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カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決

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カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
Transfer Pricing Taxation in Canada and Glaxo Case
望 月 文 夫
MOCHIZUKI, Fumio
注目すべき事件である。
Ⅰ はじめに
本稿は、カナダにおける移転価格税制の適
Ⅱ カナダの移転価格税制
用に関する近年の動向を紹介・分析するもの
カナダの移転価格税制は、執筆日現在、主
である。カナダは、移転価格税制の母国であ
に 所 得 税 法16編247条 に 規 定 さ れ て い る6)。
る米国の隣国であることから、米国の経済的
247条1項は、独立企業間価格などの定義規
影響が非常に大きい一方、日本との関係はさ
定を置いている。同条2項は、移転価格の調
ほどではないこともあり、わが国における研
整を行うための計算について規定している。
究成果はそれほど多くない 。
移転価格の調整は、関連者間取引における対
1)
しかし、カナダは米国の強い影響下で多く
価の額が、同様の取引を行う第三者間取引に
の移転価格課税事案を有している
が、その
おいて合意される金額と異なる金額と基本的
制度は日本同様、OECD移転価格ガイドライ
に等しい額とするとされる。同条3項はペナ
ンに準拠しており、米国の制度3)とは一線を
ルティの計算規定である。ペナルティは、移
画している。その意味で、今後の日本の移転
転価格の調整額が500万ドルと納税者の総収
価格税制の制度構築などの面で参考になる。
入額の10パーセントのいずれかの少ない額を
以下では、カナダにおける移転価格税制の
超えた場合にのみ適用される。ペナルティは、
概要を概観した後、Glaxo事件について検討
納税者が移転価格の算定のために合理的な努
を加えることとする。その際、カナダの制度
力を怠ったことに対して、移転価格の調整額
がOECD移転価格ガイドラインに準拠してい
の10パーセントの額となる。つづいて、同条
ることから、必要に応じ同ガイドラインにも
4条は、同時文書化を規定している。また、
触れることとする。
同条11項においては、152条、158条、159条、
カナダにおける移転価格税制は、本事件係
162条から167条およびJ章の規定が所得税法
争年度においては所得税法69条2項に規定さ
16編に適用されると規定されている。これは、
れている 。カナダの移転価格税制は、国際
247条が1998年以降の事業年度に適用される
課税規範5)であるOECD移転価格ガイドライ
が、これらの罰則規定は1999年以降の事業年
ンに準拠していることから、日本においても
度に適用されることを意味する。この他、所
2)
4)
キーワード:移転価格税制、OECD移転価格ガイドライン、Glaxo事件
Key words :transfer pricing taxation legislation, OECD transfer pricing guidelines, Glaxo case
― 121 ―
埼玉学園大学紀要(経営学部篇) 第11号
得税法251条には、関連者の定義および要件
る。
」としている。これを受けて、パラ52に
が規定されている。
おいて「OECD移転価格ガイドラインの第2
ところで、カナダ歳入庁
(Canada Revenue
章および第3章の、パラ2.49、同3.49および
Agency:CRA)は、所得税法247条の規定を
3.50は、つぎのように述べている。
受 け て、CRA情 報 通 達(CRA Information
・伝統的取引基準法は、取引単位利益法より
7)
Circular)87-2R
を定めており、移転価格
も優先度が高いこと、かつ、
算定方法については、1995年OECD移転価格
・取引単位利益法は、伝統的取引基準法が適
ガイドラインとほぼ同様の規定を置いている
用できるがその結果に信頼性がない場合また
8)
。すなわち、87-2Rの1.イントロダクショ
はまったく適用できない場合に、最後の手段
ンのパラ3において、
「本通達は、移転価格に
として適用される。カナダ当局は、この考え
関するCRAの見解を明らかにするとともに、
方に従う。
」と基本三法の優位性を明示する。
1995年OECD移転価格ガイドラインに関する
そして、パラ53では、
「CUP法が明確に取引
CRAの考え方を記載する。
」とし、続くパラ
基準法として優れている。
」としつつも、パ
4において、
「OECD移転価格ガイドラインは、
ラ54で「RP法とCP法の方がCUP法よりもよ
本通達2章から6章における原則のより詳細
り信頼できる場合もある。
」としている。
な議論のために参照しなければならない。
」
このように、カナダ当局は通達87-2Rによ
と規定することにより、カナダの歳入官庁と
り、1995年OECD移転価格ガイドラインを順
して、1995年OECD移転価格ガイドラインを
守する立場を明確にし、同ガイドラインに準
順守することを宣言している。
拠した執行を行うことを明らかにしている9)。
通達87-2Rの第3章は、
「算定方法-独立企
業原則の適用」について記載されており、パ
ラ47に お い て、「 所 得 税 法247条 は、1995年
OECD移転価格ガイドラインに記載された独
Ⅲ Glaxo事件の事案の概要と争点
1 事案の概要と裁判所の判断
(1)事案の概要-Gとグラクソグループとの
取引
立企業原則を反映することを意図している。
」
