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(株)島津総合サービス オシロスコープ ssrOs1 の組み立て、調整
a007 (株)島津総合サービス オシロスコープ ssrOs1 の組み立て、調整 目次 1.まえがき ................................................................................................................................................... 2 2.仕様 .......................................................................................................................................................... 3 3.回路図....................................................................................................................................................... 3 4.部品表....................................................................................................................................................... 4 5.準備 .......................................................................................................................................................... 6 5.1 PC 側の準備 ......................................................................................................................................... 6 5.2 部品として標準で入っていない物と工具類の準備............................................................................ 7 5.3 部品の仕分け ...................................................................................................................................... 7 6.ハンダ付のやり方 .................................................................................................................................. 10 6.1 一般的なやり方 ................................................................................................................................ 10 6.2 プリント板への部品のハンダ付 ....................................................................................................... 10 7.プリント板の組み立て ........................................................................................................................... 11 7.1 PIC16F88 の周辺回路の組み立てとチェック.................................................................................... 11 7.1.1 組み立て ....................................................................................................................................... 11 7.1.2 チェック .................................................................................................................................... 13 7.1.3 トラブルシューティング .......................................................................................................... 14 7.2 USB インターフェイス CP2102 周辺の組み立て ........................................................................... 15 7.2.1 組み立て .................................................................................................................................... 15 7.2.2 USB ドライバのインストール .................................................................................................... 15 7.2.3 Port の設定----CP2102 の動作確認 .......................................................................................... 16 7.2.4 PIC と PC のデータの送受信の確認 ........................................................................................... 17 7.3 アナログ部----総合テスト .............................................................................................................. 18 7.3.1 組み立て .................................................................................................................................... 