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教育実践高度化専攻

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教育実践高度化専攻
専門職学位課程(教職大学院)
Graduate School of Education > Professional Degree Program >
Teacher Professional Development
教育実践高度化専攻
教育実践リーダーコース
学校運営リーダーコース
教育実践高度化専攻長 廣
瀨 裕 一
「来たれ,教職大学院へ」
高度の専門的能力と優れた資質を有する教員の養成を目指して平成20
年4月にスタートした本学の教職大学院(専門職学位課程)教育実践高度
化専攻から,この春,第1期生が巣立ちました。修了生たちは皆,2年間
の学びで「臨床力」
「協働力」
「即応力」を獲得した自信と誇りを胸に,指
導的役割を担う中核的中堅教員や有望な新人教員等としておおいに活躍し
てくれるであろうと,私たちは確信しています。
本学の教職大学院では,従来型の大学院修士課程とは一線を画して,学
位論文は課さず,理論を踏まえて教育実践を高度化することを目指した授
業に力を入れ,実習を中心とする工夫を凝らしたカリキュラムを編成して
います。すなわち,
現代的な教育課題に直結する教育理論と実践的アプロー
チを網羅的に学ぶ「臨床共通科目」
,連携協力校でのフィールドワークを
核とする「学校支援プロジェクト」
,専任スタッフの専門分野に関して深
く学ぶ「プロフェッショナル科目」の構成です。
全体を通して,学校種や専門,地域や年齢の異なる人々が,研究・討議・
発表などで徹底的に協働する場面が多くありますが,教職大学院の特色が
最もよく出ているのは「学校支援プロジェクト」です。これは,数ヶ月に
わたって実習校に入り,学校ごとの課題について,院生,大学教員,実習
校の先生方,関係機関等が連携・協力しながら解決に向けて取り組むとい
う本学独自の科目です。課題テーマは「教科指導」
「学級づくり」
「問題解
決能力の育成」など教育実践に関わるものから,
「学校評価」
「小中連携」
など学校運営に関わるものまで様々です。院生は,
「臨床共通科目」や「プ
ロフェッショナル科目」で得た知見等をも総動員してこの「学校支援プロ
ジェクト」に取り組み,
「臨床力」と「協働力」をベースにしたたくましい「即
応力」を身につけるのです。
理論と実践を統合する新しいコンセプトの教職大学院で,私たちと共に
学びたいという意欲的なあなたをお待ちしています。
49
Graduate School of Education > Professional Degree Program > Teacher Professional Development
50
教育実践リーダーコース
2010年度担当教員と研究・教育の領域,主要著書,論文,作品等
教 授 瀬戸 健(せと けん) 025-521-3526 seto
准教授 最も興味のあるところは,「どうしたらよい教師になれるか」という「教師教育」の分野
です。以前は,それを教員人事など「教育経営」の視点から考えました。その後,実践研究
校で 12 年を過ごし,授業研究に挑む教師たちや教育実習生の苦しみや成長を見てきました。
今は,小学校を中心に一人一人の教師が何を考え,どう授業を創り出すかという「授業の
舞台裏」研究,それを支える学校体制の研究から「教師の力量形成」を追いかけています。
教職の専門性について教育行政学および教師教育論の立場から研究しています。これまで主にド
イツの教職を対象とした比較教育学的なアプローチによる研究をしてきました。学校における教育
実践の成否は , ともすれば個々の教師の力量に帰されがちですが , 海外との比較によれば , 教育実践
がしばしば教育システムや学校の文化・風土などのマクロな要因によっても規定されるものであるこ
とが分かります。そこで , 教育実践を高めるための教育行政と学校経営を探究したいと考えています。
教 授 武嶋 俊行(たけしま としゆき) 025-521-3525 takesima
准教授 早川 裕隆(はやかわ ひろたか) 025-521-3515 hayakawa
