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目的解決型のIT統合基盤技術研究開発 の実現に向けた
資料4 情報科学技術委員会 (第74回)H24.2.24 平成23年度文部科学省委託研究 「目的解決型のIT統合基盤技術研究開発 の実現に向けたフィージビリティスタディ」 検討概要報告 代表:国立情報学研究所 2012年2月24日 1 目次 はじめに 国内外の調査 IT統合基盤に関わる一般的研究項目の洗い出し 国内外の研究プロジェクトのキーワード EUの動向 米国の動向 国内外の研究状況のまとめ フィージビリティスタディ(FS)にて検討した基盤技術 スマート除排雪/災害時緊急対応IT基盤 次世代ITS向けIT統合基盤技術 防災の観点から見たIT統合基盤技術 省エネルギーの観点から見たIT基盤技術 IT統合基盤技術におけるチャレンジ技術 チャレンジ技術の位置づけ FSにて検討したチャレンジ技術 国として行うべきIT統合基盤技術研究の提案 2 はじめに 社会の効率化・安心安全化・エコなどに関わる実世界の様々なシステムが、ITとの密 な連携によって高度化され、生産性向上、防災・減災、省エネルギー、環境負荷の軽 減などに貢献する時代がやってくると期待される。 この実現のためには、実世界のシステムがITの力によって得る効用を具体化するとと もに、様々な応用のために共通的に使える基盤技術として定着させることが重要であ る。 欧米では、コンピュータを組み込んだ物理システムがネットワークを介してITシステ ムと連携することで、物理システムの効率的な制御に役立てるというパラダイムが提 唱され、CPSあるいはEmbedded Systems Designとして研究活動が実施されている。 またデータ分析から新たな発見や価値創造を目指すデータ・サイエンス、ビッグデー タなども科学やビジネスにおける新たなフロンティアとして注目されている。 以上のような背景のもと、これまでのアプローチでは解決が困難な社会システムにお ける大きな課題、新たな課題を解決することをねらいとする、実世界システムと連携 した「IT統合基盤」の研究開発を検討する。 この検討では、その活用による効用と基盤技術の深化と具体構築を同時並行的に示 していくことを特徴とする。 3 IT統合基盤に関わる研究項目の洗い出し 1. データの獲得・収集 2. データの蓄積 3. 巨大データ対応のためのデータ処理基盤技術 セキュリティとプライバシー データ共有化技術 ソフトウェア基盤とソフトウェア連携 分析 4. 革新的センサー技術 センサーネットワーク 先行して普及しているセンサー群の活用 SNS等のインターネットサービスからの情報収集技術 本フィージビリティスタディにて、 参加研究者に幅広く研究項目の 洗い出しを求め、その結果を取り まとめたもの システムのモデル化の基礎理論 複数パラメータに対する最適モデル 機械学習とデータマイニング リアルタイム処理 人の行動や社会等へのフィードバック、新しい価値の創出 リアルタイム処理によるフィードバック 可視化とシミュレーション 4 国内外の研究プロジェクトのキーワード 収集・獲得 海外 日本 蓄積 分析 フィードバック ・スマートメータ ・各種組込システム ・モバイル位置情報センシング (スマートフォン) ・小型飛行体による環境モニ タリング ・大規模ストリーム・ データ管理検索 ・サイバネティックス的 アプローチ ・マイニング(データ/テ キスト/ストリーム) 地理統計分析 ・スマートグリッド ・スマートシティ ・ヘルスケア ・CPSフラワー ・プローブカー ・温室の環境情報、生体情報 ・スマートメータ ・身体情報 ・ICタグ ・ビジュアルセンサ ・モバイル位置情報センシング (スマートフォン) ストリーム管理検索の 研究開発に遅れ(実働 システムの開発にはさ らに大きな遅れ) アルゴリズム研究は競 い合っているが、大規 模実世界データへの適 用研究は少ない ・インターナビ ・農匠ナビ ・スマートグリッド ・スマートシティ ・ヘルスケア ・ネットワークロボット 5 国外調査概要1 EUの動向(Horizon 2020) EUの2014〜2020年の研究計画 総額800億ユーロ(先端的基礎研究:246億€、産業振興:179億€、 社会システム構築:317億€) 社会システム構築 EU policy objectives (気候、環境、エネルギー、運輸(ITS))に沿った研究開発 様々な専門領域研究、異種データなどを用いたブレークスルーを目指す