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高効率バーナーの技術開発 1.研究開発の目的

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高効率バーナーの技術開発 1.研究開発の目的
[R1.1.3]
高効率バーナーの技術開発
(高効率バーナーグループ)
五井第501研究室
常泉保浩、小高政嗣、○熊谷有功
1.研究開発の目的
近年地球環境温暖化防止などの目的から、省エネルギーは国際的な課題となっている。
従 来 の 一 般 的 な 加 熱 炉 の 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 は ① Air Preheater( APH)の 設 置 、② Waste Heat
Boiler( WHB)の 設 置 が 挙 げ ら れ る が 、高 効 率 、低 NOx お よ び コ ン パ ク ト 化 を 満 足 す る 新 規
技 術 で あ る 高 効 率 バ ー ナ ー ( RRX バ ー ナ ー ) が 開 発 さ れ た 。 回 転 式 蓄 熱 バ ー ナ ー に つ い て
は、ガス専焼バーナーへの適用技術はほぼ確立しているものの、多く製油所加熱炉で使用
さ れ て い る ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー へ の 適 応 は 、安 定 燃 焼 の 継 続 等 の 懸 念 か ら 行 わ れ て い
ないのが実情である。
研 究 開 発 の 目 的 は 、こ の 新 し い 発 想 の 高 効 率 バ ー ナ ー を ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー で あ る
加熱炉へ導入することにより、更なる環境負荷低減、エネルギーの削減を推進する。表
3.2-1 に 従 来 一 般 的 な 加 熱 炉 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 で あ る ① 空 気 予 熱 器( APH)の 設 置 、② 排 熱
ボ イ ラ ー ( WHB) の 設 置 と の 省 エ ネ ル ギ ー 技 術 比 較 を 示 す 。
表 3.1-1
全輻射型加熱炉の省エネルギー技術比較
項目
単位
現状
APH設置
WHB設置
高効率バーナー
輻射部吸収熱量
MW
12.2
12.2
12.2
12.2
対流部吸収熱量
MW
0.0
0.0
7.2
0.0
燃焼量
MW
22.28
14.36
22.28
13.57
熱効率(省エネ)
%
76.0
85.0
87.2
90.0
燃料削減(省エネ)
比
Base
0.64
1.0
0.61
CO2削減(環境)
比
Base
0.64
1.0
0.61
改造工事量(省資源)
比
−
Base
0.85
0.50
改造コスト比(経済性)
比
−
Base
0.73
0.56
2.研究開発の内容
2.1
研究開発対象加熱炉
加 熱 炉 の 選 定 に お い て は 、 導 入 効 果 を 最 大 限 に 引 き 出 す た め 、 現 在 APH の 設 置 さ れ て い
ない加熱炉の中から以下の優先順位で選定を実施した。
① Conv
部がプロセス(過熱蒸気含む)ではなくスチームジェネレーターの炉
※ Conv
部の発生蒸気は、効率の高いボイラーでカバーさせることが可能。
よ っ て 、 Rad
部 完 結 と し て 炉 効 率 UP を 最 大 限 に 発 揮 さ せ ら れ る 期 待 有 り 。
②空気比が省エネルギー法による基準値を満足していない炉
③排ガス温度が高い炉
以 上 の 選 定 基 準 に 注 目 し 、 そ の 中 か ら 間 接 脱 硫 装 置 ( HDS) 加 熱 炉 ( Rx CHG Heater) を
研 究 開 発 対 象 加 熱 炉 と し て 選 定 し た 。( 図 3.2-1、 表 3.2-1)
表 3.2-1
