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アセットアロケーション見通し・年央アップデート

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アセットアロケーション見通し・年央アップデート
Asset Allocation Outlook
2016年8月 年央アップデート
偽りの
静けさ
安定的だがその持続性には
懸念が残る市場におけるグローバル投資
著者
ミヒル・P・ウォラー
アセットアロケーションおよび
リアル・リターン担当
最高投資責任者(CIO)
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ジェラルディン・サンドストロム
マネージング・ディレクター
アセットアロケーション戦略担当
ポートフォリオ・マネージャー
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2
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
全体的なリスク: 若干オーバーウエイト
PIMCOでは、
「安定的だがその持続性には懸念が残る」という長期
的なテーマに従い、年初から引き続きリスクを小幅なオーバーウエイ
トとしています。しかしながら、多くの市場でバリュエーションが割高に
なるとともに警戒感が薄れている現状を踏まえ、余裕資金(ドライ・
パウダー)を厚めに保つとともに、ポートフォリオの流動性に注意を
払っています。世界的な景気後退が差し迫っているとはみていませんが、
景気回復のペースは緩慢な状態が続いており、中央銀行の政策手段は
枯渇しようとしています。また、株式と債券の相関関係は、過去10年間
アンダーウエイト
オーバーウエイト
ウエイト
と比べて不安定で予測が困難となるでしょう。このような見通しに鑑み
ると、インカムの源泉を質が高い対象の中で十分に分散させ、ボラティ
リティの上昇局面から魅力的な投資機会が生じた場合にリスクを積み
増す方針をとることが肝要です。
PIMCOの主要な投資のテーマ
• 「リスク・オン」を前提にポジションを構築しつつも、市場の警戒感が薄れている印象を踏まえて通常よりも
リスク量を減らす
• 資本構成上で上位に位置する、非伝統的なクレジット商品の株式に類するリスクをとる
• S&P500株価指数よりも割安と考える、米国の銀行株を選好する
• 引き続きPIMCOの確度が最も高い投資アイデアの1つとして、非政府系機関モーゲージ担保債の損失調整後
利回りに割安感がある
• 投資に関連するマイナス要因が後退したことを受けて、エマージング市場に対する前向きな姿勢を強める
• 低金利が長期化する環境で不動産投資信託(REIT)に割安感が存在する
• ディフェンシブな高格付け国債の代替として米物価連動国債(TIPS)は魅力的とみる
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
3
時間の経過とともに、市場では奇妙な二極化の動きがみられます。
全世界の国債の30%の利回りがマイナスであるという事実は、複数の
主要中央 銀 行が経済成長とリスクテイクを後 押ししようと試みる
なかで、投資家は確実性と元本の保全を重視する姿勢を強めている
状況を示唆しています。しかし他方では、全世界の株式市場と債券市場
ではいずれも、インプライド・ボラティリティの指標が過去最低水準に
近づいています。
このように、奇妙なほど静かな市場環境において投資家が安全志
• 引き続き、一部のクレジット・セクターのリスク調整後リターンが
向に走るという一見してあり得ないような状況は、PIMCOが最新の
相対的に割安との見方に基づき、資本構成上で株式よりも上位
長期経済予測「安定的だがその持続性には懸念」で指摘した症状
に位置するリスクを選好します。なかでも、非政府系機関モー
であると考えられます。そのレポートでは、5月の長期経済予測会議
ゲージ担保債は魅力的で質の高いインカムの源泉になる可能性
(セキュラー・フォーラム)の結論を基に、実験的な金融政策とレ
があります。
バレッジの拡大を背景にシステミック・リスクが高まっていると主
張しました。しかしながら、長期では安定的ではないにしても、短
期的には経済は安定推移する見通しです。市場では、短期的見通し
と長期的見通しの不一致が変動要因となっており、これが解消さ
れるまで、ボラティリティはことあるごとに上昇するとみています。
PIMCOでは、世界的な景気後退は差し迫っていないという従来か
らの基本シナリオを踏まえ、利回りがマイナスの債券や金に投資
対象を見出すことは、足元の環境を乗り切る最善の方法ではなく、
いくぶんリスク・オンに傾斜することが引き続き正当化されると考
えています。しかしながら、多くの市場ではバリュエーションが割高
になるとともに警戒感が薄れている現状を踏まえ、余裕資金を厚
• 投 資に関連するマイナス要因が後退したことを受けて、エマー
ジング市場に対する前向きな姿勢を強めています。
• 米 国市場では、銀 行株の小幅なオーバーウエイトを据え置き
ます。一方、欧州株式のオーバーウエイト・ポジションを削減しま
した。
• インフレ期待の水準の低さを踏まえ、ディフェンシブな高格付け
国債の代替として、TIPSは魅力的であるとみています。