テスト、社会実装、デモ、スケールアップ 研究テーマ Health, demographic change & wellbeing (80億€) e‐health, self management of health, improved diagnostics, improved surveillance, health data collection, active ageing, assisted living Secure, clean and efficient energy (58億€) Smart cities, Energy efficient buildings, smart electricity grids, smart metering Smart, green and integrated transport (68億€) Smart transport equipment, infrastructures and services, innovative transport management systems, safety aspects Climate action, resource efficiency and raw materials (32億€) ICT for increased resource efficiency, earth observation and monitoring Inclusive, innovative and secure societies (38億€) Digital inclusion, social innovation platforms, e‐government services, e‐skills and e‐learning, e‐culture, cyber security, ensuring privacy and protection of human rights on‐line 6 国外調査2 米国の動向(Cyber Physical Systems) 米国のIT分野の4つの国家戦略:Network and Information Technology (NIT) System Connected with the Physical World、Software、Digital Data、Networking NITRD(The Networking and Information Technology R&D)計画の推進 NSF:Cyber Physical Systems研究 7 国外調査3 米国の動向(CPS-PI会議) NSFのCyber Physical Systems研究: 2009年開始:大規模組み込みシステム,ヘルスケア,エネルギー削減,スマートグリッド,スマ ートシティ,高度ITSなどに関する研究に年間約25億円程度投資 交通流データやエネルギーデータなど一般的なセンシングデータを利活用した研究が多い 複数のセンシング情報を使って多角的に社会全体の最適設計を行ったり、センシング情報の変化 に伴いリアルタイムに制御するといったレベルには至っていない。 欧州FP7のCPS研究や中国の「Internet of Things」の研究開発は、米国のCPS研究より都市のスマ ート化やエネルギー削減などにターゲットが向けられている NSF新規企画プロジェクト:「Pervasive Computing at Scale」、「Cloud Computing」など 膨大なセンシング情報を収集・蓄積・分析し、社会の最適設計を目指した研究が注目 日本では、プローブカー情報や各街区の気象データ、エネルギー情報、災害予測情報など、先進的なセ ンシング情報を多角的に利活用できる社会基盤がある。 スマートフォンやカーナビなどを利活用し、新しい産業や 情報システム、公共サービスが構築可能? 8 国内外の研究状況のまとめ 欧米のCPS研究では、膨大なセンシング情報を使った社会の最適設計に関連 する研究も注目されているが、現状、交通流データやエネルギーデータとい った単一的センシングデータに基づく研究が多い。 産業界においても、各所で生成される膨大なデータ(BigData)を解析するこ とにより、社会システムの効率化や企業の生産性向上に多大な貢献が期待で きるとの期待感が示され注目が集まっている。 