とし、パラ48においてOECD移転価格ガイド
Gは、英国を本拠とするグラクソグルー
ラインが認容した基本三法と取引単位利益法
プ10) の100%カナダ関連者である。グラクソ
(TNMMおよび利益分割法)を記載している。
グループは、抗胃潰瘍薬ザンタックの製造販
つぎにパラ49において、
「所得税法247条は、
売を行っていたが、その商標権(trademark)と
移転価格算定方法について明示的な優先順位
活 性 物 質(active pharmaceutical ingredient:
は付しておらず、また独立企業原則を満たす
API. 以下、
「活性物質」または「原薬」という。
)
ための算定方法を義務付けているものでもな
の特許権をグラクソグループが所有している。
い。しかし、カナダ当局はこれら算定方法に
Gは、スイスに所在する国外関連者Aから原
は当然に優先順位があると考えており、関連
薬であるラニチジン11)を仕入れ、これを錠剤
者間取引と非関連者間取引の比較可能性の程
などの製剤を行うとともに包装するなどして、
度により、特定の算定方法が他の方法よりも
カナダ国内で販売を行っていた。
より信頼性の高い結果をもたらすと考えてい
製薬会社における製造活動は二つの段階に
― 122 ―
カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
区分される。第一に、医薬品の活性物質を製
ハ.グラクソグループがカナダ環境に適合
造することである。そして、第二は、これら
し、また厚生当局に提出するために用
の活性物質から錠剤、注射薬などにした上で
意した登録材料の使用
包装し製品化することである。
ニ.薬効追加を含む新製品の取り扱い
グラクソグループで第一の製造活動を行っ
ホ.医薬品改良の取り扱い
ているのは、グラクソグループ内のシンガ
へ.グラクソグループが所有する原材料を
ポール 関 連 者 のGlaxo Pharmaceuticals
(Pte)
Gに販売してもらう権利
Ltd.(以下、
「GS1」という。
)と英国関連者の
ト.マーケティング・サポート
Glaxochem Ltd.(以下、
「UK1」という)である。
チ.特許侵害行為から生じる損失に対する
補償
これらの活性物質は、グループ統一価格で、
スイスのAとシンガポールのGlaxo Far East
(以下、
「GS2」という。
)に販売される。これ
(2)GSKの国際的租税回避スキーム
ら2社は、全世界のそれぞれの国(地域)に
Aはスイス当局との間で、4パーセント以
ある関連者および第三者に活性物質をそれぞ
上の利益を計上し、これに基づく納税を行う
れ異なる価格で販売している。
ことで合意した。一方、GS1はシンガポール
1983年、GはAとの間でラニチジンの売買
における租税優遇措置を1982年からの10年間
に関して供給契約書(1983年10月1日付)を
受け、10年間の免税期間が終了した後、税率
締結し、GはAからラニチジンを仕入れるこ
は10パーセントとなるとされた。
ととし、取引価格はGの売上総利益率が60
このように、スイスとシンガポールを取引
パーセント程度となるように毎年改定される
経路とすることで国際的租税回避スキームを
こととしていた。GとAとの間の供給契約書
実現したことになる。
によると、GはAからラニチジンを購入し、
価格を提案(設定)することができるが、最
(3)比較対象取引の概要
終的な販売価格はグラクソ・ホールディング
CRAは、カナダ国内のジェネリック製薬会
が決定することとされていた。
社であるBおよびCが第三者からラニチジン
一方、Gは英国のグラクソグループとの間
を仕入れる取引を本事案の比較対象取引とし
で、グラクソグループが取扱う製品に係るラ
て選定した。カナダでは、たとえ特許期間中
イセンス契約書(1988年7月1日付)を締結
であっても、特許権者に対して4パーセント
し、つぎに掲げる役務提供および無形資産の
の使用料を支払うことによって、ジェネリッ
対価として純売上高の6パーセントの使用料
ク医薬品のマーケティングおよび販売を行う
を、Gはグラクソグループに対して支払うこ
ことができる。この点、日本のように、特許
ととしている。
権期間中は競合品の販売を認めないこととし
イ.ザンタックをはじめとするグラクソ製
ている国とは大きく異なっている。今回、ラ
ニチジンを仕入れていたBおよびCは、それ
品を製造し、使用し、販売する権利
ロ.ザンタックを含むグラクソグループが
所有する商標を使用する権利
ぞれ1987年と1989年よりザンタックのジェネ
リック医薬品を販売していた。
― 123 ―
埼玉学園大学紀要(経営学部篇) 第11号
ジェネリック医薬品の価格は、ザンタック
状況における合理的なもの」と主張している。
のような先発品よりも安価で販売されるのが
Gは、グラクソグループのビジネスはジェネ
普通である。通常、最初に販売されるジェネ
リック製薬会社とはビジネスモデルや状況が
リック医薬品は、先発品の80から85パーセン
比較可能ではないと主張している。また、グ
トの価格で上市され、次に販売されるジェネ
ラ ク ソ グ ループ 関 連 者(GS1お よ びGUK1)
リック医薬品はそれより少し安価で市場参入
が製造したラニチジンは、健康、安全性、環
する。
境といったグラクソグループ独自で設定した
このような状況の下、GがAから購入した
基準(以下、
「グラクソ基準」という。
)で製
ラニチジンの価格とB・Cが第三者から購入
造されたものであり、第三者が製造したラニ
したラニチジンの価格(1kg当たり)は以下
チジンとは比較可能性がないとも主張した。
の通りである。
また、Gは売上総利益率(61.7パーセント)
を 根 拠 にRP法 の 適 用 を 主 張 し た。 そ し て、
課税年度
B・Cの購入価格
Gの購入価格
これを基準としてグラクソグループからラニ
