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書籍一覧 - 筑波大学

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書籍一覧 - 筑波大学
◆書籍一覧◆
※カッコ内の数字は,1回の訪問につき筑波大学から提供可能な冊数を示します。
【人文系】
青木三郎『ことばのエクササイズ』ひつじ書房,2002 年,1,512 円(13 冊)
この本は大学で言語やコミュニケーションについて学ぼうとする高校生のみ
なさんに向けて書かれたものです。誰でも自分のことばとは一生つきあってい
かなければなりません。一生使い続け,ともに生きることばが何を表現できる
のか。反対に言い表すことのできないものは何か。ことばにはどんな力がある
のか。どんな性質や仕組みをもち,どのように機能するのか。ことばについて
の認識を深めるために,16 のエクササイズを通じて,ことばの性質を感じ取れ
るようにしました。人間らしく生きるための心の力,ことばの力を発見するた
めのきっかけになることを願っています。
河上正秀編『他者性の時代~モダニズムの彼方へ』世界思想社,2005 年,2,052 円(10 冊)
筑波大学教員の五十嵐沙千子が担当した「『生命倫理』入門」の章をオーサー
ビジットの対象とします。生きるって何だろう? 死ぬって何だろう? 幸せな
人生って何だろう? …これは,みんなが悩む人生の問題や生命倫理の問題を,
ふつうの言葉で,読む人と一緒に考えていく,そういう本です。でも,哲学の本
って本当はそういうもの。ふん,ふん,なるほど…と,読んで著者と一緒に対話
していくうちに,生命倫理の問題も,それから現代思想の中心問題も,いつのま
にかあなたの頭に入っているはず。でも,それだけじゃない。これを読んだあな
たはきっと,現代を生きている,まだ会ったことのない人たちの問題や思いを,
他人事でなく一緒に考えていけるはず。ただわかりやすいだけじゃなくて,これ
は,ここからあなたが出発していける本なのです。
伊藤益『自由論~倫理学講義』北樹出版,2014 年,2,484 円(8 冊)
人間の自由は道徳的・倫理的責任の根拠となるという観点から,自由とは何か
を考える書です。ソクラテス,ストア派,エピクロス派,アウグスティヌス,カ
ントの自由論を考察し,自由論の歴史が,
「~からの自由」と「~への自由」との
葛藤の歴史であったことをあきらかにし,かつは現代を生きる日本人にとって自
由とはどのようにあるべきかを論じました。
伊藤益『親鸞~悪の思想』集英社新書,2001 年,799 円(25 冊)
「善人なほもって往生を遂ぐ。いはんや,悪人をや」
。親鸞晩年の高弟唯円の書
『歎異抄』第 3 条冒頭の一節です。本書は,この一節に言う悪とは何かを論ずる
もので,それは倫理的・道徳的悪ではなく,人間が「在る」ということそのもの
にまつわる,いわば「存在論的悪」にほかならないことを解き明かします。人間
は,生きて在るかぎり,他の動植物を食べなければなりません。ところが,親鸞
たち仏者の考えでは,すべての動植物には仏性が宿ります。となると,わたした
ち人間は,生きて在るかぎり,他の仏性ある生き物を犠牲にしていることを意味
します。親鸞はその点に人間の根源悪を認めた,というのが本書の結論です。
鬼界彰夫『ウィトゲンシュタインはこう考えた~哲学的思考の全軌跡 1912-1951』講談社現代新書,2003
年,1,015 円(20 冊)
ウィトゲンシュタインは 20 世紀を代表する哲学者で,言語に関する二冊の書物
を通じて現代の思想に大きな影響を与えましたが,その生も極めて特異なもので
す。第一の主著によりすべての哲学的問題を解いたと考えた彼は哲学を止めて山
村の小学校教師となますが,数年後体罰事件により辞職して哲学に復帰し,十数
年後,前著を根底から否定する第二の著書を完成させます。二つの書物の関係や
劇的な移行と彼の生の関係は従来深い謎でしたが,2000 年に二万ページに上る遺
稿がCD-ROMとして出版され,この謎を解く手がかりが与えられました。本
書は彼の著書の背後にある多くの草稿を研究することにより,この謎に新しい光
