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アジア市場めざすカナダのLNGプロジェクト~シェールガス開発計画の

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アジア市場めざすカナダのLNGプロジェクト~シェールガス開発計画の
石油エネルギー技術センター
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レポ
ポー
ートト
第 26 回
2011年度
平成 24 年 1 月 6 日
アジア市場めざすカナダの LNG プロジェクト
~シェールガス開発計画の進むカナダも新たな LNG 供給国に~
アジア向け LNG の新たな供給源としては、豪州とパプアニューギニア(PNG)、カタール
が代表的なものだが、シェールガス開発計画の進むカナダも新たな LNG 供給国として注目
されており、2011 年 10 月には西海岸の Kitimat LNG プロジェクトがカナダ国家エネルギ
ー委員会(NEB:National Energy Board)から LNG 輸出認可を受けた。また、日本を始め
中国や韓国、さらにマレーシアなどアジア各国のエネルギー関連企業はカナダにおける
LNG 輸出プロジェクトを視野に入れながら、シェールガス開発プロジェクトに続々と参加
している。
本レポートでは、これらのカナダにおけるシェールガス開発・LNG 輸出プロジェクトの
現状について報告する。
1.期待されるカナダのシェールガス資源
今世紀に入って米国の天然ガス生産を大きく押し上げたシェールガス革命は、カナダへ
も飛び火しており、本格的な開発が始まろうとしている。
カナダのシェールガス資源は、388 兆 cf(立方フィート)とされており、世界的にみて
もポテンシャルはかなり高い(表– 1 参照)。
カナダの天然ガス生産はイランやカタールを大きく上回り、ロシア、米国に次いで世界
第 3 位の位置にある。しかし、2007 年以降、米国が大幅な生産増を記録し始めたのと対照
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的に、カナダのガス生産は 2000– 2006 年をピークに減退傾向を示し始めており(図– 1 参
照)、在来型ガス資源の生産減をシェールガス開発により補うことが期待されている。
(単位:10 億 cf / d)
カナダのシェールガス資源は、西部のブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州、東
部のケベック州、ノバスコシア州、ニューブラウンズウィック州などに拡がるが、特にブ
リティッシュ・コロンビア州およびアルバータ州のシェールガスについて、
パイプラインで
西部沿岸に輸送し、LNG として輸出する可能性が追求されている。
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2.カナダ西海岸の LNG 輸出プロジェクト
カナダから日本への LNG 輸出計画は、実に 30 年ぶりのことになる。1980 年代初め、Dome
Petroleumと日商岩井
(NIC Resources)
が中心となり、
ブリティッシュ・コロンビア州Prince
Rupert の北 30km に位置する Grassy Point に LNG プラントを建設し、
中部電力、
九州電力、
中国電力、大阪ガス、束邦ガスの 5 社に LNG を供給するという「Western LNG プロジェク
ト」が進められた。結局、この計画は資金調達や採算性などの問題から頓挫することにな
ったが、米国を震源とする「シェールガス革命」の余波を受け、カナダの LNG 輸出プロジ
ェクトが復活を遂げることになった。
カナダの天然ガスは国内消費とともに米国への輸出が大きいが、米国のガス需要および
価格の動向がカナダ LNG プロジェクトの成否を決定するといっても過言ではない。アジア
向け LNG の価格と米国市場のガス価格との乖離が大きければ、LNG 事業は成立する。また、
カナダ西海岸からアジアへの距離は豪州と大差なく、カナダの政治的なリスクは極めて低
い。課題が残るとすれば、シェールガス開発に伴う環境問題とガス輸送に対する住民の反
発がどの程度あるかということになる。
(1) Kitimat LNG 輸出プロジェクト
カナダを含む北米地域では、LNG 輸入プロジェクトが乱立した時期もあったが、「シェ
ールガス革命」で様相が一変、ブリティッシュ・コロンビア州では LNG 輸入計画から LNG
生産・輸出計画へ 180 度の方針転換したプロジェクトも出現している。それがアジア市場
向け LNG 輸出プロジェクトとして、最も実現に近づいている同州北西部の Kitimat 港で計
画されている Kitimat LNG 生産・輸出プロジェクトである。当初年間 500 万トンでスター
トし、最終的には倍増して年産 1,000 万トンとすることも検討されている。Kitimat LNG