学校運営・学校経営全般について , 理論と実践の融合を目指しています。35 年間の公立
中学校勤務時代 , 社会科教諭として教科指導・学級経営・学年経営・生徒指導・特活指導等
に当たり , 校長・副校長として学校組織マネジメント・人事管理・教員人事評価・学校評価・
施設管理・財務会計・地域連携等に携わりました。こうした実務経験に基づき , 学校経営学・
組織論等の理論的視点を踏まえながら , 実践的教育課題の解決に貢献したいと思います。
千葉県の公立小学校の教師として勤めた26年間(うち4年間は児童相談所の児童福祉司)の中で,特に,役
割演技による道徳の授業の効果として,子どもたちが道徳的価値のよさを実感的に理解することを明らかにし
てきました(「役割演技を道徳授業に」明治図書)。そこで,学習者である子どもの学習構造の主体的変容によ
る道徳の時間や道徳教育の充実の探究を中心として,道徳の授業を要とする道徳教育のこれからのあり方を実
践的に展望しながら,学校の活性化と持続可能な教育社会の形成を担う教師の育成を支援したいと思います。
教 授 西川 純(にしかわ じゅん) 025-521-3438 Jun @ iamjun.com
准教授 藤田 武志(ふじた たけし) 025-521-3366 takeshi
教科学習における子どもの姿を丹念に調べ,よりよい学びの姿を明らかにする研究をおこなっ
ています。全ての教科学習における子ども・教師を対象としています。また,上記を実現する
ために,地域・学校・学年としての取り組み,教師間の協働関係を対象としています。詳しくは,
「学
び合う教室」,「心の教科指導」,「勉強しなさいを言わない授業」,「忙しいと誰も言わない学校」,
「学び合う国語」
(東洋館出版社),ホームページ(http://www.iamjun.com/)をご覧ください。
本コースでは,教職に関わる精深な学識を授けるとともに,理論と実践の架橋・往還・融合を通して,子どもの経験の
総体としてのカリキュラムを,教室や学校で自らデザインできる「指導的立場から方向性を示す教員」と「即戦力となる
新人教員」を養成します。したがって,教職経験を踏まえ更なる職能発達を目指す現職教員に加え,学部段階で教員とし
ての基礎的・基本的な資質能力を習得し,高い専門性と実践力を持った初等中等教育教員になることを強く志向する人を
求めます。
本コースの名称である「教育実践」とは,狭く教科学習だけでなく,進路指導,教育相談,生徒指導等をも含む広義の
ものです。これらは,どれも学校を成り立たせている不可欠な要素です。このような判断から,本コースでは,教科学習
と教科外学習の内容領域を包含するカリキュラム構成としています。また,学習指導と生徒指導の内容領域を有機的に連
携し,大学院生が幅広く学び合える環境,並びに,学部教育と連携し学部学生と互いに学び合える環境の構築に配慮して
います。
本コースでは,以下に掲げる二つの領域を想定していますが,コースの運営に際しては,その二つを区分することなく,
大学院学生が自由に履修できるようにし,幅広いリーダー的資質の育成を目指します。
コース長 西 川 純 Tel:025-521-3438 E-mail:jun @ iamjun.com
野 けんま(つじの けんま) 025-521-3524 tsujino
観察調査やインタビュー調査,アンケート調査を通して,教室での子ども同士の関係や,教
師と子どもの関係などのミクロレベルの分析から,教育格差や教育改革に関するマクロレベル
の分析まで,教育に関するさまざまな問題を幅広く探究しています。最近では,学校現場で総
合学習やキャリア教育の支援をしたり,ソーシャルスキルを高める取り組みの支援をしたりも
しています。ホームページ(http://www.juen.ac.jp/lab/takeshi/)もぜひご覧ください。
教 授 廣瀨 裕一(ひろせ ひろかず) 025-521-3527 hirose
准教授 松井 千鶴子(まつい ちづこ) 025-521-3449 matsui
宗教学・哲学・法学・教育学などの学際的アプローチで,公教育における宗教
の取扱いに関する研究を専門としています。教職員の人事管理や学校運営につ
いても,理論と実践の統合を目指した研究を続けています。共著『学校の中の
宗教』
