...

北京協和医院グループについて

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

北京協和医院グループについて
資料2.北京協和医院の概要
中国協和医科大学と、中国医学科学院医療系列の中で総合疾病治療の最高峰と位置付けられている北京
協和医院、この2つの組織グループが中核を成す。病院(医院)関係では、北京協和医院の他に、腫瘍・
心臓血管・整形外科・血液病・皮膚病を核とした5つの専門病院があり、これらの協和系6病院では以下
の通り患者に対応している。
職員数:7,
88
0名(内、中・高級役職者1,
115名、学士院会員10名、大学院生指導教官544名)
年間外来件数
:2,
67
9,
31
1件
年間急診延べ患者数:1
7
1,
1
46名
年間救急処置件数
:8,
13
6件
救急救命件数
:7,
66
9件
救命成功率
:9
5%
ベッド数
:4,
16
0床
年間入院延べ人数
:7万人
年間手術延べ人数
:3
8,
9
0
7人
! 科学院、大学紹介
中国協和医科大学(以下、協和医大)は、8年制臨床医学専攻学科および漢語本科教育を開設している
重点医科大学である。その前身は「北京協和医学院」で、アメリカ・ロックフェラー財団により1917年に
創設された。中国医学科学院(以下医科院)は、1956年に設立された、中国唯一の国家レベル医学科学学
術センター、総合的科学研究機関である。
医科院と協和医大は、科学院・大学を一つにした管理体制を実施し、医科院は協和医大のために充実し
た教師と技術力を提供し、協和医大は医科院のために高レベルの人材を育成し、教育・研究ともに優れて
いる。科学院・大学には1
7の研究所(および2つの支部)、5つの単科大学、7つの臨床病院(北京市と共
同設立した天壇医院を含む)
、5つの分院が設けられている。全国で初めての博士号および修士号授与権を
有する機関である。国務院学位委員会の承認を経て、1993年より大学みずから修士号授与学科専攻点の審
査認可が行えるようになり、1
9
9
4年よりみずから博士課程指導教官の審査認可ができるようになった。現
在、博士号授権学科専攻点3
0、修士号授権学科専攻点39、18の国家重点学科を有し、それぞれ医学博士、
理学博士(哲学博士)
、工学博士、医学修士、理学修士、工学修士、管理学修士等学位を授与することがで
きる。成人高等医学教育には臨床医学、看護学、医用画像学、医学実験技術専攻学科が設置されている。
長年来、協和医大は国家のために多数の優秀な医学者、科学者、医学教育者を養ってきており、中国で一
流の国際的に名の知れた研究型医科大学という名に恥じることのないものである。
科学院・大学図書館は、蔵書が豊富で、歴史が長く,現在の蔵書数は86万冊を超える。2000年には、国
家科学技術図書文献センター医学センター支部に指定された。
科学院・大学は、6つの直属病院(北京協和医院、阜外心血管病医院、腫瘤医院、整形外科医院、血液
病医院、皮膚病医院)および共同設立病院(北京天壇医院)1軒を擁し、国内外に名の知れた、医療・教
学・科学研究が一体となった医療サービス体系となっている。
科学院・大学は、現在、中国科学院会員1
0名、中国工程院会員15名(そのうち1名は両院会員)がおり、
― 21 ―
国家レベルおよび部・委員会レベルの際立った貢献を果たしている中年・青年専門家62名、教育部「長江
学者症例計画」特別招聘教授5名、博士課程指導教官355名、修士課程指導官382名がいる。
! 5カ所の分院
中国医学科学院は、1
98
6年から相前後して全国に5つの分院を設け、ハルビン医科大学に黒竜江分院、
浙江医科大学に浙江分院、華西医科大学に華西分院、西安医科大学に西安分院、同済医科大学に武漢分院
をそれぞれ設立した。現在、浙江分院は浙江大学、華西分院は四川大学、西安分院は西安交通大学、武漢
分院は華中科技大学に編入されている。
黒竜江分院は1
5の研究所、3つの研究センターおよび5つの研究室を設けている。
「亜ひ散注射液による
M3型白血病治療研究」は、中国科学院の「2000年科学発展報告」で20世紀における中国の十大科学技術発