プロジェクトは、実現すればカナダ初の LNG 輸出事業となり、カナダのシェールガスが日
平方マイル
本や韓国、中国などアジア市場へ初めて輸出されることになる。
同プロジェクトを推進するのは、オペレーターの Apache Canada が 40%、EOG Resources
Canada と EnCana が各30%を出資するKitimat LNG(KM LNG)
Operating General Partnership
である。KM LNG は 2010 年 12 月、NEB に対して 20 年間の LNG 輸出許可申請書を提出して
いたが、2011 年 10 月に輸出ライセンスを取得、LNG 生産・輸出プロジェクトの実現に向け
て大きく動き出している。
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すでに KM LNG は、電気駆動の液
化プラントを中心とする LNG 基地
の基本設計(FEED)を KBR に発注
して作業を開始しており、近く最
終投資決定(FID)を経て本格的な
建設準備に入るものとみられてい
る。順調にいけば、2015 年に操業
を開始する。
ガスの供給源は、パートナー各
社がブリティッシュ・コロンビア
州およびアルバータ州で開発する
シェールガス田となる。天然ガス
は、
Pacific Trail Pipelines(PTP)
Limited Partnership が建設する
総延長 463km・口径 36 インチの地
下パイプラインで輸送される。同
パイプラインは、Summit Lake で
Spectra Energy のパイプラインシ
ステムとリンクし、Horn River や
Montney のシェールガスを西海岸
の LNG 生産プラントに供給する
(図-2 参照)。
(2) Douglas Channel LNG 輸出プロジェクト
Kitimat 港では年産 90 万トンという小規模な Douglas Channel LNG 輸出プロジェクトも
計画されている。小規模 LNG チェーンを中心とする米国テキサス州のベンチャー企業であ
る LNG Partners 傘下の Energy Partnership(DCEP) が推進している計画で、Haisla Nation
(先住民)の HN DC LNG LP(HNLP)も参加している。同プロジェクトも 2011 年 3 月に NEB
に対して輸出許可申請書を提出している。
LNG 液化プラントはバージ式(洋上)となる見込みで、電気駆動のコンプレッサーを使
用し、LNG バッファータンクや電力供給のためのサブステーションなどのサポート施設は、
陸上に置かれてバージプラントと結ばれる。
液化プロセスには、中小規模の LNG プロジェクト向けに中国などで実績をあげている
Black & Veatch(B&V)の Poly Refrigerant Integral-Cycle Operation(PRICO)プロセ
スを採用することになっており、2011 年 3 月から B&V が FEED 作業を進めてきた。
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DCEP によれば、液化能力は年間 90 万トンだが、当初は、Pacific Nothern Gas のガスパ
イプライン輸送量の割当に基づくガスの供給を受け、
年間 70 万トン程度で操業する計画だ
という。
(3) Shell と日中韓共同のカナダ LNG 輸出プロジェクト
2011 年 10 月になって、Kitimat に新たな LNG 計画が加わることになった。三菱商事およ
び韓国ガス公社(Kogas)、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)と共同でアジア向け LNG
輸出プロジェクトを検討していた Shell が、4 社を代表して、Kitimat での LNG 輸出プロジ
ェクト実現に向け、Cenovus Energy(CVE)から液化プラントサイトを取得することに合意
したのである。
また、Shell は、Kitimat の北西に位置する Prince Rupert でも LNG 輸出プロジェクトを
検討しているが、現在は Kitimat での計画に集中しているという。ただ、計画は初期段階
であり、実現は 2015 年以降になるものとみられる。
Shell が取得することになった用地では現在、CVE がターミナルを保有し、オイルサンド
からのビチューメンをパイプラインで輸送可能とするための希釈剤用に軽質コンデンセー
トを輸入している。CVE は、Shell の LNG 輸出計画が具体化するまでコンデンセートの輸入
を継続するが、これが 2015 年頃までは続くとしていることからも、Shell の LNG 輸出計画
はそれ以降ということになる。
Shell と三菱商事は世界各地の LNG 事業で緊密な関係を築いており、これにアジアの有
