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General Meeting Report of CIRP 2011 The International Academy

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General Meeting Report of CIRP 2011 The International Academy
TOPICS
国際生産加工学会 CIRP 2011 総会報告
大阪大学名誉教授 小 坂 田 宏 造
1.概要
I. Lepsenyi 氏の特別講演「自動車産業−ハンガリー
CIRPは国際生産加工学会(The International Academy
経済と研究開発の駆動力」があった。その後、各部門
の進歩などのキーノートが発表され、自分の専門以外
for Production Engineering)の略称で、以前のフランス
の最新情報を得る良いチャンスであった。今年の全体
語の頭文字表示が現在でも世界的に用いられている。
総会でのキーノートの部門と題名、発表者は以下のと
この学会はメンバー制で、生産加工の分野では最も権
おりであった。
威のある国際学会として知られている。この学会のカ
・キーノート STC-C(切削部門)
バーする分野は切削、研削、電気加工、塑性加工、組
材料除去加工における表面状態−最近の進歩
立、工作機械、生産システムなどである。現在、全体
I. S. Jawahir
で約 200 名の正会員および名誉会員(honorary fellow、
・キーノート Track-1(加工方法共通)
fellow、emeritus fellow:日本 36 名)、130 名の副会
塑性加工と切削加工における加工速度の影響
員(associate member:日本 15 名)、140 名の企業会
R. Neugebauer
員(日本 16 企業)からなる。
・キーノート STC-F(塑性加工部門)
現在、塑性加工部門に登録している日本人会員は、
塑性加工用サーボプレス技術
戸澤康寿名古屋大学名誉教授(名誉会員)、中川威雄
小坂田宏造
東大名誉教授(名誉会員)、木内学東大名誉教授(名誉
・キーノート STC-Dn(設計部門)
会員)、小坂田宏造阪大名誉教授(名誉会員)、小豆島
生物をヒントにした設計
明横浜国大教授(正会員)、森謙一郎豊橋技術科学大
L. H. Shu
学教授(正会員)、石川孝司名古屋大学教授(副会員)、
・キーノート SRTC-S(システム部門)
柳本潤東大教授(副会員)である。
マイクロ・ナノ形状の転写
CIRP の総会(General Assembly)は毎年 8 月末に
H. N. Hansen
国を変えながら挙行されるが、今年はハンガリーの
首都ブダペストのインターコンチネンタルホテルで
8 月 21 日∼ 27 日に開催された。総会には会員のほか
論文発表者などの招待者も参加するが、今回の参加者
3.部門会議
(1)部門での発表
は 37 か国で 600 人あまりであった。参加者リストに
全体会議の後は、各部門に分かれて論文発表が行わ
よると参加者の多い国は、ドイツ 103、日本 57、米国
れた。発表論文総数は 152 件で、部門毎の内訳は、A
36、イタリア 30、カナダ 22、英国 20、フランス 18、
(組立)14、C(切削)26、Dn(設計)16、E(電気加工)
中国 16、ハンガリー 15、スイス 15 人などである。
16、F(塑性加工)15、G(研削)11、M(工作機械)
会議は月曜日∼水曜日の全体会議および各分野に分
13、O(最適化)19、P(測定)11、S(システム)11
かれた論文発表の Part 1 と、木曜日∼土曜日の各分野
件であった。
でのメンバー限定の非公式意見交換の Part 2 からなる。
全体会議でキーノート講演のなかった部門では、部
門のキーノートがここで発表される。部門でのキー
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2.全体会議
ノート講演と講演者は以下のとおりである。
全体会議では開催者や CIRP 会長の挨拶の後で、ハ
・STC-A(組立部門)
製品多様性のための組立システムの設計と運用
ンガリー・Knorr-Bremse Hungary 社の CEO である
S. J. Hu
SOKEIZAI
Vol.52(2011)No.11
TOPICS
・STC-E(電気加工部門)
レーザーナノ加工−現状とチャレンジ
・F10 後退前進するラム運動による深穴成形におけ
る焼き付き防止
L. Li
大阪大学・松本良
・STC-G(研削部門)
・F11 フレキシブル非対称スピニング
研削砥石の目立てと監視
英国・ケンブリッジ大学・O. Music
K. Wegener