1990年
292-304ドル
1,512ドル
1991年
244-289ドル
1,575ドル
チジンを購入する欧州各国の販売会社
(13社)
1992年
220-253ドル
1,635ドル
1993年
194-248ドル
1,651ドル
の売上総利益率45.8~82.4パーセントの中か
ら中位値62パーセントを計算し、Gは独立企
業間価格でラニチジンを購入していると主張
₃.租税裁判所(第一審)の判断
した。
(1)はじめに
租税裁判所(Tax Court of Canada)
は、2008
(3)CRAの主張
年5月30日にCRAの課税処分を維持する判決
CRAは、Gがカナダにおける所得を最少化
を下した 。以下、当事者の主張と裁判所の
するためにラニチジンの合理的対価を支払わ
判断について概要を述べる。
ず、低税率国に所得を移転していると主張し
なお、租税裁判所係争中、租税裁判所から
た。
Gに対してAに対する対価をCUP法の点で検
つぎに、CRAは、供給契約書上価値が認め
証するため、ラニチジンに関する国外関連者
られるのはラニチジンだけであり、OECD移
作成の資料を求め(2003年6月3日付命令)
、
転価格ガイドラインに基づいてCUP法を優先
Gは提出したが、租税裁判所が「その内容は、
適用すべきだとし、BおよびCが第三者から
実質的には裁判所の要求に従っていなかっ
仕入れたラニチジンの価格は、比較対象取引
た。」と判断したとの報道がある 。
となり得ると主張した。
12)
13)
(4)租税裁判所の判断
(2)Gの主張
まず、GはAとの取引価格について、比較
租税裁判所は、GがAに対して支払った原
可能な状況における独立した第三者が支払う
薬の価格が公正市場価格を上回っており、所
価格を密接に反映しており、Gが支払った金
得税法69条2項を適用すべきという当局の主
額は所得税法69条2項の意義における「その
張を認めた。
― 124 ―
カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
租税裁判所は、2002年5月31日スミスクラ
能分析)
、ホ.契約条件における比較可能性、
イ ン・ ビーチャム 事 件 の 控 訴 審 判 決 が、
へ.事業戦略における比較可能性、の6点に
14)
「OECD移転価格ガイドラインは、所得税法
ついて検討した結果として、CRAがCUP法を
69条2項の解釈と適用について共通の根拠を
適用したことは妥当とした。
提供している。」と判示したことを受けて判
なお、GのRP法の主張については、Gが
断を下した 。租税裁判所において、CRAお
販売会社の売上総利益率が高い韓国(75~80
よびGともに、OECD移転価格ガイドライン
パーセント)やポルトガル(76.8~80パーセ
同様、CUP法がもっとも優先適用されるべき
ント)などの取引を含めていなかったことか
算定方法であることで同意していた 。その
ら、恣意的と判断された。
上で、租税裁判所は、本事案について、イ.
租税裁判所は、最後に、差異の調整として、
独立企業間価格を算定するために供給契約書
BおよびCが購入するラニチジンには造粒が
とライセンス契約書を合わせて判断すべきか、
行われていなかったことから、最終的には、
ロ.所得税法69条2項にある「その状況にお
Gが各事業年度においてAから購入したラニ
いて合理的」という語句の意義、ハ.ラニチ
チジンの価格の最高価格に25ドルを加算した
ジンの購入においてグラクソグループの製薬
金額を独立企業間価格とした18)。Gはこの判
基準を考慮すべきか、という3つをどのよう
決を不服とし、2008年6月27日、控訴裁判所
に考えるべきかにより結論が変わってくると
に上訴した19)。
15)
16)
した。
これについて、租税裁判所は供給契約書と
ライセンス契約書とは別個に判断すべきとし、
₄.控訴審における当事者の主張と判決
(1)Gの主張
GがAから輸入する価格が高価か否かを判断
Gの主張の第一は、租税裁判所が所得税法
するだけで足りるとしたのである 。
69条2項の解釈を誤ったというものである。
租税裁判所は、グラクソ基準については、
所得税法69条2項は、次のように規定してい
そもそも各国の厚生当局で一定の基準を設定
る。
し、それをクリアしたものが医薬品として販
「納税者が非居住者との間で資産の使用ま
売することができるのであり、ジェネリック
たは再製造、役務提供などの対価としての価
といえどもカナダ厚生当局の基準を満たして
格、賃借料、使用料その他の支払いを行い、
いることからすると、Gの主張には理由がな
または支払いに合意した場合で、その対価の
く、仮に、グラクソ基準が優れたものだとし
額が両当事者が独立企業であった場合に合理
ても、ラニチジンの化学式はBとCが購入し
的と認められる金額(
「合理的な金額」
)より
たものも同じとした。
も高価である場合、当該納税者の所得金額の
租 税 裁 判 所 は、CUP法 の 適 用 に つ い て
算定上、合理的な金額が支払われ、または支
OECD移転価格ガイドラインを基に、イ.経
払われるべきであるとみなされる。
」
済的比較可能性、ロ.棚卸資産の比較可能性、
Gは、所得税法69条2項が、もしGとAが
ハ.棚卸資産が販売された段階での比較可能
相互に独立企業であったとしたら、合理的な
性、ニ.企業の機能における比較可能性(機
事業家(reasonable business person)として
17)
― 125 ―
埼玉学園大学紀要(経営学部篇) 第11号
Aにいくら支払うべきであったかを裁判所が
また、CRAは、Gがライセンス契約と供給
審理することを指示していると解釈すべきと
契約が不可分であるとしていることに対して、
主張した。
2つの取引を関連付ける証拠がないと主張
そして、所得税法69条2項の解釈において、
