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13.コンクリートの運搬

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13.コンクリートの運搬
13.コンクリートの運搬
・ 運搬時間の限度は下表のとおり。
※JISは生コン会社への規定であるため「練混ぜから荷卸しまでの時間」であるのに
対して、コンクリート示方書やJASS5は施工会社の規定であるので「練混ぜから
打込み終了まで」の時間が規定されていることに注意する。
【トラックアジテータ】
・ 積荷のおよそ 1/4 と 3/4 のところから個々に試料を採取してスランプ試験を行い、両者
のスランプ差が3cm 以内となるような攪拌性能をもつこと。
【ダンプトラック】
・ 舗装コンクリートなどの硬練りコンクリートの運搬に使用。
・ 荷台は平滑で防水的なものでなければならない。
・ 運搬中の乾燥防止のための保護覆いをもつこと。
【コンクリートポンプ】
・ ピストン式とスクイーズ式がある。
・ ピストン式は油圧式と水圧式があるが、油圧式は大容量吐出量、高吐出圧力を得ること
ができ、長距離圧送が可能である。
・ スクイーズ式は、構造が簡単であり、小規模で軟練りのコンクリートの圧送に適する。
110
【圧送上の留意点】
・ セメント量が少なくなると材料分離を起こし、配管内の閉塞を生じやすい。
・ スランプが小さくなると、管内抵抗の増加とポンプの吸込み性能が低下し、圧送性が低
下する。
・ 細・粗骨材の粒度分布が悪いと、流動性が低下して配管内の閉塞を起こすことがある。
・ 細骨材の微粒分が不足すると、流動性が低下して配管内の閉塞を起こすことがある。
・ 細骨材率が低いと、流動性が低下して配管内の閉塞を起こすことがある。
・ 粗骨材に砕石を用いる場合は、細骨材率を大きくする。
・ 吸水率の大きい人工軽量骨材を低含水状態で用いると、骨材に圧力吸収が生じ、圧送困
難になることがあるので、十分に吸水させる(プレウエッティング)。
・ コンクリートの圧送に先立ち、モルタルを先送りする。
【コンクリートバケット】
・ 硬練りコンクリートの運搬や高層建築物などの高所への運搬に用いられる。
・ 打込み場所に直接運搬できるので、材料分離を起こさない。
【コンクリートプレーサ】
・ 配管内のコンクリートを圧縮空気で圧送する。
・ トンネルなどの狭い所に運搬する場合に便利。
・ 現場で使用されているコンプレーサが利用でき、バッチ輸送ができる。
・ 圧送限度は 150∼200m である。
【縦シュート】
・ 高所からコンクリートを降ろす場合、バケットを直接用いることができないときは、縦
シュートを使用する。
【斜めシュート】
・ コンクリートの材料分離を起こしやすいので、できるだけ使用しない。
・ やむを得ず使用する場合は、次の点に注意する。
111
① 鉄板または鉄板張りで、全長にわたって一様な傾きとし、水平2に対して鉛直1
以下とする。
② できるだけ運搬距離を短くする。
③ バッフルプレートと漏斗管を設けて、材料の分離を防ぐ。
・ シュートの下端とコンクリートの打込み面との距離を 1.5m 以下とする。
【ベルトコンベヤ】
・ 硬練りコンクリートを、水平に近い方向に連続して運搬するのに適する。
コンクリートポンプの圧送負荷
(1)圧送負荷の算定
【計算例】
日本建築学会「コンクリートポンプ工法施工指針・同解説」では,コンクリートポン
プに加わる最大負荷は,下式により計算することになっている。下図に示す配管でコン
クリートを吐出量30m3/時で圧送する場合のポンプに加わる最大負荷の値Pの算定値と
して次に示す値のうち,適当なものはどれか。
ただし,ポンプ吐出量30m3/時のときの125A 水平管1mあたりの圧力損出は,
0.12 kgf/cm2とする。
112
P=K(L+3B+2T+2F)+0.1 × WH
ここに,P:コンクリートポンプに加わる圧送負荷(kgf/cm2)
K:水平管の管内圧力損失(kgf/cm2/m)
L:直管の長さ(m)
B:ベント管の長さ(m)〔実長とする〕
T:テーパ管の長さ(m)
F:フレキシブルホースの長さ(m)
W:フレッシュコンクリートの単位容積あたりの重量で,
ここでは2.3を用いる。
H:圧送高さ(m)
L=10+10+30=50m
B=2m×3.14/4×2 箇所=3.14m
T=1m
F=8m
H=10m+1m+1m=12m
∴
P=0.12(50+3×3.14+2×1+2×8)+0.1×2.3×12
=
12.4 kgf/cm2
(2)水平換算距離による方法