・F12 板材逐次成形における形状精度向上のための
・STC-M(工作機械部門)
工具経路を組み合わせた新しい方法論
工作機械の案内駆動装置
米国・ノースウエスタン大学・J. Cao
Y. Altintas
・F13 2 個の移動工具を用いた板のダイレス逐次成
・STC-O(最適化部門)
形における圧力付加の影響
協調的で反応性の良い製造企業
ドイツ・ルール・ボッフム工科大学・H. Meier
J. Vancza
・F14 高精度円錐穴形状を実現するためのマイクロ板
・STC-P(計測部門)
成形と穴抜きを組み合わせた加工方法の研究
寸法計測のためのコンピュータ
オーストリア・Graz 工科大学・R. Kolleck
J. P. Kruth
・F15 第一世代マイクロバルク成形システムに向けて
デンマーク・デンマーク工科大学・M. Arentoft
(2)塑性加工部門での発表
塑性加工部門では次のように 15 件の発表があった
(名前は発表者)。
4.Part 2
・F01 銅極細線生産用の連続引抜き曲げ工程
・2012・キーノートペーパー
東京大学・柳本潤
「板鍛造」の進捗報告
・F02 板鍛造における材料流れの基礎研究
ドイツ・エルランゲン大学・M. Meklein
ドイツ・エルランゲン大学・M. Merklein
・2013・キーノートペーパー
・F03 冷間鍛造工程における延性破壊の予測
「塑性変形による接合」の進捗報告
イタリア・パドバ大学・P. Bariani
日本・豊橋技術科学大学・森謙一郎
・F04 平坦品のレベリング加工のための計算機支援
開発
ポーランド・Krakow 大学・L. Madej
・F05 マニピュレータを用いた大型品自由鍛造(延
伸)中のオンライン最適化の高速モデル
非公式発表
・ヘリカルギヤの転造における工具設計の最適化によ
る加工限界の向上
ドイツ・Chemnitz・A. Sterizng
ドイツ・アーヘン工科大学・G. Hirt
・製品設計における塑性加工の役割
・F06 カップの側面の抵抗加熱を用いた超高強度鋼
ドイツ・Darmstadt 工科大学・P. Groche
ギヤドラムのスプライン成形
・板加工の成形性を向上させる変形経路
豊橋技術科学大学・森謙一郎
米国・New Hampshire 大学・B. Kinsey
・F07 ボンデ処理および固体皮膜潤滑を用いたアル
・深絞りと冷間鍛造を組み合わせた二層カップの製造
ミ、鋼、ステンレス鋼の冷間鍛造のための摩
ドイツ・ドルトムント工科大学・E. Tekkaya
擦モデル
・異形板深絞り製品の部分的な特性に及ぼす部分再変
デンマーク・デンマーク工科大学・N. Bay
・F08 高強度鋼板の精密穴抜きにおけるパンチ摩耗
のエネルギー解放率法
形の影響
ドイツ・Stuttgart 大学・M. Liewald
・板材の揺動(回転)鍛造
米国・オハイオ州立大学・R. Shivpuri
ドイツ・エルランゲン大学・R. Plekk
・F09 被覆高分子で作成された耐摩耗性の深絞り用
・ラジエータ用 2 層部品の製造のための複数ビレット
工具
ドイツ・ドルトムント工科大学・J. Witulski
押出し法の開発
ポーランド・Krakow 大学・L. Madej
Vol.52(2011)No.9
SOKEIZAI
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TOPICS
5.イベント
本会議では研究発表だけでなく、各種のイベントが
には花火大会がドナウ側沿いであり、王宮をバックに
した花火は非常にきれいであった(写真 3)。
開かれた。8 月 21 日(日)の夕方にはウェルカムレ
セプションがインターコンチネンタルホテルで、22
日(月)には聖イシュトバーン大聖堂でオルガンコン
サートとレセプションがそれぞれ開かれた。写真 1 は
24 日(水)にハンガリー鉄道博物館で開かれた全体ディ
ナーの写真である。博物館には古い機関車が多数置い
てあり、食事の途中に機関車が会場の真ん中に入って
きたのには驚かされた。
写真 2 は 27 日(土)に西洋美術館で開かれた最終ディ
ナーの写真であり、美術館のエントランスホールを会
場にしたため、中世の絵画が壁に多数かけられており、
その中で食事をするのは格調高い雰囲気であった。
会議前日の 8 月 20 日(土)はハンガリーの建国記
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念日であり、ドナウ川周辺は非常な人出であった。夜
写真 2 西洋美術館で開かれた最終ディナー
写真 1 ハンガリー鉄道博物館で開かれた全体ディナー
写真 3 ハンガリー建国記念日の花火大会
SOKEIZAI
Vol.52(2011)No.11
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