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資料 3 ①
平和とダイヤモンド
~紛争ダイヤモンドって知ってる?~
宝石とは、鉱物の中で「石」に分類されるもので、希少性が高く美しい外観を有し、「装飾用に供される物質」
のこと。または一般的にアクセサリーなどに使用される天然石をさす。珊瑚や真珠のような生物に起源するもの
や、琥珀のような有機物も宝石と呼びます。人工生産物は宝石には入りません。
また、宝石の条件の一つとして、鑑賞価値が長く続くという点から、硬度が高いということも重要です。
表面を研磨したカット前の様々な宝石や鉱物
左上から右へ、トルコ石、鉄の原料となる赤鉄鉱、クリソコラ(珪孔雀石)、タイガーズ
アイ(虎目石)。2段目は水晶、トルマリン、カーネリアン(紅玉髄)、黄鉄鉱、日本原産
の杉石(スギライト)。3段目はマラカイト(孔雀石)、紅水晶(ローズクォーツ)、黒曜石
(スノーフレークオブシディアン)、ルビー(紅玉)、苔瑪瑙。4段目は碧玉(ジャスパー)、
アメシスト(紫水晶)、青玉髄(ブルーレース)、ラピスラズリ(瑠璃)。
【鉱物としてのダイヤモンド】
ダイヤという鉱石は珍しいものの、それほど希少というものではありません。もしも宇宙に飛び出せば、宇宙
空間にはそれこそ星屑のように転がっているとされているくらいです。 しかし、それはあくまで極小クラスの話
であり、大きなものは非常に珍しいものになります。宝石として考えるなら、大きければいいという単純な話で
もないのですが、ダイヤモンドくらい、大きさや品質で扱いが変わる鉱物も珍しいです。
【宝石としてのダイヤモンド】
宝石、アクセサリ として活用する場合には、さらに不純物の
宝石、アクセサリーとして活用する場合には、さらに不純物の
有無、色合い、キズなどについても審査され、一定基準をクリア
しなければ、宝石として認められず、工業用にまわされてしまい
ます。現在流通するダイヤモンドの5~7割方は工業用として回
されます。つまり、ダイヤモンドという鉱石はさほど珍しくないに
しろ、宝石として活用できる品質のものは珍しい、ということです。
世界のダイヤモンド産出国
ブラッドダイヤモンドとキンバリー・プロセス
ブラッド・ダイヤモンド(別名「紛争ダイヤモンド」)とは、ダイヤモンド産出国において反政府軍が、採掘した原
石を先進国に売り、得た外貨で更なる武装を整え、戦いの長期化を可能にする、そういうダイヤモンドのことです。
エンゲージリングなどにも使われ、幸せの象徴であるはずのダイヤモンドですが、その裏で戦争や紛争を支え、
誰かの命の犠牲につながっているとしたら 。
誰かの命の犠牲につながっているとしたら…。
国際社会がブラッド・ダイヤモンドのような非人道行為を認めないことを確認する、最大のきっかけとなったの
が、2000年南アフリカキンバリーで開催された会議、キンバリー・プロセスです。ダイヤモンド産業に関わる国家
間による話し合いで、「ブラッド・ダイヤモンドを根絶する」ことに合意しました。具体的には、ダイヤモンドの原石
から宝飾品への一連の流通の中で、「このダイヤはブラッド・ダイヤモンドとは無関係である」ことを明記し、保障
するということが参加国間で義務付けられ、2003年までに、42カ国+EC諸国家が調印しました。日本も、キンバ
リー・プロセスに調印しています。
資料 3 ②
ふわふわカシミアと大草原
カシミアと草原の関係
私達に身近なところでモンゴルと大きくかかわっているものがあります。
その1つが「カシミア」。日本でも、冬になると色とりどりのカシミアセーターが売られています。
なめらかな手触りで、温かいカシミアはマフラー、ショール、帽子、手袋などいろいろな製品となって日本の私たちの
冬の生活を楽しませてくれます。
しかし 今そのカシミアが環境問題につなが ていることを知 ていますか?
しかし、今そのカシミアが環境問題につながっていることを知っていますか?
