠中、授乳中、妊娠している可能性のある方。
⑧ 二次登録前 12 週間以内に他の治験薬を投与される予定の方。
⑨ その他、この試験を行うことが不適当だと医師に判断された方。
3
TCR 遺伝子治療(第Ⅰ相試験)
参加できる方
① 病理組織学的に食道癌と確定診断された方。
② 根治切除不可能で、かつ標準的な治療法(化学療法、放射線療法等)抵抗性となった臨床
病期Ⅲ期またはⅣ期の食道癌の方、又は、術後あるいは初回放射線化学療法後に再発転移
13
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
をきたし、治療抵抗性となった食道癌の方。
HLA(白血球の型)が A2402 の方。
腫瘍組織に MAGE-A4 抗原の発現が確認されている方。
(あなたの腫瘍組織で調べる必要
があります)
画像診断等による臨床効果判定に必要とされる、測定可能な腫瘍病変を持っている方。
PS(Performance Status:全身一般状態)がグレード 0、1 の方(付表参照)。
本臨床試験に参加時点の年齢が 20 歳以上 75 歳以下の方。
細胞採取時に前治療(手術、化学療法、放射線療法)終了から十分な回復が見込まれる方。
同意取得後、4 ヶ月以上の生命予後が期待できる方。
主要臓器(骨髄、心、肺、肝、腎等)に高度な障害がなく、臨床検査が以下の基準を満た
す方。
・白血球数
3,000/ mm3 以 上
・好中球数
1,500/ mm3 以 上
・ヘモグロビン
8.0 g/dl 以 上
・血小板数
100,000/ mm3 以 上
・総ビリルビン(T-Bil)
2.0 mg/dl 以 下
・AST(GOT)
150 IU/dl 以 下
・ALT(GPT)
150 IU/dl 以 下
・クレアチニン(Cr)
2.0 mg/dl 以 下
ご本人の同意を文書で得ることのできる方。
参加できない方
① 以下の重篤な合併症のある方。
・ 不安定狭心症、心筋梗塞又は心不全
・ コントロール不良な糖尿病又は高血圧症
・ 活動性の感染症
・ 胸部 X 線検査による明らかな間質性肺炎又は肺線維症
・ 自己免疫疾患
・ 出血傾向
プロトロンビン時間(PT)<50%
活性化トロンボプラスチン時間(APTT)>60 秒
フィブリノゲン(Fbg)<100 mg/dL
フィブリン分解産物(FDP)>20 μg/mL
・ 血栓形成傾向
② 重篤な過敏症の既往歴のある方。薬などで重いアレルギー反応を起こしたことのある方。
③ HBs(B 型肝炎ウイルス)抗原、HCV(C 型肝炎ウイルス)抗体、HIV(エイズウイルス)
抗体、HTLV-1(ヒト T 細胞白血病ウイルス)抗体のいずれかが陽性である方。
④ コントロール不能な胸水・腹水・心嚢水のある方。
⑤ 制御困難な脳内転移のある方。
⑥ 副腎皮質ステロイド剤又は免疫抑制剤を全身投与中の方。
⑦ MAGE-A4 ペプチドの投与に適さない方(例えば MAGE-A4 ペプチドの成分、アジュバ
ントに対して過敏症の既往歴のある方)。
⑧ 本臨床試験参加への同意に影響を及ぼすような精神疾患、薬物依存症等の疾患を有する方。
⑨ 妊娠中、授乳中、妊娠している可能性のある女性又は妊娠を希望している女性の方。又は
挙子希望の男性の方(ただし、遺伝子治療前に精子を凍結保存し、その精子を用いて子供
14
をもうける場合はこの限りではありません)。
⑩ 登録前 4 ヶ月以内に他の臨床試験(臨床試験)に参加している方。
⑪ その他、この試験を行うことが不適当だと医師に判断された方。
4
HF10 腫瘍内投与療法(第Ⅰ相試験)
参加できる方
① 細胞診あるいは組織診で診断された非中枢神経系悪性固形腫瘍を有している方。
② 標準治療で治癒が望めない方。
③ 同意取得日より 3 ヶ月以上の生命予後が期待できる方。
④ 試験薬が投与可能、体表からのアプローチが容易、かつ測定可能な病変がある方。
⑤ 抗 HSV-1(単純ヘルペスウイルス 1 型)抗体が陽性である方。
⑥ 20 歳以上の方。
⑦ PS(Performance Status:全身一般状態)がグレード 0、1、2の方(付表参照)。
⑧ 以下の条件を満たす臓器機能を有する方。
・白血球数
2,000 /mm3 以上
・リンパ球数
800 /mm3 以上
・ヘモグロビン
8.0 g/dl 以上
・血小板数
50,000 /mm3 以上
・総ビリルビン(T-Bil) 正常上限の 1.5 倍以下
・AST(GOT)
正常上限の 3.0 倍以下
・ALT(GPT)
正常上限の 3.0 倍以下
・クレアチニン(Cr)
正常上限の 1.5 倍以下
・PT INR
正常上限の 1.5 倍以下