(時事通信社,1996 年),論文「日本国憲法上の『宗教』の意味」
(『宗教法』
14 号,1995 年)など。
総合的な学習を成立させるために,カリキュラムや教師の支援,テーマ設定,評価,教科等
との関連,地域との連携はどうあったらよいか模索してきました。そして,総合的な学習を中
核にした教育課程を編成する小学校に勤務する中で,教育課程の中で総合的な学習が果たす役
割についても考えるようになりました。今は,総合的な学習のカリキュラムマネジメントとそ
れが教師のカリキュラムマネジメント力の向上にどのように結び付くか研究しています。
教 授 松本 修(まつもと おさむ) 025-521-3321 osamu
准教授 松沢 要一(まつざわ よういち) 025-521-3528 matuzawa
国語科を中心に,コミュニケーションの観点から授業のあり方を臨床的に検
討し,授業の改善の方策を探る臨床教科教育学を専門としています。教科以外
の学習や図書館教育,教科書なども視野に入れたカリキュラム開発もしていま
す。ナラトロジー(語り論)を応用した教材研究,単元開発および授業研究の
構築をしています。
子どもたちの「算数・数学好き」をどのようにすれば増やすことができるのか
を模索しています。学校現場や学習指導センターに勤めていた時から,教材開
発,教材開発の仕方に焦点を当ててきました。そして,小5の「算数好き」の
増加(44.7 %→ 77.3 %)という成果を見ることができました。主要著書は『こ
んな教材が「算数・数学好き」にした』
(東洋館出版社)です。
准教授 赤坂 真二(あかさか しんじ) 025-521-3530 akasaka
准教授 水落 芳明(みずおち よしあき) 025-521-3529 mizuochi
子どものやる気を引き出す学級づくりについて,教師と子どもの人間関係づくり,子ども同士の人間
関係づくり,そして,教室の雰囲気づくりの観点から研究しています。主な著書は,
「“荒れ”への「予防」
と「治療」のコツ 学級づくりの基礎・基本」(日本標準),「友だちを「傷つけない言葉」の指導温かい言
葉かけの授業と学級づくり」,「困った子どもへの言葉かけと指導」,「小学校高学年女子の指導 困った
ときの処方箋」,「学級指導 困ったときの処方箋 先生のタイプ別アプローチ」
(以上,学陽書房)です。
優れた教育実践のメカニズムを解き明かし,誰もが共有できるようにするこ
と。それによって,子どもたちや先生方,関係する人たちが幸せになることが
私の夢です。そのために,学術研究と実践研究の融合を視点とした研究を行い
ます。「情報教育」
「教科教育におけるI C T 活用」「かかわり合いを軸とした
教科指導」をメインテーマとしています。
准教授 岩﨑 浩(いわさき ひろし) 025-521-3459 iwasaki
専門は算数・数学教育学。①算数・数学という教科の根底にある教育的価値の実現をめざし,
数学の哲学及び認識論を背景としながらの新しい発想の算数・数学の授業づくり。これを教室
を拠点として現場の先生,院生たちと協同で行っています。②算数・数学の授業のマイクロエ
スノグラフィ一。主に,メタ知識を視点として,社会学的及び認識論的視座から,授業で起こっ
ている隠れた事実とそれが児童・生徒の算数・数学学習に及ぼす影響について研究しています。
准教授 加藤 哲則(かとう あきのり) 025-521-3441 akinori
専門は特別支援教育。主な研究分野は,聴覚障害教育におけるきこえと補聴に関する教育オーディオロジー
(Audiology) と,小・中学校において特別な支援を必要とする子どもたちの学習支援などです。我々は,常に
さまざまな情報の多くを目と耳から得ています。授業では視覚的情報 ( 文字や図など ) と聴覚的情報 ( 音声な
ど ) によって学習に必要な情報が伝えられます。その情報保証は,すべての子どもたちの学習にとって重要
なことです。特別な支援を必要としている子どもたちに対して,この視点からのアプローチを考えています。
准教授 木村 吉彦(きむら よしひこ) 025-521-3350 kimura
51
学習指導領域
生徒指導領域
学習指導領域で養成する学習指導(国語科教育,社会科教育,算
数・数学科教育,理科教育,音楽科教育,美術科教育,保健体育科
教育,技術科教育,家庭科教育,外国語科教育等)の職能とは,各