18 7.3.2 1対1(1:1)プローブの製作 ................................................................................................... 19 7.3.3 動作確認とノイズチェック ....................................................................................................... 20 7.3.4 時間軸のチェック ..................................................................................................................... 22 8.ケースの塗装と製品メイバン(シール)の貼り付け ........................................................................... 22 9.追加機能、追加回路............................................................................................................................... 22 9.1 パワースイッチ ................................................................................................................................ 23 9.2 外部トリガ入力 ................................................................................................................................ 23 9.3 J2 端子と他の機能追加..................................................................................................................... 23 9.4 ケースのアース(接地)について---ノイズの改善と保安アース.................................................. 24 10.トラブルシューティング.................................................................................................................... 26 10.1 問題/対処表 .................................................................................................................................. 26 10.2 部品を誤って取り付けた場合の修正(ハンダの盛り過ぎは 11.お問い合わせ等 ③を参照) ................................... 27 参考情報 ................................................................................................................ 28 1 1.まえがき オシロスコープは電圧の時間変化を画面で見て、様々な現象やトラブルの解析に役立てるもので、電気、 電子、通信などの分野ではなくてはならないものです。 これに関して、オシロスコープとはどんなもの なのか、PC で実現する方法、対象とする皆様のレベルなどに関する紹介は別紙「紹介と概略」をご覧くだ さい。 一部このテキストと重複をしますが、ご容赦ください。 完成した ADunit 及びプリント板、ケースの組み立ては図のようになります。 ただしケースは塗装されていませんので、皆さまにお好きな色で塗装していただきたくお願いします。 塗装の方法について8節でヒント等を解説します。 また、ケースの材質はアルミニュームですので、そ のままで良ければ特に塗装をしなくても問題ありません。 また PC 上の画面は図のようになります。 2 2.仕様 AD Unit PIC フォトカップラ A/D USB PC --- CPU サンプリング周波数:最大 40kHz (25μS) 入力電圧レンジ:50mV~20V AC,DC 注:20V を超える場合は外部のプローブで分圧。 入力インピーダンス:1MΩ 校正用基準電圧出力:1.85V ±1% PC との絶縁:フォトカップラ 分解能:1% 誤差:2%以内 トリガー:内部トリガー(レベル設定) 、外部トリガー(接点信号) データの記録、再生:任意設定ファイル 連続 100 個自動記録 特殊機能:測定期間中の最大値と最小値を表示 使用 PIC:Microchip Technology PIC16F88 PIC プログラム:MPLAB アセンブラ(Web 上公開) 電源:USB 経由で PC より供給 75mA PC 側の条件:Windows ネットワークに接続できる事 XP 以降 プログラム:VB2010(Web 上公開) 3.回路図 回路図は、図の通りですが、この画面上では小さすぎますので、ここ(回路図)をクリックください。 Adobe Reader が動き、そこで図の回転、拡大、印刷などが可能です。 以下組み立てには回路図を見ながら進める事を基本にしています。 3 A4 一杯にプリントしておいてください。 簡単な回路動作説明 入力電圧はまず 1/10 に分圧され、OP アンプで 1.5 倍、15 倍、150 倍のいずれかの倍率でフルスケール 値に対する出力が±3V とされます。 2段目の OP アンプでその入力と基準電圧 3.7V の電圧を 1/2 づつ 加える形として、結果として PIC の AD 入力としては 0.35V~3.35V の電圧が入力されます。 この基 準電圧は、基準電圧ユニット LM385 の 1.235V を 3 倍増幅し 3.705V とし、PIC の Vref 端子に入力してい ます。 PIC は Microchip Technology PIC16F88 で 10 ビットの A/D 変換器内蔵、4kのプログラムメモ リー、368 バイトデータメモリ、256 バイト EEPROM というものです。 これにシリアル出力があるので、 これをフォトカップラで電気/光変換して ADunit と PC を電気的に分けています。 それをしないと測 定する入力は PC と直接つながり、危険な場合があります。 PC へは USB 変換 IC から USB ケーブルで送 りますが、PC 側のポートはシリアルポートとして利用します。 詳細解説は別冊(別ファイル) 「オシロスコープ ssrOS1 技術解説」を参照ください。 4.部品表 部品は表の通りです。 なおこの中で番号1~5までは、すでにプリント板に実装されております。 プリント板に実装する部品については 5.3 節で確認しながら仕分けする方法をご説明します。 