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星の色について

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星の色について
08
星の色について
スターキッズ 那須真良樹(中2)・那須範奈(中1)・那須奈緒美(小5)
1 はじめに
西はりま天文台の観望会で見た星々は赤、白、オレンジなどいろいろな色で輝いていた。特に惑星
は太陽の同じ光を受けているのに違う色をしていた。その理由について知りたくなり、調べてみた。
2 研究内容
・光の三原色の基礎実験 & 西はりま天文台での観測
テレビの画面を虫眼鏡で観察した。すると全ての色が赤・緑・青の3色にわかれていたので、色はこ
れら3色で作られることがわかった。惑星の色も同じように赤・緑・青の3色で作られていると考え、
西はりま天文台の望遠鏡を使って、2006年3月15日には火星・木星・土星と明るい1等星を、2006年8月
15日には天王星・海王星・冥王星を測光観測した。また土星の再観測を2007年1月17日に実施した。3
月と1月の観測では西はりま天文台の7.6cm屈折望遠鏡を、8月の観測では60cm望遠鏡を使用し、SBIG社
のST-9(CCDカメラ)を取り付けて観測した。観測ログは表1のとおりである。
20 06/ 3/ 15 ( 曇が多い)
2 006 /8 /15 (快晴)
7.6cm屈折望遠鏡
60cm反射望遠鏡
B.V.R標準測光フィルター
B.V.R標準測光フィルター
(SBIG)ST-9 CCDカメラ -15℃ (SBIG)ST-9 CCDカメラ -5℃
フィルター 観測時間 (J ST) 露光時間[S] フレーム数 高度 天体名 フィルター 観測時間 (J ST) 露光時間[S] フレーム数 高度
Uranus
r
24:33
2
1
45度
r
21:01
1
2
40度
v
24:37
5
1
v
21:05
2
2
b
24:23
10
1
b
21:10
10
4
(HR 8698)
r
24:34
2
1
45度
Saturn
r
24:17
1
2
45度
v
24:36
5
1
v
24:20
2
2
b
24:21
10
1
b
24:23
10
2
Neptune
r
23:49
3
1
40度
Jupiter
r
24:32
1
2
23度
v
23:47
6
1
v
24:30
2
2
b
23:51
18
1
(111 773)
r
23:04
3
1
54度
b
24:28
10
2
v
23:08
6
1
Aldebaran
r
22:22
1
3
20度
b
23:06
18
1
v
22:21
2
3
Pluto
r
21:28
180
1
36度
b
22:02
10
3
v
21:23
180
1
Arcturus
r
24:51
1
2
58度
b
21:40
300
2
v
24:49
2
2
(109 949)
r
22:07
180
1
47度
b
24:46
10
2
v
22:11
180
1
Betelgeuse
r
21:51
1
2
35度
b
22:58
300
1
v
21:54
2
2
b
21:57
10
2
Capella
r
24:36
1
3
17度
v
24:37
2
2
b
24:39
10
2
Sirius
r
21:26
1
4
30度
v
21:31
2
3
b
21:42
10
3
天体名
Mars
2 007 /1 /1 7 ( 晴れ)
7.6cm屈折望遠鏡
B.V.R標準測光フィルター
(SBIG)ST-9 CCDカメラ -20℃
天体名
Regulus
Saturn
フ ィルター
r
v
b
r
v
b
観測時間 ( J S T) 露光時間[S] フレーム数 高度
25:41
2
5
65度
25:38
4
5
25:32
6
5
25:21
2
5
68度
25:23
4
5
25:29
6
5
表1 観測ログ
図1(例:天王星)
• 測光方法
• 比較星の選び方
すばる画像解析ソフト「Makali`i(マカ
リィ)」の「測光」機能を使用した。惑星は非
常に明るい天体であるため、露出過剰(サチュ
レート)しないようにピントをずらして撮影し
ている。そのため天体の恒星径は、天体の全て
の光成分が含まれるように調整して測光した。
内側の円内が測光した天体の領域で、外側の2
重円の間がスカイ領域である(図1)。
惑星の等級を調べるための比較星は次のポイ
ントをふまえて決めた。
・ 明るさが精密に測定されている星
・ 撮影時の高度が同じくらいの星
・ 観測した時間帯が近い星
・ 見た目の色が似ている星
・ 明るさが近い星
表2
惑星
Mars
Jupiter
Saturn
Uranus
Neptune
Pluto
比較星
比較星のV等級
Betelgeuse
V=0.50
Aldebaran
V=0.86
Arcturus
V=-0.05
HR 8698
V=3.74
(Landolt) 111 773 V=8.963
(Landolt) 109 949 V=12.828
それぞれの惑星の比較星は表2のとおりである。
カタログ
Catalogue of the Brightest Stars (Ochsenbein+
Catalogue of the Brightest Stars (Ochsenbein+
Catalogue of the Brightest Stars (Ochsenbein+
Catalogue of the Brightest Stars (Ochsenbein+
UBVRI Photometric Standards (Landolt 1992)
UBVRI Photometric Standards (Landolt 1992)
1988)
1988)
1988)
1988)
3 結果
測定した惑星の赤・緑・青の明るさの割合を円グラフにしたものを図2(図3は土星)に示す。観望会
で見た火星の色は赤色で、木星は茶色で、土星は黄色をしていた。観測データを元に3色のセロハンを
使って惑星の色を再現して確かめてみた(図4)。
図2 各惑星の赤・緑・青の明る
さの割合
火星はなゆた望遠鏡で見たとおりに赤色に見え
たが、木星と土星は望遠鏡で見た色とは違う色に
なった。特に土星は実際に目で見た色とは大きく
異なる結果が出たので、土星が観測できる2007
年1月17日に再観測をした。その結果、2006年3
月15日の結果に比べて、赤色の割合が大きくなっ
た。また、天王星・海王星・冥王星に関しては、
まだ実際に目で見たことがないので、なゆた望遠
鏡で観望して色を確かめてみたい。
図3 土星の色の割合
2006年3月15日に比べて2007年1月17日の観測
では赤色の割合が大きくなった。
図4 惑星の色を再現 (例:火星)
観測データを使って計算した角度に3色のセロハンを切り取
り、丸い透明な板に貼った。そして市販のミニ扇風機のモー
ターの部分にその板を取り付け後ろから光を照らしてみた。
図5は恒星と惑星の色の関係を示したグラフである。
横軸は赤/緑、縦軸は緑/青の明るさの比を表してい
る。惑星の値は今回測定したもので、恒星の値は表2
のカタログから引用した。この図からも土星の赤色の
割合が増えたことが見て取れる。
4 考察
図5のグラフを見て、恒星がきれいに
並んでいるのに惑星はちらばっているの
に驚いた。これは恒星は自分で光ってる
のに対して、惑星は太陽の光を反射して
輝いていることに原因があるのかもしれ
ない。
またエラーバーを見てみると、木星と
土星がかなり信頼性が低いことが見て取
れる。これは観測した3月15日の天候が
曇りであったことが第一の原因と考えら
れる。木星についても再観測の必要性が
ある。
今後はこの木星の再観測とともに、天
王星・海王星・冥王星を実際に目で見て
色を確かめたい。また今回は赤・緑・青
の3色で調査したが、光をもっとたくさ
んの色にわける分光観測に挑戦して、よ
り詳しく惑星の色について研究していき
たい。
謝辞
図5 恒星と惑星の色の関係
西はりま天文台の内藤研究員、坂元研究員をはじめスタッフのみなさんには観測の手伝いや研究の助言
をしていただきました。この場を借りて、お礼申し上げます。
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