教科の学習のみではなく,教科学習全体のカリキュラム構成能力
を主な対象としています。従って,一つの教科を主な題材として
探究する場合であっても,その他の教科や教科外学習としての生
徒指導を視野におき,常に教科学習全体の中でカリキュラムを構
成する能力の育成を目指します。
生徒指導領域で養成する生徒指導(学級経営,道徳教育,生徒
指導・教育相談,心の教育,キャリア教育など)の職能とは,教科
外学習としての生徒指導のみではなく,教科学習を含めた学校教
育全体のカリキュラム構成能力を主な対象としています。従って,
教科外学習を題材として探究する場合であっても,教科学習を視
野におき,常に学校教育全体の中で生徒指導を構成する能力の育
成を目指します。
生活科教育学を担当。「幼小連携」研究を土台とし,幼児教育と小学校教育をつなぐ教科として
の生活科教育論を展開しています。幼児期から児童期にかけての子ども理解をもとに「生きて働く
教育学」の構築を目指しています。実際に教室に足を運び,子どもの姿と担任の姿から今日の授業
を分析し明日の授業への指針を得るという研究スタイルです。主著は『生活科の新生を求めて』
(日
本文教出版)。HP は,YAHOO !にて「よっちゃんの部屋へようこそ!」を検索してください。
准教授 久保田 善彦(くぼた よしひこ) 025-521-3440 kubota
教育現場と密着しながら,子どもの学びを捉え,その成果を教材やカリキュラム開発に
生かしていきます。主な研究分野は,
「理科教育」
「情報教育」
「教師教育」です。具体的には,
小・中学校の児童生徒を対象にして,実際の授業を分析し,その臨床的データをもとに教
材開発や授業実践をしています。コンピュータも授業改善の一つのツールとして活用しま
す。詳しくは,ホームページ(http://www.juen.ac.jp/lab/kubota/)を参照ください。
Graduate School of Education > Professional Degree Program > Teacher Professional Development
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学校支援プロジェクトテーマ例
学校運営リーダーコース
●読解力向上のための授業研究 ●生きて働く言葉力の育成 ●表現力を育む算数・数学の授業づくり・教室文化づくり
●算数・数学の授業研究を軸とした校内研修 ●全国学力学習状況調査の結果等を活用した算数・数学の学習指導の改善
●算数・数学教育全般(学習意欲の向上,思考力・判断力・表現力の向上,基礎的な知識・技能の習得,連携協力校の研究テーマに沿った取組)
●自己実現を促す生活科・総合的な学習の在り方研究 ●地域に根ざす生活科・総合的な学習の研究 ●異学年学習と小学校英語
●実感を伴った理解に向けた授業改善 ●思考力育成のための授業研究 ●活用力を育成する授業改善
●探究の筋道を切り拓く子どもの育成 ●児童・生徒が自ら問題を設定し解決する能力を育成する指導法の研究
●学級の人間関係づくりのための支援 ●学びを深め合い,進んで問題を解決する子どもの育成 ●『学び合い』による授業・学校改革
●学び合う学習集団づくり ●かかわり合う力の育成 ●教科学習における人間関係作り,校内研修のための研究 ●環境教育のデザインと評価 ●情報教育における授業改善 ●ICTを活用した学習デザイン
●授業,校務を円滑に進めるためのICT 活用,情報教育研究 ●学力保障 ●学力の向上と指導技術の共有
●小学校における授業改善と指導技術の共有化 ●小中連携した学校経営 ●小中連携による学力向上 ●小中連携と人間関係づくり
●信頼される学校運営 ●中学校教育全般の支援(学校評価,学校組織マネジメント,全国学力学習状況調査の分析・活用,学校の探究課題の解決)
●協同・共生型学校づくり ●特別支援教育の体制づくり ●人権・同和教育と特別活動 ●公教育における宗教の取扱い
取得することができる教員免許状
●下記の学校種(免許教科)の各一種免許状のある方
幼稚園教諭専修免許状 小学校教諭専修免許状
中学校教諭専修免許状(国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,保健,技術,家庭,職業,職業指導,