そして、それは砂漠化が起きている地域だけの問題ではありません。私たちは自分たちが知らないうちに世界の
こうした問題にかかわっていることがあります。
モンゴルの特産品の1つである「カシミア」。このカシミアは寒い地域で育つヤギからとれ、イタリアなどの高級
ブランドの衣服でも使われています。
こうしたヤギはモンゴルや中国などの地域で放牧によって育てられています。
モンゴルでは、2000年と2002年の夏には干ばつ、1999~2000年、2000~2001年、2002~2003年の冬には
ゾド(大雪による雪害)が起き 遊牧民は財産である家畜を失いました
ゾド(大雪による雪害)が起き、遊牧民は財産である家畜を失いました。
こうした家畜の毛皮や皮を売って育てている遊牧民にとって、高い値段で買い取ってもらえるカシミアヤギの毛
は貴重な収入です。遊牧民にとって放牧は生きていくための手段であり、放牧をやめることは生きていけなくなる
ことを意味しているのです。
モンゴルの草原に暮らす遊牧民は昔からいろいろな5種類の家畜を飼って暮らしています。
それは、それぞれの家畜の食べる草が違うことを利用した遊牧民の知恵でした。
その他にも、たとえば家畜を狙う狼であっても子どもの狼は殺さない、などの決まりを持っていました。
モンゴルの自然の中で生きる人たちは、自分たちが不自由な思いをすることがあっても、遊牧民は自然とともに
生きる生き方をしてきたのです。
モンゴル政府が2002年に行った調査では、草原の劣化の原因はヤギの放牧が半分近くを占めています。
これらの問題は、同じようにカシミアの産地である中国などでも起きています。
日本でも春になるとやってくる「黄砂」も砂漠化が原因だと言われています。
黄砂がひどいと洗濯物などが汚れたり、ひどい場合には飛行機が飛ばない
などの影響があります。
砂漠化とは
砂漠は、もともと雨が少なく植物があまり生えていない、乾燥した地域のことです。
それに対して「砂漠化」とは、もともと緑があった場所や人が暮らしていた場所が荒れてしまうことを言います。
砂漠化の原因は大きく分けて、①自然環境によるもの、②私たち人間が原因になっているものがあります。
①の理由は長期間雨が降らなかったり 地球温暖化による気温の上昇などがあります たとえばアフリカでは
①の理由は長期間雨が降らなかったり、地球温暖化による気温の上昇などがあります。たとえばアフリカでは
1968年~1973年にサハラ周辺で干ばつが起き、多くの人が被害にあいました。
しかし、近年では人間の活動による砂漠化が増えています。その理由は土地の植物を限界まで家畜に食べさ
せてしまう過放牧や土地の栄養分が無くなるまで農作物を作る過耕作、森林伐採などがあります。
こうして植物が少なくなると風で土が飛ばされる「風食」や水で土が流される「水食」が起き、土地は再び元に
戻るまでに大変な苦労と手間がかかってしまうのです。
その他にも農業用の水を地下からくみ上げることが原因で地面が塩だけになってしまう“塩害”の問題もあり
ます。さらに土地の急激な人口増加や貧困の問題があります。
す。
地 急激な人 増加や貧困 問題が り す。
現在、地球上の陸地の約1/4が砂漠化の影響を受けており、世界の人口の約1/6の人々が砂漠化による影
響を受けていると言われています。
こうしたことから、1996年12月 に「砂漠化防止条約」が発行され、日本を含む191カ国が参加しています。
この条約は、砂漠化が進む地域の問題を解決するためのもので、砂漠化を防止する方法や砂漠化対策にかかる
資金を参加国が援助しています。日本では政府開発援助(ODA)による調査・技術面での協力・資金の貸付など
を行っています。また、NGOが行っている現地での植樹などに対して補助金を出しています。
このように世界の国々が手を取り合っていますが、それでも砂漠化は進んでいます。
私たちももう一度自分たちの生活を見直してみましょう。
資料 3 ③
ボルネオ・オランウータン・サミット
オランウータンが絶滅!?
