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アクティブラーニングと SEPUP

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アクティブラーニングと SEPUP
設立 15 周年記念ワークショップ
アクティブラーニングと SEPUP
2016 年 8 月 16 日(火)
、17
、18
、17 日(水)
、18 日(木)
場所:株式会社ナリカ 本社
主催:日本 SEPUP 研究会 協力:カルフォルニア大学バークレー
協力:カルフォルニア大学バークレー校、株式会社ナリカ
レー校、株式会社ナリカ
日本 SEPUP 研究会は、米国のカルフォルニア大学バークレー校ロ
ーレンスホール科学館にて開発された科学教育プログラムを日
本に導入することを目的に 2001 年に理科教員、大学教員、企業に
よって設立された研究会です。日本 SEPUP 研究会では、社会に出
てから自ら意思決定できる 21 世紀を生きる人材(教師、児童、生
徒)を育てることを目的として、日常生活の中の科学や社会との
つながりを意識したカリキュラム開発(初等中等教育向け)を行
っています。近年、話題となっている「アクティブラーニング」
と SEPUP(Science Education for Public Understanding Program)を、ワークショップを通じて考えます。
8 月 16 日(火)10:00〜17:00
10:00-11:00
開会講演
日本 SEPUP 研究会の設⽴と 15 年のあゆみ/百武三郎
11:00-12:00
特別講演Ⅰ
米国の教育と SEPUP/Ph.D. Barbara Nagle
Workshop①
Issues and Physical Science
Activity 24: Diluting the Problem
Activity 27: Reclaiming the Waste
Activity 28: Another Approach to Metal Reclamation
13:00-17:00
8 月 17 日(水)10:00〜17:00
10:00-11:00
ワークショップ②
ブラックボックスでアクティブラーニング/小森栄治
11:00-12:00
特別講演Ⅱ
アクティブラーニングと SEPUP/小川正賢
Workshop③
Thresholds and Toxicology
Activity1: Thresholds, Concentration, and Trades-off
Activity4: Simulated Toxicology Tests
Activity7: Analyzing Long-term Lily Juice Use
13:00-17:00
8 月 18 日(木)10:00〜17:00
10:00-12:00
Workshop④
Issues and Life Science
Activity 32: Who Infected Whom
Activity 51: The Full Course
Activity 99: A Whale of a Tail
13:00-15:00
模擬授業
中高生向けオープンスクール「英語でサイエンス:Who Infected Whom」
15:00-16:00
ディスカッション
パネルディスカッション&閉会式
※参加費は、6,000 円/3 日間。内容は変更する場合がございます。ご了承ください。
【SEPUP とは】
SEPUP とは、Science Education for Public Understanding Program(国民に理解できる科学教育
プログラム)の略で、カルフォルニア大学バークレー校にあるローレンスホール科学館のカリキ
ュラム開発センターで開発されたものです。SEPUP は 1980 年代に CEPUP(国民に理解できる化学
教育プログラム)として始まり、化学物質と人の健康や環境汚染に関する課題を取り上げて約 2
週間のモジュール(カリキュラム)を開発しました。その後、米国国立科学財団(NSF)の中・高
校生のための年間プログラムに他科学分野を含むように
拡大するプロジェクトを通じ、6-10 年生のための 12 種
のモジュールを開発し、1993 年に CEPUP から SEPUP に名
称を変更しました。現在、SEPUP モジュールは、中・高校
生のための 13 種の SEPUP モジュールと 5 年の長いコー
スがあります。
すべての SEPUP モジュールは、教師による指導と生徒の
学習において SEPUP の探求指向や課題指向のアプローチ
(指導方法)に従っているものです。探求指向アプロー
チにおいては、生徒は研究や調査を行い、科学について
読み、そして、その社会への影響について読み、根拠につ
いて議論や討論を行い、発表をすることになります。課
題指向アプローチでは、個人的、社会的課題は学習の目
的を明確にし、課題に関して学習してきた内容を適応さ
せる機会を提供するものです。このような課題は、学生
の日常生活に関わる個人的なものや、健康や環境など社
会問題に関係する課題などがあります。
SEPUP は、初期開発、教室テスト、改訂のサイクルを通じて生徒の学習状態を基に開発されていま
す。最終的には SEPUP モジュールは、生徒版、教師版、研究や調査に必要な部材やウェブサイト、
コンピューターシュミレーションなどをキット化したものとなっています。これらの SEPUP モジ
ュールや部材は、米国では LAB-AIDS 社、日本では一部を㈱ナリカで販売しています。このプロジ
ェクトは、部材の有効性の確認をしています。また、SEPUP モジュールや他コースはロサンゼルス
からシカゴ、ニューヨークにかけて、米国全土の中・高校学校で使用されています。
【ごあいさつ】
「日本 SEPUP 研究会の 15 年の歩み」
日本 SEPUP 研究会 会長 百武 三郎/神奈川県藤沢市立高浜中学校教頭
研究会設立から 15 年。流行りすたりの激しい昨今ですが、日本 SEPUP 研究会はその揺るぎない信念のもと、ゆ
っくりではありますが着実に日本の理科教育、科学教育に寄与してきたものと自負しています。長く続けること
の出来ること、そこにはぶれない思いがあります。決して難しい思いではありません。理科教育に携わる者なら
ば誰もが思うこと。
「理科好きの子ども達が一人でも増えますように」その思いが全ての始まりです。
1999 年の暮れのこと、東京で一つの会議が行われました。
「米国に SEPUP と呼ばれる教育プログラムがある。
これについて検討してみよう。
」時は、折しも、2000 年の学習指導要領改定を控え、理科の時間数が減り、選択
授業の時間数が増やされる、そんな時期でした。イオンが中学校の教科書から消え、本当に日本の理科教育はこ
のままでいいのか?週 1 時間、年間 35 時間以上の選択授業で何を扱えばいいのか?スライム作りでいいのか?