英語,ドイツ語,フランス語,宗教)
高等学校教諭専修免許状(国語,地理歴史,公民,数学,理科,音楽,美術,工芸,書道,保健体育,保健,看護,家庭,
情報,農業,工業,商業,水産,福祉,商船,職業指導,英語,ドイツ語,フランス語,宗教)
本コースでは,教職に関わる精深な学識を授けるとともに,理論と実践の架橋・往還・融合を通して,生き生きとした
子どもの学びや教師の活動を実現する学校に必要とされる多様な内容の校務を自ら企画・運営していくことのできる「学
校において指導的な役割を果たす教員」の養成を目指します。したがって,初等・中等教育において十分な教職経験等を
有する者で,特に学校運営に強い関心をもち,更なる職能発達を目指すことを強く志向する人を求めます。
本コースの名称である「学校運営」は,管理職によって担われる狭義のものではなく,教務主任や生徒指導主事をはじ
めとする中核的中堅教員(ミドルリーダー)が協働して行うものを広く包含しています。このような判断から,本コース
では,教員の能力・関心に応じた二つの内容領域を想定してリーダーに求められる資質能力の向上を図ることを目指して
います。
本コースでは,以下に掲げる二つの領域を想定していますが,コースの運営に際しては,その二つを区分することなく,
Voice
大学院学生が自由に履修できるようにし,幅広いリーダー的資質の育成を目指します。
コース長 西 川 純 Tel:025-521-3438 E-mail:jun @ iamjun.com
大学院生 佐藤 麻美
(人間発達文化学類卒)
上越教育大学教職大学院では,
「理論」と「実践」の両面から,常に学校現場を意識して実践的に学ぶことができ
ます。必修の臨床共通科目では,立場も年齢も違う仲間と課題を探究し,情報収集やプレゼンテーションのすべて
を自分たちで行う中で「協働力」の大きな可能性を感じました。後期の学校支援フィールドワークでは,4 ヶ月に
わたり児童とかかわり,
学校現場の先生方と話し合い,
「学校で働く」ということを実感しました。児童の実態に合っ
た授業を考え実践する機会も頂き,
「実践力」も鍛えられました。今では,以前よりも「早く教師になりたい」と強
く思うようになりました。
教職大学院には,教員も学生もみんなで支え合える温かい雰囲気があり,普段のリフレクションや雑談の中から
もたくさんの情報が得られます。ここでの学びが,必ず教師としての自分を支える「軸」になると確信しています。
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教育課程・教務領域
学年・組織運営領域
教育課程・教務領域で養成するリーダーの職能とは,教育課程の
編成と実務に関する校務を円滑に行うために必要とされる資質,す
なわち,協働能力・企画能力・運営能力・指導助言能力を意味します。
従って,題材となる問題の探求に際しては学校運営全体を視野に
おき,教育課程,教科に関する専門職集団による協働を形成する
ための優れたリーダーシップに加え,地域に根ざした学校としての
取り組みに係る様々な実践的企画能力の育成を目指します。
学年・組織運営領域で養成するリーダーの職能とは,生徒指導・
人権教育・危機管理等に関する総合的な資質を意味します。
従って,題材となる問題の探求に際しては,学校運営全体を視
野におきつつも,
法律や基準に基づいた管理にとどまるのではなく,
信頼される学校づくりを支える生徒指導・人権教育・危機管理等の
実践的ビジョンを立案し,それを戦略的に実現していくための構
想力や企画力,組織マネジメント能力,危機管理能力などの経営
的な専門職的力量の育成を目指します。
Graduate School of Education > Professional Degree Program > Teacher Professional Development
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2010年度担当教員と研究・教育の領域,主要著書,論文,作品等
教 授 瀬戸 健(せと けん) 025-521-3526 seto
准教授 辻野 けんま(つじの けんま) 025-521-3524 tsujino