明の一つに選ばれた。中国ヒトゲノム計画、肺癌転移遺伝子研究、不整脈最適ターゲットポイント研究、
カシン・ベック病病因学研究も突破口を開く成果を得た。
浙江分院は、2
1の研究所を設けている。2
000年、人体腹膜リンパ孔の発見および薬物調節、中国医学に
よる腹水治療のメカニズム研究は大学自然科学一等賞を受賞し、肝臓・腎臓同時移植の臨床研究、悪性組
織球病症の臨床およびその基礎実験シリーズ研究、C 型肝炎ウイルス DNA ワクチンの基礎研究等も顕著
な成果を得た。
華西分院は、1
1の研究所、2
8の研究室、8つの研究センターを設けている。2
000年、クローン病の基
礎・臨床研究、人体トキソカラ移行症の免疫診断・病理・予防治療研究、下顎骨突起ストレスに対するホ
ルモンと成長因子の成長調節作用に関する分子メカニズム研究、胎盤フェリチン受容体の分布および母親
と胎児の鉄代謝におけるその調節作用の研究等は、いずれも省科学技術進歩賞を獲得した。
西安分院は、「医学研究試験センター」
、
「医学情報センター」、
「医学実験動物センター」を設けている。
2
0
0
0年は5件の国家自然科学基金プロジェクト、53件の省クラス課題、14件の市クラス課題を引き受け、
1件の中国大学科学技術進歩2等賞、3
3件の省科学技術進歩賞、14件の市科学技術進歩賞を受賞した。
武漢分院は、1
7の研究所、2つの重点実験室、1つの研究センターを設けている。2000年、体神経−内
臓神経反射弓を人工的に造って対麻痺を回復した後の膀胱機能に関する研究は、省自然科学1等賞を受賞
し、免疫神経内分泌調節ネットワークと癲癇発病メカニズムとの関係についての研究等は自然科学2等賞
を受賞した。
中国医学科学院黒竜江分院(ハルビン医科大学)
中国医科科学院武漢分院(華中科技大学同済医学院)
中国医科科学院浙江分院(浙江大学医学院)
中国医科科学院西安分院(西安交通大学医学院)
中国医科科学院華西分院(四川大学医学院)
" 北京協和医院・臨床医学研究所・臨床医学院
北京協和医院は中国協和医科大学の臨床医学院、中国医学科学院の臨床医学研究所であり、衛生部が指
定する原因不明の難病治療のための技術指導センターの一つである。
2
0
0
2年、北京協和医院は郵電総医院と合併再編を行い、東・西二院の配置を形成し、現時点における国
内最大の総合病院となった。現在、北京協和医院の事業面積は17万平方メートルを超え、入院ベッド数は
― 22 ―
2,
0
0
0床近くあり、手術室は3
0室余り、在職スタッフは3,
355人にのぼり、そのうち400名近くは副高級以上
の技術職名を有している。
現在、医院は毎年本科生2
0
0余名を訓練し、目下、在職研究生指導教官179名、博士点13、修士点19を有
しており、
中国協和医科大学で唯一の臨床ポストドクター流動研究ステーション1カ所が設けられている。
毎年、博士課程学生、修士課程学生3
0余名を卒業させている。この数年間に、ポストドクター13名を卒業
させ、毎年、全国各地からやってくる研修生500余名を受け入れている。
医院は、1
99
1年には衛生部3級 A ランク病院の評議審査に通り、1992年には全国衛生系統先進集団に選
ばれ、1
9
9
7年には北京市ベストテン病院に選ばれ、1998年には全国模範従業員の家に選ばれ、1999年には
全国文明業種創健先進単位の称号を得た。
! 公共衛生学院
中国協和医科大学公共衛生学院(SPH)は、1989年に設立された。
公共衛生学院は、公衆衛生分野における応用型大学院生の養成を中国で初めて実施した。その学校運営
の趣旨は、公衆衛生の実践活動を深く理解し、管理能力と実際の問題解決能力を備えた応用型の高級公衆
衛生人材を養成することである。
カリキュラムの設定と教育の実践では、学生の技能訓練が強調され、現場の実際問題を解決する能力と
個人的資質を培うことを重視している。協和公共衛生学院の養成は、基礎理論の学習と公衆衛生の現場実
践とを結びつける方式でおこなわれ、実践を基礎とし、問題解決を中心とする教育モデルを採用している。
ケーススタディが強調され、教室での討論に力を入れ、地域社会での実践を進め、学生が公衆衛生の現実
問題に関心を寄せ、討論するよう導いている。