⑨ 原疾患に対する前治療(薬物療法、放射線療法、手術、免疫療法)から 3 週間以上経過し
ており、かつ、本試験の治療開始日に前治療から 4 週間以上経過していることが見込める
方。
⑩ ご本人の同意を文書で得ることのできる方。
参加できない方
① 重篤な薬剤過敏症の既往がある方。
② HBs(B 型肝炎ウイルス)抗原、HCV(C 型肝炎ウイルス)抗体、HIV(エイズウイルス)
抗体のいずれかが陽性である方。
③ 同意取得日より 6 ヶ月以内に治療を要した自己免疫疾患を有する方。
④ 活動性の重複がん(同時性重複がんおよび無病期間が 5 年以内の異時性重複がん)を有す
る方。
⑤ 緊急の治療を必要とする臓器転移、骨転移などの病変がある方。
⑥ 抗 HSV 薬を使用している方。
⑦ ステロイド剤あるいは免疫抑制薬の全身投与を行っている方。
⑧ 以下に示す重篤な合併症を有する方。
・重篤な心疾患やコントロール不良の狭心症
・同意取得日から 6 ヶ月以内の心筋梗塞
・コントロール困難な糖尿病
・抗生物質や抗真菌剤の全身投与を要する活動性の感染性疾患
15
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
⑯
・その他、治療の実施に重大な支障を来すと判断される合併症
中枢神経系に転移性病変を有する方。
投与可能病変の出血のリスクが高い方。
投与可能病変の頭蓋内、胸腔、腹腔への穿通・穿孔のリスクが高い方。
抗血小板薬を使用中である、あるいは試験参加中の休薬が困難である方。
腫瘍内投与が安全に施行できないような抗凝固療法を受けている方。
妊娠中、あるいは授乳中である方。
本試験参加中に有効な避妊法を使用することに同意しない方。
その他、本試験の対象として担当医師に不適当と判断された方。
付表:PS (Performance Status) 〔ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)基
準〕
グレード
0
1
2
3
4
Performance Status(一般状態)
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同様にふるまえ
る。
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働、座業はできる。
例えば軽い家事、事務など。
歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助がいることもある。軽労働
はできないが、日中の 50%以上は起居している。
身の回りにある程度のことはできるが,しばしば介助がいり、日中の 50%
以上は就床している。
身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。
16
Ⅴ
FAQ(よくあるご質問と回答)
Q:免疫療法中の費用はかかりますか?
また、保険との関連は?
A:がんワクチン製剤・細胞製剤及び免疫反応の検査は、研究開発の目的のために行
いますので、費用はかかりません。病状を調べるための通常検査(血液検査、レン
トゲン、CT スキャンなど)については参加される試験によって取り扱いが異なりま
す。詳しく知りたい場合はお問い合わせ下さい。ただし、診察料や入院費用等は、
通常の保険診療費請求となりますのでご了承下さい。
Q:参加の条件は?
A:がんワクチンと細胞療法では、がん抗原が陽性であるかどうかの検査ができる検
体が有る方(=過去に手術や生検などでがんの病巣を取ったことのある方)が原則
ですが、参加される試験によっては、試験参加の同意をいただいた後に新たに検査
用の検体を採取して検査できる場合もあります。その他、がんの種類や進行状態、
年齢や全身一般状態、採血の検査値、など細かい条件もありますが、試験によって
異なります。本パンフレットの Ⅳ 参加適格基準をご参照ください。
Q:過去に手術や生検は行ったことはなく、画像のみでがんと診断されています。
がん抗原を調べるための生検(または手術)などを行って欲しいのですが。
A:生検や手術は出血等の危険性が伴います。臨床試験のためだけを目的として、危
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険性を伴う処置を行うことは倫理的に行うことができません。ただし、現在通院中
の医療機関で通常の検査・治療の一貫として、がん細胞を採取する機会があった場
合は、余った検体を用いてがん抗原の検査ができることがあります。三重大学では
がん抗原を調べるための検体採取に関して対応することはできません。
Q:現在の主治医に相談したほうがいいですか?
