...

知床グランドホテル北こぶし(斜里町)(PDF形式/959KB)

by user

on
Category: Documents
38

views

Report

Comments

Transcript

知床グランドホテル北こぶし(斜里町)(PDF形式/959KB)
ケース
09
知床グランドホテル北こぶし
SHIRETOKO GRAND HOTEL KITAKOBUSHI
SHIRETOKO GRAND HOTEL KITAKOBUSHI
Case
あり、知床横断道路が開通している夏の期間に知床を満
茹でたて野菜を味付けは塩だけで食べるなど、シンプル
喫している観光客に味わってもらっている。
に提供。そうした提供方法でも、料理人が一手間を加え
米についても、道産米の使用割合が高くなってきてお
ることで野菜のおいしさを感じてもらいたい。宴会メニュー
り、様々な品種から、品質や価格を見ながら使う銘柄を
についても、同じく野菜を増やしたメニューにしていく。
決めている。
ビュッフェに野菜コーナーを設置することで、にぎやかさ
や、料理人の技を演出したいとしている。
ホテルロビーで提供する「来運の水」
料理の工夫で宿泊客の満足度を高める
ホテルとしては、年間を通じて北海道の野菜を仕入れ
たいと考えているが、冬期間はやむを得ず道外産を中心
に仕入れている。海産物についても、オホーツク海が流
氷で閉ざされてしまうため、他の地域から調達する事が
多くなる。
そうした状況の中、ビュッフェコーナーでは、四季を通
じて提供可能なオホーツク産小麦を使ったパスタメニュー
や、宿泊客が好きな具材で作る勝手丼を提供するなど、
宿泊客の満足度を高めるための様々な取組を行ってい
テラスビュッフェ「ダイニング波音」
オホーツク地域の海の幸・山の幸を活かした
ビュッフェスタイルの創造
株式会社知床グランドホテル 知床グランドホテル北こぶし
所在地/斜里郡斜里町ウトロ東172番地
電 話/0152-24-2021
客室数/全179室
http://www.shiretoko.co.jp/
る。
運が良くなる「来運の水」
ホテルのこだわりの一つが「水」
。週に1回、ホテルの
従業員が斜里岳の麓にある来運公園から湧き水「来運
の水」を汲んできて、
ホテルのロビーやビュッフェコーナー
で提供している。この水は、年間を通じて水温が6℃前
地域の食材を活かした料理を提供
作物を納入しており、物流は一括して配送しているため
ロビーには、
斜里来運神社から分社した「知床来運神社」
知床グランドホテル北こぶしは、知床の山海を望む眺
配送費用も含めて安価に購入することが可能となってい
を併設しており、宿泊客からも「運が来る水」として好
望と旬の食材が楽しめる温泉宿である。
る。
評を得ている。
可能な限り道産食材にこだわった夕食はビュッフェや食
購入している野菜は、形や大きさは不揃いだが、昨年
事処で提供。朝食にも近隣の新鮮な農産物をサラダバー
東京から来た総料理長から見ても、とても美味しく自信を
総料理長の手書きポップで産地をPR
で味わうことができる。
持って提供できるという。まだ農業生産を始めて日が浅い
食事処やビュッフェ会場に掲示しているポップなどは、
ホテルで使う食材は、基本的に卸売業者から仕入れ
ため、計画的な収穫が難しく、発注量に必ずしも答えら
総料理長自らが手書きで作成している。産地名がわかっ
ているが、社長の方針もあり、できるだけ道産食材、そ
れないという課題はあるが、近年の食に対する安心・安
ている食材については、産地名を紹介している。
れもウトロ周辺の食材を仕入れるように努めている。
全の意識の高まりや健康志向もあり、
「無農薬の斜里の
道産食材を使用したメニューは、道外客に好評で、ア
農家」という形で紹介し好評を得ている。
ンケート調査結果を見ても、
「郷土食」を満足のポイント
地元農業生産法人から無農薬の有機野菜を仕入れ
20
後で自然の水のおいしさを楽しんでもらっている。ホテル
にあげている宿泊客が多く見られる。
野菜に関しては、斜里町の自動車学校が2年前に新規
料理のメインとなる肉や海産物も地元産
事業として始めた農業生産法人から、ミニトマトやキュウ
肉類については、斜里町の精肉業者から、知床牛、
を食べたとしても、地元の食材を使い、宿泊客にきちん
リなどを直接仕入れて、ビュッフェのサラダバーで提供し
知床サチク赤豚、知床鶏など、地元産を仕入れている。
と食材の情報を提示している知床の方が美味しく感じる
ている。
知床牛は団体客用の宴会メニューやビュッフェのカルパッ
のではないか」と総料理長は言う。
以前から、ホテル従業員が免許を取得するために付き
チョとして、知床サチク赤豚はビュッフェのしゃぶしゃぶや
合いがあり、自動車学校側から、新規事業で農作物を
ソテーなどで提供している。
道産食材を使用したビュッフェをさらに充実
生産するので使ってほしいとの話があった。食味も良く、
海産物については、地元のウトロ漁港から、脂ののっ
メインの食事会場であるテラスビュッフェ「ダイニング
是非地元の食材を使いたかったことから現在も取引を継
た秋鮭を仕入れ、その他の海産物は、魚種の豊富な網
波音」は昨年改装し宿泊客の評判も高い。
続している。
走の卸業者から購入している。
来年度には、ビュッフェにおいて野菜料理を提供する
この農業生産法人は、ウトロ温泉街の他ホテルにも農
また、知床半島の南側の羅臼も魚種が非常に豊富で
コーナーを設置する予定。道産の新鮮な野菜を中心に、
「観光客を喜ばせるには料理が重要。東京と同じ料理
総料理長は、知床に来てまだ1年。
「今年はどんどん
産地を見に行き、食材の発見や勉強をしたい」と意欲的
である。
和風料亭「木風」
21
Fly UP