品名 番号 品番 数量 部品番号 備考 1 ケース上 1 2 ケース下 1 3 ネジ M3 ナベ 4 4 ネジ M3 トラス 4 5 銘板 1 6 プリント板 1 7 アナログ・スイッチ ADG621BRMZ 1 U1 実装済み 8 USB-シリアル変換チップ CP2102 1 U6 〃 9 miniUSB コネクタ CU0416SD 1 J3 〃 10 チップ・インダクタ MMZ2012Y202B 2 L1,L2 〃 11 セラミック・コンデンサ(1608) 4.7uF 5 C6,C11,C12,C13,C15 〃 12 PICマイコン PIC16F88-I/P 1 U2 13 ICソケット(18ピン) 18P 1 14 オペアンプ OP07DP 3 15 ICソケット(8ピン) 8P 3 16 フォトカップラ TLP521-1 2 U8,U7 17 DC-DCコンバータ VASD1-S5-D5-SIP 1 U9 18 セラミック発振子 CSTLS20M0X53 1 Y1 19 基準電圧 1.24V LM385 1 D1 20 DC ジャック DCJACK 1 J1 4 U3,U4,U5 21 10ピン。ヘッダ CON10 1 J2 22 LEDランプ(5φ) LED 1 LED1 23 1/4W 金属皮膜抵抗 22 2 R23,R24 24 1/4W 金属皮膜抵抗 300 1 R8 25 1/4W 金属皮膜抵抗 510 1 R28 26 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 510_F 2 R6,R3 27 1/4W 金属皮膜抵抗 1K 1 R21 28 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 1K_F 4 R11,R15,R16,R19 29 1/4W 金属皮膜抵抗 2K 4 R12,R20,R25,R26 30 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 2K_F 1 R22 31 1/4W 金属皮膜抵抗 4.7K 1 R1 32 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 5.1K_F 1 R5 33 1/4W 金属皮膜抵抗 10K 2 R14,R18 34 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 10K_F 2 R13,R10 35 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 13K_F 1 R2 36 1/4W 金属皮膜抵抗 20K 1 R17 37 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 100K_F 1 R9 38 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 130K_F 1 R4 39 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 910K_F 1 R7 40 セラミック・コンデンサ 1000pF 1 C1 5mm 41 セラミック・コンデンサ 0.1uF 2 C3,C4 5mm 42 セラミック・コンデンサ 10pF 2 C5,C7 5mm 43 セラミック・コンデンサ 47pF 4 C8,C9,C17,C18 5mm 44 セラミック・コンデンサ 1uF 2 C16,C14 5mm 45 テスト端子(1φスルーホル) 1.86V 1 TST1 46 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 110K_F 1 プローブ用 47 1/4W 1% 金属皮膜抵抗 910K_F 1 〃 48 みのむしクリップ(赤) 1 〃 49 みのむしクリップ(黒) 1 〃 50 DCプラグ 1 〃 51 リード線 0.5sq 赤 1m 1 〃 52 リード線 0.5sq 黒 1m 1 〃 2.1X5.5 注:抵抗はJ級(精度 5%)の代わりに精度が高いF級(1%)が入っている場合があります。 5 5.準備 5.1 PC 側の準備 ハンダ付の作業の前に、まず PC にシステムプログラムを手順でインストールします。 ①システムプログラムを格納するフォルダを PC に用意する。 ②弊社のサイト http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/document.html から PC 側インストー ルプログラム ssrOs1.zip を皆様の PC の適当なフォルダにダウンロードする。 ③ファイルを解凍する。 ssrOs1.zip を右クリック(ダブルクリックで はなく)、図のように「クイック解凍」など 「解凍」のメニューを選ぶ。 図のように Setup が含まれるファイルが解凍される。 ただし、解凍のメニューが出なく、この中に 「すべて展開」のメニューがある場合がある。 この場合はこれを選び、PC からの指示に従い 解凍する。 その他「エクスプローラ」を 選択し、エクスプローラ上の画面左上の 「ファイル」を選び、その中の「すべて展開」 を選び、解凍する方法もある。 ④Setup をダブルクリックし、インストールを 開始し、その後は PC からのコメント等に従い完了させる。 この時、ネットワークにアクセスされる場 合があるので、ネットには接続しておく。 また図のように発行元を確認できないとのコメントが出るが、 インストールをする。 注意:PC の環境、ネットワークの環境によって、インスト ールの時間は数秒から1~2時間と大きく変わります。 また、途中再起動を1,2回求められる事がありますが、 PC からのコメントに従ってください。 ⑤ssrOs1 を起動させる。(通常自動起動する) 図のような画面が現れたら完了。 プログラムは 「Ocilloscope Windows 画面「すべてのプログラム」の中の「Shimadzu Scientific Research」の中の ssrOs1」 となる。 OK を押す 6 5.2 部品として標準で入っていない物と工具類の準備 以下の表が組み立て調整に必要です。 ほとんどは一般の DIY のお店で手に入ります。 必要なもの USB ケーブル A-miniB 備考 タイプ 一般のデジタルカメラ用 注1参照 ハンダごて 20W 以下 大きなハンダごてでは、細かな部分のハンダ付が難し く、20W 程度が適当 ハンダ(1mm 径程度の細い糸状のもの) 最近は鉛を含まないハンダが広まりつつあるが、ハンダ 付は難しく、今回は旧来の鉛入りハンダ(共昌ハンダ) を使用する。 ニッパー 抵抗などのリード線を切るために必要 プラスドライバー ケースの組み立てに使用 セロハンテープ 部品仕分け用、部品の仮留め用に使用 はさみ 部品仕分け用紙の作成 テスター(出来れば) 順調に組立、調整が完了すれば、特に使う場面はないが、 そうではない場合では、不具合箇所を見つけるには必需 になる。 ルーペ(出来れば) 細かな部品が多く、ハンダ付け不良、回路ショートなど プリント板上の状況を目で見るには、拡大して見た方が 良い。 注1: PC と接続する USB ケーブルは付属していません。 これは 「A-ミニ B」タイプと呼ばれる一般的な ケーブルで、殆どのディジタルカメラに使用されており、皆さんが何本も持っておられる可能性も高く、 割愛させていただきました。 もし手持ちになければ電気店などでお買い求めください。 USB miniB コネクタ USB A コネクタ (PC 側) 5.3 部品の仕分け プリント板に乗る部品は多く、特に抵抗が30本ほどあり、値や精度が異なります。 1つでも間違えれば正しく動作しません。 くこと事が重要です。 す。 従ってこの部品を間違いなく、見やすくあらかじめ分けて置 この種の事を段取りといい、工場などで行われる所謂改善活動の中心的な活動で あらかじめ部品を分かり易く分けて皆さんにお届けすれば、問題はないのですが、このあたりの事 を体験していただきたく、あらかじめ仕分ける事をしないでお収めさせていただきました。 