力な LNG オフテイカー2 社が連携してカナダでの LNG 輸出プロジェクトを進めることにな
ったことになる。
Kogas は、いうまでもなく世界最大の LNG オフテイカーであると同時に、カナダにおい
て EnCana の Montney と Horn River シェールガス権益をもつガス開発事業者でもある。三
菱商事との間では LNG 生産を含む天然ガス事業でのパートナー契約を結んでおり、三菱商
事が Penn West Exploration(PWE)と共同で進めている Cordova 堆積盆地のシェールガス
開発にも参加している。
CNPC は、海外での天然ガス生産– LNG 生産・輸出– 中国での LNG 輸入– パイプラインガ
ス供給というバリューチェーン確立を目指している。また、同社と Shell は中国における
シェールガスを含む天然ガス開発事業で提携しており、豪州では合弁の LNG プロジェクト
を進めている。
(4) Petronas のカナダ LNG 輸出プロジェクト
マレーシアの Petronas もカナダにおけるシェールガス開発– LNG 生産・輸出プロジェク
トへ向けて動いている。
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同社は 2011 年 8 月、カナダ Progress Energy Resources のシェールガス鉱区の権益 50%
を買収するとともに、生産したガスを液化・輸出する LNG プラント建設の FS を 2011 年 9
月から 1 年をかけて実施することにも合意した。ガス開発の権益は折半だが、LNG 事業は
Petronas が 80%の権益を持ち、液化プラントは年産 380 万トン・2 トレインを想定してい
るという。Progress では事業の承認からプラント建設まで 5-8 年を要するとしている。
いうまでもなくマレーシアは世界有数の LNG 生産・輸出国であり、そのマレーシアが LNG
を輸入するという背景には、マレー半島部とサラワクで事情が大きく異なるという事情が
ある。ガス消費の中心となるマレー半島では、ガス需要拡大と沖合ガス田の生産減尐が顕
著になり始めており、すでにインドネシアからパイプラインガスの輸入を開始している。
同国政府は、2020 年までに先進国入りを目指すという「Vision 2020」に向けた基本政
策を確定、経済変革プログラム(ETP)第 6 章で石油・ガス分野の成長戦略を描いている。
それによれば、今後、石油と天然ガスの生産減尐に対応するとともに、マレーシアをアジ
アにおける主導的な石油・ガスのハブとし、新たなガスベースの産業育成に向けてカナダ
等から LNG 輸入を開始するとしている。
すでに Petronas と傘下の Petronas Gas はマレーシアで LNG 輸入ターミナル建設と LNG
輸入の作業を開始している。LNG 輸入の第 1 ターミナルは、ガス供給不足に対応するため、
2012 年 7 月頃の操業開始を目指し、マレーシアの Melaka(Port Dickson)に建設される。
輸入ターミナルは浮体式(FSU)となり、Technip と WorleyParsons が FEED を実施した。
輸入規模は年間 380 万トンで、気化ガスは Peninsular Gas Utilisation(PGU)パイプラ
インで輸送し、Tenaga Nasional Bhd(TNB)のガス火力発電プラントなどで使用する。ま
た、第三者による LNG 持ち込みも検討されており、フリーアクセスが可能なものになると
いわれる。
続く第 2 ターミナルはマレーシア Johor 州 Pengerang に建設する計画で Malacca と同様
に FSU とし、規模も同程度、2015– 2016 年頃の操業開始を目指している。さらに Sabah 州
Lahad Datu で第 3 ターミナル、
Perak 州 Lumut で第 4 ターミナルの建設が検討されている。
LNG 購入先に関しては、既に 2011 年 7 月にカタール Qatargas との間で年間 150 万トン
の輸入に基本合意している。2011 年 5 月には GDF Suez と 2012 年 8 月から 3 年半にわたり
250 万トンの LNG を供給する中期売買契約に調印した。第1ターミナルの立ち上がりに入
れるものとみられる。
尚、Petronas は早くから海外事業を展開しており、その中には多くの LNG 関連プロジェ
クトも含まれている。Santos と共同開発する豪州 Gladstone LNG(GLNG)プロジェクトか
らも第 1 ターミナルに年間 350 万トン(第 1 トレインから 230 万トン、第 2 トレインから
120 万トン)の LNG を供給する。
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3.アジア勢のカナダでの天然ガス開発事業への参画