公共衛生学院は、国内外で他校との交流・協力活動を積極的に繰り広げている。近年は米国のイェール
大学と提携し、教師の交換、共同研究および教材の共同編集等をおこない、衛生経済、衛生法学、行為科
学等のカリキュラムについて教育交流と課題研究を進め、教材を充実させ、教育水準を高めてきた。イェー
ル大学の公衆衛生専攻の修士課程院生を夏期休暇中に中国に招いて実習させ、当校学生の歓迎を受けた。
また、ロックフェラー財団の「垣根のない公衆衛生スクール」活動に参加し、経験を紹介した。さらに衛
生部とユニセフの共催による期間5年の「衛生・防疫スタッフ訓練強化計画」協力プロジェクトに参加し、
立派な活動をおこなった。
" 併設研究所
1)阜外心血管病医院・心血管病研究所
阜外心血管病医院・心血管病研究所はそれぞれ1956年、1
962年に設立された、国家レベルの心血管病医
療・科学研究・予防・人材育成基地であり、また全国心血管病予防治療研究指導グループの事務機構なら
びに国の心血管新薬臨床研究基地でもあり、さらに WHO 中国心血管病研究・訓練センターも設置されて
いる。
医院・研究所は現在ベッド5
0
0床余り、スタッフ1,
500余名。
この5年間、
年間入院治療患者受入数は延べ10,
000人余り、年間外来診療数は延べ170,
000人余りに達し、
介入治療総数は3,
0
0
0余例/年、
心血管造影およびカテーテル検査は延べ10,
000余例/年、年間手術数は3,
700
余例となっている。PTCA+ステント留置術(1,
380余例/年)、無線周波数アプレーション、冠動脈バイパ
ス手術(7
6
0余例/年)
、乳幼児複雑先天性心臓病手術の数と質はいずれも国内トップの地位にあり、世界の
― 23 ―
先進レベルに達している。1
997年から現在までに、省・部レベル以上の科学研究成果賞計28件(そのうち
国家レベルの賞3件)を受賞し、論文4
0
0篇余りを発表している。
先進的な医療・科学研究設備を装備し、デジタル心血管造影システム等、50万元以上の設備を80台余り
導入した。
対外交流・協力を積極的に展開し、現在、アメリカ、フランス、ドイツおよび WHO 等と提携しているテー
マは5項目ある。
2)医薬生物技術研究所
医薬生物技術研究所は1
9
58年に創設され、現在、スタッフ234名、在学中の研究生95名を擁している。
研究所が従事している学科のうち、微生物および生化学薬学は教育部重点学科である。主な研究分野は、
遺伝子工学、微生物代謝工学、化学と組み合わせ化学、ドラッグスクリーニング分子モデル、薬理ゲノミ
クス、微生物薬用資源、情報学等をカバーしている。
研究所の科学技術は医学実践と直接結びついている。現在、中国の臨床病院が使用している国産の抗生
物質のうち、
相当数は医薬生物技術研究所が開発に成功したものであり、科学技術製品は中国の数十の大・
中型製薬工場に入っており、中国製薬業の重要な科学技術上の支えとなっている。
研究所には現在1
1の実験室が設けられている。国の関係部門はここに衛生部抗生物質遺伝子工学実験室、
国家新薬(微生物)スクリーニング実験室、国家薬用微生物菌種保存センターを設立し、アメリカ腫瘍基
金会は所内に分子腫瘍薬理実験室を設立した。この5年来、国の863計画、973計画を担当し、科学技術の
重要問題および自然科学基金プロジェクト6
3件を担当してきた。中国の微生物薬物の主要な研究開発機関
として、研究所は修士研究生2
1
2名、博士研究生89名を相次いで卒業させてきた。
過去1
0年間、研究所はバイオエレクトロニクスおよびバイオサイエンスの重要理論を基礎として薬物に
おける新機軸を創出する研究を行ってきた。抗感染、抗ウイルス、抗腫瘍および心血管疾病薬物の研究に
おいて異なる分子レベル(分子、細胞、動物)のスクリーニングモデルおよび薬効評価システムを確立し
た。現在、研究開発中の!類新薬は1
0余種類あり、その中には中国初の遺伝子工学抗生物質∼プロピオニ
ル・スピラマイシン、!類新薬の抗腫瘍抗生物質ボアンマイシン、リダマイシン、皮膚病治療薬ボニンマ
イシン、免疫抑制剤カンラマイシン C、抗ウイルス薬物1647、17997等が含まれている。