を当てようとしたものです。謎はまだ残っていますが,本書がどこまでそれに迫
っているかを是非皆さんの目で確かめてください。
津城寛文『日本の深層文化序説~三つの深層と宗教』玉川大学出版部,1995 年,3,599 円(6 冊)
世界で日本文化への関心が高まっています。流行しているのは,アニメやファ
ッション,料理などのサブカルチャーですが,より深い文化を学ぼうとする静か
な動きもあります。
「深層文化」という言葉は,日本人が作り出したキーワードで
あり,生活文化から,美術芸術まで,特徴を生み出す基盤となる要素に注目する
ものです。歴史的な深層,心理的な深層から,それぞれの地域の価値観,美意識
が,作られてきますが,それは固定したものではなく,また宿命的なものでもな
く,私たちは文化を受け継ぐだけではなく,文化に変容を加えて,より素晴らし
いものにしていく(逆に劣化させる)ことができます。自分が受け継いだ遺産で
ある文化を,よりよいものにしていくため,外国人に深く説明するために,深層
文化を学ぶことは有益だと思います。
津城寛文『社会的宗教と他界的宗教のあいだ~見え隠れする死者』世界思想社,2011 年,2,808 円(7
冊)
国際関係の分野で,宗教の関与がますます目立ってきています。20世紀以来
の中東の紛争は,宗教的な要素を考慮しなければ理解不可能です。日本と東アジ
アの関係も,靖国問題として顕在化しているように,日本の宗教的世界観を抜き
にしては,十分に理解できません。そのような,
「宗教と社会」の関係の背景を探
っていくと,
「宗教と他界」の関係が浮かび上がってきます。他方,戦前の日本軍
の特攻が,イスラム過激派その他の自爆攻撃に採用されたのは,よく知られてい
ますが,そのような自らを犠牲にする行動の背景には,死を意味付ける他界観が
あります。世界を理解するには,宗教との関係を理解するのが不可欠であり,そ
の宗教を理解するには,社会との関係だけでなく,他界との関係を理解するのが
不可欠です。
山本真鳥・山田亨共編『ハワイを知るための 60 章』明石書店,2013 年,2,160 円(9 冊)
ハワイというと,日本人には一定のイメージが湧くようで,知らないという人
はあまりいないのではないでしょうか。ハワイは,官約移民によって始めて公式
に日本から移民が送られて以降,長らく日本人にとっての主たる海外移住先であ
り,第二次大戦時には不幸にも日米間の険悪が最初に現れた真珠湾攻撃の標的と
なった地域です。一方,戦後 30 年経つと,今度は日本人が最初に訪れる海外観光
先として,もっぱらその名を馳せるようになりました。日本人にとってはかなり
因縁の深い土地柄ですが,しかしその割に観光地のイメージがひとり歩きして,
その重層的な姿は明らかではありません。この本では他の執筆者とともに,ハワ
イを包括的かつ専門的に取り扱いました。
(筑波大学教員の山田亨が担当します。
)
山中弘・藤原聖子『世界は宗教とこうしてつきあっている~社会人の宗教リテラシー入門』弘文堂,2013
年 2,376 円(8 冊)
日本で「宗教」という言葉を聞くと,思わず「どん引き」してしまう人もいる
かもしれません。これほど否定的でなくとも,わたしたちには関係ないものと思
っている人は多いと思います。でも,海外に出ると,様子が違うことがわかりま
す。イギリスやカナダではたくさんの移民たちが生活していますが,こうした人々
は自分たちの宗教に基づいた生活を営んでいます。あるいは,東南アジアや南ア
ジアでは,イスラームやヒンドゥー教が生活の中に溶け込んでいて,そうした宗
教の知識を知らないと日常生活でトラブルになることもあります。この本は,海
外の国々で,人々がどのように異なった宗教を持つ人々と共存しながら生活して
いるのかを,
「宗教リテラシー」という言葉をキーワードに,具体的に紹介してい
ます。
(筑波大学教員の山中弘が担当します。
)
山中弘『宗教とツーリズム~聖なるものの変容と持続』世界思想社,2012 年,2,268 円(9 冊)
宗教とツーリズム,二つのものは全く違うじゃないの?
こんな風に考えしま
う人が多いように思います。宗教は「心の安らぎ」や「癒し」を与えてくるもの
だけれど,ツーリズムは気晴らしの遊びでしょう。どうして,こんなに違う二つ
ものが一緒になるの?