• 長 期金利が低い水準で推移する環境において、REIT(不動産投
資信託)は割安な印象です。
めに保つとともに、ポートフォリオの流動性に注意を払っています。
• 通 貨のエクスポージャーをより戦術的に管理しています。アジア
また、当面は市場リターンが低い状態が一般的なものになると予
の通貨バスケットに対して、コモディティ関連の高利回りの通貨
想しています。
バスケットを選好しています。
今回のレポートでは、年央のタイミングにおいて、PIMCOのマル
• このほかでは「構造的なアルファ」、すなわち「オルタナティブ・
チ・アセット・ポートフォリオで採用している主要なアセットアロケー
リスク・プレミアム戦略」に対するエクスポージャーを増やして
ションのテーマを見直します(2016年2月付のAsset Allocation
います。この戦略は、一般に伝統的資産との相関は低く、魅力的
Outlook 2016「目線の調整」をご参照ください)。ここでは、短期
なリターンを提供することによって分散を高める効果が期待され
的な投資機会とリスクを検討して導かれたテーマを、長期見通しの
ます。
指針と戦略的な投資の枠組みを提供するセキュラー・フォーラムの
結論と合わせて紹介します。
4
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
また、リターンが低くボラティリティが高い状態が続くと
いう見通しを踏まえ、以下の2点が投資家にとって長期的
に重要な意味合いを持つと考えています。これはPIMCO
が従来から強調してきた点ですが、現在はその重要性が
一段と増しています。
1
伝統的な株式や債券から実物資産や
オルタナティブ運用に投資対象を広げることを
検討するべきです。
2
ベータとともにアルファの源泉を分散させ、
「運用技術に伴うアルファ」だけでなく「構造的なアルファ」を
取り入れることを検討するべきです。
長期見通しの詳細
PIMCOの投資プロセスは、セキュラー・フォーラムとシ
クリカル・フォーラム(短期経済予測会議)を基盤とし
ています。5月に開催した年次のセキュラー・フォーラム
では、PIMCOの投資プロフェッショナル、招待した外部
講演者、グローバル・アドバイザリー・ボードが、向こう
3~5年間の世界経済見通しについて議論しました。今年
のフォーラムでは、
「安定的だがその持続性には懸念が
残る」 という大きなテーマが浮き彫りとなりましたが、
これは金融危機後の世界経済の実態を強調するもの
です。つまり、多くの国においてゼロ金利政策やマイナス
金利政策が導入されたこと、主要な中央銀行が量的緩
和政策を通じて流動性を大量に供給したこと、中国や
一部のエマージング諸国において借り入れに基づく投資
ブームが発生したことなどを背景に、世界経済は辛うじ
て失速速度を上回ることができたという現実です。
しかしながら、現在の非伝統的な金融政策の追加的
な効果が低下する結果、世界経済の成長維持、需給
ギャップの解消、インフレ目標の達成という目標が十分
に達成できないという重大なリスクが世界的に存在して
います。向こう3~5年間はこのような現状が基本的に維
2点目を詳しく説明すると、一般にオルタナティブ・リスク・プレミアムと呼ば
れる構造的なアルファ戦略では、幅広い資産クラスにおいて、
「バリュー」、
「キャリー」、
「モメンタム」、
「ボラティリティ」などの、認知度が高く実績
に裏付けられた超過リターンの源泉を抽出することを目指します。PIMCO
では、金利の低下が資産価格を押し上げる局面がほぼ終了した現在、この戦
略をアセットアロケーションにおいてこれまで以上に検討する価値があると
みています。
持されながらも徐々に変化するというのがPIMCOの基
本シナリオであり、
「安定的だがその持続性には懸念が
残る」という見通しを前提としています。レフト・テール
が厚みを増し、一部の主要国の金融政策手段の枯渇や
過剰債務の問題が世界経済の回復の持続性に重大な懸
念をもたらすリスクは明確に存在しています。
また、PIMCOでは、ボラティリティの上昇要因として、
ここ数年間にわたってPIMCOでは、伝統的な資産クラスから実物資産、
ポピュリズムの台頭とグローバル化の流れの後退とい
オルタナティブ運用、
「スマート・ベータ」へと、投資機会を広げてきました。
う長期的なテーマを指摘しました。このような傾向は、
ボトムアップの銘柄、セクター、国の選択のように、
「運用技術」を源泉とす
英国の欧州連合離脱(Brexit)をめぐる国民投票におい
るPIMCOのアルファ追求型のアクティブ戦略はよく知られていますが、同時
てだけでなく、イタリア、フランス、米国の国内政治にお
にこの何十年もの間、構造的なアルファ戦略も併用しており、それによって
いても見受けられます。
かなりの部分のアルファを創出してきました。
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
5
PIMCOでは、構造的なアルファ戦略に対するエクスポージャーを、
マルチ・アセット・ポート
フォリオを含む幅広いポートフォリオにおいて取り入れていますが、戦略的なアロケーション
として単独で取得することも検討に値するでしょう。
リターンの源泉
アルファ
運用技術に伴うアルファ
• ヘッジファンド
• 厳選されたプライベート・エクイティのセクター
• 戦術的なアセットアロケーション
• ボトムアップの相対価値・銘柄選択
市場規模が相対的に大きい戦略