【計算例】
図に示すような配管によってコンクリートをポンプ圧送する場合,コンクリートポン
プに加わる最大圧送負荷の計算値として,正しいものはどれか。
ただし,最大圧送負荷の計算は水平換算距離による方法で行うこととし,輸送管の呼
び寸法は125A(5B),圧送するコンクリートの水平管1m当りの管内圧力損失は
0.01 N/mm2,および各配管の水平換算長さは下に示した表によるものとする。
113
水平換算長さ
項
目
上向き垂直管
単
位
1m 当り
水平換算長さ
呼び寸法
(m)
100A(4B)
3
125A(5B)
4
150A(6B)
5
テーパ管
1 本当り
150A→125A
3
ベント管
1 本当り
90°γ=1.0m
6
フレキシブルホース
5 から 8m のもの 1 本
20
テーパ管の水平換算長さ
3m×1 本
=3m
ベント管の水平換算長さ
6m×2 本
=12m
上向き管の水平換算長さ
4m/m×50m=200m
フレキシブルホースの水平換算長さ 20m×1 本
=20m
水平管
=45m
30m+15m
280m
∴
管内圧力損失=0.01 N/mm2×280m=2.8
114
N/mm2
【問題 1】
コンクリートの現場内の運搬方法に関する次の記述のうち,不適当なものはどれ
か。
(1)コンクリートをバケットに受け,クレーンで運搬すると,材料分離が生じに
くい。
(2)ベルトコンベヤは,硬練りコンクリートを水平に近い方向に連続して運搬す
る場合に適している。
(3)コンクリートプレーサは,輸送管内のコンクリートを圧縮空気で圧送するも
ので,トンネルなどの狭い所に運搬する場合に適している。
(4)斜めシュートを用いる場合には,できるだけ運搬距離を短くするため,傾斜
角度を45度以上とする
【問題 2】
コンクリートの運搬方法に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)スランプ5および8cmのレディーミクストコンクリートは,材料分離が少ない
ので,ダンプトラックによって運搬することができる。
(2)荷卸しの直前にトラックアジテータのドラムを高速回転させると,コンクリ
ートの材料分離が大きくなる。
(3)土木学会示方書(土木学会コンクリート標準示方書)では,軽量骨材コンク
リートの運搬にコンクリートポンプを用いる場合は,原則として流動化コン
クリートとすることになっている。
(4)下向きの配管でポンプ圧送する場合は,上向きの配管に比べて,圧送は容易
で,閉そくすることは少ない。
【問題 3】
コンクリートの運搬に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートをポンプ圧送する場合の水平管1m当たりの管内圧力損失は,
スランプが小さいほど,また輸送管の径が小さいほど大きくなる。
(2)良好なポンプ圧送性を得るためのコンクリートの細骨材率は,単位水量が最
小となるように定めた値より大きくしてはならない。
(3)斜めシュートを用いる場合は,傾斜の角度を水平2に対して鉛直1程度以上と
し,コンクリートのスランプをできるだけ大きくする。
(4)運搬中のコンクリートの品質変化は,セメントの凝結が早いほど,また,外
気温が低いほど大きくなる。
115
【問題 4】
コンクリートの輸送・運搬および打込みに関する次の記述のうち,不適当なものは
どれか。
(1)JIS A 5308には,トラックアジテータを用いる場合,一般には,練混ぜを開
始してから1.5時間以内に荷卸しができるように運搬しなければならないと
定められている。
(2)土木学会示方書(土木学会コンクリート標準示方書)およびJASS 5(日本
建築学会建築工事標準仕様書 5 鉄筋コンクリート工事)には,コンクリート
の練混ぜから打ち終わる(打込み終了)までの時間の限度は,外気温に関係
なく一定の値が定められている。
(3)JIS A 5308には,スランプ2.5cmの舗装コンクリートを運搬する場合に限り,
ダンプトラックが使用できることが定められている。
(4)JASS 5には,トラックアジテータからコンクリートを荷卸しする際には,
荷卸し直前にアジテータを高速回転させ,コンクリートを均質にした後に排
出することが定められている。
【問題 5】
コンクリートのポンプ圧送に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)単位セメント量が少ないと,圧送性が悪くなる。
(2)スランプが小さくなると,圧送性が悪くなる。
(3)輸送管の径が大きくなると,圧送性が悪くなる。