値段も安くなります。 勿論その分 色々なやり方ありますが、ここでは1つの例としてご紹介します。 ここで部品名などを印刷した紙(parts.pdf)を使用しますので、()内をクリックし、プリントしてくだ 7 さい。 以下の手順で部品を分け、個数等も確認します。 ①図の部品仕分の pdf ファイルを印刷する ②仕分け用紙を図のように点線に従い折り、 図のようにはさみで切り込を入れて、 点線に従いはさみ を入れて切り取る ここの点線で折り 曲げる Vの切り口を抵抗とコンデンサの種類の個数 だけ作る。 ③図のように切った三画の両側を内側に折り曲げる。 ④図が完成した仕分用紙だが、下にもう一枚固定のため白紙の紙を置き、テープなどで固定すると安定す る。 (推奨) ⑤印刷した抵抗とコンデンサの種類に従って分類し、仕分用紙に図のように置く。 8 一度プリント板にハンダ付した後間違いに気が付いても直すのは簡単ではないので、細心の注意で行っ てください。 テスタなどで確認しながらが無難かもしれません。 抵抗値:抵抗の値はカラーコードとなっており、表を参照。 抵抗値には表示との誤差があり、その許容の程度で級が ある。 一般的に J 級(5%)が多く使われるため、回路 図などで特に指示がない場合は J 級(5%)と解釈する。 ただし今回の回路では、特にアナログ部分で精度を1% に抑えるため F 級(1%)を使用しているので注意。 また、カラーコードに図のように4本帯と5本帯があり、 J 級(5%)が4本帯、F 級(1%)では一般的に5本帯 となっているので、例えば 1kΩでも 1kJ と 1kF では許容差表示色以外も異なる。 今回使用する抵抗のカラーコード一覧 左右の区別がなく、特に F 級は末尾が茶であり、数字の1と区別がなく注意 コンデンサの容量:μF 単位、もしくは pF 単位で図のように表示されており、 通常2桁の 10p や 47p はそのまま表示され、3桁以上は 102 と表示される。 これは 10*102 である。 例えば 1000p は 従って 0.1μF は 100,000p で 104 と表示される。 9 6.ハンダ付のやり方 ハンダは基本的には2つの部品を電気的につなぐのですが、コツをいくつか紹介します。 6.1 一般的なやり方 ①両方を何らかの方法で接触させ、固定する。 例えば電線同士なら捻って固定する。 それに図のようにハンダとコテと接続部を同時につけてハンダを付ける。 ② やり方2 両方にそれぞれ別々にハンダを付ける。 つける方法 は上記のように金属のハンダしたい部分とハンダとコテ を一緒に着けてハンダが金属部に広がるようにする。 ハンダが付いた2つの金属を接触させ、コテだけを触れ て両方のハンダを一緒に溶かしてハンダ付けする。 6.2 プリント板への部品のハンダ付 まず部品のセットが必要ですが、ハンダは通常プリント板の裏から行うため、部品を穴に入れただけで は落ちてしまいます。 そこで下図のように、抵抗などリード線があるものは、折り曲げ、 IC やそのソケットなどのように長いリードのないものは、セロハンテープなどで仮留めをします。 次にハンダ付けをする穴にコテを触れ、やや遅れる(1呼吸)か同時にハンダを穴に付けてハンダが溶け て広がったのを確認してコテとハンダを離します。 プリント板上の穴(ランドと呼びます)はスルー ホールと呼ばれるプリント板の上下を貫通して導体となっていますので、ハンダは表面ににじみ出てきま す。ハンダ付が終わったら、余ったリード線をニッパーで切り落とします。 ハンダが適正に着いている場合は、その表面は 凹 となりますが 、着いていない場合の多くはハンダの表面張力で 凸 となります。 この場合の多くは プリント板上のパターンにハンダごての熱が充 分伝わっておらず、そのパターンにハンダが広がることが出来ずに、 丸く固まったことによります。 これがないようにするには、 ハンダごてをハンダそのものではなく、プリント板の穴に当てて熱を パターンに充分伝えることが必要です。 また、一度団子状態で丸くなってしまったハンダ付に関しては、 吸い取り線や電線の先で一度吸い取ってしまった方が良いです。 これについてや部品のつけ間違いは 「10.2 ③を参照) 」を参照ください。 ハン 部品を誤って取り付けた場合の修正(ハンダの盛り過ぎは ダ付に関しては、場合によってやり方やタイミングを変えた方が良いなど、コツを掴むのに多尐経験が必 要です。 動画を含んでネット上に情報がありますので参考にしてください。 10 コテの注意 今回のように細かな部品のハンダ付けには小さいコテが適しますので20W 以下がお勧めです。 また コテ先の温度が上がり過ぎ、ハンダが球状になりうまく行かないことがあります。 水を含めたスポンジなどにコテ先を漬けて温度を下げる方法もあります。 これを防ぐには時々 これは汚れてしまったコテ先 を磨く意味もあります。 ハンダの話(参考) 一般的な電子回路用のハンダには鉛と錫の共晶ハンダと鉛が含まれない鉛フリー ハンダがあります。 古くから使われていて、素人でも簡単にハンダが可能なのが 共晶ハンダで、直径 2mmほどの糸状に巻かれて一般に販売されています。 この 鉛の有害性が 2000 年頃から問題となり、RoHS 規制と呼ばれる有害物制限が施行 され、昨今の電子機器には鉛が含まれていない亜鉛、錫などをベースとした鉛フリ ーのハンダが使われるようになっています。 しかしこのハンダは素人が扱うのは 難しく、また企業のように大量で使う訳ではなく、その有害の影響を心配するレベ ルには達しないので、ここでは共晶ハンダを使う事を前提にします。 7.プリント板の組み立て もう充分な経験をお持ちの方は、回路図を見ながら、全ての部品をハンダ付して行くのも良いですが、安 心のため尐しづつ動作を確認しながら進めることをお勧めします。 今回は3つの部分に分けます。 ①PIC16F88 の周辺回路----動作は Power ランプで確認が可能 ②USB インターフェイス CP2102 周辺----PC 側でポート設定で確認可能 ③アナログ部----総合テスト 7.1 PIC16F88 の周辺回路の組み立てとチェック 7.1.1 組み立て この部分の回路を抜き出 します。 11 PIC を動かすため次の3つの部分を組み立てます。 ①電源を繋ぐため USB からの5V の結線 (スイッチを追加する方のため、オープンとなっている。) ②PC からの 5V 電源から (PC のグランド GND1 +5V と-5V を作る DC-DC コンバータ周辺 と 測定部 GND ▽ とは電気的に絶縁されている。) ③PIC の周辺 正常動作すれば、Power ランプが1回点滅(OFF-ON-OFF-ON)する。 図がこの部分だけを組み立てた時の写真です。 実物写真では分りにくいので、模式図を示します。 この中の白抜きした部分がこの節で組み立てるとこ ろです。 ①PIC と電源 ②PC から電源 ③Power ランプ なお、この組み立て図には 抵抗値、コンデンサの値は表示していません。 12 注意して回路図を見て確かめながら組み立ててください。 これは故意にそうさせていただきました。 組み立て図を分かり易くすると、回路図を見ずに組み立てて、順調に完成すると、全く回路図を見ずに終 わってしまい、教材の意味を無くしますので、ご理解ください。 さらに深く原理などを理解しながら、進める場合は、別冊(別ファイル) 「技術解説」を参照ください。 それでは、下記の点を注意して、5節で解説したハンダ付のやり方を参考に組み立ててください。 ①の部分 *U2 の IC(PIC16F88)は IC ソケットを使うので、18P の IC ソケットをハンダ付けする。 IC には方向があるので注意。 