し21)、仮にGの主張するように2つの取引を
Gは合理的な事業家としての活動を行ったと
併せて議論すべきだとしても、独立した第三
し、現実問題としてジェネリック製薬会社に
者がカナダにおいてザンタックを販売するた
ラニチジンを提供している企業から購入する
めにGと同額を支払ったであろうことをGは
ことは不可能であったことから、Aから購入
立証していないとした22)。
した価格とそれらは比較可能性がないと主張
した。合理性に関しては、ザンタックが他の
(3)控訴裁判所の判断
ジェネリック医薬品よりも高価で販売されて
カナダ連邦控訴裁判所(The Federal Court
いたことから、その原薬であるラニチジンを
of Appeals of Canada)は、2010年7月26日、
高価で購入すること、そして、将来に渡って
CRAの主張を認めた第一審判決を取り消し、
ブランド医薬品を販売する権利をグラクソか
本事案を租税裁判所に差し戻す判決を下し
ら付与されていること、により達成されると
た23)。控訴裁判所は、租税裁判所が関係当事
した。
者は独立企業間価格で取引していた場合、そ
次に、Gは、租税裁判所が本事案の判決を
のような状況下で合理的であったとされる価
下す際、ライセンス契約書を考慮に入れな
格を決定する際、考慮しなければならない重
かったことを批判した。これは、ライセンス
要な状況(relevant circumstances)を考慮せ
契約書がなければ、Gはグラクソグループが
ずに判決を下した、とした24)。具体的には、
そのブランドを有するザンタックなどの製品
ライセンス契約書を考慮しなかったことに重
を取り扱うことができなかったからであり、
大な誤りがあり、ライセンス契約書を考慮し
これによりAからラニチジンの供給を受け、
ていれば、Aとの取引に係る独立企業間価格
ライセンス契約書の期限が徒過した時点でザ
の算定に際し、重要な状況を排除することは
ンタックを取扱うことができなくなる。この
なかったであろうとした。重要な状況とは、
ことから、租税裁判所がライセンス契約を考
グループのザンタック商標権の所有、ザン
慮しなかったことは、重大な事業状況を無視
タックのジェネリック医薬品に対する価格の
していたことになるとも主張したのである。
優位性、
特許権の所有、
商標権なしにGをジェ
ネリック市場で競争できなかったこと、ライ
(2)CRAの主張
センス契約の下でGが入手できたその他の特
CRAは、Gが自己の購入価格が独立企業間
許権、商標権を有する医薬品のラインアッ
価格であると主張するのなら、その果たす機
プ25)、であった。
能、負担するリスクおよび事業を行う市場に
控訴審は、租税裁判所が69条2項から読み
ついて、非関連者がGと類似の状況下で支払
取れる要件の該当性を誤ったとした。すなわ
いを行うことについて証拠を提出すべきであ
ち、その要件はGとAが独立企業間で第三者
るのに、それをしていないと主張した 。
間取引をしていたとした場合に、Gがラニチ
20)
― 126 ―
カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
ジンの対価として支払った対価がその状況下
ことにより、CRAがOECD移転価格ガイドラ
において合理的であったか否かである。この
イン29)に従った移転価格の算定について国際
判断を行う場合、裁判所は第三者の購入者が
社会での約束を果たせなくなってしまったと
考慮しなければならなかった、あらゆる状況
主張した30)。
を検討しなければならない。この点について、
2011年3月24日、 カ ナ ダ 最 高 裁 判 所 は、
Gは69条2項の課税要件について、これまで
CRAの上告を受理する決定をした31)。カナダ
の連邦裁判決で一般的に扱われてきた事件を
において移転価格課税事案の適否が最高裁に
用いて主張している。これらの判例で示され
上告されるのは、これが初めてのことであ
た要件事実は、第三者購入者がGの立場に
る32)。
立って見たとき、Aからのラニチジンの対価
と同額を支払うべきか否かということを判断
Ⅳ Glaxo事件の意義
するに当たり、検討する状況は何かを考慮す
1.判決についての評釈
べきであるとしている 。
本事件については、第一審判決以降、いく
結論として、第一審は第三者購入者が検討
つかの見解が表明されているので紹介する。
しなければならなかった状況を(本来考慮す
まず、
「経済学上、供給契約書はライセンス
べきであったのに)考慮しなければならな
契約書とは密接不可分のものであることから、
かったのである。換言すれば、その取引に関
ラニチジンの価格を比較することができない
与する当事者の置かれている現実的な経済状
こと、さらにザンタックとそのジェネリック
況を無視して69条2項の該当性の判断はでき
医薬品はそもそもよって立つ市場が異なるこ
ないと判示した27)。
と、などから、そもそも商標権を有するザン
26)
タックとなるラニチジンとジェネリック医薬
(4)最高裁への上告
品となるラニチジンとを比較することはでき
CRAは控訴審判決を不服として、2010年9
ない。
」33)とする見解がある。
月29日、最高裁判所に対して上告受理申立て
つぎに、
「CUP法は理想的な移転価格算定方
を行った。その後、Gも2010年10月22日に控
法ではあるものの、現実にはほとんど適用で
訴審の判決を不服として最高裁に上告を求め
きない。第一審がライセンス契約書を考慮せ
た 。
ずに、供給契約書のみを考慮してCUP法を適
CRAは、上告受理申立ての中で、控訴審判
用したことは、今後議論になるだろう。
」34)
決がOECDにより推奨されている移転価格に
とする見解もある。
対する取引単位のアプローチとは大きく異な
控訴審判決については、まず、カナダの法
る 根 拠 に よ り な さ れ た も の で あ る と し、