カルメ焼きで終わらせてしまっていいのか?そんな理科教育の現場に一石を投じたい。様々な不安の中にいる理
科教員たちに一筋の光を示したい。そんな思いでした。
会議のなかでは、
「日本の理科教育に新たな風を吹かせよう!」と言う掛け声のもと、中学校や高校など現場の
教員、大学の研究者、そして理科教育に関わる企業。三者が一体となって新しい教育プログラムを作り、理科好
きな生徒を増やそう。理科教育の充実こそが日本の未来をより豊かで安心して暮らすことの出来る社会にする原
動力となる。そんな、いわば日本 SEPUP 研究会の原点ともいえる話し合いがなされました。
そんな素朴な思いが語られた半年後の2000 年夏、
「机上ではどうにもならない、現地に行って現物
を見てみたい。
ハンズオンでSEPUP を体験したい。
」
矢も盾もたまらず、カリフォルニア大学バークレ
ー校ローレンスホールオブサイエンスでの米国
SEPUP のリーダー研修会へと現研究会のメンバー4
人が参加しました。まだ日本 SEPUP 研究会が設立
される前のことでした。
連日、朝から晩まで英語での講義が続き、時差ボ
ケの眠さと戦い、思うようにならない言葉の壁に
歯がゆさを感じ続けながらも、SEPUP の面白さ、奥深さに心を震わされました。そして夜はビールの勢いも手伝
って、日本の未来、理科教育の未来について語り合い、幾つものアイディアが浮んでは消え、幾つもの言葉がカ
リフォルニア大学の宿舎に漂うユーカリの香りとともに心に刻まれていきました。
そして、
1 年後の 2001 年 9 月、
満を持して日本 SEPUP 研究会が正式に設立されました。当時のワークショップ開催案内には“日本 SEPUP 研究会
では「人が生きていくうえで必要な科学的思考力・判断力を育成し、自分で考えた意見を表現していく」ための新
しいカリキュラムの開発を行っています。
”とあり、前学習指導要領の下でありながら現行学習指導要領につなが
る考えを持って開発に臨んでいたことがわかります。これはすなわち、当時の理科教育の弱点を補い克服し、さ
らに発展させる先見の明があった、と言うことでもあります。また、4 人で情報や試薬等を共有し、2 人に一つの
実験器具があって共に実験し、そして 1 人に一枚のワークシート、いわゆる4-2-1システムによる一方向で
はなく双方向での学習形態があり、積極的な探求と科学的な根拠に基づいた話し合いと提案する力を育もうとし
ていたことが分かります。
この 15 年間で研究中のものも含め 10 以上のモジュールの開発、改良に取り組んできました。
『水溶液と廃液』
『有害な廃液』
『身近なプラスチック』
『ブラックボックス』私たちが世に出せたモジュールはわずかにこの 4 つ、
されど 4 つです。
ゆっくりですが、
それぞれの学校の状況に応じて形を変えて利用できる柔軟性を持たせるなど、
より現場の先生方に使いやすいプログラムを考え研究しています。現在市販されている4つのモジュールの中で
も、
ブラックボックスについてはカリフォルニア大学のそれ
にはありません。
日本オリジナルのモジュールとして自信を
持っています。これまでに研究会からは延べ 20 名以上のメ
ンバーがアメリカに渡り、
米国 SEPUP をじかに体験して米国
の理科教育を吸収してきました。また、現地の小・中・高等
学校を訪問したり、
直接現地の教員と交流したりするなかで
日本型理科教育の提案も行ってきました。このなかで日本
SEPUP 研究会のオリジナル教材であるブラックボックスの
提案は絶賛されました。日本各地 10 以上の都市で開催した
ワークショップでも大きな反響を呼びました。
特に新しい学習指導要領の中でキーワードとして聞こえてくる“アクティブラーニング”もブラックボックス
で体験することが出来るでしょう。それほど奥深いモジュールに仕上がっています。初めてブラックボックスを
世に送り出してから 10 年。決して色あせることなく、むしろその輝きを増しつつあります。これこそわれわれ日
本 SEPUP 研究会が日本の未来を見据え新たな理科教育を推進してきた一つの姿であり、素朴ですが理科好きの子
どもが増えて欲しいと言う願いを形にした一つです。
今回 15 周年を迎えますが、研究会では節目ごとに通常のワークショップや研究会だけではなく特別企画を組
んできました。5周年記念では、米国研修でたいへんお世話になったオハイオ SEPUP センターから 2 名の講師を
迎え、ワークショップを開催しました。また、埼玉県蓮田市でオハイオ SEPUP センタースタッフを講師に、中学
生を対象にした英語での公開授業を行いました。受講した生徒にとっても新鮮で感動的な授業となりました。1
0周年記念ではカルフォルニア大学バークレー校ローレンスホール科学館から2名の講師を招き、群馬県太田市
で公開授業を行いました。日本のスタッフも英語での授業に挑戦するなど、新たな刺激を受けました。東京では
ワークショップを開催し、多くの先生方の参加を頂き、授業での種として活用して頂きました。日本 SEPUP 研究
会は決して大きな団体ではありません。しかし、メンバーの日本の理科教育への思い、未来を担う子どもたちへ
の願いを胸に、熱い情熱でこれからも活動を続けてまいります。
【ワークショップの概要】
ワークショップの概要】
[Issues and Physical Science](課題と物理科学)
Issues and Physical Science は、社会的環境の課題解決に関する中
レベルの物理科学プログラムです。このプログラムでは、学生の能
力を培い引き立てる指導方法と学生同士の対話と相互サポートで課
題に取り組ませるものです。さらに、本プログラムは、複数年また
は年間プログラムとして、あるいは、単独プログラムとして提供し
ています。今回は、このようなプログラムの中から、以下の3つの
アクティビティを実施します。