構造的なアルファ
ベータ
非伝統的なベータ
伝統的なベータ
• バリュー
• キャリー
• モメンタム
• ボラティリティ・プレミアム
市場規模が相対的に小さい戦略
• 合併アービトラージ
• ディスパージョン取引
• バリュー(クレジット)
• ボラティリティ期間構造
• 不動産
• コモディティ
• インフレ連動債
• エマージング株式
足 元 の 低リターンの 環 境において、
投資家はベータだけでなくアルファの
源泉を分散させることを検討する必要
があります。
「構造的なアルファ」と「運
用技術に伴うアルファ」を組み合わせる
ことによって、全体としてより安定的で
高い水準のアルファを獲得できる可能
性があります。
• 先進国株式
• ソブリン債
• 先進国株式
PIMCOが厳選の上で採用した「構造的なアルファ戦略」の変遷
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
• バリュー(金利)
• バリュー(クレジット)
• バリュー(株式)
• 合併アービトラージ
• イールドカーブのバケット化
• 為替のキャリーおよびバリュー
• モメンタム
• ディスパージョン取引
• ボラティリティ・プレミアム
• 格付け推移
• コモディティのキャリー
• ボラティリティ期間構造
PIMCOでは従来から重要なアルファの源泉として「構造
的なアルファ戦略」を取り入れてきました。長年にわたって
資産クラスの種類とともに「構造的なアルファ戦略」の種類
も増えてきました。
およびバリュー
6
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
マルチ・アセット・ポートフォリオにおける
アセットアロケーションのテーマ
ポジショニング
投資機会
株式
米国
欧州
株式を小幅にアンダーウエイトとし、国とセクターの選択を
重視しています。株式は債券と比べてフェアバリューに近い
ようですが、株価収益率(PER)がさらに上昇する可能性は
低いとみています。
日本
アンダーウエイト
オーバーウエイト
ウエイト
エマージング市場
金利
米国
欧州
高格付け国債にはボラティリティ抑制効果が期待されます
が、現在の低金利環境では金利リスクをアンダーウエイトと
しています。国別には、ドイツ国債と日本国債をいずれも
アンダーウエイトとしています。
日本
アンダーウエイト
オーバーウエイト
ウエイト
エマージング市場
クレジット
証券化商品
投資適格
ハイイールド
アンダーウエイト
オーバーウエイト
ウエイト
インカムはPIMCOのマルチ・アセット・ポートフォリオの中
核を成すものであり、景気後退入りのリスクが依然として非
常に低いと考える環境において、質の高いスプレッドへの投
資は、リスクを過度にとることなくマイナス利回りの資産か
らシフトするのに適していると考えています。
エマージング社債
実物資産
物価連動債
コモディティ
REIT
アンダーウエイト
オーバーウエイト
ウエイト
特にTIPSとREITに注目しつつ、実物資産のオーバーウエイト
を据え置きます。コモディティ市場の調整局面は概ね終了し
たものの、インフレ期 待の 復 活が予想される環 境にお
いて、TIPSには依然として割安感があります。また、金利が
当面は低水準にとどまる見通しのなかで、REITの利回りとバ
リュエーションは魅力的です。
金
通貨
米ドル
ユーロ
日本円
アンダーウエイト
オーバーウエイト
ウエイト
エマージング通貨
引き続き米ドルを選好する一方で、主要な中央銀行が過度
なドル高の悪影響を認識したことを踏まえて、主要国通貨
は概ねレンジ圏内で推移するとの見方を据え置きます。
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
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株式: アンダーウエイト
マルチ・アセット・ポートフォリオにおいて株式の小幅なアンダー
「バリュー」と「クオリティ」を組み合わせてバリュートラップを回避
ウエイトを据え置きます。株式リスク・プレミアムが従来の水準
割安株が割高株をアウトパフォームするという見方に基づく「バリュー」戦略は、
から大幅に縮小した印象はなく、債券と比べてファアバリューに
ファイナンスの世界でも最も歴史が長く人気の高い運用スタイルの1つです。
近いようですが、PERがさらに上昇する可能性は低いとみてい
投資家はアロケーションの判断において、配当利回り、簿価対時価比率(PBR)、
PERなどの「バリュー」に関連するさまざまな指標を活用してきました。ただし、
ます。
「バリュー」に注目することは重要ですが、それだけにこだわるべきでは
また、賃金の上昇傾向が続けば、高い水準で推移している利益率
投資の「クオリティ」を検討することも同じように重要です。
の持続が困難になるなど、企業利益の伸びに関する不透明感が
高まったと考えています。このため、注意深く慎重な姿勢で株式
ありません。特に足元の環境においてバリュートラップを回避するためには、
最近では、自己資本利益率(ROE)やグロスの収益性などの指標を活用した
「クオリティ」投資が大きな注目を集め、現在では、
「バリュー」や「モメンタム」
投資に臨むべきでしょう。このほか、インプライド・ボラティリ
のような人気の高い運用スタイルと並んで、標準的な運用スタイルとしての位置付
