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水坤 寄稿 - 全国上下水道コンサルタント協会

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水坤 寄稿 - 全国上下水道コンサルタント協会
水坤 私のスポーツ遍歴と雑感
(随筆風)
寄稿
西澤政彦
株式会社 NJS /経営工学研究所/所長
■1.はじめに
さらけ出して立ち向かう勇気が必要であることを
教えてくれます。自分の手に負えそうもない仕事
上下水道コンサルタント業界に身を置くように
でも積極的に挑戦し、自分のものにしていく。技
なって25年が経過しようとしています。25年前と
術屋として成長するために、必要な哲学です。
いえば、炎のストッパー津田投手が病気で離脱し
たのにもかかわらず、それをバネにしてチームが
【俺も同じ気持ちだ】
一丸となり、広島東洋カープが6度目のリーグ優
昭和54年日本シリーズで衣笠祥雄一塁手が、江
勝を果たした年です。ちょうど四半世紀ぶり7度
夏豊投手にかけた言葉です。この一言で、江夏投
目の優勝を成し遂げた直後に寄稿することとなっ
手は冷静さを取り戻し、伝説の「江夏の 21 球」を
たのも何かの縁のような気がしますので、私のス
演じることとなりました。「冷静になれ」ではな
ポーツ遍歴と、ゲームを構成する「流れ」につい
く、共感。仲間が悩んでいる時、落ち込んでいる
て考察してきたことを整理してみようと思い立ち
時、我を失っている時、まずは共感から始めて良
ました。
(日本シリーズが終わり、なんとなく寂し
い結果を導きたいところ。
い気分のなかで書き始めています。
)
【カープファンの前でカープ相手に投げている自
■2.カープファン
分が想像できない。】
義理人情。男気。黒田博樹投手の言葉です。言
私は42年来のカープファンです。信州諏訪出身
葉通り、最後はカープファンに恩返ししてくれま
なのになぜ?と聞かれ、何度も説明してきました
した。自分も、そんな生き方をしてみたいところ
が、小学校3年の頃、両親が広島旅行をして赤ヘ
です。
ルを買ってきてくれ、たまたま応援していた年に
初優勝したので子供なりに感動し、
「自分が応援し
たからだ」と勘違いしたのが始まりです。勘違い
■3.スポーツ遍歴
から始まったカープ歴ですが、彼らの価値観には
小学校から野球に魅せられていた私は中学校時
共感するところが多く、私の行動原理に少なから
代には迷わず野球部に入部しました。いくら喉が
ぬ影響を与えています。
渇いても水を飲ませてもらえない厳しい時代の野
(野球に興味のない方、カープ以外のファンの方、
この部分は読み飛ばしてください。
)
【弱気は最大の敵】
球部です。2年生秋には地区の新人戦で優勝し、
3年春の本大会でも漠然と優勝するのだろうなと
思いながら何気なく試合をして、一回戦で呆気な
本来弱気な性格であった津田投手が、登板前に
く敗退してしまいました。これで野球をやるのも
座右の銘としていたこの言葉で気合を入れていた
終わりか、と考えた瞬間でした。当時は、どんな
とのこと。相手がいくら大きく見えても、全てを
状態をつくればチームが最高の力を発揮できるの
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かなどと考える能力がありません。チームスポー
ツの面白さを知ることなく高校生になります。
■4.スポーツ雑感 ─ゲームの流れ
中学野球の反動で、高校に入ってからは個人競
大学時代からは、本格的にスポーツをプレーす
技に興味を持ち、野球部で鍛えた強肩と強靭な下
ることは無くなりましたが、自分の視点で様々な
半身を活かせるバドミントン部に入部します。シ
スポーツ観戦を楽しんでいます。スポーツを介し
ャトルに飛びつき、自在にコースを狙えるように
た人間ドラマに触れるのも楽しみです。
なると、相手に勝つためにどこにどんなショット
野球は、高校野球の地区予選やプロ野球を好ん
を打てば良いかと、頭を使うようになります。レ
で観戦します。数年前からは、ラグビー観戦にも
ベルが上がるにつれその比重は高まり、ゲームの
頻繁に出かけています。地味でも試合の流れに影
流れを意識しながら自分をコントロールし、相手
響を与える体を張ったプレーがあって、ファンも
を観察して、知恵比べを楽しめるようになりまし
含めたチーム全体が同じ目的(勝利)に向かって
た。流れがこちらに向いていないときはじっと耐
一気に加速していくときの勢いに飲まれます。チ
え、ここぞというときに、隠しておいた最も効果
ームが最も強くなる瞬間です。観戦している側も、
的なショットを使い流れを引き寄せます。
アドレナリンが放出されるのを感じます。御柱の
ダブルスの試合では、お互いの強いところを活
木落としの興奮(信州諏訪の奇祭)に似ています。
かすにはどんな役割分担が良いかをパートナーと
逆に、いくら一人一人の技術が高く、また勝利
話し合い、
相手に勝つための戦略を練り共有して、