律家から、
「控訴審判決は、カナダにおける製
OECDの合意を順守することはCRAだけでな
薬会社の状況を考えれば非常に意義がある。
」
く、納税者であるGを含むGSKにとってもき
と評価するものがある35)。つぎに、
「独立企業
わめて重要であることから、国際課税規範に
間価格の算定を行わなかったことについて、
従って移転価格を算定すべきであると主張し
当事者にとり時間的なコストの問題はあるに
た。また、控訴審が独立企業原則を無視する
しても、Gの事業戦略についてはっきりと言
28)
― 127 ―
埼玉学園大学紀要(経営学部篇) 第11号
及したことを評価する。
」という意見があ
対象とすべきであると主張した。
る 。このGの事業戦略をすべて考慮すべき
一方、CRAと第一審は、直接の取引当事者
というのは、ラニチジンの取引だけを見るこ
であるGとAとのラニチジン取引のみを対象
とは、関連する状況を見ることにならないと
とし、ライセンス契約書は考慮すべきでない
いう主張 である。
とした。
一方、
「控訴審は、どの移転価格算定方法を
筆者は、本事件に対して1995年OECD移転
適用すべきかという指針を示していない。結
価格ガイドラインが国外関連取引の範囲につ
局、このような状況下で適切な比較対象取引
き明確な基準を示していないと考えている。
を見いだすことがきわめて困難であることを
たとえば、OECDガイドラインのパラ1.43では、
36)
37)
示したにすぎない。」 とする見解もある。
「関連者間において別個に締結された取引は、
38)
筆者は、控訴審が1980年代から米国を中心
その条件ガイドライン独立企業の条件に一致
に主張されている独立企業原則の理論的破
するか否かの判断に当たり、まとめて評価さ
39)
綻 に基づいて判断を下したものと理解して
れる場合がある一方、関連者間で一つのパッ
いる。
ケージとして契約された別の取引が、個別の
評価されなければならない場合もあろう。こ
₂.
「その状況下で合理的」の意義
の種の取引は、しばしばパッケージ取引と呼
本事件は、直接的にはカナダ所得税法69条
ばれる。
(中略)税務当局は、パッケージ全
2項における「その状況下で合理的な金額」
体について移転価格が総体として独立企業間
の解釈を争点とするものであるが、関連者間
のものかを検討すべきである。
」とする。
取引のうち直接関連する個別取引だけを考慮
しかし、この記述は、2つの国外関連者間
すべきか、または間接的に関連する包括取引
における棚卸資産取引と無形資産取引が一体
をも含むのか、ということと同義となる。現
化したパッケージ取引の場合、税務当局は事
実の移転価格課税事案において、問題となっ
実関係にかかわらず総体として独立企業間価
た取引を個別に見るべきか包括的に見るべき
格であるかを検討する必要があるとしている
かにより、CRAの課税方法の適否ひいては
のであり、本事件のような4つの当事者が関
1995年OECD移転価格ガイドラインの適用可
係する複雑な事案には対応していない。
能性が明らかになる。
また、パラ1.44において、当局はパッケー
Gの主張によると、本事件の関係者はラニ
ジ取引を個別取引と同様の方法で調査し、多
チジンの研究開発に成功し、ザンタックの商
国籍企業は、パッケージ取引が適切な移転価
標権を所有するグラクソグループ(英)
、ラ
格を反映していることを示す必要があるとし
ニチジンの製造を行うGS1(星)
、ラニチジ
ているが、これも具体的な指針にはなってい
ンの販売を行うA(瑞)
、カナダで製剤・販
ない。
売を行うG(加)の4者である。Gは本事件
OECDガイドラインを受けて、カナダの通
を通じて、この点を強調しGがAから仕入れ
達87-2Rのパラ36は、独立企業間価格を正
るラニチジンの対価だけではなく、Gとグラ
確に算定するためには、取引ごとに適用すべ
クソグループとのライセンス契約書をも検討
きであるとしている。
― 128 ―
カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
つづいて、パラ37は、一定の場合には、複
ラインを公表した46)。
数の取引が密接に関係しているために取引ご
2010年OECD移転価格ガイドラインの主な
とに算定することが適切でない場合があり、
改正点は、移転価格算定方法における基本三
そのような場合には取引を統合させるとして
法(伝統的取引基準法)の優位性を原則とし
いる。その後、パラ38以下では、引き続き個
て廃止し、その事実と状況下でもっとも適切
別の取引ごとの算定が望ましいとしているが、
な 方 法 を 適 用 す べ き と し た こ と47) で あ る。
パラ42において初めて、商品とそれに関する
Glaxo事件のような複雑な事案に対する回答
無形資産が結合する取引については、事案に
は何ら示されていない。
応じてこれらの取引額を合計した金額で独立
この点につき、CRAの国際租税担当官は、
企業間価格を算定する内容の記述がある。そ
2011年2月24日 に開 催さ れた パネ ルディス
の上で、パラ43は、CRAは納税者が行った取
カッションで、
「2010年OECD移転価格ガイド
引をその通り認識することとする。しかし、
ラインが改定されたことから、通達87-2R
これらはいずれも、本事案のような複雑な取
もアップデートしていく予定である。しかし、
引を想定した規定ではないために、本事案は
移転価格算定方法におけるCUP法を頂点とす
「指針なき解釈」を行わなければならない。
る基本三法優先性は引き続き読み取れる。
」48)
と発言しており、引き続き基本三法を優先適
₃.OECD移転価格ガイドラインの改定
用するとしている。
さ て、OECD租 税 委 員 会 は、2001年 以 降、
2010年OECD移 転 価 格 ガ イ ド ラ イ ン は、