3)実験動物研究所・実験動物学部
実験動物研究所は1
9
8
0年に創立された。研究所には現在195名のスタッフがいる。設立以来、国家自然科
学基金、国家科技部、衛生部、北京市科学委員会および医科院の多くの科学研究テーマを担当し、200篇余
りの論文を発表してきた。同時に、中国協和医科大学研究院、中国疾病予防・抑制センターおよび協和夜
間大学実験動物学課程の教学業務も担当してきた。
実験動物研究所はこの数年来、先端科学研究に力を入れ、実験動物資源および比較的豊富な遺伝子組み
替えマウスの技術経験を利用して、2
0
01年に遺伝子組み替え/遺伝子ノックアウトセンターを設立し、ES
細胞株を確立した。長年にわたる薬物治療効果試験、毒物試験、ドラッグスクリーニング等非臨床実験の
積み重ねを基礎とし、確立したさまざまな疾病動物モデル(種保存・育種)の資源を利用して、臨床前薬
物安全評価を目的とした GLP 実験室の建設を積極的に計画している。現在、サルエイズモデル(SIV/
SAIDS)の優位性を生かして、アメリカ NIH のエイズ研究に関わるテーマを担当している。
― 24 ―
4)医学信息研究所・図書館
医学信息研究所の前身は、中国医学科学院情報研究室で、1958年に成立した。1974年、衛生部の許可を
経て、情報研究室の基礎の上に医学情報研究所が設立された。1993年、中国医学科学院の承認を経て「医
学情報研究所」の名称を「医学信息研究所」と改めた。医学信息研究所は現在、WHO 衛生・生物医学情報
協力センター、中国 MEDLARS センター、衛生部医学情報工作管理委員会弁公付属部門、中国医学情報ネ
ットワーク管理センター、国家科技部の定めた全国の8つの科学技術情報機関改革テスト地点の一つであ
り、全国医学界で最初の情報学専攻修士点となっている。
中国医学科学院・中国協和医科大学図書館の前身は、アメリカ・ロックフェラー財団が1917年に創設し
た北京協和医学院図書館である。これは中国の豊富な蔵書と長い歴史を持つ図書館の一つである。新館は
2
0
0
1年に正式に開館し、本館は現代的な、ネットワーク化されたサービス機能を具え、建築面積9,
000平方
メートル、使用面積5,
0
0
0平方メートルで、5つの閲覧室が設けられており、閲覧席は600である。現在の
蔵書総数は8
6万冊である。2
0
02年には外国語の生物医学原版定期刊行物2,
050種類、中国語の生物医学定
期刊行物1,
1
0
0種類、修士・博士号論文4,
4
00冊余り、ネットワーク版医学フルテキスト定期刊行物320種類
余りを購入した。
2
0
0
0年、国家科学技術図書文献センターが設立されたが、本館は当該センターの理・工・農・医の4つ
の国家専業支柱図書館の一つであるとともに、衛生部全国医学文献資源共有ネットワークの国家センター
館および中国医学科学院・中国協和医科大学文献情報センターでもある。
5)微循環研究所
微循環研究所は1
9
8
4年に設立されて、スタッフを20名に抑え、国内外の兼職教授6名、名誉教授32名(イ
ギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、オーストラリア、日本からの)を特に招聘し、在学中の研究
生6名を擁し、衛生部微循環重点科学研究基地であり、アジア微循環連盟、中国微循環学会付属部門でも
ある。当該研究所の下部には5つの研究室が設けられ、脳心血管の重大疾病である微循環障害とその予防
治療手段の研究および腫瘍血管新生の抑制方法の探究を専攻方向としている。
当該研究所は、3,
30
0平方メートルの新築の科学研究棟を擁し、生体微循環マイクロスコープ観察・動態
画像測定およびデータ分析システム、細胞動態行動マイクロスコープタイムラプスビデオ録画システムな
らびに人体多部位微循環検測装置を有し、また各器官の微循環生体機能を連続モニターする動物も出ると
実験装置、脳微小血栓形成、微小リンパ循環、内皮細胞・心筋細胞動態機能、がん細胞の微小血管増生誘
発等さまざまな実験技術を有しており、循環内皮細胞と幹細胞の研究等、細胞および分子生物学の実験方
法を確立しており、すべてを完備した国際基準の微循環機能実験技術プラットホームが構築されている。