に対して高い意識を持っていたとしても、勝負の
お互いの気持ちを高め合います。1+1以上の力
主導権を握れるわけではありません。日本が歴史
を出せている、パートナーが普段の 120%の力を
的な勝利を成し遂げたラグビーワールドカップの
出していると感じる瞬間は素晴らしいものでし
南アフリカ戦などを見ていても、戦略を越えた何
た。
かがあるのだろうと考えさせられます。昔から、
また、学校同士の団体戦では、誰と誰が組んで、
よくわからないその何かは「神」と呼ばれていま
どんな順番で相手校に対したら勝てるか?あるい
す。
は、格上の相手には、どうやって意表をついて隙
しかし理系の私としては、
「よくわからない」で
をつくるか?といったところで悩みます。シング
終わらせたくありません。理屈っぽい理系のいや
ルスのゲームよりもダブルス、ダブルスよりも団
なところです。
体戦の方が、また、強い相手と対する時ほど、流
れを引き寄せるために考えるべきことが複雑化し
■5.波動とポテンシャル ─流れの考察
ていきます。ようやく、スポーツの醍醐味、チー
ムスポーツの肝を理解し始めた時期です。
>> シュレーディンガーの波動方程式
そんなことに没頭していて、いわゆる受験勉強
は後回しとなっていましたが、当時の経験が役に
立っていると感じることがあります。教科書では
学べないことを体験できた貴重な時間でした。
大学教養の量子力学の講義で、当時は理解した
つもりになり感動した方程式です。今となっては
意味を咀嚼することはできませんが、原子中の電
子がどこに存在するのかを確率密度で説明する数
式です。万物を構成している量子の挙動が波動理
論で説明できるのです。きっと、これらが無数に
集まって構成されている世の中も、
「波」で説明で
きるのだろうなどと思いを巡らせていました。
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すい目標を共有しやすいスポーツの世界とは全く
異なるものです。我々は、複雑な日常のなかで生
活しています。
多数の価値目標軸に各々の波動が存在し、これ
らが重なり合って(共鳴して)マクロの波動が発
生しているのは確かです。よって、現実社会を理
>> ポテンシャルを左右する「空気感」
解するには、価値軸の数だけシュレーディンガー
スポーツのゲームの流れ(波動の方向:Tide)
を連立させて、・・・・その波動を生み出すポテ
を左右するプレー(Play)を力(加速度)
、そのプ
ンシャルは・・・などと考えても、永久に答えに
レーを生み出すプレーヤーの能力(Ability)をエ
はたどり着けないでしょう。また、たどり着けた
ネルギー(またはポテンシャル)と置き換えて考
としてもその結論は知りたくないので、これ以上
えてみます。力学の世界のエネルギー保存則が成
考えるのはやめにします。結局、現実社会は、シ
り立つとすれば、保有している能力に応じて忠実
ュレーディンガーでは解けない難しい世界。やは
にプレーされることとなりますが、当然のごとく
り「神のみぞ知る」です。
この物理法則は成り立ちません。実力どおりにで
私は、現実社会でなかなか接することのできな
きなかったり、通常の能力を超えるプレーが生ま
い、よくわからない何か「神ってる(H28 流行語
れたりと、場の空気感がプレイヤーの気持ちを左
大賞)」をみたくて、スポーツ観戦を続けていると
右するため、結果を予測することは難しくなりま
いうことなのでしょう。
す。この空気感は、相手との相性や応援も含めた
場の雰囲気などで作り上げられるものです。プロ
野球よりも高校野球の方が、空気感の影響を受け
■ 7.おわりに
やすいようですね(だから面白さがある)
。
貴重な誌面を私事・雑感で埋めてしまいました。
以上のように考えると、試合開始から終了まで
スポーツ好きでない方々には、退屈な話ばかりで
の時間を t とおいて、試合結果を数式で表現する
申し訳ございません。
と以下のようになります。
このほか最近は、縄文、祭祀、地誌、現象数理
Result=∫Tide
(t)
dt Tide:ゲームの流れ
(振幅)
などに興味があり、時間があるときはオープン講
Tide(t)
=∫Play
(t)
dt Play:個々のプレー
座に通ったりなどしています(飽きっぽいです
Play(t)
=Ability×空気感
(t)
が)。日常とかけ離れたことを妄想するのが(危な
Ability:練習・経験等で定まる能力:試合中は一定
い人ではありません)、時間に追われている最近の
空気感
(t)
:時事刻々と変化する場の雰囲気等
貴重なストレス解消法になっています。
このように単純化して整理すると、スポーツの
世界が何となく理解できるように感じられます。
■6.なぜスポーツ観戦するか ─非日常の世界
高度成長期ならばまだしも、価値観が多様化し
ている現代社会は、
「勝ち」という唯一のわかりや
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