経済状況の変化に対応するために、OECD移
Glaxo事件のような複雑な事案に対する回答
転価格ガイドラインにつき、取引単位利益法
は何ら示されていない。今後は、3以上の当
の適用と比較可能性の二つについて改定作業
事者が関係する取引に対する指針が求められ
を開始することとした。まず、比較可能性に
る。
関して2003年4月29日に草案を公表 し、続
40)
いて、2006年2月27日に取引単位利益法関す
Ⅴ まとめ
る草案を公表41)した。その後、2006年5月10
本稿では、カナダにおけるGlaxo事件を素
日に、比較可能性に関する2回目の草案を公
材として、OECD移転価格ガイドラインに準
表
し、2008年1月25日には取引単位利益法
拠したカナダ移転価格税制が3以上の当事者
に関する2回目の草案を公表した 。2008年
が関係する複雑な取引に適用することができ
11月17日と18日の両日、比較可能性と取引単
ないことを示した。このことは、OECD移転
位利益法に関して民間人との協議会を開催し
価格ガイドラインに基づいて制度構築してい
た 。これを受けて、2009年9月9日OECD
る日本にとっても他人事ではない。
ガイドラインの第1章から第3章までの改定
こ れ は、 国 外 関 連 取 引 の 区 分 に つ い て、
草案を公表した45)。
OECD移転価格ガイドラインに明確な指針が
以 上 の 経 緯 を 経 て、2010年7月22日、
ないこと、87-2Rが個別取引に固執してい
OECD租税委員会は第1章から第3章までを
ることに原因があるとともに、無形資産取引
大幅に改定した2010年OECD移転価格ガイド
の指針である現行のガイドライン第6章の記
42)
43)
44)
― 129 ―
埼玉学園大学紀要(経営学部篇) 第11号
述が不十分であること、それを受けた87-
を経て「国際課税規範」としての役割を担うとす
2Rにも適切な記述が欠けていることがその
るものとして、氷見野良三(1994)「移転価格税
原因であると思われる。
また、2010年OECD移転価格ガイドライン
の改定においても、この問題は解消されてい
ないことも明らかになった。
産プロジェクト
ジ、別所徹弥(1997)「『国際課税規範』としての
OECD移転価格ガイドライン~独立企業間価格算
定上の問題を中心として~」『税務大学校論叢』
さて、2011年からはOECDにおいて無形資
49)
制におけるOECDガイドラインと米財務省規則の
改訂について」『税経通信』49巻13号161-171ペー
が開始された。第6章を改
定し、必要に応じて第8章も見直されること
とされた50)。今後は、3以上の当事者が関係
する複雑な無形資産取引に関するガイダンス
を提供する必要がある。
28号425-537ページ、などがある。
6)1998年にそれまでの所得税法69条を改正して現
行法となった。
7) カ ナ ダ の 移 転 価 格 税 制 に 関 す る 通 達87-2は、
1987年2月27日に策定され適用されてきたが、カ
ナダ当局は1995年OECD移転価格ガイドラインを
受けて、1999年9月27日にこれを改定した通達
Glaxo事件は、今後、両当事者の主張が繰
87-2Rを適用することとした。通達87-2Rは、以下
り広げられることになる。これについて、米
のURLで閲覧することができる。http://www.cra-
国弁護士は、最高裁判決が出るのはどんなに
arc.gc.ca/E/pub/tp/ic87-2r/ic87-2r-e.pdf(2011年6
早くとも2年後(2013年)になると述べてい
る。カナダ移転価格史上初めての最高裁判決
が待たれるところである。
月5日アクセス)。
8)これについては、
「カナダ所得税法が移転価格算
定方法を直接に規定しておらず、その代りに、
OECD移転価格ガイドラインに依拠している。」
Mayles, Jonah(2011), “Canada’s
とする見解がある。
Position on Transfer Pricing Methods a Mystery”,
【注】
1)カナダの移転価格税制に関する業績として、平
石雄一郎(1990)「移転価格税制に関するカナダ・
欧 州 の 判 例 等 に つ い て 」『 租 税 研 究 』No. 487,
pp.56-62がある。
2)移転価格課税を行った後に訴訟を提起し最近判
The Queen v. General Electric
決が出たものとして、
Capital Canada Inc., 2010 FCA 344, Alberta Printed
Circuits Ltd. v. The Queen, 2011 TCC 232などがあ
る。
3)米国の移転価格税制についての主な先行研究と
して、望月文夫(2007)『日米移転価格税制の制
度と適用』(大蔵財務協会)、増井良啓(2002)『結
合企業課税の理論』(東京大学出版会)など多数
ある。
4)カナダの移転価格税制は、その後改正され1998
年以降は247条2項に規定されている。
5)OECD移転価格ガイドラインが、主要国の議論
― 130 ―
Tax Notes International, March 28, 2011, p.994を
参照。
9)このようなカナダ当局の執行方針について、米
国のそれと比較し、
「カナダでは経済分析を行って
財務結果を検証することよりも移転価格の設定を
分析することに重きが置かれている。」として、
その 違い を 強調 して い る文 献 もあ る。Morgan,
Milliam R.(2008), “Perspectives on U.S. and
Canadian Transfer Pricing Analyses”, Tax Notes
International, September 1, 2008, pp.765-772.