装置
研究開発対象加熱炉選定結果
機器番号
HDS
D-H1A/B/C
機器名称
RX CHG HEATER
空気比
廃ガス温度
実施予定
(実 績 /基 準 )
(℃ )
(年 )
1.13/1.25
320
2004
①CONV’部がプロセス(S/H STM含む)ではなく、STM GEN ’の炉
②空気比が省エネ法による基準値を満足していない炉
③排ガス温度が高い炉(300℃以上)
④整備年を考慮 MS
D-V10
D-V1
D-V12
D-H1A
D-H1B
MS
LS
セパレータ-
RYG
D-H1C
Feed
図 3.2.1
※注 1
D-H2
Product
間接脱硫装置概略フロー図
上図における略語および機器番号解説
・略語
RYG: Recycle Gas、 MS: Mid Pressure Steam
・機器番号
D-V1: Reactor、 D-H1A/B/C: Rx CHG Heater、
D-H2: Fractionater Feed Heater、 D-V10: H2S Stripper、
D-V12: Fractionater
2.2
開発目標
(1)研究開発の最終目標
研究開発の最終目標は以下の通りとした。
① RRX バ ー ナ ー を 実 用 例 の な い 燃 料 ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー ( 間 接 脱 硫 装 置 加 熱 炉
および接触改質装置加熱炉)に適用する。
② RRX バ ー ナ ー を 導 入 し 、 環 境 負 荷 ガ ス の 排 出 を 削 減 す る 。( NOx
80ppm ま で 低 減 )
③ RRX バ ー ナ ー を 導 入 し 、炉 効 率 が 90%以 上 で あ る こ と を 確 認 し 、エ ネ ル ギ ー 使 用 量 の
削 減 を 図 る 。( 燃 料
年 間 6,400COE-KL、 CO2 削 減 量
20,090TON-CO2)
(2)目標設定の理由
近年地球環境温暖化防止などの目的から、省エネルギーは国際な課題となっている。
回転式蓄熱バーナーについては、ガス専焼バーナーへの適用技術はほぼ確立しているも
の の 、多 く 製 油 所 加 熱 炉 で 使 用 さ れ て い る ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー へ の 適 応 は 、継 続 燃
焼が油垂れ等により困難であることが懸念であり行われていないのが実状である。この
新 し い 発 想 の 高 効 率 バ ー ナ ー を ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー で あ る 弊 社 加 熱 炉 へ 導 入 す る
ことにより、更なる環境負荷低減、エネルギーの削減を推進する。
尚 、 ガ ス 専 焼 回 転 式 蓄 熱 バ ー ナ ー を 一 般 加 熱 炉 に 導 入 し た 場 合 、 炉 効 率 が 90%前 後 に
改 善 さ れ た と い う 実 績 を 踏 ま え 、 当 該 加 熱 炉 に 関 し て も 性 能 目 標 と し て 炉 効 率 90%を 設
定 し た 。 NOx の 目 標 値
80ppm 以 下 も 同 様 の 理 由 か ら 設 定 し た 。
(3)研究開発内容
研究開発は 3 年計画とし、以下の内容を実施する。
① 平 成 15 年 度
間 接 脱 硫 装 置 加 熱 炉 用 RRX バ ー ナ ー の 設 計 、 製 作 お よ び 導 入
② 平 成 16 年 度
間 接 脱 硫 装 置 加 熱 炉 へ の RRX バ ー ナ ー 導 入 の 評 価
接 触 改 質 装 置 加 熱 炉 用 RRX バ ー ナ ー 設 計
③ 平 成 17 年 度
接 触 改 質 装 置 加 熱 炉 用 RRX バ ー ナ ー 製 作 、 導 入 お よ び 評 価
( 4 ) 平 成 15 年 度 の 目 標
①バーナーの技術開発
(間接脱硫装置加熱炉用バーナーの設計、製作および導入)