これまでアジア企業のカナダ事業といえばアルバータ州のオイルサンド開発がほとんど
で、日本は 1978 年から Japan Canada Oil Sands (JACOS)が開発に取り組んできた。
中国勢は 2005 年以降、CNOOC が MEG Energy の一部株式を買収したのに続き、最近では
OPTI Canada を全面買収、CNPC は、Athabasca Oil Sands Corp.(AOSC)から Mackay River
と Dover オイルサンド開発の権益 60%買収、アルバータ州の 11 のオイルサンド・リース
鉱区取得、Sinopec は、Syncrude の一部株式買収、Synenco Energy から Northern Lights
オイルサンド開発の権益 50%買収、Enbridge のオイルサンド由来原油を輸出する Gateway
Pipeline 計画へ参加など、ここ 6 年でカナダ・オイルサンド開発への取り組みを拡大して
きた。
韓国勢も石油公社(KNOC)が Newmont Mining から BlackGold オイルサンド鉱区を買収し
たのに続き、Harvest Energy Trust 買収でカナダ・オイルサンド事業を強化している。
こうしたオイルサンド開発に続いて 2010 年以降、アジア企業は生産したガスの液化・輸
出プロジェクトも視野に入れながら、カナダのシェールガス開発に続々と参入している。
(1) 日本
① 国際石油開発帝石/日揮
日本勢では 2011 年 11 月、国際石油開発帝石 (INPEX)と LNG プラント分野で豊富な実績
を有する EPC コントラクターである日揮が共同出資するカナタ法人の INPEX Gas British
Columbia が、カナタ Nexen かブリティッシュ・コロンビア州北東部の Horn River、Cordova
および Liard の各地域に保有するシェールカス鉱区の権益 40%を取得することについて基
本合意している。うち、Horn River 地域の鉱区では、すでにガス生産を開始しており、今
後、 Horn River、Cordova 両地域の鉱区で本格的な開発作業を進めるとともに Liard 地域
の鉱区についても開発に向けて作業を進める。生産したガスは LNG として日本へ持ち込む
ことも検討していく。
② 三菱商事および日本各社
アジア企業が参画しているブリティッシュ・コロンビア州のガス開発事業で代表的なの
ものは、Penn West Exploration(PWE)と共同で進めている Cordova 堆積盆地のシェール
ガス開発プロジェクトである。同鉱区のシェールガス埋蔵量は 5 兆-8 兆 cf に達すると見
積もられており、生産開始は 2014 年を予定、日量 5 億 cf(LNG 換算で年間 350 万トン)規
模の生産を目指す。
同事業は、三菱商事傘下の Cordova Gas Resources(CGR)が PWE と折半出資で進めてい
たが、2011 年 5 月に中部電力・東京ガス・大阪ガスに対して CGR の株式を各 7.5%譲渡し
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たほか、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が CGR の持ち株会社である三菱商事
子会社の Shale Gas Investment への出資を通じて間接的に CGR に出資し、5 者による日本
コンソーシアムを結成している。
(2) 韓国
① 韓国ガス公社(Kogas)
三菱商事は 2011 年 6 月、
前述した Cordova シェールガス開発の権益の一部を Kogas に譲
渡した。同プロジェクトの現在の事業権益比率は、オペレーターの PWE が 50%、三菱商事
が 30%、Kogas が 5%、中部電力、東京ガス、大阪ガス、JOGMEC が各 3.75%となっている。
これに先立ち、三菱商事と Kogas は 2011 年 2 月、カナダや豪州におけるシェールガスな
どの非在来型ガス開発での協力を含むガス事業の戦略提携に合意している。ちなみに、両
社はインドネシア Donggi-Senoro LNG プロジェクトに続いてガスソースとなる
Senoro-Toili ガス田開発でも協力することに合意しており、ガス開発から LNG 事業まで一
貫した協力関係を築いている。
また、Kogas は、Cordova の事業参入以前にも、EnCana と Montney および Horn River に
ある 3 つのガス田を共同で開発することに合意している。
ところで、シェールガス開発ではないが、Kogas は 2011 年 1 月、カナダ MGM Energy と
の間で、
MGM が 60%の権益を保有する北極圏 Mackenzie Delta の Umiak SDL 131 の権益 20%
を買収することで合意、2020 年からの生産開始を目指すことを明らかにしている。同鉱区