10)GSKは、英国に本拠のある製薬会社であるが、
製薬業では2009年度の売上高世界第4位(458億
3000万米ドル(283億6800万ポンド))の巨大製薬
会社である。2010年度の売上高は283億9200万ポ
ンドであった。これらは同社の以下のウェブサイ
トで閲覧することができる。http://www.gsk.com/
investors/reports/q42010/q42010.pdf(2011年6月
2日アクセス)。
カナダ移転価格税制とGlaxo事件判決
11)ラニチジンは、ザンタックという製品名(商標
ものと考えられる。
登録されたブランド)で販売される抗潰瘍薬の活
29)OECD移転価格ガイドラインは、OECD租税委
性物質である。ザンタックは、胃潰瘍を手術なし
員会により策定されているが、最初のガイドライ
で治療できる医薬品である。ラニチジンが発見さ
ンは1979年5月に公表されている。その後、経済
れる前に最も多く使用されていた活性物質は、シ
のグローバル化を反映して1995年7月に全面改定
メチジンである。シメチジンはタガメットという
された。そして、2010年7月22日、さらなる経済
製品名(同上)で販売されていた。ラニチジンは、
社会の変化に対応して、新しいOECD移転価格ガ
1976年にグラクソによって研究開発され、カナダ
イドラインが策定された。本稿では、とくに年を
では1981年に製造承認され1982年にカナダ国内で
示さない限り、1995年に全面改定されたOECD移
転価格ガイドラインを指すこととする。
販売が開始された。
12)GlaxoSmithKline Inc. v. The Queen, 2008 TCC
30)上告受理申立ての内容は、後掲注31を参照した。
31)カナダ最高裁の以下のページに、本事件の上告
324. [thereafter, Glaxo(2008)].
13)Moses, Molly(2010), “Cases, Recent Policy
受理申立て以降の経緯が記載されている。http://
Define Disclosure Landscape in Canada”, Transfer
www.scc-csc.gc.ca/case-dossier/cms-sgd/dock-regi-
Pricing Report, Vol.19, No.5, pp.243-244.
eng.aspx?cas=33874(2011年6月4日アクセス)。
14)SmithKline Beecham Animal Health Inc. v.
32) 例え ば、 大 手税 理 士 法 人 のErnst & Youngは、
Canada, 2002 FCA 229, [2002] F.C.J. No.37 (Q.L.),
以下の租税情報で本事件がカナダ移転価格課税史
291 N.R. 113.
上、最初の最高裁係争事件であるとしている。
15)Glaxo(2008), at 59.
http://www.ey.com/Publication/vwLUAssets/Tax_
16)Glaxo(2008), at 64.
Alert_2011_No_14/$FILE/TaxAlert2011No14.pdf
17)Glaxo(2008), at 78.
(2011年6月2日アクセス)。
18)Glaxo(2008), at 161.
33)Vidal, Jean-Pierre(2009), “The Achilles’ Heel of
19)Wright, Tamu(2008), “Glaxo Appeals Transfer
the Arm’s Length Principle and the Canadian
Pricing Decision To Canada’s Federal Court of
GlaxoSmithKline Case”, Intertax, Vol.17, No.10,
Appeal”, Transfer Pricing Report, Vol.17, No.6,
pp.512-528.
34)Hill, Dale(2008), “The Tax Court of Canada:
p.234.
20)Glaxo(2010), at 47.
Results and Implications”, Transfer Pricing
21)Glaxo(2010), at 49.
Report, Vol.17, No.6, pp.269-270.
22)Glaxo(2010), at 51.
35)Stewart, David D.(2010), “Glaxo Prevails in
23)GlaxoSmithKline Inc. v. The Queen, F.C.A., No.
A-345-08, decision filed 7/26/10. [thereafter,
Transfer Pricing Appeal”, Tax Notes International,
August 2, 2010, p.324を参照。
36)Vincent, F.(2010), “GlaxoSmithKline’s Case in
Glaxo(2010)].
24)Glaxo(2010), at 60.
Canada- A Win But at What Price?”, Transfer
25)Glaxo(2010), at 61.
Pricing Report, Vol.19, No.8., p.519.
26)Glaxo(2010), at 73.