最も興味のあるところは,「どうしたらよい教師になれるか」という「教師教育」の分野
です。以前は,それを教員人事など「教育経営」の視点から考えました。その後,実践研究
校で 12 年を過ごし,授業研究に挑む教師たちや教育実習生の苦しみや成長を見てきました。
今は,小学校を中心に一人一人の教師が何を考え,どう授業を創り出すかという「授業の
舞台裏」研究,それを支える学校体制の研究から「教師の力量形成」を追いかけています。
教職の専門性について教育行政学および教師教育論の立場から研究しています。これまで主にド
イツの教職を対象とした比較教育学的なアプローチによる研究をしてきました。学校における教育
実践の成否は , ともすれば個々の教師の力量に帰されがちですが , 海外との比較によれば , 教育実践
がしばしば教育システムや学校の文化・風土などのマクロな要因によっても規定されるものであるこ
とが分かります。そこで , 教育実践を高めるための教育行政と学校経営を探究したいと考えています。
教 授 武嶋 俊行(たけしま としゆき) 025-521-3525 takesima
准教授 早川 裕隆(はやかわ ひろたか) 025-521-3515 hayakawa
学校運営・学校経営全般について , 理論と実践の融合を目指しています。35 年間の公立
中学校勤務時代 , 社会科教諭として教科指導・学級経営・学年経営・生徒指導・特活指導等
に当たり , 校長・副校長として学校組織マネジメント・人事管理・教員人事評価・学校評価・
施設管理・財務会計・地域連携等に携わりました。こうした実務経験に基づき , 学校経営学・
組織論等の理論的視点を踏まえながら , 実践的教育課題の解決に貢献したいと思います。
千葉県の公立小学校の教師として勤めた26年間(うち4年間は児童相談所の児童福祉司)の中で,特に,役
割演技による道徳の授業の効果として,子どもたちが道徳的価値のよさを実感的に理解することを明らかにし
てきました(「役割演技を道徳授業に」明治図書)。そこで,学習者である子どもの学習構造の主体的変容によ
る道徳の時間や道徳教育の充実の探究を中心として,道徳の授業を要とする道徳教育のこれからのあり方を実
践的に展望しながら,学校の活性化と持続可能な教育社会の形成を担う教師の育成を支援したいと思います。
教 授 西川 純(にしかわ じゅん) 025-521-3438 Jun @ iamjun.com
准教授 藤田 武志(ふじた たけし) 025-521-3366 takeshi
教科学習における子どもの姿を丹念に調べ,よりよい学びの姿を明らかにする研究をおこなっ
ています。全ての教科学習における子ども・教師を対象としています。また,上記を実現する
ために,地域・学校・学年としての取り組み,教師間の協働関係を対象としています。詳しくは,
「学
び合う教室」,「心の教科指導」,「勉強しなさいを言わない授業」,「忙しいと誰も言わない学校」,
「学び合う国語」
(東洋館出版社),ホームページ(http://www.iamjun.com/)をご覧ください。
観察調査やインタビュー調査,アンケート調査を通して,教室での子ども同士の関係や,教
師と子どもの関係などのミクロレベルの分析から,教育格差や教育改革に関するマクロレベル
の分析まで,教育に関するさまざまな問題を幅広く探究しています。最近では,学校現場で総
合学習やキャリア教育の支援をしたり,ソーシャルスキルを高める取り組みの支援をしたりも
しています。ホームページ(http://www.juen.ac.jp/lab/takeshi/)もぜひご覧ください。
教 授 廣瀨 裕一(ひろせ ひろかず) 025-521-3527 hirose
准教授 松井 千鶴子(まつい ちづこ) 025-521-3449 matsui
宗教学・哲学・法学・教育学などの学際的アプローチで,公教育における宗教
の取扱いに関する研究を専門としています。教職員の人事管理や学校運営につ
いても,理論と実践の統合を目指した研究を続けています。共著『学校の中の
宗教』
(時事通信社,1996 年)
,論文「日本国憲法上の『宗教』の意味」
(『宗教法』
14 号,1995 年)など。
総合的な学習を成立させるために,カリキュラムや教師の支援,テーマ設定,評価,教科等
との関連,地域との連携はどうあったらよいか模索してきました。そして,総合的な学習を中