特定の応用ドメインでは、センシングデータや蓄積したBigDataの解析が行わ れ、そのためのツールも提供されつつあるが、異種・複数のセンシング情報 を使って多角的に社会システムの最適化を図ったり、そこでの状況変化に対 してリアルタイムな制御によって精度を上げるといった点は未着手であり、 これは世界的に今後の課題と考えられる。 一方、日本では、プローブカー情報や各街区の気象データ、エネルギー情報 、災害予測情報など、他国にあまり存在しない先進的なセンシング情報を利 活用できる社会基盤があり、複数のセンシング情報をもとに社会全体をスマ ートに機能させるための機構設計や、そのリアルタイム性や精度を向上する ための解析技術について検討することにより、日本発の革新的なIT基盤技術 の構築が期待される。 9 フィージビリティスタディ(FS)にて検討した基盤技術 本FSでは、四つの具体的な目的(①除排雪、②ITS、③防災、④省電 力、以下「FS項目」と言う)を設定し予備的実証研究を行うことにより、 前掲の一般的研究項目がどのように関わるかを検証するとともに、 今後注力すべきチャレンジ技術を探った。 FS研究項目 ①除排雪 収集・獲得 蓄積 分析 フィードバック ・人や車両の行動センシング ・降雪・積雪・気温・湿度のセ ンシング ・苦情センシング ・除排雪センシング ・除排雪計画/道路情報 との統合 ・左記過去データの統 合管理検索 ・降雪/除排雪の交通へ の影響の定量分析可視 化 ・オープン・スマート・ フェデレーション・アーキ テクチャ ・既存分析可視化ツー ルの部品化技術 ・SNSを介した市民参加 と行動誘導 ・除排雪制御 ・人や車両の行動センシング ・地理情報との統合 ・人や車の行動分析、 CO2削減、プライバシー 保護 ・信号制御 ・都市センシング ・P2Pベースのセンサ データ拠点統合 ・都市シミュレーション ・ソーシャルコミニュケー ション支援 ・ビジュアルセンサー ・エネルギー消費センサ ・ICカード情報(個人属性等) ・クラウドによる複数セ ンシング情報共有 ・センシングデータ表現 のXMLスキーマ ・人物,車両移動モデリ ング ・電力消費モデリング ・人物の行動パターン 見える化 ・電力の個人消費の見 える化 ②ITS ③防災 ④省エネ 10 FS研究項目① スマート除排雪/災害時緊急対応IT基盤 日常業務:スマート除排雪(CO2削減) ユーザによるアプリケー サイバーフィジカル知 非常事態:災害時緊急対応 ションの即興的構築と適用 識処理オープン・ライ 計画的業務と臨機応変な対応の融合 オープン・スマート・フェデレーション・アーキテクチャ ブラリの充実 多様な既存 分析・可視 化ツールと GISの部品 化技術 (ジェネリッ ク・ラッ パー) →大規模 ツールライ ブラリ 高度な知識発 見技術 Do 分析/シミュレーション モニタリング /記録 Plan 計画/仮説 サイバー世界 (コンピュータ内の世界) クラウド・システム 過去データの データベース 大規模データ ウェアハウス の連携統合) 多様な除排雪関連過去データの収集と 実時間データ取得の目処(乗用車・タク シーのプローブカー・データ,気象セン サーデータ,地下鉄乗降データ,除排雪 記録,苦情電話記録) Act 施策/制御/誘導 制御/誘導 フィジカル世界(実世界) センサ・ネットワーク インタラクティブ情報可 視化と分析・推論の連 携統合 複数パラメータ・モデリ ング⇔分析・可視化 Check 可視化/意思決定支援 マルチストリーム 管理検索 知識メディア技術に基 づく即興的フェデレー ション(サービス/ツール 可視化+クラスタリングの例 SNSを介した 市民参加 位置情報付き SNSサービス (twitter/ Ushahidi等)の 部品化 降雪の影響による道路セグメントのクラス タリング分析(プローブカーデータ利用)11 FS研究項目② 次世代ITS向けIT統合基盤技術 プローブカー情報 大規模時系列 データの リアルタイム・ マイニング手法 複数のセンシング 情報をもとにした 社会全体の最適化 地理情報との統合 都市の環境情報、 人や車両の行動 センシング情報 人や車両の行動 分析・推論・ リアルタイム解析 Node i 人や車の行動分析 Node j 実インフラ・ 端末へのフィ ードバック 次世代ITS, CO2削減 複数大規模センサー情報を 活用したIT基盤技術の開発、知 財化、デファクトスタンダード化、 新しい産業の創出 プローブカー情報 気象データ 大規模時系列データの可視化 行動効率化 環境改善 スマートフォン ナビゲーション Node k 都市のスマート化、 渋滞緩和、事故防止、 公共交通の利便性向上 