37)Vincent, F.(2010), “GE Capital Canada After
27)Glaxo(2010), at 74.
GlaxoSmithKline”, Transfer Pricing Report,
28)Gは控訴審で勝訴したことになるので上告する
Vol.19, No.9, p.612.
ことに疑問を感じる向きもあるかもしれないが、
控訴審判決は第一審の取消し・破棄差戻しをした
38)Friedman, Michael and Zeliger, Rachel(2010),
“Reasonableness, Business Realities, and Transfer
だけであることから、完全な勝訴とは言い難い。
Pricing”, Canadian Tax Journal, Vol.58, No.4,
そこで、Gも課税取消しを勝ち取るため上告した
pp.956-963.
― 131 ―
埼玉学園大学紀要(経営学部篇) 第11号
39)Langbein, Stanley(1986), “The Unitary Method
and the Myth of Arm’s Length”, Tax Notes, Feb. 17,
1986, p.625, Avi-Yonah, Reuven S.(1995), “The
Rise and Fall of Arm’s-Length: A Study in the
Evolutions of U.S. International Taxation”, 15
en_2649_33753_41336143_1_1_1_1,00.html(2011
年5月30日アクセス)。
45)OECD移転価格ガイドライン第1章から第3章
までの改定草案の公表とコメント募集については、
OECDのつぎのウェブサイトを参照した。
Virginia Tax Review 89, Durst, Michael C. and
h t t p : / / w w w. o e c d . o r g / d o c u m e n t / 2 6 / 0 , 3 7 4 6 ,
Culbertson, Robert E.(2003), “Clearing Away the
en_2649_33753_43656346_1_1_1_1,00.html?(2011
Sand: Retrospective Methods and Prospective
年5月30日アクセス)。なお、改定草案の経緯と
Documentation in Transfer Pricing Today”, 57 Tax
仮訳については、国税庁のつぎのウェブサイトを
Law Review 37などを参照。
参 照 さ れ た い。http://www.nta.go.jp/sonota/
40)OECD租 税 委 員 会 は、 比 較 可 能 性 に つ い て、
2003年4月29日付で一般からのコメントを求める
kokusai/oecd/press/30.htm(2011年6月5日 ア ク
セス)。
46)2010年OECD移転価格ガイドライン公表の経緯
文書を公表した。
h t t p : / / w w w. o e c d . o r g / d o c u m e n t / 4 7 / 0 , 3 7 4 6 ,
en_2649_33753_2508655_1_1_1_1,00.html(2011
等については、OECDのつぎのウェブサイトを参
照した。
h t t p : / / w w w. o e c d . o r g / d o c u m e n t / 4 / 0 , 3 7 4 6 ,
年6月5日アクセス)。
41)OECD租税委員会が取引単位利益法について、
en_2649_33753_45690500_1_1_1_1,00.html?(2011
一般からコメント求めた文書は以下のURLより閲
年5月31日アクセス)。なお、2010年OECD移転
価格ガイドライン公表の経緯と仮訳については、
覧することができる。
h t t p : / / w w w. o e c d . o r g / d o c u m e n t / 5 8 / 0 , 3 7 4 6 ,
en_2649_33753_36199290_1_1_1_1,00.html(2011
国税庁のつぎのウェブサイトを参照されたい。
http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/oecd/press/33.
htm(2011年6月5日アクセス)。
年6月1日アクセス)。
42)比較可能性に関する2度目の草案は、以下の
47)OECD移転価格ガイドライン パラ2.2.
48)Mayles, Jonah(2011), “Canada’s Position on
URLで閲覧することができる。
http://www.oecd.org/dataoecd/59/38/36651642.pdf
(2011年6月1日アクセス)。なお、本草案の概要
と仮訳については、国税庁のつぎのウェブサイト
を参照されたい。
Transfer Pricing Methods a Mystery”, Tax Notes
International, March 28, 2011, 994を参照。
49)OECD租税委員会は、2011年1月25日の会議で、
OECD移転価格ガイドラインの無形資産の改定範
http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/oecd/press/05.
htm(2011年5月31日アクセス)。
囲を定めた、この報道は、OECDのつぎのURLで
閲覧することができる。http://www.oecd.org/doc
43)取引単位利益法に関する2度目の草案は、以下
ument/44/0,3746,en_2649_33753_46988012_1_1_1
のURLで 閲 覧 す る こ と が で き る。http://www.
_1,00.html(2011年5月28日アクセス)。
oecd.org/dataoecd/18/48/39915180.pdf(2011年6
50)OECDは、2011年1月27日に無形資産プロジェ
月1日アクセス)。なお、本草案の概要と仮訳は、
クトで検討する範囲を確定する文書を公表した。
国税庁のつぎのウェブサイトを参照されたい。
これについては、OECDの以下のURLで閲覧する
http://www.nta.go.jp/sonota/kokusai/oecd/press/17.
ことができる。http://www.oecd.org/document/44/
htm(2011年5月30日アクセス)。
0,3746,en_2649_33753_46988012_1_1_1_1,00.
44)2つのプロジェクトに係る民間人との協議会に
ついては、OECDのつぎのウェブサイトを参照し
た。
h t t p : / / w w w. o e c d . o r g / d o c u m e n t / 1 5 / 0 , 3 7 4 6 ,
― 132 ―
html(2011年6月2日アクセス)。
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