核にした教育課程を編成する小学校に勤務する中で,教育課程の中で総合的な学習が果たす役
割についても考えるようになりました。今は,総合的な学習のカリキュラムマネジメントとそ
れが教師のカリキュラムマネジメント力の向上にどのように結び付くか研究しています。
教 授 松本 修(まつもと おさむ) 025-521-3321 osamu
准教授 松沢 要一(まつざわ よういち) 025-521-3528 matuzawa
国語科を中心に,コミュニケーションの観点から授業のあり方を臨床的に検
討し,授業の改善の方策を探る臨床教科教育学を専門としています。教科以外
の学習や図書館教育,教科書なども視野に入れたカリキュラム開発もしていま
す。ナラトロジー(語り論)を応用した教材研究,単元開発および授業研究の
構築をしています。
子どもたちの「算数・数学好き」をどのようにすれば増やすことができるのか
を模索しています。学校現場や学習指導センターに勤めていた時から,教材開
発,教材開発の仕方に焦点を当ててきました。そして,小5の「算数好き」の
増加(44.7 %→ 77.3 %)という成果を見ることができました。主要著書は『こ
んな教材が「算数・数学好き」にした』
(東洋館出版社)です。
准教授 赤坂 真二(あかさか しんじ) 025-521-3530 akasaka
准教授 水落 芳明(みずおち よしあき) 025-521-3529 mizuochi
子どものやる気を引き出す学級づくりについて,教師と子どもの人間関係づくり,子ども同士の人間
関係づくり,そして,教室の雰囲気づくりの観点から研究しています。主な著書は,
「“荒れ”への「予防」
と「治療」のコツ 学級づくりの基礎・基本」(日本標準),「友だちを「傷つけない言葉」の指導温かい言
葉かけの授業と学級づくり」,「困った子どもへの言葉かけと指導」,「小学校高学年女子の指導 困った
ときの処方箋」,「学級指導 困ったときの処方箋 先生のタイプ別アプローチ」
(以上,学陽書房)です。
優れた教育実践のメカニズムを解き明かし,誰もが共有できるようにするこ
と。それによって,子どもたちや先生方,関係する人たちが幸せになることが
私の夢です。そのために,学術研究と実践研究の融合を視点とした研究を行い
ます。「情報教育」「教科教育におけるI C T 活用」「かかわり合いを軸とした
教科指導」をメインテーマとしています。
学校支援プロジェクトテーマ例
●読解力向上のための授業研究 ●生きて働く言葉力の育成 ●表現力を育む算数・数学の授業づくり・教室文化づくり
●算数・数学の授業研究を軸とした校内研修 ●全国学力学習状況調査の結果等を活用した算数・数学の学習指導の改善
●算数・数学教育全般(学習意欲の向上,思考力・判断力・表現力の向上,基礎的な知識・技能の習得,連携協力校の研究テーマに沿った取組)
●自己実現を促す生活科・総合的な学習の在り方研究 ●地域に根ざす生活科・総合的な学習の研究 ●異学年学習と小学校英語
●実感を伴った理解に向けた授業改善 ●思考力育成のための授業研究 ●活用力を育成する授業改善
●探究の筋道を切り拓く子どもの育成 ●児童・生徒が自ら問題を設定し解決する能力を育成する指導法の研究
●学級の人間関係づくりのための支援 ●学びを深め合い,進んで問題を解決する子どもの育成 ●『学び合い』による授業・学校改革
●学び合う学習集団づくり ●かかわり合う力の育成 ●教科学習における人間関係作り,校内研修のための研究 ●環境教育のデザインと評価 ●情報教育における授業改善 ●ICTを活用した学習デザイン
●授業,校務を円滑に進めるためのICT 活用,情報教育研究 ●学力保障 ●学力の向上と指導技術の共有
●小学校における授業改善と指導技術の共有化 ●小中連携した学校経営 ●小中連携による学力向上 ●小中連携と人間関係づくり
●信頼される学校運営 ●中学校教育全般の支援(学校評価,学校組織マネジメント,全国学力学習状況調査の分析・活用,学校の探究課題の解決)
●協同・共生型学校づくり ●特別支援教育の体制づくり ●人権・同和教育と特別活動 ●公教育における宗教の取扱い
取得することができる教員免許状
●下記の学校種(免許教科)の各一種免許状のある方
幼稚園教諭専修免許状 小学校教諭専修免許状