②研究開発内容
比 較 的 安 定 し た 運 転 条 件 に お け る 、オ イ ル 垂 れ を 生 じ な い た め の 燃 料 オ イ ル 分 散 器 、
または蓄熱体閉塞を加味したバーナーの設計、製作を行う。また、バーナーを導入
した際のメリットを評価するために、基礎データを取得する。
3.研究開発の結果
3.1
RRX バ ー ナ ー を 導 入 に よ る 効 果 に つ い て
(1)設計点の検討
(イ)設計点の考え方
設計吸収熱量を変化させた際の投資へのコストインパクト、および設計値を超えた
運転による設計吸収熱量を抑えた際に発生する、省エネルギー効果の低下を考慮し、
最 適 ポ イ ン ト を 求 め る 為 に RRX バ ー ナ ー の 設 計 点 は 以 下 の 2 ケ ー ス で 検 討 を 行 っ た 。
ケ ー ス 1: 通 常 運 転 ケ ー ス ( 全 運 転 の 80% を 炉 効 率 90%で 運 転 で き る 能 力 ※ )
※設計吸収熱量を超えた場合炉効率は低下するが運転可能。
ケ ー ス 2: 通 常 運 転 最 大 ケ ー ス
( 現 状 全 て の 運 転 を 炉 効 率 90%以 上 で 運 転 で き る 能 力 )
(ロ)設計点検討結果
通 常 運 転 ケ ー ス は 全 運 転 の 80%を カ バ ー し 得 る 能 力 と し て お り 、 そ れ 以 外 の 設 計 吸
収熱量を超えた場合、炉効率は低下する。従って、通常運転ケースは蓄熱体能力を全
運 転 の 80%と し た 分 投 資 コ ス ト は 小 さ く な る が 、 平 均 炉 効 率 と し て は 設 計 吸 収 熱 量 を
超 え た 運 転 が 全 運 転 の 20%発 生 す る の で 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 が 若 干 低 く な る 。
上記結果より、通常運転ケースとした方が投資効果(投資コストに対する回収年:
数値が大きい方がより投資効果が良い)として有利であることから通常運転ケースを
採用する。
(ハ)設計点
RRX バ ー ナ ー 導 入 時 の 設 計 点 は 以 下 の 通 り と す る 。
・蓄熱体吸収熱量設計
間 接 脱 硫 装 置 加 熱 炉 の 吸 収 熱 量 度 数 分 布 を 確 認 し ( 図 3.3-1、 3.3-2)、 投 資 に 対
し 最 も 効 果 が 期 待 さ れ る ポ イ ン ト と し て 全 運 転 の 80%を 炉 効 率 90%以 上 で 運 転 で
き る 能 力 ( D-H1
25.96GJ/H、 D-H236.43GJ/H) に 設 定 す る 。
尚、設計吸収熱量を超えた場合、炉効率は低下するが運転可能とする。
・バーナー能力設計
蓄 熱 体 不 具 合 時 の 対 応 を 考 慮 し 加 熱 炉 当 初 設 計 条 件 ( D-H1
64.0GJ/H) で の 能 力 に 設 定 す る 。
・加熱炉効率
90% 以 上 ( 蓄 熱 体 設 計 能 力 に 於 い て )
・ 排 ガ ス NOx 濃 度
80ppm 以 下
・ 燃 料 ガ ス /オ イ ル 混 焼 比 率
50%
49.11GJ/H 、 D-H2
D-H1プロセス吸収熱量分布
累計
小計
20.0%
80.0%
16.0%
60.0%
12.0%
40.0%
8.0%
20.0%
4.0%
分布 [%]
100.0%
0.0%
0.0%
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
5.5
6.0
6.5
7.0
7.5
8.0
8.5
9.0
9.5
10.0 10.5 11.0 11.5 12.0
プロセス吸収熱量 [MMkcal/H]
図 3.3-1
リ ア ク タ ー チ ャ ー ジ ヒ ー タ ー 加 熱 炉 ( D-H1) 吸 収 熱 量 分 布
D-H2プロセス吸収熱量分布
累計
小計
20.0%
80.0%
16.0%
60.0%
12.0%