こんな印象をもつのも無理のないことかもしれませんね。
でも,よくよく二つの関係を観察してみると,意外に密接な関係にあることがわ
かります。この本は,伊勢神宮,四国遍路,長崎の教会群などの日本の聖地と,
スペイン,フランス,ポーランドなど,海外の聖地や巡礼に焦点をあてて,宗教
とツーリズムとの密接にして複雑な関係を具体的に論じたものです。
【社会系】
五十嵐泰正・開沼博編『常磐線中心主義(ジョーバンセントリズム)』河出書房新社,2015 年,2,160 円
(9 冊)
延長距離の長さや利用客の多さに反して,地味で語られることの少ない常磐線。
しかしその沿線は近代以降,農産物,工業製品,石炭,そして電気といった「当
たり前に日常にあるもの」を供給し続ける「寡黙で優秀な東京の下半身」だった
と言えるでしょう。当事者性の高い執筆陣が,常磐線沿線の6つの駅(上野,柏,
水戸,泉(小名浜)
,内郷,富岡)の現在を象徴するトピックを選び,原発事故以
降の地方のあり方と,そこに影を落とす東京の重力を捉えなおした地域社会学の
論集です。
(筑波大学教員の五十嵐泰正が担当します。)
五十嵐泰正・安全安心の柏産柏消円卓会議『みんなで決めた「安心」のかたち~ポスト 3.11 の地産地消
をさがした柏の1年』亜紀書房,2012 年,1,944 円(10 冊)
ベッドタウンでありながら首都圏有数の農業地帯でも柏市では,2011 年,放射
能のホットスポットとなったことで,その「地産地消」のあり方が大きく揺れま
す。そんなとき立ち上がったのが,農家・消費者・流通業・飲食からなる「安全・
安心の柏産柏消」円卓会議。利害の異なる人たちが熟議を重ね,協働的に土壌と
野菜の放射能を測定し,情報公開を行うことで,一歩一歩信頼と「安心」を取り
戻していった円卓会議の一年間の歩みを,ドキュメントや関係者のインタビュー
などで克明に再現した本です。
(筑波大学教員の五十嵐泰正が担当します。
)
吉川元・首藤もと子ほか編『グローバル・ガヴァナンス論』法律文化社,2014 年,2,900 円(7 冊)
本書は,現在の国際関係を理解するうえで不可欠なガヴァナンス(統治)の課
題を次の4部に分けて論じています。第1部は「グローバル化の基層」として,
経済,インターネット公共圏等におけるグローバル化の課題を論じています。第
2部は6つの地域組織を対象に,グローバル化のなかの地域主義の現状と限界を
論じています。第3部は越境的な課題の新展開について論じており,「新しい戦
争」や国際テロ,移民等の問題を取り上げています。第4部はグローバル・ガヴ
ァナンスの課題のうち,人権,兵器管理,地球環境,平和構築,「人間の安全保
障」等の課題について論じています。本書は,今日の国際関係に関心のある人に
は有益だろうと思います。(筑波大学教員の首藤もと子が担当します。)
蒲島郁夫・竹中佳彦『イデオロギー』東京大学出版会,2012 年,3,240 円(6 冊)
2012 年 12 月の第 2 次安倍内閣登場以来,国内外に
「日本は“右傾化”している」
と論じる人がいます。しかし 1990 年代以降,「イデオロギー対立の時代は終わっ
た」と言われてきました。いったい,どちらが正しいのでしょうか? 右~左,保
守~革新など,イデオロギーとはいったい何なのでしょうか? 本書は,くまモン
の上司と一緒に,政治学の基本概念のひとつであるイデオロギーについて概説し,
現代日本人のイデオロギーの様相を,多角的かつ長期的に,国際比較を交え,計
量分析したものです。本の内容はちょっと難しいかもしれませんし,また 2012
年 11 月の刊行なので安倍内閣については触れていませんが,この本を読んで先の
問いについて考えてみませんか?(筑波大学教員の竹中佳彦が担当します。
)
ティムール・ダダバエフ『中央アジアの国際関係』東京大学出版会,2014 年,5,400 円(4 冊)
本書は,中央アジア諸国間の関係を中心課題として念頭に置きながら,中央ア
ジア諸国と周辺諸国の関係に着目し,その歴史や特徴,現状を把握した上で将来
性に言及しています。諸国間関係にかかる中心的問題認識の一環として,まず,
中央アジアに歴史的に影響力を持ってきたロシア,近年この地域における影響力
を拡大しつつある中国,そして中央アジア諸国との関係を構築しつつある日本と
の関係を取り上げました。そして中央アジア諸国間の関係に言及し,水・領土問