からは年間 145 万トン相当の LNG の確保が期待でき、LNG プラントの建設なども計画して
いるという。
Mackenzie Delta の天然ガスを消費地に届けるパイプラインとして、1970 年代から
Mackenzie Valley パイプラインの構想があるが、このマイナーシェア保有者である Shell
の権益売却に伴い、Kogas が買収に興味を示していると伝えられている。Imperial Oil、
Aboriginal Pipeline Group、ConocoPhillips、ExxonMobil が参加する同パイプライン計
画は、北西準州の Beaufort 海域からアルバータ州に至るという遠大なプロジェクトで、計
画は長期にわたって遅延している。最近になって、連邦政府がゴーサインを出してはいる
が、実現にこぎ着けるのは容易ではない。
結局のところ Kogas がこの地域のガス開発に本腰を入れるとすれば、Mackenzie Delta
周辺、例えば Tuktoyaktuk 近郊などでの LNG プラント建設が最適のプランになるが、自然
環境は過酷であり 10 年単位の長期計画になるものとみられる。
② STX Energy
韓国勢のカナダにおけるガス関連事業としては、STX Energy による Maxhamish ガス田買
収などもある。同ガス田はブリティッシュ・コロンビア州にあり、EnCana が 100%の権益を
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保有していたが、STX が 1 億 4,400 万ドルで全権益を買収した。STX 経営陣は、独自に LNG
プラントを建設することはないが、生産したガスはいずれかの LNG プロジェクトに送って
輸出する意向だと述べている。
(3)マレーシア
① Petronas
前述したようにマレーシア Petronas もカナダのシェールガス開発事業へ参入している。
同社は、傘下の Petronas International(PICL)を通じてカナダ Progress Energy Resources
とブリティッシュ・コロンビア州北東部の Altares、Lily、Kahta シェールガス鉱区(North
Montney)の開発に向けた戦略的協力協定を締結、3鉱区の権益 50%を総額 10 億 700 万カ
ナダドルで買収することに合意し、8 月に契約を完了した。買収した鉱区の合計面積は
607km2 で、推定埋蔵量は合計約 15 兆 cf と見積もられている。鉱区権益買収とともに、LNG
生産・輸出プロジェクトの FS にも合意している。
(4) 中国
① 中国石油化工集団公司(Sinopec)
中国石油化工集団公司(Sinopec)は 2011 年 10 月、傘下の中石化国際石油勘探開発有限
公司(SIPC)を通じてカナダ Daylight Energy の全株式を 22 億カナダドル(21 億米ドル)
で買収することに合意した。Daylight の中心的な資産は、アルバータ州北西とのブリティ
ッシュ・コロンビア州北東における 69 の油ガス田。特に、同社はシェールガスをカナダ西
海岸で計画されている LNG 輸出プロジェクト向けに供給することが期待されている。
② 中国石油天然ガス集団公司(CNPC)
中国において CNOOC を追って LNG 事業を展開する CNPC は、海外での天然ガス生産– LNG
生産・輸出から中国での LNG 輸入– パイプラインによるガス供給というバリューチェーン
確立を目指している。カナダにおいては EnCana との間で、ブリティッシュ・コロンビア州
とアルバータ州の境界周辺に位置する Cutbank Ridge シェールガス共同開発に基本合意し
て協議を進めてきたが、最終的な条件の折り合いがつかず撤退した。54 億ドル規模という、
実現すれば CNPC にとって最大級の海外資産買収であり、
同社のシェールガスに対する並々
ならぬ関心を伺うことができる。
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石油エネルギー技術センター
<参考>
http://www.kitimatlngfacility.com/
http://douglaschannelenergy.com/
http://www.pacifictrailpipelines.com/
World Shale Gas Resources
U.S. Energy Information Administration
East & West Report 各号 東西貿易通信社
本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、分析
したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは [email protected]
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