40.0%
8.0%
20.0%
4.0%
分布 [%]
100.0%
0.0%
0.0%
3.5
4.0
4.5
5.0
5.5
6.0
6.5
7.0
7.5
8.0
8.5
9.0
9.5
10.0
10.5
11.0
11.5
12.0
プロセス吸収熱量 [MMkcal/H]
図 3.3-2
フ ラ ク シ ョ ネ ー タ ー フ ィ ー ド 加 熱 炉 ( D-H2) 吸 収 熱 量 分 布
( 2 ) RRX バ ー ナ ー 導 入 効 果 の 推 算
( イ ) RRX バ ー ナ ー 導 入 後 の 炉 効 率
RRX バ ー ナ ー 設 置 後 の 炉 効 率 を 検 討 し た 結 果 、 90% の 効 率 が 得 ら れ る と の
結果となり、非常に大きな省エネルギー効果が期待できる。ガス専焼での他社実績も
踏まえて炉効率
90%を 目 標 値 と し た 。 今 回 、 投 資 コ ス ト を 抑 え る べ く 、 D-H1、 H2 と
も 必 要 最 大 能 力 の 80%の 蓄 熱 体 能 力 を 設 計 点 と し た 。
な お 、 蓄 熱 体 能 力 を 超 え て 運 転 し た 場 合 、 炉 効 率 は 87%ま で リ ニ ア に 低 下 す る 。 間
接 脱 硫 装 置 13th RUN 2 年 間 の 運 転 デ ー タ か ら RRX バ ー ナ ー 設 置 後 の 平 均 炉 効 率 を 算 出
し た 。( 図 3.3-3)
そ の 結 果 、 D-H1 炉 効 率 は 89.8%で あ り 、 D-H2 炉 効 率 に つ い て は 89.6%と な っ た 。
加熱炉吸収熱量vs炉効率
D-H1
D-H2
100
95
炉効率 [%]
90
85
80
75
70
65
60
55
50
0.00
2.00
4.00
6.00
8.00
10.00
12.00
加熱炉吸収熱量 [MMkcal/H]
図 3.3.3
RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る 加 熱 炉 効 率 推 算
( ロ ) RRX バ ー ナ ー 導 入 後 の エ ネ ル ギ ー 使 用 増 加 要 素
RRX バ ー ナ ー 設 置 に 伴 い 、 以 下 の エ ネ ル ギ ー 使 用 量 の 増 加 が 予 想 さ れ る 。
① 電 力 使 用 量 増 加 : IDF、 FDF、 バ ー ナ ー モ ー タ ー 設 置 に 伴 う 増 加
②蒸気使用量増加:ガス燃焼用モーティブ蒸気、油燃焼用噴霧蒸気の増加(中圧
スチーム)
(2)メリット試算
(イ)燃料削減メリット
表 3.3-1 に RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る 燃 料 削 減 メ リ ッ ト を 示 す 。
表 3.3-1
RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る 省 エ ネ ル ギ ー 効 果
平均燃焼量 平均炉効率 RRX炉効率
D-H1
D-H2
Total
MMkcal/H
7.57
9.89
17.46
%
77.4%
75.7%
−
RRX燃焼量 燃料削減量
%
MMkcal/H MMkcal/H
89.8%
6.53
1.04
89.6%
8.36
1.53
−
14.89
2.57
省エネ量
FOE-KL/年
903
1,332
2,234
(ロ)エネルギー使用増デメリット
表 3.3-2 に RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る エ ネ ル ギ ー 使 用 増 デ メ リ ッ ト を 示 す 。
表 3.3-2
RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る エ ネ ル ギ ー 使 用 増
電力使用量増加
蒸気使用量増加
Total
312.5 KWH
30 kg/MMkcal
−
750 FOE-KL/年