注意:IC の方向に注意 ---特に U2 はプログラムが書かれており、変更ができる ように IC ソケットを利用します。 *Y1 はセラミック発振子(20MHz)で図のような形であり、 方向はない。 *回路図の L1,L2,C6,C11,C12,C13,C15 と USB コネクタ はチップ部品のため、あらかじめハンダ付されている。 ②の部分 ここの S/W 部分の2つの穴を適当な線(①で切り取った抵抗のリード)を利用して短絡。 ③の部分 Power の LED ランプは、ケースのパネルの位置に合わせる必要があるので、図のようにプリント板から離 して折り曲げる。 また LED はダイオードで、方向(A:アノード、K:カソード)があるので注意。 流は 電 A⇒K に流れる。 7.1.2 チェック ハンダしたプリント板の裏を良くみてください。 となりと接触したり、ハンダがうまく付いていない所 はありませんが。 このような目視検査も重要です。 13 以下の手順でチェックしてください。 *IC ソケットに PIC16F88 を入れる。 ただし IC の足はコネクタより尐し広がっているので、コネクタに 挿入する前にあらかじめ、狭くして入れ易くする。 図のようにすると簡単。 また IC の方向は1番ピンに丸印が付いているが、色が同じで見にくいが必ず確認が必要。 注意:IC の方向に注意 *Power の LED を注意して見ながら、PC の USB につなぐ。 正常動作すれば、Power ランプが まづ点灯し、0.5 秒後、消え、0.5 秒後再び、点灯。 この動作が確認 できれば、ADunit の中心の CPU である PIC(U2)が正常動作している。 7.1.3 トラブルシューティング ここで動作できなければ、まず部品間違い、ハンダ付け不良、隣との接触など、注意深く目で再度チェッ クください。 それでも直らない場合は下記のチェックをします。 このチェックにはテスターが必要で す。 なお、注意事項として、電源(U9)の絶縁型 DC-DC コンバータによって、GND が PC 側と PIC などの ADunit 回路では切れています。 それぞれの GND として U9 の上にある予備(U10)を使用すると便利です。 項目 手順 対応 PC 側の5V の供給 上図を参考に電圧をチェック。 5V なら OK。 (GND-PC と5V-PC) 不良なら USB ケーブルのチェッ クを行う(交換)。 ADunit の電圧チェック 上図を参考に電圧をチェック。 5V なら OK。 (A-GND と5V) 不良なら U9 の不良の可能性有 り。 LED の確認 A(アノード)と K(カソード) LED が正しく付けられていても の方向を再度確認 正常動作しない場合は U2 (PIC16F88)の不良の可能性有 り。 14 ここが正常に動作しなければ、これ以上続けず、10節 7.2 USB インターフェイス トラブルシューティングを参照ください。 CP2102 周辺の組み立て データは U2 の PIC から出されますが、この形式(調歩式シリアル信号)は USB の規格には合わないため、 U6(CP2102)で変換します。 またこの U2 と U6 の間に U7(PC から受信),U8(PC へ送信)のフォトカッ プラを入れ、光で信号を伝え、電気的に繋がらないようにしています。 7.2.1 組み立て この部分の回路を抜き出します。 なお U6 は非常に小さく手作業でのハンダが出来ないので、あらかじめ ハンダ付されています。 図がこの部分だけを組み立てた時の写真とその部分の模式図が下図で白抜きがこの部分を示します。 前節と同様に組み立ててください。 ここでの注意は ケーブルを繋ぎます。 7.2.2 前節と同様 U7,U8 の IC の向きが反対です。 組み立て後、USB Power の LED の点滅を確認します。 USB ドライバのインストール ADunit と PC との情報のやり取りのチェックをします。 インターフェイスは物理的には USB ですが、 システム的には PC の COM ポートを利用します。 そこでこのためのドライバが必要です。 順で行ってください。 15 以下の手 ①USB を PC に繋ぐ。 (ADunit の電源が入る。) ②ここで対応は PC の Windows のバージョン、ドライバのある場所など状況によって 変わり、以下のように対応する。 PC 画面 対応(操作) 「USB デバイスが認識されない」と表 R23,24 示される。 U6 の周辺のハンダゴミなどをチェック C17,18 のハンダ付をチェック。 USB ケーブルは正常かチェック(他の機器を使う。) 解決しない場合は 弊社に連絡 画面には何も出ない。 既にドライバが存在するので、完了。 ただし ADunit の動作不良もあり得るが、この確認は次節 7.2.3 で行 う。 新たなデバイスが検出されたとのメ 完了するまで待つ ッセージが出て、ドライバを PC が自 動的に探す。 新たなデバイスが検出されたとのメ ドライバのある場所の設定のため「参照」をクリック ッセージが出て、ドライバのインス し、ssrOS1 の SetUp プログラムがあるフォルダを選択 トール選択画面が出る する。 このフォルダの中に 「USB ドライバ」フォルダがあ るので、これを選択し、インストールを行う。 (下 図参照) ③以下 PC 画面に従い、インストールを行う。 なお、このドライバについての詳細は Silicon Labs 社の CP2102 関連の下記のサイトなどを参照ください。 http://www.cqpub.co.jp/interface/contents/special/CP2102install/index.htm 7.2.3 Port の設定----CP2102 の動作確認 前記でインストールしたドライバを使って、COM ポートの設定をします。 の動作が確認できます。 これにより、U6(CP2102) ssrOS1 のシステムプログラムのメニューの「Set」をクリックし、Port を 選択してください。 画面の Port 選択ボックスに COM1~COM9 のいずれかが表示されるはずですから以 下の表に従って設定してください。 16 Port 選択ボックスの表示 対応 なにも表示されない。 U6(CP2102)が動作していない可能性が高い。 この場合、部品の 付け間違い、ハンダ付の状態を確かめる。 また、USB ケーブル の確認(他の機器 デジカメなど)を行う。 それでも動作しな い場合は、弊社に連絡。 COM 番号が表示され、選択ボ このままで設定完了。 タンを押しても、この番号だ けが表示される。 COM 番号が表示され、選択ボ 他に COM ポートを使用している機器があり、それを外して再度行 タンを押すと、複数の番号が うか、ADunit 側を切り、どの番号が相当するのか確認した上で、 表示される。 ADunit が使用する COM 番号を選択をする。 参考:厳密には PC の設定でデバイスマネージャで図のようにポートに CP210x USB to UART Bridge(COM*) と表示されていることを確認し、そのポート番号(図では COM6)を選択する。 ただしこのメニューの位置は Windows のバージョンによって変わり、XP では スタート>設定>コントロールパネル>システム>ハードウエア>デバイスマネージャであり、 Windows 7では スタート>コントロールパネル> システム>デバイスマネージャ を選択して行く。 注:探すのが難しくなった場合 Windows の ヘルプを使用し、 デバイスマネージャ で検索 してください。 (デバイスマネージャーの場合あり)って 7.2.4 PIC と PC のデータの送受信の確認 ここまで正常であれば、データはフォトカップラ U7,U8 を通して PC との間でやり取りが可能となって いるはずです。 