A:三重大学の臨床試験に参加した場合、多くの場合は現在通院中の医療機関と三重
大学の両方で患者さん情報を共有しながら治療することになります。是非ご相談下
さい。
Q:すべての治療を三重大学でしてほしいのですが
A:申し訳ございません。免疫療法以外の治療に関しては現在通院中の医療機関に引
き続き通院をお願いいたします。
Q:参加までのスケジュールと費用は?
A:
1. お電話やメール等にて、現在の病気の進行状態、これまでの治療や全身一般状
態等の条件が合うかどうかを確認させていただきます。条件が合う場合、必要書類
を郵送します。
2. 事前にがん抗原の検査が必要な臨床試験への参加をご希望の場合は、患者さん
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ご自身で現在通院中の医療機関からがん抗原が発現しているかどうかの検査を行う
ための検体を借りていただき、必要書類とともに三重大学に郵送していただきます。
検査には約3-4週間かかります。
なお、抗原発現の検査の費用はかかりませんが、あなたのかかりつけの医療機関か
らがん組織を取り寄せる際に費用がかかる場合は、ご負担をお願いしております。
3. がん抗原が陽性だった場合、三重大学附属病院の外来を受診していただきます。
主治医の先生と患者さん情報の共有をしながら、さらに詳細な検査を行います。
Q:健康被害の補償について
A:臨床試験に関連する健康被害が生じた場合には、最も適切な治療を行いますが、
その場合の医療費の支払いにはあなたの加入している健康保険が適応されます。
(参
加される試験によっては、健康保険で支払った自己負担分の費用等を、試験を依頼
している会社がお支払いすることがありますので、詳しく知りたい場合はお問い合
わせ下さい。
)また、臨床試験では健康被害に対する補償金は支払われませんのでご
了承下さい。
Q:免疫療法の効果はどのくらい期待できますか?
A:がんに対する免疫療法の効果についてはまだはっきりとしていません。三重大学
では現在、安全性の確認を行う第Ⅰ相試験と、臨床効果をみる第Ⅱ相試験を行って
います。
19
Ⅵ
最後に
以上、簡単ですが、がん免疫療法についてご説明いたしました。
がん免疫療法についてわかりやすく書かれた別の説明書があります。ご覧になりた
い方はご連絡ください。
ま た 、ホ ー ムペー ジ でも 、 がん免 疫 療法 に ついて の 情報 を 公開し て いま す 。
http://www.shikuken.jp/ をご覧ください。
(お問い合わせ先)
三重大学大学院医学系研究科
がんワクチン治療学/遺伝子・免疫細胞治療学講座
研究事務局
かげやま しんいち
医師
看護師
い け だ ひろあき
みやはら よしひろ
いまい
な お こ
いしはら み き や
影 山 慎 一(代表)、池田 裕 明 、 宮 原 慶 裕 、今井 奈緒子、石 原 幹也
わかばやし
ふみよ
こいけ
いく よ
おおい
ふみか
若 林 文代、小池 郁世、大井 史佳
〒514-8507 三重県津市江戸橋二丁目 174 番地
社会連携研究センター2 階
TEL 059-231-5684
FAX 059-231-5397
Email: [email protected]
電子メールをお持ちの方は、ご質問内容とご連絡先をご記入いただき、上記
Email アドレスへ送信ください。
お電話の場合は、9:00 ~17:00(平日)で対応いたします。
~携帯よりメールでのお問い合わせをされる方へ! ご注意ください!~
お使いの携帯の設定により、当方からの返信メールが受信できない場合がございます。
連絡は必ずいたしますので、1 週間を過ぎても返信がない場合、上記連絡先へお電話いただくか、
もしくは携帯のメール設定を確認の上、再度お問い合わせをお願いいたします。
また、メール内に、日中に連絡のとれる電話番号を記載いただけると助かります。
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