(4)曲り管(ベント管)の数が多くなると,圧送性が悪くなる。
【問題 6】
コンクリートのポンプ圧送に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)スクイーズ式コンクリートポンプは,油圧装置によって直接シリンダー内の
コンクリートに直線運動を伝えるものである。
(2)フレキシブルホースの管内圧力損失は,同径の直管の場合の2∼4倍である。
(3)細骨材率が小さくなると,管内抵抗が増加して圧送性が悪くなる。
(4)時間あたりの吐出量が多くなるほど,コンクリートポンプに作用する圧送負
荷が大きくなる。
116
【問題 7】
コンクリートポンプの圧送負荷に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものは
どれか。
(1)コンクリートのスランプが大きいほど小さい。
(2)配管長が短いほど小さい。
(3)コンクリートの吐出量(m3/h)が大きいほど小さい。
(4)コンクリートの吐出量(m3/h)が同じ場合,輸送管の直径が大きいほど小さ
い。
【問題 8】
コンクリートのポンプによる運搬および打込みに関する次の記述のうち,適当なも
のはどれか。
(1)流動性の高いコンクリートを圧送する場合は,圧送に先立って行うモルタル
の先送りを省略してもよい。
(2)使用するコンクリートから粗骨材を除いた配(調)合のモルタルを先送りモ
ルタルとして使用する場合は,このモルタルを構造体のコンクリートとして
打ち込むことができる。
(3)筒先から排出されたコンクリートは,一か所に山積みにし,その水平方向の
移動はバイブレータを用いて行う。
(4)ポンプ圧送中に閉塞した場合,配管中において品質が変化したコンクリート
は,これを構造体のコンクリートとして打ち込んではならない。
【問題 9】
コンクリートのポンプ圧送に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートをポンプ圧送する場合,輸送管の内径を大きくすると,1m当
たりの管内圧力損失は大きくなる。
(2)軽量コンクリートをポンプ圧送する場合,流動化コンクリートとすることに
より,圧送性を改善することができる。
(3)スランプが同じコンクリートの場合,単位セメント量の小さいものは,ポン
プ圧送による閉塞を生じにくい。
(4)高性能AE減水剤を使用したコンクリートは,ポンプ圧送によるスランプの
低下が生じにくい。
117
【問題10】
日本建築学会「コンクリートポンプ工法施工指針・同解説」では,コンクリートポ
ンプに加わる最大負荷は,下式により計算することになっている。下図に示す配管で
コンクリートを吐出量30m3/時で圧送する場合のポンプに加わる最大負荷の値Pの
算定値として次に示す値のうち,適当なものはどれか。
ただし,ポンプ吐出量30m3/時のときの125A 水平管1mあたりの圧力損出は,
0.12 kgf/cm2とする。
P=K(L+3B+2T+2F)+0.1 × WH
ここに,P:コンクリートポンプに加わる圧送負荷(kgf/cm2)
K:水平管の管内圧力損失(kgf/cm2/m)
L:直管の長さ(m)
B:ベント管の長さ(m)〔実長とする〕
T:テーパ管の長さ(m)
F:フレキシブルホースの長さ(m)
W:フレッシュコンクリートの単位容積あたりの重量で,
ここでは2.3を用いる。
H:圧送高さ(m)
(1)10 kgf / cm2
(2)11 kgf / cm2
(3)12 kgf / cm2
(4)13 kgf / cm2
118
【問題11】
図に示すような配管によってコンクリートをポンプ圧送する場合,コンクリートポ
ンプに加わる最大圧送負荷の計算値として,正しいものはどれか。
ただし,最大圧送負荷の計算は水平換算距離による方法で行うこととし,輸送管の
呼び寸法は125A(5B),圧送するコンクリートの水平管1m当りの管内圧力損失は
0.01 N/mm2,および各配管の水平換算長さは下に示した表によるものとする。
水平換算長さ
項
目
上向き垂直管
単
位
1m 当り
呼び寸法
水平換算長さ
(m)
100A(4B)
3
125A(5B)
4
150A(6B)
5
テーパ管
1 本当り
150A→125A
3
ベント管
1 本当り
90°γ=1.0m
6
フレキシブルホース
5 から 8m のもの 1 本
(1)1.8 N/mm2
(2)2.3 N/mm2
(3)2.8 N/mm2
(4)3.3 N/mm2
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