PC 側の ssrOS1 システムプログラム上の Help メニューで確認できます。 USB を PC に接 続されている事を確認して、Help のメニューの 「Version] を選択して ください。図のようにバージョンが表示されます。 この中で System version は PC 側のプログラムですから必ず表示される はずです。その下に ADunit のバージョンが表示されたら正常です。 もしバージョン番号が空白であれば、回路図の U7,U8 周辺が正常 動作していません。 フォトカップラ U7,U8 の方向、R20,R21,R25,R26 の抵抗値は間違いありませんか。 17 ここが正常に動作しなければ、これ以上続けず、10節 トラブルシューティングを参照ください。 7.3 アナログ部----総合テスト 7.3.1 組み立て この部分の回路を抜き出します。 回路の解説:入力電圧は 1/10 に分圧され、U3(OP07)で 1.5 倍、15 倍、150 倍のいずれかの倍率でフ ルスケール値に対する出力が±3V とされます。 この切り替えがアナログスイッチ U1 で行われます。 U5 は基準電圧ユニット LM385 の 1.235V を 3 倍増幅し 3.705V とし、 PIC の Vref 端子に入力しています。 U4 で U3 と U5 の電圧を 1/2 づつ加える形として、結果として PIC の AD 入力としては 0.35V~3.35V の 電圧が入力されます。 注:プリント板が完成したら、図のようにパネ ルシャーシにネジ止めをしますが、この時、プ 図がこの部分だけを組み立てた時の写真です。 リント板の前部をなるべくパネルに近づけて固 定してください。 USB コネクタとパネルの間のギャップが大き 18 すぎると、場合によって、プラグがしっかり入 りきらなくなる。 その部分の模式図が下図の白抜きの部分です。 10k 前節と同様に組み立てることになりますが、ここでの注意は以下の通りです。 ①ここで使用する U3,U4,U5 はともに IC ソケットを使う。 ICには方向があるので注意。 ②抵抗の J 級(5%)と F 級(1%)に注意: ③Vref と書かれた穴には チェック端子をハンダ付けする。 固定がやや難しいが、セロハンテープに付き通して固定するなど工夫してください。 ④入力コネクタを取り付ける。 ⑤J2 は 10P コネクタ用で、外部トリガや他の応用のための入出力が用意されている。 プリント板側コネクタは付属しているが、相手側(プラグ)は付属していない。 ⑥OP07 を IC ソケットに入れる。 7.3.2 1対1(1:1)プローブの製作 下図のような付属品を使用して、赤のリード線(にプラス側)をコネクタの中心に、マイナス側を外側に ハンダ付けし、図のように1対1プローブを作ります。 2.1-5.5 型コネクタ みの虫クリップのカバーの簡単な外し方 みの虫クリップ リード線 これに使う部品1式は付属されてここがネジとなってい いますが、追加したい場合、弊社るので、回して外す や専門店で手に入りますし、大型 の DIY のお店でも電気のパーツ 19 適当なものをくわえさせ、金属のクリップ部を 引きぬく プローブに関して一般的な説明や高電圧用、高周波用のプローブの作成の方法については別紙「ssrOS1 操作マニアルを参照ください。 7.3.3 この 1:1 のプローブは調整に必ず必要です。 動作確認とノイズチェック USB ケーブルを繋ぎ、動作をさせてみましょう。 前節と同様 Power の LED の点滅を確認します。 これ からの操作は、全体の操作となりますので、PC 側のプログラムを起動させます。 操作全体の説明の詳細 は別紙「ssrOS1 操作マニアル」を参照ください。 以下はこのチェックに必要な操作だけを抜粋します。 COM ポートの設定を確認 (7.2.3 節と同様) 電圧レンジ設定 2V を設定 トリガ設定 0%を設定 Continuous 時間軸設定 1000mS を設定 を設定 各設定を図のようにしてくだ さい。 回路の解説でもいたしましたように、ADunit 内では入力は3つのレンジ 0.2V、2V、20V で切り替えら れています。 PC の画面ではこの1つレンジを3つに分け、0.2V のレンジではその下の 0.1V と 0.05V の 表示があります。 従って ADunit にとっては3つのレンジをチェックすれば良いことになります。 以下 の手順で進めてください。 ①キャリブレーション ゼロ点校正 電圧 0V と基準電圧 1.85V を使って、ADunit の値の校正を行う。 このような事をキャリブレーション と呼ぶ。 この基準電圧の誤差は1%以内。 メニューの Set をクリックし、Calibration を選び Short-Circuit Input. Ready ? その中の Zero をクリックする。 と聞いてくるので、入力に入力用プローブを入れ、+、- し、 「OK」を押す。 20 を短絡 実行されると画面下にゼロ点のレベルが表示される。 単位はほぼ 5mV 相当で、 プラスマイナス 4 カ ウント以内なら正常。 ② 1.5.2 基準電圧校正 プリント板上の基準電圧端子に 1:1 プローブの 基準電圧端子 プラスをつなぎ、ゼロ点校正と同様、メニューの Set をクリックし、Calibration を選び その中の Reference 1.85V を選択する。 ゼロ点と同様画面の下にレベルが表示される。 370 プラスマイナス 15 カウント以内なら正常。 ③2V レンジ確認。 電圧レンジ 2V/Full Scale 時間軸 1sec(1000mS) 入力のプラスとマイナスをショート 測定をスタート。 0V に沿って一直線となれば正常 プラスマイナス 1%程度はずれる可能性有り。 次に入力のプラスを基準電圧の端子につなぎ、測定をスタート 1.85V プラスマイナス 0.01V になるこ とを確認。 ④20V レンジ確認 電圧レンジ 5V/Full Scale 時間軸 1sec 入力のプラスを基準電圧端子に接続 測定をスタート 1.8V プラスマイナス 0.1V になることを確認。 ⑤0.2V レンジ 電圧レンジ 0.05V/Full Scale 時間軸 1sec 入力のプラスとマイナスをショート 測定をスタート 0V に沿って一直線となれば正常 ただし多尐のノイズで図のように不規則にフル スケールのプラスマイナス 3%以下程度のノイズが入る可能性有り。 これより大きければ異常。 次に 入力を解放して測定をしてみると図のようなノイズが入ることを確認。 これによりレンジが最高感度 に正常に切り替わったことを確認。 入力ショート 入力解放 21 以上、正確に組み立てられていれば入力電圧は1%程度の精度の測定が出来ているはずです。 念のためには、付属しているプローブ用の 910k と 110k を使って、図のように Vref の 1.85V を 1/10 とし、 0.18V∓0.01V となる事を確認してください。 Vref 910kF 110kF 入力プローブ また、全体的に何らかの既知の電圧を測定して、正しいことを確認するのが望まれます。 この場合も 0.2V, 2V, 20V のレンジそれぞれ1つの値で問題がないと言えます。 他のレンジは所謂ソフトウエア レンジであり、皆さんの作り方の良し悪しには関係がありません。 また、電圧レンジ 0.05V/Full Scale の最高感度でのノイズはこの様に多尐ギクギク(フルスケール3%以内)と動く場合があります。 これ は周囲のノイズなどの関係もありますが、その改善などについては 7.3.4 9節の追加仕様 を参照ください。 