中学校教諭専修免許状(国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,保健,技術,家庭,職業,職業指導,
英語,ドイツ語,フランス語,宗教)
高等学校教諭専修免許状(国語,地理歴史,公民,数学,理科,音楽,美術,工芸,書道,保健体育,保健,看護,家庭,
情報,農業,工業,商業,水産,福祉,商船,職業指導,英語,ドイツ語,フランス語,宗教)
准教授 岩﨑 浩(いわさき ひろし) 025-521-3459 iwasaki
専門は算数・数学教育学。①算数・数学という教科の根底にある教育的価値の実現をめざし,
数学の哲学及び認識論を背景としながらの新しい発想の算数・数学の授業づくり。これを教室
を拠点として現場の先生,院生たちと協同で行っています。②算数・数学の授業のマイクロエ
スノグラフィ一。主に,メタ知識を視点として,社会学的及び認識論的視座から,授業で起こっ
ている隠れた事実とそれが児童・生徒の算数・数学学習に及ぼす影響について研究しています。
准教授 加藤 哲則(かとう あきのり) 025-521-3441 akinori
専門は特別支援教育。主な研究分野は,聴覚障害教育におけるきこえと補聴に関する教育オーディオロジー
(Audiology) と,小・中学校において特別な支援を必要とする子どもたちの学習支援などです。我々は,常に
さまざまな情報の多くを目と耳から得ています。授業では視覚的情報 ( 文字や図など ) と聴覚的情報 ( 音声な
ど ) によって学習に必要な情報が伝えられます。その情報保証は,すべての子どもたちの学習にとって重要
なことです。特別な支援を必要としている子どもたちに対して,この視点からのアプローチを考えています。
准教授 木村 吉彦(きむら よしひこ) 025-521-3350 kimura
生活科教育学を担当。「幼小連携」研究を土台とし,幼児教育と小学校教育をつなぐ教科として
の生活科教育論を展開しています。幼児期から児童期にかけての子ども理解をもとに「生きて働く
教育学」の構築を目指しています。実際に教室に足を運び,子どもの姿と担任の姿から今日の授業
を分析し明日の授業への指針を得るという研究スタイルです。主著は『生活科の新生を求めて』
(日
本文教出版)。HP は,YAHOO !にて「よっちゃんの部屋へようこそ!」を検索してください。
准教授 久保田 善彦(くぼた よしひこ) 025-521-3440 kubota
教育現場と密着しながら,子どもの学びを捉え,その成果を教材やカリキュラム開発に
生かしていきます。主な研究分野は,
「理科教育」
「情報教育」
「教師教育」です。具体的には,
小・中学校の児童生徒を対象にして,実際の授業を分析し,その臨床的データをもとに教
材開発や授業実践をしています。コンピュータも授業改善の一つのツールとして活用しま
す。詳しくは,ホームページ(http://www.juen.ac.jp/lab/kubota/)を参照ください。
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Voice
大学院生 千原 健志
(新潟県公立中学校教諭)
教職大学院での1年間が終わろうとしています。前期は学卒院生や県内外の現職院生の仲間たちと教育への
思いを語り合いました。後期は学校現場に入り,刻々と変化する児童・生徒を相手に,現場の先生方と協働して
理論と実践の融合を図りました。これまで内側からしか見られなかった学校を外から見つめ直すことで,新た
な方向性を発見できました。
大学院での学びを還元するために他の中学校で学習ボランティアとして活動したり,多くの発表機会を得て
プレゼンを行ったり,自己研鑽を深めるために全国各地の研修会に出かけたりなど,充実した時間を送ること
もできました。
今,教師としてがむしゃらに走り続けているあなた。教職大学院は仲間とともに,新しいゴールを見つけら
れる場所です。上越教育大学で,一緒にがんばりませんか?
Graduate School of Education > Professional Degree Program > Teacher Professional Development
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