ティが全般に低いことを踏まえ、株式のオプション市場を利用し
けが確立されています。以下の表では、米欧の株式を対象に、
「バリュー」と「クオ
て潜在的に有利なリスク・リターン特性となるよう、株式エクス
ポージャーの一部を「条件付きの」エクスポージャーに切り替え
ることを検討する余地もあるでしょう。
主要地域の中では、引き続き米国株式をアンダーウエイトとして
います。S&P500株価指数の構成銘柄が他地域の主要な株価指
数と比べて質が高いという傾向を考慮したとしても、バリュエー
ションには割高感があります。米国市場の中では、割高感が
リティ」のスコアを比較しました。その結果、欧州株式は米国株式対比で割安感
があるものの、構成銘柄の質は大幅に劣ることがわかりました。
ポートフォリオを3つのクオリティに分類
地域
クオリティ
時価総額に
占める割合
PBR
(バリュー)
ROE(%)
(クオリティ)
EMU
1.6
6.6
米国
2.9
11.5
なく、利鞘や収益性の縮小について過度に懸念されてきた金融
EMU
高クオリティ
19%
3.9
20.0
銘柄をオーバーウエイトとしています。米連邦準備制度理事会
米国
高クオリティ
33%
6.6
34.0
(FRB)は金融緩和の姿勢を維持する見通しですが、次の政策変
EMU
中クオリティ
48%
2.0
12.4
米国
中クオリティ
44%
2.9
14.1
EMU
低クオリティ
33%
0.9
2.1
米国
低クオリティ
23%
1.6
0.6
更は利上げになる公算が大きく、欧州や日本の事例とは異なり、
特に銀行収益に打撃を与え得るマイナス金利政策が導入される
可能性はほとんどないでしょう。PIMCOでは、いずれはFRBの金
融緩和政策の効果により、金融銘柄を始めとする景気循環セク
ターがアウトパフォームすると予想しています。
出所: MSCI社、Compustat社のデータに基づくPIMCOの計算 2016年8月3日現在 EMU
とは欧州経済通貨同盟(一般的にはユーロ圏と同義)
一方、政治の不透明感の台頭やユーロ圏統合プロジェクトの長期
伝統的なバリュー関連の指標(PBRなど)では、欧州株式は米国株式対比で割安にみえ
るものの、これらの指標には地域間のクオリティの差が考慮されていない。
的な実現性に関する懸念の高まり、ユーロ・ストックス50株価指
数の構成銘柄の相対的な質の低さを踏まえ、欧州株式のオー
バーウエイトを縮小しました。市場センチメントが極端に悲観的
または楽観的に振れた際の投資機会を捉えるため、戦術的なス
このほか、エマージング株式に対するアロケーションを増やしま
タンスが適切であると考えます。
した。最近3年間にわたってエマージング市場の下押し要因であっ
た3つの「C」(中国、コモディティ、通貨)の影響は後退してい
ます。中国経済の減速やリバランスが市場価格に織り込まれる一
方で、コモディティ価格は底打ちした様子をみせ、また、FRBは米
ドル高が世界的な金融逼迫につながるリスクを認識するようにな
りました。その結果、エマージング市場では、インフレ低下の兆し
がみられるとともに、経済成長が加速しつつあります。PIMCO
では、企業利益が回復し、先進国市場との関係が見直される条件
が整ったとみています(債券を中心とするエマージング市場にお
ける投資機会については、2016年8月付Viewpoint「エマージン
グ市場に前向きになる根拠」をご参照ください)。
8
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
クレジット: オーバーウエイト
投資適格社債の需要を下支えするとみられます。7月以降、ECBは
インカムはPIMCOのマルチ・アセット・ポートフォリオの中核を成す
同プログラムを堅調なペースで推進しており、これにイングランド
ものであり、景気後退入りのリスクが依然として非常に低い環境に
銀行による買い入れが加わることになります。
おいて、質の高いスプレッドへの投資は、リスクを過度にとること
PIMCOでは引き続き、堅調な住宅市場に下支えされる形で、さまざ
なくマイナス利回りの資産からのシフトに適していると考えてい
まなシナリオにおいて損失調整後利回りが魅力的な米国の非政府
ます。
機関系モーゲージ担保証券を選好しています。米国の住宅市場が
なかでも、投資適格社債の利回りは、流動性リスクとデフォルト率
顕著に悪化するシナリオ(PIMCOの基本シナリオとは異なります)
の見通しに十分に見合った水準にあるとみています。ムーディーズ
が顕在化しない限り、同証券と他のリスク資産との相関は比較的
によると、現 在 の 投 資 適 格 社 債 の 格 付 け分布 を 前 提 にした
低い水準で推移するでしょう。また、デフォルト・リスクが比較的低
場合、1983~2015年の間の5年間の累積デフォルト率の平均は
いと予想される短期年限のハイイールド債(コモディティ・セクター
1.2%でした。また、多額の国債の利回りがマイナスに転じたことや、
を除く)を選好しています。
欧州中央銀行(ECB)が社債買い入れプログラムを開始したことが、
米国の株式と投資適格社債のリスク・プレミアムの分析
エーションは、これまで経験のない水準に達し
実質的な株式リスク・プレミアム:景気循環調整後株式益回り-
10年実質金利
たようです。しかし資産のバリュエーションを絶
14
対水準で評価する代わりに、リスク・プレミアム、
12