時間軸のチェック 時間軸は U2 に接続された Y1 のセラミック発振子(20MHz)の周波数で決定されます。 その精度は一般的 には 0.5%程度です。 これより時間がずれる場合は、Y1 の不良、部品のミスが考えられます。 また、 厳密に調整したい場合は C5,C7 の容量を変えると微調整が可能です。 8.ケースの塗装と製品メイバン(シール)の貼り付け 金属面への塗装ですので、刷毛塗りではなく、スプレーを使用します。 アルミニュームの金属の色で良 い場合でも、透明ラッカーで塗装すると美しさを保てます。 製品メイバン(シール)の貼り付けは、 塗装後となりますが、透明の場合は、どちらでも結構です。 以下次のような順序がお勧めです。 ①汚れを拭き、出来ればアルコール(家庭用で使うアルコールを用いた汚れ落としなどを利用)で表面の 汚れを落とす。 ②塗装のスプレーを50cm離して均一に塗布する。 ③一旦乾かす(10分以上) ④端面を刷毛で塗る。 (スプレーを皿など適当なところにためて、それを利用) ⑤再度スプレーで②、③と同様に塗装し、乾かす。 ⑥製品銘板を貼る。 ⑦以上で終了しても良いが、さらに 透明なラッカーで1mほど離して軽く振りかけるように塗布すると 所謂ツヤ消しの効果がでる。 9.追加機能、追加回路 ADunit は入力電圧をデジタルに変換し、それをパソコンで処理しています。 その為の回路、プログラムをすべて開示、解説していますので、それを利用してこのオシロスコープの機 22 能アップやそれ以外の様々なシステムの実現が可能です。 以下そのアプローチを示します。 また、プリント板の一部に空きランドを用意していますので、ご自由にお使いください。 9.1 パワースイッチ ADunit にはパワースイッチがありません。 必要に応じて背面などに付けてください。 この場合、7.1.1 で説明したプリント板上の短絡部分から配線します。 9.2 外部トリガ入力 外部の信号によってトリガをかける場合、J2 コネクタの 8 番ピンと 1 番ピン(GND)を短絡する信号を入れ てください。 必要な信号の幅wはその時の時間軸を t とすると 0.1t<w<5t(ただし 500ms 以上は t=500ms) 9.3 J2 端子と他の機能追加 機能を追加、あるいは全く別の機能のシステムにする場合、次のように色々なケースが考えられます。 ①ADunit はそのままで、PC 側のプログラムを変更する。 一定の時間で入力電圧データを定期的に取り込むのがオシロスコープの基本的な機能で、これを使って全 く別のシステムを PC 側で実現できます。 またその他、PC からのデータ要求コマンド(QQ)で、不定期に データを得る事ができる機能を ADunit の標準に組み込んであります。 詳細は別紙「技術解説」をご覧 ください。 ②J2 端子の利用 10pのコネクタ(J2)の結線は下記のようになっています。 ピン番号 内容 1 GND 2 -5V 出力 3 PIC の OUT(RA4) PC 側からコマンドで制御(O0~03) 4 PIC の OUT(RA5) PC 側からコマンドで制御(O0~03) 5 PIC の IN(RB1) PC 側からコマンドで制御(IN) 6 PIC の IN(RB3) PC 側からコマンドで制御(IN) 7 PIC の IN(RB4) PC 側からコマンドで制御(IN) 8 外部トリガ入力 9 空き 10 +5V 出力 注:+5V と合計で最大 20mA 注:-5V と合計で最大 20mA このように2つの出力、3つの入力ポートを自由に使えるようになっています。 例えば、PC からの O1 とコマンドを送ると3番ピンが 0V、4 番ピンが 5V になります。 これを使って外部 の色々な信号を切りかえる事が出来ます。 また IN コマンドで3つの端子の状態を PC 側に伝えることができます。 詳細は別紙「技術解説」をご覧ください。 ③ADunit のプログラムの変更 23 プログラムは公開されていますので、それをダウンロードして、それを参考に適当に変更していただけま す。 詳細は別紙「技術解説」をご覧ください。 ただしプログラムの書き込みの機能は、この ADunit 自 身は持っていませんので、別途ご用意ください。 9.4 ケースのアース(接地)について---ノイズの改善と保安アース よく「アースをとる」と言います。 これはアースを外すのではなく、地下に埋めたアース(棒など)と 機器をつなぐと言う意味です。 アースに関しては多くの意味があり、以下簡単に列挙します。 ①グランドとアースは時々混同して使われるが、一般的には グランド:電気回路の基準電位(0V) アース: 地球を基準電位(0V)とするもの(地下に埋めたアース棒など) ②洗濯機などの多くの電気製品のアースは感電、漏電防止のため(保安アース)。 ③電波を扱う場合は、地球を回路のグランドとして考える場合もあり、別の観点が必要。 ④グランドの重要性は基準電位が場所や時間に関わらず一定であり、周囲からの干渉を受けないという事 である。 その意味で電子回路を金属ケースで包むシールドが有効となる。 ⑤微弱な信号を扱う場合は、グランドと同様他の回路も周囲からの干渉を受けないような注意が必要とな り、金属ケースを使うシールドやそのシールドの接続が問題となる。 この接続を時にグランドと言った りアース(接地)と言ったりする。 以上ですが、この ADunit は特別微小な信号を測定しているわけではないので、何もしなくても大きな支障 はありません。 しかし良い機会なので、グランドとアースを考えてみましょう。 図は ADunit とつな がる機器を示します。 AC AC100V 100V AC の影響のノイズが到る所に現れる ADunit 測定対象 GND ④ PC GND GND 発電・変電所 ② ① ③ 大地(地球)アース 通常使用する AC100V の片側は電力供給側でアースに落とされています。 これがPCに入りますが、PC の内部の回路のグランドとは切り離されています。 一方PCのケースは PC の回路のグランドと繋がって いる事も多いと思います。 ADunit のグランドは測定対象のどこかにプローブのマイナス側の線で繋がり、 何らかの形で測定対象のグランドに繋がります。 しかし PC のグランドとは繋がっていません。 ADunit のケースはアルミニュームの金属ですが、どこにもつながっていません。 取り方に次のようにいくつかの選択肢があります。 ①ADunit のケースを大地アースにつなぐ。 24 そこで GND とケースアースの ②ADunit の GND をケースにつなぐ。 ③ADunit のケースを PC の GND とつなぐ。 ④測定対象のケースに ADunit のケースをつなぐ。 ⑤特に何もしない この内①については 例えば数 100V を測定する場合などに適用され、ケースを大地アースに落としておい た方が安全です。(注:アース端子などの用意は皆様にお願いします。) ②~④についてはノイズのレベ ルを下げる効果が期待できます。 どれが良いかは場合によりますが、実験的に試すのも興味が湧きます。 この例として③の例を図で示します。 のノイズの状況です。 波形画面は入力を解放とし、設定を 0.05VFs、1000mS とした時 この条件では入力をショートするよりノイズが入り易くなっています。 a 図は プリント板をケースから出し裸の状態の時の画面です。 とんど変わりません。 b図はケースに入れた時で、ノイズの状況はほ それを写真のようにケースを PC の GND に落とすとc図のようになりました。 a.裸のプリント板 b.プリント板をケース に入れた場合 図のように結線し、ネジで固定し、ケースを閉め る(PCのGNDの位置は c.PCのGNDにケース 7.1.3 節参照) を接続した場合 このようにすると ADunit のケースは PC の GND(ケース)に繋がれ、電気的に大きな容量を持つ安定なも のが ADunit の内部回路を包み、周囲からの干渉から守る役目をするという事が分ります。 