184 FOE-KL/年
934 FOE-KL/年
( ハ ) RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る ト ー タ ル メ リ ッ ト
RRXバ ー ナ ー 導 入 に よ る ト ー タ ル メ リ ッ ト は (イ )項 お よ び (ロ )項 の 結 果 か ら 省 エ ネ
ル ギ ー メ リ ッ ト と し て 、 1,300FOE-KL/ 年 ( 1,380COE-KL/ 年 ) で あ り 、 CO 2 削 減 量 は
7,755TON-CO2 と な る 。
3.3
試設計
こ れ ま で の 結 果 を 基 に 間 接 脱 硫 装 置 加 熱 炉 に RRX バ ー ナ ー を 用 い た 場 合 の 加 熱 炉 試 設 計
を実施した。
( 1 ) RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る 加 熱 炉 仕 様
(イ)加熱炉設計条件
設 計 条 件 は 全 運 転 の 80%を カ バ ー す る 能 力 と し て お り 、 蓄 熱 体 不 具 合 時 を 考 慮 し て
当初の設計能力をカバーし得る能力を有するものとした。
併 せ て 、最 大 吸 収 熱 量 ケ ー ス( Alt-1( MAX))、最 小 吸 収 熱 量 ケ ー ス( Alt-2( MIN))に
つ い て も 検 討 に 加 え た 。 表 3.3-3 に RRX バ ー ナ ー 導 入 の 設 計 条 件 を 示 す
表 3.3-3
RRX バ ー ナ ー 導 入 の 設 計 条 件
設計条件
吸収熱量
D-H1
A/B/C
D-H2
RAD.
CONV.
RAD.
CONV.
GJ/H
25.96
36.43
-
Alt-1(Max)
GJ/H
Alt-2(Min)
GJ/H
38.15
43.50
-
8.29
15.33
-
当初設計条件
GJ/H
34.80
14.31
62.35
1.65
(ロ)要求仕様
・炉効率
・ NOx
90%以 上
80ppm 以 下
・ ガ ス /オ イ ル 混 焼
50%
・当初設計能力をカバーし得る能力を有する。
( 2 ) RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る 懸 念 事 項
RRX バ ー ナ ー を 導 入 し た 際 に 懸 念 さ れ る 事 象 を 想 定 し 、 そ れ に 対 す る 対 応 を 検 討 す る
た め に 表 3.3-4 の よ う に ハ ザ ー ド マ ッ プ を 作 成 し 、 懸 念 事 項 の 確 認 を 実 施 し た 。
上記ハザードマップにより抽出した対策をプロセス設計に反映させる。
・酸露点腐食を考慮した設計
出 口 排 ガ ス 温 度 を 130℃ ∼ 14 0℃ + α で 管 理 で き る よ う 、 APH と 同 様 の エ ア バ イ パ
スを設置し、温度コントロール可能とする。
・蓄熱体閉塞に対応可能な設計
対 流 部 を 残 す こ と で 蓄 熱 体 に 不 具 合 が 生 じ た 場 合 に 、 FDF に よ る 強 制 通 風 運 転 に
切り替えることで現状の炉効率は確保できる設計とする。
表 3.3-4
RRX バ ー ナ ー 導 入 に よ る ハ ザ ー ド マ ッ プ
Hazard
Cause
Effect
Detection
蓄熱体酸露点腐食
蓄熱体差圧上昇
炉内圧上昇
蓄熱体閉塞
排ガス流量低下
現場差圧計
排ガス温度計
煤塵付着
バーナーチップ閉塞
カーボンフラワー
バーナーシールド内
オイル垂れ
RRXシステム一基停止
RRXシステム全系停止
IDF停止
FDF停止
3.4
バーナーシールド内燻り
バーナー覗き窓から目視
炉内温度計
Counte rmeasure
APH同様AIR側バイパス設置
IDF/ FDFにて圧損に余裕を持った設計
RRXシステム停止しFDFによる強制通風
蓄熱体用スーツブロワは設置しない
IDF/ FDFにて圧損に余裕を持った設計