すなわち「無リスク」と想定される国債の利回り
10
に対する追加的な利回りの水準を比較すること
によって、相対的なバリュエーションに注目す
ると、米国の投資適格社債と株式のリスク・プ
レミアムは長期的な平均と同じ水準であること
プレミアム(%)
PERや社債利回りのようなリスク資産のバリュ
6
2
最近では最も低い水準にあるものの、リスク資
-2
産のバリュエーションはその無リスク金利と整合
-4
的なレベルであり、ファンダメンタルズから切り離
さらに、無リスク金利が極端に低い環境において、
「利回り追求」の動きがリスク・プレミアムを従
来の標準的な水準以下に押し下げる結果、リス
ク資産が国債を予想以上にアウトパフォーム
レジット市場が最適であるという結論が紹介さ
れています。
スプレッド(ベーシスポイント)
度で追加的なリターンを獲得するためには、ク
‘50
‘55
‘61
‘66
‘72
‘77
‘83
‘88
‘94
‘99
‘05
‘10
‘16
米国のクレジット・スプレッドの推移
すると主張することも可能でしょう。違いを明
れます。このブログのエントリーでは、程よい確
平均より
割高
出所:ロバート・シラー教授、エール大学のデータベース、ブルームバーグのデータに基づくPIMCOの計算2016年7月31日現在
説明を目的とする仮定上の例。株式リスク・プレミアム(ERP)はS&P500の景気循環調整後PER(CAPE)の逆数から10年実質金
利を引いたもの。CAPEは、S&P500株価指数のインフレ調整後価格を過去10年間のインフレ調整後利益の中央値で除して算出した
もので、シラー教授のPERの変形。1998年以降の実質金利は10年物TIPSの利回り、1998年以前については名目金利と過去36カ月
間のインフレ率の差。
されているわけではないことがわかります。
各資産クラスの「PER」を比較する方法が考えら
平均:4.0%
4
0
ストロム)がPIMCOのブログで主張したように、
平均より
割安
8
がわかります。長期年限の無リスク金利はここ
確にする方法として、最近、著者の一人(サンド
イン フレと 企 業 利 益 の
季節性を調整したベース
では、米国の株式リスク・
プレミアムは長期平均に
近いように見受けられます。
現在の水準:4.2%
700
一方、同等年限の米国債
に対する投資適格社債の
オプション調整後スプレッ
ドも、過去の平均と整 合
的です。
現在の水準:138ベーシスポイント
600
500
400
平均:
138ベーシスポイント
300
200
100
0
‘73
‘76
‘80
‘84
‘88
‘92
‘96
‘00
‘04
‘08
‘12
‘16
出所:バークレイズのデータに基づくPIMCOの計算2016年7月31日現在
過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。1973~1990年の期間については、オプション調整後スプレッ
ド(OAS)はバークレイズ投資適格社債インデックス(格付け別)とバークレイズ米国国債インデックスの同等年限の最低利回りに基づき
計算。1990年以降については、バークレイズが提供するOASを利用。OASの推計値には、格付け分布を一定とするための調整を加えた。
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
9
金利: アンダーウエイト
マルチ・アセット・ポートフォリオにおいては、高格付け国債にボ
ラティリティ抑制効果があることは認識していますが、現在の低
金利環境では金利リスクを小幅なアンダーウエイトとしてい
ます。主な根拠として、債券市場のターム・プレミアムが歴史的に
低い状態で推移する見通しと、株式と債券の相関関係は低水準
にとどまるものの、従来ほど安定しない可能性が高いことが挙げ
られます。
国別には、ドイツ国債と日本国債をアンダーウエイトとしています。
マイナス金利政策には効果と副作用が伴います。金融緩和と自国
通貨安が期待される反面、銀行セクターの収益性、ひいては与信
供給能力に打撃を与える可能性があります。このようなトレード・
オフを考えると、各国の中央銀行はマイナス金利政策に対して非常
に慎重な姿勢をとるとみられ、ここ最近では、FRBとイングランド
において、国債買い入れ額の増額もマイナス金利の深掘りも見送り
ました。このように、金利は世界中で低下の限界(マイナス幅の限
界)に近づいているようです。
PIMCOでは、高格付け国債の中ではTIPSの魅力が非常に高いとみ
ています。FRBはこの先数年間はインフレ目標を達成できないと、
市場は現在予想していますが、これはPIMCOの見解とは異なり
ます。消費者物価指数のコア指数はすでにFRBの目標に近づいて
おり、総合指数も2017年初頭までには目標に達するとみています。
また、ポピュリズムの台頭、グローバル化の後退、米ドル高ペースの
減速、財政刺激策が採用される見通しなどの動きはいずれも、近
年のデフレ的な傾向を後退させる可能性が高いとみられます。この
ような環境では、TIPSには割安感が存在し、高格付け国債のディ
フェンシブな側面の多くが含まれていることを踏まえると、とりわ
け魅力的な印象を受けます。
銀行が政策の選択肢から外したようです。一方、その他の中央銀行
も同様に、刺激策を拡大する上で、
マイナス金利政策を極端な水準
まで追求する代わりに、信用の緩和や財政政策との協調に注力す