ある工場で電子回路基板を製造するとき銅化合物を含む廃液が発生
し、これを環境法規制に準拠するように廃液に含まれている銅化合物の濃度を制御しています。ここでは①希釈
して廃棄する、②抽出して再利用する、③他の金属再利用の方法について、ディスカッションを行いながら学ん
でいきます。
・Activity 24: Diluting the Problem
・Activity 27: Reclaiming the Waste
・Activity 28: Another Approach to Metal Reclamation
[Thresholds and Toxicology](しきい値と毒性)
(しきい値と毒性)
新しい医薬品の政府承認を得ることは簡単な作業ではありません。長い期間の研究、試験、およびデータ収集は、
その医薬品の社会全体において安全であることを確認するために絶対に必要とされます。学生の知識を定着させ
るために、学生に対して「ゆりジュース」という架空の薬草治療薬の典型的な開発手法を検討させ、学生はしき
い値、濃度、毒性、定性・定量データについて学びます。ラットの模擬的毒性試験データの分析では、その治療
薬を市販するかどうかの重要な方法を使って、学生はデータを分析して「ゆりジュース」を評価します。このよ
うなプログラムの中から、以下の3つのアクティビティを実施します。
・Activity1:
・Activity7:
Thresholds, Concentration, and Trades-off ・Activity4:
Analyzing Long-term Lily Juice Use
Simulated Toxicology Tests
[Issues and Life Science](課題とライフサイエンス)
(課題とライフサイエンス)
最近、インフレンザやジカ熱、エボラ出血熱などの感染症が話題
に上がっています。Issues and Life Science の Who Infected
Whom では、このような感染症の感染ルートに関して、調査、分
析、議論、討論、検査などのプロセスをチームで実施し、根拠に
基づいた感染ルートを探ります。このアクティビティは 3 日目
(最終日)に中高生への公開授業で使用する予定です。また、脊
椎動物の骨格イラスト(鯨など)を用いて行う進化過程をチーム
によって調査、分析、議論、討論して活動的に理解を深める方法
をご紹介します。
・Activity 32: Who Infected Whom
・Activity 99: A Whale of a Tail
・Activity 51: The Full Course
【ゲスト講師のご紹介】
Ph.D. Barbara Nagle / University of California, Berkeley
Barbara Nagle is Director of SEPUP, a program in the curriculum center of the
Lawrence Hall of Science, University of California, Berkeley. She has a
bachelor’s degree in molecular biology from Wellesley College and a Ph.D. in
cell biology from the University of Pennsylvania. She conducted postdoctoral
research on cell division and cell motility at the University of California,
Berkeley. Before joining SEPUP, Barbara taught high school chemistry in
Oakland, California and college level biology courses at the University of
Pennsylvania and UC Berkeley. She has contributed to numerous NSF-funded
SEPUP curriculum modules and units as an author, project coordinator, and/or
Principal Investigator. Her published products, developed in collaboration with the SEPUP team, include a
complete middle school science series that includes Issues and Earth Science, Issues and Life Science, and
Issues and Physical Science, and two high school courses titled Science and Sustainability and Science and
Global Issues: Biology. She is currently Co-PI of the NSF-funded DRK-12 project Moving Next Generation
Science Standards into Practice: A Middle School Ecology Unit and Teacher Professional Development
Model, a collaboration between the American Museum of Natural History, the University of Connecticut, and
the Lawrence Hall of Science.