RRXシステムを停止しFDFによる強制通風
ITVによる炉内監視
バーナー抜出し清掃を実施
カーボンフラワーは覗き窓より除去可能
炉内温度低下
プロセス温度計
排ガスO2計
モーター焼損
ギヤ噛み込み
電源断
排ガス温度上昇
炉効率低下
排ガス温度計
システム停止アラーム
電源断
排ガス温度上昇
炉効率低下
排ガス温度計
システム停止アラーム
FDFによる強制通風運転を実施
電源断
炉内圧上昇
炉効率低下
炉内圧力計
IDF停止アラーム
対流部ダンパー閉、FDFによる強制通風
モーター焼損
電源断
モーター焼損
バーナー失火
FDF停止アラーム
燃料カット、全系シーケンスS/D
各バーナー元に仕切りダンパーを設置、
ダンパー閉止によりバーナー1台の熱交
停止運転が可能な設計とする
対流部を残し現状炉効率は確保可能な設計
対流部を残し現状炉効率は確保可能な設計
計画変更について
(1)計画変更理由について
ハ ザ ー ド マ ッ プ 等 に よ る ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー 実 証 化 へ の 懸 念 事 項 の 抽 出 の 実 施
により間接脱硫装置加熱炉の実証化に際して必要なバーナー能力はこれまでの導入実績
(ガス専焼)に比較し大きく、バーナーおよび蓄熱体が耐えうる強度が必要である。今
回、スケールアップに伴い、下記の懸念に対してより詳細な検討が必要であると考え、
当該バーナーの実証化は時期尚早であると判断し、間接脱硫装置への導入を中止した。
ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー 実 証 化 へ の 懸 念 事 項 は 以 下 の 通 り
①酸露点腐食
②蓄熱体閉塞
③運転変動へ追従性
これまでの研究開発において、上記懸念事項を十分に考慮した設計とするように検討
を 実 施 し た 。② 項 の 蓄 熱 体 閉 塞 に 関 し て は 、ガ ス 専 焼 バ ー ナ ー に お い て も 3 年 間 で 90 →
10 0mmAq の Δ P 上 昇 が 確 認 さ れ 、 更 に Δ P 上 昇 が 推 測 さ れ る ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー 導
入 に つ い て は IDF/FDF の 能 力 に 反 映 さ せ る こ と で 対 応 可 能 と し て い た 。
Δ P が 上 昇 し た 際 の ガ ス 風 量 に つ い て は IDF/FDF の 能 力 に よ り 対 応 可 能 と 判 断 す る が 、
実証化に際しては混焼バーナーによるΔP の上昇、あるいは運転変動に伴うガス量変動
による影響から蓄熱体自身の耐久性(強度)について更に詳細な確認が必要であり、実
証化については時期尚早であると判断した。これに伴い実証化に向けた小型実験炉の設
計・製作・及び運転条件設定(懸念される酸露点腐食、オイル垂れ等による蓄熱体閉塞
及び運転変動に対する追従性を考慮した設計)を行う。その後、混焼バーナーの実機へ
の導入を実施する前に小型実験炉への導入を実施し、混焼におけるΔP 上昇、運転変動
に対する蓄熱体強度等を確認し、安定性、追従性、燃焼状態およびスケールアップ等の
詳細な確認を行った上で実証化を実施するように計画を変更する。
(2)実証化に向けた課題解決について
実証化に向けた課題は、蓄熱体耐久性、酸露点腐食、蓄熱体閉塞、運転追従性、スケ
ールアップ、並びにカーボン生成の6項目であり、この課題解決に向けて、以下の内容
を確認することが必要と考えている。
① 蓄熱体耐久性確認
・蓄熱体単品での強度あるいは耐久性確認(接着剤、材質強度等)
・小型実験炉でのΔP 強制負荷テスト
・未燃オイルが蓄熱体表面で燃焼した際の影響(熱強度)
・ 緊 急 停 止 等 の オ ン /オ フ で の 影 響 確 認
② 酸露点腐食確認
・運転中の排ガス温度制御
・燃焼量変更時の温度制御
③ 蓄熱体閉塞
・油ダレ等による蓄熱体閉塞が発生有無