るようになっています。たとえば、日本銀行は直近の政策決定会合
実物資産: オーバーウエイト
PIMCOでは、2016年2月付Asset Allocation Outlook「目線の
調整」の中で、コモディティ市場の調整局面は概ね終了しており、
インフレ期待の復活が予想される環境において、実物資産は特
に割安であると主張しました。この主張に基づき、前述のように
TIPSをオーバーウエイトとしています。
また、高配当株式の代替として、長期利回りが低い環境において魅
力的なREITについてもオーバーウエイトとしています。これは、
元本の成長よりもインカムを重視するPIMCOのアプローチと整合
的なポジションです。REITと株式の評価方法の詳細については、
2016年6月付Featured Solution「Finding Real Return with
REITs(英語版のみ)」をご参照ください。もっとも、PIMCOでは
実物資産が割安と考えるものの、金には特段の魅力を感じていま
せん。金価格は、実質金利と米ドルの関数に過ぎず、現在はフェア
バリュー対比で割高であるとみています。金に関しては、インフレ・
ヘッジとデフレ・ヘッジの両方に適しているという評価の方が、実
際にそのような見方に基づく価格決定の枠組みの詳細よりも、耳に
することが多いようです。
10
August 2016 Asset Allocation Outlook Mid-Year Update
通貨: 中立的
通貨の選択とヘッジが引き続き極めて重要
ドル高の悪影響を認識したことを踏まえて、主要国通貨は概ね
14
レンジ圏内で推移するとの見方を据え置きます。また、金融政策は、
12
マイナス金利政策から、信用緩和、株式の買い入れ、場合によっ
10
ては財政政策との協調といった新しい緩和方法にシフトしつつあ
るようです。
引き続き、為替レートのボラティリティが高止まりする見通しを踏
利回り(%)
引き続き米ドルを選好する一方で、主要な中央銀行が過度な
0
ターに対するエクスポージャーを間接的にとる目的で、選別的に外
-2
着実に下落しています。また、リフレ的な資産に傾斜したポートフォ
リオを分散する際にも、人民元のショート・ポジションは有益と言
えるでしょう。
このほか、コモディティ価格が安定するという見通しを踏まえ、イン
カムを重視する観点から、利回りが高い厳選したエマージング通
貨を小幅にオーバーウエイトとしています。PIMCOのファンダメン
タルズに基づくモデルによると、多くのエマージング通貨は近年の
4.4
-0.4
0.0
ユーロ
国為替市場を活用しています。ただし、ここ最近生じたBrexit関連
静かではあるものの、ここ最近安定的だった人民元は対米ドルで
9.8
4
ロ経済要因に基づく取引に加えて、原油や株式などのリスク・ファク
また、対米ドルで人民元ショートは継続します。中国情勢は比較的
エマージング市場
6
2
踏まえ、ユーロを小幅なアンダーウエイトとしています。
12.4
8
まえ、全体のポジションの規模を慎重に決定しています。また、
マク
のリスクや、欧州において政治の不透明感がさらに高まる可能性を
先進国市場
日本円
ブラジル・
レアル
ロシア・
ルーブル
メキシコ・
ペソ
-13.1%
-7.3%
-20.5%
-17.5%
対米ドルの下落幅
-20.3%
出所:ブルームバーグのデータに基づくPIMCOの計算 2016年7月31日現在 ユーロ金利と円金利はそれ
ぞれ1カ月物EURIBORと1カ月物円LIBOR エマージング通貨の金利はJPモルガンELMI+インデックスの
各国の利回りを利用
PIMCO独自のバリュエーションモデルによると、一部のエマージン
グ通貨は高い実質利回りと低いバリュエーションという魅力的な組
み合わせを備えています。先進国通貨も米ドル対比で割安に見えます
が、利回りはほとんどありません。さらに下落するリスクはあるものの、
エマージング通貨の高い利回りは投資家にとっての安心材料となり
ます。
調整局面を経て割安となり、国際収支も改善しています。
終わりに
PIMCOでは、あらゆるポイントを検討した結果、小幅な「リスク・オン」のポジションを引き続き選好しま
リスク要因
すが、経済成長は低迷し、国債利回りが極端に低い状態が続き、中央銀行の金融政策が緩やかに限界に
PIMCOでは、現状が引き続き徐々に変化するというマクロ経済
の基本シナリオを踏まえ、小幅な「リスク・オン」のポジションを
とっています。一方で、この基本シナリオには大きなリスクが伴う
ことも認識しています。
近づく中で、年初来、ほとんどの資産クラスの価格が上昇したことを踏まえて、マルチ・アセット・ポートフォ
リオにおいてリスク量を全体として削減しています。
また、エマージング市場では、見通しにはリスクが伴うものの、外部のマイナス要因(中国、中央銀行、
コモディティ)が後退していることや、内部で再編が進んでいることなど、好転のきっかけは数多く存在し、
リターンが改善する可能性があります。最後に、冒頭で指摘したように、PIMCOにとって「構造的なアル
ファ」は数十年間にわたって重要であり、ほとんどの資産クラスのバリュエーションが中央銀行の政策の
影響を強く受ける状況において、相関の無いリターン獲得手段として、一段と重要性が高まったとみてい
ます。
•金
融政策が実験的側面を強める結果、不透明感が強まり、
バリュエーションが割高になっていること。
•先
進諸国では政府債務を通じて、一部の主要エマージング諸