ボルネオ島には、オランウータンをはじめ、テングザル、
テナガザル等のサルの仲間、アジアゾウやスマトラサイ
など70種類以上の哺乳類、250種類以上の野鳥、 200
種以上の植物、また何種類いるかもわからない程多くの
昆虫が生息しています。
オランウータンの個体数は、過去100年の間に、およそ
90%以上も減少したと見られています。その主な原因は、
違法伐採や農地開拓などによる生息地の減少。また、
ペットにすることを目的とした、違法な密猟や密輸など
も大きな脅威です。
生物が絶滅してしまうということは、生態系のパワー
バランスを崩し遺伝子資源を損失することを意味し まわりまわって 人間の生活にも影響を及ぼします オ
バランスを崩し遺伝子資源を損失することを意味し、まわりまわって、人間の生活にも影響を及ぼします。オ
ランウータンを保護することは、生息地である豊かな熱帯の森と、そこに生息するさらに多くの生物を守るこ
と、さらには人間の生活を守ることにもつながるのです。
動植物の減少の原因
ボルネオ島やスマトラ島だけでなく、多くの野生動物の減少は、森林の伐採や土地の開発による生活の場
の減少があげられます。ボルネオ島やスマトラ島では、「アブラヤシ」を生産するプランテーションが一因と言わ
れています プランテ ションは 企業などの大規模な資本で広大な農地を開拓して作物をつくる農法で 特
れています。プランテーションは、企業などの大規模な資本で広大な農地を開拓して作物をつくる農法で、特
定の作物しか栽培しないため、他の植物はそこでは絶滅してしまいます。プランテーションで栽培されたアブラ
ヤシからは、「パーム油」と呼ばれる植物油が精製されます。
パーム油は世界で一番産出されている植物油で、2007年には、マレーシア、インドネシアで、世界の86%を生
産しています。パーム油は、価格が安い(*)上に、食用、生活用品、バイオディーゼルなど、利用用途が広いのが
特徴です。日本は2010年には55,379トン輸入しており、94%がマレーシアからの輸入です。マーガリン、アイス
クリーム、チョコレート、ホイップクリーム、フライ製品、インスタントラーメンなど主に食用に使われており、遠く離
れた私たちの暮らしも、オランウータンの減少につながる要因となっています。
(*)パーム油の国際価格は、これまで生産量1位であった大豆油の6割~7割程度といわれています。
今、人間にできること
マレーシア政府の取り組み
ボルネオ島のサバ州、サラワク州にそれぞれ、「セピロック・オ
ランウータン・リハビリセンター」
ランウ
タン リハビリセンタ 」、「セメンゴ野生動物リハビリセ
「セメンゴ野生動物リハビリセ
ンター」といった野生動物の保護施設をつくっています。 「セピ
ロック・オランウータン・リハビリセンター」では、森でケガを負っ
たり親とはぐれたオランウータンを保護し、再び森で生活してい
くためのリハビリ活動をしています。
マレーシアNGOの取り組み
BCT(ボルネオ保全トラスト)では、緑の回廊プロジェクトとい
う活動をしています。ボルネオ緑の回廊プロジェクトは、川沿い
にある保護区、保存林の間にある土地(2万ha)を確保し、野生
動物が自由に移動できるようにするものです。土地の確保は、
行政への働きかけ、使用していない土地の寄付の呼びかけ、
購入といった方法で行っています。購入した土地はBCTの所有
となり、野生動物のために確保されます。ボルネオ島北東部を
流れるキナバタンガン川下流域 セガマ川流域は ボルネオゾ
流れるキナバタンガン川下流域、セガマ川流域は、ボルネオゾ
ウやボルネオオランウータン、テングザルなど野生動物が多く
生息していますが、1990年代からアブラヤシのプランテーショ
ンの開発が急速に進み、保護区は分断化されており、野生動
物が減少しています。
マレーシア政府観光局
資料 3 ④
甘くて苦いチョコレート
世界第2位のカカオ豆生産国であるガーナ共和国ですが、カカオ産業地域では、生産者の貧困と児童労
働という問題を抱えています。
「カカオ産業の現場で起きていること」①と②を読んでみましょう。
カカオ産業の現場で起きていること①
カカオ農家がカカオ豆を栽培し出荷できるようにするまでには、とても長い時間と手間がかかります。
草刈り、実の収穫、実を割って果実と種を取り出す作業、豆を発酵させる作業、それを乾燥させる作業、
乾燥させて豆を販売する作業など、どの作業も多くの労働力が必要なため、農家では家族全員が助け
合って作業をします。
しかし、その手間と時間をかけて生産されたカカオ豆の価格は、農家の人が決めるのではなく、ロンド
ンとニューヨークの商品先物取引市場で決められています。世界全体のカカオの供給量や、産地の天
候、収穫の状況など、いろいろな要因で価格は変動し、お金儲けを目的とした投資に利用されることも