Ms. Maia Willcox / University of California, Berkeley
Maia Willcox is a curriculum developer for SEPUP. She holds a bachelor’s degree
in Integrative Biology from the University of California, Berkeley, and a master’s
degree in Animal Sciences from the University of Hawaii, Manoa. Maia began
her career in education teaching high school in San Francisco, California where
she taught Biology, other life science courses, and reading skills courses for
English Language Learners. She also served as the Science Department Chair
before moving on to work as the middle and high school Science Content
Specialist for the district, developing and executing professional development
workshops for all of the district’s middle and high school science teachers. Maia
joined the SEPUP team in 2007. Her published products, developed in collaboration with the SEPUP team,
include the high school science course Science and Global Issues: Biology and several middle school life science
units. She is currently Director of the San Francisco/Bay Area Center for the Amgen Biotech Experience, a
program that provides professional development, curriculum, and materials for Bay Area teachers to teach
biotechnology. She also is in her fifth year directing a series of projects to develop hands-on, informal science
programs for middle and high school students in Saudi Arabia, including delivering professional development
for teachers from Saudi Arabia delivered both at the Lawrence Hall of Science and in Saudi Arabia.
Ph.D. Lisa Martin-Hansen / California State University, Long Beach
Lisa Martin-Hansen is Professor and Department Chair of Science
Education at the California State University, Long Beach in Long
Beach, California. She is the past-president of the Association for
Science Teacher Education and a recent plenary speaker on creativity
and science education at KASE (Korean Association for Science
Education, 2015). She has a bachelor’s degree in elementary/middle
school education, with a major in earth sciences. Her Master’s
Degree and Ph.D. were in science education. Her teaching certification
included: primary grades, all subject areas; primary and middle
school science; middle school all subject areas (history, science, math,
language arts); secondary (U.S. grades 7-12) earth science, physical science, and general science. Her Ph.D.
research was in the development of future teachers’ abilities and understandings regarding inquiry instruction
in the science classroom. Lisa taught for eight years at the elementary level (grades, 4, 5, 6) and four years at
the middle school level. While teaching middle school, Lisa participated in the SEPUP field study of Science
and life Issues (now called Issues and Life Science) trying out lessons and providing feedback to SEPUP
regarding how well the students were able to do the lessons and with suggestions for modification to improve
the lessons. In her college career, Lisa taught at Drake University, Georgia State University, and now at
California State University, Long Beach (3 years) and still provides professional development for teachers using
SEPUP curriculum. Lisa currently is the PI of a California Math and Science Partnership grant with the
Norwalk – La Mirada Unified School District and her team works with 100 primary and middle school teachers
focusing upon development of science content and pedagogy.
Ph.D. Masakata OGAWA / Professor, Tokyo University of Science
(Professor Emeritus, Kobe University) , Doctor of Agriculture(Kyoto
University)
Past Professional Experiences:
Ibaraki University, Hiroshima University, & Kobe University
President, East-Asian Association for Science Education (2007-2009)
President, Japan Society for Science Education (2004-2008)
Awards:
JSSE ‘Distinguished Contributions through Research’ Award (2003)
EASE Distinguished Contributions through Research Award (2013)
JSSE Otsuka Award (2013)
小川 正賢(おがわ まさかた)
東京理科大学大学院科学教育研究科教授(神戸大学名誉教授)
、京都大学農学博士
職歴
:茨城大学助教授,広島大学教授,神戸大学教授
主な役職 :日本科学教育学会会長(2004-2008)
東アジア科学教育学会会長(2007-2009)
受賞
:日本科学教育学会 学術賞(2003)
,大塚賞(2013)
東アジア科学教育学会 学術貢献賞(2013)
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