国では民間セクターの借り入れを通じて、レバレッジが世界的
に再び拡大していること。
•中
国経済の転換に成功の保証がないこと。
•政
治の不透明感の高まり。
11
アセットアロケーション・チームはPIMCOの全社的なリソースを活用します
PIMCOの全社的なリソース: 240名超のポートフォリオ・マネージャー | 50名超のリサーチ・アナリスト | 55名超のポートフォリオ・アナリティクス・アナリスト
ミヒル・P・ウォラー
アセットアロケーションおよびリアル・
リターン担当最高投資責任者(CIO)
ジェラルディン・サンドストロム
マネージング・ディレクター 、
アセットアロケーション戦略担当
•インベストメント・コミッティー・メンバー
•ジェネラリスト・ポートフォリオ・マネージャー
•投資業務経験15年
•グローバル・マクロ経済および絶対収益投資の
担当: アセットアロケーションおよび
ポートフォリオ構築
担当: アセットアロケーションおよび
ポートフォリオ構築
経験を有する
•投資業務経験年数20年
アセットアロケーション
ポートフォリオ
ラウール・デブゴン
シニア・バイス・プレジデント
モフセン・ファハミー
マネージング・ディレクター
•マクロおよびテクニカル取引の担当
•グローバル・マクロおよび絶対収益投資
•インベストメント・コミッティー・メンバー
•グローバル・マクロおよび絶対収益投資の
の経験を有する
•投資業務経験年数17年
経験を有する
•投資業務経験31年
担当: グローバル・マクロおよびレラティブ・
バリュー・トレード
担当: グローバル・マクロおよびレラティブ・
バリュー・トレード
ニコラス・J・ジョンソン
マネージング・ディレクター
ロレンツォ・パガーニ、Ph.D.
マネージング・ディレクター
•リアル・アセットおよびレラティブ・バリュー
•欧州国債および欧州金利デスクの統括責任者
•投資業務経験13年
投資経験を有する
•投資業務経験12年
担当: 債券レラティブ・バリュー
担当: リアル・アセットおよび
レラティブ・バリュー
ポートフォリオ・アナリティクス
クライアント・アナリティクス
リスク管理
ラビ・K・マットゥー
マネージング・ディレクター
ジャミル・バズ
マネージング・ディレクター
ウィリアム・G・デレオン
マネージング・ディレクター
•アナリティクスのグローバル統括責任者
•投資業務経験34年
•クライアント・アナリティクスの統括責任者
•投資業務経験30年
•ポートフォリオ・リスク・マネジメントの
グローバル統括責任者
•投資業務経験26年
ピムコジャパンリミテッドが提供する投資信託商品やサービスは、日本の居住者であり、かつ法律による制約のない方に対して提供するもので
あり、かかる商品やサービスが許可されていない国・地域の方に提供するものではありません。
過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。本資料には、本資料作成時点でのPIMCOの見解が含まれていますが、
その見解は予告なしに変更される場合があります。本資料は情報提供を目的として配布されるものであり、投資助言や特定の証券、戦略、もしく
は投資商品の推奨を目的としたものではありません。本資料に記載されている情報は、信頼に足ると判断した情報源から得たものですが、その
信頼性について保証するものではありません。
「リスク・フリー」資産とは、理論上、将来、一定のリターンが見込まれる資産をいいます。米国債は、米国政府の保証があるため、通常「リスク・フリー」
とみなされます。全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。
特定のチャートやグラフに示される実績は、特定の期間のものであり、期間が異なる場合には異なった結果が得られる可能性があります。チャー
トは例示を目的とするものであり、PIMCOグループの過去及び将来のいかなる商品のパフォーマンスを示すものでもありません。
債券市場への投資は市場、金利、発行者、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値
は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い
傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落し、現在のような低金利環境ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンター
パーティーの取引能力の低下が市場流動性の低下や価格変動制の上昇をもたらす可能性があります。債券への投資では換金時に当初元本を
上回ることも下回ることもあります。株式の価値は一般的な市場、経済、産業の実体と見込み両方の状況によって減少する可能性があります。
外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、新興成長
市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。為替レートは短期間に大きく変動する場合があり、ポートフォリオのリターンを減少さ
せる可能性があります。ソブリン証券は通常、発行体政府によって保証されています。米国政府機関の債務は米国政府からさまざまな形で支援を