次世代 信号制御 12 FS研究項目③ 防災の観点から見たIT統合基盤技術 研究課題 > 複数機関が持つ様々な異種データを用いた社会最適性の評価指標構築 > スマートフォンやカーナビ等の情報伝達機器を考慮した災害時の行動モデル構築(社会行動モデル) > 災害時の行動モデルの可視化技術や災害医療支援モデルの構築 > リアルタイム行動ナビゲーション技術や行動分析・推論のためのシミュレーション技術の開発 IT統合基盤技術 応用分野 複数機関が持つ異種データの活用 移動履歴情報 浸水予想マップ 災害に強い社会システム 気象データ プローブカー情報 小型センサ・AR技術・シミュレーション技術の開発 ç AR技術応用 都市シミュレーション ¾ ¾ ¾ ¾ 災害情報の実時間配信・収集 災害・異常気象の早期通知・誘導 地震発生時の避難・帰宅難民対策 防災計画立案支援 災害・医療支援 ¾ ¾ ¾ ¾ SNSを介した災害・医療支援 災害・医療支援小型センサー 災害・医療シミュレーション レスキュー隊員の状況監視 スマートフォンやカーナビの利活用 13 災害医療支援 FS研究項目④ 省エネルギーの観点から見たIT基盤技術 社会最適性(省エネ,環境負荷 減少)と個人快適性の調和 ・電力の個人消費 ・エネルギー利用の適応的制御 等の見える化 ・電力器機制御 ・超分散型ナノグリッド構築技術 ・人物行動モデリング ・環境モデリング ・社会状況モデリング ・エネルギー消費・生成モデリング エネルギー消費・生成の詳細推定 ・モデル生成,データマイニング ・ビジュアルセンサ 実時間実世界マルチセンシング ・エネルギー消費センサ ・個人行動,環境情報,社会状況 ・環境センサ ・プライバシー保護の適応的制御 ・Web/マイクロブログ/SNS Train delay This event is exciting! Lack of kindergarten This burger is delicious Go Ichiro! Where is a nice restaurant ? ソフトウェア基盤 ・超分散型ナノグリッド構築のためモデリング手法 ・分散システム開発基盤(オープン化基盤) 超分散型ナノグリッド構築のための情報インフラ ・ICカード・スマートフォン情報インフラ ・大規模センサーネットワークのための無線インフラ • • • 個人レベルまで含めた詳細なエネルギー消費/生成の状況を観測・予測し,社会システムとして の最適化と個人とっての快適性を調和させる技術を構築 • エネルギー利用の個人化が省エネルギーには不可欠(=超分散型ナノグリッド技術) 上述のための様々なセンサを利用した実時間実世界(個人,環境,社会)分散センシング技術 それを支える統合的IT基盤として,プライバシー保護の適応的制御,ナノグリッドモデリング技術, 14 分散システム開発基盤,大規模センサーネットワークのための無線インフラ等 14 IT統合基盤技術におけるチャレンジ技術 本FSの過程で、今後注力すべき研究領域として次のよう な共通技術を重視すべきと考えるに至った。 複数パラメータを含む系の最適モデル 省電力、生産性、人の移動など複数のパラメータを考慮した複雑な系の最適化を目指すアプロ ーチ リアルタイム性 データの収集分析の結果を人やシステムにリアルタイムにフィードバックする それに伴う大規模システム技術や解析精度の向上 データ解析とソフトウェア基盤技術 ソフトウェア連携のためのフェデレーション技術、セキュリティ/プライバシー保護技術、知的 制御技術など データ解析(統計解析・マイニング等)・推論機能と結果の可視化機能、意思決定支援機能との 有機的統合 オープン・アーキテクチャに基づく既存分析ツールや可視化ツールの部品化・再利用とそれら の自在な連携統合 BigData(実時間データストリームと過去データ)に対する管理・検索・処理技術 データ基盤技術 センサーデータやインターネット情報のリアルタイム処理のための高性能蓄積基盤、インター クラウド技術など 15 チャレンジ技術の位置づけ 4. フィードバック 目的解決、価値形成、制御(action) 様々な社会活動 リアルタイム性 3. データの解析 目的に対応した データ解析・ 共有知形成 ソフトウェア基盤技 術 複数パラメータのモデル ドメイン知 1. データの獲得・収集 データ基盤技術 2. データの蓄積 16 FSにて検討したチャレンジ技術 FS研究項目 複数パラメータ リアルタイム性 SW基盤 データ基盤 ・社会基盤CPSのモデリング・ 分析 ・大規模組み合わせ制約・最 適化問題の高速低容量アル ゴリズム ・マルチモーダル・リアルタイム 可視化技術 ・多元的大規模実世界データの 実時間前処理変換技術 ・マルチストリームデータ実時間 圧縮と非解凍アクセス/マイニン グ ・大規模半構造データ知識マイ ニングと実時間データへの適用 ・再利用可能大規模ツール・ サービスライブラリ ・即興的フェデレーションフ レームワーク ・位置情報付加SNSサービ スを介した市民情報実時間 取得 ・ ク ラ ウ ド ベ ー ス 大 規 模 CP データウェアハウス ・クラウドベース・マルチスト リーム管理検索技術 ・インタラクティブ情報可視化 と分析・推論の有機的連携 統合 ②ITS ・社会全体の最適化を考慮し た都市モデルの構築技術 ・人や車両の行動分析・推論・ シミュレーション技術 ・プローブカー情報など大規模 時系列データのリアルタイム・マ イニング技術 ・大規模データの可視化ツー ル ・バスや荷物搬送車の効率 的な運行 ・クラウドソーシングなど新し い形態による次世代ITS情 報の収集・伝搬・マイニング 技術 ③防災 ・プローブカー情報・都市歩行 流と各街区のセンシング情報 の連携(避難、異常気象対策 など) ・災害情報の効率的な伝達技術 ・センサーデバイス間の高効率・ 高信頼な情報伝搬 ・スマートフォンやセンサー、 ICカードなどを活用した歩行 者の行動推定・行動ナビ ゲーション ・避難計画立案、減災に資 するセンサー情報の活用 ・詳細なエネルギー消費/生 成の観測・予測に基づく,社会 システムの最適化(省エネ)と 個人の快適性の調和 ・エネルギー生成・消費推定の ための詳細な個人行動/環境 /社会状況(物理センシング, 論理センシング) ・超分散型ナノグリッド構築 のためのモデリング手法と 分散システム開発基盤 (オープン化技術) ・プライバシー制御機構 ・超分散型ナノグリッド構築 のための情報インフラ ・ICカード/スマートフォン情 報インフラ ・大規模センサネットワーク のための無線インフラ ①除排雪 ④省エネ 17 国として行うべきIT統合基盤技術研究の提案 (1) IT技術として以下のような特性を持つもの データを中心にした価値創成に資する基盤技術 大量データの効率的処理 複数パラメータに対応したシステム技術 特性の異なる複数のデータ流を融合することによる新たな 価値創成、知識発見 リアルタイムなフィードバック技術 センサー等からリアルタイムに現況をモニターし、情報をフ ィードバックする技術 人間の行動や社会活動に対する制御の新手法 研究提案時に、既に対象とするデータの確保の 目処が立っているプロジェクトであること 18 国として行うべきIT統合基盤技術研究の提案 (2) 社会的な価値創成の可能性の高い目標を設定し ており、そのために必要な基盤的な技術開発を 行おうとするもの 公共性のあるものなど、民間だけでは対応しにくいもの。 普及のための制度設計が必要であればその検討も含む。 普及に際しての経済的な妥当性を持つ提案であること。 実用化に向けた関係者との連携を適切に行う計 画と体制を有し、実用化に向けてのニーズを常 に技術開発にフィードバックする仕組みが構築 されているもの。 19 国として行うべきIT統合基盤技術研究の提案 (3) プロジェクトの終了後、IT基盤技術として実用化に速やかに移れる もの。 複数のIT基盤技術の高度化と統合化を含むもの 出口の設定 具体的な応用目標の実現を目指すだけではなく、IT統合基盤とし て画期的な成果を複数実現することを優先するものであること。 プロジェクトは、IT共通基盤の実用化を目的とするものであり、研 究期間の前半は、複数のプロジェクトによる個別技術の開発を主体 とした研究を行い(ただし重複した研究は排除)、中間評価により プロジェクトの統合などを行い、後半は共通基盤技術として連携し て研究取り纏めを行うような進め方をする。 20 国として行うべきIT統合基盤技術研究の提案 (4) 期間 5年間 経費 初年度 約2.5億円 研究プロジェクトの構成案 代表機関を置き、全体を調整する機能を持つ。 複数のサブプロジェクトを擁する形とし、初年度は例えば5 プロジェクト程度を並行して競争的に実施する。 サブプロジェクト間での連携を強固なものとし、重複した研 究を除外する。 特に、データ共有等の連携を図る。 2年半後に中間評価を実施する。必要に応じ、プロジ ェクトの構成の変更を求め得る。後半は、実用化を 目指すIT共通基盤技術の取りまとめを最重点とする。 21