・微量成分による蓄熱体閉塞有無
・連続運転によるΔP 上昇の確認(蓄熱体耐久性の上限まで達しないか)
④ 運転追従性
・緊急停止等の影響
・燃焼量変動時の影響
⑤ スケールアップについて
小型実験炉を実施した結果を基に実機へのスケールアップについて
⑥ カーボン生成
カーボン生成の状況についての確認
4.まとめ
(1)研究開発の成果
平 成 15 年 度 の 研 究 開 発 と し て は 、 加 熱 炉 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 と し て 非 常 に 有 効 な RRX
バ ー ナ ー の 技 術 開 発 を 実 施 し 、間 接 脱 硫 装 置 加 熱 炉 へ の 導 入 を 実 施 す る 計 画 で あ っ た が 、
3.4 に 示 し た 計 画 変 更 に よ り 導 入 を 中 止 し た た め 当 初 計 画 と は 異 な り 、 実 証 化 へ 向 け た
調査、検討および評価としての成果があった。
① RRX バ ー ナ ー 技 術 開 発 評 価 ( 実 証 化 に 向 け た 課 題 確 認 )
RRX バ ー ナ ー の 適 応 事 例 調 査 と し て 導 入 設 備 の 状 況 、 運 転 お よ び 管 理 状 況 の 調 査 を 実
施 し 、 RRX バ ー ナ ー を 導 入 し た 効 果 ( 炉 効 率 向 上 、 省 エ ネ ル ギ ー ) あ る い は 連 続 運 転 に
よる影響について評価を実施し、十分に適応に値するものと判断した。
また、実運転データ採取による運転状況の評価を実施し、石油精製プロセス加熱炉に
おける基本設計点を明確にした。
今 後 、広 く 石 油 精 製 プ ロ セ ス 加 熱 炉( ガ ス /オ イ ル 混 焼 )へ の 展 開 を 考 え た 場 合 に 実 証
化に向けての課題解決は不可欠であり、課題解決が完全でない状態での実証化は実装置
において多大なリスクを伴う。研究開発において課題解決ができれば今後の実証化がよ
りスムーズに展開できる。
② RRX バ ー ナ ー 適 応 に お け る 懸 念 事 項 確 認
RRX バ ー ナ ー 本 体 の 技 術 開 発 な ら び に 、 当 該 バ ー ナ ー 導 入 後 の 実 装 置 に 与 え る 影 響 に
ついての確認が重要である。
今回、導入におけるプロセス面およびハード面のハザードマップを作成し、ハザード
マップの内容を小型実験炉で検討し、さらに今後の実証化に対応する設計に反映するこ
とが可能となった。
( 2 ) 平 成 15 年 度 の 研 究 開 発
当 年 度 の 目 標 と な る RRX バ ー ナ ー 技 術 開 発 お よ び 実 炉 へ の 導 入 は 計 画 変 更 に よ り 達 成
していない。
但 し 、最 終 的 な 目 標 で あ る ガ ス /オ イ ル 混 焼 バ ー ナ ー の 実 証 化 に 変 更 は な く 、実 証 化 に 向
け 必 要 な ① RRX バ ー ナ ー 技 術 開 発 評 価 と し て 適 応 事 例 調 査 の 実 施 あ る い は 基 本 設 計 点 を
明 確 に し 、 ② RRX バ ー ナ ー 適 応 に お け る 懸 念 事 項 を 抽 出 し 、 今 後 の 実 証 化 に 対 応 す る 設
計に反映することを可能とした。
(3)今後の課題
当年度の研究開発において実証化における課題を確認した。
( 蓄 熱 体 耐 久 性 、酸 露 点 腐
食、蓄熱体閉塞、運転追従性、スケールアップ、カーボン生成)
今後は、上記課題の解決を目標に研究開発を実施し、最終的には実炉への導入および
評価を実施し、広く石油精製プロセス加熱炉への展開を目指す。
課題解決の方法としては、より詳細に燃焼状況を確認できる小型実験炉において燃焼テ
ストを実施して、課題解決に努める。
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