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2006年度夏学期地盤の工学 講義内容 駒場での概論で触れなかった土
2006年度夏学期地盤の工学 講義内容 駒場での概論で触れなかった土の力学 地盤の挙動において地下水(間隙水)が 果たす役割 地盤の挙動の予測(調査、実験、計算) 地盤の災害 教科書 引き続き、足立格一郎著 土質力学 共立出版 土質実験と本講義とは補完的関係にあるので、実験も 履修してもらいたい。 土質力学では、土を砂と粘土に分けて考える 海浜砂丘の豊浦砂:粒径平 均180ミクロン • 粒径は、粘土か砂か、透水性な どの判定に密接に関連する。 3ミクロン ベントナイト粘土 1 砂質土:0.075mm<砂<2mm 2mm<礫(レキ)<75mm 75mm<石 これらの粒子はほぼ剛体と考えて よく、変形しない。粒子間の相互 作用は、力の伝達(有効応力)に限 られる。化学的、電気的な力は無 視できる。 砂質土の成因 岩盤が外力、温度膨張収縮、浸食など によって機械的に風化される。化学組 成に変化無し。 土砂生産の現場 2 粘土の成因:岩石の鉱物に水、酸、熱、 圧力が作用することによって、化学的 変化。 粒子寸法もミクロン単位に細分化:2 ミクロン=0.003mm以下を粘土、と定義。 0.002mm∼0.075mmをシルト、と呼ぶ。 粒子の表面にはマイナスの電荷があり、 水分子を吸着できる。 粘土粒子間の電気的、化学的力のやり 取りが、重要。 粘土の生成の例:火砕流からベントナイト 粘土へ 地殻中の 高温高圧 ベントナイト鉱山 2000万年前の火砕流 堆積物 3 粘土粒子と水分子 O-- O-- H+ H+ H+ O-- H+ H+ H+ − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − + H+ H O-- + + H+ H O-O-- 吸着水 H+ H O-- O-- H+ H+ H+ + + O-H+ H+ H+ − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − − + H+ H O-- + + H+ H O-- + H+ H O-- + 水の吸着力の大きい粘土: 粒子が細かく、比表面積(単位質量あ たりの粒子表面積)が大きい。 表面電荷が大きい。 外力が作用されると水分が排出され、 圧密地盤沈下が大きい。 4 保水力の指標:液性限界、塑性限界、 塑性指数 土の指標を使う理由 指標から土の工学的挙動が推測でき、 問題点、対策などの計画ができる。 5 日本統一分類 図4.11 その他の指標 相対密度 活性度=塑性指数÷2ミ クロン以下の粒子の質量 含有率% 活性度が大:粘土の鉱物 に水との親和性が高い。 6 土の三相構成 の 固体粒子の骨格は外力を支える 接点力(有効応力) 接点ですべりが起こると、粒子 の移動となる。巨視的には、地 盤の変形。 7 骨格 • 固体の骨格が、外力を支える。 • 固体粒子が土の骨格を構成する。多くの砂の ように粒子が珪酸化合物の未風化状態にある なら、粒子を剛体と見なしすことができる:変形 なし。軟らかい粘土粒子は、変形/融合などを 起す。 • 石灰質、プランクトン起源の砂粒子に大きな荷 重が作用すると、融解、割裂を起す→地盤の 大変形。 • 泥炭を構成する有機物、軟弱。 土の(固液気)三相モデル 間隙 Void 8 透水性に対する、間隙寸法の影響 砂とレキ 速度分布 壁面の影響が卓越 水の粘性により、壁面近傍の速度が低い →透水性が低い。 間隙の形状と水の通りやすさとの関係 曲流部で渦が生じ、流れのエネルギーを消費 させる→流れにくい、透水性低下。 9 Rissa, Trondheim, Norway Map of Norway Quick clay 塩水中で堆積した粘土は、綿毛化構 造(図2.10)で安定しているが、塩分 が溶出すると、不安定となる。かすか な衝撃で、地盤が崩壊する。 軟弱粘性土地盤における工学的問題 • 自重による地盤沈下:関西空港が典型 • 地表に設置した構造物の沈下・めり込み→杭基礎 が必要 • 圧密時間も長いので、埋め立てや盛土材料としては 不適 • 透水性が小さいので、廃棄物の封じ込めに有利 • ベントナイト泥水は、掘削孔や溝に満たして、崩壊 防止とする。 10 地盤沈下 Mexico City 廃棄物処分場の朗詠防 止シート、その裏にベ ントナイト層を設置 11 泥炭:水中に倒れた草木が、酸素不足の環 境で腐食しきらず堆積している。軟弱で沈 下が大きく、せん断強度が小さい。 泥炭上の宅地盛土;盛土を 締固めても、基礎のせん断 強度不足は解消しない。 シルト(<0.075mm)には通常粘土分が多く含 まれ、粒子間に粘着力がある。しかし非塑性 シルトは単に砂が細かくなった物質で、水中 での沈降堆積速度が遅いので、きわめてゆる 詰め状態にあるー>斜面崩壊しやすい。 例:氷河性堆積物、鉱山の廃棄物(鉱滓こ うさい)。 12 非塑性シルト地盤の崩壊例 Valdez, Alaska, 1964 鉱滓堆積処分場の崩壊;伊豆の持越鉱山、 1978 13 砂地盤における問題 • 圧密地盤沈下は小さい。 • 圧密が瞬時に終了→有効応力の発現と強度の発 達が速い。 • 透水性が高い(k=???)→水はけが良い、漏水が大、 地下水汚染が広がりやすい。 • 掘削で崩れやすい→土留壁 • 盛土材料に使いやすい(粘土は不適) 土留め壁(どどめへき) め壁 留 土 る よ に 矢板 腹 起 こ し 切梁きり ばり 14 擁壁の倒壊:地震時 アースフィルダム・ロックフィルダム: 地盤材料で造るダム 群馬県神流川ダム 15 地中へ打ち込まれたパイプから 回収された、乱された土サンプ ル→粒度試験などへ 堅さ、強さの力学的性質の調査 →乱されないサンプルが必要 三重管式サンプラー 16 サンプラー押し込み情景 地表に引き上げられたサンプラー チューブ 17 採取された、土の不撹乱サンプル 18