当該研究所は、中国科学院と提携した「蛋白質光学チップのメディカルデザインおよび臨床応用」とい
う重要な難問プロジェクトを主となって進めているところである。スウェーデン・カロリンスカ研究院と
の共同プロジェクトの一つは、2
00
2年の中国・スウェーデン政府間科学技術協力計画に組み込まれてお
り、さらにアメリカ・ルイスビル大学、カリフォルニア大学(UCSD)とも科学研究協力合意書を締結して
いる。
6)薬用植物研究所
薬用植物研究所は、1
983年に設立された。本部の下に雲南支部、海南支部が設けられ、さらに広西支部
が共同設置されており、現在3
9
8名のスタッフがいるが、そのうち科学技術者は256名で、中国工程院会員
― 25 ―
1名、正・副研究員8
0名が含まれている。研究所本部には、11の研究室が設けられている。本部と支部の
4つの薬用植物園は、計5,
5
00ムーあり、漢方薬遺伝資源約5,
000種を保存している。本部標本館は、押し
葉標本、生薬、計5,
00
0余種9万部余りを収蔵している。本部には2つの製薬企業−協和瑞草天然薬業有限
公司、北京優華薬業有限公司がある。研究所の主な任務は、現代科学の技術と方法を応用して、中国の薬
用植物資源を保護、開発、利用するための研究を行い、中国の医薬遺産の総括、発掘という基礎の上に立
ち、現代の植物化学・分析・薬理等ハイテクを利用して、有効な天然化合物を探し出し、新薬を研究開発
することである。
研究所は、国際間の協力を積極的に展開し、イギリス、アメリカ、ポーランド、日本、タイなど、50余
りの国および地域との科学技術交流協力を打ち立て、展開してきた。1
986年には、WHO により「WHO
伝統医学研究協力センター」に認知された。
7)皮膚病研究所・皮膚病医院
皮膚病研究所(医院)
(以下、研究所・医院と称する)は、国内で最も早く設立された、皮膚病研究・医
療・教育・予防に従事する国家レベル専門機関であり、28の研究・臨床課室が設けられている。現在、ス
タッフ4
0
5名、高級専門技術者5
1名、博士課程指導教官10名、修士課程指導教官21名がいる。
研究所・医院は、2
001年、延べ3
1.
2万人の患者を受け入れ、診察した。大水疱病、特殊タイプ乾癬、血
管炎、一部の皮膚腫瘍等、原因不明の難しい皮膚病の診療、重症薬疹の応急手当、色素性・血管性皮膚病
の治療等は国内のトップレベルにある。皮膚性病学専攻学科は教育部により重点学科として承認されてい
る。
「院内深部真菌感染の早期診断研究」および「生殖器潰瘍を特徴とする性的伝播疾病の診断と治療」は、
衛生部臨床重点学科である。第一に確立された性病モデル外来は、性病患者のために規範化された治療を
提供すると同時に、全国の規範化外来普及のために重要な指導的役割を果してきた。ハンセン病連合化学
療法およびリハビリテーション外科は、すでに国際的にトップの地位にある。
8)輸血研究所
輸血研究所は、輸血医学関連の多くの学問分野に誇る研究、血液製品の開発とその中間試験段階の生産
に携わる応用開発型の研究所である。
現在、同研究所には2
9
5名のスタッフがおり、血液型研究室、HLA 研究室、輸血感染・制御研究室、輸血
材料・装置研究室、生物技術研究室等9つの主要業務科・室が設けられている。
研究所設立以来の約4
0年間に、血液型血清学、臨床輸血と成分輸血の技術普及、輸血感染症の予防研究、
細胞工学と血漿蛋白製品、輸血材料・器具およびコンピュータ・ソフト開発等の各分野で、計6件の国家
級成果賞、3件の衛生部科学技術進歩賞、2
0余件の四川省科学技術進歩賞を受賞すると同時に、7件の中
国特許を取得した。
現在、博士課程院生の指導教官が2名、修士課程院生の指導教官が9名おり、これまでに計30名余りの
博士・修士課程院生を養成するとともに、
全国のために100名余りの大学・高等専門学校レベルの輸血専門
人材を養成した。
血液製品公司は、主に血液製品の開発と生産に携わっている。すでに開発・生産された血液製品は、ヒ
ト血清アルブミン、筋肉注射免疫グロブリン、静脈注射免疫グロブリン、抗 B 型肝炎特異性免疫グロブリ
ン、凝固因子 V3.