題の分析を進めました。これらは今後の中央アジア地域研究において重要な課題
として取り上げられ続けると思われます。
ティムール・ダダバエフ『記憶の中のソ連~中央アジアの人々の生きた社会主義時代』 筑波大学出版会,
2010 年,4,104 円(5 冊)
本書は,現代中央アジアの変容を人々の記憶という観点から検討しています。
具体的には,ウズベキスタンの人々が中央アジアの変容,そしてソ連時代をどの
ように記憶しているか,という問題関心が研究の出発点になっています。これら
について調査を行ったうえで,人々の記憶と様々な歴史的事象の関連性を指摘し,
個人的な歴史観の多様性を明らかにしました。また,人々がソ連時代のどの部分
についてよかったと考え,どの部分について悪かったと考えているのかも明らか
にしました。それらをもとに,ウズベキスタンの人々がソ連解体とウズベキスタ
ンの独立を望んでいたのか否か,彼らが望んでいたとすれば,自分たちの社会や
生活のいかなる部分を変えるために独立を望んでいたのかを分析しています。
辻雄一郎『情報化社会の表現の自由~電脳世界への憲法学の視座』日本評論社,2011 年,4,320 円(5
冊)
インターネットの登場で,法制度は完全なる廃棄を求められているのでしょう
か。それとも修正で対応できるのでしょうか。この問題について,憲法学の視点
から検討します。ネット上で爆弾の製造方法が公開されたり,妊娠中絶を施術す
る医師の名前や住所が公開されて命が脅かされたりする場合があります。これら
を刑罰で禁止すべきでしょうか。名誉毀損やプライバシーといった民事訴訟で抑
制すべきでしょうか。高校生では国会で法律が制定されると学習していますが,
その現実を法律学の視点から検討します。
孝忠延夫・大久保卓治編『憲法実感!ゼミナール』)法律文化社,2014 年,2,592 円(8 冊)
筑波大学教員の辻雄一郎が担当した9章・13 章・19 章をオーサービジットの対
象とします。最近,安全保障法関連や憲法改正が盛んに論議されていますが,案
外,誤解が多いようです。難しいゆえに生じる誤解をわかりやすくほどいている
のが 19 章です。
何が大学生を駆り立てているのかをわかりやすく説明しています。
また,ツイッターで,学生がアルバイト先での不衛生な行動を撮影して,友人に
送ったところ,友人の輪を越えて不特定多数に広がってしまう問題も起きていま
す。これを扱っているのが9章です。さらに,投票できる年齢が 18 歳からになる
国政選挙では,裁判所が,一票の価値について違憲状態と判断しています。
「違憲」
な「状態」と,それに関する問題を説明しているのが 13 章です。
土井隆義『つながりを煽られる子どもたち~ネット依存といじめ問題を考える』岩波ブックレット,2014
年,670 円(30 冊)
現在の日本人のコミュニケーションは,インターネットの発達によって希薄に
なっているのではなく,むしろ濃密になっています。子どもたちのネット依存も,
LINEのようなアプリの浸透によって人間関係の常時接続が可能になった結果
ですし,そのつながり依存の一形態として今日のいじめ問題を捉えることもでき
ます。しかし,所詮ネットは道具にすぎません。では,こうした「つながり過剰
症候群」に至る社会背景には何があるのでしょうか。その心理的メカニズムとは
どのようなものでしょうか。学校の先生や親など大人たちのありかたも視野に入
れて,今日の人間関係の変容を考えます。
土井隆義『人間失格?~「罪」を犯した少年と社会をつなぐ』日本図書センター,2010 年,1,620 円(12
冊)
犯罪は「社会を映す鏡」であるといわれます。社会の病理的な部分が表われた
ものだからでしょう。しかし,病気と犯罪のあいだには決定的な違いがあります。
一般に病気は私たちの見方や考え方とは無関係に発症します。しかし犯罪は,私
たちがそれを犯罪と認定しなければ犯罪になりません。
「社会を映す鏡」であると
いう言葉には,ときどきの社会がどんな行為を嫌悪し,自分たちの世界から排除
したがっているかが,犯罪の定義を通して見えてくるという意味もあるのです。
そんな観点から現在の少年犯罪を眺めると,日本社会の何が見えてくるのでしょ
うか? 皆さんと一緒に考えてみましょう。
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