あり、カカオ豆を農家の人が販売して得られる収入と、カカオを育てるためにかかる農薬や肥料などの
費用が見合わず カカオ農園でどんなに働いても貧困から抜け出せないという現状があります
費用が見合わず、カカオ農園でどんなに働いても貧困から抜け出せないという現状があります。
途上国の小規模農家は立場が弱いため、適正な価格の決定に参加できないケースが多く、一方的に
買いたたかれ、貧困は悪循環をたどります。
ACE発行『おいしいチョコレートの真実』
カカオ産業の現場で起きていること②
チョコレートの原料カカオは、赤道近くの高温多湿な地域で栽培されます(日本では栽培できませ
ん)。 そのカカオ生産地では、農薬の使用や森の伐採などにより生態系や環境が破壊されたり、地域
の子どもたちが学校に行けずに危険な労働を行っていたり、 さまざまな問題がおきています。ガーナを
含 西
含む西アフリカ4カ国で、カカオ農園で数十万人の子どもが働き、そのうちの64%が14歳以下であるこ
国 、
農園 数十 人 子
が働 、
が 歳以下
とが分かりました(国際熱帯農業研究所、2002年)。
ACEが2008年2月にガーナのアシャンティ州で行った調査では、子どもがカカオ作りのすべての工程
に関わっていることや、 机やイスが足りないなど学校の設備も不十分であることがわかりました。農園
ではナタや農薬などを扱うため、ケガや病気の危険にもさらされています。子どもを働かせなければな
らない理由には カカオ生産者の貧困という問題があり 彼らの暮らしがニューヨークやロンドンの先物
らない理由には、カカオ生産者の貧困という問題があり、彼らの暮らしがニュ
ヨ クやロンドンの先物
市場で決められる国際価格に左右されているという背景もあります。
ACEホームページ
*ACEとは、世界中のこどもを児童労働から守るための活動を進めている日本のNGO
日本の私たちは、甘くて美味しいチョコレートを日常的に買ったり食べたりすることができます。日本が輸入
するカカオ豆の約70%はガーナ産ですが、ガーナのカカオ生産者が抱える現状は苦く深刻です。ガーナには、
カカオがチョコレートになるということを知らない子どもたちがたくさんいます。
資料 3 ⑤
バナナのお話
日本で私たちが食べるバナナの約80%がフィリピンのミンダナオ島で作られています。ミンダナオ島は
1年中暖かで台風が少ないので、バナナが良く取れます。バナナ農園は全部合わせると大阪市の2倍く
らいの面積で4万ヘクタール。約3万人もの人たちが働いています。その中のひとつの家庭を紹介します。
―――――――――――――――――――――――
僕の名前はアルトロ。9歳。ぼくのお父さんはバナナ農園で働いている。20年前、ここにバナナ農園がで
きる前は、お父さんは地主から土地を借りて米やトウモロコシを作っていたんだ。
でも、日本やアメリカの会社がやってきて、田んぼや畑をつぶしてバナナ農園にしたんだ。お父さんは他
に働くところがないのでバナナ農園で働くことになった。お父さんは毎朝5時におきてバナナ農園に行く。
バナナの虫を退治するためにバナナの花に注射器のようなもので農薬を入れるんだ。
お父さんが農薬をまいていると、頭の上を飛行機が飛んできて黄色い粉の農薬をまいていく。その農薬
はぼくたちの洗濯物やお皿代わりに使うバナナの葉っぱにも降りかかり、畑の中には水も石鹸もないか
らお父さんは手を洗うこともできない。
ぼくの家には幼い妹と弟が5人もいていつもお腹をすかしている。今日の晩御飯もお米と干した小魚1
匹。あー、一度でいいからお腹一杯食べたい。お父さんの給料は一日10時間働いて65ペソ(約220円)。
農薬のせいで体の具合が悪いけど一日休んだらその日の給料はもらえないから、そうするとその日1日
家族はご飯を食べられない。だから病気になっても休むことができないんだ。
おとうさんはこのごろ いつも青い顔をして 頭が痛い 胃が痛いといっている 体には斑点もできている
おとうさんはこのごろ、いつも青い顔をして、頭が痛い、胃が痛いといっている。体には斑点もできている。
だけど、病院にいくお金がないから、家でバナナの幹の皮を腕や体の皮膚病の部分に巻いて手当てをし
ている。ぼくのお父さんには夢があるんだ。土地を返してもらって、バナナの代わりにぼく達が食べる米
やトウモロコシを植え、ぼく達家族をお腹一杯食べさせることだって!
アジア保健研修所(AHI)『アジアの子ども』第10号食料(バナナ)フィリピン編、1988年
このバナナ農園で働く人々の手取りは、200ペソ弱
(500円弱)。保険や年金も入っていて、パヤタスのご
み山で廃品回収するよりも稼ぎはよい。しかし、殺虫
剤や防腐剤のために体調を崩す人もいるとのことだ。
ICANまにらブログ~第二巻~、2008年
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