そして最も安 定なのが地球(アース)と言うことです。 ただし、地球と接続する理想的アースの実現はなかなか困 難で、土との電気抵抗、そこからの配線の長さが大きく影響します。 以上ノイズに関しての問題ではありましたが、今回のオシロスコープの最高感度はフルスケール 0.05V で あり、画面に現れる 1 ポイントはその 1/100 の 0.5mV で一般的に言って問題が生じるレベルではありませ ん。 しかし多くのシステムではグランドやアースは回路を良い状態で動作させる重大なポイントですの で、参考にしてください。 25 10.トラブルシューティング 以下のトラブルシューティングは、このマニアルや Help メニューの 「On Line Manual」通り進めて来て、 それぞれの注意やトラブルシューティングを参考にしたが、途中で不具合が出たと仮定します。 また、 この中では電圧の確認のためテスターあるいは正常動作する別の ssrOS1 が必要な項目を含みます。 新しい事への挑戦にはトラブルは付き物で、それを解決する事は良い経験と自信になります。 の間違い、隣の部品とのショート、ハンダ不良に注意ください。 特に部品 解決した喜びはゲームなどの仮想空間 で勝利したより、実世界での新たな発見と達成感があります。 ぜひあきらめないでトライしてください。 10.1 問題/対処表 項目 手順 対応 Power ランプが点滅し 6.1.3 の手順でチェック ①問い合わせの場合はここをクリック ない 必要に応じて組み立てたプリント板の表、 ここが正常でなければ 裏の写真を添付 PIC が動作していない ②組み立てたプリント板を弊社に送付 ので常に確認。 USB ドライバのインス 7.2.2 を参照。 Silicon Labs 社の CP2102 関連のサイトな トール Port の番号が出ない どを参照(6.2.2 参照) 7.1.3 の手順で 5V を確認。 左記に異常がないように見えれば U6 の不 R23,R24 の確認 良の可能性があるので、弊社に問い合わせ CP2102 のピンなどに異常が もしくはプリント板を弊社に送付。 ないか(金属屑など) 。 Port 番号は正常なのに Power ランプの点滅確認。 左記に異常がないように見えれば U6 の不 Help で ADunit の番号 7.2.4 を参照 良の可能性があるので、弊社に問い合わせ が出ない。 CP2102 のピンなどに異常が もしくはプリント板を弊社に送付。 ないか(金属屑など) 。 U7 の 4 番ピン(R20)と 電圧が一瞬変化すれば正常 U2 の 11 番ピン(R26)の電圧 (デジタル電圧計では数%) を見ながら Help で Version 番号を確認 キャリブレーションが プローブのハンダ付をテス ここに異常がなければ、以下の 異常 タで確認 る波形、電圧値が異常---その2 表示され からチェック。 例外の表示など PC 画面 一旦オシロスコープのプロ それでも動作しない場合、PC を再起動させ にエラーが出て、それ グラムを終了させ、USB も抜 る。(COM ポートエラーの場合 PC の再起動 以後全く動かない く。 が必要な場合がある。 ) その後再度立ち上げ て、動作を確認する。 表示される波形、電圧 プローブの入力のプラスマ 中央値(0V)+-3%/フルスケール 以内な 値が異常---その1 イナスをショートして波形 ら問題がない。 26 を観察 異なれば、再度キャリブレーションを行う。 電圧レンジ 0.05V それが異常なら下記ステップへ 時間軸 1sec 表示される波形、電圧 プローブをショート。 3.7∓0.1V なら正常。 値が異常---その2 U5 の6番ピンの電圧をテス 異常の場合 U5 もしくは D1 が不良か、そ ターで測定 の周辺のハンダ付不良。 ここまで正常の場合は下記ステップへ 表示される波形、電圧 U4 の6番ピンの電圧をテス 1.85∓0.1V なら正常。 値が異常---その3 ターで測定 異常の場合 U4 もしくはその周辺のハンダ 付不良。 ここまで正常の場合は下記ステップへ 表示される波形、電圧 基準電圧 1.85V をテスタで 正常でなければ R16,R15 のハンダ付不良。 値が異常---その4 確認 ここまで正常の場合は下記ステップへ 表示される波形、電圧 プローブを基準電圧に置 2.8∓0.1V なら正常。 値が異常---その5 き、レンジ設定を 2V と 異常の場合 U3 もしくはその周辺のハンダ し、U3 の6番ピンの電圧を 付不良。 テスターで測定 その他 10.2 回路図、解説を参考に考え 弊社に問い合わせもしくはプリント板を弊 る。 社に送付。 部品を誤って取り付けた場合の修正(ハンダの盛り過ぎは ③を参照) 部品の取り外し方によって4つの方法があります ①図のようにニッパーで切り、別の部品をハンダ付する。 ②部品のハンダを取るため、ハンダごてで充分溶かし(2つ以上 のハンダのランドを同時に)部品を抜く。 その後ほとんどの 場合プリント板上のホールはハンダで埋まっており、リードを 通すことができない。 そこで図のように上からハンダ付を行う。 このプリント板のホールはスルーホールといってプリント板の裏表 は導通があるので、表でハンダ付しても裏と同様の導通が得られる。 ③図のような「ハンダ吸い取り線」を使ってハンダを吸い取る。 あるいは、普通の電線(より線)をばらして、この線にハン ダを使ってハンダを吸い取らせる。 これは、ハンダを盛りすぎ、隣接するピンなどをショート した場合の補修にも用いられる。 ただし、これでプリント板上の穴(スルーホール)のハンダを全て取ることはできないので ハンダごてで温めながら部品を引きぬく。 27 下図は、ハンダ吸い取り線がない場合の電線を使ったやり方である。 ④図のような「ハンダ吸い取り器」を使って ハンダを吸い取る。 本格的には電動のポンプなどが使われるもの もある。 注:不良などの修理のための費用負担に関して、弊社側の責任(部品の初期不良など)の場合は、送料と も全額を弊社が負担します。 ただしお客様側で誤った組み立てにより不良となった場合は、その旨を連 絡します。 そこで、修理にかかる費用をあらかじめお知らせした上で、ご了承を頂き、作業し、完成後 請求させていただきますのでご容赦ください。 11.お問い合わせ等 参考情報 紹介、概略 http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/intro.pdf 回路図 http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/diagram.pdf 組み立て、調整 http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/assy.pdf 部品仕分表 http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/parts.pdf 操作マニアル 技術解説 http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/help.pdf http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/detail.pdf プログラムダウンロード http://www.shimadzu.co.jp/ssr/etc/ssrOsc/document.html PC 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