受けていますが、政府による全面的な保証は付与されないことが一般的です。こうした証券に投資するポートフォリオに対する保証はなく、ポー
トフォリオの価値は変動します。政府が発行する物価連動債(ILB)は、元本価値がインフレ率に連動して定期的に調整される債券です。実質金利
が上がった場合、物価連動債(ILB)の価値は減少します。インフレ連動国債(TIPS)は、米国政府が発行する物価連動債(ILB)です。コモディティは
市場、政治、規制、自然などの条件により高まるリスクを伴い、全ての投資家に適しているとは限りません。不動産投資信託(REIT)は、運用不振、不
利な税法改正、収益非課税パススルーが認められない等のリスクを伴います。モーゲージ担保証券や資産担保証券は金利水準の変化に対する
感応度が高い場合があり、期限前償還リスクを伴い、また、一般的には政府または民間保証機関による何らかの保証が付されていますが、民間
保証機関が債務を履行する保証はありません。高利回りで低格付けの証券はより高格付けの証券よりも高いリスクを伴います。また、それらへ投
資しているポートフォリオは投資していないポートフォリオに比べてより高いクレジット・リスクと流動性リスクを伴う場合があります。担保付き
バンクローンの担保が実行されても借り手の債務を満たす保証はなく、また担保が実行される保証もありません。本資料で言及した投資戦略
が、あらゆる市場環境においても有効である、またはあらゆる投資家に適するという保証はありません。投資家は、自らの長期的な投資能力、特
に市場が悪化した局面における投資能力を評価する必要があります。投資判断にあたっては、必要に応じて投資の専門家にご相談ください。
アルファとは、リスク調整後の運用成績を計る指標であり、ポートフォリオのリスク調整後の運用成績のボラティリティ
(価格変動リスク)とベンチ
マーク・インデックスを比較することによって求められます。つまり、ベンチマークに対する超過リターンがアルファを構成します。アルファはプラ
スの場合もマイナスの場合もあります。ベータとは、市場変動に対する価格の感応度を計る指標であり、マーケット・ベータは1と定義されます。相
関とは、2つの証券が相互にどう動くのかの統計的尺度です。スマート・ベータとは、伝統的な時価総額加重型インデックスよりも優れたリスク・リ
ターンのトレードオフを実現するために設計されたベンチマークを意味します。
MSCI EMU(欧州経済通貨同盟)インデックスとは、EMU内諸国の株式のパフォーマンスを計測するための、浮動株調整された時価総額加重イン
デックスです。MSCI EMUインデックスを構成する国は、オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、
ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、
オランダ、ポルトガル、スペインのEMUに加盟する11の先進国です。モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)U.S.インデックス
は、約325の銘柄からなる時価総額加重のインデックスで、概ね米国の市場構造を表しています。このインデックスは、米ドルベースと現地通貨
ベースで、配当金無し、グロス配当金から推定税額控除後の再投資、グロス配当金再投資の3種類が計算されています。インデックスに直接投資
することはできません。
運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、デリバティブ取引等の価値、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体
の財務状況や信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動による影響も受けます。したがって投資元本や
一定の運用成果が保証されているものではなく、損失をこうむることがあります。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。弊
社が行う金融商品取引業に関してお客様にご負担頂く手数料等には、弊社に対する報酬及び有価証券等の売買手数料や保管費用等の諸費用
がありますが、それらの報酬及び諸費用の種類ごと及び合計の金額・上限額・計算方法は、投資戦略や運用の状況、期間、残高等により異なるた
め表示することができません。
PIMCOは、アリアンツ・アセット・マネジメント・オブ・アメリカ・エル・ピーの米国およびその他の国における商標です。THE NEW NEUTRALは、
パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーの米国およびその他の国における商標です。
本資料の一部、もしくは全部を書面による許可なくして転載、引用することを禁じます。本資料の著作権はPIMCOに帰属します。2016年
(注)PIMCOはパシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーを意味し、その関係会社を含むグループ総称として用い
られることがあります。
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業協会、 一般社団法人 投資信託協会
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