濃縮製剤、プロトロンビン複合体、α2‐マクログロブリン、トランスフェリン等10余種を
数える。
― 26 ―
9)整形外科医院・整形外科研究所
整形外科医院は、1
95
7年に創設された。世界で規模が最も大きい医療・教育・研究を一体化した整形外
科専門病院であり、また、国家級の整形美容外科医師訓練基地でもある。
整形外科医院は、北京市石景山区八大処に置かれ、中国の古典式庭園建築群となっている。現在、499人
の職員がおり、ベッド数は3
2
8床で、年間の手術は1.
5万例に達する。顔面・頸部整形美容、唇裂・口蓋裂、
頭蓋・顎・顔面、体形作り・脂肪吸引、外耳再生、毛髪移植、乳房整形美容、瘢痕総合治療、尿道下裂、
救急整形美容、火傷整形、性別再確認、口腔医学美容、婦人科整形、レーザー美容という15の特色ある医
療センターと整形外科研究センターが設けられている。2002年、北京市平安大道に一流の施設を持つ平安
外来診療部を開設した。
1
0)腫瘤医院、腫瘤研究所
腫瘤医院・腫瘤研究所(以下 CHI と呼ぶ)は、1958年に設立された。1980年、世界保健機関癌病研究協
力センターの1つに指定され、現在はアジア地域最大の腫瘍予防・治療研究センターとなり、また、国家
薬品監督管理局の国家薬品臨床研究基地でもある。職員は1,
400余人おり、そのうち正・副教授は220人。
CHI は、12の臨床科・室、1
1の医療技術科・室を設けており、ベッド数840床で、年間の外来患者数は延
べ2
4万人余り、入院患者数は延べ約1万人となる。
CHI は、
基礎研究と応用研究に重きを置き、
1つの分子腫瘍学国家重点実験室、4つの基礎研究室、3つの
基礎・臨床応用研究センターを設けている。計1
40余件が科学研究成果賞を受賞し、そのうち58%が中央省
庁クラス以上の成果賞を得た。
食道癌多発地域での現場総合研究は全国十大科学技術成果の1つに選ばれた。
CHI は、全国の腫瘍学術交流センターであり、衛生部全国腫瘍予防・治療研究弁公室、衛生部腫瘍学臨床
医師試験センター、中国癌症研究基金会、中国抗癌協会臨床腫瘍学協力センター、
「中華腫瘍雑誌」編集部
および「中華放射腫瘍学雑誌」編集部がいずれもここに置かれている。
1
1)薬物研究所
中国医学科学院・中国協和医科大学薬物研究所は、中国の重点薬物研究機関の1つであり、1958年に設
立された。現在、50
0余人の職員がおり、そのうち科学技術者は300余人で、正・副研究員が100余人となる。
薬物研究所は、国民の健康を著しく損なう主要疾病を予防・治療する薬物を探し出すことを方向とし、
あくまで独立した知的財産権を持つ新薬を開発することを重点とし、漢方薬を主とし、現代の医薬学理論
とハイテク技術を採用して、多くの学問分野に跨る総合的な研究を進めている。新薬研究の主な方向は、
抗腫瘍薬、心・脳血管疾患予防治療薬、抗炎免疫・抗肝炎薬、抗ウイルス薬、神経精神系統に作用する薬
物および老人性退行性疾病薬等である。
設立以来の4
0年余りの間に、同研究所は計270余件の科学研究成果賞を受賞した。開発して市場に送り込
んだ新薬は8
0余種に達する。19
8
6年に国が基金制度を設けて以来、計500余件の各種科学研究課題を引き受
け、3,
1
0
0余編の論文を発表した。これまでに国内外で135件の特許を出願した。著作数は115点を数える。
近年、市場経済に目を向け、科学研究技術成果の(製品への)転化を加速させ、産業効果を高める過程
で、薬物研究所付属の北京協和製薬工場は生産高が年々伸びている。主な製品には人工麝香、紫素(タク
ソール注射液)
、肌生注射液、プエラリン注射液、DDB、ホモリングトニン、フチオブゾン等があり、最後
の3種の薬物は国際市場で売られている。その他、当研究所が独自に開発し、多くの国の知的財産権を有
する1類抗肝炎新薬「Bicyclol」はすでに発売を認可された。
― 27 ―
Fly UP